(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118204
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】表刷り用グラビア印刷インキ組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 11/102 20140101AFI20220804BHJP
【FI】
C09D11/102
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022100835
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】正岡 隼一
(57)【要約】
【課題】インキ被膜の耐テープ変色(黄変)性に優れるとともに、基材との密着性、耐熱性等の諸物性に優れる表刷り用グラビア印刷インキ組成物を提供すること。
【解決手段】バインダー樹脂、プロピオン酸ジルコニウム、及び有機溶剤を含有し、前記バインダー樹脂が、ポリアミド樹脂及びニトロセルロースを含み、、前記プロピオン酸ジルコニウムその添加量が、前記バインダー樹脂の不揮発分100質量部に対して0.1~15質量部である、表刷り用グラビア印刷インキ組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂、プロピオン酸ジルコニウム、及び有機溶剤を含有し、
前記バインダー樹脂が、ポリアミド樹脂及びニトロセルロースを含み、
前記プロピオン酸ジルコニウムの添加量が、前記バインダー樹脂の不揮発分100質量部に対して
0.1~15質量部である、
表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
【請求項2】
前記ポリアミド樹脂と前記ニトロセルロースの不揮発分の質量比が、ポリアミド樹脂:ニトロセルロース=50:50~90:10である、
請求項1に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
【請求項3】
前記ポリアミド樹脂と前記ニトロセルロースの不揮発分質量比が、ポリアミド樹脂:ニトロセルロース=60:40~80:20である、
請求項1に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
【請求項4】
さらに、着色顔料を含む請求項1に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
【請求項5】
前記着色顔料が、白色顔料である、請求項4に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被膜形成後のインキ膜表面に粘着テープが貼り付けられたときの耐変色性に優れる表刷り用グラビア印刷インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム等の基材を用いて包装材料を製造する場合、基材の装飾や表面保護のために、グラビアインキ等の印刷インキによる印刷が施される。グラビア印刷は、高精細かつ高速で印刷することが可能であるため、大量生産に向いている。特に、食品包装用途において、表刷り印刷はプラスチックフィルムの表側に印刷し、食品と接触する裏側には印刷しないといった簡単な構成であるため、広く利用されている。
【0003】
インキにより形成される印刷層(インキ被膜)に要求される特性としては、基材との密着性や、耐薬品性、耐熱性等の被膜特性がある。また、食品包装分野においては、印刷物がテーブル上に置かれたときに、印刷面がテーブルクロス等に用いられている軟質塩化ビニルシートと接着しないための性能として、耐塩ビブロッキング性が求められる。
【0004】
形成される印刷層の皮膜特性の向上を目的として、例えば、ポリアミド樹脂とニトロセルロースを含むバインダー樹脂、酸化チタン等の着色顔料、チタンキレート等の有機金属化合物及び有機溶剤を含有するグラビア又はフレキソ印刷用コーティング剤が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案されたコーティング剤は、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等のポリオレフィンフィルムへの密着性や、耐摩擦性等の諸物性に優れるものの、インキ被膜の面に特定成分(アクリル系化合物)の粘着剤が塗布された粘着テープを貼り付けたとき、時間の経過とともにインキ被膜の色が変化してしまうものであった。このことは、商品が陳列される際に粘着テープが貼り付けられた際や、消費者が一度開封した袋をテープで綴じた際などに問題となり、改良の余地があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、インキ被膜の耐テープ変色(黄変)性に優れるとともに、基材との密着性、耐熱性等の諸物性に優れる表刷り用グラビア印刷インキ組成物を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、このインキ組成物を用いた印刷物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明によれば、以下に示す表刷り用グラビア印刷インキ組成物が提供される。
