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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117952
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】熱付着PETフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20220804BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220804BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20220804BHJP
   B29C 48/21 20190101ALI20220804BHJP
   B29C 48/305 20190101ALI20220804BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B27/00 E
B29C48/08
B29C48/21
B29C48/305
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007383
(22)【出願日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0013942
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522028076
【氏名又は名称】ジョ イクレ
【氏名又は名称原語表記】JO, Ig Lae
【住所又は居所原語表記】601ho 202dong, 19, Woni-daero 863beon-gil, Seongsan-gu, Changwon-si, Gyeongsangnam-do, 51485 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】522028087
【氏名又は名称】カン ヨンジェ
【氏名又は名称原語表記】KANG, Yong Je
【住所又は居所原語表記】501ho 110dong, 22, Myeongji ocean city 11-ro, Gangseo-gu, Busan, 46765 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョ イクレ
(72)【発明者】
【氏名】カン ヨンジェ
【テーマコード(参考)】
4F100
4F207
【Fターム(参考)】
4F100AA08
4F100AA08C
4F100AA20
4F100AA20C
4F100AA21
4F100AA21C
4F100AB03
4F100AB03D
4F100AB10
4F100AB10D
4F100AK42
4F100AK42A
4F100AK42B
4F100AK42C
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100DE01
4F100DE01C
4F100EH20
4F100EH20A
4F100EH20B
4F100EH20C
4F100EJ42
4F100GB41
4F100JK02
4F100JK08
4F100JL12
4F100JL12A
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F207AA24
4F207AA24J
4F207AG01
4F207AG03
4F207KA01
4F207KA17
4F207KB26
4F207KK64
4F207KL84
(57)【要約】
【課題】接着剤を使わず、熱によって金属の表面に容易に付着することができる熱付着PETフィルムを提供する。
【解決手段】前記PETフィルムは、中問層と前記中問層の両面にそれぞれ結合された表面層及び熱付着層とを含む共押出し(Coextrusion)PETフィルムであり、前記熱付着層は、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-Cyclohexane Dimethanol)、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)及び1,4-ブタンジオール(1,4-Butanediol)を同時に使用して変性されたPET(Polyethylene terephthalate)樹脂100重量部に対し、イソフタル酸(Isophthalic acid)によって変性されたPET樹脂10~50重量部を含んでなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属に熱によって付着可能なPET(Polyethylene terephthalate)フィルムであって、
前記PETフィルムは、中問層と前記中問層の両面にそれぞれ結合された表面層及び熱付着層とを含む共押出し(Coextrusion)PETフィルムであり、
前記熱付着層は、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-Cyclohexane Dimethanol)、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)及び1,4-ブタンジオール(1,4-Butanediol)を同時に使用して変性されたPET(Polyethylene terephthalate)樹脂100重量部に対し、イソフタル酸(Isophthalic acid)によって変性されたPET樹脂10~50重量部を含んでなることを特徴とする、熱付着PETフィルム。
【請求項2】
前記表面層は、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-Cyclohexane Dimethanol)によって変性されたPET樹脂100重量部に対し、二酸化珪素(SiO)、二酸化チタン(TiO)、炭酸カルシウム(CaCO)及びこれらの混合物からなる群から選択される無機粒子1~20重量%がブレンドされたPET樹脂1~5重量部及びイソフタル酸(Isophthalic acid)によって変性されたPET樹脂2~10重量部を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の熱付着PETフィルム。
【請求項3】
前記中問層は、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)によって変性されたPET樹脂100重量部に対し、1,4-ブタンジオール(1,4-Butanediol)によって変性されたPET樹脂50~100重量部及びナフタル酸(Naphthalic acid)によって変性されたPET樹脂5~15重量部を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の熱付着PETフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPETフィルムに関し、より詳しくは熱によって金属の表面に容易に付着することができる熱付着PETフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品のケース又は多様な産業器機のケースなどには、亜鉛メッキ鋼板又はスズメッキ鋼板などのような多様な鋼板又はその他の金属板の表面にPETフィルムが付着されたフィルム付着金属板が使われる。このように、PETフィルムの付着された金属板は金属板に付着されたPETフィルムによって優れた審美性を有するだけでなく、耐スクラッチ性に優れ、その表面に多様なパターン及び文字を容易に印刷することができるという利点がある。
