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特開2022-118443光拡散性樹脂組成物およびその成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118443
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】光拡散性樹脂組成物およびその成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20220805BHJP
   C08K 5/11 20060101ALI20220805BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20220805BHJP
   C08K 5/372 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
C08L69/00
C08K5/11
C08K5/524
C08K5/372
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021014984
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】石谷 吉進
(72)【発明者】
【氏名】首藤 弘
(72)【発明者】
【氏名】三宅 利往
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BG052
4J002BG062
4J002CG011
4J002CG021
4J002CP032
4J002EH038
4J002EH048
4J002EH058
4J002EH106
4J002EV067
4J002EW067
4J002FD056
4J002FD067
4J002FD168
4J002FD202
4J002GP00
(57)【要約】
【課題】良好な光透過性、耐候性、色相、光拡散性および耐蒸気性に優れた屋外用光学透明部材などとして有用な光拡散性樹脂組成物および該樹脂組成物から形成された成形体を提供する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、光拡散剤(B)0.05~10.0質量部および、マロン酸エステル系紫外線吸収剤(C)を0.15~2.0質量部含有した光拡散性樹脂組成物であって、光拡散剤の量(b)に対するマロン酸エステル系紫外線吸収剤の量(c)の割合c/bが0.2以上であることを特徴とする光拡散性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、光拡散剤(B)0.05~10.0質量部および、マロン酸エステル系紫外線吸収剤(C)を0.15~2.0質量部含有した光拡散性樹脂組成物であって、光拡散剤の量(b)に対するマロン酸エステル系紫外線吸収剤の量(c)の割合c/bが0.2以上であることを特徴とする光拡散性樹脂組成物。
【請求項2】
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、熱安定剤(D)を0.01~0.1質量部含有した請求項1に記載の光拡散性樹脂組成物。
【請求項3】
熱安定剤(D)が下記式(X)で示されるリン系安定剤および/または下記式(Y)で示される硫黄系安定剤である請求項2に記載の光拡散性樹脂組成物。
【化1】
【化2】
(式(Y)中のRはドデシル基を示す。)
【請求項4】
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、離型剤(E)を0.1~0.5質量部含有した請求項1~3のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物から形成された成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散性樹脂組成物およびその成形体に関する。特に、屋外用光学部材などとして有用な良好な光透過性、耐候性、優れた色相、光拡散性および耐蒸気性を有した光拡散性樹脂組成物および該樹脂組成物から形成された成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から各種照明カバー、ディスプレイ、自動車メータ、各種銘板などの光拡散性が要求される用途に、芳香族ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂といった透明性樹脂に有機物や無機物の光拡散剤を分散させた材料が広く用いられている。この様な透明性樹脂の中で特に芳香族ポリカーボネート樹脂は機械的特性、耐熱性、耐候性に優れている上、高い光線透過率を備えた樹脂として幅広く使用されている。また光拡散剤としては、架橋構造を有する有機系粒子があり、さらに詳しくは架橋アクリル系粒子、架橋シリコーン系粒子や架橋スチレン系粒子などが挙げられる。さらに炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、弗化カルシウムなどの無機系粒子あるいはガラス短繊維などの無機系繊維がある。芳香族ポリカーボネート樹脂に光拡散剤を分散させた材料は、光源のLED化に伴い、その良好な耐熱性と機械特性から需要が伸びてきているが、LEDチップの長寿命化に伴い、樹脂材料の光学特性の改良について、特には耐候性について更なる改善が求められている。
【0003】
従来、芳香族ポリカーボネートの耐候性を向上させる方法として、各種紫外線吸収剤を添加する方法が知られている。例えば、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤5質量部~25質量部と蛍光増白剤0.1~10質量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。しかしながら、紫外線吸収剤及び蛍光増白剤の含有率が高いので熱加工時のガスが問題になり、かつ、紫外線吸収剤の最長吸収波長が390nmと可視光に近いため色相も悪く、商品価値の低いものであった。
【0004】
また、特許文献2には、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、350~400nmの紫外線領域に極大吸収波長を有しないベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物及びトリアジン系化合物から選ばれた紫外線吸収剤0.05質量部以上で2質量部未満と、蛍光増白剤0.00001~1質量部とを含有させてなるポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。しかしながら、350~400nmに極大吸収波長を有しないベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物及びトリアジン系化合物から選ばれた紫外線吸収剤の配合では、色相の非常に劣るポリカーボネート樹脂組成物しか得られなかった。
