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特開2022-118050内部に保管された物品の保存のために輸送可能なコンテナ内の原位置で二酸化炭素スノーブロックを生成するための、輸送可能なコンテナ、重填器システム、方法、及びキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118050
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】内部に保管された物品の保存のために輸送可能なコンテナ内の原位置で二酸化炭素スノーブロックを生成するための、輸送可能なコンテナ、重填器システム、方法、及びキット
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/55 20170101AFI20220804BHJP
【FI】
C01B32/55
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092671
(22)【出願日】2022-06-08
(62)【分割の表示】P 2019500380の分割
【原出願日】2017-07-11
(31)【優先権主張番号】62/360,760
(32)【優先日】2016-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/645,152
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】392032409
【氏名又は名称】プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イン・ヅォウ
(72)【発明者】
【氏名】ランコ・バーサック
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・アール・セバー
(57)【要約】
【課題】装置内でCOスノーブロックを現場で生成するための新規のキット、輸送可能な装置、及び方法を提供すること。
【解決手段】
生体試料等の物品は、COスノーブロックを作成するために採用される、同装置内で保管及び輸送することができる。本装置は、輸送中に試料を保存することが可能である。本発明はまた、充填器及びメッシュ状導管3を含む特別に設計されたCOスノー充填器システムを含む。充填器システムは、輸送にも使用することができるコンテナ2内で原位置COスノーブロックを作成するために、本発明の方法に従って操作される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ内のCOを現場で充填し、COスノーブロックを生成するための二酸化炭素(CO)スノー作製キットであって、前記キットは、
内側メッシュ状導管容積及びスノー室に画定された内部容積を含むコンテナであって、COスノーブロックは、前記スノー室の中に生成されて保管されるように構成されており、前記内部容積は、複数のコンテナ壁によって更に囲まれている、コンテナと、
メッシュ状導管を受容するように構成された前記内側メッシュ状導管容積と、
ガスは通過させるが、前記COスノーブロックは前記スノー室内に実質的に残るようにするために十分な多孔質の開口部を備える前記メッシュ状導管と、
前記メッシュ状導管に動作可能に又は一体的に接続された又は前記メッシュ状導管を通されたCOスノー充填器であって、前記COスノー充填器は、CO流体を前記スノー室の中へ選択的に方向付けるように構成されており、前記COスノー充填器は、前記スノー室と流体連通する1つ以上の開口部を更に備える、COスノー充填器と、
を備える、キット。
【請求項2】
前記スノー室は、前記内側メッシュ状導管容積を単独で占める、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記スノー室は、前記メッシュ状導管を少なくとも部分的に囲み、更に、前記COスノー充填器は、前記メッシュ状導管に接続し、又は、前記メッシュ状導管を通って延在しており、前記COスノー充填器のノズルが、前記スノー室に向かって配向されるようになっている、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
前記COスノー充填器は、前記メッシュ状導管と密封接続を生成しているが、前記コンテナと非密封接続を生成している、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
前記コンテナは、前記COスノー充填器の一部分が、前記開口部を通って延在しており、ガスが、前記開口部を通ってベントすることができる、請求項1に記載のキット。
【請求項6】
前記コンテナの前記内部容積は、内側製品保管容積を含み、前記内側製品保管容積は、前記スノー室から分離しており別個になっている、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
コンテナ内で二酸化炭素(CO)スノーブロックを現場で充填するための方法であって、前記方法は、
CO流体を、メッシュ状導管に動作可能に又は一体的に接続されたCOスノー充填器に供給する工程であって、前記メッシュ状導管は、前記コンテナの内部内に位置付けられている、工程と、
前記CO流体をスノー室内に選択的に方向付ける工程と、
前記スノー室においてCOスノー粒子及びガスを現場で生成する工程と、
前記ガスを前記メッシュ状導管に通過させる工程と、
を含む、方法。
【請求項8】
前記方法は、前記COスノー充填器を前記コンテナに封止することなく、前記COスノー充填器を前記コンテナの開口部の中へ導入する工程を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記COスノー粒子を圧縮して、実質的にCOスノーブロックを形成する工程を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、内側製品保管容積の中への前記COスノー粒子の実質的な移動又は通過なしに、前記COスノー粒子を前記スノー室の中に現場で堆積させる工程を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記COスノー粒子を現場で充填することに関する情報を生成する工程を更に含み、前記情報は、(i)前記コンテナのための固有の識別子の中へ組み込まれるか、又は、(ii)データベースに転送される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
コンテナにおけるCOスノーブロックの現場での生成のために、現場で二酸化炭素(CO)スノー充填システムを組み立てるための方法であって、前記方法は、
CO源を提供する工程と、
コンテナを提供する工程であって、前記コンテナが、内側製品容積及びスノー室を更に備える、工程と、
メッシュ状導管を提供する工程と、
前記メッシュ状導管を前記コンテナの中へ挿入する工程と、
前記COスノー充填器を提供する工程と、
前記COスノー充填器の第1の端部を前記メッシュ状導管に動作可能に接続するか又は前記メッシュ状導管を通す工程と、
CO流体を前記スノー室の中へ方向付けるが、前記内側製品容積の中へは方向付けないように、前記COスノー充填器を構成する工程と、
前記COスノー充填器の第2の端部を前記CO源に動作可能に接続する工程と、
を含む、方法。
【請求項13】
前記方法は、前記コンテナとの密封接続を生成することなく、前記COスノー充填器の前記第1の端部を前記メッシュ状導管に動作可能に接続する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
スノー室の中にCOスノーブロックを製造するように適合された二酸化炭素(CO)スノー充填器システムであって、前記スノー充填器システムは、
メッシュ状導管であって、前記メッシュ状導管は、多孔質の開口部を備えており、前記多孔質の開口部は、COオフガスが前記多孔質の開口部を通過するには十分であるが、前記COスノーブロックの粒子を実質的に遮る、メッシュ状導管と、
前記メッシュ状導管に動作可能に又は一体的に接続された又は前記メッシュ状導管を通されたCOスノー充填器であって、前記COスノー充填器は、CO流体を前記スノー室の中へ選択的に方向付けるように構成されている、COスノー充填器と、
を備える、スノー充填器システム。
【請求項15】
前記COスノー充填器のノズルは、内側メッシュ状導管容積に向かって配向されている、請求項14に記載のスノー充填器システム。
【請求項16】
前記COスノー充填器のノズルは、内側メッシュ状導管容積から離れるように配向されている、請求項14に記載のスノー充填器システム。
【請求項17】
1つ以上の物品を保管すること、保存すること、又は輸送することのために構成された装置であって、前記装置は、
第1の領域及び第2の領域を含む内部容積によって特徴付けられるコンテナであって、前記第1の領域が、内側製品保管容積であり、前記第2の領域が、スノー室であり、その中にCOスノーが保管され、前記コンテナが、前記第1の領域及び前記第2の領域を少なくとも部分的に囲む複数の断熱コンテナ壁を更に備える、コンテナと、
前記内部コンテナ容積の中に位置付けられているメッシュ状導管又は製品ホルダと、
を備え、
前記COスノーの実質的にすべてが、前記スノー室を占めるように適合されており、それによって、前記COスノーは、前記スノー室の中に閉じ込められており、
前記内側製品保管容積は、前記スノー室から分離しており別個になっており、前記内側製品保管容積は、保管、保存、及び/又は輸送のために、1つ以上の物品を受容するように適合されている、装置。
【請求項18】
前記スノー室は、前記メッシュ状導管又は前記製品ホルダの中に位置付けられている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記コンテナの前記内部容積は、スノー室及び内側製品保管容積から本質的に構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記スノー室は、前記内側製品保管容積に対して外側に位置しており、前記内側製品保管容積は、前記メッシュ状導管又は前記製品ホルダの中に位置付けられている、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、固有の識別子を更に備え、前記固有の識別子は、前記固有の識別子の中にコンテナ識別情報を埋め込むように構成されており、前記コンテナ識別情報が、前記固有の識別子を読み取ることによって検索可能である、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記壁が、前記壁内に位置付けられるゲッタ材を備え、前記ゲッタ材が真空及び断熱レベルを維持し、前記COスノーと好適に対応する、請求項17に記載の装置。
【請求項23】
