(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117887
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/14 20060101AFI20220804BHJP
【FI】
B60Q1/14 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014658
(22)【出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽平
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA21
3K339BA25
3K339BA28
3K339CA01
3K339GB01
3K339JA21
3K339KA06
3K339KA27
3K339LA06
3K339LA33
3K339LA34
3K339MA01
3K339MA10
3K339MB04
3K339MC04
3K339MC23
3K339MC46
3K339MC90
(57)【要約】
【課題】安価でありながら、前照灯の配光パターンを素早くロービームの配光パターンにすることができる車両を提供する。
【解決手段】ハイビームの配光パターン及びロービームの配光パターンを構成する前照灯を備える車両であって、前記車両の前方を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮像エリアの左右の少なくとも一方の側縁から前記撮像エリアの内部に白色発光体が入ってきたか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記白色発光体が入ってきたと判定されたとき、前記ロービームの配光パターンにする前照灯制御部と、を備える、車両。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイビームの配光パターン及びロービームの配光パターンを構成する前照灯を備える車両であって、
前記車両の前方を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像エリアの左右の少なくとも一方の側縁から前記撮像エリアの内部に白色発光体が入ってきたか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記白色発光体が入ってきたと判定されたとき、前記ロービームの配光パターンにする前照灯制御部と、を備える、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイビームの配光パターン及びロービームの配光パターンを構成する前照灯を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の車両用前照灯装置は、灯具ユニットと車両位置検出部と曲路判定部と曲路時パターン制限部とを備える。灯具ユニットは、ロービーム配光パターンとハイビーム配光パターンとを形成する。車両位置検出部は、カメラにより撮影された画像データを受け取り、車両を示す特徴点を画像データ内で探索することで、対向車の有無及び位置を検出する。パターン決定部は、車両位置検出部によって検出された対向車を考慮した最適な配光パターンを決定する。パターン制御部は、パターン決定部で決定された配光パターンを形成するように灯具ユニットを制御する。曲路判定部は、車両が走行する路面が急カーブか否かを判定する。曲路時パターン制限部の一例としては、急カーブである判定されたときに、曲路の内径側が対向車線側に当たるか否かを判定する。そして、曲路時パターン制限部の一例としては、曲路の内径側が対向車線側に当たると判定されたとき、パターン決定部で決定された配光パターンにかかわらず、対向車線側の灯具ユニットでロービーム配光パターンを形成するようにパターン制御部に支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両が直進していて、対向車が右折してくる場合などでは、カメラの撮像エリアの左側縁から撮像エリア内に対向車が急に入ってくる場合がある。その場合、上述した車両位置検出部のように、車両を示す特徴点を画像データ内で探索して対向車の有無及び位置を検出していては、検出までの時間がかかりすぎる。その結果、対向車の検出遅れが生じ得る。対向車の検出遅れが生じると、対向車にハイビームの光が照射される。対向車の検出遅れを抑制するために、例えば、検出精度の高いカメラや処理速度の速い制御部を備えると、コストが高くなる。また、対向車の検出遅れを抑制するために、上述した車両用前照灯装置のように、曲路走行中かつ曲路の内径側が対向車線側であればロービーム配光パターンを形成する制御を行うと、対向車がいないにもかかわらず車両の前方が暗くて見難くなる。
