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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011829
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】マスク用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220107BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
A41D13/11 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113212
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉木 昭男
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA04
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】 平面マスクを立体マスクに変更可能にしてマスクの万能性(汎用性)を高めるとともに、立体マスクの購入を不要にして消費者における経済性を高める。
【解決手段】 マスクMに装着して使用するアタッチメントであって、マスクMの端辺部位Msを表裏面から挟むことにより当該端辺部位Msに対して着脱可能なマスク装着部2と、このマスク装着部2に対して一体となり、マスクMへの装着時に当該マスクMの内面Miに当接することにより当該内面Miを使用者の顔面Hfから離間した位置Xsに保持する内面保持部3とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクに装着して使用するマスク用アタッチメントであって、マスクの端辺部位を表裏面から挟むことにより当該端辺部位に対して着脱可能なマスク装着部と、このマスク装着部に対して一体となり、マスクへの装着時に当該マスクの内面に当接することにより当該内面を使用者の顔面から離間した位置に保持する内面保持部とを備えてなることを特徴とするマスク用アタッチメント。
【請求項2】
前記内面保持部は、ワイヤ部材により湾曲形成又は折曲形成することにより製作することを特徴とする請求項1記載のマスク用アタッチメント。
【請求項3】
前記内面保持部は、コの字形に形成することにより対峙する一対の離間した当接部を設けて構成するとともに、当該当接部の先端にそれぞれ着脱部を設けることにより前記マスク装着部を構成することを特徴とする請求項1又は2記載のマスク用アタッチメント。
【請求項4】
前記マスク装着部は、前記内面保持部を形成した前記ワイヤ部材の先端側の一部により連続形成することを特徴とする請求項2又は3記載のマスク用アタッチメント。
【請求項5】
前記マスク装着部は、前記内面保持部に対して別体に形成し、このマスク装着部に、前記内面保持部を装着する装着部を設けて構成することを特徴とする請求項1記載のマスク用アタッチメント。
【請求項6】
前記マスクは、不織布マスクを適用することを特徴とする請求項1-5のいずれかに記載のマスク用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面マスクに装着して当該平面マスクのデメリットを改善するためのマスク用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が問題となり、飛沫の飛散等を防止する観点からマスク(衛生マスク)の重要性が指摘されている。一方、この種のマスク、特に、最もシンプルな構成を有する平面マスクは、内面が使用者の唇等に直接接触するため、話や会話をしにくくなったり、或いは内面に唾液が付着しやすいなどのデメリットがあり、このようなデメリットの改善を企図した立体マスクも提案されている。
【0003】
従来、この種の立体マスクとしては、特許文献1-3に記載される立体マスクが知られている。特許文献1の立体マスクは、マスク内から湿った空気が上方に抜けて、眼鏡等が曇るおそれのない立体マスクの提供を目的としたものであり、具体的には、口及び鼻腔を含む顔面の対象部位を覆う本体部と、この本体部の側端部から延出し本体部を顔面に係止する係止部と、を備え、本体部内面の鼻腔を覆う部位よりも上方に、斜め下方に突出する突出片を、横方向に沿うように備えて構成したものである。
【0004】