前記スノー室が、発泡体充填材料又は吸収剤を有していないことを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体検体を含む、様々な物品の保存及び輸送に使用することができるコンテナ内で、ブロック状の二酸化炭素(以下「CO」」と称する)スノーを原位置生成するための固有の装置、充填器システム、方法、及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品開発は、医薬産業における主要な試みであり続ける。医薬品開発は、新規治療の安全性及び有効性を確立するために治験を必要とする。今日、アメリカ合衆国、一国において、様々な段階における多くの治験が進行中である。各治験は、ある試験的な医薬品の投与をボランティアで行う数百から数千の患者に関与し得る。概して、治験の一部として、生体試料(例えば、組織、尿、血液試料)が、病院、大学、又は医療機関等の臨床現場で、参加者から収集され、次いで、分析のための研究所、又は後の分析のために凍結保管され得る施設に輸送される。
【0003】
試験的な医薬品の安全性及び有効性を評価するための能力は、治験中の再現可能、かつ信頼性の高い結果を得ることを必要とする。生体試料は、例として、医院と研究室との間の保存及び輸送中に、安定、かつ保存されなければならない。今日、生体試料を保存する一般的な手段は、固体二酸化炭素(即ち、ドライアイス)の存在下で凍結させ、保管することである。
【0004】
ドライアイスシステムは、試料が取得される臨床現場で、ポリスチレン箱等の断熱箱に、試料及びドライアイスを手動で搭載することを典型的に伴う。断熱箱は、治験を運営し
ている製薬会社又は開発業務受託機関によって、臨床現場に典型的に提供される。断熱箱構成部品は、組み立てた、又は分解した状態で提供され得る。断熱箱の組み立て及びドライアイスの搭載は、労働集約型となる可能性がある。また、臨床現場にドライアイスの十分な供給を維持することに関連付けられた少なからぬコスト及び不都合もあり得る。付加的に、一定時間内に限られるこのようなドライアイスの使用に失敗すると、ドライアイスの冷却効果を失わせることもあり得る。更に、断熱箱は、典型的には再利用できず、廃棄しなくてはならないため、廃棄物が生じる。
【0005】
他の欠点もまた、従来の断熱箱における試料の輸送に存在する。ドライアイスは、二酸化炭素の蒸気を昇華させることにより、断熱箱の内部を冷却する。多くの断熱箱が、最大4又は5日間の様々な持続時間の間、低温の内部温度を維持することができ、利用できる。内部試料空間は、初期の全ドライアイス搭載時には、ドライアイス温度に一様に近くなり得るが、ドライアイスが昇華すると、大きな温度勾配が内部試料空間内で生じ得、試料品質を潜在的に低下させる。断熱箱は、概して、十分な低温が内部試料空間内で維持されることを確実とするために、急送配送方法を介して出荷される。しかしながら、万一出荷レーンに遅延や混乱が発生すると、試料は、品質が低下する可能性がある。このような出荷中の遅延の結果、付加的なドライアイスを、輸送中に箱に搭載する必要があり得、貨物にコストの増加及び物流の複雑さをもたらす。
【0006】
従来のドライアイス出荷容器の1つの代替品が、極低温の液体窒素系蒸気容器である。極低温の液体窒素系蒸気容器は、低温窒素を蒸気状態に保持し、液体状での窒素の存在を回避するために、吸収剤を利用する。しかしながら、このような液体窒素系蒸気容器は、欠点に悩まされる。1つの欠点は、容器の準備に時間と労働を伴うことである。具体的には、ユーザは、容器に液体窒素を噴射し、吸収材上の窒素の十分な吸収が生じるまで数時間待って、そのような容器を準備し、出荷前に過剰な液体窒素を静かに移すことも続く。極低温液体窒素の実質的な取り扱いが必要であり、使用に先立って、多くの時間が液体窒素出荷容器の準備に必要である。更に、液体窒素系蒸気容器の使用に関連付けられたコストは、代替のドライアイス容器よりも格段に高い。
【0007】
これらの欠点を鑑み、保管及び輸送中、コンテナに試料を保存するための改善された方法には満たされていない必要性がある。
【発明の概要】
【0008】
一態様において、コンテナ内の原位置でCOを充填し、COスノーブロックを生成するための、二酸化炭素(CO)スノー作製キットは、第1の領域及び第2の領域に画定された内部容積を含むコンテナであって、第1の領域が内側メッシュ状導管容積であり、第2の領域がスノー室であり、その中にCOスノーブロックが生成されて保管され、内部容積が、複数のコンテナ壁によって更に囲まれている、コンテナと、メッシュ状導管を受容するように構成された内側メッシュ状導管と、メッシュ状導管の外面を囲み、複数のコンテナ壁によって少なくとも部分的に封入されている、スノー室と、コンテナの開口部内に位置し、内側メッシュ状導管容積に延在するメッシュ状導管であって、ガスは通過させるが、COスノーブロックはメッシュ状管に対して外側のスノー室内に実質的に残るようにするために十分な多孔質の開口部を備え、メッシュ状導管が、COオフガスを排気させるための内側通路を更に含み、第1の端部及び第2の端部を備え、第1の端部がコンテナの開口部に配向されている、メッシュ状導管と、コンテナの開口部に沿って、メッシュ状導管の第1の端部に動作可能に、又は一体的に接続されたCOスノー充填器であって、COスノー充填器が、複数のノズルを備える導管ネットワークを備え、複数のノズルが、メッシュ状導管の内側通路にCO流体が導入されることを実質的に回避する一方で、CO流体をスノー室内に選択的に方向付けるように構成され、スノー充填器が、メッシュ状導管の内側通路と流体連通する1つ以上の開口部を更に備え、1つ以上の開
口部が、ガスが開口部を通って通気され、コンテナを出ることを可能にするように構成されている、COスノー充填器と、を備える。
【0009】
第2の態様において、輸送可能なコンテナ内で二酸化炭素(CO)スノーブロックを原位置生成するための方法は、CO液体を、断熱された輸送可能なコンテナの内部内に位置付けられたメッシュ状導管に動作可能に、又は一体的に接続されたCOスノー充填器に供給する工程と、CO液体を、COスノー充填器の導管ネットワークのノズルに導入する工程と、CO流体を、メッシュ状導管外部のコンテナのスノー室内に選択的に方向付ける工程と、スノー室において原位置でCOスノー粒子及びガスを生成する工程と、COスノー粒子を圧縮して、ブロックのCOスノーに沿う中空の通路を特徴とする実質的にブロックのCOスノーを形成する工程と、ガスをメッシュ状導管に通過させる工程と、メッシュ状導管の内側通路に沿ってガスを排気する工程と、COスノー充填器を通じてガスを除去する工程と、を含む。
【0010】
第3の態様において、コンテナにおけるCOスノーブロックの原位置生成のために、現場で二酸化炭素(CO)スノー充填システムを組み立てるための方法は、液体CO源を提供することと、開口部を伴う断熱コンテナを提供することであって、コンテナが、第1の領域及び第2の領域に画定された内部容積を更に備え、第1の領域が、内側メッシュ状導管容積であり、第2の領域が、スノー室である、提供することと、メッシュ状導管を提供することと、液体CO源を受容するための入口開口部と、導管の縁部に沿って分配される複数のノズルとを有する導管ネットワークを備えるCOスノー充填器であって、ガスが充填器から排気されるための1つ以上の排気開口部を更に備える、COスノー充填器を提供することと、COスノー充填器の下部区分を、メッシュ状導管の上部区分に、動作可能に接続、又は一体的に接合させることと、メッシュ状導管を、コンテナの上部開口部を通じて、内側メッシュ状導管容積に挿入することと、コンテナの上部開口部で、メッシュ状導管の上部をコンテナに固定することと、COスノー充填器の入口開口部を、CO源に動作可能に接続することと、を含む。
【0011】
第4の態様において、COスノーブロックを製造するように適合された二酸化炭素(CO)スノー充填器システムは、メッシュ状導管であって、COオフガスが開口部を通過して、メッシュ状導管の内側通路に入るには十分であるが、COスノーブロックからの粒子の内側通路への進入は実質的に遮る多孔質の開口部を備え、かつメッシュ状導管の外部で生成されたCOスノーブロックを圧縮するのに十分な剛性を特徴とする、メッシュ状導管と、メッシュ状導管に動作可能に、又は一体的に接続されたCOスノー充填器であって、COスノー充填器が、複数のノズルを伴う導管ネットワークを備え、複数のノズルが、メッシュ状導管の内側通路にCO液体が導入されることを実質的に回避する一方で、CO流体をメッシュ状導管の外部に選択的に方向付けるように構成され、スノー充填器が、メッシュ状導管の内側通路と流体連通する1つ以上の排気開口部を更に備え、1つ以上の排気開口部が、ガスが開口部を通って通気されることを可能にするように構成されている、COスノー充填器と、を備える。
【0012】
第5の態様において、1つ以上の物品を保管すること、保存すること、及び輸送することのために構成された装置は、円筒形状を有する輸送可能なコンテナであって、コンテナが、第1の領域及び第2の領域に画定された内部容積を備え、第1の領域が、内側製品保管容積であり、第2の領域が、スノー室であり、その中にCOスノーが保管され、コンテナが、第1の領域及び第2の領域を少なくとも部分的に囲む複数の断熱容器壁を更に備え、壁が、壁内に位置付けられるゲッタ材を備え、ゲッタ材が真空及び断熱レベルを維持し、COスノーと好適に対応する、コンテナと、メッシュ状導管によって画定された内側製品保管容積であって、メッシュ状導管が1つ以上の断熱コンテナ壁に、永久的に、又は取り外し可能に貼着されている、内側製品保管容積と、メッシュ状導管の外部を囲むス
ノー室であって、複数の真空断熱コンテナ壁によって部分的に包囲されている、スノー室と、スノー室内部を占めるCOスノーと、第1の端部及び第2の端部を備えるメッシュ状導管であって、第1の端部が輸送可能なコンテナの開口部に向かって配向されている、メッシュ状導管と、を備え、スノー室が、発泡体充填材料又は吸収剤の欠如を特徴とする。
【0013】
第6の態様において、コンテナにおけるCOスノーブロックの原位置生成のために、現場で二酸化炭素(CO)スノー充填システムを組み立てるための方法は、CO源を提供することと、開口部を伴う断熱コンテナを提供することであって、コンテナが、第1の領域及び第2の領域に画定された内部容積を更に備え、第1の領域が、内側メッシュ状導管容積であり、第2の領域が、スノー室である、提供することと、断熱コンテナに動作可能に接続され、又は一体的に接続されたメッシュ状導管を提供することと、CO源を受容するための入口開口部と、導管の縁部に沿って分配される複数のノズルとを有する導管ネットワークを備えるCOスノー充填器であって、ガスが充填器から排気されるための1つ以上の排気開口部を更に備える、COスノー充填器を提供することと、COスノー充填器をコンテナに取り付けることと、コンテナの上部開口部で、メッシュ状導管の上部をCOスノー充填器に固定することと、COスノー充填器の入口開口部を、CO源に動作可能に接続することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1a】出荷容器内にCOスノーを充填するためのキットを示す図1bの線1a-1aに沿って切り取られた断面図を示す。
図1b図1aのキット内で使用されるCOスノー充填器の上面図を示す。
図2】メッシュ状導管及びCOスノー充填器を含む、COスノー充填システムを示す。
図3a】H形状の導管フローネットワークを有するスノー充填システムを伴う、図3bの線3a-3aに沿って切り取られた断面図における代替的なCOスノー充填システムを示す。
図3b図3aのCOスノー充填システム内で使用されるスノー充填器の上面図を示す。
図4a】断面形状の導管フローネットワークを有するスノー充填システムを伴う、図4bの線4a-4aに沿って切り取られた断面図における代替的なCOスノー充填システムを示す。
