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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117921
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】着色剤含有コアシェル粒子
(51)【国際特許分類】
   C08F 265/06 20060101AFI20220804BHJP
   C08L 51/00 20060101ALI20220804BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20220804BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20220804BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20220804BHJP
   C09D 7/41 20180101ALI20220804BHJP
【FI】
C08F265/06
C08L51/00
C08K5/10
C08F2/44 Z
C09D5/02
C09D7/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130443
(22)【出願日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2021014230
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(72)【発明者】
【氏名】今泉 洋平
(72)【発明者】
【氏名】泉 啓子
(72)【発明者】
【氏名】坂元 芳峰
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J026
4J038
【Fターム(参考)】
4J002BN121
4J002EH036
4J002GH01
4J002HA07
4J011AA05
4J011AC03
4J011DA01
4J011DB12
4J011KA10
4J011KB13
4J011PA43
4J011PA49
4J011PB24
4J011PB25
4J011PC02
4J011PC06
4J026AA17
4J026AA45
4J026AA46
4J026BA27
4J026BB04
4J026DA04
4J026DA13
4J026DB04
4J026DB13
4J026DB24
4J026DB29
4J026FA04
4J026GA01
4J026GA02
4J026GA08
4J026GA09
4J038CG142
4J038CH032
4J038KA08
4J038KA21
4J038MA03
4J038MA10
4J038MA13
4J038MA14
4J038NA25
4J038NA27
(57)【要約】
【課題】本発明は、水性媒体への優れた分散安定性を有すると共に、塗膜形成時の耐候性を有する塗料に用いることができる着色剤含有コアシェル粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】
着色剤および重合体Aを含むコアと、可視光吸収材料および重合体Bを含むシェルを有するコアシェル粒子である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が10nm以上200nm以下であり、着色剤および重合体Aを含むコアと、可視光吸収材料および重合体Bを含むシェルを有するコアシェル粒子。
【請求項2】
前記着色剤が染料である請求項1に記載のコアシェル粒子。
【請求項3】
前記染料の水1000gに対する室温(23℃)での溶解度が10g未満である請求項2に記載のコアシェル粒子。
【請求項4】
前記重合体Aおよび/又は重合体Bが(メタ)アクリル系重合体である請求項1~3のいずれかに記載のコアシェル粒子。
【請求項5】
脂肪酸エステルを含有する請求項1~4のいずれかに記載のコアシェル粒子。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のコアシェル粒子を含む水性分散体。
【請求項7】
請求項6に記載の水性分散体を含む車両用塗料。
【請求項8】
下記(1)~(3)の工程経て得られるコアシェル粒子の製造方法。
(1)着色剤、単量体A、脂肪酸エステル、ノニオン性界面活性剤および水性媒体を混合し、得られた混合物を攪拌下で当該混合物の転相開始温度以上であって水性媒体の沸点未満の温度に加熱した後、前記混合物を当該混合物の転相開始温度よりも低い温度に冷却する工程1、
(2)工程1の後に単量体Aを重合させる工程2、
(3)工程2の後に可視光吸収剤および単量体Bを添加し、単量体Bを重合させる工程3
【請求項9】
前記工程1においてノニオン性界面活性剤を用いる請求項8に記載のコアシェル粒子の製造方法。
【請求項10】
前記ノニオン性界面活性剤を、着色剤、単量体A、脂肪酸エステル、ノニオン性界面活性剤の合計量100質量部に対し1質量部以上60質量部以下用いる請求項8または9に記載のコアシェル粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色剤含有コアシェル粒子に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、塗料、コーティング剤などの用途に有用な着色剤含有コアシェル粒子含有水性分散体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護、作業上の安全衛生の観点から、塗料、コーティング剤において無公害化が望まれ、溶剤型塗料の水性化が行われつつある。しかしながら特に屋外で使用される塗料に用いられる着色剤の多くは、水に溶解し難くその作成は容易ではない。
【0003】
例えば特許文献1にはガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とする樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂粒子と、カチオン性基含有有機高分子化合物と、塩基と、水性媒体とを含んでなる樹脂分散体において、前記樹脂粒子がカチオン性基含有有機高分子化合物により被覆されていることを特徴とする樹脂分散体が記載されている。
【0004】
特許文献2には色材と樹脂を含有する着色微粒子の水性分散体において、該色材と樹脂の溶解性パラメータ(SP値)の差が4.0(J/cm1/2以内であることを特徴とする着色微粒子の水性分散体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2016/185857
【特許文献2】特開2003-221533
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水性媒体を用いた塗料、コーティング剤において、分散安定性が求められると共に屋外で用いる際には耐候性、特に塗膜の着色劣化を低減し、塗膜形成時の美観を長期間維持できる塗料が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、水性媒体への優れた分散安定性を有すると共に、塗膜形成時の耐候性を有する塗料に用いることができる着色剤含有コアシェル粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、上記のような問題点に鑑み検討を行い、着色剤および重合体Aを含むコアと、可視光吸収材料および重合体Bを含むシェルを有するコアシェル粒子が優れた分散安定性、耐候性に有効であることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水性媒体への優れた分散安定性を有すると共に、塗膜形成時の耐候性を有する塗料に好ましく使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
なお、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。
[コアシェル粒子]
本発明におけるコアシェル粒子は、着色剤および重合体Aを含むコア(以下コア層またはコア部ともいう)と、可視光吸収材料および重合体Bを含むシェル(以下シェル層またはシェル部ともいう)を有することを特徴としている。本発明におけるコアシェル粒子は、コア層とシェル層以外の1または2以上の層をさらに有していても良い。
【0012】
本開示のコアには、着色剤および重合体を含む。
【0013】
本開示の着色剤としては、例えば、油溶性フタロシアニン系近赤外吸収色素、油溶性アゾ系赤色染料、油溶性クロム錯塩染料、油溶性アントラキノン系染料、油溶性ペリレン系染料などの油溶性染料などの油溶性着色剤、および可視光波長領域に吸収を有する油溶性紫外線吸収剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの着色剤成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0014】
本開示の重合体Aとは、下記単量体Aに由来する構造を有する重合体である。
単量体Aとしては、単官能単量体および多官能単量体が挙げられる。単官能単量体および多官能単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0015】
単官能単量体としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合含有単量体が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0016】
エチレン性不飽和二重結合含有単量体としては、着色剤をコアに含有する観点から、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、酸基含有単量体、水酸基含有(メタ)アクリレート、ピペリジル基含有単量体、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体、窒素原子含有単量体、エポキシ基含有単量体、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シラン基含有単量体、カルボニル基含有単量体、アジリジニル基含有単量体、スチレン系単量体、アラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのエチレン性不飽和二重結合含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0017】
本開示の単量体Aとしては、単量体の選択制、塗膜にした際の透明性の観点から、アルキル基の炭素数が1~12であるアルキル(メタ)アクリレート、およびスチレン系単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体を用いることが好ましい。
【0018】
アルキル基の炭素数が1~12であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本発明においては、前記アルキル(メタ)アクリレートは、脂環構造を有する(メタ)アクリレートを包含する概念のものである。
【0019】
前記アルキル(メタ)アクリレートのなかでは、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、炭素数が2~10であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、炭素数が4~8であるアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン、tert-メチルスチレン、o-tert-ブチルスチレン、m-tert-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレンなどのアルキル基の炭素数が1~4であるアルキルキルスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-エトキシスチレン、m-エトキシスチレン、p-エトキシスチレン、o-tert-ブトキシスチレン、m-tert-ブトキシスチレン、p-tert-ブトキシスチレンなどのアルコキシ基の炭素数が1~4であるアルコキシスチレン、o-フルオロスチレン、m-フルオロスチレン、p-フルオロスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、o-ブロモスチレン、m-ブロモスチレン、p-ブロモスチレンなどのハロゲン原子含有スチレン、o-アセトキシスチレン、m-アセトキシスチレン、p-アセトキシスチレンなどのアセトキシスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。スチレン系単量体のなかでは、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、スチレンおよびアルキル基の炭素数が1~4であるアルキルキルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
【0021】
スチレン系単量体は、ベンゼン環にニトロ基、ニトリル基、アルコキシル基、アシル基、スルホン基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子などの置換基が存在していてもよい。
【0022】
コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびスチレンからなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体が好ましく、微細粒子径を有するコアシェル粒子を含有する水性分散体を得る観点から、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体がより好ましく、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0023】
コアシェル粒子含有水性分散体に用いる単量体Aとしては、アルキル基の炭素数が1~12であるアルキル(メタ)アクリレートおよびスチレン系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよく、シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよび/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが必須成分として用いられており、n-ブチル(メタ)アクリレートおよびイソブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体が任意で用いられていることがさらに好ましく、コアシェル粒子中への着色剤の含有安定性を向上させる観点から、単量体Aの成分の一部としてメチル(メタ)アクリレートを含有していることが特に好ましい。
【0024】
前記単量体Aは、単量体A100質量%に対して、アルキル基の炭素数が1~12であるアルキル(メタ)アクリレートを合計で40質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上含むことがより好ましく、60質量%以上含むことがさらに好ましい。また、前記単量体Aは、単量体A100質量%に対する、アルキル基の炭素数が1~12であるアルキル(メタ)アクリレートの含有量が合計で99質量%以下であることが好ましく、97質量%以下であることがより好ましく、95質量%以下であることがさらに好ましい。上記範囲とすることにより、コーティング剤などとして使用したときに、塗膜の透明性が向上する傾向にある。
【0025】
前記単量体Aは、単量体A100質量%に対して、スチレン系単量体を合計で0質量%以上含むことが好ましく、1質量%以上含むことがより好ましく、3質量%以上含むことがさらに好ましい。また、前記単量体Aは、単量体A100質量%に対する、スチレン系単量体の含有量が合計で60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。上記範囲とすることにより、コーティング剤などとして使用したときに、塗膜の透明性が向上する傾向にある。
本開示の単量体Aとしては、着色剤の含有安定性を向上させる観点から、単量体Aの成分の一部として構造中に2つ以上のラジカル重合基を有する多官能(メタ)アクリレートを含有していることが好ましい。
【0026】
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリアリルシアヌレート(シアヌル酸トリアリル)、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミンなどの炭素数9~20のトリアリル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの炭素数1~10の多価アルコールのジ(メタ)アクリレート;エチレンオキシドの付加モル数が2~50のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシドの付加モル数が2~50のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの炭素数2~4のアルキレンオキシド基の付加モル数が2~50であるアルキルジ(メタ)アクリレート;エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレートなどの炭素数1~10の多価アルコールのトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの炭素数1~10の多価アルコールのテトラ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(モノヒドロキシ)ペンタ(メタ)アクリレートなどの炭素数1~10の多価アルコールのペンタ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの炭素数1~10の多価アルコールのヘキサ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0027】
本開示の単量体Aとしては、着色剤の導入量を向上させる観点から、単量体Aの成分の一部として窒素原子含有単量体を含有していることが好ましい。
【0028】
窒素原子含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-モノメチル(メタ)アクリルアミド、N-モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの窒素原子含有エチレン性不飽和単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよいが、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点からN-ビニルピロリドンが好ましい。
【0029】
本開示の単量体Aの含有率は、微細粒子径を有するコアシェル粒子を含有する水性分散体を得る観点から、コアシェル粒子含有水性分散体中の固形分100質量部に対して好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに一層好ましくは12質量%以上であり、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0030】
本開示の着色剤成分の含有率は、当該着色剤成分の種類によって異なることから一概には決定することができないが、当該着色剤成分が有する性質を十分に発現させる観点から、コアシェル粒子100質量部に対して、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、さらに一層好ましくは0.5質量%以上であり、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらに一層好ましくは25質量%以下である。したがって、単量体成分における親油性有効成分の含有率は、好ましくは0.03~50質量%、より好ましくは0.1~50質量%、より一層好ましくは0.3~40質量%、さらに好ましくは0.4~30質量%、さらに一層好ましくは0.4~25質量%である。