【0005】
本発明の目的の一つは、安価でありながら、前照灯の配光パターンを素早くロービームの配光パターンにすることができる車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両は、
ハイビームの配光パターン及びロービームの配光パターンを構成する前照灯を備える車両であって、
前記車両の前方を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像エリアの左右の少なくとも一方の側縁から前記撮像エリアの内部に白色発光体が入ってきたか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記白色発光体が入ってきたと判定されたとき、前記ロービームの配光パターンにする前照灯制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記車両は、判定部によって白色発光体が入ってきたと判定されたら、前照灯制御部によってロービームの配光パターンにする。即ち、上記車両は、白色発光体が何であるか、白色発光体を備える物体が何であるかを判別することなく、ロービームの配光パターンにする。そのため、上記車両は、入ってきた白色発光体が車両か否かを判別する時間を省略できるので、素早くロービームの配光パターンにすることができる。よって、上記車両は、白色発光体が撮像エリアの左右のいずれか一方の側縁から撮像エリア内に急に入ってくるような路面であっても、白色発光体を備える物体、例えば対向車に対してハイビームの光を照射することを抑制できる。
【0008】
このように、上記車両は、ロービームの配光パターンにするために白色発光体が何であるか、特に車両であるか否かを判別しなくてもよいため、前照灯制御部を簡易な構成とすることができる。よって、上記車両は、コストが高くなり難いので、安価になり易い。
【0009】
上記車両は、判定部によって白色発光体が入ってきたと判定されない限りは、ハイビームの配光パターンのままとすることができる。そのため、所定の曲率を満たす路面の周辺が明るくて見易い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両の概略を示す構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両に備わる撮像部の撮像エリアの概略を示す構成図である。
【
図3】
図3は、白色発光体の重なり率を説明する説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る車両に備わる前照灯制御部の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から
図4を参照して、本発明の車両の実施形態を説明する。
【0012】
《実施形態》
〔車両〕
図1に示す実施形態に係る車両1は、前照灯2と撮像部4とを備える。前照灯2は、ハイビームの配光パターン及びロービームの配光パターンを構成する。撮像部4は、車両1の前方を撮像する。本形態の車両1の特徴の一つは、特定の第一判定部51の判定結果に基づいて、前照灯2に対して特定の制御を行う前照灯制御部6を備える点にある。以下、詳細に説明する。本形態の車両1は、右ハンドルの車両である。本形態の車両1は、左側通行である。本形態とは異なり、車両1は、左ハンドルの車両であってもよい。車両1は、右側通行であってもよい。
【0013】
[前照灯]
前照灯2は、ハイビームの配光パターン及びロービームの配光パターンを構成する。前照灯2は、配光可変型前照灯(ADB:Adaptive Driving Beam System)である。即ち、前照灯2は、ハイビームの配光パターンをベースに配光を制御することでロービームの配光パターンを構成可能な前照灯である。配光可変型前照灯の構成は、公知の構成を採用できる。例えば、前照灯2は、ハイビーム及びロービームの配光パターンを構成可能な複数の光源を備える形態、又は、ハイビームを部分的に遮光可能な可変シェードを備える形態が挙げられる。
【0014】
[撮像部]
撮像部4は、車両1の前方を撮像する。撮像部4には、カメラが利用できる。撮像部4で撮像された情報は、ECU(Electronic Control Unit)5に出力される。
【0015】
図2に示す撮像エリア40は、
