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特開2022-118350無線通信デバイス、及び、無線通信組立体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118350
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】無線通信デバイス、及び、無線通信組立体
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20220805BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20220805BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
H01Q7/00
H01Q1/38
G06K19/077 144
G06K19/077 252
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014794
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】591020445
【氏名又は名称】立山科学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】本田 憲市
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 匠
(72)【発明者】
【氏名】仲俣 裕喜
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA09
5J046AA13
5J046AA19
5J046AB11
5J046PA06
5J046PA07
(57)【要約】
【課題】手間がかからず、製造ロスの少ない無線通信デバイスを提供する。
【解決手段】無線通信デバイス1は、第一面10A及び第二面10Bを有する直方体状の誘電体10と、第二面10B上に形成された第一パターン31と、第一面10A上に形成された第二パターン32、第三パターン33、及び第四パターン34と、第三パターン33及び第四パターン34のそれぞれに接続されたICチップ40と、第一パターン31と第四パターン34とを接続する第一接続部52と、第一パターン31と第三パターン33とを接続する第二接続部54と、第二パターン32と第三パターン33とを接続する第三接続部55と、を備え、第二パターン32と第四パターン34とは直接接続されておらず、第一接続部52及び第二接続部54は、誘電体10を貫通するように設けられている。
【選択図】図1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信デバイスであって、
第一面、及び、前記第一面の反対側の第二面を有する直方体状の誘電体と、
前記第二面上に形成された第一パターンと、
前記第一面上に形成された第二パターンと、
前記第一面上に形成された第三パターンと、
前記第一面上に形成された第四パターンと、
前記第三パターン及び前記第四パターンのそれぞれに接続されたICチップと、
前記第一パターンと前記第四パターンとを接続する第一接続部と、
前記第一パターンと前記第三パターンとを接続する第二接続部と、
前記第二パターンと前記第三パターンとを接続する第三接続部と、を備え、
前記第二パターンと前記第四パターンとは直接接続されておらず、
前記第一接続部及び前記第二接続部の少なくとも一方は、前記誘電体を貫通するように設けられている、
ことを特徴とする無線通信デバイス。
【請求項2】
前記第三パターンと、前記第四パターンとは前記誘電体の前記第一面の一辺に平行に並ぶように配置されており、
前記第二パターンは、前記第三パターン及び前記第四パターンに対して、前記誘電体の前記第一面の当該一辺に垂直に並ぶように配置されている、
請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項3】
前記第一接続部及び前記第二接続部の両方が、前記誘電体を貫通するように設けられている、請求項1又は2に記載の無線通信デバイス。
【請求項4】
前記第一パターン、前記第三パターン、前記第四パターン、前記第一接続部、前記第二接続部、及び、前記ICチップによりインダクタが形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項5】
前記第二パターン、及び、前記第三パターンは、それぞれ、前記第一パターンとコンデンサを構成する、
請求項1~4の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項6】
前記誘電体、前記第一パターン、前記第二パターン、前記第三パターン、前記第四パターン、前記第一接続部、前記第二接続部、及び前記第三接続部によりアンテナが構成されている、請求項1~5の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項7】
前記第一接続部と前記第二接続部との間の距離は、前記アンテナのインピーダンスが前記ICチップのインピーダンスと整合するように決定されている、
請求項6に記載の無線通信デバイス。
【請求項8】
前記第二パターンと前記第四パターンとの間の距離と、
前記第三接続部の幅とは、
前記アンテナの共振周波数がリーダとの通信の際の搬送周波数となるように決定されている、
請求項6又は7に記載の無線通信デバイス。
【請求項9】
前記第四パターンと前記第一パターンとの間の静電容量は、前記アンテナの共振周波数がリーダとの通信の際の搬送周波数となり、且つ、前記アンテナのインピーダンスが前記ICチップのインピーダンスと整合するように決定されている、
請求項6~8の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項10】
前記第一接続部及び前記第二接続部の少なくとも一方は、前記第一面に設けられた前記ICチップの外面よりも外方に突出している、
請求項1~9の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項11】
前記第一接続部及び前記第二接続部の少なくとも一方は、折り曲げ可能な金属線により構成されている、
請求項1~10の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項12】
前記金属線の前記第一接続部及び前記第二接続部の少なくとも一方に連続する部分は、前記第一面及び前記第二面の少なくとも一方に沿うように屈曲されている、
請求項11に記載の無線通信デバイス。
【請求項13】
前記第一接続部及び前記第二接続部は一本の金属線で構成されており、当該金属線は一部が前記第二面に沿うように前記第一接続部と前記第二接続部との間を伸びている、
請求項11又は12に記載の無線通信デバイス。
【請求項14】
前記金属線の厚みは、前記ICチップの厚さよりも大きい、
請求項11~13の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項15】
前記第三接続部は、前記第二パターン及び前記第三パターンの厚さよりも厚みのある金属線により構成される、
請求項1~14の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項16】
前記第三接続部は、前記第二パターン及び前記第三パターンと接触する部分以外の部分は、前記第二パターン及び前記第三パターンが形成された基材との間に空隙が形成されるように離間している、
請求項1~15の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項17】
前記第二接続部及び前記第三接続部は、一本の金属線で構成されており、前記第二接続部及び前記第三接続部の間で当該金属線が屈曲している、
請求項15又は16の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項18】
前記第一接続部及び前記第二接続部の少なくとも一方は金属線で構成されており、当該金属線は表面にはんだと接合可能な金属で覆われている、
請求項1~17の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項19】
前記第三接続部は金属線で構成されており、当該金属線は表面にはんだと接合可能な金属で覆われている、
請求項1~18の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項20】
前記第一パターン、前記第二パターン、前記第三パターン、及び、前記第四パターンのうち少なくとも一つははんだ箔を含む、
請求項1~19の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項21】
前記第一パターン、前記第二パターン、前記第三パターン、及び、前記第四パターンは、基材上に形成されており、前記基材は、紙又はガラスクロスである、
