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特開2022-117891半導体素子および半導体素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117891
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】半導体素子および半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/08 20100101AFI20220804BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20220804BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014662
(22)【出願日】2021-02-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、文部科学省、「省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(71)【出願人】
【識別番号】599002043
【氏名又は名称】学校法人 名城大学
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】奥野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】水谷 浩一
(72)【発明者】
【氏名】大矢 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】飯田 一喜
(72)【発明者】
【氏名】曽根 直樹
(72)【発明者】
【氏名】上山 智
(72)【発明者】
【氏名】竹内 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 素顕
(72)【発明者】
【氏名】赤▲崎▼ 勇
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA31
5F241CA05
5F241CA08
5F241CA12
5F241CA23
5F241CA40
5F241CA57
5F241CA65
5F241CB36
(57)【要約】
【課題】活性層に熱ダメージの少ない低温の条件において、ボイドおよび表面荒れを抑制して柱状半導体間を埋め込むこと。
【解決手段】埋込層形成工程は、ファセット構造形成工程、c面形成工程、平坦化工程の3段階の工程を有する。ファセット構造形成工程では、柱状半導体130の配列パターンと一致した周期的なファセット構造が形成されるように埋込層140を成長させる。c面形成工程では、埋込層140のうち柱状半導体130の上部に当たる領域に、{0001}面(上面140a)が形成されるように埋込層140を成長させる。平坦化工程では、埋込層140の横方向成長を促進させ、c面形成工程で形成したc面を広げることで、埋込層140の表面を平坦化する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に配列された複数の柱状半導体と、前記柱状半導体間を埋め込む半導体からなる埋込層とを有した半導体素子の製造方法において、
前記埋込層の形成工程は、
前記柱状半導体の配列パターンと一致する周期的なファセット構造の前記埋込層を成長させるファセット構造形成工程と、
前記ファセット構造形成工程よりも高温で前記埋込層を成長させることにより前記埋込層を横方向に成長させて前記埋込層を平坦化する平坦化工程と、を有する
ことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記ファセット構造形成工程における前記埋込層の成長温度は、900~950℃であり、
前記平坦化工程における前記埋込層の成長温度は、1000~1100℃である、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記ファセット構造形成工程後、前記平坦化工程前に、前記ファセット構造形成工程よりも高温で、かつ前記平坦化工程よりも低温で前記埋込層を成長させることにより、前記埋込層のうち前記柱状半導体の上部に当たる領域に{0001}面を形成するc面形成工程をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記c面形成工程における前記埋込層の成長温度は、950~1050℃である、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記ファセット構造は、前記埋込層表面を{0001}面に投影したときの前記埋込層表面の全面積に対する前記埋込層の{0001}面の面積の割合が、30%以下である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項6】
