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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118404
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20220805BHJP
   B65D 51/28 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
B65D77/20 H
B65D51/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014899
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】込山 和馬
(72)【発明者】
【氏名】寺西 誠
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AA04
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB02
3E067AB04
3E067AC04
3E067AC06
3E067BA10B
3E067BA10C
3E067BB15B
3E067BB15C
3E067BC02B
3E067BC02C
3E067BC07C
3E067CA04
3E067CA07
3E067EA18
3E067EB11
3E067EB17
3E067EE59
3E067FA05
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA06
3E084AA05
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB09
3E084DB13
3E084DC04
3E084FC09
3E084GA08
3E084GB12
3E084GB17
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】蓋体によって容器本体を閉蓋すると同時に中容器をも閉蓋する一方、一回の操作で容器本体と中容器の双方から同時に蓋体を容易且つ安全に取り外すことができる中容器付きの包装用容器を提供する。
【解決手段】容器本体に収容可能な中容器を具備し、蓋体によってこれらを同時に閉蓋する包装用容器である。中容器は内嵌合構造によって閉蓋するものとして密封性を高めた。また、容器本体に対しては係合部が間欠的に係合する外嵌合構造として閉蓋性や開蓋性を調整可能とした。そして、蓋体と中容器それぞれに摘み部を設け、これらを相対的に上下乖離させることで、容器本体と中容器とを同時に開蓋可能とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、該容器本体に収容される中容器と、前記容器本体と前記中容器を同時に閉蓋する蓋体からなる包装用容器であって、
前記容器本体は、
その開口部から外向きに形成されるフランジ部と、
該フランジ部から下向きに形成される本体外縁部を有し、
前記蓋体は、
収容した前記中容器と共に前記容器本体を閉蓋可能に前記開口部を被覆する天板部と、
該天板部の外周に形成され、前記本体外縁部に嵌合して前記容器本体の閉蓋を保持する第一嵌合部と、
前記天板部の板面内に形成され、前記第一嵌合部の嵌合時に前記中容器の開口部に嵌合して当該中容器の閉蓋を保持する第二嵌合部と、
さらに、前記第一嵌合部から外向きに形成される第一摘み部を有し、
前記中容器は、
その開口部から外向きに形成され、前記容器本体への収容時に、前記容器本体の内部から前記フランジ部を跨いで前記容器本体の外部に突出すると共に、前記蓋体による閉蓋時に前記第一摘み部よりも下方となる第二摘み部を有した、
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記容器本体の前記フランジ部に前記第二摘み部の位置決め凹部を設けた請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
前記第一摘み部と前記第二摘み部の何れか一方を他方よりも外向きの長さまたは/及び幅を大きく請求項1または2記載の包装用容器。
【請求項4】
前記第二摘み部の外向きの長さまたは/及び幅を前記第一摘み部よりも大きくした請求項3記載の包装用容器。
