(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117955
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】車両のための無線電力伝送及びデータ変調のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20220804BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220804BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20220804BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/10
H02J50/40
B60R16/02 645Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022008941
(22)【出願日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】17/164,166
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507238218
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】リウ ヤンホー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ チャンチー
(72)【発明者】
【氏名】請川 紘嗣
(72)【発明者】
【氏名】ウー クンファン
(72)【発明者】
【氏名】ワン メンチー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ウェイヤン
(57)【要約】
【課題】車両における無線電力伝送のためのシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】本無線電力伝送システムは、センサー(例えば、LiDARやGPSなど)及びカメラなどの車両の少なくとも1つのデバイスにHFAC電力信号を無線で伝送するためのトランスミッタ及び電源と電気的に結合される高周波交流(HFAC)インバータを含むことができる。HFAC電力信号は、無線電力及びデータ信号を車両の少なくとも1つのデバイスに供給する。無線電力伝送システムは、電力をデバイスに供給するためのケーブル及び配線の必要性を排除することができる。無線電力伝送は、重ね合わされたデータとしてパルス電流をHFAC電力信号に注入するためのデータ変調回路及びパルス電流源の使用を含むことができる。システム構成は、複数のデバイスに電力を供給することができる。システムは、デバイスの複数のセットに電力を供給するために複数のHFACインバータ及びトランスミッタを含むことができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のための無線電力伝送システムであって、
少なくとも1つのバッテリーユニットを含む電源と、
前記電源と電気的に結合される高周波交流(HFAC)インバータと、
前記HFACインバータと電気的に結合されるトランスミッタと、
前記HFACインバータ及び前記トランスミッタと電気的に結合されるコントローラーと、を備え、
前記コントローラーは、
前記HFACインバータ及び前記トランスミッタを有効にし、
HFAC電力信号を車両の少なくとも1つのデバイスに無線で伝送するように前記HFACインバータ及び前記トランスミッタを制御し、前記HFAC電力信号は無線電力を前記少なくとも1つのデバイスに供給し、
データ信号を車両の前記少なくとも1つのデバイスに供給するように、前記HFAC電力信号の変調を制御するように構成される、
無線電力伝送システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバッテリーユニットは、直流(DC)送電線によって前記HFACインバータと結合される、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項3】
前記HFACインバータは、前記少なくとも1つのバッテリーユニットから受容されるDC電力を高周波AC電力信号に変換する、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項4】
前記トランスミッタは、高周波電界を生成して、前記少なくとも1つのデバイスに無線で電力を供給するように構成される、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項5】
前記トランスミッタは、パルス電流を前記HFAC電力信号に注入するためにパルス電流源を用いるデータ変調回路を含み、データは伝送されたHFAC電力信号に重ね合わされる、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項6】
無線電力出力のための前記HFACインバータ及び前記トランスミッタを制御することは、前記車両の前記少なくとも1つのデバイスを活性化することを含む、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項7】
前記電源と電気的に結合される少なくとも1つの追加の高周波交流(HFAC)インバータと、前記少なくとも1つの追加のHFACインバータと電気的に結合される少なくとも1つの追加のトランスミッタとをさらに備え、前記少なくとも1つの追加のHFACインバータ及び前記少なくとも1つの追加のトランスミッタは、追加のHFAC電力信号を供給してデータを車両の少なくとも1つの追加のデバイスに供給する、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項8】
前記データ信号は、運用のために前記車両の前記少なくとも1つのデバイスを活性化する、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項9】
前記コントローラーは、前記車両の前記少なくとも1つのデバイスへの電力を非活性化するように構成される、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項10】
車両システムであって、
少なくとも1つのバッテリーユニットを含む電源と、