また、特許文献2の立体マスクは、マスクの周縁部と肌との間に隙間が生じないようにした立体マスクの提供を目的としたものであり、具体的には、マスク本体と該マスク本体内側に貼着されるシートカップから構成され、両部材は共に通気性を有する不織布を左右対称に形成されるとともに、マスク本体は高伸縮性を有する不織布からなり、口許及び鼻孔周辺を覆うカバー部と、該カバー部の左右両端の所定位置に耳掛け部が形成され、シートカップは低伸縮性を有する不織布からなり、カバー部よりも上下長さが短く形成されて鼻孔及び口部を覆い、シートカップとカバー部との間に高伸縮性の帯部が区画形成されるとともに、シートカップの上端部に間隔を空けて可撓性と非弾性を備える合成樹脂材を短冊状に形成した左右一対の補強片を左右の小鼻上部に位置するように貼着し、該補強片を小鼻部分に沿って撓ませることでシートカップの上縁部分を顔面に密着させるように構成したものである。
【0005】
さらに、特許文献3の立体マスクは、簡単に製造でき、埃・花粉等の侵入を抑制し、着用しても鼻に圧接跡が付かない立体マスクの提供を目的としたものであり、具体的には、着用者の鼻及び口を覆うマスク本体を備え、該マスク本体は、互いに接合可能な少なくとも一対の接合面を有する平面状シートで形成され、少なくとも一対の接合面を接合して重ね部を形成することにより前方に膨出した立体形状に形成されて成り、重ね部が、着用者の鼻に当たらない位置に配されるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-021031号公報
【特許文献2】特開2005-328937号公報
【特許文献3】特開2005-102818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した従来の立体マスクは、次のような問題点があった。
【0008】
第一に、基本的に、マスク自体の構成(形状)を立体状にするため、製造工程が多工程になりやすいとともに、工程内容が複雑になりやすく、結果的に、マスク単価の上昇を招きやすい。特に、近時広く普及するに至たっている使い捨てタイプの不織布マスクは、廉価が要求されるため、製品としての価格上昇は無視できないなど、消費者にとって経済性に難がある。
【0009】
第二に、立体性を確保する固有の形状にする必要があるため、万能性(汎用性)の観点からは必ずしも十分に考慮されているとはいえない。即ち、使用者の顔面にマッチングしない場合も想定されるため、顔面との無用な隙間が生じやすいなど、本来のマスク機能を低下させる虞れがある。他方、使用用途によっては顔面に対する密着性が良好となる平面マスクを使用したい場合もあるが、このような用途には対応できない。
【0010】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したマスク用アタッチメントの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るマスク用アタッチメント1は、上述した課題を解決するため、マスクMに装着して使用するアタッチメントであって、マスクMの端辺部位Msを表裏面から挟むことにより当該端辺部位Msに対して着脱可能なマスク装着部2と、このマスク装着部2に対して一体となり、マスクMへの装着時に当該マスクMの内面Miに当接することにより当該内面Miを使用者の顔面Hfから離間した位置Xsに保持する内面保持部3とを備えてなることを特徴とする。
【0012】
この場合、発明の好適な態様により、内面保持部3は、ワイヤ部材Wにより湾曲形成又は折曲形成することにより製作できる。特に、この内面保持部3は、コの字形に形成することにより対峙する一対の離間した当接部3p,3qを設けて構成するとともに、当該当接部3p,3qの先端にそれぞれ着脱部2p,2qを設けることによりマスク装着部2を構成することができる。この際、マスク装着部2(着脱部2p,2q)は、内面保持部3(当接部3p,3q)を形成したワイヤ部材Wの先端側の一部により連続形成することができる。他方、マスク装着部2は、内面保持部3に対して別体に形成し、このマスク装着部2に、内面保持部3を装着する装着部5を設けて構成することもできる。なお、マスクMは、不織布マスクを適用することが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
このような構成を有する本発明に係るマスク用アタッチメント1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0014】
(1) アタッチメント1は、マスクMの端辺部位Msを表裏面から挟むことにより当該端辺部位Msに対して着脱可能なマスク装着部2と、このマスク装着部2に対して一体となり、マスクMへの装着時に当該マスクMの内面Miに当接することにより当該内面Miを使用者の顔面Hfから離間した位置Xsに保持する内面保持部3とを備えるため、アタッチメント1を一般的な平面マスクに装着することにより、容易に立体マスクに変更することができる。したがって、立体マスクの購入が不要となる。しかも、アタッチメント1はマスクMに対して着脱式となり、繰り返し使用が可能なため、消費者にとっての経済性を高めることができる。
