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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011794
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】室内空気浄化システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20220107BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20220107BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20220107BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A61L9/20
A61L9/00 C
F24F7/007 101
B01J35/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113154
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】304025563
【氏名又は名称】株式会社西田技巧
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】西田 裕幸
【テーマコード(参考)】
3L056
4C180
4G169
【Fターム(参考)】
3L056BG09
4C180AA07
4C180CC03
4C180DD03
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH11
4C180HH15
4C180HH19
4G169AA03
4G169BA48A
4G169CA02
4G169CA03
4G169DA06
4G169HA01
4G169HE03
4G169HF03
4G169HF05
(57)【要約】
【課題】室内の空間におけるウイルスや細菌等を比較的短時間で減少させることが可能な室内空気浄化システムを提供する。
【解決手段】シーリングファンモータにより回転するハブに複数のブレードが支持され室内の天井に吊り下げられているシーリングファンと、天井に吊り下げられている複数の紫外線照射ユニット20とを具備する室内空気浄化システム1であって、紫外線照射ユニット20は、室内の空気が流通可能な流通空間21aを有する中空容器状の本体ケース21と、本体ケース21内における流通空間21aへ紫外線を照射する紫外線発光手段24と、を有し、シーリングファンの周囲に設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーリングファンモータにより回転するハブに複数のブレードが支持されており、室内の天井に吊り下げられているシーリングファンと、
前記天井に吊り下げられている複数の紫外線照射ユニットと、
を具備する室内空気浄化システムであって、
前記紫外線照射ユニットは、
室内の空気が流通可能な流通空間を有する中空容器状の本体ケースと、
該本体ケース内における前記流通空間へ紫外線を照射する紫外線発光手段と、
を有し、前記シーリングファンの周囲に設けられている
ことを特徴とする室内空気浄化システム。
【請求項2】
前記紫外線照射ユニットは、
前記本体ケースにおいて開口しており前記流通空間と連通している第一開口部と、
前記本体ケースにおいて前記第一開口部とは反対側で開口しており前記流通空間と連通している第二開口部と、
を更に有しており、
前記第一開口部を前記シーリングファンへ向けていると共に、前記複数のブレードよりも上方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の室内空気浄化システム。
【請求項3】
前記紫外線照射ユニットは、
前記流通空間内の空気を前記本体ケース外へ排出させるための排気ファンと、
該排気ファンを回転させる排気モータと、
を更に有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の室内空気浄化システム。
【請求項4】
前記紫外線照射ユニットは、
前記流通空間を仕切るように設けられている通気性を有するフィルタを、更に有しており、