請求項1~20の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項22】
前記誘電体は、比誘電率が3.0以下であり、かつ、厚さが5mm以下である、
請求項1~21の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項23】
前記第一パターン、前記第二パターン、前記第三パターン、及び、前記第四パターンは、基材の表面上に形成されており、前記基材の裏面が誘電体に密着されている、
請求項1~22の何れか1項に記載の無線通信デバイス。
【請求項24】
請求項1~23の何れか1項に記載の無線通信デバイスと、
前記無線通信デバイスに沿うように設けられた電気伝導体と、を含む無線通信組立体。
【請求項25】
前記誘電体、前記第一パターン、前記第二パターン、前記第三パターン、前記第四パターン、前記第一接続部、前記第二接続部、前記第三接続部、及び前記電気伝導体によりアンテナが構成されている、請求項24に記載の無線通信組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信デバイス、及び、無線通信組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFIDタグと、リーダとの間で高周波により非接触で通信するRFIDシステムが物品管理や、キャッシュレス決済など広い分野で用いられている。このようなRFIDシステムでは、13.56MHzなどのHF帯を搬送周波数として用いた方式や、900MHzなどのUHF帯を搬送周波数として用いた方式が知られている。このようなRFIDシステムに用いるRFIDタグとして、例えば、特許文献1には、第1導波素子、第2導波素子、給電部及び短絡部が表面に形成された支持フィルムを折り曲げて、誘電体ブロックに巻付けて形成されたRFIDタグが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5703977号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように金属導体が表面に形成された支持フィルムを折り曲げて巻き付ける方法では、折り曲げ工程に手間がかかるとともに、折り曲げ時に金属導体パターンの損傷の可能性があり、製造ロスが生じやすい。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、手間がかからず、製造ロスの少ない無線通信デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、無線通信デバイスであって、第一面、及び、第一面の反対側の第二面を有する直方体状の誘電体と、第二面上に形成された第一パターンと、第一面上に形成された第二パターンと、第一面上に形成された第三パターンと、第一面上に形成された第四パターンと、第三パターン及び第四パターンのそれぞれに接続されたICチップと、第一パターンと第四パターンとを接続する第一接続部と、第一パターンと第三パターンとを接続する第二接続部と、第二パターンと第三パターンとを接続する第三接続部と、を備え、第二パターンと第四パターンとは直接接続されておらず、第一接続部及び第二接続部の少なくとも一方は、誘電体を貫通するように設けられている、ことを特徴とする。
【0007】
本発明において、好ましくは、第三パターンと、第四パターンとは誘電体の第一面の一辺に平行に並ぶように配置されており、第二パターンは、第三パターン及び第四パターンに対して、誘電体の第一面の当該一辺に垂直に並ぶように配置されている。
【0008】
上記構成の本発明によれば、第一接続部及び第二接続部の少なくとも一方が誘電体を貫通してパターン同士を接続しているため、電極パターンを折り曲げる必要がなくなり、パターンの損傷の可能性を抑え、製造ロスを少なくすることができる。また、第三パターン及び第四パターンを省略して第一接続部及び第二接続部を直接ICチップに接続する構成とすると、第一接続部及び第二接続部に電流が集中して発熱が生じる。これに対して、本発明によれば、第一接続部及び第二接続部を第三パターン及び第四パターンを介してICチップに接続することにより、電流の集中を緩和し、発熱を抑制できる。
【0009】
本発明において、好ましくは、第一接続部及び第二接続部の両方が、誘電体を貫通するように設けられている。
上記構成の本発明によれば、さらに、電極パターンが折り曲げられることがなくなり、パターンの損傷の可能性を抑え、製造ロスを少なくすることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、第一パターン、第三パターン、第四パターン、第一接続部、第二接続部、及び、ICチップによりインダクタが形成されている。
本発明において、好ましくは、第二パターン、及び、第三パターンは、それぞれ、第一パターンとコンデンサを構成する。
本発明において、好ましくは、誘電体、第一パターン、第二パターン、第三パターン、第四パターン、第一接続部、第二接続部、及び第三接続部によりアンテナが構成されている。
上記構成の本発明によれば、インダクタを形成することにより、ICチップとのインピーダンスの整合が容易になる。また、第一パターン、第三パターン、第四パターン、第一接続部、及び、第二接続部の寸法を調整することにより、インダクタンスの調整が可能になり、アンテナの共振周波数を調整できる。
【0011】
本発明において、好ましくは、第一接続部と第二接続部との間の距離は、アンテナのインピーダンスがICチップのインピーダンスと整合するように決定されている。
上記構成の本発明によれば、第一接続部と第二接続部との間の距離を調整することにより、アンテナのインピーダンスがICチップのインピーダンスと整合され、これにより無線通信デバイスの通信性能が向上する。
【0012】
本発明において、好ましくは、第二パターンと第四パターンとの間の距離と、第三接続部の幅とは、アンテナの共振周波数がリーダとの通信の際の搬送周波数となるように決定されている。
上記構成の本発明によれば、第二パターンと第四パターンとの間の距離と、第三接続部の幅とを調整することにより、アンテナの共振周波数を調整することができ、この共振周波数を搬送周波数とすることにより、通信性能が向上する。
【0013】
本発明において、好ましくは、第四パターンと第一パターンとの間の静電容量は、アンテナの共振周波数がリーダとの通信の際の搬送周波数となり、且つ、アンテナのインピーダンスがICチップのインピーダンスと整合するように決定されている。
上記構成の本発明によれば、第四パターンと第一パターンとが対向する面積を調整することにより、使用する搬送周波数や使用するICチップに適した静電容量にアンテナを調整することができ、無線通信デバイスの通信性能が向上する。
【0014】
本発明において、好ましくは、第一接続部及び第二接続部の少なくとも一方は、第一面に設けられたICチップの外面よりも外方に突出している。
上記構成の本発明によれば、無線通信デバイスが他の部材に当接したとしても、第一接続部及び第二接続部の少なくとも一方が他の部材により押圧され、ICチップに作用する力を抑えることができる。これにより、ICチップの破損を防止できる。
【0015】
本発明において、好ましくは、第一接続部及び第二接続部の少なくとも一方は、折り曲げ可能な金属線により構成されている。
上記構成の本発明によれば、誘電体の内部にスルーホールを形成する必要がなく、製造が容易になる。
【0016】
本発明において、好ましくは、金属線の第一接続部及び第二接続部の少なくとも一方に連続する部分は、第一面及び第二面の少なくとも一方に沿うように屈曲されている。
上記構成の本発明によれば、金属線が第一面及び第二面の少なくとも一方に沿うように屈曲されることにより、金属線を誘電体に対して固定することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、第一接続部及び第二接続部は一本の金属線で構成されており、当該金属線は一部が第二面に沿うように第一接続部と第二接続部との間を伸びている。
上記構成の本発明によれば、第一パターンに対する第一接続部及び第二接続部の接触面積を増加させることができ、安定したインダクタを形成することができる。さらに、金属線を第二面に沿うように配置されることにより、金属線を誘電体に固定することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、金属線の厚みは、ICチップの厚さよりも大きい。
上記構成の本発明によれば、金属線の外面がICチップの外面よりも外方に位置するため、ICチップに他の部材が接触して押圧されるのを防止できる。
【0019】
本発明において、好ましくは、第三接続部は、第二パターン及び第三パターンの厚さよりも厚みのある金属線により構成される。
上記構成の本発明によれば、第三接続部を電極パターンで形成するよりも、第二パターンと第三パターンの間で電流が流れやすくなり、通信性能が向上する。