【0031】
本開示の重合体Aの含有率は、着色剤の分散安定性の観点から、コアシェル粒子100質量部に対して、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、さらに一層好ましくは0.5質量%以上であり、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらに一層好ましくは25質量%以下である。したがって、単量体成分における親油性有効成分の含有率は、好ましくは0.03~50質量%、より好ましくは0.1~50質量%、より一層好ましくは0.3~40質量%、さらに好ましくは0.5~30質量%、さらに一層好ましくは0.5~25質量%である。
【0032】
本開示のコア粒子は前記着色剤と重合体Aの他に、可視光吸収材料や紫外線安定剤(可視光波長領域に吸収を有する油溶性紫外線吸収剤を除く)、脂肪酸エステル、界面活性剤などの後述の化合物や、酸化防止剤や重合開始剤等その他の化合物を有していてもよく、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0033】
本開示のコアシェル粒子における着色剤と重合体Aの質量比は1/99~30/70が好ましく、2/98~25/75がより好ましく、3/97~20/80がさらに好ましい。
【0034】
本開示のコアシェル粒子に用いる脂肪酸エステルとしては、脂肪酸と一価のアルコールとのエステルであることが好ましい。脂肪酸エステルを形成する脂肪酸残基の炭素数は1~25の脂肪酸であってもよく、一価アルコール由来のアルキルエステル部の炭素数は5~25であっても良い。
【0035】
本開示の脂肪酸エステルは、炭素数が15以上である脂肪酸エステルであってよく、具体的には脂肪酸残基の炭素数が15以上であっても、アルキルエステル部の炭素数が15以上であってもよく、化合物全体の炭素数が15以上であることがより好ましい。炭素数が15以上である脂肪酸エステルの炭素数の下限値は、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、15以上、好ましくは18以上、より好ましくは21以上、さらに好ましくは23以上であり、その上限値は、特に限定されないが、原料の入手が容易であることから、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは40以下である。
【0036】
炭素数が15以上である脂肪酸エステルは、重合性不飽和二重結合を有していてもよい。当該重合性不飽和二重結合を有する炭素数が15以上である脂肪酸エステルは、重合性不飽和二重結合を有しているが、本明細書中では前記単官能単量体には含まない。
【0037】
炭素数が15以上である脂肪酸エステルとしては、例えば、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、2-デシルテトラデシル(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和二重結合を有するアルキルエステル部の炭素数が14以上である脂肪酸エステル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリルなどのアルキルエステル部の炭素数が14以上である脂肪酸エステル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸2-エチルヘキシルなどの炭素数14以上のアルキル基を有する脂肪酸エステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの脂肪酸エステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。炭素数が15以上である脂肪酸エステルのなかでは、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、アルキルエステル部の炭素数が14以上である脂肪酸エステルが好ましく、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリルがより好ましい。
【0038】
本開示のコアシェル粒子含有水性分散体中の固形分100質量部中に含まれる脂肪酸エステルとしては、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、3.5質量部以上が特に好ましく、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
【0039】
本開示の脂肪酸エステルはコアシェル粒子のコアに含有することが好ましく脂肪酸エステルの含有量は、微細粒子径を有するコアシェル粒子を含有する水性分散体を得る観点から、コアを形成する化合物の合計100質量部に対し、3質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、6質量部以上が特に好ましく、20質量部以下が好ましく、19質量部以下がより好ましく、18質量部以下がさらに好ましく、17質量部以下が特に好ましい。
【0040】
本開示のコアシェル粒子は、界面活性剤を用いて水性溶媒に分散しても良く、その際のコアシェル粒子は、界面活性剤を含んでいても良い。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤などが挙げられ、これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよいが、微細粒子径を有するコアシェル粒子を含有する水性分散体を得る観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0041】
本開示のノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合生成物、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0042】
本開示の界面活性剤の含有量は、微細粒子径を有するコアシェル粒子を含有する水性分散体を得る観点から、コアシェル粒子含有水性分散体中の固形分100質量部に対して、下限値は5質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましく、7質量部以上がさらに好ましく、8質量部以上が特に好ましく、微細粒子径を有するコアシェル粒子を含有する水性分散体を得る観点から、上限値は60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
【0043】
本開示の重合体Aの重量平均分子量は、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、5万以上が好ましく、10万以上がより好ましく、15万以上がさらに好ましく、上限値は、架橋構造を有する場合、その重量平均分子量を測定することが困難なため、特に限定されないが、架橋構造を有しない場合には、造膜性を向上させる観点から、500万以下であることが好ましい。
【0044】
本開示の重合体Aのガラス転移温度は、着色剤の含有安定性を向上させる観点から、-40℃以上が好ましく、-30℃以上がより好ましく、-20℃以上がさらに好ましく、塗膜とする際の造膜性の観点から、120℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましい。
【0045】
重合体Aのガラス転移温度は、当該重合体を構成する単量体成分に使用されている単量体の単独重合体のガラス転移温度を用いて、式(I):
1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100 (I)
〔式中、Wmは重合体を構成する単量体成分における単量体mの含有率(質量%)、Tgmは単量体mの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求められた温度を意味する。
【0046】
なお、特殊単量体、多官能単量体などのようにガラス転移温度が不明の単量体については、単量体成分における当該ガラス転移温度が不明の単量体の合計量が質量分率で10質量%以下である場合、ガラス転移温度が判明している単量体のみを用いてガラス転移温度が求められる。単量体成分におけるガラス転移温度が不明の単量体の合計量が質量分率で10質量%を超える場合には、重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量分析(DSC)、示差熱量分析(DTA)、熱機械分析(TMA)などによって求められる。
【0047】
重合体のガラス転移温度は、単量体成分の組成を調整することにより、容易に調節することができる。エマルション粒子を構成する重合体のガラス転移温度を考慮して、当該エマルション粒子を構成する重合体の原料として用いられる単量体成分の組成を決定することができる。
【0048】
重合体のガラス転移温度は、例えば、2-エチルヘキシルアクリレートの単独重合体では-70℃、n-ブチルアクリレートの単独重合体では-56℃、n-ブチルメタクリレートの単独重合体では20℃、メチルメタクリレートの単独重合体では105℃、シクロヘキシルメタクリレートの単独重合体では83℃、tert-ブチルメタクリレートの単独重合体では107℃、スチレンの単独重合体では100℃、アクリル酸の単独重合体では95℃、メタクリル酸の単独重合体では130℃、2-ヒドロキシエチルメタクリレートの単独重合体では55℃、ダイアセトンアクリルアミドの単独重合体では77℃、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの単独重合体では70℃、4-メタクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジンの単独重合体では約130℃、グリセリンモノメタクリレートの単独重合体では55℃である。
【0049】
本開示のコアシェル粒子は、コア層の粒径が10nm以上、150nm以下であることが好ましく、15nm以上、100nm以下であることがより好ましく、20nm以上、80nm以下であることがさらに好ましい。上記範囲とすることにより、コーティング剤などとして使用したときに、塗膜の透明性が向上する傾向にある。
【0050】
本開示のシェルには可視光吸収材料と重合体Bを含む。
【0051】
本開示の可視光吸収材料としては、可視光領域(360~750nm)の波長領域に吸収を有する化合物であれば特に限定されない。可視光吸収材料は塗膜として用いた際の耐候性の観点から極大吸収波長が360nm以上650nm以下に吸収を有する化合物であることが好ましく、紫外線領域(400nm以下)にも吸収を有していてもよい。可視光吸収材料としては、例えば、金属酸化物を主成分とする顔料、金属微粒子などの無機物でもよいし、カーボンブラックなどなどの黒系着色剤、長波長領域に吸収を有する紫外線安定剤、紫外線吸収剤などの有機物でも良い。
【0052】
可視光吸収材料としては、例えば、黒系着色剤、シアン系着色剤、マゼンダ系着色剤、イエロー系着色剤等が挙げられる。
【0053】
黒系着色剤としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト(黒鉛)、酸化銅、二酸化マンガン、アゾメチンアゾブラック等のアゾ系顔料、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色染料、アゾ系有機黒色染料等が挙げられる。
【0054】
可視光吸収材料としては、顔料(可視光吸収顔料)であってもよいし、染料(可視光吸収染料)であってもよいが、塗膜の均一性の観点からは染料が好ましい。可視光吸収染料は、350~700nmの波長領域に吸光度の極大値を有する染料であることが好ましい。上記可視光吸収染料としては、例えば、アントラキノン系染料、ペリノン系染料、ペリレン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ベンズイミダゾロン系染料、アゾ系染料、イソインドリノン系染料、イソインドリン系染料、ジオキサジン系染料、フタロシアニン系染料、メチン系染料等が挙げられる。上記可視光吸収染料は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0055】
可視光吸収材料としては、褪色を促進する波長の光を別の波長へと変換する観点から蛍光色素であってもよい。蛍光色素としては顔料(蛍光顔料)であってもよいし、染料(蛍光染料)であってもよいが、塗膜の均一性の観点からは染料が好ましい。蛍光染料としては、350~700nmの波長領域に吸光度の極大値を有する染料であることが好ましい。耐候性の観点から、上記蛍光染料としてはペリレン系染料が好ましい。上記蛍光色素は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい
可視光吸収材料としては、長波長領域に吸収を有する紫外線吸収剤も用いることができる。
【0056】
長波長領域に吸収を有する紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物およびトリアジン系化合物等が挙げられる。
【0057】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイビジルメチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(3-オン-4-オキサ-ドデシル)-6-tert-ブチル-フェノール、2-{5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル}-4-(3-オン-4-オキサ-ドデシル)-6-tert-ブチル-フェノール、2-{5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル}-4-メチル-6-tert-ブチル-フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-{5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル}-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-n-ドデシルフェノール、3-[3-tert-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸オクチル、3-[3-tert-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸2-エチルヘキシル、メチル-3-{3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル}プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物等が挙げられ、市販品としては、商品名Viosorb583(共同薬品株式会社製)、商品名チヌビン326(BASF社製)、商品名チヌビン384-2(BASF社製)、商品名チヌビンPS(BASF社製)、商品名チヌビン970(BASF社製)、商品名Seesorb706(シプロ化成株式会社製)、商品名EVERSORB109(EVER LIGHT社製)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0058】
トリアジン系化合物としては、例えば、2-(4-フェノキシ-2-ヒドロキシ-フェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オキサ-ヘキサデシロキシ)-4,6-ジ(2,4-ジメチル-フェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オキサ-ヘプタデシロキシ)-4,6-ジ(2,4-ジメチル-フェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-iso-オクチロキシ-フェニル)-4,6-ジ(2,4-ジメチル-フェニル)-1,3,5-トリアジンなどが挙げられ、市販品としては、商品名チヌビン400(BASF社製)、商品名チヌビン405(BASF社製)、商品名チヌビン460(BASF社製)、商品名チヌビン479(BASF社製)、商品名アデカスタブLA-F70(ADEKA社製)等のトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0059】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-n-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤が挙げられ、ベンゾエート系化合物としては、例えば、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられ、市販品としては商品名SB-UVA650(SHUANG BANG INDUSTRIAL CORP.社製)が挙げられる。これら紫外線吸収剤の中でも、コアシェル粒子のコアの着色剤の劣化抑制の観点からベンゾトリアゾール系およびトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい傾向にある。
【0060】
本開示の重合体Bとしては、下記単量体Bに由来する構造を有する重合体である。
【0061】
本開示の単量体Bとしては、単官能単量体および多官能単量体が挙げられる。単官能単量体および多官能単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0062】
単官能単量体としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合含有単量体が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0063】
エチレン性不飽和二重結合含有単量体としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、酸基含有単量体、水酸基含有(メタ)アクリレート、ピペリジル基含有単量体、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体、アミド基含有単量体、エポキシ基含有単量体、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シラン基含有単量体、カルボニル基含有単量体、アジリジニル基含有単量体、スチレン系単量体、アラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのエチレン性不飽和二重結合含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0064】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレートなどのエステル部の炭素数が1~18のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
酸基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル、ビニル安息香酸などのカルボキシル基含有脂肪族系単量体などが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0066】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1~18の水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。その中でも、2-ヒドキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0067】