図1に示す第一左側線L1から第一右側線R1までの範囲が挙げられる。第一左側線L1は、例えば、左側の前照灯2を通り、左側基準軸線L0に対して車幅方向の外方に20°傾斜した線である。第一右側線R1は、例えば、右側の前照灯2を通り、右側基準軸線R0に対して車幅方向の外方に20°傾斜した線である。左側基準軸線L0とは、車両1の左右の中心線に平行、かつ左側の前照灯2を通る線である。右側基準軸線R0とは、上記中心線に平行、かつ右側の前照灯2を通る線である。
【0016】
図2に示す撮像エリア40は、左側領域40Lと右側領域40Rと中央領域40Cとを有する。左側領域40Lは、例えば、第一左側線L1と第二左側線L2との間の領域である。右側領域40Rは、例えば、第一右側線R1と第二右側線R2との間の領域である。第二左側線L2は、例えば、左側基準軸線L0に対して車幅方向の外方に15°傾斜した線である。第二右側線R2は、例えば、右側基準軸線R0に対して車幅方向の外方に15°傾斜した線である。中央領域40Cは、左側領域40Lと右側領域40Rとの間の領域である。
【0017】
[曲率取得部]
本形態の車両1は、更に曲率取得部3を備えていてもよい。曲率取得部3は、路面の曲率を取得する。路面とは、車両1が走行中の路面、又は走行中の路面よりも前方の路面が挙げられる。路面の曲率とは、路面を平面視した際の道路の屈曲部の曲率である。走行中の路面の場合、曲率取得部3には、例えば、ヨーレートセンサ又は舵角センサなどが利用できる。前方の路面の場合、曲率取得部3は、例えば、カーナビゲーションシステムが利用できる。曲率取得部3で取得された情報は、ECU5に出力される。
【0018】
[第一判定部]
図1に示す第一判定部51は、撮像エリア40内の白色発光体の有無を判定する。また、第一判定部51は、撮像エリア40の左右のいずれか一方の側縁から撮像エリア40の内部に白色発光体が入ってきたか否かを判定する。入ってきたとの判定は、例えば、画像処理に基づいて、所定の色温度を持った所定の大きさの領域が左側領域40L又は右側領域40Rに現れた事をもって行うことが挙げられる。入ってきたとの判定は、白色発光体が左側領域40Lの左縁から左側領域40Lの内部又は右側領域40Rの右縁から右側領域40Rの内部に入ってきたらすぐに行われる。このすぐにとは、左側領域40Lと右側領域40Rのいずれか一方の内部に入ってきた白色発光体がその一方の内部から中央領域40Cに出るまでの間をいう。即ち、第一判定部51は、左側領域40Lの右縁から中央領域40Cに白色発光体が出たか否かをも判定する。第一判定部51は、右側領域40Rの左縁から中央領域40Cに白色発光体が出たか否かをも判定する。第一判定部51は、ECU5に備わる。
【0019】
白色発光体とは、白色に発光している物体である。つまり、白色発光体は、可視光のほぼすべての波長の光を発している。通常、色温度で4200K以上6500K以下程度であれば、白色と認識される。この白色発光体は、対向車100の前照灯を想定している。白色発光体か否かは、撮像部4が撮像した画像の色温度から判別できる。
【0020】
車両1が直進していて、対向車100が右折又は左折してくる場合を以下に説明する。車両1が直進していて、対向車100が右折してくる場合、撮像エリア40の左側領域40Lの左縁から左側領域40Lの内部に白色発光体が入ってくることがある。一方、車両1が直進していて、対向車が左折してくる場合、撮像エリア40の右側領域40Rの右縁から右側領域40Rの内部に白色発光体が入ってくることがある。即ち、白色発光体が左側領域40Lの左縁から左側領域40Lの内部又は右側領域40Rの右縁から右側領域40Rの内部に入ってきたら、対向車の白色発光体であることが多い。そのため、白色発光体が何であるか、白色発光体を備える物体が何であるか、を判別しなくてもよい。即ち、白色発光体を備える物体が車両か否かを判別する必要がない。
【0021】
[第二判定部]
本形態の車両1は、第一判定部51が白色発光体を判定する場合、更に、第二判定部52を備えていることが好ましい。第二判定部52は、第一判定部51で判定された白色発光体の数が2個以上か否かを判定する。即ち、第二判定部52は、撮像部4の撮像エリア40の左右のいずれか一方の側縁から撮像エリア40の内部に入ってきた白色発光体の数が2個以上か否かを判定する。例えば、白色発光体の数が2個であれば、その2個の白色発光体を備える物体は対向車100であることが多い。そのため、2個の白色発光体が何であるか、2個の白色発光体を備える物体が何であるか、などを判別しなくてもよい。第二判定部52は、ECU5に備わる。
【0022】
[第三判定部]
