(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118371
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】車両映像収集システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20220805BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220805BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G01C21/26 A
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014827
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】小阪 翔
【テーマコード(参考)】
2F129
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB23
2F129BB33
2F129BB66
2F129CC03
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2F129FF02
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2F129GG17
2F129HH02
2F129HH12
3E138AA07
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3E138MB08
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3E138MF08
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB12
5H181BB15
5H181CC04
5H181FF04
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5H181FF22
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5H181FF32
5H181MC03
5H181MC04
5H181MC13
5H181MC14
5H181MC17
5H181MC19
5H181MC22
(57)【要約】
【課題】管理者にとって有用な映像を厳選して車両から収集することを可能にした車両映像収集システムを提供する。
【解決手段】道路上を走行するとともに車外の映像を撮像するカメラ4を備えた複数の車両5から、各車両5において保管されている映像を撮像した際の走行軌跡を特定する走行軌跡情報を収集する一方で、複数の車両5から収集した走行軌跡情報に基づいて、車両5毎の走行軌跡をディスプレイ16に表示し、ディスプレイ16に走行軌跡が表示された車両5から送信された映像を収集するように構成する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上を走行するとともに車外の映像を撮像する撮像手段を備えた複数の車両から、各車両において保管されている映像を撮像した際の走行軌跡を特定する走行軌跡情報を収集する走行軌跡収集手段と、
前記複数の車両から収集した走行軌跡情報に基づいて、車両毎の前記走行軌跡を表示装置に表示する走行軌跡表示手段と、
前記表示装置に走行軌跡が表示された車両から送信された映像を収集する映像収集手段と、を有する車両映像収集システム。
【請求項2】
前記表示装置を視認した操作者の操作に基づいて、前記複数の車両の内、映像の収集対象とする車両を選択する車両選択手段と、
前記車両選択手段により選択された車両を対象として、前記撮像手段により過去に撮像されて車両で保管されている映像を要求する映像要求手段と、
前記映像収集手段は、前記映像要求手段の要求に応じて前記車両から送信された映像を収集する請求項1に記載の車両映像収集システム。
【請求項3】
車両で撮像された映像の収集対象とする時刻及び位置を登録する登録手段を有し、
前記走行軌跡表示手段は、前記複数の車両の内、前記登録手段で登録された時刻に登録された位置の周辺に位置する走行軌跡を有する車両を対象として、該車両の前記走行軌跡を表示装置に表示する請求項1又は請求項2に記載の車両映像収集システム。
【請求項4】
前記走行軌跡表示手段は、
前記車両の走行軌跡の内、前記登録された時刻に対応する区間の走行軌跡を抽出し、
前記抽出された走行軌跡を表示装置に表示する請求項3に記載の車両映像収集システム。
【請求項5】
前記走行軌跡表示手段は、前記登録手段で登録された時刻に登録された位置の周辺に位置する走行軌跡を有する車両の数が閾値以上の場合に、前記登録手段で登録された時刻及び位置と関連の高い走行軌跡を有する車両の走行軌跡を優先して表示装置に表示する請求項3又は請求項4に記載の車両映像収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において撮像された映像を収集する車両映像収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路やその周辺において例えば事故、落下物、故障車等の何らかのイベントが発生した場合に、そのイベントの発生した位置の道路状況を管理者(例えば事故であれば警察、落下物であれば道路管理業者、故障車であればロードサービス業者)が確認、分析することは重要である。また、イベントが発生していなくとも管理者側において任意の位置及び時刻の道路状況を確認する必要が生じる場合もある。
【0003】
近年ではドライブレコーダ等の周囲の映像を撮像する手段を備えた車両が増えており、そこでそれらの車両で撮像された映像を用いて上記の道路状況の確認、分析を行うことが提案されている。例えば特開2012-98105号公報には、情報センタにおいて事故の発生が検出された場合に、事故が発生した発生時刻に事故の発生した場所の周囲に位置する車両に対して事故の情報を通知し、情報を受信した車両は事故の発生時刻とその前後において車両の周囲を撮像した映像を抽出して情報センタへと送信し、情報センタでは車両から収集した映像に基づいて事故の分析を行う技術について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-98105号公報(第8-10頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では情報センタが事故の発生時刻において事故が発生した場所の周囲に位置する全ての車両から、事故の発生時刻とその前後において車両の周囲を撮像した映像を収集している。しかしながら、事故の発生時刻に事故が発生した場所の周囲に位置する車両が、必ずしも事故が発生した場所の近く(例えば事故が視認可能な道路)を通過しているとは限らない。従って、事故と全く関係のない映像が多数収集されることとなっていた。その結果、情報センタの収集する映像の量が膨大となって映像の分析に時間がかかり、通信の負担も大きくなる問題があった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、道路上を走行する各車両において過去に撮像され保管されている映像を撮像した際の走行軌跡を表示することによって、管理者にとって有用な映像を厳選して車両から収集することを可能にした車両映像収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る車両映像収集システムは、道路上を走行するとともに車外の映像を撮像する撮像手段を備えた複数の車両から、各車両において保管されている映像を撮像した際の走行軌跡を特定する走行軌跡情報を収集する走行軌跡収集手段と、前記複数の車両から収集した走行軌跡情報に基づいて、車両毎の前記走行軌跡を表示装置に表示する走行軌跡表示手段と、前記表示装置に走行軌跡が表示された車両から送信された映像を収集する映像収集手段と、を有する。