オキソ基含有単量体としては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレートなどの(ジ)エチレングリコール(メトキシ)(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのオキソ基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0068】
フッ素原子含有単量体としては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が2~6のフッ素原子含有アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのフッ素原子含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0069】
アミド基単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-モノメチル(メタ)アクリルアミド、N-モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド化合物、N-ビニルピロリドン、などが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。その中でも、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-ビニルピロリドンが好ましい。これらのアミド基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0070】
エポキシ基含有単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのエポキシ基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0071】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリプロポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルコキシアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0072】
シラン基含有単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルヒドロキシシランなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのシラン基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0073】
カルボニル基含有単量体としては、例えば、アクロレイン、ホウミルスチロール、ビニルエチルケトン、(メタ)アクリルオキシアルキルプロペナール、アセトニル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートアセチルアセテート、ブタンジオール-1,4-アクリレートアセチルアセテート、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。その中でも、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのカルボニル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0074】
アジリジニル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸2-アジリジニルエチルなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアジリジニル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0075】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、tert-メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのスチレン系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。スチレン系単量体は、ベンゼン環にメチル基、tert-ブチル基などのアルキル基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシル基、アシル基、スルホン基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子などの官能基が存在していてもよい。スチレン系単量体のなかでは、耐水性を高める観点から、スチレンが好ましい。
【0076】
アラルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレートなどの炭素数が7~18のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアラルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0077】
また、前記重合体Bを形成する単量体Bには、コアシェル粒子に紫外線安定性または紫外線吸収性を付与する観点から、本発明の目的が阻害されない範囲内で、紫外線安定性単量体または紫外線吸収性単量体を含有させることが好ましい。樹脂層に紫外線吸収性を付与することにより、造膜性および耐候性に優れたコアシェル粒子含有水性分散体を得ることができる。
【0078】
紫外線安定性単量体としては、例えば、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイル-1-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-クロトノイル-4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの紫外線安定性単量体のなかでは、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンなどのピペリジル基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
【0079】
紫外線吸収性単量体としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体、ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0080】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体としては、例えば、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル]-5-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルアミノメチル-5’-tert-オクチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチル-3’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-5-シアノ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]-5-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(β-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)-3’-tert-ブチルフェニル]-4-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0081】
ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシ]プロポキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-[2-(メタ)アクリロイルオキシ]エトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-[3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ]ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-4-[2-(メタ)アクリロイルオキシ]ブトキシベンゾフェノンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0082】
前記単量体Bは、単量体B100質量%に対して、アルキル(メタ)アクリレートを合計で60質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことがさらに好ましい。また、前記単量体Bは、単量体B100質量%に対する、アルキル(メタ)アクリレートの含有量が合計で100質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、98質量%以下であることがさらに好ましい。上記範囲とすることにより、コーティング剤などとして使用したときに、塗膜の透明性が向上する傾向にある。
【0083】
重合体Bにおける紫外線安定性単量体の含有率は、紫外線安定性を向上させるとともにコアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、1~5質量%であることが好ましい。また、単量体Bにおける紫外線吸収性単量体の含有率は、紫外線安定性を向上させるとともにコアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、1~5質量%であることが好ましい。
【0084】
本開示の重合体Bの重量平均分子量は、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、10万以上が好ましく、15万以上がより好ましく、20万以上がさらに好ましく、上限値は、架橋構造を有する場合、その重量平均分子量を測定することが困難なため、特に限定されないが、架橋構造を有しない場合には、造膜性を向上させる観点から、500万以下であることが好ましい。
【0085】
本開示の重合体Bのガラス転移温度は、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、-50℃以上が好ましく、-40℃以上がより好ましく、-30℃以上がさらに好ましく、塗膜として使用する際の造膜性の観点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下がさらに好ましい。
【0086】
重合体Bのガラス転移温度は、重合体A同様の方法によって決定することができる。
【0087】
本開示のコアシェル粒子の平均粒径としては、水性分散体の分散安定に寄与し、塗膜とした際の透明性に寄与する観点から、10nm以上であることが好ましく、15nm以上がさらに好ましく、20nm以上が特に好ましく、200nm以下であることが好ましく、150nm以下がさらに好ましく、100nm以下が特に好ましい。本発明のコアシェル粒子の平均粒子径はJIS Z 8828に準拠して測定され、動的光散乱法により測定され、キュムラント平均粒子径として定義され、具体的には実施例記載の方法によって測定することができる。
[コアシェル粒子を含む水性分散体]
本開示のコアシェル粒子は、環境保護、作業上の安全衛生の観点から、水性媒体と今後して水性分散体として用いることが好ましい。
【0088】
本開示の水性媒体としては、例えば、水をはじめ、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの低級アルコール;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールなどの多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水性媒体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。水性媒体における水の含有率は、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに一層好ましくは80質量%以上であり、当該含有率の上限値は100質量%である。水性媒体のなかでは水が好ましい。
【0089】
本開示のコアシェル粒子含有水性分散体の固形分量(不揮発分量)としては、コアシェル粒子含有水性分散体の用途などに応じて適宜調整することが好ましいが、生産性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上であり、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。したがって、コアシェル粒子含有水性分散体における固形分量は、好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~60質量%である。
【0090】
なお、本明細書において、水性樹脂分散体における固形分量は、水性樹脂分散体1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔水性樹脂分散体における固形分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔水性樹脂分散体1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
【0091】
本開示のコアシェル粒子含有水性分散体は、本発明の目的が阻害されない範囲内でその他添加剤が含まれていても良い。
【0092】
その他添加剤としては、例えば、顔料などの着色剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、抗酸化剤、重合禁止剤、充填剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌剤、金属不活性化剤、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防曇剤、防食剤、顔料分散剤、流動調整剤、過酸化物分解剤、鋳型脱色剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、防藻剤、防カビ剤、難燃剤、スリップ剤、金属キレート剤、アンチブロッキング剤、耐熱安定剤、加工安定剤、分散剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、発泡剤、老化防止剤、防腐剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、成膜助剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの添加剤の量は、当該添加剤の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該添加剤の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
【0093】
[コアシェル粒子含有水性分散体の製造方法]
本開示におけるコアシェル粒子含有水性分散体は、下記工程を経ることによって得られる。
(1)着色剤、単量体A、脂肪酸エステル、ノニオン性界面活性剤および水性媒体を混合し、得られた混合物を攪拌下で当該混合物の転相開始温度以上であって水性媒体の沸点未満の温度に加熱した後、前記混合物を当該混合物の転相開始温度よりも低い温度に冷却する工程1、
(2)工程1の後に単量体Aを重合させる工程2、
(3)工程2の後に可視光吸収剤および単量体Bを添加し、単量体Bを重合させる工程3
本開示における工程1では、着色剤および、重合体Aを構成する単量体A、ノニオン性界面活性剤、水性媒体を混合し、得られた混合物を攪拌下で当該混合物の転相開始温度以上であって前記水性媒体の沸点未満の温度に加熱した後、前記混合物を当該混合物の転相開始温度よりも低い温度に冷却する。
【0094】
工程1で用いる着色剤および重合体Aを構成する単量体Aは前述の通りである。
【0095】
本開示のコアシェル粒子含有水性分散体を調製する際には、まず着色剤、単量体A、脂肪酸エステル、ノニオン性界面活性剤と水性媒体とを混合する。
【0096】
本開示の脂肪酸エステルとしては、脂肪酸と一価のアルコールとのエステルであることが好ましい。脂肪酸エステルを形成する脂肪酸残基の炭素数は1~25の脂肪酸であってもよく、一価アルコール由来のアルキルエステル部の炭素数は5~25であっても良い。
【0097】
本開示の脂肪酸エステルは、炭素数が15以上である脂肪酸エステルであってよく、具体的には脂肪酸残基の炭素数が15以上であっても、アルキルエステル部の炭素数が15以上であってもよく、化合物全体の炭素数が15以上であることがより好ましい。炭素数が15以上である脂肪酸エステルの炭素数の下限値は、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、15以上、好ましくは18以上、より好ましくは22以上であり、その上限値は、特に限定されないが、原料の入手が容易であることから、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは40以下である。
【0098】
炭素数が15以上である脂肪酸エステルは、重合性不飽和二重結合を有していてもよい。当該重合性不飽和二重結合を有する炭素数が15以上である脂肪酸エステルは、重合性不飽和二重結合を有しているが、前記単官能単量体には含まれない。
【0099】
炭素数が15以上である脂肪酸エステルとしては、例えば、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、2-デシルテトラデシル(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和二重結合を有するアルキルエステル部の炭素数が14以上である脂肪酸エステル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリルなどのアルキルエステル部の炭素数が14以上である脂肪酸エステル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸2-エチルヘキシルなどの炭素数14以上のアルキル基を有する脂肪酸エステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの脂肪酸エステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。炭素数が15以上である脂肪酸エステルのなかでは、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、アルキルエステル部の炭素数が14以上である脂肪酸エステルが好ましく、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリルがより好ましい。
【0100】
工程1に用いる脂肪酸エステルとしては、着色剤および単量体Aの合計量100質量部に対して5質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、15質量部以上が特に好ましく、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
【0101】
本開示のノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合生成物、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0102】