前記電源と電気的に結合される高周波交流(HFAC)インバータと、
前記HFACインバータと電気的に結合されるトランスミッタと、
少なくとも1つのデバイスと、
前記HFACインバータ及び前記トランスミッタと電気的に結合されるコントローラーと、を備え、
前記コントローラーは、
前記HFACインバータ及び前記トランスミッタを有効にし、
HFAC電力信号を車両の前記少なくとも1つのデバイスに無線で伝送するように前記HFACインバータ及び前記トランスミッタを制御し、前記HFAC電力信号は無線電力を前記少なくとも1つのデバイスに供給し、
データ信号を車両の前記少なくとも1つのデバイスに供給するために前記HFAC電力信号の変調を制御するように構成される、
車両システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのバッテリーユニットは、直流(DC)送電線によって前記HFACインバータと結合され、前記DC送電線は複数のHFACインバータと結合される、請求項10に記載の車両システム。
【請求項12】
前記HFACインバータは、前記少なくとも1つのバッテリーユニットから受容されるDC電力を高周波AC電力信号に変換する、請求項10に記載の車両システム。
【請求項13】
前記トランスミッタは、高周波電界を生成して前記少なくとも1つのデバイスに無線で電力を供給するように構成される、請求項10に記載の車両システム。
【請求項14】
前記トランスミッタは、パルス電流を前記HFAC電力信号に注入するためにパルス電流源を用いるデータ変調回路を含み、データは伝送されたHFAC電力信号に重ね合わされる、請求項10に記載の車両システム。
【請求項15】
無線電力出力のための前記HFACインバータ及び前記トランスミッタを制御することは、前記車両の前記少なくとも1つのデバイスを活性化することを含む、請求項10に記載の車両システム。
【請求項16】
前記電源と電気的に結合される少なくとも1つの追加の高周波交流(HFAC)インバータと、前記少なくとも1つの追加のHFACインバータと電気的に結合される少なくとも1つの追加のトランスミッタとをさらに備え、前記少なくとも1つの追加のHFACインバータ及び前記少なくとも1つの追加のトランスミッタは、追加のHFAC電力信号を供給して、データを車両の少なくとも1つの追加のデバイスに供給する、請求項10に記載の車両システム。
【請求項17】
前記データ信号は、運用のために前記車両の前記少なくとも1つのデバイスを活性化する、請求項10に記載の車両システム。
【請求項18】
前記コントローラーは、前記車両の前記少なくとも1つのデバイスへの電力を非活性化するように構成される、請求項10に記載の車両システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのデバイスは、概して、センサー、カメラ、及び車両デバイスのうちの少なくとも1つを備える、請求項10に記載の車両システム。
【請求項20】
車両のために無線電力伝送を制御するための方法であって、
コントローラーにより、電源及びトランスミッタと電気的に結合される高周波交流(HFAC)インバータを有効にすることと、
前記コントローラーにより、HFAC電力信号を車両の少なくとも1つのデバイスに無線で伝送するように前記HFACインバータ及び前記トランスミッタを制御することであって、前記HFAC電力信号は無線電力を前記少なくとも1つのデバイスに供給することと、
前記コントローラーにより、データ信号を車両の前記少なくとも1つのデバイスに供給するように前記HFAC電力信号の変調を制御することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に説明される実施形態は、概して、車両内の電力伝送に関連し、より具体的には、無線電力車両コンポーネントへの電力伝送のためのシステム及び方法に関連し、電力伝送を伴うデータを提供する。
【背景技術】
【0002】
車両、特に自律的車両は、かなりの電力を引き出す多くのセンサーを使用している。自律的車両及び自律的運用が車両でより普及するにつれて、電気負荷及び車両の電力要件が増加する。補助負荷プロファイルも増加し、より多くの補助電力が必要とされる。現在の車両の場合、電力を増やすには、エネルギーを供給するための多くの送電線を必要とする。追加のデバイスの配置及び配布も、新しい設計要件及び電力構成の改善を生み出してもよい。ワイヤー及びケーブルを追加すると、かなりの電気的損失を持ち込み、車両の重量が増える可能性がある。車両のために改善された電力システムの必要性が現われる。また、車両のセンサー及びコンポーネントに電力及びデータを供給する改善された方法の必要性も現われる。
【発明の概要】
【0003】
車両の無線電力伝送のためのシステム及び方法を説明する。車両のための無線電力伝送システムの一実施形態は、少なくとも1つのバッテリーユニットを含む電源、電源と電気的に結合される高周波交流(HFAC)インバータ、HFACインバータと電気的に結合されるトランスミッタ、並びに、HFACインバータ及びトランスミッタと電気的に結合されるコントローラーを備える。コントローラーは、HFACインバータ及びトランスミッタを有効にし、HFAC電力信号を車両の少なくとも1つのデバイスに無線で伝送するためにHFACインバータ及びトランスミッタを制御するように構成され、HFAC電力信号は、無線電力を少なくとも1つのデバイスに供給する。また、コントローラーは、データ信号を車両の少なくとも1つのデバイスに供給するために、HFAC電力信号の変調を制御するように構成される。
【0004】
一実施形態では、バッテリーユニットは、直流(DC)送電線によってHFACインバータと結合される。
【0005】
一実施形態では、HFACインバータは、少なくとも1つのバッテリーユニットから受容するDC電力を高周波AC電力信号に変換する。
【0006】
一実施形態では、トランスミッタは、高周波電界を生成して、少なくとも1つのデバイスに無線で電力を供給するように構成される。
【0007】
一実施形態では、トランスミッタは、パルス電流をHFAC電力信号に注入するためのパルス電流源を使用するデータ変調回路を含み、データは伝送されたHFAC電力信号に重ね合わされる。
【0008】
一実施形態では、無線電力出力のためのHFACインバータ及びトランスミッタを制御することは、車両の少なくとも1つのデバイスを活性化することを含む。
【0009】