【0015】
(2) アタッチメント1により平面マスクを立体マスクに変更できるため、使用者は平面マスクとアタッチメント1を用意すれば足り、平面マスクにおける万能性(汎用性)を高めることができる。即ち、平面マスクを、使用者の顔面に対するマッチング性を確保しつつ、密着性の良好な平面マスクとしての使用と、話(会話)に支障を生じない立体マスクとしての使用の双方に、一つのマスクMを容易に使い別けることができるため、利便性及び多様性を高めることができる。
【0016】
(3) 好適な態様により、内面保持部3を構成するに際し、ワイヤ部材Wにより湾曲形成又は折曲形成することにより製作すれば、ワイヤ部材Wのメリット、即ち、シンプルで軽量かつ安価なアタッチメント1を得ることができるとともに、マスクMに対して容易に装着(着脱)することができる。しかも、マスクMの内面Miにおいて邪魔にならないなど、最も望ましい形態として実施できる。
【0017】
(4) 好適な態様により、内面保持部3を構成するに際し、コの字形に形成することにより対峙する一対の離間した当接部3p,3qを設けて構成するとともに、当該当接部3p,3qの先端にそれぞれ着脱部2p,2qを設けることによりマスク装着部2を構成すれば、唇の前方に形成される空間Smを、従来の立体マスクにより形成される三角状の空間に対して、四角状の空間Smに形成することが可能となり、唇の動きを阻害しない空間及びより大きい空間容積を確保する観点から理想的な空間Smを得ることができる。
【0018】
(5) 好適な態様により、マスク装着部2(着脱部2p,2q)を構成するに際し、内面保持部3(当接部3p,3q)を形成したワイヤ部材Wの先端側の一部により連続形成すれば、アタッチメント1を一本のワイヤ部材Wのみで製作可能になるため、量産性及び低コスト性に優れたアタッチメント1を得ることができる。
【0019】
(6) 好適な態様により、マスク装着部2を構成するに際し、内面保持部3に対して別体に形成し、このマスク装着部2に、内面保持部3を装着する装着部5を設けて構成すれば、マスク装着部2の基本機能を確保しつつ、様々な形態により実施可能となり、例えば、マスク装着部2に、メガネの曇り止めの機能を付加できるなど、マスク用アタッチメントとしての多機能性及び多様性を高めることができる。
【0020】
(7) 好適な態様により、マスクMとして、不織布マスクを適用すれば、例えば、多くの不織布マスクの上端辺部(端辺部位Ms)に埋設されるプレート形ワイヤの利用によりアタッチメント1を安定に装着できるなど、アタッチメント1とマスクMのマッチング性を確保する観点から最適な形態として実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の好適実施形態におけるマスク用アタッチメントの外観斜視図、
図2】同アタッチメントをマスクに装着した状態を示す正面図、
図3】同アタッチメントの側面図、
図4】同アタッチメントの正面図、
図5】同アタッチメントの平面図、
図6】同アタッチメントの使用時の作用説明図、
図7】同アタッチメントの第一変更例を示す正面図及び一部省略の側面図、
図8】同アタッチメントの第二変更例を示す正面図、
図9】同アタッチメントの第三変更例を示す一部省略の正面図及び側面図、
図10】本発明の変更実施形態に係るマスク用アタッチメントの斜視図、
図11】同アタッチメントの正面図、
図12】同アタッチメントの図11中A-A線位置におけるマスクを装着した状態の端面図、
図13】同アタッチメントの使用時の作用説明図、
図14】同アタッチメントにマスクを装着する方法の説明図、
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
まず、本実施形態に係るマスク用アタッチメント1の構成について、図1図6を参照して具体的に説明する。
【0024】
本実施形態に係るアタッチメント1は、図1に示すように、基本構成として、内面保持部3と、この内面保持部3の上端に備えるマスク装着部2により構成する。
【0025】
例示のアタッチメント1は、太さ0.5〔mm〕の金属バネ素材を用いたワイヤ部材Wにより製作した。具体的には、図4に示すように、ワイヤ部材Wを、正面視においてコの字形(U形)に折曲形成又は湾曲形成し、縦方向となる左右に所定間隔(例示は5〔cm〕)を介して対峙した一対の当接部3p,3qを有する内面保持部3を構成するとともに、この当接部3p,3qの上端に位置する先端部位にマスク装着部2を構成する一対の着脱部2p,2qをそれぞれ設けた。