また、本開示のノニオン性界面活性剤のHLB(親水性-親油性バランス)は、コア粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、さらに好ましくは10以上であり、コア粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは17以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは15以下である。また、ノニオン性界面活性剤のHLBは、微細粒子径を有するコア粒子を含有するコア粒子含有水性分散体を得る観点から、好ましくは14以下、より好ましくは13.5以下、さらに好ましくは13以下である。したがって、ノニオン性界面活性剤のHLBは、好ましくは8~17、より好ましくは9~16、より一層好ましくは9~15、さらに好ましくは10~14、さらに一層好ましくは10~13.5、特に好ましくは10~13である。なお、ノニオン性界面活性剤のHLBは、Griffin法に基づき、式:
[ノニオン性界面活性剤のHLB]=20×[(親水部の分子量)/(界面活性剤の分子量)]
によって求められた値である。
【0103】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型ノニオン性界面活性剤、エチレン-プロピレンブロックコポリマー型ノニオン性界面活性剤、アルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤、フェノール型ノニオン性界面活性剤、アミド型ノニオン性界面活性剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
ノニオン性界面活性剤は、商業的に容易に入手することができる。商業的に容易に入手することができるノニオン性界面活性剤としては、例えば、花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420(HLB:12.6)、(株)日本触媒製、商品名:ソフタノール120(HLB:14.5)、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER-10(HLB:12.1)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0105】
ノニオン性界面活性剤のなかでは、コア粒子中にノニオン性界面活性剤を取り込む観点から、反応性を有するノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。反応性を有するノニオン性界面活性剤は、商業的に容易に入手することができる。商業的に容易に入手することができる反応性を有するノニオン性界面活性剤としては、例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER-10(HLB:12.1)、花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420(HLB:12.6)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0106】
本開示のノニオン性界面活性剤の含有量としては、コア粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、着色剤、単量体A、脂肪酸エステル、ノニオン性界面活性剤の合計量に対し、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらに一層好ましくは10質量%以上であり、モノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下である。
【0107】
なお、工程1において界面活性剤を用いる際には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤などの他の乳化剤が含まれていてもよい。
【0108】
本開示の水性媒体としては、例えば、水をはじめ、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの低級アルコール;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールなどの多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水性媒体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。水性媒体における水の含有率は、コアシェル粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに一層好ましくは80質量%以上であり、当該含有率の上限値は100質量%である。水性媒体のなかでは水が好ましい。
【0109】
着色剤および単量体Aの合計と水性媒体との質量比(単量体A/水性媒体)は、単量体Aと水性媒体と均一に分散させる観点から、好ましくは5/95~50/50、より好ましくは10/90~45/55、さらに好ましくは15/85~40/60である。
【0110】
着色剤および単量体Aの合計と水性媒体とを混合する際の温度は、後述する転相温度などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、好ましくは5~45℃、より好ましくは5~40℃、さらに好ましくは5~35℃である。単量体Aと水性媒体とを混合する際には、モノマー成分を水性媒体中で均一に分散させるために、攪拌下で単量体Aを水性媒体に添加することが好ましい。水性媒体を攪拌させる手段として、従来使用されている高粘度塗料用混合機、高圧ホモジナイザーなどの特殊な装置を用いる必要がなく、例えば、攪拌棒、マグネチックスターラーなどの簡単な攪拌装置で単量体Aを水性媒体中に均一に分散させることができる。
【0111】
次に、単量体Aと水性媒体とを混合した後、得られた混合物を攪拌下で当該混合物の転相開始温度以上であって水性媒体の沸点未満の温度に加熱した後、撹拌下で転相開始温度よりも低い温度に冷却する。本発明では、当該操作が採られているので、分散安定性に優れた着色剤および単量体Aを含有するコア粒子含有水性分散体が得られる。
【0112】
前記混合物の転相温度は、反応容器内の電気伝導率を用いて判断でき、転相開始温度とは、昇温とともに電気伝導率が継続して下がり始めたときの温度であり、転相終了温度とは、電気伝導率が1.00μS以下になったときの温度である。なお、導電率計の測定可能温度の上限を超えても電気伝導率が1.00μS以下にならなかった場合、撹拌下にて転相開始温度よりも高い温度に到達して3分間以上経過しても前記混合物の外観に変化が生じないときの温度を転相温度の終点とする。具体的には実施例記載の方法によって測定することができる。
【0113】
転相温度のうち転相開始温度は、コア粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、35℃以上であることが好ましく、45℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。また、転相終了温度は、エマルションの安定性を向上させる観点から、98℃以下であることが好ましく、97℃以下であることがより好ましく、96℃以下であることがさらに好ましい。
【0114】
前記混合物を加熱する際の雰囲気は、特に限定されないが、空気中に含まれている酸素による影響を回避する観点から、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
【0115】
前記混合物の加熱温度(加熱したときの最高温度)の下限値は、エマルション粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、前記混合物の転相開始温度以上の温度であるが、前記混合物の転相開始温度よりも0.5℃以上高い温度であることが好ましく、前記混合物の転相開始温度よりも1℃以上高い温度であることがより好ましい。また、前記混合物の加熱温度(加熱したときの最高温度)の下限値は、コア粒子含有水性分散体の分散安定性を向上させる観点から、前記混合物の転相終了温度以上の温度であることが好ましく、前記混合物の転相終了温度の0.5℃以上であることがより好ましい。
【0116】
前記混合物の加熱温度(加熱したときの最高温度)の上限値は、通常、水性媒体の沸点未満の温度、好ましくは水性媒体の沸点の温度よりも3℃以上低い温度、より好ましくは水性媒体の沸点の温度よりも5℃以上低い温度である。
【0117】
次に、前記混合物の温度が当該混合物の転相開始温度以上であって水性媒体の沸点未満の温度に到達した後、前記混合物を当該混合物の転相温度以下の温度に冷却する。
【0118】
前記混合物の冷却手段には特に限定がない。前記混合物は、例えば、放冷することによって冷却してもよく、空冷によって冷却してもよい。前記混合物は、当該混合物の転相開始温度以下の温度にまで冷却する。前記混合物は、好ましくは当該混合物の転相開始温度よりも10℃以上低い温度、より好ましくは当該混合物の転相開始温度よりも20℃以上低い温度、さらに好ましくは当該混合物の転相開始温度よりも25℃以上低い温度、さらに一層好ましくは当該混合物の転相開始温度よりも30℃以上低い温度にまで冷却する。
【0119】
以上の操作により、微細粒子径を有するコア粒子含有水性分散体が得られる。
【0120】
本開示における工程2では、工程1の後に単量体Aを重合させ重合体Aを得る。単量体Aを重合させる方法としては、乳化重合であり、前記エマルション粒子含有水性分散体に界面活性剤を溶解させ、得られた溶液に重合開始剤を添加する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。
【0121】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤などが挙げられ、これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよいが、工程1にて用いた界面活性剤と別途界面活性剤を追加して用いることが好ましく、追加する界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤を用いることがさらに好ましい。
【0122】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネート、ナトリウムアルキルジフェニルエーテルジスルホネートなどのアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸-ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレートなどの脂肪酸塩;ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレートスルホネート塩、プロペニル-アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩などのアリル基を有する硫酸エステルまたはその塩;アリルオキシメチルアルコキシエチルポリオキシエチレンの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0123】
ノニオン性界面活性剤としては、前述に記載の化合物があげられる。
【0124】
カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0125】
両性界面活性剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0126】
高分子界面活性剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレートなどのポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;これらのポリマーを構成するモノマーのうちの1種類以上を共重合成分とする共ポリマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0127】
また、前記界面活性剤のなかでは、耐候性を向上させる観点から重合性基を有する乳化剤、すなわち、いわゆる反応性界面活性剤が好ましく、環境保護の観点から非ノニルフェニル型の界面活性剤が好ましい。
【0128】
反応性界面活性剤としては、例えば、プロペニル-アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩〔例えば、三洋化成工業(株)製、商品名:エレミノールRS-30など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC-10、アクアロンHS-10など〕、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンKH-10など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSE-10など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-10、SR-30など〕、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルホネート塩〔例えば、日本乳化剤(株)製、商品名:アントックスMS-60など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER-20など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンRN-20など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープNE-10など)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0129】
単量体Aを重合させる際には、重合安定性を向上させる観点から、単量体A100質量部中に含まれる工程2において追加する界面活性剤の量は、0.3質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、耐候性を向上させる観点から、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。
【0130】
工程1にてノニオン性界面活性剤を用い、工程2にてアニオン性界面活性剤を用いた場合、ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の質量比は99/1~60/40が好ましく、97/3~70/30がより好ましく、96/4~80/20がさらに好ましい。
【0131】
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)、2,2‐アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライドなどのアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0132】
重合開始剤の量は、重合速度を高め、未反応の単量体の残存量を低減させる観点から、単量体A100質量部あたり、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.04質量部以上であり、耐候性を向上させる観点から、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。
【0133】
重合開始剤の添加方法は、特に限定されない。その添加方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。
【0134】
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄などの遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
【0135】
また、重合体Aの重量平均分子量を調整するために、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、tert-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトエタノール、α-メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。単量体100質量部あたりの連鎖移動剤の量は、エマルション粒子に含まれているポリマーの重量平均分子量を調整する観点から、0.01~10質量部であることが好ましい。
【0136】
また、単量体Aを乳化重合させるとき、耐候性を向上させる観点から、シランカップリング剤を適量で用いてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基などの重合性不飽和結合を有するシランカップリング剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0137】
また、単量体Aを乳化重合させる際には、必要により、キレート剤、造膜助剤、pH緩衝剤などの添加剤を反応系内に適量で添加してもよい。
【0138】
単量体Aを乳化重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤の効率を高める観点から、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
【0139】
単量体Aを乳化重合させる際の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50~100℃、より好ましくは60~85℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
【0140】
単量体Aの重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2~9時間程度である。
【0141】
本開示の工程3では、工程2の後に可視光吸収剤および重合体Bを構成する単量体Bを添加し、単量体Bを重合させる。
【0142】
なお可視光吸収剤および重合体Bを構成する単量体Bは前述のとおりである。
【0143】
単量体Bを重合させる方法としては、乳化重合であり、工程2にて得られたコア粒子含有水性分散体に界面活性剤を溶解させ、得られた溶液に重合開始剤を添加する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。
【0144】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤などが挙げられ、これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい
単量体Bを乳化重合する際に用いる界面活性剤の量は、重合安定性を向上させる観点から、単量体B100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上、さらに一層好ましくは2質量部以上であり、耐候性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、さらに好ましくは5.5質量部以下、さらに一層好ましくは5質量部以下である。
【0145】
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)、2,2‐アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライドなどのアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0146】