該フィルタには光触媒が担持されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の室内空気浄化システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空気浄化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内におけるウイルスや細菌等を低減させるための装置として空気清浄機が知られている。この種の空気清浄機は、室内の空気を内部に取り込み、紫外線やオゾン等により取り込んだ空気中のウイルスや細菌等を減少させて、室内へ排出するようにしている。
【0003】
しかしながら、上記のような空気清浄機だけでは、室内全体の空気を十分に循環させることは困難であり、室内のウイルスや細菌等をある程度まで減少させるのにかなりの時間を要すると共に、室内全体のウイルスや細菌等を十分に減少させることができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、室内の空間におけるウイルスや細菌等を比較的短時間で減少させることが可能な室内空気浄化システムの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明にかかる室内空気浄化システムは、
「シーリングファンモータにより回転するハブに複数のブレードが支持されており、室内の天井に吊り下げられているシーリングファンと、
前記天井に吊り下げられている複数の紫外線照射ユニットと、
を具備する室内空気浄化システムであって、
前記紫外線照射ユニットは、
室内の空気が流通可能な流通空間を有する中空容器状の本体ケースと、
該本体ケース内における前記流通空間へ紫外線を照射する紫外線発光手段と、
を有し、前記シーリングファンの周囲に設けられている」ことを特徴とする。
【0006】
本構成の室内空気浄化システムは、まず、室内の天井に吊り下げられているシーリングファンにおいて、下方へ空気が流れるように、シーリングファンモータにより複数のブレードを適宜の方向へ回転させる。これにより、複数のブレードよりも上方の天井付近の空気が、吸い込まれるようにしてシーリングファンから下方へ流れ、床付近で床面に沿って広がるように流れた後に、壁際で壁面に沿って上方へ流れるように向きを変え、更に天井付近でシーリングファンの方向へ向きを変えて、シーリングファンから再び下方へ流れることとなる。このようなことから、シーリングファンにより室内全体の空気を循環させることができるため、室内の隅々まで空気を撹拌することができる。
【0007】
そして、本構成では、天井に吊り下げられている複数の紫外線照射ユニットが、シーリングファンの周囲に設けられているため、天井付近においてシーリングファンへ向かう空気の流れの一部が、紫外線照射ユニットにおける本体ケース内の流通空間を通ることとなる。この際に、流通空間へ紫外線発光手段からの紫外線が照射されているため、流通空間を通る空気に含まれているウイルスや細菌等に、ダメージを与えることが可能となり、ウイルスや細菌等が減少した浄化された空気を本体ケースから外部(シーリングファン)へ流すことができる。
【0008】
ここで、紫外線照射ユニットが設けられる「シーリングファンの周囲」とは、平面視においてはシーリングファンを中心にしてブレードの回転軌跡の半径に対して0.5倍~2倍の円の範囲内であり、側面視においてはブレードよりも上方(ブレードと天井の間)の範囲内であり、ブレードの回転軌跡よりも外側にある場合は、ブレードよりも上方の範囲内に加えて、ブレードから下方へブレードと天井との間の距離の1/2の距離までの範囲内を含むものである。
【0009】
従って、シーリングファンの回転する複数のブレードが、室内の空気を隅々まで撹拌するため、隅々の空気を紫外線照射ユニットへ確実に到達させて浄化することができ、室内全体のウイルスや細菌等を従来と比較して短時間で減少させることが可能である。
【0010】
本発明にかかる室内空気浄化システムは、上記の構成に加えて、
「前記紫外線照射ユニットは、
前記本体ケースにおいて開口しており前記流通空間と連通している第一開口部と、
前記本体ケースにおいて前記第一開口部とは反対側で開口しており前記流通空間と連通している第二開口部と、
を更に有しており、
前記第一開口部を前記シーリングファンへ向けていると共に、前記複数のブレードよりも上方に設けられている」ことを特徴としても良い。
【0011】
本構成によれば、天井付近において壁側からシーリングファンへ向かう空気の通り道に対して、第二開口部が上流側を向くと共に、第一開口部が下流側を向くこととなるため、本体ケースの流通空間内に対して空気を通り易くすることができ、より多くの空気に紫外線発光手段からの紫外線を照射することができる。
【0012】
本発明にかかる室内空気浄化システムは、上記の構成に加えて、