【0020】
本発明において、好ましくは、第三接続部は、第二パターン及び第三パターンと接触する部分以外の部分は、第二パターン及び第三パターンが形成された基材との間に空隙が形成されるように離間している。
上記構成の本発明によれば、第三接続部と第一パターンとによりコンデンサが形成されない、且つ第二パターンと第三パターンの間で電流が流れやすくなり、通信性能が向上する。
【0021】
本発明において、好ましくは、第二接続部及び第三接続部は、一本の金属線で構成されており、第二接続部及び第三接続部の間で金属線が屈曲している。
上記構成の本発明によれば、インダクタの一部を形成する金属線を用いて第二パターンと第三パターンとを接続することになり、インダクタと第二パターンの間で電流が流れやすくなる。
【0022】
本発明において、好ましくは、第一接続部及び第二接続部の少なくとも一方は金属線で構成されており、当該金属線の表面は、はんだと接合可能な金属で覆われている。
上記構成の本発明によれば、第一接続部及び第二接続部を構成する金属線を電極パターンと容易に接続することができる。
【0023】
本発明において、好ましくは、第三接続部は金属線で構成されており、当該金属線の表面は、はんだと接合可能な金属で覆われている。
上記構成の本発明によれば、第三接続部を構成する金属線を、第二パターン及び第三パターンと容易に接続することができる。
【0024】
本発明において、好ましくは、第一パターン、第二パターン、第三パターン、及び、第四パターンのうち少なくとも一つははんだ箔を含む。
上記構成の本発明によれば、第一接続部、第二接続部及び第三接続部を容易に各パターンに接続することができる。
【0025】
本発明において、好ましくは、第一パターン、第二パターン、第三パターン、及び、第四パターンは、基材上に形成されており、基材は、紙又はガラスクロスである。
上記構成の本発明によれば、各パターンをはんだ箔により構成する際の熱に対する十分な耐性を基材が有する。
【0026】
本発明において、好ましくは、誘電体は、比誘電率が3.0以下であり、かつ、厚さが5mm以下である。
上記構成の本発明によれば、誘電体の比誘電率が低いことにより、通信性能を向上することができる。
【0027】
本発明において、好ましくは、第一パターン、第二パターン、第三パターン、及び、第四パターンは、基材の表面上に形成されており、基材の裏面が誘電体に密着されている。
上記構成の本発明によれば、電気伝導体に沿うように無線通信デバイスを設ける際のパターンと電気伝導体との距離を小さくすることができ、アンテナとして機能する電気伝導体の感度を向上することができる。
【0028】
本発明の無線通信組立体は、上記の無線通信デバイスと、無線通信デバイスに沿うように設けられた電気伝導体と、を含む。
本発明の無線通信組立体において、好ましくは、誘電体、第一パターン、第二パターン、第三パターン、第四パターン、第一接続部、第二接続部、第三接続部、及び電気伝導体によりアンテナが構成されている。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、手間がかからず、製造ロスの少ない無線通信デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】本発明の第1実施形態による無線通信デバイスを示す表面図である。
図1B】本発明の第1実施形態による無線通信デバイスを示す裏面図である。
図1C】本発明の第1実施形態による無線通信デバイスを示す、短辺に沿う側面図である。
図1D図1AにおけるD-D断面図である。
図1E】本発明の第1実施形態による無線通信デバイスを示す、長辺に沿う側面図である。
図2】外装材で包んだ状態の第1実施形態の無線通信デバイスを示す断面図である。
図3】ラミネートで構成された外装材で包囲し、電気伝導体に沿うように設けられた状態の第1実施形態の無線通信デバイスを示す断面図である。
図4】ケースで構成された外装材で包囲し、電気伝導体に沿うように設けられた状態の第1実施形態の無線通信デバイスを示す断面図である。
図5】第1実施形態による無線通信デバイスの製造方法を示す概略図である。
図6】第1実施形態による無線通信デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
図7A】本発明の第2実施形態による無線通信デバイスを示す表面図である。
図7B】本発明の第2実施形態による無線通信デバイスを示す裏面図である。
図8A】本発明の第3実施形態による無線通信デバイスを示す表面図である。
図8B】本発明の第3実施形態による無線通信デバイスを示す裏面図である。
図8C図8AにおけるC-C断面図である。
図9A】本発明の第4実施形態による無線通信デバイスを示す表面図である。
図9B】本発明の第4実施形態による無線通信デバイスを示す裏面図である。
図9C図9AにおけるC-C断面図である。
図10A】本発明の第5実施形態による無線通信デバイスを示す表面図である。
図10B】本発明の第5実施形態による無線通信デバイスを示す裏面図である。
図10C図10AにおけるC-C断面図である。
図11】第6実施形態による無線通信デバイスを示す図1Dに対応する断面図である。
図12A】本発明の第7実施形態による無線通信デバイスを示す表面図である。
図12B】本発明の第7実施形態による無線通信デバイスを示す裏面図である。
図13A】本発明の第8実施形態による無線通信デバイスを示す表面図である。
図13B】本発明の第8実施形態による無線通信デバイスを示す裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1A図1Eは、本発明の第1実施形態による無線通信デバイスを示し、図1Aは表面図、図1Bは裏面図、図1Cは短辺に沿う側面図、図1D図1AにおけるD-D断面図、図1Eは長辺に沿う側面図である。なお、以下の各実施形態で説明に用いる長辺と短辺は、実施形態が特定の周波数に対応した無線通信デバイスであるために、長辺と短辺が決定されているが、使用する周波数やICチップにより長辺と短辺は入れ替わることがある。
【0032】
図1A図1Eに示すように、第1実施形態による無線通信デバイス1は、誘電体10と、第一基材シート20A及び第二基材シート20Bと、プリントパターン30と、ICチップ40と、金属ピン50と、を備える。本発明による無線通信デバイス1は、いわゆるRFIDタグであり、リーダと所定の搬送周波数の高周波により無線通信を行うためのものである。搬送周波数としては、例えば、13.56MHzなどの高周波数帯域(RF帯域)の周波数や、900MHzや2.45GHzなどの調光周波数(URF帯域)の周波数を採用することができる。なお、以下の説明でいう高周波とは、URF帯域の周波数での通信に用いられる電波や、RF帯域の周波数での通信に用いられる電磁誘導(電磁波又は磁界の変動)を含む。
【0033】
誘電体10は、直方体状に形成された誘電材料からなる。誘電体10を構成する誘電材料としては、比誘電率が3.0以下の材料が好ましい。誘電体10としては、ポリプロピレンや、ポリエチレン、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、シリコン樹脂、ゴム、ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、PPE、シクロオレフィンポリマー樹脂、シアネート樹脂、ポリサルフォン、ビスマレイミド樹脂などを用いることができ、また前記材料に対して中空ビーズや空気が含まれる複合材料であってもよい。誘電体10は、厚さが0.5mm以上、かつ、5mm以下であることが好ましい。誘電体10は、第一面10Aと、第一面10Aの反対側の第二面10Bと、を有する。誘電体10の一方の短辺側(図1Aの左側)の部分には、第一貫通孔10C及び第二貫通孔10Dが形成されている。第一貫通孔10C及び第二貫通孔10Dは短辺方向に並んでおり、それぞれ第一面10Aから第二面10Bまで貫通している。第一貫通孔10Cは、第四パターン34の内側に位置しており、第二貫通孔10Dは第三パターン33の内側に位置している。なお、以下の説明で特に断らない限り、長辺方向及び短辺方向は誘電体10の長辺及び短辺に沿う方向をいう。
【0034】
第一基材シート20Aは第一面10Aに沿うように設けられており、また、第二基材シート20Bは第二面10Bに沿うように設けられている。第一基材シート20A及び第二基材シート20Bは、それぞれ誘電体10の第一面10A及び第二面10Bよりも小さい長方形状に形成されている。第一基材シート20A及び第二基材シート20Bは、裏面が誘電体10の第一面10A及び第二面10Bにそれぞれ密着されている。第一基材シート20A及び第二基材シート20Bは、耐熱性を有する絶縁材料で構成されており、例えば、紙又はガラスクロスを用いることができる。また、第一基材シート20A及び第二基材シート20Bは、厚みが100μm以下であるのが望ましく、見かけ誘電率が5.0以下であるのが好ましい。第一基材シート20A及び第二基材シート20Bは、例えば、接着剤などを用いて誘電体10の第一面10A及び第二面10Bにそれぞれ密着されている。なお、本実施形態では、第一基材シート20A及び第二基材シート20Bを別々のシートにより構成しているが、一枚のシートを折り曲げて誘電体10を挟みこむように構成してもよい。
