(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118234
(43)【公開日】2022-08-12
(54)【発明の名称】滅菌ドレープおよび手術器具の取付方法
(51)【国際特許分類】
A61B 46/10 20160101AFI20220804BHJP
【FI】
A61B46/10
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101815
(22)【出願日】2022-06-24
(62)【分割の表示】P 2021101597の分割
【原出願日】2018-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】戸次 翔太
(72)【発明者】
【氏名】臼木 優
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 健二
(57)【要約】
【課題】取付け時に容易に樹脂部材の位置決めが可能な滅菌ドレープおよび手術器具の取付方法を提供すること。
【解決手段】この滅菌ドレープ70は、ロボットアーム21を覆うように構成された可撓性フィルム部材8と、アダプタ60によって取付部211に取り付けられる樹脂部材9と、を備える。樹脂部材9は、複数の回転駆動部212および複数の係合凸部213に対応する個所に複数の開口91を有する。複数の開口91は、複数の回転駆動部212のうちの第1回転駆動部212aおよび複数の係合凸部213のうちの第1係合凸部213bの両者に対応して設けられた第1共通開口部92aと、複数の回転駆動部212のうちの第2回転駆動部212aおよび前記複数の係合凸部213のうちの第2係合凸部213bの両者に対応して設けられた第2共通開口部92bと、を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転駆動部および複数の係合凸部を有する取付部を含むロボットアームに、前記複数の回転駆動部に対応して設けられた複数の被回転部材および前記複数の係合凸部に対応して設けられた複数の係合凹部を含むアダプタを介して手術器具を取り付けるロボット手術システムに用いられる前記ロボットアームを覆うための滅菌ドレープであって、
前記ロボットアームを覆うように構成された可撓性フィルム部材と、
前記アダプタによって前記取付部に取り付けられる樹脂部材と、を備え、
前記樹脂部材は、前記複数の回転駆動部および前記複数の係合凸部に対応する個所に複数の開口を有し、
前記複数の開口は、
前記複数の回転駆動部のうちの第1回転駆動部および前記複数の係合凸部のうちの第1係合凸部の両者に対応して設けられた第1共通開口部と、
前記複数の回転駆動部のうちの第2回転駆動部および前記複数の係合凸部のうちの第2係合凸部の両者に対応して設けられた第2共通開口部と、を含む、滅菌ドレープ。
【請求項2】
前記ロボットアームは、前記複数の回転駆動部として、前記第1回転駆動部を含む4つの回転駆動部を有する、請求項1に記載の滅菌ドレープ。
【請求項3】
前記複数の開口は、前記複数の回転駆動部のうちの第3回転駆動部および前記複数の係合凸部のうちの第3係合凸部の両者に対応して設けられた第3共通開口部を有する、請求項1または2に記載の滅菌ドレープ。
【請求項4】
前記第3共通開口部は、前記複数の回転駆動部のうちの前記第3回転駆動部および第4回転駆動部と、前記複数の係合凸部のうちの前記第3係合凸部および第4係合凸部との両者に対応して設けられている、請求項3に記載の滅菌ドレープ。
【請求項5】
前記複数の開口は、前記複数の係合凸部のうちの第5係合凸部に対応して設けられた単独開口部を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の滅菌ドレープ。
【請求項6】
前記可撓性フィルム部材は、取付具により、前記ロボットアームの根元部に取り付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の滅菌ドレープ。
【請求項7】
前記樹脂部材は、前記可撓性フィルム部材に溶着されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の滅菌ドレープ。
【請求項8】
複数の回転駆動部および複数の係合凸部を有する取付部を含むロボットアームに、前記複数の回転駆動部に対応して設けられた複数の被回転部材および前記複数の係合凸部に対応して設けられた複数の係合凹部を含むアダプタを介して手術器具を取り付けるための方法であって、
前記ロボットアームを覆うように構成された可撓性フィルム部材および樹脂部材を備えた滅菌ドレープを準備する工程と、
前記アダプタを用いて前記滅菌ドレープの前記樹脂部材を前記取付部に取り付ける工程と、
前記アダプタに手術器具を取り付ける工程と、を備え、
前記樹脂部材は、前記複数の回転駆動部および前記複数の係合凸部に対応する箇所に複数の開口を有し、
前記複数の開口は、
前記複数の回転駆動部のうちの第1回転駆動部および前記複数の係合凸部のうちの第1係合凸部の両者に対応して設けられた第1共通開口部と、
前記複数の回転駆動部のうちの第2回転駆動部および前記複数の係合凸部のうちの第2係合凸部の両者に対応して設けられた第2共通開口部と、を含む、手術器具の取付方法。
【請求項9】
前記複数の開口は、前記複数の回転駆動部のうちの第3回転駆動部および前記複数の係合凸部のうちの第3係合凸部の両者に対応して設けられた第3共通開口部を有する、請求項8に記載の手術器具の取付方法。
【請求項10】
前記第3共通開口部は、前記複数の回転駆動部のうちの前記第3回転駆動部および第4回転駆動部と、前記複数の係合凸部のうちの前記第3係合凸部および第4係合凸部との両者に対応して設けられている、請求項9に記載の手術器具の取付方法。
【請求項11】