【請求項5】
前記蓋体による閉蓋時に、前記第一摘み部と前記第二摘み部とは、平面視で少なくとも一部が重畳する請求項1から4のうち何れかに記載の包装用容器。
【請求項6】
前記蓋体による閉蓋時に、前記第一摘み部と前記第二摘み部とは、平面視で左右に隣接する請求項1から4のうち何れかに記載の包装用容器。
【請求項7】
前記第一摘み部と前記第二摘み部を相対的に上下乖離させることで前記第一嵌合部と前記第二嵌合部それぞれの嵌合が解除され、前記容器本体と前記中容器とを同時に開蓋可能とした請求項1から6のうち何れかに記載の包装用容器。
【請求項8】
前記蓋体の前記第二嵌合部は、前記中容器を密封可能に当該中容器の開口部に内嵌合する請求項1から7のうち何れかに記載の包装用容器。
【請求項9】
前記蓋体の前記第一嵌合部は、前記容器本体の前記本体外縁部に間欠的に係合する複数の係合部によって構成した請求項1から8のうち何れかに記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、合成樹脂シートを成形して得られる成形容器に係り、容器本体と蓋体を備え、さらに、前記容器本体に収容され、且つ、前記蓋体により前記容器本体と共に閉蓋される中容器を具備した包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で販売されるテイクアウト用の食品において、主食と副食とを組み合わせたセット物については、消費者が食するまで、主食と副食、副食同士(主菜と副菜、副菜同士)が混ざり合って食味や食感等を損なわないように、それぞれを分別状態で包装するのが一般的である。例えば、米飯などの主食と、焼き魚や唐揚げなどの主菜と、漬物などの副菜とがセットになった弁当類の場合、容器本体の内部をそれぞれの収容区画に仕切ったり、副菜については弁当カップ等と称される小分け用カップに収容したりすることで、食品同士の接触を回避している。
【0003】
一方、麺類の汁やタレ、カレーライスのルーやパスタのソース、スープといった汁気が多い副食材(以下、本願において「流動性副食材」という。)を含む食品については、容器本体内の区画や小分け用カップにそのまま流動性副食材を収容したとしても容器本体の傾きや揺れによって他所に流れ込みやすく、また、食品によっては量的に収容しきれないことも多い。
【0004】
そこで従来は、中容器(「中皿」や「小容器」と称されることもある。)を用意し、この中容器を容器本体に収容するといった入れ子式の包装形態を採用している。また、こうした入れ子式の包装形態の場合、流動性副食材は容器本体ではなく、中容器に収容するのが一般的である。例えば、カレーライスであれば、米飯を容器本体に入れ、その余剰スペースにルーを入れた中容器を収容する。
【0005】
ただし、中容器から流動性副食材が漏れ出したのでは分別包装する意味がないため、こうした漏出を防止するために、中容器を蓋で密封することが考えられる。しかし、容器本体の蓋とは別に、中容器専用の蓋を用意するとなると、製造コストが嵩むだけでなく、バックヤードでの置き場所の確保や在庫管理の負担も増加する。
【0006】
なお、特許文献1には、麺とスープからなる食品について、麺を収容する容器本体の蓋(上蓋)とは別に、スープを収容する中容器の専用蓋(中皿)を備えた容器が開示されている。しかし、特許文献1の場合、専用蓋たる中皿は単に中容器に載置され、しかも電子レンジによる加熱時に中容器と中皿の間から蒸気を積極的に排出する構造である。つまり、特許文献1における中皿は、中容器からスープ(流動性副食材)が漏れ出すことを防止するほどの密封性を有しない。
【0007】
一方、特許文献2には、容器本体に対応した蓋の裏側に、ルー等を収容する中容器(中皿)を内嵌合によって密封状態とする閉蓋構造が開示されている。つまり、特許文献2の食品包装容器は、容器本体に装着する蓋を中容器の密封蓋として共用しようというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-88922号公報
【特許文献2】特開2012-46210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2の食品包装容器は、蓋を開ける際、その裏側に嵌合している中皿ごと一体的に取り外されるようになっている。したがって、特許文献2のものは、容器本体から蓋を外した後、中皿を蓋から分離する必要があり、蓋が一つであるにも拘わらず、開蓋作業は上述した中容器専用の蓋を備えた容器と同じく二回に分けて行わなければならず、手間である。
