(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118434
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】反応器具又は金型を洗浄するための水系洗浄剤及びそれを用いた反応器具又は金型の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20220805BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20220805BHJP
C11D 7/06 20060101ALI20220805BHJP
C11D 7/34 20060101ALI20220805BHJP
C23G 1/14 20060101ALI20220805BHJP
B08B 3/10 20060101ALN20220805BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D7/26
C11D7/06
C11D7/34
C23G1/14
B08B3/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014958
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000162076
【氏名又は名称】共栄社化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】重枝 治
(72)【発明者】
【氏名】西垣 忠善
(72)【発明者】
【氏名】衣川 雅之
【テーマコード(参考)】
3B201
4H003
4K053
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201BB01
3B201BB82
3B201BB87
3B201CB01
3B201CC01
4H003BA12
4H003DA05
4H003DA09
4H003DB03
4H003DC02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB22
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA36
4K053PA03
4K053QA07
4K053RA07
4K053RA08
4K053RA22
4K053RA23
4K053RA40
4K053RA55
4K053RA57
4K053SA06
4K053YA02
4K053YA03
(57)【要約】
【課題】 反応器具や金型に付着した樹脂等の不要物を容易に除去することができ、また、再利用が可能な水系洗浄剤を提供する。反応器具や金型から、樹脂等の不要物を容易に除去することができる反応器具又は金型の洗浄方法を提供する。
【解決手段】 芳香族系アルコール、無機系アルカリ化合物及び可溶化剤を含有する、反応器具又は金型を洗浄するための水系洗浄剤。芳香族系アルコール、無機系アルカリ化合物及び可溶化剤を含有する、水系洗浄剤を用いて、反応器具又は金型を洗浄する方法であって、
反応器具又は金型に付着した不要物に上記水系洗浄剤を付与して、不要物を膨潤・剥離させる工程(1)、
工程(1)で剥離した不要物を除去する工程(2)
を有する、反応器具又は金型の洗浄方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族系アルコール、無機系アルカリ化合物及び可溶化剤を含有する、反応器具又は金型を洗浄するための水系洗浄剤。
【請求項2】
上記芳香族系アルコールは、ベンジルアルコールである請求項1記載の水系洗浄剤。
【請求項3】
上記無機系アルカリ化合物は、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである請求項1又は2記載の水系洗浄剤。
【請求項4】
上記可溶化剤は、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩及びグリコール系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1~3いずれか1項に記載の水系洗浄剤。
【請求項5】
芳香族系アルコール、無機系アルカリ化合物及び可溶化剤を含有する、水系洗浄剤を用いて、反応器具又は金型を洗浄する方法であって、
反応器具又は金型に付着した不要物に上記水系洗浄剤を付与して、不要物を膨潤・剥離させる工程(1)、
工程(1)で剥離した不要物を除去する工程(2)
を有する、反応器具又は金型の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応器具又は金型を洗浄するための水系洗浄剤及びそれを用いた反応器具又は金型の洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モノマーや樹脂を製造する際に使用する反応釜等の反応器具や、樹脂成型に使用する金型は、使用後、その内部にゲル化物や樹脂が付着するため、定期的に洗浄して、それらを除去する必要がある。従来、反応釜を洗浄するにあたっては、人が釜内に入り、ヘラ等を用いて不要物を削り落とし、除去する等といった手作業に頼らざるを得ない場合があり、煩雑さや危険が伴うことがあった。また、手作業では洗浄が不十分であったり、洗浄に多くの時間を費やなければばらなかったり、洗浄効率が必ずしも高いものとはいえなかった。