尚、「走行軌跡表示手段」は走行軌跡情報を収集した全ての車両の走行軌跡を表示装置に表示しても良いし、一部の車両の走行軌跡のみを表示装置に表示しても良い。
また、「映像収集手段」は、表示装置に走行軌跡の表示された全ての車両から映像を収集しても良いし、一部の車両のみから映像を収集しても良い。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る車両映像収集システムによれば、道路上を走行する各車両において過去に撮像され保管されている映像を撮像した際の走行軌跡を表示することによって、管理者にとって有用な映像を厳選して車両から収集することが可能となる。その結果、例えばイベントが発生する等によって管理者側で任意の位置の道路状況の確認の必要が生じた場合に、該当する位置における道路状況の確認や分析が可能となる一方で、映像分析に係る処理負担を減らし通信量についても削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る車両映像収集システムを示した概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る車両映像収集システムの構成を示したブロック図である。
【
図3】プローブ情報DBに記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
【
図4】プローブ情報DBに記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
【
図5】映像情報DBに記憶される映像情報の一例を示した図である。
【
図6】イベント登録情報DBに記憶されるイベント登録情報の一例を示した図である。
【
図7】本実施形態に係るナビゲーション装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図8】カメラによって撮像された映像情報の格納態様を示した図である。
【
図9】本実施形態に係るプローブ情報収集処理プログラムのフローチャートである。
【
図10】本実施形態に係る映像収集処理プログラムのフローチャートである。
【
図11】イベントを登録する際の操作方法について説明した図である。
【
図12】車両毎の走行軌跡を表示した表示画面を示した図である。
【
図13】車両から収集した映像情報の利用方法を説明した図である。
【
図14】送信対象とする映像情報の選択例を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る車両映像収集システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る車両映像収集システム1の概略構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る車両映像収集システム1を示した概略構成図である。
図2は本実施形態に係る車両映像収集システム1の構成を示したブロック図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る車両映像収集システム1は、情報管理センタ2が備えるサーバ装置(車両映像収集装置)3と、道路上を走行するとともに周囲を撮像する撮像手段としてのカメラ4を備えた車両5と、を基本的に有する。また、サーバ装置3と車両5は通信ネットワーク網6を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、本実施形態では基本的に車両映像収集システム1に含まれる車両5は複数台あることを前提とするが、1台のみであっても実施は可能である。また、車両5は特定の車両(例えば公用車、タクシー)のみに限定しても良いし、広く一般車両まで含めても良い。
【0012】
ここで、本実施形態に係る車両映像収集システム1は所謂プローブカーシステムを構成する。ここで、プローブカーシステムとは、車両5をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、車両5が速度データをはじめ、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況をGPSの位置情報とともに予め車両5に搭載された通信装置を介して情報管理センタ2に送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
【0013】
そして、情報管理センタ2が備えるサーバ装置3は、全国を走行する各車両5から現在時刻や現在位置等を含むプローブ情報(材料情報)を適宜収集して蓄積するとともに、蓄積されたプローブ情報から各種支援情報(例えば事故情報、渋滞情報、旅行時間等)を生成し、生成された支援情報をナビゲーション装置7に対して配信したり、支援情報を用いた各種処理を行う情報管理サーバである。更に本実施形態ではサーバ装置3は、事故等の特定のイベントが発生した場合において、車両5に現時点で保管される映像を撮像した際の車両5の走行軌跡、即ち車両5によって撮像された映像の存在する道路区間をディスプレイ等に表示する。更に、走行軌跡の表示された車両5から車両5で保管されている映像情報を収集することも行う。そして、収集した映像情報に基づきイベントが発生した道路の道路状況の確認や分析を行う。
【0014】
本実施形態では上記のようにサーバ装置3が車両から収集した映像情報を用いて特にイベントが発生した道路の道路状況の確認や分析を行うことを目的とすることから、情報管理センタ2としては例えば警察、道路管理業者、ロードサービス業者等が該当する。或いは、情報管理センタ2はそれらと異なる機関であって、警察、道路管理業者、ロードサービス業者等に対して道路状況の確認結果や分析結果を譲渡しても良い。
【0015】
一方、車両5は乗員が乗車した状態で道路上を走行する移動手段であって、周囲を撮像する撮像手段としてのカメラ4と、通信(案内)端末であるナビゲーション装置7と、を基本的に有する。車両5は自動運転による走行が可能な車両としても良い。
【0016】
カメラ4は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラであって、車両5のドライブレコーダとして利用される。車両のルームミラーの裏側やフロントバンパ等に取り付けられ、走行中は基本的に車両の進行方向前方の周辺環境を常時撮像する。また、カメラ4によって撮像された映像情報は所定時間間隔(例えば1分間隔)で区分され、更に撮像した地点と撮像した時刻を紐づけてメモリーカード8に記録され、必要時にはプローブ情報としてサーバ装置3に送信される。
【0017】
また、撮像した映像情報が記憶されるメモリーカード8はカメラ4に搭載されておりカメラ4で撮像された映像情報を順次格納して保存するが、保存したデータ量が予め決められた上限(例えば64GB)に到達した状態で新たな映像を撮像すると、古い映像情報から順に自動的に削除される。そして、削除によって生成された空き領域に新たな映像情報を記憶する。尚、カメラ4の映像情報を記憶する記憶媒体としてはメモリーカード8以外でも良く、例えばカメラ4に内蔵されたフラッシュメモリでも良いし、ナビゲーション装置7の記憶媒体(メモリやハードディスク)に記憶するようにしても良い。また、外部のサーバ(オンラインストレージ)に記憶するようにしても良い。
【0018】