【0010】
また、蓋を容器本体から外す段階では中皿にルー等が入っているから、蓋にもその重みがかかっており、これは閉蓋方向の荷重として作用している。しかも、蓋を取り外すときに中皿内の食材が揺れ動くこともある。このような状態の蓋を容器本体から安定して取り外すことは必ずしも容易ではない。
【0011】
そして、上述した開蓋作業における課題は、バックヤードでの包装作業、即ち、中身が入った中皿を蓋の裏側に取り付け、その後、重みがかかった蓋を容器本体に正確に装着するといった段階的な閉蓋作業にも共通するものである。
【0012】
さらに、蓋を開ける際は歪みなく容器本体から取り外さなければ、もし蓋を変形させてしまうと中皿の嵌合が解除されて、中皿ごと流動性副食材を散逸させてしまうおそれがある。その一方で、中皿が不意に外れないように蓋との嵌合を強固なものとすれば、今度は中皿を外した反動で中身を飛散させるおそれが高くなり、事前に電子レンジ等で加熱している場合は、飛散した食材によって火傷を負う危険すらある。
【0013】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、蓋体によって容器本体を閉蓋すると同時に中容器をも閉蓋する一方、一回の操作で容器本体と中容器の双方から同時に蓋体を容易且つ安全に取り外すことができる中容器付きの包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成するために本発明では、容器本体と、該容器本体に収容される中容器と、前記容器本体と前記中容器を同時に閉蓋する蓋体からなる包装用容器であって、前記容器本体は、その開口部から外向きに形成されるフランジ部と、該フランジ部から下向きに形成される本体外縁部を有し、前記蓋体は、収容した前記中容器と共に前記容器本体を閉蓋可能に前記開口部を被覆する天板部と、該天板部の外周に形成され、前記本体外縁部に嵌合して前記容器本体の閉蓋を保持する第一嵌合部と、前記天板部の板面内に形成され、前記第一嵌合部の嵌合時に前記中容器の開口部に嵌合して当該中容器の閉蓋を保持する第二嵌合部と、さらに、前記第一嵌合部から外向きに形成される第一摘み部を有し、前記中容器は、その開口部から外向きに形成され、前記容器本体への収容時に、前記容器本体の内部から前記フランジ部を跨いで前記容器本体の外部に突出すると共に、前記蓋体による閉蓋時に前記第一摘み部よりも下方となる第二摘み部を有するという手段を用いた。
【0015】
本発明では、収容手段として容器本体と中容器とを備える。なお、容器本体に何を収容して、中容器に何を収容するかは問わないが、容器本体は収容物以外に中容器を収容するスペースが必要である。
【0016】
また、閉蓋手段として、本発明では一つの蓋体に対して、容器本体と中容器それぞれに対応する第一嵌合部と第二嵌合部を設ける。なお、閉蓋時に何れの嵌合部を先に嵌合するかは問わず、一方の嵌合によって他方の嵌合も同時に完了するように構成することもある。
【0017】
さらに、開蓋手段として、本発明では第一と第二の二つの摘み部を備える。第一摘み部は蓋体に設けられ、第二摘み部は中容器に設けられる。このうち第二摘み部は、容器本体のフランジ部に跨がっており、閉蓋時に蓋体の第一摘み部よりも下方に位置する。つまり、側面視では第一摘み部が上側、第二摘み部が下側というように上下関係にある。
【0018】
そして、第一摘み部と第二摘み部は、前記蓋体による閉蓋時に、平面視で少なくとも一部が重畳するか、または、左右に隣接することが好ましい。このように第一摘み部と第二摘み部を近接させることで、開蓋操作を容易且つ確実に行えるためである。さらに、前記第一摘み部と前記第二摘み部を相対的に上下乖離させることで前記第一嵌合部と前記第二嵌合部それぞれの嵌合が解除され、前記容器本体と前記中容器とを同時に開蓋可能とすることが好ましい。第一摘み部に最も近い部分から第一・第二嵌合部それぞれの嵌合が解除され、最終的には容器本体と中容器を同時に開蓋することができるからである。さらに詳述すると、第一摘み部だけを引っ張り上げると、第一・第二嵌合部の嵌合で、容器本体や中容器が蓋体に追従して浮き上がろうとする。しかし、第一摘み部を引っ張り上げる際、反対側の手で第二摘み部を引き下げるなどして反対方向の力を加えることにより、中容器の浮き上がりを規制することができる。これと同時に、第二摘み部がフランジ部を押さえ込んでいることで、容器本体の浮き上がりも規制することができる。このように第一摘み部と第二摘み部を相対的に上下乖離させることで、蓋体だけが持ち上がり、第一・第二嵌合部の嵌合を同時に解除することができるのである。