一実施形態では、システムは、電源と電気的に結合される少なくとも1つの追加の高周波交流(HFAC)インバータ、及び少なくとも1つの追加のHFACインバータと電気的に結合される少なくとも1つの追加のトランスミッタをさらに備え、少なくとも1つの追加のHFACインバータ及び少なくとも1つの追加のトランスミッタは、追加のHFAC電力信号を供給し、データを車両の少なくとも1つの追加のデバイスに供給する。
【0010】
一実施形態では、データ信号は、運用のために車両の少なくとも1つのデバイスを活性化する。
【0011】
一実施形態では、コントローラーは、車両の少なくとも1つのデバイスへの電力を非活性化する(deactivate power)ように構成される。
【0012】
別の実施形態では、車両システムは、少なくとも1つのバッテリーユニットを含む電源と、電源と電気的に結合される高周波交流(HFAC)インバータと、HFACインバータと電気的に結合されるトランスミッタと、少なくとも1つのデバイスと、並びにHFACインバータ及びトランスミッタと電気的に結合されるコントローラーとを備える。コントローラーは、HFACインバータ及びトランスミッタを有効にし、HFAC電力信号を車両の少なくとも1つのデバイスに無線で伝送するためにHFACインバータ及びトランスミッタを制御するように構成され、HFAC電力信号は、無線電力を少なくとも1つのデバイスに供給する。また、コントローラーは、データ信号を車両の少なくとも1つのデバイスに供給するためにHFAC電力信号の変調を制御するように構成される。
【0013】
一実施形態では、バッテリーユニットは、直流(DC)送電線によってHFACインバータと結合され、DC送電線は、複数のHFACインバータと結合される。
【0014】
一実施形態では、HFACインバータは、少なくとも1つのバッテリーユニットから受容されるDC電力を高周波AC電力信号に変換する。
【0015】
一実施形態では、トランスミッタは高周波電界を生成して、少なくとも1つのデバイスに無線で電力を供給するように構成される。
【0016】
一実施形態では、トランスミッタは、パルス電流をHFAC電力信号に注入するためのパルス電流源を使用するデータ変調回路を含み、データは伝送されたHFAC電力信号に重ね合わされる。
【0017】
一実施形態では、無線電力出力のためのHFACインバータ及びトランスミッタを制御することは、車両の少なくとも1つのデバイスを活性化することを含む。
【0018】
一実施形態では、システムは、電源と電気的に結合される少なくとも1つの追加の高周波交流(HFAC)インバータと、少なくとも1つの追加のHFACインバータと電気的に結合される少なくとも1つの追加のトランスミッタとを備え、少なくとも1つの追加のHFACインバータ及び少なくとも1つの追加のトランスミッタは、追加のHFAC電力信号を供給し、データを車両の少なくとも1つの追加のデバイスに供給する。
【0019】
一実施形態では、データ信号は、運用のために車両の少なくとも1つのデバイスを活性化する。
【0020】
一実施形態では、コントローラーは、車両の少なくとも1つのデバイスへの電力を非活性化するように構成される。
【0021】
一実施形態では、少なくとも1つのデバイスは、概して、センサー、カメラ、及び車両デバイスのうちの少なくとも1つを備える。
【0022】
別の実施形態は、車両のために無線電力伝送を制御するための方法を対象とする。方法は、コントローラーにより、電源及びトランスミッタと電気的に結合される高周波交流(HFAC)インバータを有効にすること、及び、コントローラーにより、HFAC電力信号を車両の少なくとも1つのデバイスに無線で伝送するようにHFACインバータ及びトランスミッタを制御することを含み、HFAC電力信号は無線電力を少なくとも1つのデバイスに供給する。また、方法は、コントローラーにより、データ信号を車両の少なくとも1つのデバイスに供給するためにHFAC電力信号の変調を制御することを含む。
【0023】
本開示の実施形態により提供されるこれらの追加の特徴は、図面と併せて、以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図面に説明する実施形態は、本質的に例証的かつ典型的なものであり、本開示を限定することは意図されない。例証的な実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと理解することができ、ここで、同様の構造は、同様の参照番号で示され、以下のとおりである。
【0025】
【
図1A】本明細書に説明される実施形態による、車両のための例示的な無線電力伝送システムを示す。
【
図1B】本明細書に説明される実施形態による、例示的な車両システムを示す。
【
図2】本明細書に説明される実施形態による、車両のために無線電力伝送を制御するための例示的なプロセスを示す。
【
図3】本明細書に説明される実施形態による、例示的な無線電力伝送回路のグラフ表示を示す。
【
図4】本明細書に説明される実施形態による、例示的な波形のグラフ表示である。
【
図5】本明細書に説明される実施形態による、例示的なデータ変調回路のグラフ表示を示す。
【
図6】本明細書に説明される実施形態による、データ変調回路の例示的な波形のグラフ表示を示す。
【
図7】本明細書に説明される実施形態による、例示的なデータ変調回路の例示的な波形のグラフ表示を示す。
【
図8】本明細書に説明される実施形態による、車両デバイスを活性化するための例示的なプロセスのグラフ表示を示す。
【
図9】本明細書に説明される実施形態による、車両デバイスを非活性化するための例示的なプロセスのグラフ表示を示す。
【
