(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022117969
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】電気モータの冷却装置、動力ユニット、および関連する車両
(51)【国際特許分類】
H02K 9/06 20060101AFI20220804BHJP
B61C 3/00 20060101ALI20220804BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20220804BHJP
【FI】
H02K9/06 G
H02K9/06 F
B61C3/00 A
B60L3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022012883
(22)【出願日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】2100953
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】522034789
【氏名又は名称】アルストム・ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ギニエ
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ・ラガン
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ・ケンプ
【テーマコード(参考)】
5H125
5H609
【Fターム(参考)】
5H125AA05
5H125AC02
5H125FF01
5H125FF22
5H609BB01
5H609BB18
5H609PP05
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP08
5H609QQ02
5H609QQ11
5H609RR03
5H609RR16
5H609RR24
5H609SS22
5H609SS23
(57)【要約】
【課題】ファンの信頼性および寿命を犠牲にすることなく、ファンの重量を減らすことができる冷却装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、-空気入口(52)を少なくとも1つの空気出口(56)に接続する空気誘導路(58)を画定するジャケット(40)と、-ジャケット(40)の内部に取り付けられて、空気流を強制的に流させるように構成されたファン(42)と、-間接的にファン(42)に接続されたエンコーダホイール(64)および速度センサ(66)からなる、ファン(42)の回転速度の測定装置(44)と、を備える電気モータ(24)の冷却装置(28)に関する。冷却装置(28)は、電気モータ(24)の回転子(32)に固定するのに適した支持プレート(46)を備える。ファン(42)は、支持プレート(46)とは別個であり、支持プレート(46)の面(60A、60B)のいずれか一方のみに固定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)、特に鉄道車両のための、回転子(32)および固定子(34)を備える駆動用電気モータ(24)の冷却装置(28)であって、
- 空気入口(52)を少なくとも1つの空気出口(56)に接続する空気誘導路(58)を画定するジャケット(40)と、
- 前記ジャケット(40)の内部に取り付けられて主軸(A-A’)の周りに回転可動なファン(42)であって、羽根(62)を具備し、前記空気入口(52)から各々の空気出口(56)へ空気流を強制的に流させるように構成されたファン(42)と、
- 前記ファン(42)の回転速度の測定装置(44)であって、間接的に前記ファン(42)に接続されたエンコーダホイール(64)、および前記ジャケット(40)に固定され、前記エンコーダホイール(64)の回転速度を測定するのに適した速度センサ(66)からなる測定装置(44)と、
を備える冷却装置(28)において、
反対向きの2つの面(60A、60B)を有する支持プレート(46)であって、前記電気モータ(24)の前記回転子(32)に固定するのに適した支持プレート(46)を備え、
前記ファン(42)が、前記支持プレート(46)とは別個であり、前記支持プレート(46)の前記面(60A、60B)のいずれか一方のみに固定されることを特徴とする、冷却装置(28)。
【請求項2】
前記エンコーダホイール(64)が、前記支持プレート(46)とは別個であり、前記支持プレート(46)のみに固定される、請求項1に記載の冷却装置(28)。
【請求項3】