前記埋込層の形成工程における前記埋込層の成長圧力は、10k~100kPa、V/III は1000~5000、成長速度は5~50nm/minである、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記柱状半導体は、正方格子状または正三角格子状に配列されていて、前記柱状半導体の高さをH、柱状半導体間の距離をLとして、1.06×H-0.25≦L≦1.06×H+2を満たすようにHとLを設定する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
周期的に配列された複数の柱状半導体と、前記柱状半導体間を埋め込む埋込層とを有した半導体素子において、
前記埋込層表面には、貫通転位が前記柱状半導体の配列と同じ周期性で分布しており、前記柱状半導体の上部の領域の転位密度は、他の領域の転位密度と異なっている、
ことを特徴とする半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、半導体素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子は、活性層において正孔と電子とが再結合することにより発光する。従来、活性層として平坦なシート状の構造が用いられてきた。近年、柱状などの3次元的構造を有する活性層について研究されてきている。
【0003】
たとえば、特許文献1-3のように、半導体層を六角柱状のナノワイヤ(NW)とし、その六角柱を覆うように活性層を形成したコアシェル型の構造(multi-quantum shell;MQS)とした半導体発光素子が知られている。MQSでは、活性層の主たる面をm面とすることができる。m面とすると分極が生じず、量子閉じ込めシュタルク効果がないので、内部量子効率の向上が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-77817号公報
【特許文献2】特開2019-12744号公報
【特許文献3】特開2019-169735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ナノワイヤ構造の半導体素子では、ナノワイヤ間を半導体で隙間なく埋め込んで平坦化する必要がある。高温で半導体を成長させれば平坦に埋め込むことは可能であるが、活性層が熱ダメージを受けてしまう問題がある。一方で、熱ダメージを回避するために成長温度を低下させると、埋込層にボイド(空間)が形成されたり、表面に大きなピットが形成され、非常に荒れた表面となる問題がある。
【0006】
そこで本明細書の技術が解決しようとする課題は、周期的に配列された複数の柱状半導体と、柱状半導体間を埋め込む埋込層とを有した半導体素子について、柱状半導体への熱ダメージを抑制し、かつ埋込層のボイドや表面荒れを抑制することができる半導体素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の半導体素子の製造方法は、周期的に配列された複数の柱状半導体と、前記柱状半導体間を埋め込む埋込層とを有した半導体素子の製造方法である。埋込層の形成工程は、柱状半導体の配列パターンと一致する周期的なファセット構造の埋込層を成長させるファセット構造形成工程と、ファセット構造形成工程よりも高温で埋込層を成長させることにより埋込層を横方向に成長させて埋込層を平坦化する平坦化工程と、を有する。
【0008】
本開示の半導体素子の製造方法において、ファセット構造形成工程における埋込層の成長温度は、900~950℃であり、平坦化工程における埋込層の成長温度は、1000~1100℃であってもよい。
【0009】
本開示の半導体素子の製造方法において、ファセット構造形成工程後、平坦化工程前に、ファセット構造形成工程よりも高温で、かつ平坦化工程よりも低温で埋込層を成長させることにより、埋込層のうち柱状半導体の上部に当たる領域に{0001}面を形成するc面形成工程をさらに有していてもよい。
【0010】
本開示の半導体素子の製造方法において、c面形成工程における埋込層の成長温度は、950~1050℃であってもよい。
【0011】
本開示の半導体素子の製造方法において、ファセット構造は、埋込層表面を{0001}面に投影したときの埋込層表面の全面積に対する埋込層の{0001}面の面積の割合が、30%以下であってもよい。
【0012】
本開示の半導体素子の製造方法において、埋込層の形成工程における埋込層の成長圧力は、10k~100kPa、V/III は1000~5000、成長速度は5~50nm/minであってもよい。
【0013】
本開示の半導体素子の製造方法において、柱状半導体は、正方格子状または正三角格子状に配列されていて、柱状半導体の高さをH、柱状半導体130間の距離をLとして、1.06×H-0.25≦L≦1.06×H+2を満たすようにHとLを設定してもよい。
【0014】
また、本開示の半導体素子は、周期的に配列された複数の柱状半導体と、柱状半導体間を埋め込む埋込層とを有した半導体素子である。埋込層表面には、貫通転位が柱状半導体の配列と同じ周期性で分布しており、柱状半導体の上部の領域の転位密度は、他の領域の転位密度と異なっている。
【発明の効果】