【0035】
プリントパターン30は、第二基材シート20B上に形成された第一パターン31と、第一基材シート20A上に形成された第二パターン32、第三パターン33、及び第四パターン34と、を含む。各パターン31、32、33、34は、基材シート20A、20B上にはんだ付け可能な樹脂(下地層)をパターン印刷し、さらに樹脂上にはんだをコーティングすることにより形成されている。このような方法としては、例えば、特許第4847499号や特許第6495368号に記載された方法を採用することができる。本実施形態では、各パターン31、32、33、34は長方形状であるが、パターンの形状は変更することができる。
【0036】
第一パターン31は、第二基材シート20B上に長方形状に形成されている。第一パターン31は長方形状に形成されており、第一パターン31の長辺は第二基材シート20Bの長辺よりもわずかに短く、第一パターン31の短辺は第二基材シート20Bの短辺よりもわずかに短い。
【0037】
第二パターン32は、第一基材シート20A上に、長方形状に形成されている。第二パターン32の短辺の長さは第一パターン31の短辺の長さと略等しく、第二パターン32の長辺の長さは、第一パターン31の長辺の長さよりも短い。第二パターン32は、第一基材シート20Aの一方の短辺側(図1Aの右側)に偏って配置されており、第二パターン32の長辺及び短辺は、それぞれ、第一基材シート20Aの長辺及び短辺に平行に配置されている。
【0038】
第三パターン33は、第一基材シート20A上に、長方形状に形成されている。第三パターン33の長辺(図1Aの上下方向に延びる辺)の長さは、第二パターン32の短辺の半分の長さよりも短い。第三パターン33は、第一基材シート20Aの他方の短辺側、かつ、一方の長辺側(図1Aの左下側)に偏って、配置されている。第三パターン33は、第四パターン34側の短辺から突出する凸部33Aを有する。
【0039】
第四パターン34は、第一基材シート20A上に、長方形状に形成されている。第四パターン34の長辺(図1Aの上下方向に延びる辺)の長さは、第二パターン32の短辺の半分の長さよりも短い。第四パターン34は、第一基材シート20Aの他方の短辺側、かつ、他方の長辺側(図1Aの左上側)に偏って、配置されている。第四パターン34は、第三パターン33側の短辺から突出する凸部34Aを有する。第四パターン34は、第二パターン32とは直接接続されておらず、ICチップ40と第三パターン33及び金属ピン50を介して第二パターン32に接続されている。
【0040】
第一パターン31の一方の短辺側(図1Bの右側)の一対の角部に当たる位置には、第二パターン32の一方の短辺側の一対の角部が位置しており、第一パターン31の他方の短辺側(図1Bの左側)の一対の角部に当たる位置には、第三パターン33及び第四パターン34の角部が位置している。なお、第四パターン34の角部に対応する第一パターンの角部は必ずしも同じ位置に当たらなくてもよく、搬送周波数やICチップによって第四パターン34と第一パターン31との間の静電容量を調整するように、第一パターン31は第四パターン34と対向する位置に切欠き部やスリット部を設けてもよいし、第四パターン34の面積を調整してもよい。
【0041】
第一基材シート20Aの一方の短辺側(図1Aの左側)には、第一基材シート20A及び第三パターン33及び第四パターン34を貫通する第一開口21A及び第二開口21Bが形成されている。第一開口21Aは、第四パターン34が形成された領域に設けられており、第二開口21Bは、第三パターン33が形成された領域に設けられている。第一開口21A及び第二開口21Bは、短辺方向に整列している。
【0042】
第二基材シート20Bの一方の短辺側(図1Bの左側)には、第二基材シート20B及び第一パターン31を貫通する第一開口22A及び第二開口22Bが形成されている。第二基材シート20Bの第一開口22A及び第二開口22Bは短辺方向に整列している。また、第二基材シート20Bの第一開口22A及び第二開口22Bは、第一基材シート20Aの第一開口21A及び第二開口21Bと厚さ方向にそれぞれ整列するような位置に形成されている。
【0043】
金属ピン50は、一本の折り曲げ可能な金属線からなり、屈曲部51と、第一接続部52と、連結部53と、第二接続部54と、第三接続部55と、を含む。金属線は、少なくとも表面がはんだと接合可能な金属、特にはんだのぬれがよい金属で覆われている。また、金属線としては、非磁性金属、特に比透磁率が1.02以下の材料が好ましい。このように比透磁率が低い材料を用いることでアンテナの電波感度に対する影響を抑えることができる。このような金属線の材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、真鍮、アルミ、チタン、高マンガン鋼、高ニッケル合金、オーステナイト系ステンレス鋼、錫などを使用することができる。なお、金属線としては、芯としてはんだとの接着性を有していない金属を採用し、表面にはんだとの接合性を有する金属で被覆したものを用いてもよい。金属ピン50の直径は、ICチップ40の厚さよりも大きい。
【0044】
屈曲部51は、第四パターン34の表面に沿うように誘電体10の短辺方向に延びている。屈曲部51は、第四パターン34の表面のはんだと結合している。
【0045】
第一接続部52は、屈曲部51に対して屈曲しており、厚さ方向(図1Dの上下方向)に延びている。第一接続部52は、第一基材シート20Aの第一開口21Aと、誘電体10の第一貫通孔10Cと、第二基材シート20Bの第一開口22Aとを貫通している。第一接続部52は、第一パターン31と第四パターン34とを電気的に接続している。第一接続部52の直径は、ICチップ40の厚さよりも大きく、第一接続部52の外面(図1Dにおける第一接続部52の上端であり、屈曲部51の上端面と連続している部分)は、ICチップ40の外面(図1Cの上面)よりも外方(上方)にまで突出している。
【0046】
連結部53は、第一接続部52に対して屈曲しており、短辺方向(図1Dの左右方向)に延びている。連結部53は、第一パターン31の表面のはんだと結合している。
【0047】
第二接続部54は、連結部53に対して屈曲しており、厚さ方向に延びている。第二接続部54は、第二基材シート20Bの第二開口22Bと、誘電体10の第二貫通孔10Dと、第一基材シート20Aの第二開口21Bとを貫通している。第二接続部54は、第一パターン31と第三パターン33とを電気的に接続している。第二接続部54の直径は、ICチップ40の厚さよりも大きく、第二接続部54の外面は、ICチップ40の外面よりも外方にまで突出している。なお、本実施形態では、第一接続部52及び第二接続部54の両方がICチップ40の外面よりも外方まで突出しているが、一方のみが突出する構成としてもよい。また、本実施形態では、第一接続部52及び第二接続部54の両方が誘電体10を貫通しているが、一方のみが貫通していてもよい。このような場合には、誘電体を貫通していない接続部についてはピンを用いて接続するなど、基材シートのパターンを折り曲げない構成で接続することが好ましい。
【0048】
第三接続部55は、第二接続部54に対して屈曲しており、長辺方向(図1Aの左右方向)に延びている。第三接続部55の第三パターン33側の端部は、第三パターン33の表面のはんだと結合しており、第三接続部55の他端部は、第二パターン32の表面のはんだと結合している。第三接続部55は、第二パターン32と第三パターン33とを電気的に結合しており、結線部として機能する。また、第三接続部55の第二パターン32及び第三パターン33以外の部分では、第一基材シート20Aとの間には空隙が形成されている。
なお、第三接続部55と第一パターン31の間の静電容量が増大するほど通信性能が低下する。更に、第三接続部55により第二パターン32と第三パターン33との間で抵抗成分が発生し、十分な電流が流れなければ通信性能が低下する。したがって、第三接続部55は、第三接続部55の短辺方向の幅が第二パターン32の短辺及び第三パターン33の長辺に対して十分に小さくなる、且つ、第二パターン32と第三パターン33との間で十分な電流が流れる程度の低抵抗成分を備えるような直径が望ましい。
【0049】
本実施形態によれば、誘電体10、第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、第四パターン34、第一接続部52、第二接続部54、及び第三接続部55によりアンテナが構成されている。また、第一パターン31は、第二パターン32、及び、第三パターン33のぞれぞれとコンデンサを構成している。また、第一パターン31、第三パターン33、第四パターン34、第一接続部52、第二接続部54、及び、ICチップ40によりループ状のインダクタが形成されている。
【0050】