前記羽根(62)の各々が前記主軸(A-A’)に対してほぼ径方向に延びる、請求項1または2に記載の冷却装置(28)。
【請求項4】
前記支持プレート(46)が前記主軸(A-A’)に対してセンタリングされた円形をなし、前記羽根(62)の各々が前記支持プレート(46)の半径未満の長さで径方向に延びる、請求項3に記載の冷却装置(28)。
【請求項5】
前記支持プレート(46)が前記羽根(62)の密度を上回る密度を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却装置(28)。
【請求項6】
前記羽根(62)の各々が8mm未満の厚さを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の冷却装置(28)。
【請求項7】
歯車(64)および前記ファン(42)が、取外し可能な固定手段(59)によって前記支持プレート(46)に固定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の冷却装置(28)。
【請求項8】
- 車両(10)の駆動用電気モータ(24)であって、回転子(32)および固定子(34)を備える電気モータ(24)と、
- 前記電気モータ(24)を取り囲むケーシング(26)であって、前記固定子(34)の周囲に延びる前記電気モータ(24)の少なくとも1つの冷却流路(39)を画定するケーシング(26)と、
- 請求項1から7のいずれか一項に記載の冷却装置(28)であって、前記空気誘導路(58)が前記冷却流路(39)に流体接続されるように前記ケーシング(26)に固定された冷却装置(28)と、
を備える動力ユニット(16、116)。
【請求項9】
前記羽根(62)の各々が、前記電気モータ(24)と反対側の前記支持プレート(46)の面または前記電気モータ(24)と向かい合う前記支持プレート(46)の面に固定される、請求項8に記載の動力ユニット(16)。
【請求項10】
請求項8または9に記載の動力ユニット(16、116)を少なくとも1つ備える車両(10)、特に鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動用電気モータの冷却装置に関する。
【0002】
本発明は、その冷却装置を備える動力ユニットにも関する。
【0003】
本発明は、その動力ユニットを備える車両にも関する。
【背景技術】
【0004】
車両はたとえば鉄道車両であり、または、変形では、自動車両、航空車両もしくは海洋車両である。
【0005】
電気モータは、その動作時には、過熱を防止し、正しい動作を保証するために冷却する必要がある。
【0006】
そこで、モータのシャフトにファンを直接固定することが知られている。そうすることで、モータのシャフトの回転によってファンの回転が駆動され、それによって空気流がモータ内に流れるようにする。このような場合、モータは「自己通風式」と呼ばれる。
【0007】
しかし、シャフトに固定されたファンは、シャフトから伝わるパルス状のトルクや、回転によって生じる遠心力など、幾つもの機械的応力にさらされる。
【0008】
相当の質量を有する部品がファンに固定される場合、ファンは、十分な信頼レベルが担保されるように高い機械的強度を有していなければならない。そのためには、ファンの製造に合金を使用することや、ファンを厚みのある設計とすることが必要となる。
【0009】
すると、ファンはその重量を増し、それによって空気力学的性能が低下する一方で、発生する騒音は大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の目的の1つは、ファンの信頼性および寿命を犠牲にすることなく、ファンの重量を減らすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、車両、特に鉄道車両のための、回転子および固定子を備える駆動用電気モータの冷却装置であって、空気入口を少なくとも1つの空気出口に接続する空気誘導路を画定するジャケットと、ジャケットの内部に取り付けられて主軸の周りに回転可動なファンであって、羽根を具備し、空気入口から各々の空気出口へ空気流を強制的に流させるように構成されたファンと、ファンの回転速度の測定装置であって、間接的にファンに接続されたエンコーダホイール、およびジャケットに固定され、エンコーダホイールの回転速度を測定するのに適した速度センサからなる測定装置と、を備える冷却装置において、反対向きの2つの面を有する支持プレートであって、電気モータの回転子に固定するのに適した支持プレートを備え、ファンが、その支持プレートとは別個であり、支持プレートの面のいずれか一方のみに固定される、冷却装置を対象とする。
【0012】
本発明の複数の具体的な実施形態によれば、冷却装置は、個別に採り入れるか、または技術的に可能なあらゆる組合せによって採り入れた1つ以上の以下の特徴を備える。