【0015】
本明細書では、柱状半導体への熱ダメージを抑制しつつ、埋込層のボイドや表面荒れを抑制することができる半導体素子の製造方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態の半導体発光素子100の概略構成を示した斜視図。
図2】第1の実施形態の半導体発光素子100の断面を示した図。
図3】柱状半導体130の概略構成図。
図4図3のIV-IV 断面を示す断面図。
図5】柱状半導体130の配列を示した図。
図6】第1の実施形態の半導体発光素子の製造方法を説明するための図。
図7】第1の実施形態の半導体発光素子の製造方法を説明するための図。
図8】第1の実施形態の半導体発光素子の製造方法を説明するための図。
図9】第1の実施形態の半導体発光素子の製造方法を説明するための図。
図10】第1の実施形態の半導体発光素子の製造方法を説明するための図。
図11】第1の実施形態の半導体発光素子の製造方法を説明するための図。
図12】第1の実施形態の半導体発光素子の製造方法を説明するための図。
図13】第1の実施形態の半導体発光素子の製造方法を説明するための図。
図14】埋込層140のSEM像。
図15】埋込層140のSEM像。
図16】埋込層140表面を撮影したCL像。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、具体的な実施形態について、半導体発光素子を例に挙げて図を参照しつつ説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。また、後述する半導体発光素子の各層の積層構造および電極構造は、例示である。実施形態とは異なる積層構造であってもよい場合がある。そして、それぞれの図における各層の厚みの比は、概念的に示したものであり、実際の厚みの比を示しているわけではない。
【0018】
(第1の実施形態)
1.半導体発光素子
図1は、第1の実施形態の半導体発光素子100の概略構成を示す斜視図である。図2は、半導体発光素子100の断面を示した図である。図1、2に示すように、半導体発光素子100は、基板110と、マスク120と、柱状半導体130と、埋込層140と、カソード電極N1と、アノード電極P1と、を有する。また、図3は、柱状半導体130の構成を示した図である。
【0019】
基板110は、成長基板であり、マスク120と、柱状半導体130と、埋込層140と、を支持するためのものである。基板110は、導電性基板111と、n型半導体層112と、を有する。導電性基板111は、例えば、主面をc面とするn型GaN基板や、Si、SiCである。n型半導体層112は、例えば、n型GaN層である。これらは例示であり、上記以外の構造であってもよい。
【0020】
マスク120は、表面での半導体の成長を阻害する材料である。後述するように、マスク120には、貫通孔があいている。マスク120は、透明絶縁膜であるとよい。この場合には、マスク120は、光をほとんど吸収しない。電流は、マスク120を介さず、柱状半導体130に好適に流れる。マスク120の材質として例えば、SiO2 、SiNx 、Al2 3 が挙げられる。
【0021】
図1、2に示すように、柱状半導体130は、柱状のIII 族窒化物半導体である。柱状半導体130は、基板110の上に形成されている。より具体的には、柱状半導体130は、マスク120の開口部120aに露出する基板110の表面から選択成長させた半導体である。柱状半導体130は、六角柱形状をしている。柱状半導体130における中心軸方向に垂直な断面は、正六角形または扁平形状の六角形である。柱状半導体130は、正方格子状に配置されている。正方格子状以外にも、平行体格子、矩形格子、斜方格子、正三角格子、ハニカム状などの周期的配列であってもよい。
【0022】
柱状半導体130の配置は、n型半導体層112の結晶方位に沿った配置が好ましい。たとえば、柱状半導体130をウルツ鉱構造であるIII 族窒化物半導体の{0001}面に三角格子で配置する場合、その三角格子がIII 族窒化物半導体の任意の結晶方位と重なる、あるいは30°回転した関係で配置することが好ましい。一方、柱状半導体130を正方格子で配置する場合、その配列は2回対称となりIII 族窒化物半導体の{0001}面の対称性と異なる。その場合、正方格子の一辺をIII 族窒化物半導体の任意の結晶方位と合わせることが好ましい。このように柱状半導体130の配置をn型半導体層112の結晶方位に揃えることで、埋込層140の成長モードが安定する傾向となり、埋め込みしやすくなる傾向にある。もちろん、柱状半導体130の配置はn型半導体層の結晶方位とずれていてもよく、全く異なっていてもよい。
【0023】
埋込層140は、柱状半導体130と柱状半導体130との間の隙間を埋め込むための層である。埋込層140は、柱状半導体130を覆っている。埋込層140表面は平坦である。埋込層140の材料は、例えば、Siドープのn-GaNである。埋込層140を設けることにより光取り出し率の向上を図っている。
【0024】