単量体B100質量部あたりの重合開始剤の量は、重合速度を高め、未反応モノマーの残存量を低減させる観点から、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、耐候性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
【0147】
重合開始剤の添加方法は、特に限定されない。その添加方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。また、重合反応の終了時期を早める観点から、樹脂層形成用モノマー成分を反応系内に添加する終了前またはその終了後に、重合開始剤の一部を添加してもよい。
【0148】
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄などの遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
【0149】
また、重合体Bの重量平均分子量を調整するために、前記連鎖移動剤を用いることができる。単量体B100質量部あたりの連鎖移動剤の量は、ポリマーエマルション粒子の重量平均分子量を調整する観点から、0.01~10質量部であることが好ましい。
【0150】
単量体Bを乳化重合させるとき、ポリマーエマルション粒子の耐候性を向上させる観点から、シランカップリング剤を適量で用いてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基などの重合性不飽和結合を有するシランカップリング剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0151】
単量体Bを乳化重合させる際には、必要により、キレート剤、造膜助剤、pH緩衝剤などの添加剤を反応系内に添加してもよい。添加剤の量は、その種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、単量体B100質量部あたり、好ましくは0.01~5質量部程度、より好ましくは0.1~3質量部程度である。
【0152】
重合体Bを乳化重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤の効率を高める観点から、窒素ガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
【0153】
重合体Bの重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50~100℃、より好ましくは60~85℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
【0154】
重合体Bを乳化重合させる重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2~9時間程度である。
【0155】
以上のようにして重合体Bを乳化重合させることにより、コアシェル粒子含有水性分散体を得ることができる。コアシェル粒子にてシェル層を形成する重合体Bの厚さは、用途などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、2~50nm程度である。
【0156】
本開示のコアシェル粒子のコア層とシェル層との質量比は、通常、好ましくは5/95~80/20、より好ましくは10/90~75/25である。
【0157】
本開示のコアシェル粒子における重合体Aと重合体Bの質量比は、通常、好ましくは5/95~80/20、より好ましくは10/90~75/25である。
【0158】
本開示のコアシェル粒子における着色剤および重合体Aの合計量と可視光吸収材料および重合体Bの合計量の質量比は、通常、好ましくは5/95~80/20、より好ましくは10/90~75/25である。
【0159】
本開示のコアシェル粒子含有水性分散体には、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、添加剤などが含まれていてもよい。添加剤としては、前記したものを例示することができる。添加剤の量は、当該添加剤の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該添加剤の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
【0160】
本開示における水性分散体における不揮発分量は、生産性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上であり、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。したがって、コアシェル粒子含有水性分散体における不揮発分量は、好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~60質量%である。
【0161】
なお、本明細書において、水性分散体における不揮発分量は、水性分散体1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔水性分散体における不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔水性樹脂分散体1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
【0162】
本開示のコアシェル粒子含有水性分散体には、架橋剤を含有させることにより、架橋性を付与することができる。架橋剤としては、常温で架橋反応を開始するものであってもよく、熱により架橋反応を開始するものであってもよい。架橋剤としては、例えば、オキサゾリン基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、アミノプラスト樹脂などが挙げられる。これらの架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0163】
なお本開示においては、前記した架橋剤以外にも、例えば、カルボジイミド化合物;ジルコニウム化合物、亜鉛化合物、チタニウム化合物、アルミニウム化合物などに代表される多価金属化合物などの架橋剤を本発明の目的が阻害されない範囲内で用いることができる。
【0164】
また、本開示のコアシェル粒子含有水性分散体には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、成膜助剤、可塑剤、抑泡剤、顔料、増粘剤、艶消し剤、分散剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、充填剤、レベリング剤、安定剤、顔料、染料、酸化防止剤などの添加剤が適量で含まれていてもよい。
【0165】
また、本開示のコアシェル粒子含有水性分散体は、いずれも、例えば、水性塗料に好適に用いることができる。水性塗料は、前記水性樹脂分散体を含有するものである。
【0166】
水性塗料は、水性樹脂分散体のみで構成されていてもよく、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、成膜助剤、可塑剤、抑泡剤、顔料、増粘剤、艶消し剤、分散剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、充填剤、レベリング剤、安定剤、顔料、染料、酸化防止剤などの1種類または2種類以上を含有していてもよい。水性塗料としては、例えば、エナメル塗料、クリヤー塗料などが挙げられる。
【0167】
水性塗料は、それ単独で1層で塗工してもよく、2層以上に重ね塗りすることによって塗工してもよい。2層以上に重ね塗りすることによって塗工する場合、その一部の層のみが当該水性塗料によって形成されてもよく、全部の層が当該水性塗料で形成されてもよい。重ね塗りは、例えば、プライマー処理やシーラー処理などを施した被塗物に、第1層(例えば、下塗り層)用塗料を塗布して乾燥させた後、第2層(例えば、上塗り層)用塗料を上塗りし、乾燥させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法によって限定されるものではない。
【0168】
水性塗料を塗布する方法としては、例えば、刷毛、バーコーター、アプリケーター、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、フローコーターなどを用いた塗布方法が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0169】
水性塗料は、例えば、建築物の外壁、自動車の車体などに塗装する際に好適に使用することができるほか、窯業系建材などの無機質建材にも好適に使用することができる。窯業系建材としては、例えば、瓦、外壁材などが挙げられる。窯業系建材は、無機質硬化体の原料となる水硬性膠着材に無機充填剤、繊維質材料などを添加し、得られた混合物を成形し、得られた成形体を養生し、硬化させることによって得られる。建築物の外装を構成する無機質建材としては、例えば、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグパーライト板、木片セメント板、プレキャストコンクリート板、ALC板、石膏ボードなどが挙げられる。
【0170】
また、本発明の水性塗料は油性塗料の塗膜の上に重ね塗りすることも可能であり、本発明の水性塗料の塗膜の上に油性塗料の塗膜を重ね塗りすることも可能である。耐候性の観点で本発明の水性塗料の塗膜の上に油性塗料を重ね塗りする場合、紫外線吸収剤を含有している油性塗料を使用することが特に好ましく、必要に応じて酸化防止剤や光安定化剤、染料を添加して使用しても良い。
【0171】
また、自動車、自動車用部品(例えば、各種材質のボディー、バンパー、スポイラー、ミラー、ホイール、内装材等)、鋼板等の金属板、二輪車、二輪車用部品、道路用資材(例えば、ガードレール、交通標識、防音壁等)、トンネル用資材(例えば、側壁板等)、船舶、鉄道車両、航空機、家具、楽器、家電製品、建築材料、容器、事務用品、スポーツ用品、玩具等が挙げられる。
【0172】
本組成物は、車両用塗料として特に有効である。
【実施例0173】
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0174】
なお、以下の実施例および比較例において、特に断りがない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
【0175】
以下の実施例および比較例において、各化合物の略号は、以下の化合物を意味する。
・MMA:メチルメタクリレート
・EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
・CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
・St:スチレン
・VP:n-ビニルピロリドン
・LMA:ラウリルメタクリレート
・1,6HXA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
・KBM-503:メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
・C22A:ベヘニルアクリレート
・EHC:2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル
・CS-12:2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート
・CS-16:2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート
・HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
【0176】
製造例1
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.9部、MMA3.0部、CHMA7.0部、St0.4部、1,6HXA0.3部、EHC4.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕3.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕3.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.3部および油溶性クロム錯塩赤色染料1.0部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を以下の方法に基づいて測定した。その結果、転相温度は76~83℃であった。
【0177】
〔転相温度の測定方法〕
2L(リットル)容の反応容器に撹拌装置および温度センサーを取り付け、前記混合物1000gを当該反応容器内に入れて撹拌した。
【0178】
前記反応容器をウォーターバスで昇温させながら当該反応容器内の混合物の温度が1℃上昇する毎に導電率計〔ユーテック(EUTECH)社製、商品名:ラコムテスターPC450〕で電気伝導率を測定した。
【0179】
昇温したときの温度毎に電気伝導率をプロットし、昇温とともに電気伝導率が継続して下がり始めたときの温度を転相開始温度とし、電気伝導率が1.00μS以下になったときの温度を転相終点温度とした。
【0180】
なお、導電率計の測定可能温度の上限を超えても電気伝導率が1.00μS以下にならなかった場合、撹拌下にて転相開始温度よりも高い温度に到達して3分間以上経過しても前記混合物の外観に変化が生じないときの温度を転相温度の終点とした。
【0181】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0182】
反応容器の内温が86℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0183】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
【0184】
(1)分散体安定性
モノマーエマルション粒子含有水性分散体を室温(約25℃)中で12時間静置した後のモノマーエマルション粒子の分散状態およびモノマーエマルション粒子含有水性分散体を室温(約25℃)中で14日間静置した後のモノマーエマルション粒子の分散状態をそれぞれ目視で観察し、以下の評価基準に基づいてモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性を評価した。
〔評価基準〕
○:モノマーエマルション粒子の沈殿およびモノマー成分と水性媒体との分離が認められない。
×:モノマーエマルション粒子の沈殿およびモノマー成分と水性媒体との分離の少なくともいずれかが認められる。
【0185】
(2)平均粒子径
動的光散乱法による粒子径測定装置である多検体ナノ粒子径測定システム〔大塚電子(株)製、商品名:nanoSAQRA〕を用いて、製造直後のモノマーエマルション粒子のキュムラント解析法により得られた平均粒子径(以下、単に平均粒子径という)および製造してから14日間静置した後のモノマーエマルション粒子の平均粒子径を測定した。
【0186】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0187】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温72℃で1時間反応後、内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0188】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、51nmであった。
【0189】
製造例2
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.8部、MMA3.0部、CHMA10.4部、1,6HXA0.6部、KBM-503を0.7部、EHC3.5部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕2.6部、油溶性アゾ系赤色染料1.3部および油溶性クロム錯塩系黒色染料〔オリヱント化学工業(株)製、商品名:VALIFAST BLACK3810〕0.1部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を製造例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は75~79℃であった。
【0190】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0191】
反応容器の内温が83℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0192】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を製造例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0193】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0194】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温72℃で1時間反応後、さらに内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0195】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、53nmであった。
【0196】
製造例3
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水64部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.8部、MMA3.0部、CHMA9.9部、St1.5部、1,6HXA0.3部、EHC4.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕2.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕2.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.5部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.4部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.3部および油溶性クロム錯塩赤色染料1.0部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を製造例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は72~81℃であった。
【0197】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0198】
反応容器の内温が85℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0199】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を製造例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0200】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.9部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0201】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.0部を添加し、内温72℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0202】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、49nmであった。