ICチップ40は、第三パターン33の凸部33Aと第四パターン34の凸部34Aの間を接続するように設けられている。具体的には、第三パターン33の凸部33A及び第四パターン34の凸部34Aの少なくとも一部を覆うようにはんだ粒子及びはんだ付けを促進するフラックスを分散して含有する液状硬化性材料を塗布し、凸部33A及び凸部34Aの上面にICチップ40を配置する。これを加熱することにより、当該液状硬化性材料に含有されるはんだ粒子は溶融結合され、第三パターン33の凸部33A、及び、第四パターン34の凸部34Aを、それぞれICチップ40と電気的に接続するはんだ41が形成され、第三パターン33の凸部33Aと第四パターン34の凸部34Aの間にはアンダーフィル42が形成され、ICチップ40は固定されている。ICチップ40は、リーダから送信され、アンテナが受信した電波の一部から、電流を生成する。そして、ICチップ40は、生成した電流により、ICチップ40内の制御回路やメモリを動作させ、情報の書き込みや読み出しを行い、アンテナを通じてリーダに高周波を返信する。
【0051】
本実施形態では、第一接続部52と第二接続部54との間の短辺方向の距離や、第一接続部52及び第二接続部54を変更することによりアンテナのインピーダンスを調整することができる。そして、このアンテナのインピーダンスはICチップ40のインピーダンスと整合するように調整されている。
【0052】
また、本実施形態によれば、インダクタンス及びコンデンサにより共振回路が構成される。第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、及び、第四パターン34の寸法や、第一接続部52、第二接続部54、及び第三接続部55の長さ及び幅を変更することにより、インダクタのインダクタンス及びコンデンサの静電容量を調整することができる。本実施形態では、共振回路の共振周波数がリーダとの通信の際の搬送周波数になるように調整されている。
【0053】
ICチップ40には、内部にコンデンサを含むものがあり、また、ICチップ40は浮遊容量を有する。このため、共振回路の共振周波数を設定する際、ICチップ40内部の等価容量を考慮することが好ましい。換言すれば、共振回路は、インダクタパターンLのインダクタンス、コンデンサの静電容量、及びICチップ40内部の等価容量を考慮して設定された共振周波数を有することが好ましい。
【0054】
このような構成の無線通信デバイス1によれば、リーダからの高周波をアンテナにおいて受信し、ICチップ40を起動させ、アンテナを通じてリーダに高周波の応答波を送信することができる。
【0055】
また、第1実施形態の無線通信デバイス1は、外装材で包んで使用してもよい。図2は、外装材で包んだ状態の第1実施形態の無線通信デバイスを示す断面図である。図2に示すように、無線通信デバイス1の全体を包囲するように、外装材70が設けられている。外装材70としては、プラスチックケースや、モールド加工またはラミネート加工が可能な熱可塑性樹脂などの通信性能を阻害しない絶縁性材料を用いることができる。これにより、無線通信デバイス1を保護することができる。なお、この際、金属ピン50の直径がICチップ40の厚さよりも大きく、屈曲部51の外表面や、第三接続部55の外表面が、ICチップ40の外表面よりも外方に位置する(すなわち、図2において上方に位置する)ため、外装工程で外装材70によりICチップ40が押圧されるのを抑えることができる。
【0056】
また、第1実施形態の無線通信デバイス1は、ラミネートで構成された外装材71で包囲した上で、電気伝導体80に沿うように設けてもよい。図3は、ラミネートで構成された外装材で包囲し、電気伝導体に沿うように設けられた状態の第1実施形態の無線通信デバイスを示す断面図である。図3に示すように、無線通信デバイス1は、外装材71により全体を包囲された上、外装材71が接着層72により電気伝導体80に取付けされ無線通信組立体を構成している。接着層72を構成する接着剤は、硬化する液状接着剤や柔軟性のある粘着テープが使用されることで、連結部53により外装材71の外面に凹凸がある場合でも安定して電気伝導体80に取付けることが可能である。このような構成によれば、第一パターン31が電気伝導体80と容量結合し、無線通信組立体は、誘電体10、第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、第四パターン34、第一接続部52、第二接続部54、第三接続部55、及び電気伝導体80によりアンテナを構成する。なお、このような無線通信デバイス1と電気伝導体80の組み合わせを無線通信組立体という。
【0057】
図4は、ケースで構成された外装材で包囲し、電気伝導体に沿うように設けられた状態の第1実施形態の無線通信デバイスを示す断面図である。図4に示すように、図2に示した構成と同様に、無線通信デバイス1は外装材70により全体が包囲された上で、外装材70が接着層72により電気伝導体80に取りけられて、無線通信組立体を構成している。このような構成によれば、第一パターン31が電気伝導体80と容量結合する。
【0058】
外装材70と電気伝導体80の固定方法は、接着剤による接着層72を形成する方法や、無線通信デバイス1と電気伝導体80の対向部分以外の外装材70に電気伝導体80との固定機構を設ける方法が挙げられる。
【0059】
以下、第1実施形態による無線通信デバイス1の製造方法について説明する。図5は、第1実施形態による無線通信デバイスの製造方法を示す概略図であり、図6は、第1実施形態による無線通信デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
無線通信デバイス1を製造する際には、まず、図5(A)に示すように、紙又はガラスクロスなどからなる基材60にはんだ付け可能な樹脂(下地層)62をスクリーン印刷する(S100)。樹脂(下地層)62のスクリーン印刷は、第一基材シート20Aに相当する領域の第二パターン32、第三パターン33、及び、第四パターン34に相当する箇所と、第二基材シート20Bに相当する領域の第一パターン31に相当する箇所に行う。
【0060】
次に、図5(B)第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、及び第四パターン34に相当する箇所にスクリーン印刷された樹脂62上にはんだコートを行い、プリント回路62上にはんだの薄膜64を形成する(S102)。これにより、第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、及び、第四パターン34が形成されている。
【0061】
次に、図5(C)に示すように、はんだコートの第三パターン33の凸部33Aと、第四パターン34の凸部34Aの間にICチップ40を実装する(S104)。
【0062】
次に、図5(D)に示すように、第一基材シート20Aに第一開口21A及び第二開口21Bを形成し、また、第二基材シート20Bに第一開口22A及び第二開口22Bを形成する。そして、基材60から第一基材シート20A及び第二基材シート20Bを切断すする(S106)。
【0063】
次に、図5(E)に示すように、誘電体10の第一面10A及び第二面10Bに沿うように、第一基材シート20A及び第二基材シート20Bを取り付ける(S108)。第一基材シート20A及び第二基材シート20Bは、例えば、接着剤などを用いて誘電体10に取付ければよい。この際、誘電体10に形成された第一貫通孔10C及び第二貫通孔10Dに、第一開口21A及び第二開口21Bが連通するように、第一基材シート20Aを取り付け、第一貫通孔10C及び第二貫通孔10Dに、第一開口22A及び第二開口22Bが連通するように、第二基材シート20Bを取り付ける。
【0064】
次に、図5(F)に示すように、第二基材シート20B側から金属ピン50を挿入する(S110)。金属ピン50は、予め連結部53の両端に当たる位置を直角に折り曲げており、一方の端部を第二基材シート20Bの第一開口22A、誘電体10の第一貫通孔10C、及び第一基材シート20Aの第一開口21Aを挿通させ、また、他方の端部を第二基材シート20Bの第二開口22B、誘電体10の第二貫通孔10D、及び第一基材シート20Aの第二開口21Bを挿通させる。
【0065】
次に、図5(G)に示すように、金属ピン50の端部を折り曲げる(S112)。すなわち、金属ピン50の第一基材シート20Aの第一開口21Aから突出した端部を、第四パターン34に沿い、短辺方向に延びるように折り曲げる。また、金属ピン50の第一基材シート20Aの第二開口21Bから突出した端部を、長辺に沿って延び、第二パターン32まで先端が到達するように折り曲げる。
【0066】
次に、金属ピン50とこれら第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、及び第四パターン34のはんだ膜とを超音波接合により一体化させる(S114)。超音波接合は、はんだ膜に超音波を印加することにより固層接合する方法である。ただし、金属ピン50とはんだ膜との接合方法はこれに限らず、はんだごてやヒータ、誘導加熱などにより加熱する方法を用いてもよいが、無線通信デバイス1にダメージを加えない程度の加熱がよい。これにより、図1A図1Eを参照して説明した無線通信デバイス1を形成することができる。