図4b図4aのCOスノー充填システム内で使用されるCOスノー充填器の上面図を示す。
図5】通気システム及び液体CO源に組み立てられ、接続された輸送可能なコンテナを有する斜視図における代表的なCO充填ステーションを示す。
図6】コンテナ及びコンテナの内部のメッシュ状導管内の物品の輸送中に使用される、輸送可能なコンテナに挿入された機械的な封止部を有する上部カバーの断面図を示す。
図7a】標準的な出荷箱内で原位置COスノーを生成するために使用されるCOスノー充填器キットの代替的な設計を示す。
図7b】標準的な出荷箱内で原位置COスノーを生成するために使用されるCOスノー充填器キットの代替的な設計を示す。
図8】本発明の方法によって調製されたCOスノーブロックを含有する本発明の保管装置と、COドライアイスペレットで満たされた標準的な出荷容器との温度プロファイルの比較を示す。
図9】標準的な出荷箱を示す。
図10】本発明の原理に従って、CO源から輸送可能なコンテナに、COのガス及びCO液体を導入するためのプロセスフローを示す。
図11】本発明の方法によって、コンテナに充填されたCOスノーブロックを含有する本発明の保管装置のための温度プロファイルを示し、コンテナの壁はおよそ10ミクロンの真空レベルまで真空断熱される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
記載されるように、一態様において、本発明は、好ましくは自動化される充填システムを使用して、特別に設計された輸送可能なコンテナ内で直接、CO源から原位置COスノーブロックを生成するためのシステム及び方法を提案する。このように、別個の製造コンテナから輸送可能なコンテナにCOスノー又はドライアイスを移動させる必要がなく、それによってCOスノー又はドライアイスを極低温出荷容器に搭載するために必要な労力を低減させる。オンデマンドの生成が、ユーザが現場でCOスノーブロック又はドライアイスの在庫を維持する必要性をなくす。プロセスの自動化が、操作を簡素化し、それによっていずれのユーザもシステムを利用することが可能になる。本発明は、下記明細書で定義されるようないずれの「物品」と使用され得る一方で、好ましい実施形態において、本発明は生体試料を再現可能に保存するために必要な包装プロトコルの順守を維持するために特に貢献し、それによって試料の劣化を回避し、試料が元の機能状態に復帰して、その目的地到着時に適切な試験を受けられることを可能にする。更に、原位置COスノーブロックは、従来技術により製造されたCOドライアイスを含有する標準的なドライアイス出荷コンテナと比較して、冷却効果持続時間が延長されたコンテナの必要温度を保持し得る圧縮密度を改善させて好ましくは生成される。延長された冷却効果の持続時間は、輸送中の試料の劣化のリスクを低減させることができ、ユーザがより柔軟となり、本発明の輸送可能なコンテナの準備及び組み立てに関するコスト及び利便性、物品(生体試料等の試料を含む)を取得する時期、利用し得る出荷方法のタイプ、を最適化することを可能にする。
【0016】
「COスノー」及び「ドライアイス」という用語は、同一の意味を有し、凝固されたCOの粒子を意味するまで本明細書及び全体にわたって互換的に使用され得ることが理解されるはずである。
【0017】
「COスノーブロック」又は「COブロック」、その両方は、本明細書及び全体にわたって互換的に使用され得、堅く保持された粒子からなるいずれの形状の、実質的にブロック状の形態のCOスノー粒子の作成を意味するように意図される。
【0018】
本明細書で使用される「CO流体」は、液相、気相、蒸気相、超臨界相、又はこれらのいずれの組み合わせを含む、いずれの相を意味する。
【0019】
本明細書で使用される「CO源」又は「CO液体源」は、限定するものではないが、シリンダ、デュワー、ボトル、及びバルク又はマイクロバルクタンクを含む。
【0020】
本明細書で使用される「導管」又は「導管フローネットワーク」は、1つ以上の流路を作成し、及び/又は流体の通過を可能にするのに十分な、管、パイプ、ホース、マニホルド、及び任意の他の好適な構造体を意味する。
【0021】
本明細書で使用される「接続された」又は「動作可能に接続された」は、限定するものではないが、弁及び導管、を含む、従来型の配管及び組み立てとして2つ以上の構成部品の間の直接又は間接接続を意味し、別様に特定されなければ、2つ以上の構成部品の間の流体、機械、化学及び/又は電気的通信を可能にする。
【0022】
本明細書で使用される「物品」は、限定するものではないが、血液、尿、組織試料、又はそれらの構成成分等の生体試料と、肉、家禽、魚、及び乳製品等の生鮮食料品と、パーソナルケア物品と、化学薬品と、を含む、凍結又は一定の温度未満に維持されていない場
合に、腐敗、劣化、及び/又は構造変更若しくは変性を受け得る、いずれの温度感受性の物品、製品、又は供給物も意味する。
【0023】
本明細書で使用される「充填」は、外部のCO源から外部のCO源に動作可能に接続されたコンテナにCO流体を導入するプロセスを意味する。
【0024】
「輸送可能」は、限定するものではないが、航空、地上、又は海上を含む、任意の既知の手段によってユーザの場所から別の目的地へ移動、輸送、又は出荷されることが可能である装置を意味する。輸送又は出荷は、限定するものではないが、小包郵便、UPS(登録商標)出荷サービス、FedEx(登録商標)出荷サービス等を含む、種々の小包配送サービスを通じて発生し得る。
【0025】
以下に記載されるような実施形態は、単に実施例であり、本発明は、図面内に例解される実施形態に限定されない。図面が縮小されたものではなく、ある場合において、従来の製造及び組み立ての詳細等、実施形態の理解に必ずしも必要とされない詳細部は削除されていることもまた、理解されるはずである。
【0026】
実施形態は、類似要素が同様の数字によって参照される図面を参照して記載される。実施形態の様々な要素の関連性及び機能は、以下の詳細な記載によってより良好に理解される。「発明を実施するための形態」は、本開示の範囲内のものとして様々な置換及び組み合わせの特徴、態様、及び実施形態を想到している。したがって、本開示は、これらの特定の特徴、態様、及び実施形態のそのような組み合わせ及び置換のうちのいずれか、又はそれらのうちの選択された1つ以上を備えるように、それらからなるように、又はそれらから本質的になるように指定され得る。
【0027】
本発明の一態様において、図1aは、輸送可能なコンテナ2内にCO流体を充填し、原位置でCOスノーブロックを生成するための好適なCOのスノー作製キット1を示す。キット1は、好ましくは輸送可能なコンテナ2、メッシュ状導管3、及びCOスノー充填器4を含む。輸送可能なコンテナ2は、好ましくは複数の壁を含み、それは、好ましくは、断熱された底壁5、断熱された側壁6、および断熱された上部カバーによって、その実質的な部分に沿って断熱されており、上部カバーは、コンテナ2の輸送中にコンテナの開口部7にわたって位置する。好ましくは、壁5及び6は、特定のレベルまで真空断熱される。コンテナ2は、壁5及び6内に向上した真空を生成する能力を高めるために、好ましくは円筒形状である。COスノー又はCOスノーブロックに対応する、好適なゲッタ材料は、真空断熱壁5及び/又は6内の空間を占めてもよい。収着能力のおかげでゲッタ材料は、壁5及び/又は6内の真空レベルを高めるためのポンプとして作用する。キット1を組み立てるとき、コンテナ2は、開口部7を有し、その中にメッシュ状導管3が挿入され得る。スノー充填器4の下部区分は、(例えば、溶接、機械的締結手段等を介して)メッシュ状導管3の第1の端部17に接続され、取付点で封止部を作成する。代替的に、スノー充填器4及びメッシュ状導管3は、単一の充填構成部品として製造されることによって一体的に接続することができる。
【0028】
輸送可能なコンテナ2は、第1の領域及び第2の領域に分類することができる内部容積を含む。第1の領域は、内側メッシュ状導管容積であり、その中にメッシュ状導管3が位置付けられ得る。メッシュ状導管容積は、任意の好適な容積であり得る。一実施例において、メッシュ状導管容積は、約25L以上、好ましくは最大約10L、及びより好ましくは最大約3Lである。別の実施形態において、メッシュ状導管容積は、0.25~25L、好ましくは0.25~10L、及びより好ましくは0.25~1Lの範囲である。第2の領域は、スノー室11であり、その中にCOスノーブロック10が生成かつ保管される。スノー室11は、好ましくは、メッシュ状導管3を囲み、スノー室11は、コンテナ
2の全ての側面に沿って完全に、又は実質的に断熱される。断熱壁5及び/又は6の比較的小さな部分が、下記本明細書に記載されるように、適切なCO流体の充填及び試料の搭載を確実とするように、開口部7を作成するために除去され得ることが理解されるはずである。
【0029】
メッシュ状導管3は、内側通路14を含む。メッシュ状導管3は、好ましくは管状であるが、他の形状が想到されることも理解されるはずである。メッシュ状導管3は、コンテナ2の開口部7を通じて挿入され、コンテナ2の内側メッシュ状導管容積に延在する。メッシュ状導管は、第1の端部17及び第2の端部18を有する。第1の端部17は、コンテナ2の開口部7に配向され、第2の端部18は、真空断熱底壁5に向かって好ましくは配向される。好ましい実施形態において、メッシュ状導管3は、コンテナ2内に挿入されるとき、メッシュ状導管3の外側表面と真空断熱側壁6との間に実質的に均一な空間を作成するように、コンテナ2の縦方向中心軸に沿って対称に配設され、それによってCOスノーブロック10が対称的な環状の実質的なブロック形態として、室11内で製造されることを可能にする、対称的な環状のスノー室11を作成する。
【0030】
メッシュ状導管3は、図2においてより明確に見られるように、導管3の表面上にある開口部16を備える。発明者らは、メッシュ状導管3を利用することが、スノー室11内で生成されるスノー粒子の圧縮に貢献する抵抗を付与し、そのためCOスノーブロック10を作成することを見出した。COスノーブロック10は、コンテナ2内に位置するメッシュ状導管3なしで別様に製造されるよりも、高い圧縮密度を有することができる。一実施例において、メッシュ状導管3及び本発明の方法を伴い作成されたCOスノーブロック10は、ペレット化されたドライアイスCOの嵩密度相当の嵩密度を有する。
【0031】
メッシュ状導管3の開口部16は、COスノー粒子の生成から製造されるCOオフガス(図1a内の「GCO」)が、開口部16を通過して、メッシュ状導管3の内側通路14に入ることを可能にする。内側通路14に入ると、COオフガスは、図1aの上向きの矢印によって示されるようにそれに沿って流れ、次いでスノー充填器4の1つ以上の開口部13(図1b)を通って流れてコンテナ2から出ることができる。次いで、COオフガスは、コンテナ2に接続され得る通気システムに排気することができる。
【0032】
スノー室11は、メッシュ状導管3の外部を囲む。極低温液体窒素出荷容器に反し、スノー室11は、発泡体充填材料又は吸収剤の欠如を特徴とする。スノー室11は、真空断熱底壁5及び真空断熱側壁6によって囲まれる。
【0033】