【0026】
この場合、当接部3p,3qは、図3に示すように、前方へ円弧状に湾曲させる。湾曲させる曲率は、着脱部2p,2qから当接部3p,3qの湾曲先端部位までの距離Lpが概ね2〔cm〕程度に選定することが望ましい。なお、前述したように、ワイヤ部材Wの形成素材は、自身の形状保持機能を有する金属バネ素材が望ましいが、バネ性を有しない金属素材であってもよいし、バネ性を適度に有する金属素材であってもよい。このような素材を選定すれば、使用者が任意に(好みにより)変形させることも可能となる。図3に仮想線で示す当接部3pは、上述した距離Lpに対して、前方への突出距離を半分程度まで短くした場合を示している。
【0027】
一方、当接部3p,3qの上端側には、ワイヤ部材Wの先端側を、上方へ延出することにより延出部2pe,2qeを設けるとともに、この延出部2pe,2qeの先端を折り返すことにより折返部2pb,2qbを設ける。これにより、この延出部2pe,2qeと折返部2pb,2qbは、逆J形となるフック状の着脱部2p,2qを構成する。
【0028】
この場合、延出部2pe,2qeと折返部2pb,2qbのみでも着脱部2p,2qとして機能させることができるが、実施形態では、マスクMへの装着性を高めるため、図4に示すように、合成樹脂素材により形成したカバー部2pc,2qcを取付けた。したがって、後述する変更例で示すように、カバー部2pc,2qcは、本発明に係るアタッチメント1の必須の構成となるものではない。さらに、必要により延出部2pe(2qeも同じ)の中途位置には、図3に示すように、内方へ折曲により突出させた山部2pmを形成してもよい。これにより、ワイヤ部材Wのバネ性と併せて、マスクMへ装着した際における装着強度及び装着安定度を高めることができる。
【0029】
なお、カバー部2pc(2qcも同じ)は、部品として製作し、上端に形成した孔部にワイヤ部材Wの先端を差し込むことにより固定してもよいし、或いは成形時おけるインサート成形法により、ワイヤ部材Wの先端をカバー部2pcに一体成形してもよい。また、カバー部2pcの形状は任意であり、図4に示すように、正面視が小判のようなシンプル形状であってもよいし、仮想線で示すカバー部2pceのように、デザイン化した形状であってもよいなど、各種形状を適用可能である。
【0030】
このように、内面保持部3を構成するに際し、ワイヤ部材Wにより湾曲形成又は折曲形成することにより製作すれば、ワイヤ部材Wのメリット、即ち、シンプルで軽量かつ安価なアタッチメント1を得ることができるとともに、マスクMに対して容易に装着(着脱)することができる。しかも、マスクMの内面Miにおいて邪魔にならないなど、最も望ましい形態として実施できる。
【0031】
特に、内面保持部3を構成するに際し、コの字形に形成することにより対峙する一対の離間した当接部3p,3qを設けて構成するとともに、当該当接部3p,3qの先端にそれぞれ着脱部2p,2qを設けることによりマスク装着部2を構成すれば、唇の前方に形成される空間Smを、従来の立体マスクにより形成される三角状の空間に対して、四角状の空間Smに形成することが可能となり、唇の動きを阻害しない空間及びより大きい空間容積を確保する観点から理想的な空間Smを得ることができる。
【0032】
次に、本実施形態に係るアタッチメント1におけるマスク装着部2の変更例について、図7図9を参照して説明する。
【0033】
図7及び図8は、着脱部2p,2q(マスク装着部2)の主に形状を変更した第一変更例及び第二変更例をそれぞれ示す。いずれも、着脱部2p,2qを構成するに際し、当接部3p,3qを形成したワイヤ部材Wの先端側の一部により一筆書状に連続形成したものである。
【0034】
図7に示す第一変更例は、同図(a)に示すように、ワイヤ部材Wの先端における折返部2pb,2qbを渦巻状に巻回し、正面視が渦巻形状部Cwとなるように形成するとともに、側面視の形状が同一面上に位置するように形成したものである。また、図8に示す第二変更例は、同図に示すように、ワイヤ部材Wの先端側における折返部2pb,2qbを星型状に折曲し、正面視が星型形状部Csとなるように形成したものである。星型形状部Csの場合、側面視は、ワイヤ部材Wが2-3段程度重なる場合も発生するが、装着性においてさほど影響を受けることはない。
【0035】
このように、マスク装着部2(着脱部2p,2q)を構成するに際し、内面保持部3(当接部3p,3q)を形成したワイヤ部材Wの先端側の一部により連続形成すれば、アタッチメント1を一本のワイヤ部材Wのみで製作可能になるため、量産性及び低コスト性に優れたアタッチメント1を得ることができる。なお、図7及び図8に示す変更例は一例であり、その他、様々な形状を適用することができる。