図10】本明細書に説明される実施形態による、例示的なコントローラーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の実施形態は、車両内の電力伝送及び統合されたデータ信号を用いた電力の伝送を対象とする。車両は、かなりの電力を引き出すいくつかのセンサーを使用することができる。将来の車両構成では、追加のセンサー及びデバイスを必要とすることが予想される。一例として、将来の車両には、自律的運用などの高度な機能のためのセンサー及び処理装置が必要になると予想される。自律的車両及び自律的機能では、例えば、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)デバイス、光検出及び測距(LiDAR)、無線検出及び測距(RADAR)、グローバル・ナビゲーション衛星システム(GNSS)、慣性測定装置(IMU)、カメラ、及びコンピューター・プロセッサーを含む、車両のさまざまな場所でいくつかのセンサーの使用を必要とする可能性がある。これらの構成では、デバイスの消費量に基づいて車両から出力されるエネルギーを増やし、車両を制御できるようにする必要がおそらくある。本開示の実施形態は、車両デバイスへの無線電力伝送のためのシステム及び方法を対象とする。本明細書で提供されるシステム及び方法は、電気カプラーなどの他のコンポーネントを減らすのと同様に、車両デバイスに必要な電力ケーブルの数を減らすこともできる。ケーブル及びカプラーの削減は、軽量化につながる可能性がある。また、実施形態は、統合されたデータ信号を用いた電力伝送を対象とする。制御信号などのデータ信号を提供することにより、車両(又は他のデバイス/システム)の一部内のデータ伝送導線も削減される可能性がある。実施形態は、高周波交流(HFAC)波形に加えてデータ信号を変調することにより、電力及びデータを車両デバイスに供給することを含む。無線電力伝送の利点には、柔軟で便利な自律的充電、並びに電気ケーブル、コネクタ、及びプラグの除去が挙げられる。本明細書で使用されるように、電力は、電気出力を運用するデバイスに供給することに関する。また、デバイスに出力される電力信号は、デバイスを充電するために使用されてもよい。
【0027】
システム構成は、1つ又は複数のデバイスを含む車両の1つ又は複数の領域へ無線電力伝送を提供するために車両に提供される。電力出力を有効にし、電力出力を制御し、電力出力を無効にする方法が説明される。実施形態は、無線接続によってデバイスに電力を供給するように使用される高周波交流(HFAC)電力信号にデータ信号を変調するための方法及びシステム構成を含む。
【0028】
ここで、図面を参照すると、
図1Aは、1つ又は複数の実施形態による例示的な無線電力伝送システム100を示す。本明細書に説明されるようなシステムは、車両のコンポーネントと相互運用してもよい。一例として、システム100は、電力及びデータを1つ又は複数の車両デバイスに供給してもよい。そのために、本明細書に説明されるシステムは、補助電力を車両と関連する複数のデバイスに供給するように構成されてもよい。
【0029】
システム100は、車両のための無線電力伝送システムである。 本明細書に説明される実施形態によれば、システム100は、バッテリーユニット105、コントローラー110、高周波交流(HFAC)インバータ115、及びトランスミッタ120を備える。システム100は、電力をデバイス1251-nなどの少なくとも1つのデバイスに無線で供給することができる。
【0030】
図1Aに示されるように、バッテリーユニット105は、直流(DC)送電線111によってHFACインバータ115と結合される。バッテリーユニット105は、概して、主バッテリーユニット、補助バッテリーユニット、又は電源などの車両内の電源であってもよい。バッテリーユニット105は、センサー及び車両コンポーネントを含んでもよいデバイス125
1-nに電力を供給するための車両補助電源システムの一部であってもよい。HFACインバータ115は、バッテリーユニット105からのDC電力を高周波AC電力信号に変換する。HFAC電力信号は、50H~1000Hzの範囲内の周波数を有してもよい。HFACバス導線112は、トランスミッタ120をHFACインバータ115と電気的に結合するようにトランスミッタ120と電気的に結合されている。トランスミッタ120は、デバイス125
1-nの少なくとも1つに無線で電力を供給するために高周波電界を生成し、かつ出力するためのトランスミッタコイルを含んでもよい。電界は、デバイス125
1-nの統合された受容器によって受容されてもよい。システム100は、データ信号に無線電力を供給するように構成されるので、トランスミッタ120はまた、パルス電流を出力HFAC電力信号に注入するためのパルス電流源を使用するデータ変調回路を含むことができ、そこでデータは伝送されたHFAC電力信号に重ね合わされる。データは、電流ピークとして伝送されたHFAC電力信号に重ね合わされてもよい。
【0031】
コントローラー110は、HFACインバータ115及びトランスミッタ120と電気的に結合され、HFACインバータ115及びトランスミッタ120の運用を含むシステム100の運用を指示することができる。一例として、コントローラー100は、HFACインバータ115及びトランスミッタ120を有効にするように構成される。また、コントローラー110は、HFAC電力信号をデバイス1251-nの少なくとも1つに無線で伝送するようにHFACインバータ115及びトランスミッタ120を制御することができる。そのような方法で、HFAC電力信号は、無線電力をデバイス1251-nの少なくとも1つに供給することができる。また、コントローラー110は、データ信号をデバイス1251-nの少なくとも1つに供給するようにHFAC電力信号の変調を制御することができる。コントローラー110などのシステム100の1つ又は複数の素子は、任意に無線通信を介してデバイス1251-nからフィードバック、データ、及び出力の1つ又は複数を受容してもよい。画像検出対象物や位置データなどのセンサー出力は、コントローラーがデバイスデータを利用及び/又は処理するための有線及び無線リンクの1つ又は複数によって通信されてもよい。一例として、自律的運用のためのセンサーは、データをコントローラー110又は車両の電子制御装置(ECU)に通信してもよい。
【0032】
システム100は、車両の無線充電ネットワーク及び統合補助電源システムとして使用されてもよい。また、電力を供給するための指示及び運用は、車両デバイスを充電するために使用されてもよい。無線充電構成を使用することにより、個々のセンサーに電力を供給するための多くの個々の導線に対する必要性は排除されてもよい。システム100は、デバイス1251-nがグローバル・ポジショニング・システム(GPS)、光検出及び測距(LiDAR)、無線検出及び測距(RADAR)、全地球航法衛星システム(GNSS)、慣性計測装置(IMU)、カメラ、及びコンピューター・プロセッサーなどのセンサーの1つ又は複数に関連することができるように、いくつかのデバイスを備えた車両で使用されてもよい。実施形態では、デバイス1251-nは、デバイス運用に電力を供給するためにHFAC電力信号をDC電力に変換するための受容器を含む。デバイス1251-nは、HFAC電力を直接受容するための統合されたAC/DCコンバーターを有してもよい。