図1aに対応するスノー充填器4の上面図は、図1bに示される。スノー充填器4は、十字形状の導管フローネットワーク8と、リング管19に沿って分配され、それによりリング管19がネットワーク8の縁部に沿って延在するノズル12を伴うリング管19と、リング管19を囲む外側スリーブ9と、を含む。中心開口部15が提供され、その中にCO流体がCO供給源から入る。4つのノズル12は、CO流体のスノー室11への均一な噴射を確実とするために、十字形状の導管フローネットワーク8のリング管19に沿って均一に分配される。導管フローネットワーク8は、リング管19に接続される。各ノズル12は、およそ90度で他方から離間し、各ノズル12は、同一サイズの開口部を有する。導管フローネットワーク8は、メッシュ状導管3の内側通路14から通気するためのCOオフガス用の均一な開口部13を作成する、対称的な十字形状の構造体を作成する。このような充填器4の構造は、ノズル12を通じて実質的に均一なCO流体の流れを作成し、室11内のCOスノーブロック10の実質的に均一な形成及び分配を作成する。スノー充填器4へのCO流体の導入は、中心開口部15に向かって延在する、図1aの下向きの点線によって示され、導管フローネットワーク8内のCO流体の分配は、ノズル12に向かって延在する図1aの横方向点線によって示される。ノズル12からのCO流体の導入は、スノー室11への角度の付いた下向きの矢印によって示される。一実施例において、図1aを参照すると、ノズル12は、垂直壁に対しておよそ30°~60°の範囲の角度で、メッシュ状導管の垂直壁から離れて配向され得、それによって垂直壁は、コンテナ2の水平表面に垂直に延在する。ノズル12の他の角度構成が、想到される。COオフガスの流路は、メッシュ状導管3の内側通路14内に、「GCO」として表記された、図1aの上向きの点線によって示される。
【0034】
本発明は、ノズル12、中心開口部15、及び導管フローネットワーク8の他の形状、導管フローネットワーク8用の他の幾何学的パターン(例えば、H形状又はT形状)、導管フローネットワーク8に沿ったノズル12の他の分配及び場所、を想到することが理解されるはずである。実施例として、図3a及び図3bは、代替的なスノー充填システム300を示し、これは図1a及び図1bのコンテナ2に対応する。システム300は、メッシュ状導管又は管303及びスノー充填器304を含む。スノー充填器304は、H形状の導管フローネットワーク306を有する。図3a及び図3bに示されるように、ノズル301は、スリーブ302及びH形状の導管フローネットワーク306が接続するテーパ部分に沿って位置決めされる。H形状の導管フローネットワーク306の中心開口部305は、CO源からCO流体の供給を受容することができる。次いで、CO流体は、H形状の導管フローネットワーク306を通じて、メッシュ状管303へのCO流体の導入を実質的に回避しながら、断熱壁6に向かって角度付けされたスノー室11にCO流体を方向付ける、ノズル301内に方向付けられる。CO流体は、液体としてスノー室11に好ましくは入る。
【0035】
開口部307は、原位置スノーブロック10から生成されたCOオフガスが、開口部を通じて排気されることを可能にするために、メッシュ状管303の内側通路と流体連通する。スノー充填システム300は、図1aのコンテナ2等の好ましくは円筒形状のコンテナに挿入して、円筒形状のコンテナ内でスノーブロックを原位置製造することに好適なキットを形成することができる。
【0036】
図4a及び図4bは、代替的なスノー充填システム400を示し、これはまた図1a及び図1bのコンテナ2に対応する。システム400は、導管フローネットワーク406及びスリーブ402の異なる設計を含む。除充填器404のスリーブ402は、コンテナ2の形状に合わせて設計される。本発明の他の充填システムと同様に、スリーブ402は、COスノー充填動作中に十分な封止部を提供する。スリーブ402の封止効果は、COオフガスがスノー充填器404の開口部407を通じる以外で、コンテナ2から出ることを防止する。図4aは、CO流体入口導管(すなわちフローネットワーク導管406)がスリーブ402を通過することを示す。ノズル401は、導管フローネットワーク406の先端で構成され、CO流体をコンテナ2のスノー室11内に噴射するために、必要に応じてある方向に開くことができる。CO流体は、好ましくは液相で、孔405に入り、次いで導管フローネットワーク406の各側面に横に流れる。次に、CO流体は、導管フローネットワーク406に沿って下向きに流れ、ここでメッシュ状管403の側面に沿って位置するノズル401を通って流れ、次いでコンテナ2のスノー室11に入る。図4aは、メッシュ状導管403の側面部分がスリーブ402に取り付けられていることを示す。消充填システム400は、本発明の原理に従って、図1aの円筒形状のコンテナ2等のコンテナに挿入して、円筒形状のコンテナ2内でCOスノーブロックを原位置製造することができるキット1を形成することができる。
【0037】
見られ得るように、導管フローネットワーク306及び406は、フローネットワークを通じてCO流体の特定のフローパターンを実現するように意図された異なる構造的構成を表現し、それがコンテナ2のスノー室11内に方向付けられる。充填システム300及び充填システム400を含む本発明のスノー充填システムは、図1aのコンテナ2を除いて、他のコンテナを伴い利用することができることが理解されるはずである。
【0038】
充填器4、充填器304、及び充填器404の設計で示される例等、充填器の幾何学形状及び全体的な設計の正確な選択は、限定するものではないが、コンテナ2の内部容積(すなわち、メッシュ状導管3の容積、及び/又はスノー室11の容積)、及びある持続期間の間、所定の温度以下の温度に維持されて輸送中保存される、生体試料等の物品の保管を維持するために、生成されることが必要なCOスノーブロック10の量(例えば、およそ4日間-60℃以下)を含む、いくつかの設計要因に基づいてもよい。
【0039】
図1a、図1b、及び図2を参照すると、スノー充填器4の有効径は、導管フローネットワーク8の縁部又は周辺部に沿って位置決めされる、ノズル12が、CO流体のメッシュ状導管3の内側通路14への噴射を実質的に回避しながら、メッシュ状導管3の外側のCO流体をスノー室11に導入することを確実とするために、メッシュ状導管3の径よりも広くなることが示される。スノー室11内で形成されるCOスノー粒子の実質的な部分は、内側通路14を通らない。内側通路14は、COスノーブロック10の形成中に生成されたCOオフガスが通路内を通じて流れることを可能にするためのみに設計され、そのためCOオフガスを、輸送可能なコンテナ2から除去することができる。これに関して、図1aのスノー室11への角度の付いた矢印は、ノズル12の場所、及びノズル12を通じてスノー室11へのCO流体の対応する導入を表記するように意図される。
【0040】
図1a、図1b、図2を続けて参照すると、スリーブ9は、導管フローネットワーク8の周囲に延在する。スリーブ9は、図1aに示されるように、スノー充填器4から離れて更に延在し、いずれの好適な手段により、コンテナ2に取り付けることができ、それによってキット1の動作中、充填器4及びメッシュ状導管3を静止位置において固定する。一実施例において、図1aに示されるように、充填器4の一部であるスリーブ9は、充填器4の上部から離れて垂直に延在し、コンテナ2の上部区分に沿って取り付く。スリーブ9は、メッシュ状導管3に対して構造的な補強を付与することができる。メッシュ状導管3を補強する能力は、メッシュ状導管3が、スノー室11内で形成され堆積する、COスノーブロック10に抗してより大きな抵抗を付与することを可能にする。その結果、本発明は、メッシュ状導管のないコンテナ内で作成されたCOスノーと比較して、濃密COスノーブロック10の原位置製造、及びスノー室11内のCOスノーブロック10の増加した搭載容量という効果を提供することができる。
【0041】
スリーブ9はまた、COオフガスがスノー充填器4の開口部13を通じる以外で、コンテナ2から出ることを防止する、封止部として作用する。開口部13を通じてCOオフガスを通気することは、COオフガスがメッシュ状導管3の内側通路14内で流れるとき発生し得るのみである。このように、スリーブ9は、スノー室11内のCOオフガスをメッシュ状導管3の表面に沿って位置付けられたメッシュ状導管3の開口部16を通過するようにさせ、メッシュ状導管3の内側通路14への進入後、スノー充填器4の開口部13を通じて出す。封止するための他の手段は、本発明によって実行することができるということが理解されるはずである。例えば、図4aの充填器システム400を参照すると、封止は、導管403の外側表面に沿って延在するスリーブ402の下部部分で発生し得、それによってスリーブ402とコンテナ2の首部分との間に封止部を作成する。
【0042】
構造的構成部品及びCOスノー作製キット1の組み立てについて記載してきたが、輸送可能なコンテナ2内でCOスノーブロック10を充填及び作製する方法に関する本発明の一態様を、図1a、図1b、図2、及び図5を参照して今後考察していく。図1aに示されるように、組み立てられたCOスノー作製キット1は、図5内に示されるように、重量計504上の充填ステーション500に設置される。図示されないが、プログラマ
ブルロジックコントローラ(PLC)は、キット1に導入されるCO流体の量を制御するために、重量計504と好ましくは一体化される。PLCディスプレイは、ユーザが充填プロセスを監視することを可能にする。PLCディスプレイはまた、充填が完了した時点を好ましくは示す。
【0043】
圧力調整デバイス、差圧伝送器、制御弁及び手動弁は、CO流体のキット1への送達に関する充填プロセスの一部として構成され得る。正確な導管及び弁構成が縮尺に描かれず、ある特徴部が意図的に削除されて、キット1を利用する充填プロセスをより良好に例解することが理解されるはずである。
【0044】
COスノー作製キット1の出口は、スノー充填器4内に開口部13(すなわち、通気開口部)を有する。開口部13は、スノー室11内の原位置COスノーブロック10の生成中に作成された、COオフガスを捕捉する換気システム501への好適な導管と接続することができる。通気は、COスノープロセスから生成されたCOオフガスを除去し、それによって安全な動作環境を提供する。付加的に、圧力逃がし弁を、スリーブ9上又はスリーブにごく近接して設けることもできる。キット1の入口は、導管フローネットワーク8の中心開口部15を通り、CO源502に動作可能に接続され、概して、CO流体を2MPa~6MPa(300~900psig)の圧力で保管するであろう。CO源502は、限定するものではないが、シリンダ、デュワー、ボトル、又はマイクロバルク、若しくはバルクタンクを含む、上記に定義されるような、いずれの好適なコンテナを備えてもよい。CO源502は、安全弁及びバーストディスク等、安全性調整特徴部を装備してもよい。導管は、CO源502からスノー充填器4の導管フローネットワーク8の中心開口部15に延在する。
【0045】
COの充填を開始する準備が整ったとき、充填ステーション500のドア503を閉じる。ドア503が、CO充填中に係止されたままとなるように、安全性インターロックが充填ステーション500内に提供される。通気システム501が、作動する。
【0046】