【0036】
図9は、マスク装着部2の構成(構造)を変更した第三変更例を示す。第三変更例は、図9(a)に示すように、ワイヤ部材Wの折返部2pb,2qbの先端を相互に向き合う方向へ直角に折曲し、例えば、合成樹脂素材により形成した連結部21により両端を連結したものである。なお、この連結部21は、前述したカバー部2pcと同様に、左右両側に設けた孔部に折返部2pb,2qbの先端をそれぞれ差し込むことにより結合することができる。また、前述した延出部2pe…の中途位置に設けた山部2pm…は、第三変更例の場合、図9(b)に示すように、折返部2pb,2qbの中途位置に設けた例を示している。なお、図7図9において、アタッチメント1に装着した状態のマスクMを仮想線で示す。
【0037】
次に、本実施形態に係るアタッチメント1の使用方法について、図2及び図6を参照して説明する。
【0038】
使用時には、マスクMに加えて本実施形態に係るアタッチメント1を用意する。なお、アタッチメント1を使用するマスクMとしては不織布マスクが望ましい。多くの不織布マスクの場合、端辺部位Msとなる上端辺部Mu付近に、図2に示すように、プレート形ワイヤMwが埋設されているため、このプレート形ワイヤMwの利用によりアタッチメント1を安定に装着することができる。このように、マスクMとして不織布マスクを適用すれば、アタッチメント1とマスクMのマッチング性を確保する観点から最適な形態として実施できる。なお、図2中、Mp,MqはマスクMの左右端辺に設けたゴム紐を示す。
【0039】
そして、アタッチメント1をマスクMに装着する際は、内面保持部3をマスクMの内面Mi側に位置させ、フック状の着脱部2p,2qをそれぞれマスクMの上端辺部Mu(端辺部位Ms)に係合させればよく、ワンタッチにより容易に装着できる。この場合、マスクMにおける上端辺部Muの近傍に埋設されたプレート形ワイヤMwが着脱部2p,2qにそれぞれ差し込まれる(圧入される)ため、着脱部2p,2qにより上端辺部Muの表裏面が挟まれ、安定に保持固定される。マスクMにアタッチメント1を装着した状態を図2に示す。
【0040】
なお、アタッチメント1が装着されたマスクMであっても、マスクM自体の形態には、ほとんど影響しないため、単体のマスクMと同様に使用することができる。即ち、マスクMの左右に備えるゴム紐Mp,Mqを使用者の両耳に掛けて使用すればよい。
【0041】
また、マスクMの使用時には、図6に示すように、アタッチメント1の当接部3p,3qが仮想線で示すマスクMの内面Miに当接するため、この当接部3p,3qにより、マスクMの内面Miは、顔面Hfから離間した位置Xsに保持される。これにより、唇Hmの前方には、ゆとりのある空間Smが確保されるため、マスクMを使用した状態であっても、マスクMの内面Miに唇Hmが当接する不具合を回避することができ、話(会話)がしやすくなるとともに、聞き手も話(声)を聞き取りやすくなる。
【0042】
特に、アタッチメント1の当接部3p,3q(内面保持部3)は、ワイヤ部材Wをコの字形に形成して得られるため、唇Hmの前方に形成される空間Smは、従来の立体マスクにより形成される三角状の空間に対して、四角状の空間Smとして形成される。したがって、唇Hmの動きを阻害しない空間及びより大きい空間容積を確保する観点から理想的な空間Smを得ることができる。
【0043】
このように、本実施形態に係るアタッチメント1は、基本的な構成として、マスクMの端辺部位Msを表裏面から挟むことにより当該端辺部位Msに対して着脱可能なマスク装着部2と、このマスク装着部2に対して一体となり、マスクMへの装着時に当該マスクMの内面Miに当接することにより当該内面Miを使用者の顔面Hfから離間した位置Xsに保持する内面保持部3とを備えるため、アタッチメント1を一般的な平面マスクに装着することにより、容易に立体マスクに変更することができる。したがって、立体マスクの購入が不要となる。しかも、アタッチメント1はマスクMに対して着脱式となり、繰り返し使用が可能なため、消費者にとっての経済性を高めることができる。
【0044】
また、アタッチメント1により平面マスクを立体マスクに変更できるため、使用者は平面マスクとアタッチメント1を用意すれば足り、平面マスクにおける万能性(汎用性)を高めることができる。即ち、平面マスクを、使用者の顔面に対するマッチング性を確保しつつ、密着性の良好な平面マスクとしての使用と、話(会話)に支障を生じない立体マスクとしての使用の双方に、一つのマスクMを容易に使い別けることができるため、利便性及び多様性を高めることができる。