- エンコーダホイールは、支持プレートとは別個であり、支持プレートのみに固定される。
- 各々の羽根は主軸に対してほぼ径方向に延びる。
- 支持プレートは主軸に対してセンタリングされた円形をなし、各々の羽根は支持プレートの半径未満の長さで径方向に延びる。
- 支持プレートは羽根の密度を上回る密度を有する。
- 各々の羽根は8mm未満の厚さを有する。
- 歯車およびファンは、取外し可能な固定手段によって支持プレートに固定される。
【0013】
本発明は、車両の駆動用電気モータであって、回転子および固定子を備える電気モータと、電気モータを取り囲むケーシングであって、固定子の周囲に延びる電気モータの少なくとも1つの冷却流路を画定するケーシングと、上に定義した冷却装置であって、空気誘導路が冷却流路に流体接続されるようにケーシングに固定された冷却装置と、を備える動力ユニットもその対象とする。
【0014】
本発明の具体的な実施形態によれば、動力ユニットは、個別に、または組み合わせて採り入れた以下の特徴の1つ以上をさらに有する。
- 各々の羽根は、電気モータと反対側の支持プレートの面に固定される。
- 各々の羽根は、電気モータと向かい合う支持プレートの面に固定される。
【0015】
本発明は、上で定義した動力ユニットを少なくとも1つ備える車両、とりわけ鉄道車両も対象とする。
【0016】
本発明およびその利点については、添付の図面を参照しながら、非限定的な例としてのみ行う以下の説明を読むことによって、よりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1の鉄道車両に搭載された第1の実施形態による動力ユニットの断面図である。
【
図3】
図1の鉄道車両に搭載された第2の実施形態による動力ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
鉄道インフラ4および鉄道車両10を備える鉄道システム2を
図1に示す。
【0019】
鉄道インフラ4は、線路6およびカテナリ式架線8を備える。
【0020】
カテナリ式架線8は、線路6の上方に吊下げられた給電装置である。カテナリ式架線8は、導体である少なくとも1本のトロリ線を備える。カテナリ式架線8は、少なくとも1本の吊架線によって支えられる。
【0021】
以下では、鉄道車両10についてのみ説明するが、当業者であれば、本発明があらゆるタイプの車両、たとえば自動車両、航空車両または海洋車両に適用されることは理解されよう。
【0022】
鉄道車両10は、旅客および/または商品の輸送が可能となるように構成される。
【0023】
図1に見ることができるように、鉄道車両10は、1両以上の客車を備え、車両10には少なくとも1つの動力ユニット16が搭載される。
【0024】
車両10が複数の客車を有するときは、各客車は相前後して列をなすように配置される。
【0025】
車両10は、たとえば少なくとも1両の中間客車12(この図では2両の中間客車12)と2両の終端客車14、18とによって構成される。各々の終端客車14、18は、車両10の両端それぞれに位置する。
【0026】
車両10は、そのほか、客車12、14、18のいずれか1両の上に配置された少なくとも1つのパンタグラフ20を備える。パンタグラフ20は、カテナリ式架線8に摩擦して集電するように構成された関節付き装置である。
【0027】
各々の客車12、14、18は、長手方向に沿って延び、2つの長手方向端を有する。
【0028】
車両10は、客車12、14、18を支え、それらを線路6に沿って案内するための台車17を備える。各々の台車17は、その台車17の上に載る1両の客車12、14、18を支えるか、またはその台車17の上にそれぞれの長手方向端で載る隣接する2両の客車12、14、18を支える(この場合は「連接台車」と呼ぶ)。
【0029】
各々の台車17は、図示しない車軸によって支えられた車輪22を備える。車輪22は、線路6のレール上を走行するように、それによって鉄道車両10の移動が可能となるように構成される。
【0030】
各々の動力ユニット16は、客車12、14、18に搭載される。車両10は、1つだけの動力ユニット16を備えることも、複数の動力ユニット16を備えることもできる。複数の動力ユニット16を設ける場合、それらは同一の客車12、14、18に配置することも、車両10の複数の客車12、14、18に振り分けることもできる。
【0031】
ここでは、車両10は、一方の終端客車14に搭載された動力ユニット16を備える。
【0032】
変形またはオプションとして、車両10は、動力ユニット16をもう一方の終端客車18に備える。
【0033】
変形またはオプションとして、車両10は、中間客車12の少なくとも1両またはそれぞれに搭載された動力ユニット16を備える。