前記複数の開口は、前記複数の係合凸部のうちの第5係合凸部に対応して設けられた単独開口部を有する、請求項8~10のいずれか1項に記載の手術器具の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、滅菌ドレープおよび手術器具の取付方法に関し、特に、ロボットアームを覆うように構成された可撓性フィルム部材と、アダプタによって取付部に取り付けられる樹脂部材とを備える滅菌ドレープおよび手術器具の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開口部を有する可撓性フィルム部材と、可撓性フィルム部材に形成された開口部
を塞ぐように設けられた樹脂部材とを備える滅菌ドレープが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、開口部を有するフィルム部材と、フィルム部材に形成された開口部を塞ぐように設けられた樹脂部材とを備える滅菌ドレープが開示されている。ここで、フィルム部材は、樹脂部材の周縁部に取り付けられている。また、樹脂部材は、平板形状に形成されている。
【0004】
上記特許文献1の滅菌ドレープの樹脂部材は、複数の駆動要素を有する取付部を含むロボットアームをフィルム部材で覆う状態において、取付部と、複数の駆動要素のそれぞれに対応して設けられた複数の被駆動要素を含むアダプタとに挟まれている。ここで、樹脂部材には、複数の駆動要素を挿通させる開口部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の滅菌ドレープでは、ロボットアームの取付部に平板形状の樹脂部材をアダプタで固定するため、ロボットアームに取り付ける際に樹脂部材を位置決めしにくいという問題点がある。
【0007】
この発明は、取付け時に容易に樹脂部材の位置決めが可能な滅菌ドレープおよび手術器具の取付方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面による滅菌ドレープは、複数の回転駆動部および複数の係合凸部を有する取付部を含むロボットアームに、複数の回転駆動部に対応して設けられた複数の被回転部材および複数の係合凸部に対応して設けられた複数の係合凹部を含むアダプタを介して手術器具を取り付けるロボット手術システムに用いられるロボットアームを覆うための滅菌ドレープであって、ロボットアームを覆うように構成された可撓性フィルム部材と、アダプタによって取付部に取り付けられる樹脂部材と、を備え、樹脂部材は、複数の回転駆動部および複数の係合凸部に対応する個所に複数の開口を有し、複数の開口は、複数の回転駆動部のうちの第1回転駆動部および複数の係合凸部のうちの第1係合凸部の両者に対応して設けられた第1共通開口部と、複数の回転駆動部のうちの第2回転駆動部および複数の係合凸部のうちの第2係合凸部の両者に対応して設けられた第2共通開口部と、を含む。
【0009】
この発明の第2の局面による手術器具の取付方法は、複数の回転駆動部および複数の係合凸部を有する取付部を含むロボットアームに、複数の回転駆動部に対応して設けられた複数の被回転部材および複数の係合凸部に対応して設けられた複数の係合凹部および複数の位置決め用突出部に対応して設けられた複数の係合凹部を含むアダプタを介して手術器具を取り付けるための方法であって、ロボットアームを覆うように構成された可撓性フィルム部材および樹脂部材を備えた滅菌ドレープを準備する工程と、アダプタを用いて滅菌ドレープの樹脂部材を取付部に取り付ける工程と、アダプタに手術器具を取り付ける工程と、を備え、樹脂部材は、複数の回転駆動部および複数の係合凸部に対応する箇所に複数の開口を有し、複数の開口は、複数の回転駆動部のうちの第1回転駆動部および複数の係合凸部のうちの第1係合凸部の両者に対応して設けられた第1共通開口部と、複数の回転駆動部のうちの第2回転駆動部および複数の係合凸部のうちの第2係合凸部の両者に対応して設けられた第2共通開口部と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取付け時に容易に樹脂部材の位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態によるロボット手術システムの概略を示した図である。
【
図2】一実施形態によるロボット手術システムの制御的な構成を示したブロック図である。
【
図3】一実施形態によるロボットアームにアダプタを介して手術器具が取り付けられた状態を示した斜視図である。
【
図4】一実施形態によるロボットアームからアダプタおよび手術器具を取り外した状態を示した斜視図である。
【
図5】一実施形態によるアダプタを下方から見た斜視図である。
【
図6】一実施形態によるロボットアームにドレープを取り付けた状態を示した斜視図である。
【
図7】一実施形態によるドレープを示した斜視図である。
【
図8】一実施形態による取付部に樹脂成型部材を取り付ける状態を示した斜視図である。
【
図9】一実施形態による取付部に樹脂成型部材を取り付けた状態を示した平面図である。
【
図10】一実施形態による取付具をロボットアームの根元部に取り付けた状態を示した模式図である。
【
図11】一実施形態による取付具を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(ロボット手術システムの構成)
図1および
図2を参照して、一実施形態によるロボット手術システム100の構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、ロボット手術システム100は、遠隔操作装置10と、患者側装置20と、を備えている。遠隔操作装置10は、患者側装置20に設けられた医療器具(medical equipment)を遠隔操作するために設けられている。患者側装置20によって実行されるべき動作態様指令が術者(surgeon)である操作者Oにより遠隔操作装置10に入力されると、遠隔操作装置10は、動作態様指令をコントローラ26を介して患者側装置20に送信する。そして、患者側装置20は、遠隔操作装置10から送信された動作態様指令に応答して、ロボットアーム21に取り付けられた手術器具(surgical instrument)40、内視鏡50等の医療器具を操作する。これにより、低侵襲手術が行われる。