【0019】
上記手段において、前記容器本体の前記フランジ部には、前記第二摘み部の位置決め凹部を設けることが好ましい。中容器を容器本体に正確に収容できると共に、収容後、第二摘み部が前記凹部に係合することで、中容器の位置ズレを規制することができるからである。なお、当該凹部は、フランジ部を凹状に窪ませて形成する他、平行する2本のリブによって形成することも可能である。
【0020】
また、前記第一摘み部と前記第二摘み部の何れか一方を他方よりも外向きの長さまたは/及び幅を大きくすることが好ましい。こうすることで第一摘み部と第二摘み部がぴったり重ならずズレが生成されるため、それぞれを摘まみやすくなるからである。
【0021】
特に、前記第二摘み部の外向きの長さまたは/及び幅を前記第一摘み部よりも大きくすることがより好ましい。第二摘み部をしっかり摘むことができて、容器本体をより安定させた状態で開蓋作業を行うことができるからである。
【0022】
なお、前記蓋体の前記第二嵌合部は中容器の開口部の内側に嵌合する内嵌合式とすることが好ましい。前記中容器の密封性が高まり、特に本発明をテイクアウト用の食品容器として利用する場合、テイクアウト中に流動性副食材が飛散することを防止するこができるからである。さらに、第二嵌合部を中容器の開口部の内側だけでなく外側にも同時に嵌合する内外嵌合式を採用すれば、より高い密封性が得られる。ただし、高度な密封性が要求されない場合、第二嵌合部を中容器の開口部の外側で嵌合する外嵌合式を本発明から排除するものではない。
【0023】
一方、前記蓋体の前記第一嵌合部は、前記容器本体の前記本体外縁部に間欠的に係合する複数の係合部によって構成することもある。即ち、本発明において第一嵌合部を本体外縁部の全周に嵌合する構成とすることも可能であるが、上述した係合部による間欠的な嵌合構造とすれば、全周に嵌合させるよりも嵌合作業が行いやすく、また、係合部の数や間隔を変えることで、容器の大きさや収容物等に応じて、蓋体と容器本体との嵌合力を調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、一つの蓋体で容器本体と中容器を閉蓋することができるため、中容器専用の蓋(二重蓋)を採用するよりも、低コストで、在庫管理等の負担が増大することもない。また、開蓋作業用の摘み部を蓋体と中容器に一対設け、中容器側の摘み部によって容器本体を押さえ込むようにしたので、容器本体と中容器を同時に開蓋することができるだけでなく、簡単且つ安全に開蓋することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第一実施形態に係る包装用容器の分解斜視図
図2】同、平面図
図3】同、A-A線端面図
図4】同、摘み部周辺の拡大断面図
図5】同、開蓋操作を示す説明図
図6】本発明の第二実施形態に係る包装用容器の平面図
図7】本発明の第三実施形態に係る包装用容器の平面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1~4は本発明に係る包装用容器の第一実施形態を示したもので、容器本体1と、中容器2と、蓋体3の三部材からなる。使用例としてテイクアウト用のカレーライスを想定すると、中容器2にはカレールーを入れ、当該中容器2と共にライスを容器本体1に収容し、蓋体3によって容器本体1と中容器2を同時に閉蓋するものである。
【0027】
各部材の詳細について、まず容器本体1は図3に示すように中容器2を収容可能な深さを有しており、内部は、図2にも示すように、底面の略中央に設けた底面リブ10により、中容器2専用の収容部11とライス専用の半月状収容部12とに区画している。この他、中容器2専用の収容部11に隣接してポケット状の小収容部13も設けており、ここにはカレーライスの副菜として例えば福神漬けを収容することができる。
【0028】