カソード電極N1は、基板110の裏面(マスク120が設けられている側とは反対側の面)に形成されている。
【0025】
アノード電極P1は、埋込層140の上に形成されている。
【0026】
2.柱状半導体
柱状半導体130は、図3に示すように、柱状n型半導体131と、活性層132と、筒状p型半導体133と、トンネル接合層134とを有する。柱状n型半導体131の側面は、m面である。または、m面に近い面である。m面は非極性面である。そのため、活性層132において、ピエゾ分極による発光効率の低下がほとんどない。
【0027】
2-1.柱状半導体の構造
柱状n型半導体131は、マスク120の開口部120aに露出している基板110を起点に柱状に選択成長させた半導体層である。柱状n型半導体131は、六角柱形状をしている。この六角柱の軸方向に垂直な断面は、正六角形または扁平形状の六角形である。柱状n型半導体131は、実際には、横方向にも若干ではあるが成長する。そのため、柱状n型半導体131の太さは、マスク120の開口部120aの開口幅よりもやや大きい。柱状n型半導体131は、例えば、n型GaN層である。
【0028】
柱状n型半導体131の高さは、例えば、0.25μm以上5μm以下である。柱状n型半導体131の径は、例えば、50nm以上500nm以下である。ここで、径とは、柱状n型半導体131の六角形の外接円をとったときの外接円の直径である。柱状n型半導体131の間隔(隣接する柱状半導体130の中心間の距離)は、例えば、0.27μm以上5μm以下である。これらの数値は例示であり、上記以外の数値であってもよい。
【0029】
活性層132は、六角柱形状の柱状n型半導体131の外周に沿って形成されている。そのため、活性層132は、六角筒形状を備える。活性層132は、例えば、1個以上5個以下の井戸層と、井戸層を挟む障壁層と、を有する。活性層132の井戸層は、基板110の板面にほぼ垂直である。ただし、活性層132の頂部は、柱状n型半導体131の頂部を覆っていてもよい。活性層132の頂部は、基板110の板面にほぼ平行であってもよい。例えば、井戸層はInGaN層であり、障壁層はAlGaInN層である。
【0030】
筒状p型半導体133は、六角筒形状を備える活性層132の外周に沿って形成されている。そのため、筒状p型半導体133は、六角筒形状を備える。筒状p型半導体133は、活性層132と直接に接触するが、柱状n型半導体131と直接には接触しなくともよい。筒状p型半導体133は、例えば、p型GaN層である。活性層132と筒状p型半導体133の間に電子障壁層を設けてもよい。電子障壁層は、筒状p型半導体133よりもバンドギャップの大きなp型半導体である。たとえばp-AlGaInNである。電子障壁層を設けることにより電子を効率的に活性層132に注入することができ、発光効率を向上させることができる。
【0031】
トンネル接合層134は、筒状p型半導体133の外周に沿って形成されている。そのため、トンネル接合層134は、六角筒形状を備える。トンネル接合層134は、p+層135と、n+層136と、を有する。p+層135は、筒状p型半導体133とn+層136との間の位置にある。p+層135は、高いp型不純物濃度を有する層であり、例えばp-GaNである。p+層135のMg濃度は、例えば、2×1020cm-3である。n+層136は、高いn型不純物濃度を有する層であり、例えばn-GaNである。n+層136のSi濃度は、例えば、4×1020cm-3である。トンネル接合層134を設け、埋込層140をn-GaNとすることで導通を取ることができるようにしている。
【0032】
なお、トンネル接合層134を省いて埋込層140をp-GaNとした構造としてもよい。ただし、第1の実施形態のようにn-GaNとすれば、p-GaNとする場合よりも導電性を向上できる。
【0033】
2-2.断面形状
図4は、図3のIV-IV 断面を示す第1の断面図である。図4は、柱状半導体130における基板110の板面に平行な断面を示している。図4に示すように、柱状半導体130における軸方向に垂直な断面の形状は、正六角形である。そして、六角柱形状の柱状半導体130の内側から、柱状n型半導体131と、活性層132と、筒状p型半導体133と、トンネル接合層134が配置されている。なお、柱状半導体130における軸方向に垂直な断面の形状は、正六角形である必要はなく、扁平な六角形であってもよい。
3.埋込層の転位密度
埋込層140表面の転位密度は一様ではなく、分布を有している。埋込層表面には、貫通転位が柱状半導体130の配列と同じ周期性で分布しており、柱状半導体130の上部の領域(以下領域A)の転位密度は、他の領域(以下領域B)の転位密度と異なっている(図5参照)。領域Aの転位密度は、領域Bの転位密度に比べて2~2000倍程度高い。領域Aの転位密度は、たとえば1×109 ~2×1010cm-2であり、領域Bの転位密度は、たとえば1×107 ~5×108 cm-2である。
【0034】