【0203】
製造例4
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕9.5部、MMA3.0部、CHMA12.0部、St0.9部、1,6HXA0.3部、C22A1.1部、3.3部の量のCS-12、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕1.0部、油溶性紫外線吸収剤〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.3部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.3部、油溶性クロム錯塩赤色染料1.0部および油溶性クロム錯塩黒色染料〔オリヱント化学工業(株)製、商品名:VALIFAST BLACK3810〕0.3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を製造例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は82~88℃であった。
【0204】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0205】
反応容器の内温が85℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0206】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を製造例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0207】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.9部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0208】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.0部を添加し、内温72℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0209】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、56nmであった。
【0210】
製造例5
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.8部、MMA1.0部、CHMA10.2部、St3.8部、1,6HXA0.3部、EHC4.5部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕1.5部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部および油溶性青色染料〔紀和化学工業(株)製、商品名:KP Plast Blue R〕0.5部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を製造例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は73~82℃であった。
【0211】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0212】
反応容器の内温が85℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0213】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を製造例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0214】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0215】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温72℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0216】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、53nmであった。
【0217】
製造例6
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水66部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕9.9部、MMA2.0部、CHMA10.2部、St3.8部、1,6HXA0.3部、C22A5.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕1.5部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、油溶性青色染料〔紀和化学工業(株)製、商品名:KPPlast Blue R〕0.5部および油溶性クロム錯塩黒色染料〔オリヱント化学工業(株)製、商品名:VALIFAST BLACK3810〕0.4部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を製造例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は77~88℃であった。
【0218】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0219】
反応容器の内温が90℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0220】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を製造例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0221】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.9部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が72℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0222】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液1.0部を添加し、内温72℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0223】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、64nmであった。
【0224】
製造例7
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水36.6部、アニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液40.6部、MMA2.9部、CHMA8.1部、St1.0部、1,6HXA0.3部、EHC4.4部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕2.5部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.5部、油溶性紫外線吸収剤(SHUANG BANG INDUSTRIALCORP.社製、商品名:SB-UVA650)2.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕1.0部および油溶性クロム錯塩赤色染料1.3部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は確認できなかった。
【0225】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0226】
反応容器の内温が92℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得たがすぐに着色剤が析出する結果であった。
【0227】
製造例8
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水67.0部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.8部、MMA2.9部、CHMA6.2部、1,6HXA0.3部、LMA9.3部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕1.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.5部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.4部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.6部および油溶性クロム錯塩赤色染料1.0部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を実施例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は確認できなかった。
【0228】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0229】
反応容器の内温が92℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得たが取得数日で着色剤が析出する結果であった。
【0230】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0231】
次に、前記で得られたモノマー含有水性混合物100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.6部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が75℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0232】
その後、反応容器内に5%過硫酸カリウム水溶液0.9部を添加し、内温75℃で1時間反応後内温80℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0233】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、170nmであった。
【0234】
製造例9
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水66.6部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕10.8部、MMA3.0部、CHMA7.8部、St1.7部、VP0.9部、1,6HXA0.2部、EHC1.5部、CS-16を1.8部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕2.0部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕1.3部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.2部、ヒンダードアミン系光安定剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)292〕0.4部、および油溶性クロム錯塩赤色染料1.5部、メチン系黄色染料0.1部、油溶性クロム錯塩黒色染料〔オリヱント化学工業(株)製、商品名:VALIFAST BLACK3810〕0.1部、アントラキノン系紫色染料0.1部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を製造例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は72~79℃であった。
【0235】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0236】
反応容器の内温が85℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0237】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を製造例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0238】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、当該反応容器内にアニオン性乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.9部を添加し、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が58℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0239】
その後、反応容器内に20%2,2‐アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド水溶液0.5部を添加し、内温58℃で1時間反応後内温63℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0240】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、44nmであった。
【0241】
製造例10
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水65.0部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕11.2部、MMA3.2部、CHMA6.9部、St1.9部、VP1.0部、CTA0.2部、EHC3.5部、CS-16を1.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕1.0部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕1.1部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕1.4部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.2部、ヒンダードアミン系光安定剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)292〕0.4部、および油溶性クロム錯塩赤色染料1.6部、メチン系黄色染料0.1部、アントラキノン系紫色染料0.1部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を製造例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は75~81℃であった。
【0242】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0243】
反応容器の内温が86℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0244】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を製造例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0245】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が58℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0246】
その後、反応容器内に20%2,2‐アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド水溶液0.5部を添加し、内温58℃で1時間反応後内温63℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0247】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、48nmであった。
【0248】
製造例11
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に脱イオン水60.0部、ノニオン性乳化剤としてポリオキシアルキレンアルケニルエーテル〔花王(株)製、商品名:ラテムルPD-420、HLB:12.6〕12.8部、MMA3.6部、CHMA8.0部、St2.0部、VP1.1部、CTA0.2部、EHC4.0部、CS-16を1.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)400〕0.8部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕1.6部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕1.6部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.2部、ヒンダードアミン系光安定剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)292〕0.5部、および油溶性クロム錯塩赤色染料1.8部、メチン系黄色染料0.2部、アントラキノン系紫色染料0.1部を仕込み、得られた混合物の一部を取り出し、当該混合物の転相温度を製造例1と同様にして測定した。その結果、転相温度は81~85℃であった。
【0249】
前記混合物の転相温度を測定した後、窒素ガスを反応容器内に導入しながら撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を加熱した。
【0250】
反応容器の内温が90℃に到達した後、当該反応容器をウォーターバスから取り出し、撹拌下で内温が40℃以下となるまで空冷することにより、モノマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。
【0251】
前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体の分散体安定性およびモノマーエマルション粒子の平均粒子径を製造例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0252】
次に、前記で得られたモノマーエマルション粒子含有水性分散体100部を反応容器内に入れ、窒素ガスを反応器内に導入しながら室温中で30分間撹拌した後、当該反応容器をウォーターバスに入れ、撹拌下で当該反応容器の内温が58℃となるまでウォーターバスで昇温した。
【0253】
その後、反応容器内に20%2,2‐アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド水溶液0.6部を添加し、内温58℃で1時間反応後内温63℃で5時間反応容器の内容物を攪拌下で加熱することにより、モノマーエマルション粒子に含まれているモノマーを重合させてポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体を得た。
【0254】
前記で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体に含まれるポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様にして測定した。その結果、ポリマーエマルション粒子の平均粒子径は、44nmであった。