充填ステーション500上のボタンが、充填プロセスを起動するために押圧され得る。加圧されたCO流体は、CO源502から、源502を容器2に動作可能に接続する、導管に導入される。好ましくは、CO流体は、CO液体であり、COガスは、液体COの圧力がある圧力(例えば、約1.0MPa(150psig))を下回って低下することを防止するために導管に添加されて、液体COが導管内で固体及びガスへの相変化を時期尚早に起こさないことを確実とする。
【0047】
CO流体は、図1aの下向きの点線の矢印によって示されるように、導管フローネットワーク8の中心開口部15でスノー充填器4内に方向付けられる。この後、図1aにおいて、スノー充填器4内で水平の点線によって示されるように、CO流体は、4つのノズル12の各々に向かって導管フローネットワーク8内に均一に分配される。4つのノズル12は、メッシュ状導管3の内側通路14内への噴射を実質的に回避しながら、CO流体をスノー室11内に、及び真空断熱側壁6に向かって方向付け、又は噴射するように角度付けされる。好ましい実施形態において、スノー室11は、コンテナ2のメッシュ状導管3と真空断熱壁6との間の環状領域を表現する。他の設計はまた、スノー室11がメッシュ状導管3を囲む非環状形状を有する場合を想到する。液相のCO流体が、ノズル12を通過する。液体COがノズル12を通過し、スノー室11に入るとき、圧力及び温度低下が発生し、スノー室11において固体粒子のCOスノーブロック10及びCOオフガスを生成する。
【0048】
メッシュ状導管3の開口部16は、COオフガスの通過は可能にするが、COスノーの粒子の進入は実質的にブロックするようにサイズ決定される。メッシュ状導管3に、
及び次いでスノー充填器4の開口部13を通じるCOオフガスの通過は、COオフガスがコンテナ2から除去されるための唯一の経路である。COオフガスがメッシュ状導管3に流れる際、スノー粒子を圧縮し、スノー室11内にスノーブロック10を形成及び堆積させる、望ましい効果を有する。COスノー作製キット1を操作する充填方法を参照して、本明細書で使用される「圧縮する」という用語は、スノー粒子をCOスノーブロック10に圧縮することを表す。本発明の原理に従う圧縮は、スノー室11内で原位置生成され、輸送可能なコンテナ2内に搭載され得るCOスノーブロック10の量に影響を与える。
【0049】
本発明は、COオフガスがスノー充填器4上の開口部13を通じてコンテナ2を出る前に、スノーブロック10を圧縮するためにCOオフガスの形成を利用する能力を有する。COオフガスは、メッシュ状導管3の内側通路14内を上向きに流れ(図1aの上向きの矢印によって示されるように)、スノー充填器4の開口部13を通じて出現する。開口部13は、図1bのスノー充填器4の上面図においてより明瞭に示される。このように、内側通路14は、排気通路として作用する。次いで、COオフガスは、コンテナ2に動作可能に接続される通気システム501内に方向付けることができる。
【0050】
COスノーブロック10の形成及び堆積中に、COオフガスは、スノー室11内で製造される。メッシュ状導管の開口部16は、サイズが制限されているので、COオフガスが開口部16を通って内側通路14に自由に流れることを防止する。したがって、圧力はスノー室11内で作成される。メッシュ状導管3は、抵抗を付与し、スノー室11内の圧力に抗して実質的な変形を起こさないように、十分な構造的剛性を有する。このように、COスノーブロック10の圧縮密度は、スノー室11の環状領域内で増加し得る。結果として得られるCOスノーブロック10は、スノー粒子を強固に保持する実質的にリング状のブロック形態のようである。一実施例において、COスノーブロック10の嵩密度は、立方m当たり881~1041キログラム(立方ft当たり55~65ポンド)の範囲である。スノー室11内で形成されたCOスノーブロック10の嵩密度は、メッシュ状導管3の開口部16のサイズに、少なくとも部分的に関する。COスノーブロック10がスノー室11内で形成及び圧縮され続ける際、COオフガスは、スノー室11からメッシュ状導管3の開口部16を通じて、抵抗を伴い通過し続ける(すなわち、自由に流れない)。COオフガスは、次いで内側通路14を通じて流れ、スノー充填器4の開口部13を通じてコンテナ2から出る。見られ得るように、メッシュ状導管3は、(i)COスノー粒子及びガスの分離壁として機能し、(ii)COスノーブロック10の圧縮のための抵抗を提供し、(iii)充填動作中に、実質的な静止位置において、結果として得られたCOスノーブロック10を保持し、圧縮するスノー室11内に環状領域を作成し、(iv)COスノーブロック10が内側通路内で崩れることを防止する。
【0051】
COスノーの粒子は、ブロック形態で、スノー室11内で形成され続け、スケール504は、COスノーブロック10がスノー室11内で形成され続ける際、COスノーブロック10の重量を監視し続ける。目標設定点重量のCOスノーブロック10が生成されたとき、PLCは、適切な制御弁に信号を自動的に中継し、液体CO源502からの液体COの供給を遮断する。概して、COスノーブロック10の設定点重量は、ある数日間、ある臨界閾値(即ち、所定の)温度を下回り、試料製品ホルダの空間又はメッシュ状導管3の空間を維持し、それによって容器2内で輸送される物品が保存されたままであり、最終目的地に到着時に使用可能であることを確実とするために必要なCOスノーブロック10の重量として定義される。実施例として、物品が生体試料であるとき、試料は、目的地に到着時に試験目的で使用可能である。充填の完了に関する適切な表示は、充填ステーション500で視覚的に表示することができ、ユーザへの任意の遠隔アラート及び通知が、提供されてもよい。
【0052】
充填の完了時に、PLCは、充填ドア503がユーザによって解放されるように安全インターロックを解除する。この様式で、スノー作製キット1によるCOスノーブロック10の原位置自動生成は、ドライアイスペレット又はブロックを取り扱う必要性、並びに現場でドライアイスペレット又はブロックの在庫を維持する必要性を回避させる。充填プロセスはまた、COスノーブロック10の設定点重量が得られたとき、手動で遮断することもできることが理解されるはずである。
【0053】
別の実施形態において、充填することは、COスノーブロック10がコンテナ2の上部、又はおおよそ上部まで満たされたと判定されるまで発生し、スノーブロック10の所定の設定点重量は、充填プロセスが停止するべきときを判定するために任意で使用され得るが、このような所定の設定点重量は、必ずしもスノーブロック10をコンテナ2に充填するためのこの特定の方法において必要というわけではない。いずれの検出手段も、そのうちいくつかは下記で記載されるが、COスノーブロック10がコンテナ2の上部、又はおおよそ上部まで満たされたときを判定するために使用することができる。
【0054】
操作の代替的なモードとして、CO充填ステーション500に対する自動又は手動の遮断が、どれくらいのCO重量がコンテナ2に加えられたかに基づくのではなく、スノー保管領域内で作成された圧力に基づくものもある。ある上部圧力レベル又は圧力上昇の検出が、液体CO源からの供給を停止するときを判定するために使用され得る。充填が完了したときを判定するための他の検出手段を、提供することもできる。例えば、限定するわけではないが、充填は、ある時間、温度、及び/又はコンテナ2内の容量レベルへの到達時に、手動で又は自動的に遮断することができる。このように、本発明は、圧力表示器、差圧、温度センサ、タイマ、容量測定、又はそれらの任意の組み合わせを採用することを想到する。本明細書に記載された充填方法の完了は、スノーブロック10が、(i)コンテナ2の上部まで、(ii)コンテナ2のおおよそ上部(例えば、スノー室11の最大予容積容量の80%以上)まで、又は(iii)コンテナ2のスノー室11の最大容積のある所定の部分まで、満たされたとき、を意味し得ることを理解されるべきである。
【0055】
好ましい実施形態において、コンテナ2へのCOスノーブロック10の単一及び満充填が実行され、COスノーブロック10がスノー室11を実質的に満たすと判定されるまで、COスノーブロック10の所定の重量まで満たすことに基づく。代替的に、単一充填は、COスノーブロック10がスノー室11の一部分のみを占めるように実行され得るということが理解されるべきである。付加的に、本発明の任意の充填方法は、本明細書に記載されたものを含む、いずれの好適な検出手段に基づくことができ、充填は、コンテナ2内に共に積層される単一のドライアイスブロック10又は複数のドライアイスブロック10を作成するための1度以上の時間を採用し得ることが理解されるべきである。充填の手動又は自動の遮断は、充填が完了したときを判定するための、充填方法及び検出手段のいずれかを伴い想到される。
【0056】
本発明の別の態様において、充填が、充填に使用される所与の断熱コンテナ2に対してドライアイスブロック10の設定点又は所定重量に達するまで、ドライアイスブロック10の重量を監視することに基づくとき、コンテナ2内で形成されるために必要なCOスノーブロック10の必要な重量に関する初期推定値が、下記の表1から判定され得、これより説明する。
【0057】
【表1】
【0058】
まず、コンテナ、好ましくはコンテナ2への熱利得、Q、が、表1内に示された式に基づいて判定される。当該技術分野で既知のR値は、コンテナの全体断熱特性であり、Aは、環境温度、Textに曝される断熱コンテナ2の全表面である。Textは、平均的に、コンテナ2が、輸送中に曝されることが予測される環境温度である。A及びRは両方とも、コンテナ2の既知の特性である。このΔTは、環境温度(Text)とコンテナ内部の温度(Tins)との間の温度差として算出された推定値である。Tinsは、コンテナ2の内部で測定される温度である。好ましくは、熱電対が、Tinsを測定するためにカバーの内部(例えば、図6の上部カバー600の内部)に沿って、又は隣接して位置する。Textは、午前の温度と午後の温度との間の季節的な平均変動を考慮することができる、任意の調整因子、α、を伴い補正又は修正することができる。ΔTのより正確な推定値はまた、下記で説明されることになるが、内側及び/又は外側温度センサを使用して得られてもよいということが理解されるはずである。判定されたΔT及び既知の値A及びRを有し、Qが算出される。Qは、コンテナ内部に保管された物品の充填及びそれに続く輸送に使用される、所与のコンテナ2の断熱壁及びカバーを通じる熱利得の所期レートを平均で表現する。次に、判定されたQを有して、コンテナ2内のある物品がコンテナ内部で輸送されると予測される所与の持続時間、t、の間に必要とされる推定されたドライアイス重量が、判定され得る。ドライアイスブロック10の推定量は、(Q*t)/572((Q*t)/246)として判定され、ここで572(246)は、固相から気相に直接相間移動を起こすために、COスノーに必要な認識昇華エネルギである。このドライアイススノーブロック10の推定重量は、設定点重量としてPLCへ入力することができ、充填の完了の達成時を管理し、又はコンテナ2への充填プロセス中に設定点重量として手動で使用され得る。設定点重量に達したことを検出することにより、充填は、手動又は自動のいずれかで、遮断することができる。
【0059】