【0003】
そこで、金属製容器に付着した感光性組成物を、ジエチレングリコールアルキルエーテル、キシレンスルホン酸ナトリウム及びケイ酸ナトリウムを少なくとも含有する準水系の洗浄液を使用して超音波洗浄を行うことにより除去する工程を含む金属製容器の洗浄方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この方法は、洗浄液による化学的作用による洗浄効果だけでなく、超音波による物理的作用による洗浄効果を併用させる必要がある。
【0004】
また、熱可塑性アクリル共重合体を合成したステンレス鋼製反応容器中の熱可塑性アクリル共重合体由来の付着物を除去するために、アルカリ金属水酸化物と、炭素数2または3の1価アルコール1種以上とを、特定量含有する洗浄水溶液を用いて洗浄する方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、この方法は、熱可塑性アクリル共重合体由来の付着物を、溶解させることにより付着物を除去するものであるため、付着物を溶解させるために長時間を要し、結果として、洗浄に時間がかかり、また、洗浄により生じた廃液の処理が必要であったり、使用した洗浄水溶液の再利用が難しかったりするといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-159180号公報
【特許文献2】特開2012-5952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、反応器具や金型に付着した樹脂等の不要物を容易に除去することができ、また、再利用が可能な水系洗浄剤を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、反応器具や金型から、樹脂等の不要物を容易に除去することができる反応器具又は金型の洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、芳香族系アルコール、無機系アルカリ化合物及び可溶化剤を含有する、反応器具又は金型を洗浄するための水系洗浄剤である。
【0008】
上記芳香族系アルコールは、ベンジルアルコールであることが好ましい。
上記無機系アルカリ化合物は、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムであることが好ましい。
【0009】
上記可溶化剤は、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩及びグリコール系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、芳香族系アルコール、無機系アルカリ化合物及び可溶化剤を含有する水系洗浄剤を用いて、反応器具又は金型を洗浄する方法であって、
反応器具又は金型に付着した不要物に上記水系洗浄剤を付与して、不要物を膨潤・剥離させる工程(1)、
工程(1)で剥離した不要物を除去する工程(2)
を有する、反応器具又は金型の洗浄方法でもある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の反応器具又は金型を洗浄するための水系洗浄剤により、反応器具や金型から、樹脂等の不要物を容易に除去することができる。また、使用後の水系洗浄剤は、濾過等の処理を施すことにより再利用することができるものである。
また、本発明の反応器具又は金型の洗浄方法により、反応器具や金型から、樹脂等の不要物を容易に除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水系洗浄剤は、反応器具又は金型を洗浄するためのものであり、芳香族系アルコール、無機系アルカリ化合物及び可溶化剤を含有する。
【0013】
本発明においては、芳香族系アルコール、無機系アルカリ化合物及び可溶化剤を組み合わせた水系洗浄剤とすることで、反応器具や金型に付着した樹脂等の不要物を、比較的短時間で膨潤させて反応器具等の表面から剥離させることができるものである。
本発明の水系洗浄剤は、各種成分が均一に可溶化した状態の洗浄剤となり、よって、洗浄剤の不要物への浸透性が良好となり、不要物が早期に膨潤し、反応器具等からの不要物の剥離がスムーズに行える。
【0014】
このように、本発明の水系洗浄剤により、従来の水系又は溶剤系の洗浄剤では溶解しにくく、洗浄が難しかった不要物を、膨潤・剥離させることにより容易に除去することができるものである。
【0015】
本発明において使用する上記芳香族系アルコールは、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール、ヒドロキシフェネチルアルコール等が挙げられる。
特に、ベンジルアルコールが、低毒性であり、また、水への可溶性、入手のし易さ等の点で好適である。
【0016】
本発明においては、1気圧(atm)における沸点が100℃以上である芳香族系アルコールを用いることが好ましい。より好ましくは、200℃以上である。沸点が高いことで、引火性ではない水系洗浄剤とすることができ、安全面で良好である。
【0017】