【0067】
次に、図2図4に示すように、外装材70により無線通信デバイス1を包囲した状態で使用する場合には、図5(H)に示すように、無線通信デバイス1の外面にラミネートを行う(S116)。
【0068】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、第一接続部52及び第二接続部54が誘電体10を貫通してパターン同士を接続しているため、電極パターンが折り曲げられることがなくなり、パターンの損傷の可能性を抑え、製造ロスを少なくすることができる。また、第三パターン33及び第四パターン34を省略して第一接続部及び第二接続部を直接ICチップに接続する構成とすると、第一接続部及び第二接続部に電流が集中して発熱が生じる。これに対して、本実施形態によれば、第一接続部52及び第二接続部54を第三パターン33及び第四パターン34を介してICチップ40に接続することにより、電流の集中を緩和し、発熱を抑制できる。
【0069】
本実施形態によれば、第一接続部52及び第二接続部54の両方が誘電体10を貫通してパターン同士を接続しているため、電極パターンが折り曲げられることがなくなり、パターンの損傷の可能性を抑え、製造ロスを少なくすることができる。
【0070】
本実施形態によれば、第一パターン31、第三パターン33、第四パターン34、第一接続部52、第二接続部54、及び、ICチップ40によりインダクタが形成されている。また、第二パターン32、及び、第三パターン33は、それぞれ、前記第一パターン31とコンデンサを構成する。また、誘電体10、第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、第四パターン34、第一接続部52、第二接続部54、及び第三接続部55によりアンテナが構成されている。このようにインダクタを形成することにより、ICチップ40とのインピーダンスの整合が容易になる。また、第一パターン31、第三パターン33、第四パターン34、第一接続部52、及び、第二接続部54の寸法を調整することにより、インダクタンスの調整が可能になり、アンテナの共振周波数を調整できる。
【0071】
また、本実施形態では、第一接続部52と第二接続部54との間の短辺方向の距離が、アンテナのインピーダンスがICチップ40のインピーダンスと整合するように調整されている。これにより、これにより無線通信デバイスの通信性能が向上する。
【0072】
また、本実施形態では、第二パターン32と第四パターン34との間の長辺方向の距離と、第三接続部55の誘電体10の短辺方向の幅とを調整することにより、アンテナの共振周波数を調整することができ、この共振周波数を搬送周波数とすることにより、通信性能が向上することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、第四パターン34と第一パターン31との間の静電容量を調整することにより、無線通信デバイスの通信性能を向上することができる。
【0074】
また、本実施形態では、第一接続部52及び第二接続部54が、第一面に設けられたICチップ40の外面よりも外方に突出している。これにより、無線通信デバイス1が他の部材に当接したとしても、第一接続部52及び第二接続部54が他の部材により押圧され、ICチップ40に作用する力を抑えることができる。これにより、ICチップ40の破損を防止できる。
【0075】
また、本実施形態では、第一接続部52及び第二接続部54が、折り曲げ可能な金属線により構成されている。このため、誘電体10の内部にスルーホールを形成する必要がなく、製造が容易になる。
【0076】
また、本実施形態では、金属ピン50の第一接続部52及び第二接続部54に連続する部分は、第一面10A及び第二面10Bに沿うように屈曲されている。これにより、金属ピン50を誘電体10に対して固定することができる。
【0077】
また、本実施形態、第一接続部52及び第二接続部54は一本の金属ピン50で構成されており、金属ピン50は連結部53が第二面10Bに沿うように第一接続部52と第二接続部54との間を伸びている。これにより、第一パターン31に対する第一接続部52及び第二接続部54の接触面積を増加させることができ、安定したインダクタを形成することができる。さらに、金属ピン50を第二面10Bに沿うように配置されることにより、金属ピン50を誘電体10に固定することができる。
【0078】
また、本実施形態では、金属ピン50の厚みは、ICチップ40の厚さよりも大きい。これにより、金属ピン50の外面がICチップ40の外面よりも外方に位置するため、ICチップ40に他の部材が接触して押圧されるのを防止できる。
【0079】
また、本実施形態では、第三接続部55は、第二パターン32及び第三パターン33の厚さよりも厚みのある金属ピン50により構成されている。これにより、第三接続部を電極パターンで形成するよりも、第二パターン32と第三パターン33の間で電流が流れやすくなり、通信性能が向上する。
【0080】
また、本実施形態では、第三接続部55は、第二パターン32及び第三パターン33と接触する部分以外の部分は、第二パターン32及び第三パターン33が形成された第一基材シート20Aとの間に空隙が形成されるように離間している。これにより、第三接続部55と第一パターン31とによりコンデンサが形成されず、かつ第二パターン32と第三パターン33の間で電流が流れやすくなり、通信性能が向上する。
【0081】
また、本実施形態では、第二接続部54及び第三接続部55は、一本の金属ピン50で構成されており、第二接続部54及び第三接続部55の間で金属ピン50が屈曲している。これにより、インダクタの一部を形成する金属ピン50を用いて第二パターン32と第三パターン33とを接続することになり、インダクタと第二パターン32の間で電流が流れやすくなる。
【0082】
また、本実施形態では、第一接続部52及び第二接続部54は金属ピン50で構成されており、金属ピン50は表面にはんだと接合可能な金属で覆われている。これにより、第一接続部52及び第二接続部54を構成する金属ピン50を電極パターンと容易に接続することができる。
【0083】
また、本実施形態では、第三接続部55は金属ピン50で構成されており、金属ピン50の表面は、はんだと接合可能な金属で覆われている。これにより、第三接続部55を構成する金属ピン50を、第二パターン32及び第三パターン33と容易に接続することができる。
【0084】
また、本実施形態では、第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、及び、第四パターン34ははんだ箔を含む。これにより、第一接続部52、第二接続部54及び第三接続部55を容易に各パターンに接続することができる。
【0085】
また、本実施形態では、第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、及び、第四パターン34は、第一基材シート20A及び第二基材シート20B上に形成されており、第一基材シート20A及び第二基材シート20Bは、紙又はガラスクロスである。これにより、各パターンをはんだ箔により構成する際の熱に対する十分な耐性を基材が有する。
【0086】
また、本実施形態では、誘電体10は、比誘電率が3.0以下であり、かつ、厚さが5mm以下である。このように、誘電体10の比誘電率が低いことにより、通信性能を向上することができる。
【0087】
また、本実施形態では、第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、及び、第四パターン34は、第一基材シート20A及び第二基材シート20B上に形成されており、第一基材シート20A及び第二基材シート20Bの裏面が誘電体10に密着されている。これにより、電気伝導体80に沿うように無線通信デバイス1を設ける際のパターンと電気伝導体80との距離を小さくすることができ、アンテナとして機能する電気伝導体80の感度を向上することができる。
【0088】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態による無線通信デバイスについて説明する。図7A及び図7Bは、本発明の第2実施形態による無線通信デバイスを示し、図7Aは表面図、図7Bは裏面図である。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0089】
第2実施形態における誘電体10、第一基材シート20A、第二基材シート20B、及び、ICチップ40の構成は第1実施形態と同様である。第2実施形態では、金属ピン150の構成と、プリントパターン130の構成が第1実施形態と異なっている。
【0090】