様々な動作変数の選択が、充填動作、及びCOスノーブロック10が輸送可能なコンテナ2内で原位置生成される方法、に影響を与え得る。例えば、液体COの供給圧及びスノー充填器4の設計(例えば、ノズル12のサイズ、数、角度、場所、及び分配)は、液体CO流量、COスノーブロック10収率、及びCOスノー充填器4内のオフガス流量、並びに、スノー室11内部のスノーブロック10の分配及び圧縮、及び充填動作を完了するための必要時間に影響を与えることができる。更に、スノー及びオフガスの障壁として作用し、スノーブロック10の圧縮のための十分な抵抗を付与するための、メッシュ状導管3の能力は、メッシュ状導管3の開口部16、及び開口部16を有するメッシュ状導管3の表面の部分のサイズによって、少なくとも部分的に管理することができる。また更に、ある液体CO供給圧力及びスノー充填器4の設計の組み合わせは、原位置スノーブロック10を連続的に作製するために、充填器4の能力に影響を与えることができる。付加的に、ある用途に関して、スノーブロック10を十分な密度で好適に圧縮するための最適なCOオフガス流量があってもよい。このような好適な圧縮のための機構は、充填器4のノズル12を通じて送達される液体CO流量の範囲、及び/又はコンテナ2を排出するCOオフガス流量の範囲で動作することができる。
【0060】
操作変数の正確な選択は、コンテナ2の形状(例えば、円筒形、多角形、矩形、又はボトル形状)、コンテナ2の真空断熱特性、又はR値、コンテナ2内の特定の物品がある温度以下で維持され得る、持続時間又は寿命の表示である、耐久特性、輸送中に保存される特定の物品、及びユーザが物品を取り扱う、試験する、及び/又は分析するための、最終目的地までの輸送中、ある数日間、ある物品の保存を実現するために必要なスノーブロック10の量、を含む、いくつかの要因で変化し得る。好ましくは、動作変数は、コンテナ2の最適な充填及び耐久特性を実現するために選択される。
【0061】
COスノーブロック10のコンテナ2への充填動作が完了すると、コンテナ2は、CO源から係合解除される。次に、充填器4及びメッシュ状導管3は、コンテナ2から次いで取り外され、それによってユーザがコンテナ2の内部容積にアクセスすることを可能にする。通気システム501は、全てのCOオフガスが通気システム501内に方向付けられることを確実とするために、充填器4を取り外す間も、オンのままとなり得る。コンテナ2内の輸送される物品は、製品ホルダに搭載される。次いで、製品ホルダは、コンテナ2の開口部7を通じて挿入され、本来、メッシュ状導管3によって占められる同じ容積を占める。代替的に、製品ホルダが、コンテナ2に挿入され得、次いで、物品が製品ホルダに搭載されることもある。代替的に、メッシュ状導管3は、コンテナ2の内部に永久的に貼着されたままとなり得、製品ホルダは、メッシュ状導管3に挿入され得る。図6は、コンテナ2の底部に沿ってコンテナ2の内部のメッシュ状導管3の一実施例を示す。メッシュ状導管3をコンテナ2の底部内、又はコンテナ2内の他の領域に取り付けるための他の方法が、本発明によって想到される。メッシュ状導管3及び製品ホルダを有するおかげで、輸送可能なコンテナ2は、COスノー又はCOスノーブロックが試料領域内部に崩れることを防止し、このことは製品ホルダ又はメッシュ状導管3を利用しない、従来型のドライアイス出荷容器によって提供されることのない効果である。
【0062】
次に、機械的封止部(例えば、図6に示されるようなコルク状の構造体)を伴う上部カバー600は、コンテナ内に含有される試料の保管、保存、及び/又は出荷中、コンテナ内の製品ホルダ及び物品の閉じ込めを作成するために、容器2の開口部7に挿入される。機械的封止部を伴う上部カバー600は、COオフガスがそれを通じて逃げることができるジグザグ状のチャネル又は通路を収容し、それによってコンテナ2内の物品の保管、保存、及び/又は、輸送中に形成されるCOガスの圧力上昇を実質的に低減又は排除する。コンテナ2内の圧力上昇を最小限に抑えるためにCOオフガスの通気を可能にしながら、雰囲気からのコンテナ2内部の熱利得を最小限に抑えるように、通路の間隔が、好ましくは最適化される。コンテナ2の熱利得を最小限に抑えながら、過剰なCO圧力を通気する他のチャンネル設計が、想到される。
【0063】
現段階では、コンテナ2は、物品の保管、保存、及び輸送のために構成される。本発明の原理に従って上記に挙げられたように、充填されたコンテナ2の耐久性又は性能は、限定するものではないが、コンテナ2内部に充填されるCOスノーブロック10の量、製品ホルダによって占められる空間のサイズを含む、コンテナ2のサイズ、及びコンテナ2のR値又は断熱性、を含む、いくつかの要因に基づくことができる。上記で使用されるようなコンテナ2の耐久性は、コンテナ2内の特定の物品が、実施例として、限定するわけではないが、-60℃等の、ある温度以下で維持され得る、持続期間又は寿命として特徴付けられ得る。コンテナ2の壁6は、十分な熱断熱を提供するために好ましくは真空断熱される。真空断熱のレベルは、より大きな真空断熱壁6が、コンテナのより高いR値をもたらすように、R値に影響を及ぼす。一実施形態において、及び下記本明細書の実施例に
おいて本発明者らが実施する試験により、明示及び記載されているように、算出されたコンテナ2のための全体R値は、約1000ミクロンの真空レベルで、およそ0.79mhr C/kJ(18fthr F/Btu)である。換言すれば、1000ミクロンの真空で、コンテナ内に本発明によって作成された、5kg(10lbs)のCOスノーブロックを有するコンテナは、およそ4日間、約-60℃以下の温度で、コンテナ内に試料又は物品を維持することになる。別の実施形態において、コンテナのR値は、コンテナ2の被覆部分に沿って約10ミクロンのより高い真空レベルで、約7.9mhr C/kJ(180fthr F/Btu)であると判定される。換言すれば、10ミクロンの真空で、コンテナ内に本発明によって作成された、5kg.(10lbs.)のCOスノーブロックを有するコンテナは、およそ37日間、約-60℃以下の温度で、コンテナ内に試料又は物品を維持することになる。
【0064】
本発明の他の修正が、想到される。例えば、本明細書で記載されるように本発明の原理は、コンテナがコンテナ内部でCOスノーブロックを製造するためだけに採用されるように、郵送不可能であり、又はユーザ先に永久的に又は一時的に残るコンテナを含む、いずれのタイプのコンテナにも適用可能であることが理解されるはずである。例えば、メッシュ状導管3を伴うCOスノー充填器4は、標準的な出荷箱内で、好ましくはブロック形状で、原位置COスノーを生成するために利用することができる。これに関して、図7a及び図7bは、標準的な出荷箱内で原位置COスノーを生成するために設計されたCOスノー充填器システムの代替的な設計を示す。COスノー充填器システムは、スノー充填器及びメッシュ状導管を含む。上記で記載されたように、スノー充填器4は、標準的な出荷箱への好適なCO流体噴射パターン及びCO流体フロー分配を作成するために、幾何学形状及び設計において変化し得る導管フローネットワークによって更に画定される。導管フローネットワークは、導管内に埋め込まれたノズルを有する、所定の形状及びパターンの複数の細長い構造を有することができる。
【0065】
図1b及び図2に示されるものに加えて、COスノー充填器に対する他の変化が、想到される。例えば、図4a及び図4bは、充填器400のスリーブ402の端部部分の間に位置するメッシュ状導管3の上部部分を示す。導管フローネットワーク402は、スリーブ402内に延在する。
【0066】
充填器、ノズル、及びメッシュ状導管の他の設計タイプも、想到される。例えば、異なる形状のメッシュ状導管を、円筒形状のメッシュ状導管以外で採用することができる。一実施例において、テーパの付いたメッシュ状管が、採用され得、コンテナ2の内部へのメッシュ状管の挿入及び取り外しを容易にするために、上部部分が、下部部分よりもより大きな径を有する。別の実施例において、充填器キットは、円筒形メッシュ状導管が逆U字型フローネットワーク導管に取り付けられる場所で利用することができ、フローネットワークの下部部分がメッシュ状導管の外側表面に沿って延在する三角形状の断面を有するリザーバ部分に接続される。ノズルは、三角形状部分に沿って位置付けられ、メッシュ状導管への導入を実質的に回避する一方で、室に下向きに噴射するように設計される。メッシュ状導管及びCOスノー充填器設計の他の設計の組み合わせも、想到される。更に、本発明の充填方法を実行するために、図3bのH形状導管、及び図1b並びに図4bに示される十字形状導管以外に、様々な他の噴射導管又はあるフローネットワーク導管が、本発明によって想到されることが理解されるはずである。また更に、代替的な構造体が、スノー充填器をコンテナ2に封止するために採用され得る。例えば、スノー充填器のスリーブは、コンテナ2の上部で、コンテナ2の開口部7内の内側に位置する、構造リングと嵌合し、封止するように、平坦となり得る。
【0067】
製品ホルダは、非多孔質又は多孔質であり得る。好ましい実施形態において、製品ホルダは、非多孔質、使い切り、及び輸送される物品の周囲の側面に沿って密封筐体を作成することができるものが採用される。製品ホルダは、輸送される物品を、コンテナ2内の内部空間(すなわち、スノー室11)の残部から隔離するように、構造的に構成される。生体試料を含む、コンテナ2内で出荷される物品の多くは、封止された、又はキャップ付きのガラス製バイアル瓶若しくは管内に典型的に閉じ込められる血液等の、それら自体の一次包装内に保持することができる。万一バイアル瓶又は管がコンテナ2内で破裂又は破損した場合、製品ホルダは生体試料を封じ込めるように設計され、それによってコンテナ2の内部の汚染を防止する。別の実施形態において、メッシュ状導管3は、原位置COスノーブロックの充填及び形成の完了後、スノー充填器4から取り外し可能に取り外され、次いで製品ホルダとして作用するためにコンテナ2内に残る。代替的に、メッシュ状導管3は、コンテナ2内に永久的に位置することができ、多孔質製品ホルダとして作用してもよい。
【0068】
又更に、本発明は、輸送可能なコンテナ内で原位置COブロックを生成するための改善された方法を想到する。本発明の一態様が、プロセス1000を一般化した概略で表現する、図10に示され、これにより原位置COブロックの圧縮密度を強化することができる。プロセス1000からある詳細が省略され、縮尺に描かれ得ないことが理解されるはずである。例えば、図10に示されるように、充填動作をより良く例解するために、正確な導管及び弁構成が縮尺に描かれず、ある特徴部は、意図的に削除される。概して、プロセス1000は、輸送可能なコンテナ1010内で形成されたCO原位置ブロック1099の圧縮密度を改善するために、輸送可能なコンテナ1010への液体COの導入をCOガスと交互に行うことを伴う。図示しないが、輸送可能なコンテナ1010は、充填器及びメッシュ状導管を含むCOスノー作製キットを含む、上記で記載された本発明の特徴部を有する。輸送可能なコンテナ1010は、充填ステーション1001内に位置して示される。コンテナ1010は、充填ステーション1001にアクセスを可能にする、アクセスドア1053を開放することによって、充填ステーション1001に導入される。アクセスドアセンサ1054は、ドア1053の開閉を検出し、ドア1053が開くとき、コンテナ1010へのCO流体の導入を防止するように設計することができる。コンテナ1010を、重量計1055上に設置し、次いでアクセスドア1053を閉じる。
【0069】