一方、ナビゲーション装置7は、車両5に搭載され、格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、地図画像上において車両の現在位置を表示したり、設定された案内経路に沿った移動案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置7は通信ネットワーク網6に接続する為の通信手段を備え、GPSや各種センサを用いて車両の現在位置を特定し、所定時間間隔で現在時刻とともに現在位置を特定する情報をプローブ情報としてサーバ装置3へと送信する。更に、本実施形態では現時点において車両内に保管されている映像情報を撮像した際の車両の走行軌跡を特定する為の情報(例えば撮像を開始した地点や時刻、撮像を終了した地点や時刻)についてもプローブ情報としてサーバ装置3へと送信する。尚、現在位置以外に進行方向、走行リンク、車速、ヨーレート等についても特定し、プローブ情報として送信しても良い。更に、サーバ装置3から要求があった場合については過去にカメラ4で撮像されてメモリーカード8等に保管されている映像情報についてもプローブ情報としてサーバ装置3へと送信する。尚、上記プローブ情報の送信を実行する主体としては、ナビゲーション装置7の代わりに、例えば車両5が備える他の車載器や車両5を制御する車両制御ECUを用いても良い。
【0019】
また、通信ネットワーク網6は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は車両5との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網6の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある車両5の通信をサーバ装置3との間で中継する役割を持つ。
【0020】
続いて、車両映像収集システム1が有するサーバ装置3の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。
【0021】
サーバ装置3は、
図2に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続された情報記録手段としてのプローブ情報DB12と、映像情報DB13と、イベント登録情報DB14と、サーバ側地
図DB15と、ディスプレイ16と、センタ通信装置17と、を基本的に有する。
【0022】
サーバ制御部11は、サーバ装置3の全体の制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)であり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述のプローブ情報収集処理プログラム(
図9)及び映像収集処理プログラム(
図10)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御部11は、後述のナビゲーション装置7の制御部とともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、走行軌跡収集手段は、道路上を走行するとともに車外の映像を撮像するカメラ4を備えた複数の車両5から、各車両5において保管されている映像を撮像した際の走行軌跡を特定する走行軌跡情報を収集する。走行軌跡表示手段は、複数の車両5から収集した走行軌跡情報に基づいて、車両5毎の走行軌跡をディスプレイ16に表示する。映像収集手段は、ディスプレイ16に走行軌跡が表示された車両5から送信された映像を収集する。
【0023】
また、プローブ情報DB12は、全国を走行する各車両5から収集したプローブ情報(但し映像情報は除く)を累積的に記憶する記憶手段である。尚、本実施形態においては、車両5から収集されるプローブ情報として、特に(a)日時とその日時における(b)車両5が走行する地域の地域コード、(c)車両5が走行するリンク、(d)車両5の進行方向(正方向又は逆方向)、(e)リンク始点(終点)からの走行距離、(f)車両5の車速、(g)車両5のヨーレート、が含まれる。また、現時点において車両内に保管されている映像情報を撮像した際の車両の走行軌跡を特定する為の情報として、現時点において車両内に保管されている映像情報毎に(h)映像情報の撮像を開始した日時、(i)映像情報の撮像を終了した日時についても全国を走行する各車両5から収集し、プローブ情報DB12に格納される。
【0024】
尚、『リンク始点』と『リンク終点』は車両の進行方向に依存せずリンクの両端(ノード)に対して夫々設定された属性である。そして、車両の進行方向はリンク始点からリンクに進入してリンク終点から退出する方向を“正方向”、リンク終点からリンクに進入してリンク始点から退出する方向を“逆方向”と定義する。
【0025】
プローブ情報は、車両5が過去の走行中に位置した地点とその地点に車両が位置した時刻とその地点における車両の挙動、即ち車両の走行履歴と、映像の撮像履歴とを示す。但し、プローブ情報としては上記(a)~(i)に関する情報を必ずしも全て含む必要はなく、また、(a)~(i)以外の情報(例えばブレーキ操作量、加速度、ステアリング角度等)を含む構成としても良い。また、車両の位置を示す情報としてはリンク始点(終点)からの走行距離の代わりに、座標(緯度経度)を用いても良い。また、現時点において車両内に保管されている映像情報を撮像した際の車両の走行軌跡を特定する為の情報としては、映像情報の撮像を開始及び終了した日時でなく、映像情報の撮像を開始及び終了した位置を用いても良い。また、プローブ情報としては所定の条件を満たした場合にカメラ4で撮像された映像情報についても車両5から収集されるが、映像情報については後述の映像情報DB13に格納される。
【0026】
図3及び
図4はプローブ情報DB12に記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
図3及び
図4に示すように、プローブ情報は、送信元の車両を識別する車両IDと、上記(a)~(i)に関する情報等が含まれる。例えば、
図3に示すプローブ情報は、ID“A”の車両5が地域コード“11”内にあるID“100001”のリンクの正方向の走行中において、3月2日の9:00:00.80にリンク始点から40m離れた地点で停車したことが記憶されている。また、
図4に示すプローブ情報ではID“A”の車両5は現時点で過去にカメラ4で撮像された3つの映像情報を保管しており、具体的には3月2日の8:55:06から9:27:10までの間に撮像された映像情報と、3月1日の10:10:30から10:40:15までの間に撮像された映像情報と、2月28日の21:44:20から21:58:02までの間に撮像された映像情報を保管していることが記憶されている。一方、ID“B”の車両5が地域コード“11”内にあるID“100002”のリンクの逆方向を55km前後で走行したことが記憶されている。また、ID“B”の車両5は現時点で過去にカメラ4で撮像された3つの映像情報を保管しており、具体的には3月2日の8:43:11から9:10:03までの間に撮像された映像情報と、2月28日の10:01:00から10:32:33までの間に撮像された映像情報と、2月23日の13:40:54から14:11:43までの間に撮像された映像情報を保管していることが記憶されている。同様にして、他のプローブ情報についても記憶されている。尚、
図3に示す例では200msec間隔で車両からプローブ情報を収集しているが、プローブ情報の収集の間隔は200msec間隔より短く或いは長くしても良い。
【0027】
また、映像情報DB13は、全国を走行する各車両5から収集した映像情報を記憶する記憶手段である。尚、本実施形態においては、後述のように事故等のイベントが発生した場合において、イベントが発生した時刻と位置に対応する時刻や位置においてカメラ4で撮像された映像情報の内、特に管理者側で選択した車両5で撮像された映像情報のみを収集する。即ち、車両5から収集されて映像情報DB13に記憶される映像情報は、発生したイベントの内容が撮像された可能性のある映像情報となる。
【0028】
図5は映像情報DB13に記憶される映像情報の一例を示した図である。
図5に示すように映像情報は、映像を撮像した主体である車両5を識別する車両IDと、映像を撮像した日時と、映像を撮像した際の車両5が走行する地域の地域コードと、映像を撮像した際の車両5が走行するリンクと、映像を撮像した際の車両5の進行方向(正方向又は逆方向)とに紐づけられて映像情報DB13に格納される。
【0029】