【0015】
患者側装置20は、患者Pに対して手術を行うインターフェースを構成する。患者側装置20は、患者Pが横たわる手術台30の傍らに配置される。患者側装置20は、複数のロボットアーム21を有し、このうち1つのロボットアーム21(21b)に内視鏡50が取り付けられ、その他のロボットアーム21(21a)に手術器具40が取り付けられる。各ロボットアーム21は、プラットホーム23に共通に支持されている。複数のロボットアーム21は複数の関節を有し、それぞれの関節には、サーボモータを含む駆動部と、エンコーダ等の位置検出器とが設けられている。ロボットアーム21は、コントローラ26を介して与えられた駆動信号によりロボットアーム21に取り付けられた医療器具が所望の動作を行うように制御されるように構成されている。
【0016】
プラットホーム23は、手術室の床の上に載置されたポジショナ22に支持されている。ポジショナ22は、鉛直方向に調整可能な昇降軸を有する柱部24が、車輪を備え床面を移動可能なベース25に連結されている。
【0017】
ロボットアーム21aには、先端部に医療器具としての手術器具40が着脱可能に取り付けられる。手術器具40は、ロボットアーム21aに取り付けられるハウジング43(
図4参照)と、細長形状のシャフト42(
図4参照)と、シャフト42の先端部に設けられたエンドエフェクタ41(
図4参照)とを備えている。エンドエフェクタ41として、例えば、把持鉗子、シザーズ、フック、高周波ナイフ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーが挙げられるがこれに限られるものではなく、各種の処置具を適用することができる。患者側装置20を用いた手術において、ロボットアーム21aは、患者Pの体表に留置したカニューラ(トロッカ)を介して患者Pの体内に手術器具40を導入する。そして、手術器具40のエンドエフェクタ41は、手術部位の近傍に配置される。
【0018】
ロボットアーム21bには、先端部に医療器具としての内視鏡50が着脱可能に取り付けられる。内視鏡50は、患者Pの体腔内を撮影するものであり、撮影した画像は、遠隔操作装置10に対して出力される。内視鏡50として、3次元画像を撮影することができる3D内視鏡若しくは2D内視鏡が用いられる。患者側装置20を用いた手術において、ロボットアーム21bは、患者Pに体表に留置したトロッカを介して患者Pの体内に内視鏡50を導入する。そして、内視鏡50が手術部位の近傍に配置される。
【0019】
遠隔操作装置10は、操作者Oとのインターフェースを構成する。遠隔操作装置10は、ロボットアーム21に取り付けられた医療器具を操作者Oが操作するための装置である。すなわち、遠隔操作装置10は、操作者Oによって入力された手術器具40および内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令をコントローラ26を介して患者側装置20へ送信可能に構成されている。遠隔操作装置10は、たとえば、マスタの操作をしながらも患者Pの様子がよく見えるように手術台30の傍らに設置される。なお、遠隔操作装置10は、例えば動作態様指令を無線で送信するようにし、手術台30が設置された手術室とは別室に設置することも可能である。
【0020】
手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、手術器具40の動作(一連の位置及び姿勢)及び手術器具40個別の機能によって実現される動作の態様である。たとえば、手術器具40が把持鉗子である場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、エンドエフェクタ41の手首のロール回転位置及びピッチ回転位置と、ジョーの開閉を行う動作である。また、手術器具40が高周波ナイフである場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、高周波ナイフの振動動作、具体的には高周波ナイフに対する電流の供給であり得る。また、手術器具40がスネアワイヤである場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、束縛動作および束縛状態の解放動作であり得る。また、バイポーラやモノポーラに電流を供給することによって手術対象部位を焼き切る動作であり得る。
【0021】
内視鏡50によって実行されるべき動作態様とは、たとえば、内視鏡50先端の位置及び姿勢、又はズーム倍率の設定である。
【0022】
遠隔操作装置10は、
図1および
図2に示すように、操作ハンドル11と、操作ペダル部12と、表示部13と、制御装置14と、を備えている。
【0023】
操作ハンドル11は、ロボットアーム21に取り付けられた医療器具を遠隔で操作するために設けられている。具体的には、操作ハンドル11は、医療器具(手術器具40、内視鏡50)を操作するための操作者Oによる操作を受け付ける。操作ハンドル11は、水平方向に沿って2つ設けられている。つまり、2つの操作ハンドル11のうち一方の操作ハンドル11は、操作者Oの右手により操作され、2つの操作ハンドル11のうち他方の操作ハンドル11は、操作者Oの左手により操作される。
【0024】