本発明において使用する上記無機系アルカリ化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられ、これらから選択される少なくとも1種を用いる。
中でも、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが、アルカリ性の強さの点から好ましい。
【0018】
本発明において使用する上記可溶化剤は、芳香族系アルコール等を均一に混合することができる成分であり、芳香族スルホン酸塩、グリコール系溶剤、アルカノールアミン等が挙げられる。可溶化剤を用いることにより、各成分と水とを均一に混合することができる。各成分が均一に混合された水系洗浄剤とすることで、不要物に対して有効に作用する。
中でも、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩及びグリコール系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0019】
上記トルエンスルホン酸塩とキシレンスルホン酸塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウムの塩が挙げられ、中でも、ナトリウム塩が好適である。特に、パラトルエンスルホン酸ナトリウムが、安全性の点で好ましい。
【0020】
上記グリコール系溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。中でも、プロピレングリコールが、可溶化能力の点で好ましい。
また、ジエチレングリコールアルキルエーテル等のグリコールアルキルエーテルを用いても良い。
【0021】
本発明において、水系洗浄剤中、上記芳香族系アルコールは、20~90質量%含まれていることが好ましい。含有量の下限は、より好ましくは30質量%であり、更に好ましくは35質量%であり、最も好ましくは40質量%である。一方、含有量の上限は、より好ましくは60質量%であり、更に好ましくは50質量%である。
芳香族系アルコールが、少なすぎると、洗浄性が低下する傾向にあり、反対に、多すぎると、塩類の析出が起こる傾向にある。
【0022】
水系洗浄剤中、上記無機系アルカリ化合物は、1~10質量%含まれていることが好ましい。含有量は、より好ましくは1~5質量%であり、更に好ましくは1~2質量%である。
無機系アルカリ化合物が、少なすぎると、洗浄性の低下が起こる場合があり、反対に、5質量%を超えると、劇物に指定されることから取り扱いが煩雑となる場合がある。
【0023】
水系洗浄剤中、上記可溶化剤は、5~30質量%含まれていることが好ましい。含有量の下限は、より好ましくは12質量%であり、更に好ましくは15質量%である。一方、含有量の上限は、より好ましくは25質量%である。
可溶化剤が、少なすぎると、芳香族系アルコールが可溶化しない傾向にあり、反対に、多すぎると、塩類の析出が起こる傾向にある。
【0024】
上記各成分を含有する、本発明の水系洗浄剤は、不要物の洗浄効果に優れたものである。
本発明の水系洗浄剤は、上記各原料と水とを、常法により、撹拌等行い、混合することにより調製すればよい。
【0025】
本発明の水系洗浄剤のpHは、13.0以上であることが好ましい。pHが13.0未満であると、洗浄性の低下が起こる。
【0026】
更に、本発明の水系洗浄剤は、キレート剤を含有していることが好ましい。キレート剤を含有することで、無機スケールの除去という点で有利に働く。
【0027】
上記キレート剤としては、アミノカルボン酸系キレート剤が好ましく、具体的には、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミン-N,N-ジコハク酸(EDDS)等が挙げられる。中でも、NTAがキレート力の点で好ましい。
【0028】
また、上記キレート剤は1種でも、2種以上を併用してもよい。
また、キレート剤の含有量は、水系洗浄剤中、0.1~1.0質量%であることが好ましい。
【0029】
本発明の水系洗浄剤に、その他、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤の内、1種以上配合しても良い。
【0030】
本発明において洗浄する上記反応器具としては、金属製等の反応釜、バッフル板、撹拌翼、導管、接続治具等の装置部材等が挙げられる。
また、上記金型は、樹脂等を成型する際に使用する金属製金型等が挙げられる。
【0031】
本発明において洗浄の対象となる樹脂等の不要物は、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物等のモノマーの製造時に発生するゲル化物、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン樹脂等の残留樹脂やそれら樹脂由来のゲル化物、シリカ等が挙げられる。
【0032】
反応釜内に付着するものとして、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の残留樹脂やそれら樹脂由来のゲル化物、アクリル酸、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物等のモノマーを製造時に発生するゲル化物、シリカ等が挙げられる。また、装置部材に付着または堆積するものとして、エポキシ系樹脂由来の汚れ、イソシアネート系化合物由来の汚れ、シリコーン樹脂由来の汚れ等が挙げられる。また、金型に付着するものとして、シリコーン樹脂、各種ゴム等が挙げられる。