例えば、
図5に示す例ではID“D”の車両が、地域コード“11”内にあるID“100121”及びID“100122”のリンクの正方向の走行中において3月2日の10:11:30から10:12:30までの期間において撮像した映像情報が記憶されている。同様にして他の映像情報についても記憶されている。そして、サーバ制御部11は、映像情報DB13に格納された映像情報に基づきイベントが発生した道路の道路状況の確認や分析を行う。
【0030】
一方で、イベント登録情報DB14は、道路或いは道路の周辺で発生しているイベントに関する情報が登録される記憶手段である。ここで、イベント登録情報DB14に登録されるイベントとしては、例えば事故、落下物、故障車の発生、渋滞の発生、道路の保守点検などが挙げられ、イベントに関する情報はサーバ装置3を管理する管理者がサーバ装置3に接続された端末の操作を行うことによって登録される。但し、管理者の操作ではなく外部から入力されたイベントの発生を示唆する情報(例えばイベントの当事者やイベントを発見した第3者からの情報提供)に基づいて自動的に登録されるようにしても良い。
【0031】
図6はイベント登録情報DB14に記憶されるイベント登録情報の一例を示した図である。
図6に示すようにイベント登録情報は、イベントの発生した日時を特定する情報と、イベントの発生した日時の時間誤差と、イベントの発生した地域の地域コードと、イベントの発生したリンクと、イベントの発生した位置に対応する道路の進行方向(正方向に対応する車線で発生したか、逆方向に対応する車線で発生したか)と、イベントの発生した位置の座標(緯度経度)と、イベントの種類を特定した情報とを含む。ここで、「時間誤差」はイベント登録情報で登録されたイベントの発生した日時と実際にイベントの発生した日時との間に生じ得る誤差(時刻の幅)の大きさを示すものであり、例えば0分から30分までの間で設定される。イベントの発生した日時を正確に特定できない場合にはより大きな値が設定されることとなる。一例としてイベントの発生した日時が9:00で時間誤差として10分が登録されている場合には、イベントの発生した日時は実際には8:50から9:10までの間のいずれかのタイミングであることを示唆している。
【0032】
但し、イベント登録情報DB14には上記全ての情報を登録する必要は無く、例えばイベントの発生した日時と位置の座標のみを登録しても良い。
【0033】
例えば、
図6に示す例では地域コード“11”内にあるID“100001”のリンクの正方向にある(x1、y1)の地点において3月2日の9:01:00に“事故”が発生したことが登録されている。また、時間誤差として10分が登録されている。また、地域コード“11”内にあるID“100002”のリンクの逆方向にある(x2、y2)の地点において3月2日の9:05:15に“落下物”が発生したことが登録されている。また、時間誤差として20分が登録されている。同様にして他のイベント登録情報についても記憶されている。そして、サーバ制御部11は、後述のように
図6に示すイベント登録情報に基づき車両5から映像情報の収集を行う。
【0034】
一方、サーバ側地
図DB15は、外部からの入力データや入力操作に基づいて登録された最新のバージョンの地図情報であるサーバ側地図情報が記憶される記憶手段である。ここで、サーバ側地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路網を示すノード及びリンクを含むネットワークデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0035】
また、ディスプレイ16は、サーバ装置3において出力される情報を表示する為の表示装置であり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。特に本実施形態では、事故等の特定のイベントが発生した場合において、サーバ装置3の管理者が発生したイベントの情報を登録することにより、全国を走行する各車両5に現時点で保管される映像を撮像した際の車両5の走行軌跡、即ち車両5によって撮像された映像の存在する道路区間が表される。そして、サーバ装置3の管理者は表示された車両5の走行軌跡を視認し、映像情報の収集対象とする車両5を選択することが可能となる。詳細については後述する。
【0036】
また、センタ通信装置17は、車両5やVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の外部の交通情報センタと通信ネットワーク網6を介して通信を行う為の通信装置である。本実施形態では、センタ通信装置17を介してプローブ情報や後述の映像の要求指示等を各車両5との間で送受信する。
【0037】
次に、車両5に搭載されたナビゲーション装置7の概略構成について
図7を用いて説明する。
図7は本実施形態に係るナビゲーション装置7を示したブロック図である。
【0038】
図7に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置7は、ナビゲーション装置7が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して車両周辺の地図や交通情報等を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、情報管理センタ2やVICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール38と、を有する。また、ナビゲーション装置7はCAN等の車載ネットワークを介して、車両5に搭載された各種センサやカメラ4とも接続されている。尚、車両5に搭載されたセンサとしては、例えば車速センサ39を含む。
【0039】
以下に、ナビゲーション装置7が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS43、ヨーレートセンサ44等を含み、現在の車両の位置、方位等を検出することが可能となっている。また、車速センサ39やその他の車両に設置された各種センサの検出結果についても取得することによって、より精度の高い現在の車両の位置、方位等の検出も可能である。
【0040】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB45、走行履歴DB46、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部32をハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。また、地図情報DB45、走行履歴DB46は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置7が通信により取得する構成としても良い。
【0041】
ここで、地図情報DB45は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、経路の探索や変更に係る処理に用いられる探索データ、施設に関する施設データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0042】
また、走行履歴DB46は、車両5の走行情報(車両挙動)を累積して記憶した記憶手段である。尚、本実施形態では走行履歴DB46に記憶される走行情報として、特に車速センサ39、GPS43、ヨーレートセンサ44等の各種センサの検出結果を含む。走行履歴DB46に記憶された走行情報はプローブ情報としてサーバ装置3へと随時送信される。
【0043】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、ナビゲーション装置7の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述のプローブ情報収集処理プログラム(
図9)及び映像収集処理プログラム(