【0003】
従来は、金属板の表面に接着剤を塗布し、塗布された接着剤を用いて金属板の表面にPETフィルムを付着した。しかし、このような従来技術の場合、PETフィルムを付着する過程にコストが高くかかり、生産性が落ち、PETフィルム付着過程で不良率が高く、製造過程で接着剤に含まれた揮発性有機溶剤によって人体に有害な有機化合物(VOCs)が発生する問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2012-0077904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述したような点に鑑みて案出されたものであり、接着剤を使わず、熱によって金属の表面に容易に付着することができる熱付着PETフィルムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の目的は上述したものに限定されず、言及しなかった他の目的は下記の記載から通常の技術者に明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、金属に熱によって付着可能なPET(Polyethylene terephthalate)フィルムであって、前記PETフィルムは、中問層と前記中問層の両面にそれぞれ結合された表面層及び熱付着層とを含む共押出し(Coextrusion)PETフィルムであり、前記熱付着層は、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-Cyclohexane Dimethanol)、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)及び1,4-ブタンジオール(1,4-Butanediol)を同時に使用して変性されたPET(Polyethylene terephthalate)樹脂100重量部に対し、イソフタル酸(Isophthalic acid)によって変性されたPET樹脂10~50重量部を含んでなる。
【0008】
前記表面層は、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-Cyclohexane Dimethanol)によって変性されたPET樹脂100重量部に対し、二酸化珪素(SiO)、二酸化チタン(TiO)、炭酸カルシウム(CaCO)及びこれらの混合物からなる群から選択される無機粒子1~20重量%がブレンドされたPET樹脂1~5重量部及びイソフタル酸(Isophthalic acid)によって変性されたPET樹脂2~10重量部を含んでなることができる。
【0009】
前記中問層は、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)によって変性されたPET樹脂100重量部に対し、1,4-ブタンジオール(1,4-Butanediol)によって変性されたPET樹脂50~100重量部及びナフタル酸(Naphthalic acid)によって変性されたPET樹脂5~15重量部を含んでなることができる。
【発明の効果】
【0010】
上述したような本発明による場合、熱を加えるのみで金属の表面に容易に付着されることができるPETフィルムを得ることができる。
【0011】
また、本発明による熱付着PETフィルムは、金属の表面にPETフィルムを付着する過程で接着剤を使わなくても良いので、環境に優しいという利点がある。
【0012】
また、金属板にPETフィルムを付着する過程で接着剤を使っていた従来に比べ、不良率を減らすことができ、生産性を向上させることができ、経済性に優れるという利点がある。
【0013】
本発明の効果は上述したものに限定されず、言及しなかった他の効果は下記の記載から通常の技術者に明らかに理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例によるPETフィルムの構造を説明するための断面図である。
図2】アルミニウム板に本発明の実施例によって製造されたPETフィルムを熱付着した結果物を撮影して示した図である。
図3】スズメッキ鋼板に本発明の実施例によって製造されたPETフィルムを熱付着した結果物を撮影して示した図である。
図4】クロムメッキ鋼板に本発明の実施例によって製造されたPETフィルムを熱付着した結果物を撮影して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施例について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は様々な形態に具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0016】
明細書全般で、ある部分がある構成要素を“含む”というとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むものを意味することができる。
【0017】
本発明の発明者らは家電製品のケースなどに使われるPET(Polyethylene terephthalate)フィルムの付着された金属板を研究する過程で接着剤の使用なしにも熱によって金属に付着することができるPETフィルムの必要性に注目し、多様な物質によって変性されたPET(Polyethylene terephthalate)樹脂を配合し、これらを共押出し(Coextrusion)して3層構造にPETフィルムを製造する場合、製造されるPETフィルムが基本物性を満たしながらも熱によって金属の表面に容易に付着されることを確認することによって本発明を完成した。
【0018】
本発明によるPETフィルムは主に金属板に熱によって付着されるための用途に非常に相応しく使われることができるが、本発明がここに限られるものではなく、本発明によるPETフィルムは金属板以外の多様な形状の金属に熱によって付着される用途に活用可能である。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の一実施例によるPETフィルム100は、中問層120と、前記中問層120の両面にそれぞれ結合された表面層110及び熱付着層130とから構成され、共押出し(Coextrusion)方式で製造される。
【0020】
前記表面層110は遮断及び印刷機能のために備えられ、前記熱付着層は金属との熱付着機能のために備えられ、前記中問層120は前記表面層110と熱付着層との結合及び表面層110と一緒に遂行する遮断機能のために備えられる。
【0021】
前記表面層110は、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-Cyclohexane Dimethanol)によって変性されたPET樹脂100重量部に対し、二酸化珪素(SiO)、二酸化チタン(TiO)、炭酸カルシウム(CaCO)及びこれらの混合物からなる群から選択される無機粒子1~20重量%がブレンドされたPET樹脂1~5重量部、及びイソフタル酸(Isophthalic acid)によって変性されたPET樹脂2~10重量部を含んでなる。