埋込層140表面の転位密度がこのような分布を有している理由は以下の通りである。柱状半導体130の頂部(c面GaNに当たる領域)に形成される活性層132は結晶品質が低くなる傾向にある。そのため、柱状半導体130の頂部より貫通転位が高密度で形成される。一方、領域Bの貫通転位は、隣接する柱状半導体130から成長した埋込層140が合体するときに形成されるもの、もしくは柱状半導体130のm面に形成された活性層132で発生した貫通転位に起因する。埋込層140が横方向に成長し平坦化する過程で、m面の活性層132で発生した転位も横方向に伝搬していき、転位同士が対消滅する可能性が高い。あるいは、格子ミスマッチにより発生する転位や横方向に伝搬していく転位が元々少ない可能性もある。そのため、領域Bの貫通転位密度は、領域Aと比較して低くなる。
【0035】
4.半導体発光素子の製造方法
4-1.基板準備工程
図6に示すように、成長基板111を準備する。そして、成長基板111の上に、MOCVD法によってn型半導体層112を積層する。以下、半導体層の形成にはいずれもMOCVD法を用いている。
【0036】
4-2.マスク形成工程
図7に示すように、n型半導体層112の上にマスク120を形成する。なお、図7には、後述する開口部形成工程で形成される開口部120aが描かれている。
【0037】
4-3.開口部形成工程
図7に示すように、マスク120にn型半導体層112を露出させる複数の開口部120aを形成する。マスク120のパターニングは、たとえばナノインプリントを用いる。開口部120aの直径は、たとえば100~500nmである。図8は、マスク120の開口部120aの配列を示す図である。図8は、基板110の板面に垂直な方向から基板110を視た図である。図8には、参考のために、柱状半導体130の形状が破線で描かれている。図8に示すように、マスク120の開口部120aが円形で正方格子状に配列されている。
【0038】
なお、マスク120の開口部120aの形状を変えることで、柱状半導体130の形状を制御することができる。開口部120aの形状が円形の場合には、正六角形に近い断面形状を有する柱状半導体130を形成することができる。開口部120aの形状がオーバル形状の場合には、扁平形状に近い断面形状を有する柱状半導体130を形成することができる。
【0039】
4-4.柱状半導体形成工程
図9に示すように、マスク120の開口部120aの下に露出しているn型半導体層112を起点にして、六角柱形状の柱状n型半導体131を選択的に成長させる。そのために、公知の選択成長の技術を用いればよい。このように半導体層を選択成長させる場合に、m面がファセットとして表出しやすい。
【0040】
前述したように、マスク120の開口部120aが円形形状であるため、断面が正六角形に近い六角柱形状の柱状n型半導体131が成長する。
【0041】
次に、柱状n型半導体131の周囲に活性層132を形成する。活性層132は、断面が正六角形に近い形状の柱状n型半導体131の側面に形成される。また、活性層132が柱状n型半導体131の頂部にも形成される。
【0042】
次に、活性層132の上に活性層132の外周を覆う筒状p型半導体133を形成する。筒状p型半導体133は六角筒形状を備える。筒状p型半導体133は、活性層132の側面に形成される。筒状p型半導体133が活性層132の頂部にも形成される。
【0043】
次に、筒状p型半導体133の上に筒状p型半導体133を覆うp+層135を形成し、さらにp+層135を覆うn+層136を形成する。これによりトンネル接合層134を形成する。トンネル接合層134は、筒状p型半導体133の側面に形成される。トンネル接合層134が筒状p型半導体133の頂部にも形成される。このようにして、柱状半導体130が形成される。
【0044】
4-5.埋込層形成工程
次に、柱状半導体130と柱状半導体130との隙間を埋込層140で埋める。埋込層形成工程は、ファセット構造形成工程、c面形成工程、平坦化工程の3段階の工程を有する。
【0045】
まず、図10に示すように、ファセット構造形成工程では、柱状半導体130の配列パターンと一致した周期的なファセット構造が形成されるように埋込層140を成長させる。つまり、埋込層140の表面が傾斜面140aが支配的となるように成長させ、基板110に平行な面や垂直な面が極力出ないように成長させる。この段階での埋込層140の形状は、たとえば、角錐状の形状が柱状半導体130の配列と同じパターンで連続的に連なった形状であり、その角錐内部に柱状半導体130を内包する。傾斜面140aは、{10-10}面(m面)が傾斜した面である{10-1x}面(ここでxは1以上の自然数)であり、主として{10-11}面である。
【0046】
このようなファセット構造の形成は、成長条件の制御によって可能となる。たとえば、成長温度を900~950℃、成長圧力を10k~100kPa、V/III を1000~5000、成長速度を5~50nm/minとすることで周期構造に沿ったファセット構造の形成が可能となる。
【0047】
ファセット構造は、たとえば埋込層140表面を{0001}面に投影したときの埋込層140表面の全面積に対する埋込層140の{0001}面の面積の割合が、30%以下である構造である。{0001}面は、(0001)面(+c面)、または(000-1)面(-c面)である。