構造としては、上面を開口部14とした平面視円形をなし、開口部14の周囲には水平方向外向きにフランジ部15を形成すると共に、該フランジ部から下向きに本体外縁部16をスカート状に形成している。本体外縁部16は図3に示したように、下述する蓋体3を外嵌合する部分であり、フランジ部15は開口部14から折り返しとなる部分である。そして、フランジ部15の一部には容器本体1の内外に連通する凹状切欠き部17(特許請求の範囲に記載した位置決め凹部に相当する)を半径方向に設けている。この凹状切欠き部17は中容器2を収容する際、下述する中容器摘み部を係合することで、中容器2を位置決めする部分である。また、凹状切欠き部17の両壁によって中容器摘み部が左右に動くことが抑制され、底面リブ10と連携して中容器2が容器本体1内で位置ズレすることを規制するものである。なお、このような機能を発揮する他の例として、2本平行するリブによって位置決め凹部を構成することもできる。
【0029】
次に、中容器2は、収容対象物であるカレールーを所定量収容可能な容積を有し、図2にも示すように、上面を開口部20とした平面視略扇状としている。つまり、当該中容器2は容器本体1の中容器専用の収容部11に合致した平面視形状としている。また開口部20は、その開口縁内周に段部20aを形成して、図3に示すように、下述する蓋体3を内嵌合可能とする一方、開口部20の外周囲には折り返し部21を介してスカート状の垂れ部22を形成している。
【0030】
そして、垂れ部22の一部には中容器摘み部23(特許請求の範囲に記載した第二摘み部に相当する)を外向きに形成している。この中容器摘み部23は、中容器2を容器本体1の専用収容部11に収容したとき、図4に示すように、フランジ部15(凹状切欠き部17)を跨いで容器本体1の外部に突出する長さを有する。また、この実施形態では、中容器摘み部23の先端側を丸めた帯状として、先丸部分には円弧状のリブ24を上方に向けて隆成している。このリブ24によって、消費者等の使用者に対し、中容器摘み部23の存在と摘む部分を触覚的に示すことができる。また、このリブ24は図4にも示すように、中容器摘み部23が後述する蓋体3の摘み部と重畳する際、両者が密着することを防止するスペーサーとしても機能し、それぞれの摘み部を確実に摘むことができるようにするものである。
【0031】
続いて蓋体3は、平面視で容器本体1と同じ円形をなし、容器本体1の開口部14を被覆する天板部30を有する。また、天板部30の外周にはフランジ部31を形成すると共に、ここから下に折り返して浅い壁部32を形成している。そして、壁部32に連続して、その下縁周囲に容器本体1の本体周縁部16に外嵌合可能な本体嵌合部33(特許請求の範囲に記載した第一嵌合部に相当する)を形成している。
【0032】
この実施形態において本体嵌合部33は、本体周縁部16を包囲するスカート状の垂下部33aの複数箇所に内向きに突出して本体周縁部16の下縁に係合可能な係合部33bを周方向に間欠的に設けている。このように係合部33bを間欠的に設けた場合、個々の長さ、それぞれの間隔や個数を変更することで、当該本体嵌合部33の嵌合力を調整することができる。なお、本体嵌合部33を全周に亘って係合部を形成したものとすることも本発明から排除するものではなく、その場合、最も嵌合力が高まる。
【0033】
また、この蓋体3には中容器2の閉蓋構造として、天板部30の板面内に中容器2の開口部20に合致する中容器嵌合部34(特許請求の範囲に記載した第二嵌合部に相当する)を形成している。この中容器嵌合部34は、本体嵌合部33を容器本体1に嵌合させた状態で、中容器2の開口部20に内嵌合するものであり、中容器2の開口部20内の段部20aの深さに対応して下方に突出した形態で、これを開口部20に嵌め込むことで中容器2を密封可能に閉蓋するものである。つまり、この蓋体3は、容器本体1と中容器2を同時に閉蓋することができるものである。
【0034】
一方、開蓋手段として、本体嵌合部33の一部には蓋体摘み部35(特許請求の範囲に記載した第一摘み部に相当する)を外向きに形成している。この蓋体摘み部35は、蓋体3を中容器2入りの容器本体1に嵌合したとき、図2に示したように、平面視で中容器摘み部23の上に重畳するものである。この実施形態では中容器摘み部23を完全に覆う大きさを有する三角形状としており、より小さな力で開蓋作業を行えるようにしている。また、蓋体摘み部35の頂角付近には三角形状の窪み36を形成している。この窪み36によって、中容器摘み部23と同様の作用効果が得られる。即ち、消費者等の使用者に対して、蓋体摘み部35の存在と摘む部分を触覚的に示す共に、図4に示したように、中容器摘み部23との密着を防止するスペーサーとしても機能する。