【0033】
図1Bは、別の実施形態による車両システム150を示す。システム150は、車両の電源であるバッテリーユニット105からの複数の送電線を含む。システム100と比較して、システム150は、電源と電気的に結合される追加の高周波交流(HFAC)インバータ、及び少なくとも1つの追加のHFACインバータと電気的に結合される少なくとも1つの追加のトランスミッタを含む。本明細書に説明されるシステム構成は、複数のHFACインバータとトランスミッタとの対を可能にするために、車両の複数の領域に提供されてもよい。システム150は、バッテリーユニット105、コントローラー110、高周波交流(HFAC)インバータ155A、155B、及びトランスミッタ160A、160Bを含む。システム150は、異なる領域又はグループでデバイスを含み、複数のデバイスに無線で電力を供給することができる。
図1Bに示されるように、トランスミッタ160Aは、無線電力165Aをデバイス125
1-nに出力し、無線電力165Bをデバイス165
1-nに出力するように構成される。システム100と同様に、インバータ155A、155Bは、バッテリーユニット105と結合されている。HFACインバータ165A、165Bは、バッテリーユニット105からのDC電力を高周波AC電力信号に変換する。HFACインバータ165A、165Bは、トランスミッタ160a、160Bそれぞれと電気的に結合されている。トランスミッタ160A、160Bはそれぞれ、高周波電界を生成し、無線電力をデバイス125
1-n、及び125
1-nのうちの少なくとも1つに出力するためのトランスミッタコイルを含んでもよい。電界は、デバイス125
1-nの統合された受容器によって受容されてもよい。実施形態によれば、システム150は、HFAC信号を受容し、HFAC信号をデバイス165
1-nのDC出力に変換するように構成される受容器170を含んでもよい。デバイス165
1-nは、コントローラー110によって制御されてもよいデバイスの追加のグループである。トランスミッタ160A、160Bはそれぞれ、デバイス165
1-nの位置及び配置にサービスを提供するために配置されるコイルを含んでもよい。本明細書に説明されるようなシステムは、車両が追加のデバイスに電力を供給し、車両の補助負荷プロファイルを拡張することができる。補助電力を増やすことにより、複数のデバイスはサービスが提供されてもよいし、追加のデバイスは調整されてもよい。
【0034】
図1A及び1Bは、デバイスのグループ化に対して、それぞれ1つ及び2つの送電線を備えた構成を示す。本明細書に説明されるシステムが、複数のデバイス領域にサービスを提供するために複数の送電線を含むことができることを理解されたい。一例として、車両は、左前、右前、左後、右後などの車両の四隅に関連するサービス領域への電力伝送を含んでもよい。あるいは、デバイスは、車両の前部、左部、右部、及び後部の位置のそれぞれと関連付けられてもよい。実施形態によれば、システムは、4つのHFACインバータに電力を供給するDCバス送電線111へのバッテリーユニット105の結合を含むことができる。HFACインバータのそれぞれは、デバイスによって受容される電界を生成するためのトランスミッタコイルを有する別個のトランスミッタに電力を供給してもよい。
【0035】
図2は、本明細書に説明される実施形態による無線電力伝送を制御するためのプロセスを示す。プロセス200は、統合されたデータ機能を電力伝送に提供するように本明細書に説明されるようなシステム(例えば、システム100、システム150)及び/又はデバイスによって実行されてもよい。また、プロセス200は、無線接続によってデバイスに電力を供給するために使用される高周波交流(HFAC)電力信号でデータ信号を変調するための運用を提供してもよい。
【0036】
ブロック205で、プロセス200は、制御信号を受容することによって開始されてもよい。システム(例えば、システム100、システム150)のコントローラー110は、車両の1つ又は複数のデバイスを有効にするためのコマンドを受容又は生成することができる。一例として、車両システムは、概して自律的運用又は車両運用のためのセンサーなど、少なくとも1つの車両デバイスの活性化を必要とする制御コマンドを提供してもよい。コントローラー110に対するコマンドは、車両電子制御装置などの車両の1つ又は複数の制御装置から受容されてもよい。ブロック205のコマンドは、運用状態に関連付けられるセンサーが、車両の運用に必要なときに活性化されてもよいように、車両の運用状態に基づいて生成されてもよい。ブロック210では、コントローラー110は、HFACインバータ及びトランスミッタを有効にしてもよい。例えば、ブロック210において、HFACインバータは、バッテリーユニット105などの電源によって電圧が加えられてもよい。ひとたび電圧が加えられると、HFACインバータは、またHFAC電力信号をトランスミッタに出力してもよい。コントローラーは、バッテリーユニット105からの電力を活性化して、HFACインバータ115及びトランスミッタ120を有効にしてもよい。ひとたびシステム100のトランスミッタが有効にされると、電力は伝送される可能性がある。また、コントローラー110により、プロセス200は、HFAC電力信号を車両の少なくとも1つのデバイスに無線で伝送するようにHFACインバータ及びトランスミッタを制御することを含んでもよい。
【0037】
ブロック215で、コントローラーは、車両の少なくとも1つのデバイスへのHFAC電力出力の変調を制御してもよい。電力信号は、電力伝送と統合されるデータを供給するように変調されてもよい。データの統合は、
図3及び