【0255】
【表1】
【0256】
実施例1
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例1で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0257】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA6.0部、EHA6.1部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部および油溶性クロム錯塩赤色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0258】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例1で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0259】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は70nmであった。
【0260】
実施例2
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例1で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0261】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA5.8部、EHA5.9部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.2部および油溶性クロム錯塩黒色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0262】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例1で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0263】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は75nmであった。
【0264】
実施例3
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例2で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0265】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA6.0部、EHA6.1部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部および油溶性クロム錯塩黒色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0266】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例2で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0267】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は63nmであった。
【0268】
実施例4
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例3で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体41.1部および脱イオン水35.1部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0269】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液1.6部、MMA4.5部、EHA4.7部、CHMA2.8部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.6部、HEMA0.2部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.4部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.1部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.1部、油溶性クロム錯塩赤色染料0.1部および油溶性クロム錯塩黒色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0270】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例3で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0271】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は55nmであった。
【0272】
実施例5
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例4で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0273】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA5.8部、EHA5.9部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.1部および油溶性クロム錯塩黒色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0274】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例4で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0275】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は71nmであった。
【0276】
実施例6
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例5で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体30.6部および脱イオン水31.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0277】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.7部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水13.9部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.9部、MMA6.7部、EHA6.9部、CHMA4.1部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.2部および油溶性クロム錯塩黒色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0278】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例5で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は30.0質量%であった。
【0279】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は67nmであった。
【0280】
実施例7
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例6で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体30.6部および脱イオン水31.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0281】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.7部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水13.9部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.9部、MMA6.7部、EHA6.9部、CHMA4.1部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.2部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.2部および油溶性青色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0282】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例6で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は30.0質量%であった。
【0283】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は78nmであった。
【0284】
実施例8
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例3で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水44.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0285】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.4部、MMA5.8部、EHA4.9部、CHMA2.0部、St2.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.2部、メチン黄色染料0.3部およびアントラキノン系紫色染料0.2部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0286】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例3で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0287】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は59nmであった。
【0288】
実施例9
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例4で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体41.1部および脱イオン水43.0部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0289】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水7.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液1.6部、MMA4.5部、EHA3.0部、CHMA1.0部、St3.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.6部、HEMA0.2部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.4部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.1部、およびペリレン系赤色蛍光染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0290】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例4で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0291】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は63nmであった。
【0292】
実施例10
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例9で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体30.6部および脱イオン水37.3部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が57℃となるまで加熱した。
【0293】
内温を57℃に維持しながら反応容器内に20%2,2‐アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド水溶液0.5部を添加し、20分間撹拌した。その後、内温を57℃に維持しながら脱イオン水7.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.8部、MMA7.7部、EHA5.0部、CHMA4.1部、St3.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.2部、メチン黄色染料0.2部およびアントラキノン系紫色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0294】
滴下終了時から120分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例9で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は32.0質量%であった。
【0295】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は67nmであった。
【0296】
実施例11
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例10で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体29.1部および脱イオン水39.2部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が57℃となるまで加熱した。
【0297】
内温を57℃に維持しながら反応容器内に20%2,2‐アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド水溶液0.5部を添加し、20分間撹拌した。その後、内温を57℃に維持しながら脱イオン水7.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.8部、MMA7.7部、EHA5.0部、CHMA4.1部、St3.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.2部、メチン黄色染料0.2部およびアントラキノン系紫色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0298】
滴下終了時から120分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例10で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は32.0質量%であった。
【0299】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は78nmであった。
【0300】
実施例12
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例11で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体30.6部および脱イオン水33.0部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が57℃となるまで加熱した。
【0301】
内温を57℃に維持しながら反応容器内に20%2,2‐アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド水溶液0.5部を添加し、20分間撹拌した。その後、内温を57℃に維持しながら脱イオン水7.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.8部、MMA8.0部、EHA7.0部、CHMA4.1部、St5.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.2部、メチン黄色染料0.2部およびアントラキノン系紫色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0302】
滴下終了時から120分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例11で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は38.0質量%であった。
【0303】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は65nmであった。
【0304】
実施例13
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例11で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体48.0部および脱イオン水26.6部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が57℃となるまで加熱した。
【0305】
内温を57℃に維持しながら反応容器内に20%2,2‐アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド水溶液0.5部を添加し、20分間撹拌した。その後、内温を57℃に維持しながら脱イオン水7.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液1.6部、MMA5.0部、EHA4.0部、CHMA2.0部、St4.0部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.6部、HEMA0.2部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.4部、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、油溶性紫外線吸収剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-F70〕0.1部、メチン黄色染料0.2部およびアントラキノン系紫色染料0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0306】
滴下終了時から120分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例11で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は35.8質量%であった。
【0307】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は54nmであった。
【0308】
比較例1