[1]バインダー樹脂、プロピオン酸ジルコニウム、及び有機溶剤を含有し、前記バインダー樹脂が、ポリアミド樹脂及びニトロセルロースを含み、前記プロピオン酸ジルコニウムその添加量が、前記バインダー樹脂の不揮発分100質量部に対して0.1~15質量部である、表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
[2]前記ポリアミド樹脂と、前記ニトロセルロースの不揮発分の質量比が、ポリアミド樹脂:ニトロセルロース=50:50~90:10である、前記[1]に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
[3]前記ポリアミド樹脂と前記ニトロセルロースの不揮発分質量比が、ポリアミド樹脂:ニトロセルロース=60:40~80:20である、前記[1]に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
[4]さらに、着色顔料を含む前記[1]に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
[5]前記着色顔料が、白色顔料である、前記[4]に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、従来のチタンキレート剤を使用した場合と同等の被膜性能を保持した上で、被膜形成後のインキ膜表面に、特定成分を含有した粘着テープが貼り付けられた場合の耐変色性に優れる表刷り用グラビア印刷インキが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の一実施形態である印刷インキ組成物(以下、単に「インキ」とも記す)は、バインダー樹脂、プロピオン酸ジルコニウム、及び有機溶剤を含有する、例えばグラビア印刷等に用いられる表刷り印刷用インキである。以下、本実施形態の印刷用インキの詳細について説明する。
【0011】
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、基材に付与したインキによって形成される印刷層(画像)を構成するための結着樹脂として機能する成分である。本実施形態のインキ組成物に用いるバインダー樹脂は、ポリアミド樹脂及びニトロセルロースを含む。なお、バインダー樹脂は、ポリアミド樹脂及びニトロセルロースで実質的に構成されることが好ましい。ポリアミド樹脂とニトロセルロースを併用することで、形成される印刷層の耐摩擦性、基材との密着性、及び光沢感を向上させることができる。インキ組成物中のバインダー樹脂の含有量は、インキ組成物中の固形分を基準として、通常、20~95質量%程度とすればよく、用途に応じて適宜設定すればよい。
【0012】
ポリアミド樹脂としては、通常、多塩基酸と多価アミンとを重縮合して得られる、有機溶剤に可溶な熱可塑性のポリアミド樹脂を用いる。多塩基酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、スベリン酸、グルタル酸、フマル酸、ピメリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、トリメリット酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、及び重合脂肪酸等を挙げることができる。
【0013】
多価アミンとしては、脂肪族ジアミン、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、及び芳香族ポリアミン等を用いることができる。脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルアミノプロピルアミン等を挙げることができる。脂肪族ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等を挙げることができる。脂環族ポリアミンとしては、シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン等を挙げることができる。芳香族ポリアミンとしては、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。
【0014】
ポリアミド樹脂の溶解性の観点から重量平均分子量は、2,000~50,000であることが好ましく、3,000~10,000であることがさらに好ましい。ポリアミド樹脂の重量平均分子量が上記の範囲内であると、形成される印刷層の耐摩擦性をさらに向上させることができる。インキ組成物中のポリアミド樹脂の含有量は、インキ組成物中の固形分を基準として、5~60質量%であることが好ましく、15~45質量%であることがさらに好ましい。
【0015】
ポリアミド樹脂の酸価は、30mgKOH/g以下であることが好ましく、15mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。また、ポリアミド樹脂のアミン価は、30mgKOH/g以下であることが好ましく、15mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
【0016】
ニトロセルロース(硝化綿)は、通常、天然セルロースと硝酸を反応させて得られる、天然セルロース中の3個の水酸基を硝酸基に置換した硝酸エステルである。本実施形態のインキ組成物にバインダー樹脂として配合されるニトロセルロースの窒素分は、11.5~12.2質量%である。窒素分が上記の範囲内であるニトロセルロースをバインダー樹脂として用いることで、耐摩擦性に優れた印刷層を形成しうるインキ組成物とすることができる。
【0017】