図4を参照して以下に説明されるように、ソース電流の注入に基づかれてもよい。HFAC電力信号をデータに供給することにより、データと電力の双方は無線で供給されてもよい。データ信号は、1つ又は複数のデバイスの運用を活性化又は制御するために車両コントローラーによって使用されてもよい。実施形態は、データ信号を供給し、低電力状態にあるデバイスなど車両の少なくとも1つのデバイスを活性化するために電力信号の変調を制御することを含む。電力信号は、車両デバイスによって検出されてもよいデータ信号の出力に対して入力データ値で変調される可能性がある。デバイスの活性化に加えて、データ信号は非活性化を制御するように使用されてもよい。例えば、コントローラー110は、HFAC電力信号に応答信号が送られるデータ信号を用いて、1つ又は複数のデバイスを任意に無効にしてもよい。一例として、HFC信号によって電力が供給されるデバイスのグループで少なくとも1つのデバイスは、非活性化されてもよいし、一方、他のデバイスは電力を受容し続ける。トランスミッタの電力を受容する複数のデバイスの場合、システムにより、データ信号は低電力モードにあるデバイスを有効にするように、又はデバイスを低電力モードに入れて無効にするように使用してもよい。それとして、電力が複数のデバイスに伝送されている間、少なくとも1つのデバイスは起動及び/又は無効化されてもよい。プロセス200は、ブロック220で、HFACインバータ及びトランスミッタを無効にすることを任意に含んでもよい。電力は、無効にされたHFACインバータ及びトランスミッタから電力を受容する車両デバイスには供給されない。
【0038】
図3は、無線電力伝送回路構成のグラフ表示を示す。回路構成300は、システム100及びシステム150を含み、本明細書に説明されるシステムによって使用されてもよい容量性電力データ変調回路である。示されるように、回路構成300は、回路構成300の1次側に関連するコントローラー310、HFACインバータ315、及びトランスミッタ320を含み、デバイス325は、2次側と関連付けられる。HFACインバータ315は、HFAC回路(すなわち、DCからACへの変換器)の高レベルの概略図によって表される。トランスミッタ320は、HFACインバータ315に相互接続されるデータ変調回路322を含む。データ変調回路322は、パルス電流源を使用して、データが伝送されたHFAC電力信号に重ね合わされるように、パルス電流をHFAC電力信号に注入してもよい。また、回路構成300は、デバイス325への電力伝送のための結合インターフェース330を含んでもよい。結合インターフェース330は、回路構成300の1次側からの伝送に関連付けられるコイル331、及び回路構成300の2次側により受容に関連付けられるコイル332を含む。トランスミッタ320は、伝送コイル331にデバイス325のコイル332に伝送するためのHFAC電力信号を供給してもよい。また、回路構成300は、スイッチ316(例えば、S1~S4)によって形成されるフルブリッジインバータ、補償ネットワーク324、及び結合インターフェース330を含んでもよい。コントローラー310は、1つ又は複数の信号を供給して、HFACインバータ315及びトランスミッタ320の運用を可能としてもよい。制御信号は、HFACインバータ315及びトランスミッタ320を活性化すること及び非活性化することを含むことができる。
【0039】
本明細書に説明される実施形態によれば、回路構成300は、データ信号の値(例えば、1及び0など)を表すようにHFAC信号を変更するための容量性電力データ変調回路を提供する。回路構成300は、共有チャネルで高データレート通信を無線電力伝送システムに提供してもよい。コントローラー310は、トランスミッタ320によって出力する電力信号を変調するためのデータ及び/又はコマンドを提供してもよい。変調コマンドは、デバイスに伝送されるデータに基づかれてもよい。データ変調回路322は、インジェクター電流i
injを選択的に印加するために、データトランスミッタ320によって制御されてもよい。以下により詳細に論じられるように、データ信号は、無線接続によってデバイス325に電力を供給するために使用される高周波交流(HFAC)電力信号で変調されてもよい。インジェクター電流(i
inj)源323は、補償ネットワーク324のコンデンサーを充電し、HFAC電圧信号を変更するように使用される。
図4は、例示的なHFAC波形405及び変更された電流波形(i
p)410を示す。補償ネットワーク324は、HFAC電力をトランスミッタ320により伝送に適したHFAC信号に変換するように機能してもよい。データ変調回路322を運用するための複数のモードは、
図5を参照して以下で論じられる。
【0040】
デバイス325は、HFAC信号及び電力負荷328を受容するための回路コンポーネント326を含む。回路コンポーネント326は、HFAC回路(例えば、ACからDCへの変換器)の高レベルの概略図を表す。また、デバイス325は、ダイオード327(例えば、D1~D4)によって形成される整流器を含む。また、デバイス325は、データ346を検出し、かつ出力するように構成されるバンドパスフィルタ340及び復調受容器335を含む受容器335を含む。バンドパスフィルタ340は、伝送されたHFAC信号を分離するように構成される。復調受容器345は、HFAC信号から電流パルスを抽出してデータ信号を供給するように構成される。いくつかの実施形態によれば、伝送されたHFAC信号のタイミングは、注入された電流パルスを復調するように使用されてもよい。デバイス325は、センサー、カメラなどの車両デバイスに関連し、
図3に示されていない機能する他の素子(例えば、画像化センサー、位置センサーなど)を含んでもよい。あるいは、デバイス325は、1つ又は複数の他のデバイスに電力を供給するように、車両システム内の受容器(例えば、受容器170)として使用されてもよい。
【0041】
回路構成300は、システムの各側に直接接続を有する複数の信号分岐を使用することにより、高速通信を提供してもよい。1次側は、データ変調回路322として役に立つ双方向DC/DCコンバーターによって形成されるトランスミッタ320を含む。2次側の受容器355は、高度に結合された変圧器(Tj)336、検出抵抗器(Rs)337、バンドパスフィルタ340、及び復調モジュール345によって形成される。データ変調回路322は、電流を注入するためのパルス電流源323を含む。各データビットは、パルス電流によって表され、パルス電流は双方向DC/DCコンバーターによって生成される。データは電流IPに直接注入され、そのようなものとして電力信号はデータキャリアとして機能してもよい。変調された電流キャリアは、結合インターフェース330の容量性チャネルを介して1次側から2次側に伝送される。変調された電流は、変圧器(Ti)336及び検出抵抗器(Rs)337によって受容され、かつ検出される。検出抵抗器の電圧波形をフィルタにかけ、復調することにより、信号は復元される可能性がある。
【0042】