【0045】
次に、本発明に係るアタッチメント1の変更実施形態について、図10図14を参照して説明する。
【0046】
変更実施形態に係るアタッチメント1は、図10に示すように、マスク装着部2を、内面保持部3に対して別体に形成し、このマスク装着部2に、内面保持部3を装着する装着部5を設けて構成したものである。
【0047】
即ち、図10に示すように、マスク装着部2は、基本構成として、マスク挟持部21及び隙間閉塞部22を備え、このマスク挟持部21と隙間閉塞部22は、硬質性又は軟質性の合成樹脂素材により一体成形する。マスク挟持部21は、図11に仮想線で示すマスクMの上端辺部Muの少なくとも略70〔%〕以上の長さ範囲を挟んで保持するとともに、当該マスクMに対して着脱可能に構成し、かつ図10に示すように、底面視(平面視)が円弧状になるように全体を湾曲形成する。一般的な大人用のマスクMは、上端辺部Muの長さが170〔mm〕前後になるため、略70〔%〕以上の長さ範囲を確保することにより、通常のメガネの横幅をほぼカバーすることができる。なお、マスク挟持部21の顔面側における湾曲部21rの曲率は、マスク挟持部21の両端が位置する顔面の部位及び鼻が位置する部位の三点を通る円弧に近似させることができる。
【0048】
さらに、マスク挟持部21は、図10及び図12に示すように、前後に対峙する前挟持片部21fと後挟持片部21rを有する断面U形状に形成する。前挟持片部21f,後挟持片部21rは、それぞれ厚さが0.6〔mm〕程度のプレート部位として形成し、上下の高さ寸法は、多くの不織布マスクの上端辺部Mu付近に埋設されるプレート形ワイヤMw(図12参照)を収容可能な寸法を選定する。
【0049】
そして、前挟持片部21f,後挟持片部21rの各先端部には、図12に示すように、肉厚エッジとなるストッパ部21fs,21rsを形成する。これにより、前挟持片部21fと後挟持片部21r間に、マスクMの上端辺部Muを差し込んだ際は、当該上端辺部Muの抜け落ちを阻止することができる。即ち、上端辺部Muの付近に埋設されたプレート形ワイヤMwがストッパ部21fs,21rsに係止することにより抜け止めが図られる。
【0050】
一方、隙間閉塞部22は、顔面に沿う形状に形成して顔面に当接する顔当接部22s,及びマスク挟持部21の上端部と顔当接部22sの上端部間を閉塞する上面部22cを有し、この隙間閉塞部22とマスク挟持部21は一体形成する。例示の場合、顔当接部22s及び上面部22cは、それぞれの厚さが0.6〔mm〕程度のプレート部位として形成する。これにより、前述した前挟持片部21f及び後挟持片部21rを含め、全体の軽量化を図ることができる。
【0051】
また、変更実施形態のアタッチメント1における内面保持部3は、前述した着脱部2p,2qを設けない点を除いて、図1図5に示した内面保持部3と同様に構成することができる。即ち、変更実施形態における内面保持部3は、図10に示すように、当接部3p,3qの上端に中間装着部31p,31qを形成し、この中間装着部31p,31qをマスク装着部2に設けた装着部5p,5qに対して装着(着脱)できるようにした。このため、中間装着部31p,31qは、図10に示すように、当接部3p,3qの上端から延出した延出部31pe,31qeと、この延出部31pe,31qeの先端を折り返した折返部31pb,31qbを設けて形成するとともに、他方、装着部5p,5qは、マスク挟持部21の湾曲部21rにおける左右方向の概ね3等分した中間部位の位置にそれぞれ一体に設け、各装着部5p,5qに、上下方向に沿った軸孔部5ps,5qsを形成する。これにより、内面保持部3における当接部3p,3qの中間装着部31p,31qを、マスク装着部2における装着部5p,5qの軸孔部5ps,5qsに、それぞれ圧入により装着し、又は離脱することができる。
【0052】
このように、マスク装着部2を構成するに際し、内面保持部3に対して別体に形成し、このマスク装着部2に、内面保持部3を装着する装着部5を設けて構成すれば、マスク装着部2の基本機能を確保しつつ、様々な形態により実施可能となり、例えば、マスク装着部2に、メガネの曇り止めの機能を付加できるなど、マスク用アタッチメントとしての多機能性及び多様性を高めることができる。
【0053】
次に、変更実施形態に係るアタッチメント1の使用方法について、図10図14を参照して説明する。
【0054】
まず、マスク装着部2と内面保持部3を用意し、図10に示すように、内面保持部3の中間装着部31p,31qを、矢印Fc方向で示すように、それぞれ装着部5p,5qの軸孔部5ps,5qsに差し込んで装着する。この場合、中間装着部31p,31qはJ状に折曲形成されているため、適度の弾性が生じ、軸孔部5ps,5qsに対して容易に挿入(圧入)できるとともに、他方、容易な抜けは阻止される。図12は、中間装着部31p…を軸孔部5ps…に差し込んだ状態を示している。