排気システムは、充填ステーション1001に動作可能に接続される。排気システムがオンされて、COオフガス1044が導管1050を通って排気システムに通気することを可能にする。次に、CO蒸気弁1094を開位置に設定し(又はそのような開位置にあることを確認し)、制御弁1100を開位置に構成して、CO源1090からガス導管1091へのCOガス引き出しを可能にする。CO源1090は、源圧でヘッドスペース内にCOガスを収容する。圧力調整器1080(「PRV 1100」)は、CO源1090から引き出されたCOガスの圧力を、源圧から約1.0MPa(150psig)まで、低減させるように調節する。
【0070】
ガス導管1091は、圧力トランスデューサ1071及び1070、並びに、圧力インジケータ1078を収容し、その各々は、ガス導管1091内に設置される。圧力トランスデューサ1071は、CO源1090内のヘッドスペースの圧力を測定し、圧力インジケータ1078は、約1.0MPa(150psig)まで低減後のCOガス流の圧力を測定し、圧力トランスデューサ1070は、COスノー充填器に入るCO流の圧力を測定する。COガスがガス導管1091の様々な部分を通じて流れる際、任意の残留物及び/又は不純物がパージされる。COガスは、コンテナ1010内に方向付けられ、プロセス1000のこの点では、いずれのCOブロック1099も収容しない。COガスは、上記で記載されるように、CO充填器の通気穴を通じて輸送可能なコンテナ1010から続いて出る。COガスを伴うパージプロセスは、任意の時間継続することができる。一実施例において、パージプロセスは、およそ30秒継続することができる。
【0071】
およそ30秒経過後、CO蒸気弁1094が開位置に残存する状態、及び制御弁1100が開位置に構成された状態で、CO源1090からの液体COを、液体導管1092を通じて、コンテナ1010に導入して、それによって上記で記載されるように、本発明の原理に従った原位置COブロック1099の生成を開始することができる。CO主液体引き抜き弁1093を、開位置に設定、又は開位置等にあると確認し、CO液体制御弁1200を、開位置に設定する。導管1092内に流れる液体CO流の供給圧(例えば、およそ2.4MPa(350psig))は、概してガス導管1091内に流れるCOガスの流れの供給圧(例えば、およそ1.0MPa(150psig))よりも高いため、COガスは、ガス導管1091内に残り、コンテナ1010内のCOブロック1099の生成中に、コンテナ1010への流れを停止させる。逆止弁1067は、CO液体流圧力が、ガス導管1091内でCOガスの逆流を引き起こし、CO源1090に戻ることを防止する。
【0072】
CO液体が充填器に入り、次いでコンテナ1010に入るとき、CO液体は、相変化を起こしてコンテナ内でCOスノーブロック1099を形成し、COオフガスが生成され、COスノー充填器の通気穴を通じて流れる。COオフガス1044は、充填ステーション1001の内部に入る。排気システムは、導管1050を通じてCOオフガス1044を引張り、それによって充填ステーション1001内及び充填ステーション1001の周囲環境内のCOオフガスの濃度の高まりを防止する。CO液体の流れは、一定時間の間継続する。一実施例において、液体COは、およそ30秒間、コンテナ1010に入ることができ、その時間中に、COスノーブロック1099が生成される。30秒程経過後、CO液体制御弁1200を閉位置に構成する。CO液体制御弁1200が閉じるとき、導管1092内の液体CO流の供給圧力は実質的にない。この結果、ガス導管1091内のCOガスは、十分な圧力(例えば、1.0MPa(150psig))をこれで有して、大気圧である、充填器、次いでコンテナ1010に流れる。COガスは、コンテナ1010のスノー室に流れる。COガスがコンテナ1010のスノー室、次いでメッシュ状導管に流れる際、スノーブロック1099は、連続充填方法におけるCOオフガス生成単独で達成可能なものよりも、より圧密又は圧縮されたものになり得る。その後、COガスは、COガス1044として充填ステーション1001の内部に入るまで、メッシュ状導管を通じて、及びスノー充填器の通気穴を通じて流れる。次いで、COガスは、導管1050を通じて排気され、通気システム内に方向付けられる。
【0073】
COガスパージ及びCOスノー充填を交互に行うことで、COスノーブロック1099の嵩密度は、連続充填方法において形成されるものよりも高くなり得る。重量計1055が所定重量に達したとき、液体CO制御弁1200は、COガス制御弁1100に続いて、閉位置に変わる。この様式で、CO原位置ブロック1099は、改善された圧縮密度を伴って要求に応じて形成され、これはコンテナ1010の輸送中の耐久性の改善と言い換えることができる。
【0074】
プロセス1000の間、PLC1085は、圧力トランスデューサ1070及び1071、制御弁1100及び1200、計量計1055、アクセスドアセンサ1054、及び排気/通気システムと電気的に通信する。これらの電気的接続は、PLC 1085とこのような構成部品との間の信号の伝送及び通信を可能にし、それによってプロセス1000の調節及び制御を確実とする。
【0075】
安全逃がし弁1086及び1087(「SRV 1102及びSRV 1200」)は、プロセス1000の様々なシステム構成部品をシャットダウンしたとき、ガス導管10
91及び/又は液体導管1092それぞれの中に貯留し得る残圧を逃がすように設計される。例えば、システムをシャットダウンしたとき、制御弁1200は閉じられ、主液体引き抜き弁1093もまた閉じられる。残りの液体COは、制御弁1200から主液体引き抜き弁1093に延在する、液体導管1092の部分に沿って貯留し得る。それらに沿って貯留した液体COが最終的にCOガスに昇華する際、圧力の高まりは、一実施例において3MPa(400psig)で作動するように設定される、安全逃がし弁1087によって逃がすことができる。安全逃がし弁1086はまた、COガス1091導管内の圧力の高まりが、3MPa(400psig)に達する場合、又は達するとき、圧力を逃がすように作用する。
【0076】
本明細書に提示された様々な動作パラメータは、単に例解的なものであり、輸送可能なコンテナ1010内の特定の原位置COブロック生成のために好適に合わせる必要があれば変更することができることが理解されるはずである。同様の結果を得られるプロセス1000を実現するために異なる工程が採用され得、それによって輸送可能なコンテナ1010にCOガスと交互に液体COを導入することが生じ、輸送可能なコンテナ1010内で、結果として得られるCO原位置ブロック1099の圧縮密度を改善することが、更に理解される。
【0077】
更に、他の修正が、本発明によって想到される。例えば、洗浄又は消毒のプロセスを、本発明に組み込むことができる。これに関して、図1a及び図6のコンテナ2は、流体を洗浄又は消毒するために、コンテナ2の内部の曝露を可能にするように構成されてもよい。メッシュ状導管3又は製品ホルダは、洗浄又は消毒プロセス中は取り外される。一実施形態において、当該技術分野で既知の密閉部が、密閉部を通じて通過する1つ以上の導管を伴い、コンテナ2内に設置され得る。消毒剤又は洗浄流体は、次いで次いで密閉部に流れ、コンテナを満たすことができる。流体は、目標保持時間の間、コンテナ内に保持される。代替的に、密閉部は、コンテナ2内への洗浄又は消毒流体の流れを可能にし、目標時間の間にコンテナ2から流れを出すために、密閉部を通じて通過する1つ以上の付加的な導管を収容してもよい。コンテナ2はまた、洗浄又は消毒流体を供給及び除去するための1つ以上のポートを直接的に装備してもよい。洗浄/消毒が完了した後は、密閉部は、コンテナ2の内部から取り外すことができる。
【0078】
本発明の別の実施形態は、充填プロセスのために使用され、それに続いてコンテナ内に保管される物品を目的地に輸送するためのコンテナ2のある態様を識別するために、電子的又は物理的に読むことができる、固有の識別子を伴う各コンテナ2を構成することを含む。実施例として、固有の識別子は、その特定のコンテナ2に固有の埋め込み型情報を有するバーコード、高速応答(QR)コード、又は近距離無線通信(NFC)タグであり得る。コンテナ2のバーコード、QRコード(登録商標)又はNFCタグ、若しくは他の固有の識別子における、埋め込み型情報の代表例は、限定するものではないが、コンテナの自重、コンテナ2内に充填されたスノーブロック10の初期及び実時間の重量、耐久特性、コンテナ2のタイプ、コンテナ2への充填の時間、コンテナ2への充填の日時、コンテナ2の目的地、コンテナ2内で輸送されている物品(複数可)のタイプ、並びに、例として、物品がコンテナ2内で曝され得る最も暖かい温度、及びその温度での持続時間を含む、物品についての他の具体的な情報、及びコンテナ2の場所のトレーサビリティ等の、コンテナ識別情報を含み得る。このタイプの固有の識別子内に埋め込まれたコンテナ識別情報は、コンテナ2の所期耐久性を含み、その特定のコンテナ2の履歴の参照を提供することができる。コンテナ識別情報は、実施例として、QRスキャナ、バーコードスキャナ、又は他の手段等、スキャナを通じて読み取り可能となり得る。この様式で、読み取り又はスキャンされるコンテナ識別情報は、クラウド内に記憶され得る。代替的に、クラウドデータベース等のデータベースは、全ての必要なコンテナ識別情報を維持するために採用され得る。
【0079】
所望であれば、目的地への輸送中、コンテナ2の識別及びトレーサビリティは、充填情報と共に、ユーザによって維持され、調べることができる。一実施例において、コンテナ2の固有の識別子がスキャンされるとき、固有の識別子から読みだされたコンテナ識別情報は、ユーザによってコンテナ2に搭載された試料又は物品にリンク、一致、又は相互参照させることができる。
【0080】
コンテナ識別情報に加えて、温度データ並びに他の場所及びトレーサビリティ情報も、コンテナ2の輸送中、コンテナ内に保管された物品と共に、測定及び記録することができる。例えば、内側温度センサが、コンテナ2の中の温度を監視するために、コンテナ2のカバー(例えば、図6のカバー600)の内部領域に沿って、又は隣接して位置付けられてもよい。このような内側温度センサはまた、コンテナ2のカバーがコンテナ2から取り外されたときを検出するための手段であってもよい。代替的に、又はそれに加えて、外側温度センサが、特定の場合に、コンテナ2を囲む環境温度を測定するために、コンテナ2の外部に沿って位置付けられてもよい。このような外側温度センサは、コンテナ2が予測されたよりも高い環境温度に曝されたときに検出することができ、それによって所期より高い環境温度曝露を回避するために、コンテナ2の流通経路を必要に応じて変更することを可能にする。したがって、コンテナ2内に保管された物品の保存能力が、強化される。また更に、付加的な温度センサが、物品を囲む空間(すなわち、製品ホルダ又はメッシュ状導管3の領域)の温度を監視するために、コンテナ2の内部に設置されてもよい。
【0081】
このような温度センサを使用することにより、環境温度とコンテナ2の内側温度との温度差が、特定のコンテナ2の耐久性をより正確に推定するために使用することができる。温度データはまた、充填が発生した施設におけるコンテナ2の所期耐久特性、及びコンテナ2の輸送中のスノーブロック10消費をより良くシミュレートするために使用することができる。この様式で、コンテナ2の所期性能の信頼性を、コンテナ2をユーザに展開する前に、高めることができる。更に、コンテナ2の挙動の履歴(例えば、スノーブロック10の消費、平均環境温度、コンテナ2の平均内部温度)が、輸送中に検出されるコンテナ2のいずれの異常な挙動及び/又は運送条件に対して警告を設定するために利用することができる。