図10)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。
【0044】
操作部34は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部34は液晶ディスプレイ35の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0045】
また、液晶ディスプレイ35には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、案内経路(走行予定経路)に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ35の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
【0046】
また、スピーカ36は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて案内経路(走行予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0047】
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB45の更新等が行われる。尚、DVDドライブ37に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0048】
また、通信モジュール38は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやその他の外部センタ等から送信された交通情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、車車間で通信を行う車車間通信装置や路側機との間で通信を行う路車間通信装置も含む。また、プローブ情報や後述の映像の要求指示をサーバ装置3との間で送受信するのにも用いられる。
【0049】
また、車速センサ39は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより車両の車速や移動距離を算出する。
【0050】
一方でカメラ4は、前述したように例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラであって、車両5のドライブレコーダとして利用される。また、カメラ4によって撮像された映像情報は
図8に示すように所定時間間隔(例えば1分間隔)で区分され、更に区分毎に撮像した地点と撮像した時刻の情報をナビゲーション装置7から取得し、それらを紐づけてメモリーカード8に格納される。例えば
図8に示す例では『映像A』は、地域コード“11”内にあるID“100001”のリンクの始点から15.5m離れた地点からID“100002”のリンクの始点から33.4mまで離れた地点まで移動する間において撮像された映像であり、且つ撮像した日時は3月2日の9:00:30から9:01:29までの間であることが記憶されている。また、『映像B』は、地域コード“11”内にあるID“100002”のリンクの始点から35.5m離れた地点からID“100003”のリンクの始点から13.4mまで離れた地点まで移動する間において撮像された映像であり、且つ撮像した日時は3月2日の9:01:30から9:02:29までの間であることが記憶されている。同様にして他の映像情報についてもメモリーカード8に格納されている。
【0051】
メモリーカード8に記憶された上記映像情報は、サーバ装置3から要求があった場合に要求の条件を満たす映像情報が抽出されてプローブ情報としてナビゲーション装置7を介してサーバ装置3へと送信される。また、メモリーカード8に保存したデータ量が予め決められた上限(例えば64GB)に到達した状態で新たな映像を撮像すると、古い映像情報から順に自動的に削除される。そして、削除によって生成された空き領域に新たな映像情報を記憶する。
【0052】
尚、
図8に示す例ではカメラ4で撮像した映像情報を1分間隔で区分して格納しているが、区分する間隔は1分より長く或いは短くしても良い。また、映像情報は時間単位でなく走行距離単位(例えば300m単位)で区分しても良い。また、撮像した地点を示す情報としてはリンク始点(終点)からの走行距離の代わりに、座標(緯度経度)を用いても良い。
【0053】
続いて、前記構成を有する車両映像収集システム1を構成するサーバ装置3及びナビゲーション装置7において実行するプローブ情報収集処理プログラムについて
図9に基づき説明する。
図9は本実施形態に係るプローブ情報収集処理プログラムのフローチャートである。ここで、プローブ情報収集処理プログラムは車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に所定時間間隔(例えば200msec間隔)で繰り返し実行され、車両5の現在位置や保管されている映像情報に関する情報をプローブ情報としてサーバ装置3が収集するプログラムである。尚、以下の
図9及び
図10にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ装置3が備えているRAM22やROM23又はナビゲーション装置7が備えているRAM52やROM53等に記憶されており、CPU21又はCPU51により実行される。
【0054】
先ず、ナビゲーション装置7において実行されるプローブ情報収集処理プログラムについて説明する。
ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU51は、CAN等を介して車速センサ39、GPS43、ヨーレートセンサ44等の各種センサの検出結果を取得する。具体的には、“現在日時”、“車両5が走行する地域の地域コード”、“車両5が走行するリンク”、“車両5の進行方向(正方向又は逆方向)”、“リンク始点(終点)からの走行距離”、“車両5の車速”、“車両5のヨーレート”を取得する。尚、前記S1の情報の取得についてはACC電源がONされている間において200msec間隔で繰り返し行われる。
【0055】
次に、S2においてCPU51は、メモリーカード8に現時点で格納されている映像情報を読み出し、保管されている各映像情報について撮像を開始した日時(以下、撮像開始日時という)と撮像を終了した日時(以下、撮像終了日時という)とを取得する。ここで、前述したようにカメラ4によって撮像された映像情報は所定時間間隔(例えば1分間隔)で区分されて、更に区分毎に撮像した地点と撮像した日時を紐づけて格納されている(
図8)。尚、前記S2では1分間隔で区分した区分毎ではなく、1回の走行(即ちACCがオンされてからオフされるまで)単位でカメラ4により映像を撮像した撮像開始日時と撮像終了日時を取得する。但し、1分間隔で区分した区分毎の撮像開始日時と撮像終了日時を取得しても良い。
【0056】
また、メモリーカード8に保存された映像情報は、データ量が予め決められた上限に到達した状態で新たに映像を撮像すると古い映像情報から順に自動的に削除される。前記S2ではメモリーカード8から削除された映像情報については対象から除かれ、現時点でメモリーカード8に保管されている映像情報のみを対象にして撮像開始日時と撮像終了日時を取得する。
【0057】
続いて、S3においてCPU51は、前記S1及びS2で取得した各情報について、送信元の車両を識別する“車両ID”とともにプローブ情報としてサーバ装置3へと送信する。尚、前記S3におけるプローブ情報の送信は例えば1秒間隔で行い、前回プローブ情報の送信を行ってから現時点までにS1及びS2で取得した新たな情報を送信対象とする。但し、プローブ情報を送信するタイミングは必ずしも1秒間隔である必要はなく、適宜変更可能である。その後、当該プローブ情報収集処理プログラムを終了する。
【0058】
尚、本実施形態では上記S1~S3の処理はナビゲーション装置7が実行することとしているが、車両5が備える他の車載器や車両制御ECUが行っても良い。