「前記紫外線照射ユニットは、
前記流通空間内の空気を前記本体ケース外へ排出させるための排気ファンと、
該排気ファンを回転させる排気モータと、
を更に有している」ことを特徴としても良い。
【0013】
本構成によれば、排気モータにより排気ファンを回転させて流通空間内の空気を本体ケース外へ排出させると、本体ケース内(流通空間)を負圧にすることができるため、より多くの空気を流通空間へ吸い込ませることができる。従って、より多くの空気に紫外線発光手段からの紫外線を照射させることができ、より短時間で室内空気のウイルスや細菌等を減少させて浄化することができる。
【0014】
本発明にかかる室内空気浄化システムは、上記の構成に加えて、
「前記紫外線照射ユニットは、
前記流通空間を仕切るように設けられている通気性を有するフィルタを、更に有しており、
該フィルタには光触媒が担持されている」ことを特徴としても良い。
【0015】
本構成によれば、フィルタに紫外線発光手段や室内照明等からの光が照射されることで、光応答性により酸化還元反応などの化学反応が促進され、常温であってもフィルタを通る空気中のウイルスや細菌、有害物質、等を効果的に殺菌したり分解したりすることができ、室内空気をより浄化することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の効果として、室内の空間におけるウイルスや細菌等を比較的短時間で減少させることが可能な室内空気浄化システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態である室内空気浄化システムを側面から概略で示す説明図である。
図2図1の室内空気浄化システムを平面から概略で示す説明図である。
図3図1の室内空気浄化システムの紫外線照射ユニットの内部構成を概略で示す説明図である。
図4図1の室内空気浄化システムの変形例を側面から概略で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施形態である室内空気浄化システム1について、図1乃至図3を参照して詳細に説明する。室内空気浄化システム1は、室内2の空間におけるウイルスや細菌等を比較的短時間で減少させて空気を浄化させることが可能なものである。室内2としては、教室、体育館、工場、倉庫、映画館、公民館、催し会館、を例示することができる。室内2としては、高さを5m~15m、横幅を10m~30m、とすることができる。
【0019】
室内空気浄化システム1は、室内2の天井2aに吊り下げられているシーリングファン10と、シーリングファン10の周囲で天井2aに吊り下げられている複数の紫外線照射ユニット20と、を備えている。
【0020】
シーリングファン10は、天井から吊り下げられるケーシング11と、ケーシング11に取付けられているシーリングファンモータ12と、ケーシング11により回転可能に支持されておりシーリングファンモータ12により回転するハブ13と、ハブ13から放射状に延出するようにハブ13に取付けられている複数のブレード14と、を備えている。ブレード14の数は、2枚~10枚とすることができ、4枚~6枚とすれば重量と送風効果のバランスが良く、好適である。
【0021】
シーリングファンモータ12は、回転軸を水平方向へ向けてケーシング11に取付けられている。ハブ13は、ケーシング11の下端において上下方向へ延びている軸周りに対して回転可能に支持されている。図示は省略するが、ケーシング11内には、シーリングファンモータ12からの回転をハブ13へ伝達させるための複数のギアが設けられている。
【0022】
ブレード14は、基端がハブ13に取付けられ外方へ延出している棒状のシャフト部14aと、シャフト部14aが挿通されている中空の帯板状のウイング部14bと、ウイング部14bの基端に設けられている内側ウイングレット14cと、ウイング部14bの先端に設けられている外側ウイングレット14dと、から構成されている。ウイング部14bの基端は、シャフト部14aの基端よりも外方に位置している。ウイング部14bは、二つの長辺の一方が他方よりも低くなるように、水平面に対して傾斜している。内側ウイングレット14c及び外側ウイングレット14dは、ブレード14の長手方向に対して交差する方向へ平板状に延出している。
【0023】
本実施形態のブレード14は、基端側にウイング部14bの無い部位を有している。従って、シーリングモータ12によりハブ13を回転させると、ウイング部14bの軌跡がドーナツ状となり、その中心部分にウイング部14bの無い無翼空間(図2において一点鎖線で囲まれている空間)が形成される。このブレード14先端の回転軌跡の直径は、5m~10mとすることができる。本実施形態のシーリングファン10は、天井2aから下方へ1m~2mの部位にブレード14が位置するように吊り下げられることが望ましい。