【0048】
ファセット構造形成工程では、柱状半導体130の高さHが大きい場合や柱状半導体130間の距離L(一方の柱状半導体130の中心と隣接する他方の柱状半導体130の中心との距離)が近い場合には、埋込層140が成長するにつれて原料ガスが下部まで十分に到達しにくくなり、その領域に埋込層140のボイド160が発生する可能性がある。特に、ファセット構造の形成直後の段階において、一方のファセット構造の傾斜面140aと、隣接する他方のファセット構造の傾斜面とがマスク120よりも上部で交差する場合にその交差部においてボイド160が発生しやすくなる(図11参照)。そこで、高さHと距離Lは、次の式を満たすように設定することが好ましい。
1.06×H-0.25≦L≦1.06×H+2
この式を満たすように高さHと距離Lを設定すれば、図10に示すように、ファセット構造の形成直後の段階において、一方のファセット構造の傾斜面と、隣接する他方のファセット構造の傾斜面とがマスク120よりも上部で交差しない、もしくは表面近傍で交差するようになり、ボイド160の発生を抑制することができる。なお、この式は、主に形成される傾斜面である{10-11}面と(0001)面(c面)との成す角度約62°を元にして、上記の条件を満たす場合を計算することにより導出したものである。式中の下限については、ボイド160が形成されたとしても許容できる小ささとなる範囲を考慮している。また、上限については、柱状半導体130間の埋め込みの容易さを考慮している。つまり、柱状半導体130間の距離が大きいと埋め込むべき体積が増加し、平坦化が難しくなるので、平坦化が容易となる柱状半導体130間の距離を考慮している。
より好ましくは次の式を満たすように設定することである。
1.06×H-0.15≦L≦1.06×H+1.5
さらに好ましくは次の式を満たすように設定することである。
1.06×H≦L≦1.06×H+1
【0049】
隣接するファセット構造同士が接し始めたら、次のc面形成工程に移行する。c面形成工程では、図12に示すように、埋込層140のうち柱状半導体130の上部に当たる領域に、{0001}面(上面140b)が形成されるように埋込層140を成長させる。この段階での埋込層140の形状は、たとえば、角錐台状の形状が柱状半導体130の配列と同じパターンで連続的に連なった形状であり、その角錐台内部に柱状半導体130を内包する形状である。ファセット構造形成工程で形成した傾斜面140aを有する周期的な構造を維持しながら埋込層140が成長していくため、埋込層140中にボイドを発生させることなく隙間なく柱状半導体130間を埋め込んで行くことができる。周期的な構造を維持せずに面内でランダムに埋め込みが進行すると、ボイドの発生や激しい凹凸を有した表面となってしまう。成長モードが面内で均一にならないと、このような周期的な構造を維持できなくなる。
【0050】
このような{0001}面の形成は、成長条件の制御によって可能となる。たとえば、成長温度を950~1050℃、成長圧力を10k~100kPa、V/III を1000~5000、成長速度を5~50nm/minとすることでc面の形成が可能である。成長温度のみを変更してファセット構造形成工程からc面形成工程に移行してもよい。また、ファセット構造形成工程からc面形成工程に移行するとき、成長温度は連続的に上げていくのではなく、段階的に上げることが好ましい。成長モードが段階的に変化することで周期的な構造を維持したまま成長が進行し、ボイドをより抑制することができ、埋め込みもより容易となり、平坦性も良好となる。
【0051】
ファセット構造形成工程からc面形成工程への移行は、たとえば埋込層140表面を{0001}面に投影したときの埋込層140表面の全面積に対する埋込層140の{0001}面の面積の割合が、30%よりも大きくなったら行うとよい。
【0052】
{0001}面の面積が十分に広くなったら、次の平坦化工程に移行する。平坦化工程では、図13に示すように、埋込層140の横方向成長を促進させ、c面形成工程で形成したc面を広げることで、埋込層140の表面を平坦化する。周期的な構造を維持したまま、ファセット構造同士が同時に合体して、柱状半導体130間を埋めていくように埋込層140を成長させる。傾斜面を有する周期的な構造を維持しながら埋込層140が成長していくため、埋込層140中にボイドを発生させることなく隙間なく柱状半導体130間を埋め込むことができる。また、同時にファセット構造同士が合体していくため、埋込層140表面を均一に平坦化することができる。
【0053】
c面形成工程から平坦化工程への移行は、たとえば埋込層140表面を{0001}面に投影したときの埋込層140表面の全面積に対する埋込層140の{0001}面の面積の割合が、70%以上となったら行うとよい。
【0054】
隣接するファセット構造同士の合体により、格子ミスマッチが発生する場合がある。また、埋込層140が横方向に成長し平坦化する過程で転位も横方向に伝搬し、転位同士が対消滅する確率が高い。あるいは、格子ミスマッチにより発生する転位や横方向に伝搬していく転位が元々少ない可能性もある。そのため、埋込層140表面の転位密度は、柱状半導体130の上部の領域Aに比べて他の領域Bの方が低くなる。