【0033】
本発明においては、従来の水系又は溶剤系の洗浄剤では除去が難しかった、カルボン酸等(由来)のゲル化物も良好に洗浄することができる。
【0034】
特に、本発明は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の洗浄に効果的である。
【0035】
本発明の反応器具又は金型の洗浄方法は、上記水系洗浄剤を用いて、
反応器具又は金型に付着した不要物に上記水系洗浄剤を付与して、不要物を膨潤・剥離させる工程(1)、
工程(1)で剥離した不要物を除去する工程(2)
を有するものである。
【0036】
工程(1)において、具体的には、反応釜の場合は、例えば、釜内に水系洗浄剤を入れ、不要物が十分水系洗浄剤に浸かるようにする。また、装置部材や金型等の場合は、例えば、それらを洗浄液に漬け込む。
【0037】
洗浄において、水系洗浄剤は、水分含有量が10~80質量%であることが好ましい。より好ましくは20~40質量%である。
【0038】
このとき、洗浄時の水系洗浄剤の温度は、60~100℃とすることが好ましい。より好ましくは、70~90℃である。なお、不要物の付着状態等によっては、常温でもよい。
【0039】
浸漬時間は、不要物の種類や付着具合により適宜設定すればよく、例えば、1分間~2時間程度が好適である。より好ましくは、30分間~1時間である。
また、浸漬時には、反応釜であれば、釜内を、プロペラを回転させること等により撹拌し、水流を発生させることが好適である。このようにすることで、より早く洗浄することができる。
【0040】
上記のように、不要物を本発明の水系洗浄剤に浸漬することにより、水系洗浄剤が不要物に浸透し、徐々に不要物が膨潤し、反応器具や金型から剥離する。
【0041】
次いで、工程(2)において、水等を用いて、水系洗浄剤と剥離した不要物とを洗い流し、除去する。更には、剥離しきれなかった不要物を、水流により剥離し、除去するようにしてもよい。
【0042】
反応釜の場合、高圧洗浄機を用いて、釜内部を水洗することが好適である。
また、アルコールやアセトン等の有機溶剤を用いて洗い流すようにすると、水系洗浄剤をより確実に除去でき、好適である。
【0043】
不要物を除去した後、必要に応じて、空気流の吹き付けや乾燥機等により、反応器具や金型を乾燥するようにしてもよい。
【0044】
本発明の洗浄方法により、樹脂等の不要物を、容易に除去することができる。よって、反応釜に人が入って清掃したり、ヘラ等で削り落としたりするような、危険を伴う作業を行わなくてもよい。
また、不要物の水系洗浄剤への浸漬と水等で洗い流すことによる不要物の除去といった簡易な操作で、洗浄が可能となるので、洗浄工程の時間短縮が図れる。
【0045】
また、不要物の付着が強固でない場合には、常温の水系洗浄剤をかけ流すことによって洗浄するようにしてもよい。
【0046】
また、本発明の洗浄方法の前に、水や有機溶剤等により、予備洗浄することが好ましい。
これにより、水系洗浄剤の再利用回数を増やすことができる。
【0047】
反応釜や金型を洗浄した後の洗浄液については、フィルター等を使用して、固形分を濾過して取り除き、液状物を回収することか好ましい。回収した液状物は、必要に応じて、余分な水や有機溶剤を蒸留等により除去することで、または、各成分の含有量を調整することで、水系洗浄剤として再利用することができる。
【実施例0048】
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例中、「部」「%」とある場合は、特に限定のない限りは、「質量部」「質量%」をあらわす。
【0049】
(実施例1)
ベンジルアルコール50%、パラトルエンスルホン酸ナトリウム15%、水酸化ナトリウム2%、水33%を混合して剥離洗浄剤とした。得られた剥離洗浄剤の可溶化状態について、以下の基準で判定した。また、得られた剥離洗浄剤を用いて、以下の方法にてウレタン樹脂の剥離試験を行った。
【0050】
<可溶化判定基準>
調製した剥離洗浄剤の可溶化状態を判定した。
〇:透明均一
×:分離もしくは固形分が析出
【0051】
(試験方法)
(1)30×50mmのステンレス板(JISG4305 SUS304)にウレタン樹脂0.5gを塗布し、80℃で3時間焼き付け、これを試験片とした。
(2)剥離洗浄剤120gを80℃に昇温した後、(1)の試験片を浸漬し剥離状態を確認した。
(3)下記の基準により判定した。
【0052】
<剥離判定基準>
◎:15分以内に100%剥離
〇:30分以内に100%剥離
△:45分以内に100%剥離
×:1時間でも剥離せず
【0053】
(実施例2~5)
剥離洗浄剤の組成を、表1に示すようにした他は、実施例1と同様にして、各判定を行った。
【0054】
(比較例1~5)
剥離洗浄剤の組成を、表2に示すようにした他は、実施例1と同様にして、各判定を行った。なお、比較例1で使用したSCウォッシュ1313(共栄社化学株式会社製)は界面活性剤主体の製造設備用洗浄剤である。
【0055】
【0056】
【0057】
表1、2の結果より、実施例の剥離洗浄剤は、剥離洗浄剤の可溶化状態、剥離性能を満足するものであった。一方、比較例の剥離洗浄剤は、ウレタン樹脂が剥離せず、洗浄が不十分であった。