【0055】
一方、マスク装着部2は、マスクMの上端辺部Muに装着する。この場合、図14に矢印F1で示すように、最初に、マスク装着部2の右端(左端)に対して、マスクMの上端辺部Muの左端(右端)を差し込むとともに、矢印F2で示すように、差し込んだ位置から、そのままスライド移動させればよい。この状態においては、図12に示すように、マスクMの上端辺部Mu付近に埋設されたプレート形ワイヤMwが前挟持片部21fと後挟持片部21r間に保持されるため、容易かつ円滑にスライドさせることができる。
【0056】
マスク装着部2の装着により、マスク装着部2は、図11に示すように、マスクMの上端辺部Muに位置するため、マスクMは、通常のマスクと同様に使用することができる。これにより、マスク装着部2の顔当接部22sは、図13に示すように、使用者の顔面Hfに当接する。この際、中央に位置する凹状部が使用者の鼻Hnの上に載って係止し、マスクMの上端辺部Muと顔面Hf間の隙間は、マスク装着部2における上面部22cにより閉塞される。
【0057】
また、当接部3p,3q(内面保持部3)は、図13に示すように、マスクMの内面Mi(仮想線)おける中間部位に当接し、仮想線で示す顔面HfとマスクMの内面Mi間にゆとりのある空間Smが確保され、図1図5の実施形態と同様の作用効果を享受できる。加えて、このような空間Smが確保されることにより、使用者の吐気は直ちにマスクMの内面Miに沿って外部に漏出することはなくなる。即ち、使用者の吐気は、一旦、空間Sm内で冷却されるため、マスクMの上方へ吐気が漏出する場合であっても、冷却された吐気が漏出することになり、メガネを曇らせる不具合は回避される。
【0058】
よって、このような変更実施形態に係るアタッチメント1によれば、マスクMの上端辺部Muの少なくとも略70〔%〕以上の長さ範囲を挟んで保持するとともに、当該マスクMに対して着脱可能に構成し、かつ円弧状に湾曲形成したマスク挟持部21と、顔面Hfに沿う形状に形成して顔面Hfに当接する顔当接部22s,及びマスク挟持部21の上端部と顔当接部22sの上端部間を閉塞する上面部22cを有することにより、マスク挟持部21における顔面Hf側の湾曲部21rに一体となる隙間閉塞部22とを備えるため、マスクMの上端辺部Muを挟んで保持することが可能となり、マスクM自体には直接的な悪影響を及ぼさない。即ち、マスクMの形状性(外観性)を大きく低下させたり、マスクM本来の機能を低下させるなどの不具合が生じないとともに、アタッチメント1に対してマスクMが直接干渉することがないため、メガネの曇り止めの機能が不安定になったり、十分に発揮されないなどの不具合も生じない。しかも、各種マスクに対するマッチング性を阻害しないため、汎用性や使い勝手に優れる。
【0059】
以上、各種変更例を含む好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0060】
例えば、マスクMには、不織布マスクを適用することが望ましいが、布マスクや他のマスク(衛生マスク)の適用を排除するものではない。また、内面保持部3は、ワイヤ部材Wにより湾曲形成又は折曲形成することにより製作することが望ましいが、プレート材や合成樹脂素材等の他の形態や素材により実施する場合を排除するものではない。さらに、内面保持部3は、コの字形に形成することにより対峙する一対の離間した当接部3p,3qを設けて構成することが望ましいが、その他、マスクMの中央に一本の当接部3pを配する形態やマスクMに三本以上の当接部3p…を配する形態であってもよい。一方、マスクMの端辺部位Msとして、上端辺部Muを利用することが望ましいが、内面保持部3の形態(形状)を変更するなどにより、左端辺部,右端辺部及び下端辺部を利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係るマスク用アタッチメントは、不織布マスクをはじめとした各種平面マスクに装着して立体マスクに変更する際に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1:マスク用アタッチメント,2:マスク装着部,2p:着脱部,2q:着脱部,3:内面保持部,3p:当接部,3q:当接部,5:装着部,M:マスク,Ms:マスクの端辺部位,Mi:マスクの内面,Hf:使用者の顔面,Xs:位置,W:ワイヤ部材
図1
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