【0059】
次に、サーバ装置3において実行されるプローブ情報収集処理プログラムについて説明する。
先ず、S11においてCPU21は、全国を走行する各車両5からプローブ情報の送信があるか否か判定する。尚、プローブ情報には、上述したように車両の現在位置や方位を特定する情報や、カメラ4で撮像した映像情報等がある。
【0060】
そして、プローブ情報の送信があると判定された場合(S11:YES)には、送信されるプローブ情報を受信する(S12)。そして、CPU21は受信したプローブ情報をプローブ情報DB12(
図3、
図4)へと累積的に格納する(S13)。
【0061】
尚、その後にサーバ装置3では、事故等の特定のイベントが発生した場合において、プローブ情報DB12に格納されたプローブ情報を用いて車両5に現時点で保管される映像を撮像した際の車両5の走行軌跡、即ち車両5によって撮像された映像の存在する道路区間を表示する(S26)。
【0062】
一方、プローブ情報の送信がないと判定された場合(S11:NO)には、当該プローブ情報収集処理プログラムを終了する。
【0063】
続いて、車両映像収集システム1を構成するサーバ装置3及びナビゲーション装置7において実行する映像収集処理プログラムについて
図10に基づき説明する。
図10は本実施形態に係る映像収集処理プログラムのフローチャートである。ここで、映像収集処理プログラムはサーバ装置3の管理者がサーバ装置3に対して所定の操作を実行したタイミングで実行され、事故等のイベントの発生に応じて映像情報を車両から収集するプログラムである。
【0064】
先ず、サーバ装置3において実行される映像保管処理プログラムについて説明する。
S21においてCPU21は、道路或いは道路の周辺で発生しているイベントの登録処理を行う。ここで、登録の対象となるイベントとしては、例えば事故、落下物、故障車の発生、渋滞の発生、道路の保守点検などが挙げられ、サーバ装置3を管理する管理者がサーバ装置3に接続された端末の操作を行うことによって登録される。
図11はイベントの登録操作について説明した図である。
【0065】
図11に示すようにサーバ装置3のディスプレイ16には、イベント登録画面62が表示される。イベント登録画面62には地図画像63が表示され、管理者は地図画像63上の任意の地点を指定することが可能である。そして、管理者がイベントの発生した地点を地図画像63上で指定すると、イベント入力ウインドウ64がディスプレイ61に表示され、管理者はイベント入力ウインドウ64に表示された各項目を入力する。入力対象となる項目としては、イベントの種類、イベントの発生した日時、イベントの発生した日時の時間誤差等がある。そして、各項目を入力した後に登録ボタン65を押すと、入力した内容に基づいてイベントの登録が行われる。イベントの登録が行われると、地図画像63内の登録されたイベントの位置にイベントの発生を示すアイコン66が表示される。アイコン66を操作すると、登録されたイベントの内容の確認や、登録内容の修正が可能となる。また、後述のように車両から登録されたイベントに対応する映像を収集(S29、S30)した後にはアイコン66を操作すると、操作したアイコン66のイベントに対応して収集された映像を視聴することも可能となる。
【0066】
また、前記S21のイベントの登録処理については、管理者の操作ではなく外部から入力されたイベントの発生を示唆する情報(例えばイベントの当事者やイベントを発見した第3者からの情報提供)に基づいて自動的に登録されるようにしても良い。例えば、事故を発見した車両から事故の発生について情報提供が行われた場合には、情報提供を行った車両の位置や現在時刻について取得し、情報提供を行った車両の位置をイベントが発生した位置とし、情報提供が行われた日時をイベントが発生した日時として登録することが可能である。或いは、サーバ装置3が全国を走行する各車両5から収集したプローブ情報に基づいてイベントが発生したことを特定し、更に収集したプローブ情報に基づいてイベントが発生した位置やイベントが発生した日時を推定して登録するようにしても良い。
【0067】
以下のS22~S25の処理については、全国の道路を走行する各車両5を対象として車両単位でループして実行し、全ての車両5に対する処理が終了するまで繰り返し行う。
【0068】
先ず、S22においてCPU21は、現時点でプローブ情報DB12に格納されているプローブ情報(
図3、
図4)の内、処理対象の車両5の走行履歴を示すプローブ情報を抽出する(前回プログラムを実行した時から新たにプローブ情報DB12に格納されたプローブ情報のみを対象にしても良い)。尚、走行履歴を示すプローブ情報は
図3に示すように(a)日時とその日時における(b)車両5が走行する地域の地域コード、(c)車両5が走行するリンク、(d)車両5の進行方向(正方向又は逆方向)、(e)リンク始点(終点)からの走行距離、(f)車両5の車速、(g)車両5のヨーレート、が含まれる。プローブ情報は、車両5が過去の走行中に位置した地点及びその地点に車両が位置した時刻と、その地点における車両の挙動を示す。尚、プローブ情報については、全国を走行する各車両5から定期的(例えば200msec間隔)に収集され、プローブ情報DB12に格納される。
【0069】
次に、S23においてCPU21は、前記S22で抽出されたプローブ情報に基づいて、処理対象の車両5が前記S21で登録されたいずれかのイベントの発生位置の周辺(例えば1km以内)を走行した走行履歴が有るか否か判定する。
【0070】
そして、処理対象の車両5が前記S21で登録されたいずれかのイベントの発生位置の周辺を走行した走行履歴があると判定された場合(S23:YES)には、S24へと移行する。それに対して、処理対象の車両5が前記S1で登録されたいずれのイベントの発生位置の周辺を走行した走行履歴もないと判定された場合(S23:NO)には、処理態様の車両を映像情報の収集候補から除外して、再びS22以降の処理を再度行う。
【0071】
続いて、S24においてCPU21は、処理対象の車両5が前記S21で登録されたイベントの発生位置の周辺(例えば1km以内)を走行した走行履歴について、特にイベントの発生日時及びその時間誤差内に走行した走行履歴であるか否かを判定する。尚、「時間誤差」はイベント登録情報で登録されたイベントの発生した日時と実際にイベントの発生した日時との間に生じ得る誤差(時刻の幅)の大きさを示すものであり、イベントの発生した日時を登録する際に併せて登録される(S21)。イベントの発生した日時を正確に特定できない場合にはより大きな値が設定されることとなる。
【0072】
例えばイベントの発生した日時が9:00で時間誤差として10分が登録されている場合には、8:50から9:10までの間にイベントの発生位置の周辺を走行した走行履歴が有るか否かが判定される。
【0073】
そして、イベントの発生日時及びその時間誤差内にイベントの発生位置の周辺を走行した走行履歴があると判定された場合(S24:YES)には、S25へと移行する。それに対して、イベントの発生日時及びその時間誤差内にイベントの発生位置の周辺を走行した走行履歴がないと判定された場合(S24:NO)には、処理態様の車両を映像情報の収集対象の候補から除外して、再びS22以降の処理を再度行う。
【0074】
S25においてCPU21は、処理対象の車両を映像情報の収集対象とする車両の候補(以下、収集候補という)に指定する。収取候補に指定された車両5は、イベントの発生した時刻にイベントの発生した位置の周辺に位置しており、イベントの内容をカメラ4で撮像した可能性のある車両5である。そして、上記S22~S25の処理を全国の道路を走行する車両5を対象として実行した後に、S26へと移行する。
【0075】
S26においてCPU21は、プローブ情報DB12に格納されているプローブ情報に基づいて、前記S25で映像情報の収集候補に指定された全ての車両5を対象として、車両5毎に現時点で保管されている映像情報を撮像した際の走行軌跡を特定し、特定された走行軌跡をディスプレイ16に表示する。尚、プローブ情報DB12には、前述したように車両5毎に現時点で格納されている映像情報について撮像を開始した撮像開始日時と撮像を終了した撮像終了日時が定期的に取得されて格納されている(