本形態の車両1は、第二判定部52を備える場合、更に、第三判定部53を備えていてもよい。第三判定部53は、第二判定部52で判定された2個の白色発光体の重なり率が所定の値以上か否かを判定する。即ち、第三判定部53は、撮像部4の撮像エリア40の左右のいずれか一方の側縁から撮像エリア40の内部に入ってきた2個の白色発光体の重なり率が所定の値以上か否かを判定する。所定の値は、適宜設定すればよい。所定の値は、高いほど好ましい。所定の値が高いほど、2個の白色発光体を備える物体が対向車100であることが多い。そのため、2個の白色発光体が何であるか、2個の白色発光体を備える物体が何であるか、を判別しなくてもよい。所定の値は、例えば、80%、更には85%、特に90%が好ましい。第三判定部53は、ECU5に備わる。
【0023】
図3を参照して、2個の白色発光体7の重なり率を説明する。説明の便宜上、
図3の紙面左右の白色発光体7をそれぞれ左側の白色発光体7、右側の白色発光体7という。紙面左右方向が水平方向、紙面上下方向が鉛直方向である。重なり率は、(第二の長さH2/第一の長さH1)×100で求められる。第一の長さH1は、第一の線h1と第二の線h2との間の鉛直方向に沿った長さである。第二の長さH2は、第三の線h3と第四の線h4との間の鉛直方向に沿った長さである。第一の線h1は、水平方向に沿った線のうち、右側の白色発光体7を通らず、左側の白色発光体7に接する線である。第二の線h2は、水平方向に沿った線のうち、左側の白色発光体7を通らず、右側の白色発光体7に接する線である。第三の線h3は、水平方向に沿った線のうち、右側の白色発光体7を通って左側の白色発光体7に接する線である。第四の線h4は、水平方向に沿った線のうち、左側の白色発光体7を通って右側の白色発光体7に接する線である。重なり率は、撮像部4が撮像した画像を画像処理することによって求められる。
【0024】
[第四判定部]
本形態の車両1は、曲率取得部3を備える場合、更に第四判定部54を備えていてもよい。第四判定部54は、曲率が所定の曲率を満たすか否かを判定する。この判定によって、上述した路面が直線状であるか否かを判定できる。所定の曲率は、適宜設定すればよい。例えば、曲率取得部3がヨーレートセンサである場合、所定の曲率とは、ヨーレートが-1deg/sec以上1deg/sec以下をいう。車両1が左側に旋回する場合のヨーレートをプラス、車両1が右側に旋回する場合のヨーレートをマイナスとする。第四判定部54は、ECU5に備わる。
【0025】
[前照灯制御部]
前照灯制御部6は、以下の特定の場合を除き、通常のADB制御を行う。一方、前照灯制御部6は、以下の特定の場合には、通常のADB制御を行わずに前照灯2の配光パターンをハイビームの配光パターンからロービームの配光パターンにする。特定の場合とは、第一判定部51によって白色発光体が入ってきたと判定された場合である。
【0026】
通常のADB制御とは、撮像部4の撮像エリア40内に存在する被写体の種類を判別し、撮像エリア40内に先行車や対向車などが存在すると判定されたとき、その被写体に対してハイビームが照射されないように、前照灯2の配光パターンを制御することをいう。例えば、前照灯2の配光パターンをロービームの配光パターンにする。また、被写体に対応する領域に照射する光源のみ消灯又は遮光してもよい。通常のADB制御は、上記判定がされない場合には、前照灯2の配光パターンをハイビームの配光パターンのままとする。通常のADB制御を行わないとは、撮像エリア40の左右のいずれか一方の側縁から撮像エリア40の内部に入ってきた白色発光体が何であるか、白色発光体を備える物体が何であるかを判別することなく、撮像エリア40の左右のいずれか一方の側縁から撮像エリア40の内部に入ってきたか否かだけを判定することをいう。
【0027】
前照灯制御部6は、第一判定部51によって撮像エリア40の左側領域40Lの左縁から左側領域40Lの内部に白色発光体が入ってきたと判定された後、左側領域40Lの右縁から中央領域40Cに白色発光体が出たと判定される前に、ロービームの配光パターンにする。前照灯制御部6は、第一判定部51によって撮像エリア40の右側領域40Rの右縁から右側領域40Rの内部に白色発光体が入ってきたと判定された後、右側領域40Rの左縁から中央領域40Cに白色発光体が出たと判定される前に、ロービームの配光パターンにする。
【0028】
[制御手順]
図4を参照して、前照灯制御部6による前照灯2の制御手順の一例を説明する。本例では、車両1が直進していて、対向車100が右折してくる場合を例とする。車両1は、前照灯2の配光パターンをハイビームの配光パターンとした状態で走行中である。
【0029】
ステップS01として、第四判定部54は、曲率取得部3が取得した路面の曲率が所定の曲率を満たすか否かを判定する。曲率取得部3がヨーレートセンサである場合、第四判定部54は、例えば、ヨーレートYRが-1deg/sec以上1deg/sec以下を満たすか否かを判定する。