インキ組成物中のポリアミド樹脂及びニトロセルロースの質量比は、50:50~90:10であることが好ましく、60:40~80:20であることがさらに好ましい。ポリアミド樹脂とニトロセルロースの質量比を上記範囲内とすることで、形成される印刷層の耐摩擦性及び基材との密着性をより向上させることができる。
【0018】
(プロピオン酸ジルコニウム)
インキ組成物にプロピオン酸ジルコニウムを含有させることで、プラスチック基材等に対する密着性が向上するとともに、耐薬品性がさらに向上した印刷層を形成することができる。さらに、チタンキレート剤を含有する場合とは異なり、特定成分を含有した粘着テープを貼り付けても変色しない表刷り用グラビア印刷インキ組成物を得られる。
【0019】
インキ組成物中、プロピオン酸ジルコニウムの含有量は、インキ組成物中の不揮発分を基準として、0.1~15質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがさらに好ましい。特に好ましくは、1.5~4質量%である。プロピオン酸ジルコニウムの含有量を上記の範囲とすることで、インキ安定性が向上するとともに、形成される印刷層の耐熱性、耐薬品性をより高めることができる。
【0020】
(溶剤)
インキ組成物は、有機溶剤を含有する。有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール系有機溶剤;エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;等を用いることができる。
【0021】
なかでも、トルエンやキシレン等の芳香族系有機溶剤を実質的に含有しない有機溶剤(ノントルエン系有機溶剤)が好ましい。すなわち、インキ組成物は、トルエンを実質的に含有しないノントルエン系のインキであることが環境面で好ましい。なお、有機溶剤としては、脂肪族炭化水素系有機溶剤、エステル系有機溶剤、及びアルコール系有機溶剤を含むことが好ましい。有機溶剤中の脂肪族炭化水素系有機溶剤の含有割合は、有機溶剤の全体を基準として、30~80質量%であることが好ましい。有機溶剤中のエステル系有機溶剤の含有割合は、有機溶剤の全体を基準として、1~50質量%であることが好ましい。有機溶剤中のアルコール系有機溶剤の含有割合は、有機溶剤の全体を基準として、1~50質量%であることが好ましい。
【0022】
(顔料)
インキ組成物には、顔料を含有させることができる。なお、顔料等の色材を実質的に含有しない無色のインキ組成物としてもよい。
【0023】
顔料としては、体質顔料、無機顔料、及び有機顔料及び等を用いることができる。体質顔料としては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を挙げることができる。無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ等の白色無機顔料;カーボンブラック、鉄黒等の黒色無機顔料;アルミニウム粒子、マイカ、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、酸化亜鉛等の各色無機顔料;等を挙げることができる。なかでも、酸化チタン等の白顔料を用いた場合、変色による影響が顕著に出るため、本発明の効果が顕著に得られる。
【0024】
有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系等の各系統の有機顔料を挙げることができる。
【0025】
インキ組成物中の顔料の含有量は、インキの着色力等を確保するのに十分な量に設定すればよい。具体的には、インキ組成物中の顔料の含有量は、インキ組成物中の固形分を基準として、通常1~80質量%とすればよい。
【0026】
(添加剤)
インキ組成物には、各種の添加剤をさらに含有させることができる。添加剤としては、顔料誘導体、分散剤、可塑剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、粘度調整剤、キレート剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、前述の炭化水素ワックス以外のワックス成分、架橋剤、シランカップリング剤等を挙げることができる。
【0027】
(インキ組成物の製造)
インキ組成物は、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、バインダー樹脂、炭化水素ワックス等を溶剤中に溶解又は分散させることによって製造することができる。インキ組成物の粘度等の物性は、分散機に用いるメディアのサイズや充填率、分散処理時間等を適宜制御することによって調整することができる。なお、炭化水素ワックスは、溶剤にあらかじめ微分散させておき、製造工程中に添加することが好ましい。分散機としては、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミル等を用いることができる。
【0028】
<印刷物>
本発明の一実施形態である印刷物は、基材と、この基材の表面上に配設される、前述のインキ組成物で形成された印刷層とを備える。本実施形態の印刷物は、例えば、基材上にインキ組成物を用いて印刷した後、揮発成分を除去して印刷層を形成することで製造することができる。印刷方法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷等を挙げることができる。なかでも、グラビア印刷によって印刷することが好ましい。グラビア印刷に適した粘度及び濃度となるようにインキ組成物を希釈溶剤で希釈した後、グラビア印刷機の印刷ユニットに供給され、プラスチックフィルム等の基材上に塗布される。その後、オーブン等によって乾燥させることで印刷層(皮膜)を形成して定着させることで、積層体である印刷物を得ることができる。