図4)。また、車両5の現在位置や進行方向の履歴についても定期的に取得されて格納されている(
図3)。従って、それらの情報に基づいて前記S25で映像情報の収集候補に指定された車両5毎に現時点で保管されている映像情報を撮像した際の走行軌跡を特定することが可能である。
【0076】
尚、表示対象となるのは車両5において現時点で保管されている映像情報を撮像した際の全ての走行軌跡ではなく、特に前記S21で登録されたイベントの発生日時及びその時間誤差内に対応する区間の走行軌跡(即ちイベントの発生日時及びその時間誤差内に走行した走行軌跡の範囲)を抽出し、抽出された走行軌跡のみを表示するのが望ましい。それによって、管理者はイベントの発生日時及びその時間誤差内にイベントの発生位置に対してどのように走行した走行軌跡であるかを明確に把握することが可能となる。
【0077】
ここで、
図12は前記S26においてサーバ装置3のディスプレイ16に表示される走行軌跡案内画面を示した図である。
図12では特に映像情報の収集候補として『A』~『C』の3台の車両5が指定された場合を例に挙げて説明する。
図12に示すように走行軌跡画面71には地図画像72が表示され、更に地図画像72上には前記S21で登録されたイベントの位置にイベントの発生を示すアイコン66について表示される。また、『A』~『C』の3台の車両5の走行軌跡73についても同じ地図画像72上に表示される。尚、複数の走行軌跡73を表示する場合には必ずしも同時に表示する必要はなく、順番に切り替えて表示するようにしても良い。また、走行軌跡73は車両の車種毎に線種や線の色を変えても良い。例えば、プローブ情報として車両の車種に関する情報について取得し、普通車であれば黒色、タクシーであれば青色、バスであれば赤色で走行軌跡73を表示することも可能である。
【0078】
そして、サーバ装置3の管理者(操作者)はディスプレイ16に表示されたアイコン66(即ちイベントの発生位置)と走行軌跡73の位置関係を視認した上で、サーバ装置3に接続された端末を操作することにより映像情報の取得対象とする車両5を選択することが可能となる。尚、複数の車両を選択しても良いし、一の車両のみを選択しても良い。また、適当な走行軌跡がない場合については車両を選択しない(映像情報を収集しない)ことも可能である。例えば
図12に示す例では『A』~『C』の3台の車両5はいずれもイベントの発生位置の近くを走行しているが、『B』の車両5についてはイベントの発生した道路を通過しておらず、イベントの内容をカメラ4で撮像した可能性は低いと想定できる。一方で『A』と『C』の車両5はイベントの発生した道路を通過しているので、イベントの内容をカメラ4で撮像した可能性が高いと想定できる。従って、『A』と『C』の車両5を映像情報の収集対象として選択するのが望ましいことが分かる。
【0079】
尚、前記S25で映像情報の収集候補に指定された車両5の数が特に多い場合(例えば10台以上)の場合については、該当する全ての車両5の走行軌跡を表示すると走行軌跡画面71の視認性が悪化するので、前記S21で登録されたイベントの発生日時及び発生位置と関連の高い走行軌跡を有する車両5の走行軌跡を優先してディスプレイ16に表示するのが望ましい。具体的には、前記S25ではイベントの発生日時及びその時間誤差内にイベントの発生位置から1km以内を走行した走行履歴を有する車両5を映像情報の収集候補に指定しているが、イベントの発生位置から500m以内を走行した走行履歴を有する車両5の走行軌跡のみをディスプレイ16に表示しても良い。
【0080】
その後、S27においてCPU21は、前記S26でディスプレイ16に表示された走行軌跡73を視認したサーバ装置3の管理者が、映像情報の取得対象とする車両5を選択したか否か判定する。
【0081】
そして、サーバ装置3の管理者が映像情報の取得対象とする車両5を選択したと判定された場合(S27:YES)には、S28へと移行する。それに対して、サーバ装置3の管理者が映像情報の取得対象とする車両5を選択していないと判定された場合(S27:NO)には、映像の要求を行うことなく当該映像収集処理プログラムを終了する。
【0082】
S28においてCPU21は、映像情報の収集対象に選択された車両に対して映像要求を送信する。映像要求は、カメラ4により過去に撮像されて車両5で保管されている映像を、サーバ装置3へと送信させるための要求である。映像要求には、前記S21で登録されたイベントの内、映像情報の収集対象に選択された車両5の走行履歴に対応するイベントの登録情報を含む。具体的にはイベントの発生位置とイベントの発生した日時とイベントの発生した日時の時間誤差を特定する情報が含まれる。そして、映像要求を受信した車両側は、後述のようにカメラ4で過去に撮像されて保管されている映像情報の内、イベントの登録情報に対応する映像情報を抽出してサーバ装置3へと送信する(S34)。その結果、後述のようにサーバ装置3では事故等のイベントが発生した場合において、イベントが発生した時刻と位置に対応してカメラ4で撮像された映像情報を選別して車両5から収集することが可能となる。
【0083】
続いて、S29においてCPU21は、前記S28で送信した映像要求に応じて車両5から送信される映像情報を受信する。
【0084】
その後、S30においてCPU21は、前記S29で受信した映像情報を映像情報DB13に格納する。尚、その後にサーバ装置3では、映像情報DB13に格納された映像情報に基づきイベントが発生した道路の道路状況の確認や分析を行う。例えばイベントが事故であった場合については事故の現場が撮像された映像情報に基づいて、事故の状況の確認、事故によって通行止めにすべき車線の判定、事故の要因の分析、過失の認定等を行う。尚、これらの道路状況の確認や分析については映像情報を視認した管理者が行っても良いし、映像情報に対して画像処理を行うことによってサーバ装置3が判断するようにしても良い。
【0085】
上記道路状況の確認や分析を行うに際しては、例えば
図13に示すように前記S21でイベントの登録を行ったイベント登録画面62において車両から収集した映像情報を表示するようにしても良い。具体的には、管理者がイベントの登録した地点にあるアイコン66を指定すると、映像ウインドウ75がディスプレイ61に表示される。映像ウインドウ75には管理者が指定したアイコン66で登録したイベントに対応して現在までに車両から収集された映像76の一覧が表示される。更に管理者が表示された映像76を操作すると、映像の内容を視聴することが可能となる。
【0086】
次に、ナビゲーション装置7において実行される映像収集処理プログラムについて説明する。
先ず、S31においてCPU51は、サーバ装置3から送信された映像要求を受信する。尚、サーバ装置3は、前述したようにサーバ装置3の管理者によって映像情報の収集対象に選択された車両に対して映像要求を送信する(S28)。また、映像要求には、前記S21で登録されたイベントの登録情報を含む。
【0087】
続いて、S32においてCPU51は、現時点において車両で保管されている映像情報を参照し、現時点で車両に保管されている映像情報を撮像した地点と撮像した時刻の情報を取得する。尚、
図8に示すようにカメラ4によって撮像された映像情報は所定時間間隔(例えば1分間隔)で区分され、更に区分毎に撮像した地点と撮像した時刻の情報を紐づけてメモリーカード8等の記憶媒体に格納されている。
【0088】
次に、S33においてCPU51は、現時点において車両で保管されている映像情報の内、イベントの発生日時及びその時間誤差内であってイベントの発生位置に最も近い位置で撮像された映像情報を抽出する。
【0089】
ここで、前述したようにカメラ4によって撮像された映像情報は所定時間間隔(例えば1分間隔)で区分されて、更に区分毎に撮像した地点と撮像した時刻を紐づけて格納されており(