また、操作ハンドル11は、遠隔操作装置10の後方側から、前方側に向かって延びるように配置されている。操作ハンドル11は、所定の3次元の操作領域内で動かすことができるように構成されている。すなわち、操作ハンドル11は、上下方向、左右方向、および前後方向に動かすことができるように構成されている。
【0025】
遠隔操作装置10と患者側装置20とは、ロボットアーム21aおよびロボットアーム21bの動作の制御においては、マスタスレーブ型のシステムを構成する。すなわち、操作ハンドル11は、マスタスレーブ型のシステムにおけるマスタ側の操作部を構成し、医療器具が取り付けられたロボットアーム21aおよびロボットアーム21bはスレーブ側の動作部を構成する。そして、操作ハンドル11を操作者Oが操作すると、操作ハンドル11の動きをロボットアーム21aの先端部(手術器具40のエンドエフェクタ41)またはロボットアーム21bの先端部(内視鏡50)がトレースして移動するようにロボットアーム21aまたはロボットアーム21bの動作が制御される。
【0026】
また、患者側装置20は、設定された動作倍率に応じてロボットアーム21aの動作を制御するよう構成されている。たとえば、動作倍率が1/2倍に設定されている場合、手術器具40のエンドエフェクタ41は、操作ハンドル11の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。
【0027】
操作ペダル部12は、医療器具に関する機能を実行するための複数のペダルを含んでいる。複数のペダルは、凝固ペダルと、切断ペダルと、カメラペダルと、クラッチペダルと、を含んでいる。また、複数のペダルは、操作者Oの足により操作される。
【0028】
凝固ペダルは、手術器具40を用いて手術部位を凝固させる操作を行うことができる。具体的には、凝固ペダルは、操作されることにより、手術器具40に凝固用の電圧が印加されて、手術部位の凝固が行われる。切断ペダルは、手術器具40を用いて手術部位を切断させる操作を行うことができる。具体的には、切断ペダルは、操作されることにより、手術器具40に切断用の電圧が印加されて、手術部位の切断が行われる。
【0029】
カメラペダルは、体腔内を撮像する内視鏡50の位置及び姿勢を操作するために用いられる。具体的には、カメラペダルは、内視鏡50の操作ハンドル11による操作を有効にする。つまり、カメラペダルが押されている間は、操作ハンドル11により内視鏡50の位置および姿勢を操作することが可能である。たとえば、内視鏡50は、左右の操作ハンドル11の両方を用いることにより操作される。具体的には、左右の操作ハンドル11の中間点を中心に左右の操作ハンドル11を回動させることにより、内視鏡50が回動される。また、左右の操作ハンドル11を共に押し込むことにより、内視鏡50が奥に進む。また、左右の操作ハンドル11を共に引っ張ることにより、内視鏡50が手前に戻る。また、左右の操作ハンドル11を共に上下左右に移動させることにより、内視鏡50が上下左右に移動する。
【0030】
クラッチペダルは、ロボットアーム21と、操作ハンドル11との操作接続を一時切断し手術器具40の動作を停止させる場合に用いられる。具体的には、クラッチペダルが操作されている間は、操作ハンドル11を操作しても、患者側装置20のロボットアーム21が動作しない。たとえば、操作により操作ハンドル11が移動可能な範囲の端部近傍に来た場合に、クラッチペダルが操作されることにより、操作接続を一時切断して、操作ハンドル11を中央位置付近に戻すことができる。そして、クラッチペダルの操作を中止するとロボットアーム21と操作ハンドル11とが再び接続され、中央付近で操作ハンドル11の操作を再開することができる。
【0031】
表示部13は、内視鏡50が撮像した画像を表示することができるものである。表示部13は、スコープ型表示部または非スコープ型表示部からなる。スコープ型表示部とは、たとえば、覗き込むタイプの表示部である。また、非スコープ型表示部とは、通常のパーソナルコンピュータのディスプレイのような覗き込むタイプではない平坦な画面を有する開放型の表示部を含む概念である。
【0032】
スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置20のロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。非スコープ型表示部が取り付けられた場合にも、患者側装置20に設けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。なお、非スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置20に設けられた内視鏡50により撮像された2D画像が表示されてもよい。
【0033】
図2に示すように、制御装置14は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部141と、ROMおよびRAM等のメモリを有する記憶部142と、画像制御部143とを含んでいる。制御装置14は、集中制御する単独の制御装置により構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御装置により構成されてもよい。制御部141は、操作ハンドル11により入力された動作態様指令を、操作ペダル部12の切替状態に応じて、ロボットアーム21aによって実行されるべき動作態様指令であるか、または、内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であるかを判定する。そして、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が手術器具40によって実行されるべき動作態様指令であると判断すると、動作態様指令をロボットアーム21aに対して送信する。これによって、ロボットアーム21aが駆動され、この駆動によってロボットアーム21aに取り付けられた手術器具40の動作が制御される。