【0055】
埋込層140は、柱状半導体130の正方格子の配列における面心(正方格子の中央)に向かって横方向成長するため、貫通転位も面心に向かって伝搬していき、対消滅せずに残った貫通転位は面心に集まる。そのため、埋込層140表面の貫通転位は正方格子の面心に分布しやすい。三角格子の配列の場合も同様で、三角格子の面心に貫通転位が分布しやすい。
【0056】
埋込層140の平坦化に要する埋込層140の厚さ(最も厚い部分)は、柱状半導体130の高さHに依存するが、たとえば1~5μmである。以上のようにして埋込層140を形成する。
【0057】
このような埋込層140の平坦化は、成長条件の制御によって可能となる。たとえば、成長温度を1000~1100℃、成長圧力を10k~100kPa、V/III を1000~5000、成長速度を5~50nm/minとすることでc面の形成が可能である。成長温度のみを変更してc面形成工程から平坦化工程に移行してもよい。c面形成工程から平坦化工程に移行するとき、成長温度は連続的に上げていくのではなく、段階的に上げることが好ましい。成長モードが段階的に変化することで周期的な構造を維持したまま成長が進行し、ボイドをより抑制することができ、埋め込みもより容易となり、平坦性も良好となる。
【0058】
なお、c面形成工程を省略してファセット構造形成工程から平坦化工程に直接移行してもよい。
【0059】
埋込層140にはボイド160が形成されていてもよいが、柱状半導体130間に形成されるボイド160の高さはマスク120表面から好ましくは柱状半導体130の高さの30%以下、さらに好ましくは20%以下であればよい。レーザーダイオードの場合、上記のようなボイド160が形成されていたとしても定在波の形成への悪影響が少ない。LEDにおいてはボイド160の形成を一様に制御することで光取り出し効率を制御することも可能である。
【0060】
このように、第1の実施形態では、1100℃以下という従来よりも低い温度であっても、ボイドを発生させることなく柱状半導体130間を埋め込むことができ、かつ平坦な表面の埋込層140を形成することができる。また、従来はボイドなく平坦化するために1100℃よりも高温で埋込層140を形成しており、活性層132が熱ダメージを受けていたが、第1の実施形態では1100℃以下で低温かつ段階的に成長温度を上昇させるため、平均して従来よりも活性層132への熱ダメージを抑制することができる。
【0061】
4-6.電極形成工程
次に、基板110の裏面にカソード電極N1を形成する。また、埋込層140の上にアノード電極P1を形成する。以上によって図1、2に示す第1の実施形態の半導体発光素子100が製造される。
【0062】
4-7.その他の工程
熱処理工程、半導体層の表面にパッシベーション膜等を成膜する工程、またはその他の工程を実施してもよい。
【0063】
5.第1の実施形態の効果
第1の実施形態では、柱状半導体130間を埋込層140によって隙間なく平坦に埋め込むことができ、かつ活性層132への熱ダメージも抑制することができる。
【0064】
6.変形例
6-1.半導体発光素子の素子構造
本実施形態では、基板110の裏面にカソード電極N1を設けて基板110主面に垂直に導通を取る縦型の構造としているが、アノード電極P1と同じ側にカソード電極N1を設けるフリップチップ型やフェイスアップ型の素子構造としてもよい。その場合、埋込層140上面側からエッチングしてn型半導体層112を露出させ、その露出したn型半導体層112の上にカソード電極N1を形成すればよい。
【0065】
6-2.柱状半導体の組成
本実施形態では、柱状n型半導体131はn型GaN層であり、井戸層はInGaN層であり、障壁層はAlGaInN層であり、筒状p型半導体133はp型GaN層である。これらは例示であり、その他のIII 族窒化物半導体であってもよい。また、その他の半導体であってもよい。
【0066】
6-3.表面層
埋込層140表面には光取り出しのために複数の凸部を設けてもよい。また、埋込層140の上に表面層を設けてもよいし、その表面層上に複数の凸部を設けてもよい。表面層は、例えば、埋込層140とドープ量の異なるn-GaN層である。また、表面層の材質は、ITO、IZO等の透明導電性酸化物であってもよい。凸部の配列は、たとえばハニカム状や正方格子状である。また、凸部に替えて凹部を設けてもよい。
【0067】
6-4.埋込層の組成
本実施形態では、埋込層140の材料は、n-GaN層である。しかし、埋込層140としてn-GaN層の代わりにn-AlGaN層を用いることができる。n-GaNとn-AlGaNを組み合わせてもよい。レーザーダイオードの場合、n-GaN上にn-AlGaNを形成することで屈折率差により光閉じ込めを高めることが可能となる。
【0068】
6-5.埋込層のドーパント