【0024】
紫外線照射ユニット20は、室内の空気が流通可能な流通空間21aを有する中空容器状の本体ケース21と、本体ケース21において開口しており流通空間21aと連通している第一開口部22と、本体ケース21において第一開口部22とは反対側で開口しており流通空間21aと連通している第二開口部23と、本体ケース21内の流通空間21aへ紫外線を照射する紫外線発光手段24と、流通空間21aを仕切るように設けられている通気性を有するフィルタ25と、を備えている。
【0025】
また、紫外線照射ユニット20は、第一開口部22から本体ケース21内の空気を排出させるための排気ファン26と、排気ファン26を回転させる排気モータ27と、本体ケース21を天井2aから吊り下げている吊下具28と、を備えている。排気ファン26は、第一開口部22に設けられている。
【0026】
本体ケース21は、底辺が長方形の四角錘状の上カバー21bと、上カバー21bの下端の長辺同士を繋いでいると共に中央が下方へ膨出するように湾曲している下カバー21cと、を備えている。上カバー21bと下カバー21cとの間に、空気が流通する流通空間21aが形成されている。本体ケース21の上カバー21bにおける下カバー21cとの境界付近に第一開口部22及び第二開口部23が開口している。図3に示すように、第一開口部22及び第二開口部23の上端辺よりも、下カバー21cの上端辺の方が、水平方向の外方へ張り出している。つまり、第一開口部22及び第二開口部23の夫々の開口面は、斜め上方へ向いている。
【0027】
本体ケース21は、第一開口部22の上端から内部中央へ向かって延出している上棚部21dと、第二開口部23の下端から内部中央へ向かって延出している下棚部21eと、を備えている。上棚部21d及び下棚部21eにより流通空間21aでの空気の流れを誘導するようにしている。
【0028】
本体ケース21は、少なくとも下カバー21cが紫外線を透過させない素材により形成されている。これにより、紫外線発光手段24からの紫外線が下カバー21cを通って下方へ漏れることはなく、在室者に紫外線が直接照射されることはない。なお、上カバー21bを、紫外線が透過する素材により形成した場合、紫外線発光手段24からの紫外線が上カバー21bを通って上方の天井2aへ照射されることとなり、在室者への影響を抑制しつつ、紫外線照射ユニット20の上方を流れる空気中のウイルスや細菌等に対して殺菌効果を期待することができる。なお、本体ケース21は、上記の形状に限定されない。
【0029】
紫外線発光手段24は、本体ケース21内の中央において、互いに対面するように上下に離隔して二つ設けられている。二つの紫外線発光手段24は、互いの間の空間(流通空間21a)へ紫外線を照射可能に設けられている。本実施形態の紫外線発光手段24は、波長が200nm~300nmの深紫外線を発光可能なLED(深紫外線LED)である。
【0030】
フィルタ25は、二つの紫外線発光手段24の間を斜めに横切るように設けられている。従って、フィルタ25の両面には、二つの紫外線発光手段24からの紫外線が夫々照射される。換言すると、紫外線発光手段24は、フィルタ25に向けて紫外線を照射している。本実施形態のフィルタ25は、不織布や紙等の多孔質基材に、光触媒を担持させたものである。光触媒は、紫外線応答性を有する二酸化チタンを使用している。フィルタ25は、本体ケース21に対して着脱可能に設けられており、定期的な交換が可能とされている。
【0031】
吊下具28は、棒状で剛性を有している。この吊下具28により本体ケース21を吊り下げることにより、排気ファン26の回転より風を発生させても、本体ケース21が揺れたり向きを変えたりすることはない。
【0032】
紫外線照射ユニット20は、シーリングファン10の周囲に設けられている。詳述すると、紫外線照射ユニット20は、シーリングファン10における複数のブレード14よりも上方で、ブレード14の回転軌跡よりも外方に、設けられている。詳述すると、紫外線照射ユニット20は、平面視においてはシーリングファン10を中心にしてブレード14の回転軌跡の半径の1倍~2倍の円の範囲内で、側面視においてはブレード14と天井2aとの間の範囲内の高さに設けられている。また、紫外線照射ユニット20は、第一開口部22がシーリングファン10へ向けられている。
【0033】