図3は、結合インターフェース330から電力を受容するように構成される単一のデバイス325を示す。しかしながら、複数のデバイスが、結合インターフェース330を経由して電力を受容するように構成されてもよいことを理解されたい。結合インターフェース330に関連付けられる各デバイスは、電力及び統合データ信号を受容して、感知機能の活性化、検出データの伝送、及び/又は検出された状態/状況の車両コントローラーへの伝送を含む制御運用を決定するように構成されてもよい。実施形態では、デバイス325は、その配置に関連付けられる他のデバイス(例えば、デバイス125
1~n)に検出されたデータ信号を供給してもよい。一例として、カメラ又は位置決めセンサーなどのプロセッサーを含むデバイスは、より低い処理能力を有する近接場検出デバイスなどの他のより低いレベルのデバイスとデータ信号を共有してもよい。
【0043】
図4は、HFAC電力信号及びパルスベース変調配列の波形のグラフ表示である。波形400は、1次側AC電圧(V
p)405、変更電流(i
pm)波形410、及び電流パルス(i
inj)415を含む。1次側AC電圧(v
p)405は、同期されたクロックとして使用されてもよい。実施形態によれば、データビットを表す電流パルスは、v
pの各半サイクルで生成される。電流パルスの極性は、負のパルスが論理「0」を表し、正のパルスが論理「1」を表すように、ビット値に従って決定されてもよい。パルス電流を1次側に注入することにより、データは電流i
pに重ね合わされる。データビット420
1-nは、電流パルス415について示される。このようにして、データ及び電力は、同じ容量性チャネルを介して2次側に伝送される可能性がある。そのようなものとして、同期クロックはデータストリームに埋め込まれ、各データビットは高速データ伝送を可能にするのに充分短いパルスで表される。
【0044】
図5は、データ変調回路500のグラフ表示を示す。制御モジュール505は、パルス電流i
injを1次側に注入するようにデータ変調回路を制御するために使用される。制御モジュール505は、中央制御装置又は他のプロセッサーからデバイスに伝送するためのデータ506を受容するように構成される。
図5に関して、図示されたMOSFET(S
1~S
6)のスイッチングにより、HFAC信号にエッジが形成され、これらのエッジはデータとして解釈されてもよい。
【0045】
図5は、インジェクター電流i
injの適用及び除去を表す。第1の運用モードでは、スイッチS
1は閉じられ、スイッチS
2は開かれる、これにより、変調電圧v
inがHFAC電圧信号v
pに印加され、このようにインジェクター電流i
injがHFAC電流信号に印加されることが可能になる。スイッチS
1が開かれ、スイッチS
2が閉じられるとき、変調電圧v
inが削除され、このようにインジェクター電流i
injを削除する。このスイッチングにより、赤の変更された電流波形i
pを示す赤の波形で表されるように、HFAC信号にエッジが形成される。インジェクター電流波形は、論理「1」として解釈されるHFAC信号の正側のエッジであり、論理「0」として解釈されるHFAC信号の負側のエッジであってもよい。
【0046】
また、制御モジュール505は、感知された1次側AC電圧v
p及びインダクタ電流i
Lを受容してもよい。制御モジュール505は、ルックアップテーブル方法を利用して、v
p、i
Lの値及び伝送データに基づいて制御信号508(例えば、MOSFETS
1からS
8)を出力してもよい。典型的なルックアップテーブルの値は表1に示される。
【表1】
【0047】
表1のルックアップテーブル値は、論理「0」の出力のためのモード1及び3、並びに論理「1」の出力のためのモード2及び4を含む複数の運用モードを提供する。
【0048】
表1に示されるように、1次側電圧vpの極性及び伝送データビットに応じて、データ変調回路は、4つの運用モードを有する:1)vp>0及びデータ=「0」、2)vp>0及びデータ=「1」、3)vp<0及びデータ=「0」、並びに4)vp<0及びデータ=「1」。
【0049】
図6は、データ変調回路の波形のグラフ表示を示す。波形600は、1次側AC電圧v
p605及びインダクタ電流I
L610を含む。波形600は、モード1の例に関連してもよい。
【0050】
モード1:v
p>0及びデータ=「0」
ステップ1:v
p=V
+のとき、S
1はオンであり、一方、S
2からS
8はオフとなる(ここで、V
+は一定値であり、制御モジュールにプリセットされる)。
図5に示されるように、インダクタ電流i
Lは、v
p、S
1、D
2、L、D
7、及びv
inを流れる。
図6に示されるように、期間[t
0~t
1]611の間、インダクタ電圧はv
L=v
p-v
in>0となり、このようにi
Lは0から増加する。したがって、データ変調回路は負のパルス電流i
inj=-i
Lを1次側に注入する。すなわち、データビット=「0」は電流I
Pに重ね合わされる可能性がある。
【0051】
ステップ2:i
Lがi
L_maxに増加するとき、S
1はオフであり、S
6はオンである(ここで、i
L_maxは一定値であり、制御モジュールにプリセットされる)。
図5に示されるように、インダクタ電流は、D
7、v
in、S
6、D
5、及びLを流れる。期間[t
1~t
2]612の間、インダクタ電圧はv
L=-v
inとなる。このように、
図5に示されるように、i
Lはi
L_maxから0に減少する。データ変調回路は、期間612に関連付けられる時間t
1~t
2の間、1次側に電流を注入しない。
【0052】
図7は、データ変調回路の波形のグラフ表示を示す。波形700は、1次側AC電圧(v
p)705、及びインダクタ電流(I
L)710を含む。
【0053】
モード2:v
p>0及びデータ=「1」
ステップ1:S
5及びS
7のみがオンであり、インダクタ電流は、S
5、D
6、v
in、S
7、及びLを流れる。この期間[t
0~t
1]711の間、インダクタ電圧はv
L= -v
inとなり、このように、
図7に示されるように、インダクタ電流i
Lは0から減少する。この間、データ変調回路は1次側に電流を注入しないことが
図7から分かる。
【0054】
ステップ2:iLが-iL_maxに減少するとき、S7はオフであり、S5はオンである(ここで、-iL_maxは一定値であり、制御モジュールにプリセットされる)。インダクタ電流はS5、D6、D8、及びLを流れる。この期間[t1~t2]711の間、インダクタ電圧はvL=0となるので、インダクタ電流は変化しない。この間、データ変調回路は1次側に電流を注入しない。
【0055】