【0022】
前記のような表面層110の成分及びその成分比は本発明を完成する過程で無数の繰り返し実験の結果として得られた最適値であり、前記のように表面層110の成分及び成分比を特定する場合、遮断及び印刷機能を有しながらも後述する中問層120と堅固に結合することができる。
【0023】
前記中問層120は、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)によって変性されたPET樹脂100重量部に対し、1,4-ブタンジオール(1,4-Butanediol)によって変性されたPET樹脂50~100重量部、及びナフタル酸(Naphthalic acid)によって変性されたPET樹脂5~15重量部を含んでなる。
【0024】
前記のような中問層120の成分及びその成分比は本発明を完成する過程で無数の繰り返し実験の結果として得られた最適値であり、前記のように中問層120の成分及び成分比を特定する場合、中問層120が表面層110とともに遮断機能を遂行しながらも表面層110及び熱付着層130を堅固に結合させることができる。
【0025】
前記熱付着層130は、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-Cyclohexane Dimethanol)、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)及び1,4-ブタンジオール(1,4-Butanediol)を同時に使用して変性されたPET(Polyethylene terephthalate)樹脂100重量部に対し、イソフタル酸(Isophthalic acid)によって変性されたPET樹脂10~50重量部を含んでなる。
【0026】
前記のような熱付着層130の成分及びその成分比は本発明を完成する過程で無数の繰り返し実験結果として得られた最適値であり、前記のように熱付着層130の成分及び成分比を特定する場合、熱付着層130が中問層120と堅固に結合されながら熱によって金属の表面に堅固に結合されることができる。
【0027】
また、本発明によるPETフィルムを成す表面層、中間層及び熱付着層を成す樹脂のそれぞれには通常のPETフィルム製造に使われる多様な添加剤をさらに含むことができ、これは通常の技術者に明らかな事項であるのでその詳細な説明は省略する。
【0028】
以下、実施例及び試験例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
実施例:熱付着PETフィルムの製造
表面層、中問層及び熱付着層の3層構造を有する延伸共押出しPETフィルムを製造した。
【0029】
表面層の樹脂としては、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-Cyclohexane Dimethanol)によって変性されたPET樹脂と二酸化珪素(SiO)10重量%がブレンドされたPET樹脂とイソフタル酸(Isophthalic acid)によって変性されたPET樹脂とを100:3:5の比で使った。
【0030】
中問層の樹脂としては、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)によって変性されたPET樹脂と1,4-ブタンジオール(1,4-Butanediol)によって変性されたPET樹脂とナフタル酸(Naphthalic acid)によって変性されたPET樹脂とを100:75:10の比で使った。
【0031】
熱付着層の樹脂としては、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-Cyclohexane Dimethanol)、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)及び1,4-ブタンジオール(1,4-Butanediol)を同時に使用して変性されたPET(Polyethylene terephthalate)樹脂とイソフタル酸(Isophthalic acid)によって変性されたPET樹脂とを100:30の比で使った。
【0032】
表面層樹脂、中問層樹脂及び熱付着層樹脂のそれぞれを2軸押出機で溶融した。ここで、表面層の押出機の温度は220-240-270-270-270-270℃、中問層押出機の温度は200-230-260-260-260-260℃、熱付着層押出機の温度は200-230-255-255-255-255℃に制御した。それぞれの押出機を通過した溶融樹脂を265℃のTダイを通して共押出しした後、冷却ローラーによって室温に速かに冷却させた。次いで、共押出しされた樹脂を80℃に予熱した後、機械方向に3倍、幅方向に4倍に延伸することで、2軸延伸されたPETフィルムを製造した。
【0033】
フィルムの層別の厚さは、表面層8μm、中問層20μm、熱付着層8μmにして総36μmの厚さを有する2軸延伸されたPETフィルムを製造した。
【0034】
比較例
市販の36μmの厚さを有するPETフィルムを比較例として選定した。
【0035】
物性試験
前記実施例によって製造されたPETフィルム及び比較例によって製造されたPETフィルムを対象として物性試験を遂行し、その結果を下記の表に記載した。
【0036】
前記表の結果から分かるように、本発明の実施例によって製造されたPETフィルムは市販中の比較例によるPETフィルムと基本物性が類似するように現れることが分かった。
【0037】
熱付着試験
前記実施例によって製造されたPETフィルムが金属板に熱付着できるかをテストした。熱付着テストは、温度230℃、ローラー圧力3MPa、速度25m/minの条件で遂行した。
【0038】
図2はアルミニウム板に本発明の実施例によって製造されたPETフィルムを熱付着した結果物を撮影して示した図であり、図3はスズメッキ鋼板に本発明の実施例によって製造されたPETフィルムを熱付着した結果物を撮影して示した図であり、図4はクロムメッキ鋼板に本発明の実施例によって製造されたPETフィルムを熱付着した結果物を撮影して示した図である。
【0039】
図面に示したように、本発明の実施例によって製造されたPETフィルムは、多様な金属板に熱によって堅固に付着されることを確認することができた。
【0040】
すなわち、本発明によって製造されたPETフィルムは、従来のように接着剤を使わず、熱を加えるのみでも多様な金属に容易で堅固に結合されることを確認することができた。
【0041】
これまで本発明を本発明の原理を例示するための好適な実施例に基づいて図示しながら説明したが、本発明はそのように図示しながら説明した通りの構成及び作用に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の思想及び範囲を逸脱することなしに、本発明に対する多数の変更及び修正が可能であるというのが本発明の属する技術分野の通常の技術者はよく理解可能であろう。
【符号の説明】
【0042】
100 PETフィルム
110 表面層
120 中問層
130 熱付着層
図1
図2
図3
図4