【0034】
また、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であると判定すると、当該動作態様指令をロボットアーム21bに対して送信する。これによって、ロボットアーム21bが駆動され、この駆動によってロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50の動作が制御される。
【0035】
記憶部142には例えば手術器具40の種類に応じた制御プログラムが記憶されていて、取り付けられた手術器具40の種類に応じて制御部141がこれらの制御プログラムを読み出すことにより、遠隔操作装置10の操作ハンドル11及び/又は操作ペダル部12の動作指令が個別の手術器具40に適合した動作をさせることができる。
【0036】
画像制御部143は、内視鏡50が取得した画像を表示部13に伝送する。画像制御部143は、必要に応じて画像の加工修正処理を行う。
【0037】
(アダプタおよび取付部の構成)
図3~
図11を参照して、一実施形態によるアダプタ60および取付部211の構成について説明する。
【0038】
図3に示すように、ロボットアーム21は、清潔区域において使用されるため、ドレープ70により覆われる。ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。手術部位は、清潔区域に配置される。操作者Oを含む手術チームのメンバーは、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させるときは、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者Oを含む手術チームのメンバーがその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。清潔区域において用いられる器具は、滅菌処理が行われる、または、滅菌処理されたドレープ70により覆われる。なお、ドレープ70は、特許請求の範囲の「滅菌ドレープ」の一例である。
【0039】
〈取付部〉
図4に示すように、ロボットアーム21は、取付面215および取付側面216を有する取付部211と、駆動部材212と、係合凸部213と、ボス214とを備えている。ここで、取付部211とアダプタ60とが並ぶ方向をZ方向とする。Z方向のうち一方をZ1方向、他方をZ2方向とする。ロボットアーム21が延びる方向をY方向とする。Y方向のうち一方をY1方向、他方をY2方向とする。Z方向とY方向は、直交する。Z方向およびY方向に直交する方向をX方向とする。X方向のうち一方をX1方向、他方をX2方向とする。なお、Z2方向は、特許請求の範囲の「下方」の一例であり。また、Z方向は、特許請求の範囲の「上下方向」の一例である。また、X方向およびY方向は、特許請求の範囲の「水平方向」の一例である。
【0040】
取付面215は、取付部211のZ1方向側の面である。取付面215は、Z1方向から視て略円形状を有している。取付側面216は、取付面215からZ2方向に延びている。すなわち、取付側面216は、取付面215の周縁部からZ2方向に向かうにしたがい取付面215の径方向の外側に傾斜する傾斜面である。取付部211のZ1方向側の部分は、取付面215および取付側面216により、X1方向から視て、略円錐台形状を有している。
【0041】
駆動部材212、係合凸部213およびボス214は、それぞれ、取付面215に設けられている。駆動部材212は、Z方向に延びる回転軸線の回りを回転する。ここで、駆動部材212は、2つの第1駆動部材212aおよび2つの第2駆動部材212bを有している。取付面215において、Y1方向側からY2方向側に向かって、2つの第1駆動部材212aおよび2つの第2駆動部材212bの順に並んでいる。なお、駆動部材212は、特許請求の範囲の「回転駆動部」の一例である。
【0042】
係合凸部213は、第1係合凸部213a、2つの第2係合凸部213bおよび2つの第3係合凸部213cを含んでいる。取付面215において、Y1方向側からY2方向側に向かって、第1係合凸部213a、2つの第2係合凸部213bおよび2つの第3係合凸部213cの順に並んでいる。また、第1係合凸部213a、2つの第2係合凸部213bおよび2つの第3係合凸部213cは、それぞれ、Z2方向側からZ1方向に突出している。係合凸部213は、後述するアダプタ60の複数の凹部67(
図5参照)に係合するために設けられている。
【0043】
ボス214は、第1ボス部214aおよび第2ボス部214bを含んでいる。第1ボス部214aおよび第2ボス部214bは、取付面215上において、Y1方向側に配置されている。第1ボス部214aは、第2ボス部214bよりもX1方向側に配置されている。第1ボス部214aおよび第2ボス部214bは、X方向に対向している。ロボットアーム21の取付部211には、アダプタ60が取り付けられる。第1ボス部214aおよび第2ボス部214bは、Z2方向側からZ1方向に突出している。
【0044】
〈アダプタ〉
アダプタ60には、手術器具40が取り付けられる。ロボットアーム21は、手術器具40のエンドエフェクタ41を駆動させるために、アダプタ60を介して手術器具40に動力を伝達する。
【0045】
アダプタ60は、基体61と、複数の駆動伝達部材62と、ガイドレール63と、先行ガイドレール64と、電極アレイ65と、アーム係合部材66とを備えている。また、
図5に示すように、アダプタ60は、複数の凹部67と、複数の位置決め孔68とを備えている。なお、駆動伝達部材62は、特許請求の範囲の「被回転部材」の一例である。また、凹部67は、特許請求の範囲の「係合凹部」の一例である。
【0046】
また、
図4および