【0035】
上記構成からなる包装用容器の使用方法を説明すると、上述のように、容器本体1の決まった収容部12・13や中容器2に対象物を収容し、中容器2を容器本体1の専用収容部11に収容したうえで蓋体3によって閉蓋する。蓋体3は本体嵌合部33と中容器嵌合部34とによって容器本体1と中容器2を同時に閉蓋する。このとき中容器2は中容器嵌合部34が内嵌合して閉蓋されるため密封性が高く、収容物が流動性を有していても漏出することがない。また、中容器2は、下部が底面リブ10によって拘束され、上部は中容器摘み部23が容器本体1の凹状切欠き部17に係合するため、容器本体1内での位置ズレが確実に防止される。
【0036】
上記閉蓋状態にある包装用容器を開蓋するには、図5に示すように、蓋体摘み部35と中容器摘み部23をそれぞれ左右の手指LF・RFで摘み、蓋体摘み部35は上方に引っ張り上げると共に、中容器摘み部23は下方に引き下げる。このように蓋体摘み部35と中容器摘み部23を相対的に上下乖離することで、蓋体3を開蓋することができる。つまり、中容器摘み部35を引き下げることで、中容器2に下向きの力が作用し、その引き下げ力はフランジ部15を介して容器本体1にも作用する。このため、中容器2と容器本体1が同時に浮き上がりを抑制された状態となり、蓋体摘み部35を引っ張り上げることで、その付近から徐々に、本体嵌合部33と中容器嵌合部34の嵌合が同時に解除され、最終的に容器本体1と中容器2を一度に開蓋することができる。
【0037】
このように当該包装用容器では、その開蓋作業において、中容器摘み部23を引き下げることで中容器2と容器本体1を同時に安定させることができ、この状態で蓋体摘み部35を引っ張り上げれば、蓋体3だけをめくり上げるように分離することができる。したがって、この開蓋中に応力の反動は少なく、中容器2に流動性がある物を収容していても、その飛散を限りなく皆無とすることができる。
【0038】
なお、中容器摘み部23と蓋体摘み部35の関係について、図6図7は、本発明の第二・第三の実施形態を示している。第一実施形態では、蓋体摘み部35によって中容器摘み部23を完全に上から被覆する構成としていたが、図6に示した第二実施形態では、両者を重畳した際、中容器摘み部231の先端が蓋体摘み部351から突出するものとした。これによって、閉蓋状態にある容器を上から観察した際に、中容器摘み部231が蓋体摘み部351に埋没して見えなくならず、中容器摘み部231の存在を視覚的に示すことができる。また、長さも大きくなることで、より中容器摘み部231を摘まみやすくなる。
【0039】
これに対して図7に示した第三実施形態では、中容器摘み部232と蓋体摘み部352を実質的に重畳させることなく、平面視で左右に隣接させた構成である。この場合、両者が重畳しないので、中容器摘み部232と蓋体摘み部352が互いに干渉せず、それぞれをより摘まみやすくなり、開蓋作業を良好に行うことができるようになる。
【0040】
なお、何れの実施形態であっても、蓋体摘み部と中容器摘み部の上下関係については、側面視で蓋体摘み部が上側となり、中容器摘み部が下側となる。
【0041】
本発明は上述した実施形態に限定されず、中容器の密閉性をより高めるために、中容器嵌合部を中容器の開口部の内側と外側に同時に嵌合する内外嵌合式とすることができる。また、中容器摘み部と蓋体摘み部は、上記実施形態のように、閉蓋時に、平面視で上下に重畳させたたり、左右に隣接させることで開蓋操作性が高まるが、必ずしも、このように近接する位置とせず、離れて位置させた場合でも本発明の目的を達成できることもある。このほか、容器本体と蓋体の全体形状は平面視で矩形状、多角形状、楕円形状などから任意に選択することができることはもちろんである。
【符号の説明】
【0042】
1 容器本体
2 中容器
3 蓋体
10 底面リブ
11 中容器専用の収容部
12 半月状収容部
13 ポケット状収容部
14 開口部(容器本体)
15 フランジ部(容器本体)
16 本体外縁部
17 凹状切欠き部
20 開口部(中容器)
21 折り返し部
22 垂れ部
23 中容器摘み部
24 リブ
30 天板部
31 フランジ部(蓋体)
32 壁部
33 本体嵌合部
33a 垂下部
33b 係合部
34 中容器嵌合部
35 蓋体摘み部
36 窪み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7