本実施形態では、第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、及び、第四パターン34の形状は第1実施形態と同じである。第二パターン32と第三パターン33とが第五パターン135により接続されている。第五パターン135は、第二パターン32及び第三パターン33の対向する縁の間を結ぶ所定の幅で長辺方向に延びるプリントパターンにより構成されている。第五パターン135もはんだ付け可能な樹脂上にはんだがコーティングされることにより形成されている。この第五パターン135が、第二パターン32と第三パターン33とを接続する第三接続部として機能する。
【0091】
また、本実施形態では、これにともない、金属ピン150は第一実施形態における第三接続部55を備えていない。金属ピン150の先端部は、第二接続部54の第一基材シート20A側において屈曲されて、短辺に沿って延びる第二屈曲部155として構成されている。なお、金属ピン150は、断面が長方形である平角線を用いてもよい。
【0092】
このような構成の無線通信デバイス101によっても、第1実施形態と同様にリーダから送信された高周波を受信し、ICチップ40を駆動して、応答波を送信することができる。
【0093】
本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0094】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態による無線通信デバイスについて説明する。図8A図8Cは、本発明の第3実施形態による無線通信デバイスを示し、図8Aは表面図、図8Bは裏面図、図8C図8AにおけるC-C断面図である。なお、以下の説明では、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0095】
第3実施形態における誘電体10、第一基材シート20A、第二基材シート20B、第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、第四パターン34、第五パターン135、及び、ICチップ40の構成は第2実施形態と同様である。本実施形態では、金属ピン150を設けずに、埋め込み電極250、252により第一パターン31と、第三パターン33及び第四パターン34とがそれぞれ接続されている。
【0096】
第一埋め込み電極250は、導電性の金属の柱体からなる。第一埋め込み電極250は、第一基材シート20Aの第一開口21Aと、誘電体10の第一貫通孔10Cと、第二基材シート20Bの第一開口22Aとを貫通するように設けられている。第一埋め込み電極250の端面は、それぞれ第四パターン34及び第一パターン31の表面と面一になっている。第一埋め込み電極250は、第一パターン31と第四パターン34とを電気的に接続する第一接続部として機能する。
【0097】
第二埋め込み電極252は、導電性の金属の柱体からなる。第二埋め込み電極252は、第一基材シート20Aの第二開口21Bと、誘電体10の第二貫通孔10Dと、第二基材シート20Bの第二開口22Bとを貫通するように設けられている。第二埋め込み電極252の端面は、それぞれ第三パターン33及び第一パターン31の表面と面一になっている。第二埋め込み電極252は、第一パターン31と第三パターン33とを電気的に接続する第二接続部として機能する。
【0098】
このような構成の無線通信デバイス201によっても、第1実施形態と同様にリーダから送信された高周波を受信し、ICチップ40を駆動して、応答波を送信することができる。
【0099】
本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0100】
なお、第3実施形態では、埋め込み電極により第一パターン31と、第三パターン33及び第四パターン34とを電気的に接続したが、これに限らず、スルーホールにより接続してもよい。
また、第一埋め込み電極250及び第二埋め込み電極252における第一基材シート20A側の端部は、第一面に設けられたICチップ40の外面よりも外方に突出してもよい。
【0101】
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態による無線通信デバイスについて説明する。図9A図9Cは、本発明の第4実施形態による無線通信デバイスを示し、図9Aは表面図、図9Bは裏面図、図9C図9AにおけるC-C断面図である。なお、以下の説明では、第1実施形態~第3実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0102】
第4実施形態における誘電体10、第一基材シート20A、第二基材シート20B、第一パターン31、第二パターン32、第三パターン33、第四パターン34、及び、ICチップ40の構成は第1実施形態と同様である。第4実施形態では、2本の金属ピン350、360を用いている点で第1実施形態と異なっている。第一金属ピン360及び第二金属ピン350は第1実施形態の金属ピン50と同様の直径及び素材の金属線により構成される。
【0103】
第一金属ピン360は、第一パターン31と第四パターン34とを接続する第一接続部362と、第一基材シート20Aに沿って延びる第一屈曲部361と、第二基材シート20Bに沿って延びる第二屈曲部363とを備える。第一金属ピン360の第一接続部362は、第一基材シート20Aの第一開口21Aと、誘電体10の第一貫通孔10Cと、第二基材シート20Bの第一開口22Aとを貫通するように設けられている。第一屈曲部361は、第一基材シート20Aに沿って短辺方向に延びており、第四パターン34と一体化している。第二屈曲部363は、第二基材シート20Bに沿って短辺方向に延びており、第一パターン31と一体化している。第一接続部362は、第一パターン31と第四パターン34とを電気的に接続している。
【0104】
第二金属ピン350は、第一パターン31と第三パターン33とを接続する第二接続部354と、第二パターン32と第三パターン33とを接続する第三接続部355と、屈曲部353とを備える。第二金属ピン350の第二接続部354は、第一基材シート20Aの第二開口21Bと、誘電体10の第二貫通孔10Dと、第二基材シート20Bの第二開口22Bとを貫通するように設けられている。第二接続部354は、第一パターン31と第三パターン33とを電気的に接続している。
【0105】
第三接続部355は、第二接続部354に対して屈曲されて長辺方向に延びている。第三接続部355の基端部は第三パターン33と一体化しており、先端部は第二パターン32と一体化しており、第三接続部355により第三パターン33と第二パターン32とが電気的に接続されている。屈曲部353は、第二接続部354に対して屈曲されて長辺方向に延びている。屈曲部353は第一パターン31と一体化している。
【0106】
このような構成の無線通信デバイス301によっても、第1実施形態と同様にリーダから送信された高周波を受信し、ICチップ40を駆動して、応答波を送信することができる。
【0107】
本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0108】
<第5実施形態>
以下、本発明の第5実施形態による無線通信デバイスについて説明する。図10A図10Cは、本発明の第5実施形態による無線通信デバイスを示し、図10Aは表面図、図10Bは裏面図、図10C図10AにおけるC-C断面図である。なお、以下の説明では、第1実施形態~第4実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0109】
第5実施形態における誘電体10、第一基材シート20A、第二基材シート20B、及び、ICチップ40の構成は第1実施形態と同様である。第5実施形態では、金属ピン450の構成と、プリントパターン430の構成が第1実施形態と異なっている。
【0110】
本実施形態では、第一パターン31、第二パターン32、及び、第四パターン34の形状は第1実施形態と同じである。第三パターン433は、誘電体10の長辺方向の幅は第四パターン34の幅と同じであり、誘電体10の短辺方向の幅が小さい。また、本実施形態のプリントパターン430は、第二パターン32の短辺側の端部から誘電体10の長辺方向に延びる第五パターン435をさらに含む。第五パターン435もはんだ付け可能な樹脂上にはんだがコーティングされることにより形成されている。第五パターン435は、第三パターン433よりも誘電体10の長辺側に位置しており、第二パターン32から延びている。
【0111】
金属ピン450は、屈曲部51と、第一接続部452と、連結部53と、貫通部454と、第二屈曲部455と、を備える。なお、第5実施形態の金属ピン450の直径及び素材は第1実施形態の金属ピン50と同様にすればよい。
【0112】
屈曲部51は、第四パターン34の表面に沿うように誘電体10の短辺方向に延びている。屈曲部51は、第四パターン34の表面のはんだと結合している。
【0113】