【0082】
測定された温度データは、コンテナ2内のデータチップ上に記憶することができ、追跡される温度データ並びに他のデータは、コンテナ2がその目的地に到着するとき、必要に応じて続いてダウンロードすることができ、それによって、ユーザがコンテナ2の選択と併せて、充填プロセスについての特定の判断を潜在的にするためにデータにアクセス及び使用することを可能にし、及び/又は出発地から目的地へのコンテナ2の配送ルートをより良くマッピングすることを可能にする。
【0083】
ユニバーサルシリアルバス(USB)接続又は他の好適な転送手段を含む、多くの手段が、データを転送するために利用することができる。付加的に、スマートフォン用にカスタマイズされたアプリケーションが、例として、ブルートゥース(登録商標)無線接続手段を含む、無線接続手段を通じて、温度データ及び顧客識別情報等の他の情報と同期するように展開することができる。また更に、無線テレメトリデバイスをコンテナ2上に設置することができ、一度ゲートウェイが利用可能になると、コンテナ識別情報及び測定データを含む、生成された情報が、セルラーネットワークを通じてゲートウェイ及びセンサクラウドに遠隔転送することができ、それによってウェブサイト及び特定のアプリケーション上での利用が可能になる。本発明は、当該技術分野において既知の、又は(i)コンテナの固有の識別子から生成された、(ii)測定された、(iii)追跡された、及び/又は(iv)コンテナ2の充填及び輸送中に記憶された、情報を転送するために今後展開され得る、他の好適な転送手段を想到する。
【0084】
他のセンサがコンテナ2に組み込むことができることが、理解されるはずである。例えば、1つ以上のセンサが、コンテナ2の場所追跡を可能にするために、コンテナ2上に構成されることができる。場所追跡は、実施例として、どの物品がどのコンテナ2内に位置付けられるかを識別すること等の、特定の活動の温度データ及び追跡に相関することができる。この様式で、コンテナ2の場所及びコンテナ2内の物品の調子についてのリアルタイムでの情報が可能となり、物品の損傷を防止するために、リアルタイムでの修正行為を行うことを可能にする。更に、充填及び/又は輸送中に記録され、追跡された他の情報と併せて、コンテナ識別情報が、輸送中に消費されたスノーブロック10の量を推定するために利用することができる。別の実施形態において、追跡情報及びコンテナ識別情報はまた、スノーブロック10を収容し得、又は収容していなかった可能性のある、前に輸送されたコンテナにユーザが再度充填するように使用することもできる。この情報は、特定の物品の特定の目的地へのその後の輸送に関して、コンテナ2の付加的な使用又は寿命を付与するために、充填プロセス中にどの程度の付加的なスノーブロック10が必要となるかを判断するために使用することができる。
【0085】
更に、本発明は、限定するものではないが、生体試料の輸送及び保存、個人的な物品、家禽及び乳製品、を含む、様々な用途におけるアプリケーションを有する。
【0086】
十分な温度保持又は耐久性を呈する、輸送可能なコンテナ内の原位置でCOを充填し、COスノーブロックを生成するための本発明のCOスノー作製キットに関する能力が、以下の試験によって明示される。
【0087】
比較実施例1(標準的な出荷容器)
直径1センチメートル(0.5インチ)の市販のCOドライアイスペレットを、図9に示される標準的な出荷箱に手動ですくい、設置した。標準的な出荷箱は、Sonoco Thermosafeから商業的に入手可能であり、外側段ボール箱、発泡ポリスチレン断熱層、及び真空断熱パネルを含む、三層の断熱からなる。1cm(0.5”)ドライアイスペレットを、最も内側の箱内に設置した。熱電対を、出荷箱の上部近傍に設置した。
【0088】
温度測定値を、ほぼ96時間得た。結果は、図8に示される。標準的な出荷容器内の温度は、試験過程全体にわたって徐々に増加した。
【実施例0089】
実施例1(本発明)
本発明の原理に従って、図1aに示されるようなプロトタイプキットを、製作し、組み立てて、COスノーブロックを生成した。円筒状のメッシュ状管を、ほぼ円筒状のコンテナの内部に挿入し、設置した。コンテナは、49.3センチメートル(19.4インチ)の全体の高さ(コンテナ2の最も底の部分からコンテナ2の最も上の部分まで及び高さとして画定される)、9.09センチメートル(3.58インチ)の首部径、及び23センチメートル(9.2インチ)の全体径(側壁から側壁までのコンテナ2の最も広い部分として画定される)を有した。合計の内部保管容積は、コンテナの上部に固定された上部カバーで、約6リットルであった。円筒状メッシュ状管は、約1リットルの容積を有した。
【0090】
環状フロー導管ネットワークを含むスノー充填器を、環状フロー導管ネットワークの周辺部に沿って配置された複数のノズルを伴い、メッシュ状導管の上部部分に接続した。フロー導管ネットワークの中心開口部を、次いで、液体CO源に取り付けられたCOパイプに接続した。
【0091】
液体COを、COガスを伴う液体COガス源から導入して、液体COの圧力が1.0MPa(150psig)より低く落ち込まないことを確実とし、それによって環状フロー導管ネットワークのパイプ及び/又はノズル内の時期尚早の固体COの形成を回避した。固体COの形成は、配管及び/又はノズルを目詰まりさせる可能性を有する。
【0092】
COスノー粒子及びCOオフガスを、コンテナ内で製造した。COオフガスは、メッシュ状管を通過し、次いでコンテナから出た。ごく少量のCOスノー粒子が、メッシュ状管の内部通路を通り、内部通路内で形成することが観察された。
【0093】
充填を、4.76kg.(10.5lbs.)のCOスノー粒子がコンテナ内に蓄積するまで継続した。COスノーは、密着して保持される粒子のほぼブロック形状の整合性を伴う環状の形状のようであった。COスノーブロックは、加圧された液体CO流体が、周囲温度及び圧力条件で空のコンテナに導入されるときに製造された、従来型の綿毛状のCOスノー粒子の典型的な整合性よりも、非常に濃いことが視覚的に現れた。
【0094】
次に、COスノーブロックの特性を、市販の直径1cm(0.5”)のCOドライアイスペレットの特性に対して、判定、比較した。嵩密度を、コンテナ内を満たしたCOスノーブロック又はドライアイスペレットの重量に対する、空間の容積、の比を計算することにより判定し、その中にCOスノーブロック又はドライアイスペレットを満たした。この様式で、本発明の充填方法により製造されたCOスノーブロックのための嵩密度を、961g/L(60.0lb/ft)と判定した。市販の直径1cm(0.5”)のCOドライアイスペレットを、COスノーブロックを作製するために利用したコンテナのものと同じ容積内に充填した。概して、条件を満たすドライアイス密度を得るための基準を表現するCOドライアイスペレットを、プロトタイプキットで使用するとき、948g/L(59.2lb/ft)の嵩密度を有すると判定した。これらの結果は、本発明の充填方法が、プロトタイプキット内を満たしたCOドライアイスペレットの嵩密度に対して、匹敵するか、又はより高い嵩密度を伴う比較的高い密度のCOスノーブロックを製造することが可能であるということを示す。
【0095】
実施例2(本発明)
実施例1で記載されるように、本発明のプロトタイプの温度プロファイルが、プロトタイプ内で製造されたCOスノーブロックを伴い、評価され、次いで、比較実施例1で記載されるように、評価された標準的な出荷容器内に収容されたCOドライアイスペレットの温度プロファイルと比較した。
【0096】
メッシュ状管及びスノー充填器を、プロトタイプキットのコンテナから取り外した。次いで、熱電対を、コンテナのカバーの底部のやや下に設置した。上部カバーを、コンテナの開口部上に設置した。
【0097】
温度測定値を、ほぼ96時間得た。結果は、コンテナ内で原位置生成されたCOスノーブロックを伴うプロトタイプコンテナは、90時間にわたって-60℃以下の温度になるということを示した。結果は、図8に示される。所与の時間の温度は、コンテナ内に位置する異なる熱電対から得られた温度測定値の平均を表現する。本発明のプロトタイプの温度プロファイルを、標準的な出荷箱のものと比較して、より長い期間、より低い温度で保持した。付加的に、本発明のプロトタイプキットが、標準的な出荷箱のものよりもその試料空間内の温度変化が少ないことが観察された。
【0098】
実施例3(本発明)
本発明のプロトタイプキットの性能上の異なるR値の効果を評価した。当該技術分野で既知のように、R値は、耐久性を数値で表すために採用される熱抵抗の測定値であり、ある物品が、ある所定の温度以下の温度でコンテナ内に維持され得る持続時間の指標である。本明細書で実行される試験において、所定の超過しない温度は、-60℃であった。実施例1及び実施例2で採用された同じコンテナを、試験を実行するために使用した。最初に製造されたコンテナを、1000ミクロンのレベルまで真空被覆した。コンテナは、真空ポートを含み、真空断熱壁へのアクセスを可能にした。真空デバイスを、必要に応じて真空ポートに接続して、耐久性を評価するために異なる真空レベルを達成した。
【0099】
第1の試験において、およそ1000ミクロンの真空断熱被覆におけるコンテナの耐久性を評価した。COスノーブロックを、実施例1に記載された本発明の充填方法に従って製造した。次に、コンテナの温度プロファイルを、実施例2に記載されるように生成した。温度を測定し、図式的な結果を、図8に示すように「本発明のプロトタイプ」に表記する。データは、コンテナの内部の試料空間が、ほぼ4日間、-60℃より暖かい温度に達していなかったことを示す。温度データに基づいて、出荷容器のR値を、0.79m hr℃/kJ(18fthr°F/Btu)と算出した。
【0100】
第2の試験において、真空デバイスを、真空ポートに接続して、被覆内の真空レベルを1000ミクロン~およそ10ミクロンまで低下させた。COスノーブロックを、実施例1に記載された本発明の充填方法に従って製造した。次に、コンテナの温度を、実施例2に記載されるように生成した。温度を測定し、図式的な結果を、図11に示すように「本発明のプロトタイプ」に表記する。データは、コンテナの内部の保管空間が、ほぼ37日間、-60℃より暖かい温度に達していなかったことを示す。このように、これらの試験は、真空レベルが100倍に高まったとき、コンテナの耐久性が9倍超高まったことを示す。
【0101】
本発明の特定の実施形態とみなされるものを示し、記載してきたが、当然ながら、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態又は詳細の様々な修正及び変更を容易に行うことができることが理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書において示され、説明される正確な形態及び詳細に限定されず、本明細書において開示され、以下に特許請求される本発明の全範囲に満たないいかなるものにも限定されないことを意図する。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11