本実施形態の紫外線照射ユニット20は、シーリングファン10の複数のブレード14よりも上方の部位に吊り下げられている。紫外線照射ユニット20は、シーリングファン10を中心として、ブレード14の先端の回転軌跡よりも外方の位置で、周方向へ一定の間隔をあけて複数(ここでは6個)設けられている。各紫外線照射ユニット20は、第一開口部22がシーリングファン10へ向けて開口するように、天井2aに吊り下げられている。なお、紫外線照射ユニット20の数は、室内2の広さに応じて増減すれば良い。
【0034】
本実施形態では、紫外線照射ユニット20が、天井2aから0.4m以上離れて設けられていると共に、壁2cから1.6m以上離れて設けられている。これにより、紫外線照射ユニット20から上方へ紫外線が照射されるような場合、天井2aや壁2c等において反射した紫外線による在室者への影響を可及的に低減させることができる。また、第一開口部22及び第二開口部23の部位において、上カバー21bよりも下カバー21cが外方まで張り出させているため、紫外線が天井2aから反射したとしても、下カバー21cにより遮ることができる。
【0035】
本実施形態の室内空気浄化システム1によれば、室内2の天井2aに吊り下げられているシーリングファン10において、下方へ空気が流れるように、シーリングファンモータ12により複数のブレード14を適宜の方向へ回転させる。これにより、複数のブレード14よりも上方の天井2a付近の空気が、吸い込まれるようにしてシーリングファン10から下方へ流れ、床2b付近で床面に沿って広がるように流れた後に、壁際で壁2cに沿って上方へ流れるように向きを変え、更に天井2a付近でシーリングファン10の方向へ向きを変えて、シーリングファン10から再び下方へ流れることとなる。
【0036】
このシーリングファン10は、ブレード14の中央にウイング部14bのない空間(無翼空間)があるため、当該無翼空間によりファンの中心部分を通過するような上下方向の空気の流れを生じさせることができる。また、ウイング部14bの両端に設けられている内側ウイングレット14c及び外側ウイングレット14dにより、ウイング部14bの翼端でのカルマン渦の生成を抑制させることができる。これらの相乗効果により、従来のシーリングファンに比べて風量が大きくファン効率が高いと共に、より均一な空気の流れを生じさせることができ、室内2全体の空気を十分に循環させることができる。このようなことから、シーリングファン10により室内2全体の空気を循環させることができるため、室内2の隅々まで空気を撹拌することができる。
【0037】
そして、天井2aに吊り下げられている複数の紫外線照射ユニット20が、シーリングファン10の周囲として、ブレード14よりも上方でブレード14の回転軌跡よりも外方の部位に設けられているため、天井2a付近においてシーリングファン10へ向かう空気の流れの一部が、紫外線照射ユニット20の流通空間21aを通ることとなる。この紫外線照射ユニット20では、排気モータ27により排気ファン26を回転させて流通空間21a内の空気を第一開口部22から本体ケース21外へ排出させると、本体ケース21内(流通空間21a)を負圧にすることができるため、より多くの空気を第二開口部23から本体ケース21内へ吸い込ませることができる。
【0038】
紫外線照射ユニット20の第二開口部23に吸い込まれた空気は、流通空間21aへ流入し、流通空間21aを仕切っているフィルタ25を通って排気ファン26の回転により第一開口部22からシーリングファン10へ向かうように排出される。この際に、流通空間21aに紫外線発光手段24からの紫外線が照射されているため、流通空間21aを通る空気に含まれているウイルスや細菌等に、ダメージを与えてある程度殺菌することができる。また、紫外線発光手段24は、光触媒として二酸化チタンを担持させたフィルタ25の両面にも紫外線を照射しているため、紫外線応答性を有する二酸化チタンの触媒作用により、酸化還元反応などの化学反応が促進され、常温であっても空気中のウイルスや細菌、有害物質、等を効果的に殺菌したり分解したりして浄化することができる。また、フィルタ25により、空気中に含まれている塵や埃等も減少させることができる。このようなことから、紫外線照射ユニット20では、第二開口部23から吸い込んだ空気中のウイルスや細菌等を減少させて、浄化された空気を第一開口部22からシーリングファン10へ流すことができる。
【0039】
従って、シーリングファン10の回転する複数のブレード14が、室内2の空気を隅々まで撹拌するため、隅々の空気を紫外線照射ユニット20へ確実に到達させて浄化することができ、室内2全体のウイルスや細菌等を従来と比較して短時間で減少させることができる。