図5に示すように、アダプタ60は、Z2方向側に配置された第1面60aがロボットアーム21に取り付けられる。また、アダプタ60は、Z1方向側に配置された第2面60bに手術器具40が取り付けられる。手術器具40のハウジング43のZ2方向側に配置された取付面40aがアダプタ60に取り付けられる。
【0047】
複数の駆動伝達部材62は、複数の駆動部材212のそれぞれに対応して設けられている。複数の凹部67は、複数の係合凸部213のそれぞれに対応して設けられている。
【0048】
駆動伝達部材62は、基体61に回転可能に設けられている。具体的には、駆動伝達部材62は、Z方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に設けられている。駆動伝達部材62は、ロボットアーム21aの取付部211に設けられた複数の駆動部材212の回転を、手術器具40に設けられた複数の被駆動部(図示せず)に伝達する。駆動伝達部材62は、ロボットアーム21aの駆動部材212および手術器具40の被駆動部(図示せず)に対応するように複数設けられている。また、複数の駆動伝達部材62は、ロボットアーム21aの駆動部材212および手術器具40の被駆動部(図示せず)に対応する位置に各々配置されている。
【0049】
位置決め孔68は、第1面60aに設けられている。位置決め孔68は、ロボットアーム21のボス214が嵌り込む。位置決め孔68は、複数設けられている。複数の位置決め孔68は、複数のボス214のそれぞれに対応して設けられている。位置決め孔68は、第1面60aのY1方向側の端部近傍に設けられている。
【0050】
(ドレープ)
ドレープ70は、
図6に示すように、ロボット手術システム100に用いられるロボットアーム21を覆うように構成されている。具体的には、
図7に示すように、ドレープ70は、ロボットアーム21を受け入れるように構成され、取付開口部8aを有する可撓性フィルム部材8と、可撓性フィルム部材8に形成された取付開口部8aを塞ぐように設けられた樹脂成型部材9とを含んでいる。なお、取付開口部8aは、特許請求の範囲の「第1開口部」の一例である。
【0051】
〈可撓性フィルム部材〉
可撓性フィルム部材8は、上記した取付開口部8aを一端部に有するとともに、他端部に挿入開口部8bを有している。このように、可撓性フィルム部材8は、取付開口部8aにより一端部を開放し、挿入開口部8bにより他端部を開放した袋状に形成されている。また、可撓性フィルム部材8は、熱可塑性ポリウレタンまたはポリエチレンなどの樹脂材により形成されている。可撓性フィルム部材8は、薄膜状に形成されている。
【0052】
取付開口部8aは、樹脂成型部材9側から視て、略円形状に形成されている。取付開口部8aの直径は、樹脂成型部材9の大きさに合わせた大きさである。樹脂成型部材9は、取付開口部8aの周縁部の全周にわたって溶着されている。挿入開口部8bは、樹脂成型部材9側とは反対側から視て、円形状に形成されている。挿入開口部8bの直径は、取付開口部8aよりも大きい。挿入開口部8bの大きさは、ロボットアーム21を袋状の可撓性フィルム部材8の内部に挿入可能な大きさである。
【0053】
〈樹脂成型部材〉
本実施形態の樹脂成型部材9は、
図8に示すように、取付部211の外郭の形状に合わせた形状を有している。具体的には、樹脂成型部材9は、取付部211の取付面215に適合する形状と大きさとを有する上面部9aと、上面部9aからZ2方向に延びる側面部9bと、側面部9bのZ2方向側の端部(下端部)から外側に突出し、可撓性フィルム部材8が溶着される突出部9cとが一体的に成型されている。
【0054】
これにより、樹脂成型部材9をロボットアーム21の取付部211に取り付けるだけで、上面部9aおよび側面部9bにより樹脂成型部材9の位置決めが行われるので、取付け時に容易に樹脂成型部材9の位置決めを行うことができる。また、ロボットアーム21の移動に伴う樹脂成型部材9の移動を、取付部211の取付面215に適合する形状と大きさとを有する上面部9aから下方に延びる側面部9bにより規制することができるので、樹脂成型部材9の位置ずれを抑制することができる。また、突出部9cにより、樹脂成型部材9と可撓性フィルム部材8との溶着を容易に行うことができる。
【0055】
ここで、樹脂成型部材9の上面部9aおよび側面部9bは、それぞれ、取付部211の取付面215および取付面215から下方に延びる取付側面216に対応する形状および大きさを有している。これにより、ロボットアーム21の取付部211に対して相対的に樹脂成型部材9が移動しようとしても、ロボットアーム21の取付部211の取付側面216に樹脂成型部材9の側面部9bが当接するので、樹脂成型部材9の位置ずれを生じにくくすることができる。
【0056】
すなわち、樹脂成型部材9の上面部9aおよび側面部9bは、X1方向から視て、略円錐台形状を有している。これにより、樹脂成型部材9の形状をロボットアーム21の取付部211の形状により合わせることができるので、樹脂成型部材9の位置ずれをより確実に生じにくくすることができる。
【0057】
樹脂成型部材9は、ポリエチレンテレフタラートなどの樹脂材により形成されている。樹脂成型部材9は、薄板状に形成されている。
【0058】
〈上面部〉
上面部9aは、Z1方向から視て、取付部211の取付面215と同様の略円形状を有している。上面部9aの直径は、取付部211の取付面215の直径と略同じ大きさである。これにより、上面部9aは、Z1方向から見て、取付部211の取付面215に重なり合って(オーバーラップして)いる。また、上面部9a(
図8参照)は、
図4に示すように、アダプタ60とロボットアーム21の取付部211との間に挟まれている。一方で、側面部9b(
図8参照)および突出部9c(
図8参照)は、各々、アダプタ60とロボットアーム21の取付部211との間に挟まれない。
【0059】
〈挿通開口部〉
上面部9aは、