【0034】
図2は、第1の実施形態による動力ユニット16を示したもので、以下にその説明を行う。
【0035】
動力ユニット16は主軸A-A’に沿って延びる。
【0036】
動力ユニット16は、電気モータ24と、その電気モータ24を取り囲むケーシング26と、冷却装置28と、を備える。
【0037】
電気モータ24は、パンタグラフ20によって集電した電流によって給電される。
【0038】
電気モータ24は、車両10の駆動モータである。電気モータ24は、供給された電気エネルギーを、車輪22を回転駆動できる機械エネルギーへと変換し、それによって線路6沿いの車両10の移動を可能にするように構成される。
【0039】
図2に示した例では、電気モータ24は、回転子32、固定子34および外隔壁35を備える三相電気機械である。
【0040】
回転子32は、円柱形の全体形状をもち、主軸A-A’に沿って延びる。回転子32は、主軸A-A’の周りを固定子34に対して回転するように取り付けられる。
【0041】
固定子34は回転子32の周りに広がる
【0042】
好ましくは、電気モータ24は同期モータである。
【0043】
変形では、電気モータ24は非同期モータである。
【0044】
外隔壁35は、固定子34の周りに広がって、電気モータ24の内部、とりわけ固定子34および回転子32を保護する。
【0045】
ケーシング26は、電気モータ24を取り囲むように主軸A-A’に沿って延びる側壁36Aを備え、その側壁は、軸方向両端を前壁36Bおよび後壁36Cによって閉ざされる。
【0046】
主軸A-A’に対して垂直に切った側壁36Aの横断面は、たとえば長方形、とりわけ正方形の全体形状をなす。
【0047】
変形では、主軸A-A’に対して垂直な側壁36Aの断面は、円形または多角形の全体形状をなす。
【0048】
前壁36Bは、冷却装置28と向い合せになるように設けられる。
【0049】
ケーシング26は、電気モータ24の冷却用空気流を通すための少なくとも1つの貫通開口部38を備える。
【0050】
有利には、
図2に見ることができるように、ケーシング26は。複数の開口部38を備える。
【0051】
開口部38は、具体的には、前壁36Bおよび後壁36Cに配置される。
【0052】
ケーシング26は、固定子34の周囲に広がる電気モータ24の冷却流路39を少なくとも1つ画定する。
【0053】
各々の冷却流路39は、2つの開口部38の間に延びる。そのため、各々の冷却流路39は、その少なくとも1つの開口部38を通して空気流が導入され、もう一方の開口部38のレベルでケーシング26の外に開口するように構成される。
【0054】
図2および
図3では、空気流は、その空気流の流れの向きを示す矢印によって表されている。
【0055】
各々の冷却流路39は、電気モータ24の周囲に位置する。
【0056】
具体的には、各々の冷却流路39は、電気モータ24の外隔壁35と接する。
【0057】
有利には、各々の冷却流路39は、主軸A-A’に沿って電気モータ24沿いに軸方向に延びる。
【0058】
そのため、冷却流路39は、主軸A-A’に沿って前壁36Bから後壁36Cまで延びる。
【0059】
電気モータ24は、その動作時に熱を生じるが、電気モータ24の良好な動作を保証するためにはこの熱を排出する必要がある。
【0060】
電気モータ24内の空気流の流れは、
図2に矢印によって表されている。
【0061】
流れる間、空気流は、電気モータ24によって発生した熱を回収し、それをケーシング26の外、車両10の外部へと排出する。
【0062】
冷却装置28は、電気モータ24を冷却するように構成される。
【0063】
図2では、冷却装置28は、空気流に少なくとも1つの開口部38を強制的に通り抜けさせて、電気モータ24を冷却するように構成されている。
【0064】
冷却装置28は、ジャケット40と、ファン42と、ファン42の回転速度の測定装置44と、エンコーダホイール64の収容に適した支持プレート46と、を備える。
【0065】
ジャケット40は、ケーシング26の前壁36Bまたはケーシング26の側壁36Aに配置されるものとして適している。
【0066】
ジャケット40は、ケーシング26に対して、具体的にはケーシング26の側壁36Aおよび/またはケーシング26の前壁36Bに対して固定されるものとして適している。
【0067】
ある実施形態によれば、ジャケット40は、取外し可能な固定手段によってケーシング26に固定される。固定手段は、たとえばねじである。
【0068】
主軸A-A’に対して垂直に切り取ったジャケット40の横断面は、ケーシング26の横断面とほぼ同じである。ここでは、その横断面は、長方形の全体形状、とりわけ正方形の全体形状の輪郭を有する。
【0069】