【0029】
基材としては、フィルム状又はシート状の基材を用いることができる。基材としては、紙やプラスチック製の基材(フィルム及びシート)を用いることができる。基材を構成するプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂;ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;セロハン;等を挙げることができる。
【0030】
プラスチック製の基材は、コロナ処理されていてもよいし、未処理であってもよい。また、プラスチック製の基材は延伸されていてもよいし、未延伸であってもよい。プラスチック製の基材には、シリカ、アルミナ、アルミニウム等の金属又は金属酸化物が蒸着されていてもよく、蒸着面がポリビニルアルコール等の塗料でコーティングされていてもよい。
【実施例0031】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0032】
<各成分の準備>
以下に示す各成分を準備した。
(バインダー樹脂)
・ポリアミド樹脂:重量平均分子量4000、酸価7mgKOH/g以下、アミン価7mgKOH/g以下
・硝化綿:商品名「RS1/2」、キミア社製、窒素分11.5~12.2%
・プロピオン酸ジルコニウム:トライバッハ・インダストリアル社製
・酸化チタン:商品名「チタニックスJR-600A」、テイカ社製
・有機溶剤:メチルシクロヘキサン(MCH)/酢酸ノルマルプロピル(NPAC)/イソプロピルアルコール(IPA)=5/3/2
【0033】
<インキ組成物の調製>
(実施例1) ポリアミド樹脂10.4部、硝化綿4.5部、プロピオン酸ジルコニウム0.1部、酸化チタン22.9部及び有機溶剤62.1部を混合し、ペイントシェーカーを使用して十分に分散させて、インキ組成物(実施例1)を得た。
【0034】
(実施例2~5、比較例1、2)
表1に示す種類及び量の各成分を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、インキ組成物(実施例2~5、比較例1,2)を得た。なお、表1に記載の材料は、すべて固形分での配合量を表す。
【0035】
<評価>
以下に示す各基材に対して、調製した各インキ組成物の原肉を、バーコーター#5にて塗布し、塗布後48時間、室温にて乾燥させることで、試験片を製造した。
・HSOPP:片面をコロナ放電処理したヒートシール二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、厚さ30μm(処理面にインキを付与)
・EP:イージーピールシーラントフィルム、DIC社製「ディファレン 254N」平均厚み25μm
【0036】
(耐テープ変色性)
HSOPPに各インキ組成物の被膜を形成した試験片に、セロファンテープ(商品名「セロテープ(登録商標)」、ニチバン社製、幅18mm)を貼り付け、一日静置し、印刷部が黄色く変色しているかどうか目視で調べ、良否判定した。
〇:変色が認められない
×:変色が認められる
【0037】
(密着性)
HSOPPに各インキ組成物の被膜を形成した試験片に、セロファンテープ(商品名「セロテープ(登録商標)」、ニチバン社製、幅18mm)を貼り付けた後に剥離する密着性試験を行い、以下に示す評価基準にしたがって基材(HSOPP)へのインキ被膜の密着性を評価した。
○:セロファンテープ側にインキ被膜の取られなし
×:セロファンテープ側にインキ被膜が全面取られ
【0038】
(耐熱性)
EPに各インキ組成物の被膜を形成した試験片の印刷面に当接するように軟質のアルミニウム箔を載置した。アルミニウム箔上にヒートシールバーを載置して2kgfの荷重を負荷し、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃及び140℃で1秒間加熱した。試験片の温度が常温に戻った後にアルミニウム箔を剥離し、インキ被膜がアルミニウム箔側に取られた温度を、その試験片の耐熱性として評価した。
【0039】
(耐薬品性)
EPに各インキ組成物の被膜を形成した試験片の被膜形成面に、エタノールと水を質量比1:1で混合した溶液を、荷重200gで50回往復させ、試験後のインキ被膜を以下の評価基準にて評価した。
5:印刷皮膜がフィルムから全く脱落・溶解しなかったもの
4:印刷皮膜がフィルムから脱落・溶解した面積が10~30%のもの
3:印刷皮膜がフィルムから脱落・溶解した面積が30~50%のもの
2:印刷皮膜がフィルムから脱落・溶解した面積が50~80%のもの
1:印刷皮膜がフィルムから脱落・溶解した面積が80%を超えるもの
【0040】
(耐塩ビブロッキング性)
HSOPPに各インキ組成物の被膜を形成した試験片と同じ大きさに切った軟質塩化ビニルシートと印刷面とを重ね合わせて、0.5Kg/cm2の荷重をかけ、50℃80%の雰囲気下で24時間放置後、印刷面と塩化ビニルシートを引き剥がし、インキの剥離の程度から、以下の評価基準にて耐塩ビブロッキング性を評価した。
5:印刷皮膜が全く剥離しなかったもの
4:印刷皮膜がフィルムから剥離した面積が10~30%のもの
3:印刷皮膜がフィルムから剥離した面積が30~50%のもの
2:印刷皮膜がフィルムから剥離した面積が50~80%のもの
1:印刷皮膜がフィルムから剥離した面積が80%を超えるもの
【0041】