【0030】
ステップS01の条件を満たす場合、ステップS02として、第一判定部51は、撮像部4の撮像エリア40内に対向車100が写っていない状態か否かを判定する。
【0031】
ステップS02の条件を満たす場合、ステップS03として、第一判定部51は、撮像エリア40の左側領域40Lの左縁から左側領域40Lの内部に白色発光体が入ってきたか否かを判定する。
【0032】
ステップS03の条件を満たす場合、ステップS06として、前照灯制御部6は、前照灯2の配光パターンをハイビームの配光パターンからロービームの配光パターンにする。
【0033】
ステップS03の条件を満たす場合、ステップS06を実行する前に、ステップS04を経ることが好ましい。ステップS04として、第二判定部52は、第一判定部51で判定された白色発光体の数が2個以上か否かを判定する。
【0034】
ステップS04の条件を満たす場合、ステップS06を実行してもよいものの、ステップS06の前にステップS05を経ることが好ましい。例えば、第二判定部52で判定された白色発光体の数が2個の場合、ステップS05として、第三判定部53は、2個の白色発光体の重なり率ORが所定の値以上を満たすか否かを判定する。
【0035】
ステップS05の条件を満たす場合、上述したステップS06を実行する。
【0036】
ステップS01からステップS05の条件のうち、いずれか1つでも満たさなかった場合、ステップS07として、前照灯制御部6は、上述した通常のADB制御を行う。ステップS01の条件を満たさない場合とは、ヨーレートYRが-1deg/sec未満又は1deg/sec超を満たす場合である。ステップS02の条件を満たさない場合とは、撮像エリア40内に対向車100がすでに写った状態であると判定された場合である。ステップS03の条件を満たさない場合とは、撮像エリア40の左側領域40Lの左縁から左側領域40Lの内部に白色発光体が入ってきていない場合である。なお、撮像エリア40の左側領域40L及び右側領域40Rを通らずに中央領域40Cに白色発光体が写ったと判定される場合がある。この場合であっても、中央領域40Cの白色発光体は対向車100に備わる白色発光体ではないため、前照灯制御部6は、通常のADB制御を行う。ステップS04の条件を満たさない場合とは、白色発光体の数が1個の場合である。ステップS05の条件を満たさない場合とは、2個の白色発光体の重なり率が所定の値未満の場合である。
【0037】
ステップS06又はステップS07を実行すると、再びステップS01に戻る。
【0038】
〔作用効果〕
本形態の車両1は、第一判定部51によって白色発光体が入ってきたと判定されたら、前照灯制御部6によって前照灯2の配光パターンをハイビームの配光パターンからロービームの配光パターンにする。即ち、車両1は、白色発光体が何であるか、白色発光体を備える物体が対向車であるかどうかを判別することなく、ロービームの配光パターンにする。そのため、車両1は、入ってきた白色発光体を判別する時間を省略できるので、素早くロービームの配光パターンにすることができる。よって、車両1は、白色発光体が撮像エリア40の左右のいずれか一方の側縁から撮像エリア40内に急に入ってくるような路面であっても、白色発光体を備える物体、即ち対向車に対してハイビームの光を照射することを抑制できる。
【0039】
このように、車両1は、ロービームの配光パターンにするために白色発光体を判別しなくてもよいため、前照灯制御部6を簡易な構成とすることができる。よって、車両1は、コストが高くなり難いので、安価になり易い。
【0040】
車両1は、判定部によって白色発光体が入ってきたと判定されない限りは、前照灯2の配光パターンをハイビームの配光パターンのままとすることができる。そのため、所定の曲率を満たす路面の周辺が明るくて見易い。
【0041】
本発明は、これらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、第二判定部と第三判定部とは、なくてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 車両
2 前照灯、3 曲率取得部、4 撮像部
40 撮像エリア、40L 左側領域、40R 右側領域、40C 中央領域
5 ECU
51 第一判定部、52 第二判定部、53 第三判定部、54 第四判定部
6 前照灯制御部、7 白色発光体
100 対向車
L0 左側基準軸線、L1 第一左側線、L2 第二左側線
R0 右側基準軸線、R1 第一右側線、R2 第二右側線
H1 第一の長さ、H2 第二の長さ
h1 第一の線、h2 第二の線、h3 第三の線、h4 第四の線