図9に示すように、複数(4個)の駆動部材212、複数(5個)の係合凸部213および複数(2個)のボス214に対応する個所に複数(6個)の挿通開口部91を有している。すなわち、挿通開口部91は、2つの第1駆動部材212a、2つの第2駆動部材212b、第1係合凸部213a、2つの第2係合凸部213bおよび2つの第3係合凸部213cに対応して上面部9aに形成されている。また、挿通開口部91は、第1ボス部214aおよび第2ボス部214bに対応して上面部9aに形成されている。
【0060】
これにより、1つの挿通開口部により複数の駆動部材212、複数の係合凸部213および複数のボス214の全てが樹脂成型部材9を挿通する場合よりも、樹脂成型部材9の上面部9aにおける挿通開口部91が設けられる面積を小さくすることができる。この結果、樹脂成型部材9の強度の低下を抑制することができる。
【0061】
複数の挿通開口部91は、複数の駆動部材212のうちの少なくとも1つと、複数の係合凸部213のうちの少なくとも1つとの両者に対応する共通開口部92を有している。すなわち、共通開口部92は、駆動部材212および係合凸部213の両者を挿通させる共通の開口である。これにより、樹脂成型部材9の上面部9aに共通開口部92を形成することにより、樹脂成型部材9の上面部9aに形成する挿通開口部91の数を効果的に減少させることができるので、樹脂成型部材9の製造を容易にすることができる。
【0062】
詳細には、共通開口部92は、2つの第1駆動部材212aのX1方向側の第1駆動部材212aおよび2つの第2係合凸部213bのX1方向側の第2係合凸部213bに対応する第1共通開口部92aを有している。共通開口部92は、2つの第1駆動部材212aのX2方向側の第1駆動部材212aおよび2つの第2係合凸部213bのX2方向側の第2係合凸部213bに対応する第2共通開口部92bを有している。共通開口部92は、2つの第2駆動部材212bおよび2つの第3係合凸部213cに対応する第3共通開口部92cを有している。
【0063】
複数の挿通開口部91は、複数の係合凸部213のうちの1つ、および、複数のボス214のうちの1つに対応する単独開口部93を有している。すなわち、単独開口部93は、係合凸部213およびボス214のそれぞれを独立して挿通させる開口である。これにより、樹脂成型部材9の上面部9aに共通開口部92だけでなく単独開口部93を形成することにより、樹脂成型部材9の上面部9aに形成する挿通開口部91の形状が複雑な形状になることを抑制することができる。この結果、樹脂成型部材9の製造を容易にすることができる。
【0064】
詳細には、単独開口部93は、第1係合凸部213aに対応する第1単独開口部93aを有している。単独開口部93は、第1ボス部214aに対応する第2単独開口部93bを有している。単独開口部93は、第2ボス部214bに対応する第3単独開口部93cを有している。
【0065】
ここで、複数(4個)の駆動部材212と、複数(5個)の係合凸部213と、複数(2個)のボス214とを足した総数は、11である。また、複数(6個)の挿通開口部91は、6個である。このように、複数の挿通開口部91の数は、複数の駆動部材212、複数の係合凸部213および複数のボス214の総数よりも少ない。これにより、複数の駆動部材212および複数の係合凸部213の総数分の複数の挿通開口部91を上面部9aに形成する場合よりも、樹脂成型部材9の製造を容易にすることができる。
【0066】
〈側面部〉
側面部9bは、
図8および
図9に示すように、Z1方向から視て、略環状に設けられている。側面部9bは、上面部9aの周縁部の全周にわたって形成されている。側面部9bは、X1方向から視て、Z1方向に向かうにしたがい上面部9aの径方向の内側に傾斜する傾斜面である。つまり、側面部9bのZ1方向側の端部は、側面部9bのZ2方向側の端部よりも、上面部9aの径方向の内側に配置されている。
【0067】
側面部9bの上下方向に沿った方向の長さL1は、上面部9aの直径よりも小さい。具体的には、側面部9bの上下方向に沿った方向の長さL1は、上面部9aのX方向(Y方向)の最大幅L2の1/6以上1/2以下の長さである。なお、側面部9bの上下方向に沿った方向の長さL1とは、Z方向における側面部9bのZ2方向側の端部から側面部9bのZ1方向側の端部までの長さである。これにより、樹脂成型部材9の形状を扁平形状にすることにより、樹脂成型部材9を上下方向においてコンパクトにすることできるので、ドレープ70を収納するスペースの増加を抑制することができる。
【0068】
また、側面部9bの上下方向に沿った方向の長さL1は、取付部211のZ方向の長さL3の略半分である。
【0069】
〈突出部〉
突出部9cは、
図8および
図9に示すように、Z1方向から視て、略環状に設けられている。ここで、突出部9cは、側面部9bから上面部9aの径方向の外側に突出するフランジ形状に形成されている。突出部9cは、側面部9bのZ2方向側の端部の周縁部の全周にわたって形成されている。また、突出部9cは、上面部9aの径方向に所定の幅Wを有している。所定の幅Wは、可撓性フィルム部材8の取付開口部8aの縁部を溶着可能な大きさである。
【0070】
〈取付具〉
図10に示すように、可撓性フィルム部材8は、取付具1により、ロボットアーム21の根元部217に取り付けられている。これにより、ロボットアーム21の根元部217以外の場所に取付具1を取り付ける場合よりも、取付具1がロボットアーム21の関節の動きを妨げにくくすることができるので、ロボットアーム21の適切な移動を維持することができる。
【0071】
具体的には、
図10および