変形では、横断面は、円形または多角形の全体形状の輪郭を有する。
【0070】
ジャケット40は、空気入口52を画定して、ジャケット40の内部に空気流が入ることができるようにする。
【0071】
空気入口52は、軸A-A’上に位置する円形などの開口部を有する。
【0072】
有利には、空気入口52は、冷却装置28の最大横断面積の20%から70%の最大横断面積を有する。
【0073】
ジャケット40は、少なくとも1つの空気出口56を有する。各々の空気出口56は、ケーシング26の少なくとも1つの開口部38への給気のためにその開口部38と流体接続されるようにする。
【0074】
ここでは、ジャケット40は、ジャケット40のほぼ周囲に位置する環形の唯一の空気出口56を、ケーシング26の前壁36Bの開口部38に対向して有している。
【0075】
図2に示すように、ジャケット40は、中空であり、空気入口52を各々の空気出口56に接続する空気誘導路58を画定する。
【0076】
冷却装置28は、空気入口52と各々の空気出口56との間の空気誘導路58に空気流を作り出して、1つ以上の開口部38に空気流を供給するように構成される。
【0077】
支持プレート46は、電気モータ24の回転子32に固定される。
【0078】
有利には、支持プレート46は、回転子32に対してセンタリングされるように構成される。支持プレートは、回転子32の端部を挿入するように設けられたくり抜き部などを備える。
【0079】
図2に示すように、支持プレート46は、取外し可能な固定手段59によって回転子32に固定される。固定手段59は、たとえばねじである。
【0080】
有利には、支持プレート46は、鋼製、鋳鉄製またはアルミニウム合金製である。
【0081】
支持プレート46は、特に2700kg/m3から8000kg/m3の密度を有する。
【0082】
支持プレート46は、主軸A-A’に対してセンタリングされた円形をなす。
【0083】
支持プレート46は、主軸A-A’と直交する方向のモータのジャケットの直径の50%から80%の外径Dを、主軸A-A’と直交する方向に有する。
【0084】
支持プレート46は、有利には主軸A-A’に沿って5mmから20mmの厚さEを有する。
【0085】
図2に示すように、支持プレート46は、互いに反対側の2つの面、第1の面60Aと第2の面60Bとを有する。第1の面60Aは電気モータ24と向き合い、第2の面60Bは電気モータ24と反対側を向く。
【0086】
2つの面60A、60Bは、有利には平行である。
【0087】
ファン42は、ジャケット40の内部に取り付けられる。
【0088】
ファン42は、支持プレート46とは別個であり、支持プレート46のみに固定される。
【0089】
ファン42は、空気入口52から各々の空気出口56に空気を強制的に流させるように構成される。
【0090】
具体的には、ファン42は、空気流を主軸A-A’に対して軸方向に入口52から吸い込み、その空気流が主軸A-A’に対して基本的に径方向にジャケット40内を流れるようにするように構成される。その場合、ジャケット40は、その径方向の空気流を誘導路58内に誘導し、各々の空気出口56から軸方向に空気流を出すように構成される。
【0091】
そのため、ファン42は、主軸A-A’の周りを回転可動である。
【0092】
ファン42は、羽根62を備える。
【0093】
具体的には、ファン42が備える羽根62の数は3から25である。
【0094】
図2に示すように、ファン42は、取外し可能な固定手段59、特に少なくとも1つのねじによって支持プレート46に固定される。
【0095】
図2に示すように、第1の実施形態では、ファン42は、電気モータ24と反対側の支持プレート46の第2の面60Bに固定される。
【0096】
ファン42は、ファンが固定される回転子32と同じ速度で回転するのに適したものである。この場合、電気モータ24は、自己通風式であるという。これは、電気モータ24自体によってファン42が回転させられるためである。
【0097】
各々の羽根62は、主軸A-A’に対してほぼ径方向に延びる。
【0098】
ある具体的な実施形態によれば、各々の羽根62は、支持プレート46の半径に満たない長さにわたって径方向に延びる。
【0099】
各々の羽根62は、有利には8mm未満の厚さを有する。
【0100】
ファン42は、たとえばプラスチック材料のみ、金属材料のみ、または複合材料のみによって構成される。
【0101】
金属材料は、たとえばアルミニウム、チタンまたは鋼である。
【0102】
複合材料は、たとえば、ガラス繊維や炭素繊維などのような他材料と混ぜ合わされたプラスチック材料を含む。
【0103】
ファン42は、特に500kg/m3から5000kg/m3の密度を有する。
【0104】
支持プレート46は、羽根62の密度を厳密に上回る密度を有する。