【0040】
また、本実施形態の室内空気浄化システム1によれば、シーリングファン10と複数の紫外線照射ユニット20とを、天井2aに吊り下げているため、室内2において床面全体を有効活用することができる。
【0041】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。以下では、上記と同じ構成については、同じ符号を付し、説明は省略する。
【0042】
例えば、上記の実施形態では、シーリングファン10と複数の紫外線照射ユニット20とで構成した室内空気浄化システム1を示したが、これに限定するものではなく、図4に示すような、室内空気浄化システム1Aとしても良い。この室内空気浄化システム1Aは、シーリングファン10と複数の紫外線照射ユニット20とに加えて、複数の空気清浄機30が更に備えられている。室内空気浄化システム1Aのシーリングファン10と紫外線照射ユニット20は、上記と同じ構成であり、同じ符号を付してここでの説明は省略する。
【0043】
室内空気浄化システム1Aの空気清浄機30は、室内2の空気を側面から吸い込んで、清浄にした空気を上方へ吹き出すことができるものである。空気清浄機30は、公知技術を使用したものであり、詳細な説明は省略する。空気清浄機30は、室内2の床2bにおける壁2cの近傍(壁際)に載置されている。空気清浄機30は、室内2の四隅に夫々設けられている。なお、空気清浄機30の数は、室内2の広さに応じて増減すれば良い。
【0044】
図4の室内空気浄化システム1Aによれば、室内2の床2bに複数の空気清浄機30を載置しているため、空気清浄機30によって、空気中のウイルスや細菌等を減少させることができると共に、壁際での上方への空気の流れを促して室内2全体の空気を循環させ易くすることができる。
【0045】
また、上記の実施形態では、シーリングファン10として、全長に対してハブ13に近い基端側にウイング部14bを設けていないブレード14を備えたものを示したが、これに限定するものではなく、全長に亘ってウイング部が設けられているブレードを備えたシーリングファンとしても良い。
【0046】
更に、上記の実施形態では、シーリングファン10の周囲として、シーリングファン10を中心にしてブレード14の回転軌跡の半径の1倍~2倍の円の範囲内で、ブレード14と天井2aとの間の範囲内の高さに紫外線照射ユニット20を設けたものを示したが、これに限定するものではなく、ブレード14の回転軌跡の外周よりも外側に紫外線照射ユニット20を設ける場合、ブレード14と天井2aとの間の距離の1/2の距離までブレード14よりも下方に設けても良い。或いは、ブレード14の上方に紫外線照射ユニット20を設ける場合、ブレード14の回転軌跡の外周よりも内側で回転軌跡の半径の0.5倍の円までの範囲内に設けても良い。
【0047】
また、上記の実施形態では、紫外線照射ユニット20として、二つの紫外線発光手段24を備えたものを示したが、これに限定するものではなく、一つ、又は、三つ以上の紫外線発光手段24を備えたものとしても良い。
【0048】
更に、上記の実施形態では、フィルタ25として、光触媒を担持させたものを示したが、これに限定するものではなく、光触媒を担持させていないものとしても良い。この場合、紫外線発光手段24からの紫外線をフィルタへ向けて照射させても良いが、フィルタへ向けずに単に流通空間へのみ向けて照射させても良い。また、フィルタ25を設けていない紫外線照射ユニット20としても良い。
【0049】
また、上記の実施形態では、紫外線発光手段24を深紫外線LEDとしたものを示したが、これに限定するものではなく、紫外線LED、蛍光灯タイプの殺菌灯(水銀灯)、等としても良い。
【0050】
また、上記の実施形態では、紫外線照射ユニット20として、排気ファン26及び排気モータ27が設けられているものを示したが、これに限定するものではなく、排気ファン及び排気モータが設けられていない紫外線照射ユニットとしても良い。また、紫外線照射ユニット20に、吸気ファン及び吸気モータを設けても良い。
【符号の説明】
【0051】
1 室内空気浄化システム
1A 室内空気浄化システム
2 室内
2a 天井
2b 床
2c 壁
10 シーリングファン
12 シーリングファンモータ
13 ハブ
14 ブレード
20 紫外線照射ユニット
21 本体ケース
21a 流通空間
21b 上カバー
21c 下カバー
21d 上棚部
21e 下棚部
22 第一開口部
23 第二開口部
24 紫外線発光手段
25 フィルタ
26 排気ファン
27 排気モータ
28 吊下具
30 空気清浄機

図1
図2
図3
図4