ステップ3:vp=V+であるとき、S2はオンであり、S5はオフである。インダクタ電流はS2、D1、vp、D8、及びLを流れる。この期間[t2~t3]の間、インダクタ電圧はvL=vp-vinとなり、このように、iLは-iL_maxから0に増加する。データ変調回路が正のパルス電流iinj=iLを1次側に注入することが分かる。すなわち、データビット=「1」は電流IPに重ね合わされる可能性がある。
【0056】
図8は、説明される1つ又は複数の実施形態による、車両デバイスを活性化するためのプロセスのグラフ表示を示す。プロセス800は、1つ又は複数のデバイスを活性化及び/又は制御するために、本明細書に説明されるシステムの1つ又は複数のコンポーネントによって実行されてもよい。プロセス800は、ブロック805で制御信号を受容することによって開始されてもよい。コントローラー(例えば、コントローラー110、コントローラー310など)は、ブロック805で少なくとも1つの車両デバイスの運用のため、車両制御装置(例えば、ECU)から制御信号を受容してもよい。ブロック810で、コントローラーは、デバイス(例えば、デバイス125
1に対するHFACインバータ155A)に関係付けられるHFACインバータに電圧を加える(energize)ことができる。HFACインバータに電圧を加えることにより、バッテリーユニットのDC電力はHFAC信号に変換される可能性がある。プロセス800は、ブロック812でデバイス(例えば、センサー)が受容器を介して電力が供給されるかどうかを任意に決定してもよい。特定のデバイスは、オンボード受容器を含んでもよいが、一方、他のデバイスは受容器を介して電力が供給されてもよい。デバイスが受容器を介して電力が供給される場合(例えば、判定ブロック812からの「はい」経路)、プロセス800は、ブロック815でトランスミッタ及び受容器コイルを許可することができる。次いで、ブロック820で、プロセス800は、受容器のHFACDCコンバーターに電圧を加えることを含んでもよい。デバイスが受容器を介して電力が供給されない場合(例えば、判定ブロック812からの「いいえ」経路)、プロセス800は、ブロック810でデバイスのHFACインバータ/DCコンバーターに電圧を加えることができる。
【0057】
ブロック825で、プロセス800は、データを提供するための電力信号を変調することを含む。ブロック830で、システムのコントローラーは、デバイスの運用を指示することができる。感知、通信などの複数の機能を有するデバイスは、1つ又は複数の運用及びモードが活性化又は非活性化されてもよいように制御されてもよい。ブロック830でデバイス運用を指示することは、センサー及びデバイス性能のうちの少なくとも1つを非活性化することを含んでもよい。デバイスの運用を指示する一例は、車両の運用状況に基づいて、駐車支援センサー又は車線変更センサーなどのセンサーを活性化することを含んでもよい。検出された運転状況に応じて、車両のコントローラーは、HFAC電力信号と統合するためのデータ信号を生成して、運転運用のためのデバイス及びセンサーを活性化してもよい。
【0058】
図9は、車両デバイスを非活性化するためのプロセスのグラフ表示を示す。プロセス900は、1つ又は複数のデバイスを非活性化するために、本明細書に説明されるシステムの1つ又は複数のコンポーネントによって実行されてもよい。プロセス900は、ブロック905で制御信号を受容することによって開始されてもよい。ブロック905で、コントローラー(例えば、コントローラー110、コントローラー310など)は、少なくとも1つの車両デバイスの運用のための車両制御装置(例えば、ECU)から制御信号を受容してもよい。制御信号は、車両デバイスへの電力を非活性化するためのコマンドを含んでもよい。ブロック910で、コントローラーは、デバイスへのHFACインバータ/DCコンバーターの電源を断つ(de-energize)ことができる。ブロック915で、プロセス900は、デバイスの非活性化運用を含む。ブロック920で、プロセス9320は、インバータを非活性化することができる。
【0059】
図10は、本明細書に説明される実施形態による、コントローラー1000のグラフ表示を示す。コントローラー1000は、プロセッサー1005、メモリ1015、及び入力/出力ブロック1020を含む。コントローラー1000は、任意に、受容器1010を含んでもよい。コントローラー1000は、車両制御装置に関連して、車両デバイスへの無線電力伝送の運用を制御してもよい。プロセッサー1005は、1つ又は複数の車両デバイス又はセンサーを活性化するためのプロセスなど、メモリ1015に格納される1つ又は複数の運用を実行するように構成されてもよい。プロセッサー1005は、無線電力出力及びデータ変調を制御してもよい。プロセッサー1005は、メモリ1015、I/O1020、及び受容器1010と結合されてもよい。プロセッサー1005は、I/Oブロック1020からの1つ又は複数の入力に基づいて、デバイスへの電力の活性化を制御するように構成されてもよい。
【0060】
上記に示されるように、HFAC電力伝送システム及びデータを用いた無線電力伝送のプロセスのための様々な実施形態が開示されている。実施形態は、1つ又は複数の領域及び/又はデバイスのセットに電力を供給するためのシステム構成を提供する。実施形態は、センサーにデータを提供するためのワイヤー及び接続部の使用を低減する構成を含む。
【0061】
システム及び方法は、車両内の無線HFAC電力伝送システムのために提供される。また、システム及び方法は、HFAC信号でデータ信号を変調することにより、データを電力伝送と統合してもよい。
【0062】
本開示の特定の実施形態及び態様が本明細書に例証及び説明されているが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正がなされてもよい。さらに、本明細書では様々な態様が説明されてきたが、そのような態様を組み合わせて使用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書に示され、説明される実施形態の範囲内にあるすべてのそのような変更及び修正をカバーすることが意図される。
【0063】
ここで、本明細書に開示される実施形態が、無線電力伝送のためのシステム、方法、及び非一時的コンピューター可読媒体を含むことを理解されたい。また、これらの実施形態は単に典型的なものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【外国語明細書】