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例1で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0309】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA6.0部、EHA6.2部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0310】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例1で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0311】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は68nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例1で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水40.4部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0312】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水9.1部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液2.5部、MMA6.0部、EHA6.2部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.6部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0313】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例1で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は26.0質量%であった。
【0314】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は68nmであった。
【0315】
比較例2
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器内に製造例8で得られたポリマーエマルション粒子を含有する水性分散体27.9部および脱イオン水28.0部を仕込み、撹拌下でウォーターバスを用いて反応容器を内温が80℃となるまで加熱した。
【0316】
内温を80℃に維持しながら反応容器内に3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.8部を添加し、10分間撹拌した。その後、内温を80℃に維持しながら脱イオン水13.2部、陰イオン乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-20〕の25%水溶液3.0部、MMA6.0部、EHA6.2部、CHMA3.7部、ヒンダードアミン系光安定剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブLA-87〕0.4部、HEMA0.3部、紫外線吸収性モノマー〔大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93〕0.7部およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、品番:KMB-503〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin400〕0.1部〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)479〕0.1部、紫外線吸収剤〔BASF社製、商品名:Tinuvin(登録商標)970〕0.2部の混合液を攪拌下で反応容器内に90分間かけて滴下した。
【0317】
滴下終了時から60分間経過後に、25%アンモニア水溶液0.1部を反応容器内に添加することにより、反応容器の内容物を中和した。中和終了時から30分間経過後に反応容器をウォーターバスから取出し、反応容器の内温を40℃以下に冷却後、防腐剤(DuPont社製、商品名:KORDEK MLX)0.1部を反応容器内に添加することにより、製造例8で得られたポリマーエマルション粒子の表面上に樹脂層形成用モノマー成分を重合させた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体を得た。前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体における不揮発分量は32.0質量%であった。
【0318】
前記で得られた樹脂層を有するポリマーエマルション粒子含有水性分散体に含まれているポリマーエマルション粒子の平均粒子径を前記と同様の方法で製造直後に測定したところ、当該平均粒子径は180nmであった。
【0319】
実験例1
実施例1で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例2で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例3で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例4で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例5で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例6で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例7で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、比較例1で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、および比較例2で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体に対し、以下のヘイズの測定方法に基づいてヘイズを測定した。
【0320】
各実施例で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体と対比するために、アクリル樹脂エマルション〔(株)日本触媒製、商品名:ユーダブルEF-015〕100部に油溶性アゾ系赤色染料〔中央合成化学(株)製、商品名:Oil Color Red TR-71〕1.35部または油溶性クロム錯塩赤色染料1.35部を添加することにより、ポリマーエマルション粒子含有水性分散体を調製した。しかし、いずれのポリマーエマルション粒子含有水性分散体でも染料が沈殿し、分散しなかった。
【0321】
また、アクリル樹脂エマルション〔(株)日本触媒製、商品名:ユーダブルEF-015〕100部に赤色顔料の水分散体〔山陽色素(株)製、商品名:EMACOL RED3303〕3.7部を混合することにより、従来のポリマーエマルション粒子含有水性分散体を調製した。前記で得られた従来のポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用い、前記と同様にしてヘイズを測定した。
【0322】
各ポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いてヘイズを測定した。その結果、ヘイズ値は、実施例1で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.8であり、実施例2で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.2であり、実施例3で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.7であり、実施例4で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.9であり、実施例5で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.3であり、実施例6で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.6であり、実施例7で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.9であり、実施例8で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.1であり、実施例9で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.7であり、実施例10で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.3であり、実施例11で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.9であり、実施例12で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.1であり、実施例13で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.7であった。これに対して、比較例1で得られたポリマー粒子含有水性分散体を用いた場合には0.4であり、比較例2で得られたポリマー粒子含有水性分散体を用いた場合には3.5であり、従来のポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には、ヘイズ値は66.7であった。
【0323】
以上の結果から、各実施例で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体は、比較例2、および従来のポリマーエマルション粒子含有水性分散体よりも濁りの度合いが顕著に小さいことがわかる。
【0324】
〔ヘイズの測定方法〕
ガラス板に各アクリルポリマーエマルション粒子含有水性分散体を乾燥後の塗膜の厚さが60μmとなるようにアプリケーターで塗布し、80℃の乾燥機で2時間乾燥させることにより被膜を形成させて試験板を得た。
【0325】
前記で得られた試験板の被膜面のヘイズをASTM-D-1003-97-Cに規定の条件に準拠して分光測色計〔コニカミノルタ(株)製、品番:CM-3700A〕を用いて測定した。
【0326】
実験例2
実施例2で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例4で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例5で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例6で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例7で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例8で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例9で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例10で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例11で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例12で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例13で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、比較例1で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、および比較例2で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用い以下の耐候性の評価方法に基づいて耐候性を評価した。
【0327】
〔耐候性の評価方法〕
アルミニウム板〔日本テストパネル(株)製、縦:150mm、横:70mm、厚さ:0.8mm〕に実施例2で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例4で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例5で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例6で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例7で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、比較例1で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例8で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例9で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例10で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例11で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例12で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例13で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、および比較例2で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を乾燥後の塗膜の厚さが40μmとなるようにそれぞれアプリケーターで塗布し、80℃の乾燥機で2時間乾燥させた後、各塗膜上に紫外線カットコーティング剤〔(株)日本触媒製、商品名:ハルスハイブリッドUV-G101〕10部とトルエン6部と6-イソシアナトヘキシルカルバミド酸6-〔3-(6-イソシアナトヘキシル)-2,4-ジオキソ-1,3-ジアゼチジン-1-イル]ヘキシル2部とを混合し、混合を開始した時点から1時間以内に乾燥後の塗膜の厚さが40μmとなるようにそれぞれアプリケーターで塗布し、空気中で23℃にて24時間乾燥させて被膜を形成させ、塗膜構成Aの試験板を得た。
【0328】
また、実施例8で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例10で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例11で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体実施例、実施例12で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体、実施例13で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体については乾燥後の塗膜の厚さが40μmとなるようにそれぞれアプリケーターで塗布し、80℃の乾燥機で2時間乾燥させた後、各塗膜上に紫外線カットコーティング剤〔(株)日本触媒製、商品名:ハルスハイブリッドUV-G101〕10部とトルエン6部とメチン系黄色染料0.12部とアントラキノン系紫色染料0.1部、酸化防止剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカスタブAO-412S〕0.01部、6-イソシアナトヘキシルカルバミド酸6-〔3-(6-イソシアナトヘキシル)-2,4-ジオキソ-1,3-ジアゼチジン-1-イル]ヘキシル2部とを混合し、混合を開始した時点から1時間以内に乾燥後の塗膜の厚さが40μmとなるようにそれぞれアプリケーターで塗布し、空気中で23℃にて24時間乾燥させて被膜を形成させ、塗膜構成Bの試験板を得た。
【0329】
前記で得られた試験板の被膜面の色差(L0、a0、b0)を色差計〔日本電色工業(株)製、商品名:分光式色差計SE-2000〕で測定した。
【0330】
次に、以下の紫外線照射条件で紫外線を504時間照射した後、当該試験板の被膜面の色差(L1、a1、b1)を測定し、紫外線の照射による色調変化(ΔE)を式:
ΔE=[(L1-L0)+(a1-a0)+(b1-b0)1/2
に基づいて求めた。
【0331】
その結果、塗膜構成Aの各試験板は、実施例2で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には9.8であり、実施例4で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には3.1であり、実施例5で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には2.4であり、実施例6で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には2.1であり実施例7で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には8.8であった。実施例8で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には2.3であり、実施例9で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.9であり、実施例10で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には5.2であり、実施例11で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には6.0であり実施例12で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には5.6であり、実施例13で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には5.5でありあった。また、塗膜構成Bの試験板に関しては、実施例8で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.9であり、実施例10で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には0.9であり、実施例11で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には1.7であり実施例12で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には2.1であり、実施例13で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には2.8であった。これに対して、紫外線の照射による色調変化(ΔE)は、比較例1で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には27であり、比較例2で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体を用いた場合には29であった。
【0332】
以上の結果から、各実施例で得られたポリマーエマルション粒子含有水性分散体は、比較例を用いた場合と対比して、耐候性に優れていることが確認された。
【0333】
〔紫外線照条件〕
スガ試験機(株)製、商品名:メタリングウェザーメータM6Tを用い、以下の条件で紫外線を照射した。
サイクル:照射16時間、暗黒6時間
照射強度:0.50kWh
BPT温度:照射時63℃
相対湿度:照射時50%、暗黒時98%