図8)、前記S33では該当する区分の映像情報のみが抽出される。例えば、
図14に示すように地点a~dを走行する間に撮像された映像Aと、地点e~gを走行する間に撮像された映像Bとが車両に保管されている場合であって、イベントの発生位置が地点f付近である場合には、映像Bが抽出されることとなる。前記S33で抽出される映像情報は、発生したイベントの内容が撮像された可能性のある映像情報となる。
【0090】
尚、
図14に示す例ではイベントの発生位置に最も近い位置で撮像された映像情報のみを抽出しているが、イベントの発生位置から所定距離以内(例えば1km以内)で撮像された映像情報についても抽出対象に加えても良い。例えば
図14に示す例では映像Aについても抽出対象に加えても良い。
【0091】
また、前記S21においてイベントの登録情報としてイベントの発生した道路の進行方向(正方向に対応する車線で発生したか、逆方向に対応する車線で発生したか)が登録されている場合については、映像を撮像する際の車両の進行方向がイベントの発生した道路の進行方向と同じであることを映像情報の抽出条件に加える。即ち、現時点において車両で保管されている映像情報の内、イベントの発生日時及びその時間誤差内であってイベントの発生位置に最も近い位置をイベントの発生した道路の進行方向から撮像された映像情報を抽出する。
【0092】
その後、S34においてCPU51は、前記S33で抽出した映像情報について、送信元の車両を識別する“車両ID”とともにプローブ情報としてサーバ装置3へと送信する。また、映像を撮像した日時、映像を撮像した際の車両5が走行する地域の地域コード、映像を撮像した際の車両5が走行するリンク、映像を撮像した際の車両5の進行方向(正方向又は逆方向)についても映像情報と併せて送信する。その後、当該映像収集処理プログラムを終了する。
【0093】
尚、本実施形態では上記S31~S34の処理はナビゲーション装置7が実行することとしているが、車両5が備える他の車載器や車両制御ECUが行っても良い。
【0094】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る車両映像収集システム1、サーバ装置3及びサーバ装置3で実行されるコンピュータプログラムでは、道路上を走行するとともに車外の映像を撮像するカメラ4を備えた複数の車両5から、各車両5において保管されている映像を撮像した際の走行軌跡を特定する走行軌跡情報を収集する(S12)一方で、複数の車両5から収集した走行軌跡情報に基づいて、車両5毎の走行軌跡をディスプレイ16に表示し(S26)、ディスプレイ16に走行軌跡が表示された車両5から送信された映像を収集する(S29、S30)ので、道路上を走行する各車両において過去に撮像され保管されている映像を撮像した際の走行軌跡を表示することによって、管理者にとって有用な映像を厳選して車両から収集することが可能となる。その結果、例えばイベントが発生する等によって管理者側で任意の位置の道路状況の確認の必要が生じた場合に、該当する位置における道路状況の確認や分析が可能となる一方で、映像分析に係る処理負担を減らし通信量についても削減することが可能となる。
また、ディスプレイ16を視認した操作者(サーバ装置3の管理者)の操作に基づいて、複数の車両の内、映像の収集対象とする車両を選択し(S27)、選択された車両を対象として、過去に撮像されて車両で保管されている映像を要求し(S28)、要求に応じて車両から送信された映像を収集する(S29、S30)ので、ディスプレイ16に表示された車両毎の走行軌跡を確認した上で、操作者が選択した車両で撮像された映像のみを収集することが可能となる。
また、車両で撮像された映像の収集対象とする時刻及び位置を登録し(S21)、複数の車両の内、登録された時刻に登録された位置の周辺に位置する走行軌跡を有する車両を対象として、該車両の走行軌跡をディスプレイ16に表示する(S26)ので、例えばイベントが発生する等によって管理者側で任意の位置及び時刻の道路状況の確認の必要が生じた場合に、該当する位置及び時刻に対応する映像を撮像した可能性のある車両の候補から映像を収集する対象となる車両を選択することが可能となる。
また、車両の走行軌跡の内、登録された時刻に対応する区間の走行軌跡を抽出し、抽出された走行軌跡をディスプレイ16に表示する(S26)ので、登録された時刻に登録された位置に対してどのように走行した走行軌跡であるかを明確に把握することが可能となる。
また、登録された時刻に登録された位置の周辺に位置する走行軌跡を有する車両の数が閾値以上の場合に、登録された時刻及び位置と関連の高い走行軌跡を有する車両の走行軌跡を優先してディスプレイ16に表示する(S26)ので、映像の取得候補となる車両が多数ある場合においてもディスプレイ16の視認性を低下させることがない。
【0095】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では前記S25において映像情報の収集候補に指定された車両5の内、実際に映像の収集対象とする車両5の選択は、ディスプレイ16に表示された各車両の走行軌跡を視認したサーバ装置3の管理者の操作に基づいて行っているが、サーバ装置3が判断して選択しても良い。例えば、前記S21で登録されたイベントの発生位置と走行軌跡との比較や、前記S21で登録されたイベントの発生日時と走行軌跡の走行日時とを比較することによって映像情報を収集すべき車両5をサーバ装置3が自動で選択するようにしても良い。
【0096】
また、本実施形態では前記S25において映像情報の収集候補に指定された全ての車両5の走行軌跡をディスプレイ16に表示している(S26)が、上記のようにサーバ装置3が映像情報の収集対象とする車両5を判断して自動で選択する場合については、サーバ装置3が映像情報の収集対象として選択した車両5の走行軌跡のみをディスプレイ16に表示するようにしても良い。
【0097】
また、本実施形態ではプローブ情報を用いるプローブカーシステムを用いて全国を走行する複数の車両から映像情報を収集しているが、プローブカーシステムは必須ではない。例えば一の車両から取得した走行履歴に基づいてその一の車両の走行軌跡をディスプレイ16に表示し、映像情報をその一の車両から収集することも可能となる。
【0098】
また、本実施形態では車両5で撮像された映像の収集対象とする時刻及び位置として、特に事故等のイベントの発生した時刻及び位置を挙げているが、イベントの発生した時刻及び位置以外であっても良い。例えば、サーバ装置3の管理者が道路状況を確認したい任意の時刻及び位置(例えば渋滞や事故の多発地点)が有る場合に、その時刻及び位置を登録する(S21)ことによって、その時刻及び位置に対応する映像を車両5から収集することが可能となる。
【0099】
また、本実施形態ではサーバ装置3は映像情報の収集対象に選択された車両5に対して映像要求を送信している(S28)が、車両5で撮像された映像についての権利を有する者(例えば車両5の運転手や車両の所有者)が映像の送信を許可したことをサーバ装置3が認識した後に映像要求を送信するようにしても良い。その場合には、映像情報の収集対象とする車両5の選択から映像要求を送信するまでの間にタイムラグが生じることから、各車両5において保管されている映像が自動削除の対象とならないように自動削除の対象から除外する処理を行うのが望ましい。
【0100】
また、本実施形態では車両5から現在位置や現在時刻を含むプローブ情報の収集と、映像情報の収集は同じ一のサーバ装置で行っているが、車両5から現在位置や現在時刻を含むプローブ情報を収集するサーバ装置と映像情報を収集するサーバ装置とを異なるサーバ装置としても良い。
【符号の説明】
【0101】
1…車両映像収集システム、2…情報管理センタ、3…サーバ装置、4…カメラ、5…車両、7…ナビゲーション装置、8…メモリーカード、11…サーバ制御部、12…プローブ情報DB、13…映像情報DB、14…イベント登録情報DB、16…ディスプレイ、71…走行軌跡画面、72…地図画像、73…走行軌跡