第一接続部452は、屈曲部51に対して屈曲しており、厚さ方向に延びている。第一接続部452は、第一基材シート20Aの第一開口21Aと、誘電体10の第一貫通孔10Cと、第二基材シート20Bの第一開口22Aとを貫通している。第一接続部452は、第一パターン31と第四パターン34とを電気的に接続している。
【0114】
連結部53は、第一接続部452に対して屈曲しており、短辺方向に延びている。連結部53は、第一パターン31の表面のはんだと結合している。
【0115】
貫通部454は、連結部53に対して屈曲しており、厚さ方向に延びている。貫通部454は、第二基材シート20Bの第二開口22Bと、誘電体10の第二貫通孔10Dと、第一基材シート20Aの第二開口21Bとを貫通している。
【0116】
第二屈曲部455は、貫通部454に対して屈曲しており、第一基材シート20Aに沿うように短辺方向に延びている。第二屈曲部455の先端部は、第三パターン433の表面のはんだと結合しており、また、第二屈曲部455の中間部は、第五パターン435の表面のはんだと結合している。このように、貫通部454及び第二屈曲部455は、第一パターン31と、第三パターン433とを電気的に接続する第二接続部として機能する。また、貫通部454の先端部及び第五パターン435は、第二パターン32と第三パターン433とを電気的に接続する第三接続部として機能する。
【0117】
このような構成の無線通信デバイス401によっても、第1実施形態と同様にリーダから送信された高周波を受信し、ICチップ40を駆動して、応答波を送信することができる。
【0118】
本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0119】
<第6実施形態>
以下、本発明の第6実施形態による無線通信デバイスについて説明する。第1~5実施形態では、第一基材シート20A及び第二基材シート20Bの外面(誘電体10の反対側の面)にパターンが形成されている場合について説明したが、パターンは第一基材シート20A及び第二基材シート20Bの内面(誘電体10側の面)に形成してもよい。
【0120】
図11は、第6実施形態による無線通信デバイスを示す図1Dに対応する断面図である。図11に示すように、第6実施形態の無線通信デバイス501では、第一パターン31は、第二基材シート20Bの誘電体10側の面に形成されており、第二パターン32、第三パターン33、及び、第四パターン34は第一基材シート20Aの誘電体10側の面に形成され、ICチップ40も第一基材シート20Aの誘電体10側の面に配置されている。
【0121】
また、第一接続部52及び第二接続部54は、第一基材シート20A及び第二基材シート20Bを貫通していない。そして、屈曲部51及び第三接続部55は、誘電体10の第一基材シート20A側の面に沿うように配置されており、連結部53は、誘電体10の第二基材シート20B側の面に沿うように配置されている。第1実施形態と同様に、屈曲部51は、第四パターン34と一体になっており、連結部53は第一パターン31と一体になっている。また、第三接続部55は第三パターン33及び第二パターン32と一体になっている。なお、各パターンと金属ピンとの接合は、超音波接合などにより行うことができる。
【0122】
このような構成の無線通信デバイス501によっても、第1実施形態と同様にリーダから送信された高周波を受信し、ICチップ40を駆動して、応答波を送信することができる。
【0123】
本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0124】
<第7実施形態>
以下、本発明の第7実施形態による無線通信デバイスについて説明する。図12A及び図12Bは、本発明の第7実施形態による無線通信デバイスを示し、図12Aは表面図、図12Bは裏面図である。なお、以下の説明では、第1実施形態~第6実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0125】
図12A及び図12Bに示すように、第7実施形態における無線通信デバイス601は、第一パターン631の形状のみが第1実施形態と異なっている。具体的には、第一パターン631は、長方形状から第四パターン34に相当する領域が切り欠かれた形状となっている。
第一パターン631は、第三パターン33側では長辺に沿って第二パターン32及び第三パターン33の全域に相当する領域にわたって延びており、第四パターン34側では第二パターン32の全域に相当する領域にわたって延びている。これにより、第四パターン34に相当する部分の裏面側には切り欠き631Aが形成され、第一パターン631が存在していない。
このように、本実施形態によれば第一パターン631は、第二パターン32及び第三パターン33とそれぞれコンデンサを形成するが、第四パターン34とはコンデンサを形成しなくなる。アンテナの共振周波数(搬送周波数)や、ICチップのインピーダンス、各パターンの形状により、第一実施形態のように第一パターン31と第四パターン34とがコンデンサを形成する場合よりも、第一パターン631と第四パターン34とがコンデンサを形成しない場合のほうが、通信性能が向上することがありうる。
【0126】
<第8実施形態> 以下、本発明の第8実施形態による無線通信デバイスについて説明する。図13A及び図13Bは、本発明の第8実施形態による無線通信デバイスを示し、図13Aは表面図、図13Bは裏面図である。なお、以下の説明では、第1実施形態~第7実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
第1実施形態では、第三パターン33と第四パターン34とが誘電体10の短辺方向に並び、第二パターン32と、第三パターン33及び第四パターン34とが誘電体10の長辺方向に並ぶように構成されている。これに対して、本実施形態の無線通信デバイス701では、図13A及び図13Bに示すように、第三パターン733と第四パターン734とが誘電体10の長辺方向に並び、第二パターン732と、第三パターン733及び第四パターン734とが誘電体10の短辺方向に並ぶように構成されている。
図13Aに示すように、第二パターン732は誘電体10の第一面10Aの一方の長辺に沿うように配置されており、第三パターン733及び第四パターン734は第一面10Aの他方の長辺に沿うように並んで配置されている。これにともない、金属ピン750の第一接続部52及び第二接続部54は長辺方向に離間して配置されており、連結部753は長辺方向に延びるように配置されている。また、屈曲部751は長手方向に延び、第三接続部755は短辺方向に延びている。
このような構成によっても、第1実施形態と同様の効果が奏される。
なお、第2~第7実施形態においても、第三パターン33と第四パターン34とが誘電体10の短辺方向に並び、第二パターン32と、第三パターン33及び第四パターン34とが誘電体10の長辺方向に並ぶように構成されているが、本実施形態と同様に、第三パターンと第四パターンとが誘電体の長辺方向に並び、第二パターンと、第三パターン及び第四パターンとが誘電体の短辺方向に並ぶように構成してもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 :無線通信デバイス
10 :誘電体
10A :第一面
10B :第二面
10C :第一貫通孔
10D :第二貫通孔
20A :第一基材シート
20B :第二基材シート
21A :第一開口
21B :第二開口
22A :第一開口
22B :第二開口
30 :プリントパターン
31 :第一パターン
32 :第二パターン
33 :第三パターン
33A :凸部
34 :第四パターン
34A :凸部
40 :ICチップ
41 :はんだ
42 :アンダーフィル
50 :金属ピン
51 :屈曲部
52 :第一接続部
53 :連結部
54 :第二接続部
55 :第三接続部
60 :基材
62 :プリント回路
64 :薄膜
70 :外装材
71 :外装材
72 :接着層
80 :電気伝導体
101 :無線通信デバイス
130 :プリントパターン
135 :第五パターン
150 :金属ピン
155 :第二屈曲部
201 :無線通信デバイス
250 :第一埋め込み電極
252 :第二埋め込み電極
301 :無線通信デバイス
350 :第一金属ピン
353 :屈曲部
354 :第二接続部
355 :第三接続部
360 :第二金属ピン
361 :第一屈曲部
362 :第一接続部
363 :第二屈曲部
401 :無線通信デバイス
430 :プリントパターン
433 :第三パターン
435 :第五パターン
450 :金属ピン
452 :第一接続部
454 :貫通部
455 :第二屈曲部
501 :無線通信デバイス
601 :無線通信デバイス
631 :第一パターン
631A:切り欠き
701 :無線通信デバイス
732 :第二パターン
733 :第三パターン
734 :第四パターン
750 :金属ピン
751 :屈曲部
753 :連結部
755 :第三接続部
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13A
図13B