図11に示すように、取付具1は、ロボットアーム21の根元部217に形成された溝部217aに嵌まり込む挿入部1aと、ロボットアーム21の根元部217に形成された溝部217aから挿入部1aを着脱するための摘み部1bとを有している。挿入部1aは、ロボットアーム21の根元部217に形成された溝部217aの形状に沿って略円弧状に形成されている。摘み部1bは、挿入部1aの径方向の外側の外周面部1cから、挿入部1aの径方向の外側に突出している。摘み部1bは、挿入部1aの径方向の外側の外周面部1cにおける、挿入部1aの周方向の中央部分に配置されている。
【0072】
挿入部1aおよび摘み部1bは、一体的に形成されている。挿入部1aおよび摘み部1bは、樹脂製である。
【0073】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0074】
たとえば、上記実施形態では、単独開口部93は、複数の係合凸部213のうちの1つ、および、複数のボス214のうちの1つに対応する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、単独開口部は、複数の駆動部材(回転駆動部)のうちの1つに対応してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、挿通開口部91は、上面部9aに6個配置されている例を示した、本発明はこれに限られない。本発明では、挿通開口部は、1~5個、または、7個以上であってもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、複数の係合凸部213は、5個である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の係合凸部は、2~4個、または、6個以上であってもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、複数のボス214は、2個である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数のボスは、3個以上であってもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、複数の駆動部材212は、4個である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の駆動部材(回転駆動部)は、2~3個または5個以上であってもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、樹脂成型部材9の上面部9aおよび側面部9bは、X1方向から視て、略円錐台形状を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボットアームの取付部の形状に沿った形状であればよく、円柱形状などであってもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、側面部9bの上下方向に沿った方向の長さL1は、上面部9aのX方向(Y方向)の最大幅L2の1/6以上1/2以下の長さである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、側面部の上下方向に沿った方向の長さは、上面部のX方向(Y方向)の最大幅の1/6未満、または、1/2よりも大きい長さであってもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、複数の挿通開口部91の数は、複数の駆動部材212、複数の係合凸部213および複数のボス214の総数よりも少ない例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の挿通開口部の数は、複数の駆動部材、複数の係合凸部および複数のボスの総数と同じであってもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、複数の挿通開口部91は、共通開口部92および単独開口部93の両者を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の挿通開口部は、共通開口部のみ、または、単独開口部のみであってもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、可撓性フィルム部材8は、取付具1により、ロボットアーム21の根元部217に取り付けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、可撓性フィルム部材は、取付具により、ロボットアームの根元部以外の部分に取り付けられてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、第1共通開口部92aおよび第2共通開口部92bは、それぞれ、X1方向側の第1駆動部材212aおよびX1方向側の第2係合凸部213b、および、X2方向側の第1駆動部材212aおよびX2方向側の第2係合凸部213bに対応する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上面部は、X1方向側の第1駆動部材およびX1方向側の第2係合凸部、および、X2方向側の第1駆動部材およびX2方向側の第2係合凸部の両方に対応する共通開口部を有していてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1:取付具、8:可撓性フィルム、8a:取付開口部(第1開口部)、9:樹脂成型部材、9a:上面部、9b:側面部、9c:突出部、21:ロボットアーム、60:アダプタ、62:駆動伝達部材(被回転部材)、67:凹部(係合凹部)、68:位置決め孔(係合凹部)、70:ドレープ(滅菌ドレープ)、91:挿通開口部、92:共通開口部、93:単独開口部、100:ロボット手術システム、211:取付部、212:駆動部材(回転駆動部)、213:係合凸部、214:ボス(係合凸部)、215:取付面、216:取付側面、217:根元部