本実施形態では、埋込層140のn型ドーパントとしてSiを用いているが、Siに限るものではない。ただし、本実施形態は埋込層140をSiドープのn型とする場合に効果が大きい。Siは縦方向成長を促進させるサーファクタントとして作用し、縦方向成長が強いと埋込層140にボイドが発生しやすく、表面も荒れやすい。そこで本実施形態のように、成長モードをファセット構造形成工程、c面形成工程、平坦化工程の3段階に制御すれば、Siドープの場合であっても、ボイドが抑制され表面荒れの少ない埋込層140を安定して得られるようになる。また、Mgをドーパントとして用いた場合は、横方向成長が促進されるため、より平坦な埋込層140が得られやすくなる。
【0069】
6-6.柱状半導体の電流阻止層
柱状半導体130の側面からの電流注入を促進させることが好ましい。例えば、柱状半導体130の頂部に透明絶縁膜を設ける。これにより、柱状半導体130の頂部に流れる電流が阻止され、柱状半導体130の側面から良好に電流注入を行うことができる。
【0070】
6-7.凹凸加工基板
LEDとして用いる場合には、基板110の成長基板111は、凹凸加工を施されていてもよい。つまり、成長基板111は、半導体層側の面に凹凸を周期的に配置された凹凸形状部を有する。凹凸形状として、例えば、円錐形状、半球形状が挙げられる。これらの凸形状が、例えば、正方格子状またはハニカム状に配置されているとよい。これにより、光取り出し効率がさらに向上する。
【0071】
6-8.他の半導体素子への適用
第1の実施形態は半導体発光素子であったが、周期的に配列された複数の柱状半導体と、柱状半導体間を埋め込む埋込層とを有した構造であれば、発光素子以外の素子にも適用できる。たとえば、太陽電池など受光素子にも適用できる。
【0072】
6-9.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0073】
7.実験結果
第1の実施形態の半導体発光素子100に関する各種実験結果について説明する。
【0074】
図14は、埋込層140の形成工程において、埋込層140の形状を撮影したSEM像である。図14(a)は、ファセット構造形成工程の段階において撮影した平面SEM像であり、図14(b)は断面SEM像である。また、図14(c)は、c面形成工程の段階において撮影した平面SEM像であり、図14(d)は断面SEM像である。また、図14(e)は、平坦化工程後に撮影した平面SEM像であり、図14(f)は断面SEM像である。
【0075】
図14(a)、(b)のように、ファセット構造形成工程の段階では、ファセット構造が柱状半導体130の正方格子の配列と同じ配列パターンで周期的に形成されていることがわかる。また、図14(c)、(d)のように、c面形成工程の段階では、柱状半導体130の上部のc面領域が拡大していることがわかる。また、図14(e)、(f)のように、ごく一部に平坦化できていない領域が存在するものの、大部分の領域は平坦化できていることがわかり、埋込層140中のボイドの発生を抑制できていることがわかる。
【0076】
図15は、柱状半導体130の配列パターンを正方格子から正三角格子に変更した場合の、埋込層140の形状を撮影したSEM像である。図15(a)は、ファセット構造形成工程の段階において撮影した平面SEM像であり、図15(b)は断面SEM像である。また、図15(c)は、c面形成工程の段階において撮影した平面SEM像であり、図15(d)は断面SEM像である。また、図15(e)は、平坦化工程後に撮影した平面SEM像であり、図15(f)は断面SEM像である。
【0077】
図15(a)、(b)のように、ファセット構造形成工程の段階では、ファセット構造が柱状半導体130の正三角格子の配列と同じ配列パターンで周期的に形成されていることがわかる。また、図15(c)、(d)のように、c面形成工程の段階では、柱状半導体130の上部のc面領域が拡大していることがわかる。また、図15(e)、(f)のように、ごく一部に平坦化できていない領域が存在するものの、大部分は平坦化できていることがわかり、埋込層140中のボイドの発生を抑制できていることがわかる。
【0078】
図16は、埋込層140形成後の埋込層140表面を撮影したCL像である。図16中、円で示した領域がマスク120の開口部120aの上部領域であり、柱状半導体130の上部の領域である。図16において暗点が貫通転位である。
【0079】
図16のように、埋込層140のうち、柱状半導体130が位置する領域は、それ以外の領域に比べて転位密度が高くなっていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本明細書の半導体素子は、レーザーダイオードやLEDなどの発光素子、太陽電池などの受光素子として利用できる。
【符号の説明】
【0081】
100…半導体発光素子
110…基板
111…導電性基板
112…n型半導体層
120…マスク
120a…開口部
130…柱状半導体
131…柱状n型半導体
132…活性層
133…筒状p型半導体
134…トンネル接合層
140…埋込層
N1…カソード電極
P1…アノード電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16