【0105】
ファン42の回転速度の測定装置44は、間接的にファン42に接続されたエンコーダホイール64と速度センサ66とによって構成される。
【0106】
エンコーダホイール64は、その周囲に規則的に開口部を有するホイールである。たとえば、エンコーダホイール64は、ホイールの周囲に規則的に延びる歯を有するホイールである。
【0107】
ある実施形態では、エンコーダホイール64は、支持プレート46とは別個のものである。
【0108】
エンコーダホイール64は、支持プレート46のみに固定される。具体的には、エンコーダホイール64は、取外し可能な固定手段59、特にここではねじによって支持プレート46に固定される。
【0109】
エンコーダホイール64は、特に支持プレート46の周囲に配置される。
【0110】
その場合、エンコーダホイール64は、有利には鉄系材料、特に鋼によって構成される。
【0111】
変形では、エンコーダホイール64は、支持プレート46と一体で成形される。
【0112】
その場合、エンコーダホイール64および支持プレート46は、有利には鉄系材料、特に鋼によって構成される。
【0113】
図2に示すように、速度センサ66は、ジャケット40に固定される。
【0114】
速度センサ66は、エンコーダホイール64と向い合せに配置される。
【0115】
速度センサ66は、エンコーダホイール64の回転速度を測定するものとして適している。速度センサ66は、たとえば磁気センサである。
【0116】
図3は、この先で説明する第2の実施形態による動力ユニット116を示している。
【0117】
第2の実施形態による動力ユニット116は、第1の実施形態による動力ユニット16と似通った構造を有しており、以下では2つの実施形態の間の相違点についてのみ説明する。
【0118】
具体的には、第2の実施形態による動力ユニット116は、ファン42が、電気モータ24と向い合せに、支持プレート46の第1の面60Aに固定されるところが異なる。
【0119】
図3に示すように、冷却装置28の空気入口52は、ケーシング26の開口部38のうちの少なくとも1つと流体接続するようにされており、それによってその開口部38に空気を供給する。
【0120】
各々の空気出口56は、ジャケット40の周囲に配置される。
【0121】
ファン42は、空気入口52から各々の空気出口56に至る空気の流れを引き出すように構成される。
【0122】
具体的には、ファン42は、空気入口52を通して冷却流路39から吸い込み、その空気流が誘導路58を通って空気出口56まで冷却装置28の外に流れるようにするように構成される。
【0123】
そして、
図3に示すように、空気流は、電気モータ24の冷却流路39内を第1の実施形態の空気流の流れ方向とは逆の方向に流れる。
【0124】
電気モータ24内の空気流の流れは、
図3に見ることができる矢印によって示されている。
【0125】
空気流は、ケーシング26の後壁36Cから電気モータ24内に入り、冷却流路39内を流れた後、冷却装置28内を流れ、空気出口56から出ていく。
【0126】
この場合、電気モータ24は「吸出し通風型」であるという。
【0127】
有利には、電気モータ24は、回転子32を貫通する少なくとも1つの通風路68をさらに備える。各々の通風路68は、開口部38および冷却流路39と流体連結される。
【0128】
本発明は幾つかの利点を有することが理解される。
【0129】
実際、支持プレート46は、電気モータ24およびファン42の動作による機械的応力の大半を支えることができる。
【0130】
その結果、羽根62が支える応力は従来型のファンよりも小さくなるため、場合によっては、羽根は、ファン42の信頼性や寿命を犠牲にすることなく、機械的強度のさほど高くない構造であることができる。
【0131】
そのため、羽根62の形状を薄手のものとすることが可能となり、空気力学的な性能を向上させ、ファン42による騒音を小さくすることができる。
【0132】
その羽根62の製造も簡易化され、より安価なものともなる。
【符号の説明】
【0133】
2 鉄道システム
4 鉄道インフラ
6 線路
8 カテナリ式架線
10 車両
12 中間客車
14 終端客車
16 動力ユニット
17 台車
18 終端客車
20 パンタグラフ
22 車輪
24 電気モータ
26 ケーシング
28 冷却装置
32 回転子
34 固定子
35 外隔壁
36A 側壁
36B 前壁
36C 後壁
38 開口部
39 冷却流路
40 ジャケット
42 ファン
44 測定装置
46 支持プレート
52 空気入口
56 空気出口
58 空気誘導路
59 固定手段
60A 第1の面
60B 第2の面
62 羽根
64 エンコーダホイール
66 速度センサ
68 通風路
116 動力ユニット
【外国語明細書】