【0005】
一方、特許文献3~5には、メタクリル酸メチル系樹脂100質量部に対し、マロン酸エステル類を0.0005~0.1質量部含有する樹脂組成物が開示されているが、芳香族ポリカーボネートに関する記載は全くない。
【0006】
また、特許文献6には、芳香族ポリカーボネート樹脂にマロン酸エステルを含有する樹脂組成物が開示されている。しかしながら、具体的にはマロン酸エステルの含有量が少なく、良好な耐候性と、色相および耐蒸気性とのバランスに優れる樹脂組成物を得ることついて不十分であった。
【0007】
さらに、特許文献7には、芳香族ポリカーボネート樹脂に光拡散剤およびマロン酸エステルを含有する光拡散性樹脂組成物が開示されている。しかしながら耐候性と光拡散性の
バランスに優れる樹脂組成物を得ることについて不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平07-196904号公報
【特許文献2】特開2002-003710号公報
【特許文献3】特開2002-105271号公報
【特許文献4】特開2003-025406号公報
【特許文献5】特開2003-026888号公報
【特許文献6】特開2006-83230号公報
【特許文献7】特開2006-117822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点をすべて解決し、良好な光透過性、耐候性、色相、光拡散性および耐蒸気性に優れた屋外用光学透明部材などとして有用な光拡散性樹脂組成物および該樹脂組成物から形成された成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、芳香族ポリカーボネート樹脂に光拡散剤およびマロン酸エステル系紫外線吸収剤を特定の比率で配合することにより、良好な光透過性、耐候性、色相、光拡散性および耐蒸気性に優れた屋外用光学透明部材などとして有用な光拡散性樹脂組成物および該樹脂組成物から形成された成形体が上記目的を達成することを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、下記(構成1)~(構成5)が提供される。
【0011】
(構成1)
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、光拡散剤(B)0.05~10.0質量部および、マロン酸エステル系紫外線吸収剤(C)を0.15~2.0質量部含有した光拡散性樹脂組成物であって、光拡散剤の量(b)に対するマロン酸エステル系紫外線吸収剤の量(c)の割合c/bが0.2以上であることを特徴とする光拡散性樹脂組成物。
【0012】
(構成2)
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、熱安定剤(D)を0.01~0.1質量部含有した上記構成1に記載の光拡散性樹脂組成物。
【0013】
(構成3)
熱安定剤(D)が下記式(X)で示されるリン系安定剤および/または下記式(Y)で示される硫黄系安定剤である上記構成2に記載の光拡散性樹脂組成物。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
(式(Y)中のRはドデシル基を示す。)
【0016】
(構成4)
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、離型剤(E)を0.1~0.5質量部含有した上記構成1~3のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
(構成5)
上記構成1~4のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物から形成された成形体。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光拡散性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート本来の特性を損なうことなく、良好な光透過性、耐候性、色相、光拡散性および耐蒸気性に優れた屋外用光学透明部材などとして有用な光拡散性樹脂組成物であり、その奏する産業上の効果は格別である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
(芳香族ポリカーボネート樹脂(A))
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0020】
ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、ビスフェノール類でも脂肪族ジオール類でも良い。
【0021】
ビスフェノール類としては、例えば4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,3’-ビフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエ-テル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエ-テル、4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’-ジメチル-4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’-ジフェニル-4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’-(1,3-アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、および下記一般式〔1〕
【0022】
【化3】
【0023】
(上記一般式〔1〕において、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は、各々独立に水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~12の置換若しくは無置換のアリール基であり、cは自然数であり、dは0又は自然数であり、c+dは150以下の自然数である。Xは炭素数2~8の二価脂肪族基である。)
で表されるシロキサン構造を有するビスフェノール化合物等が挙げられる。
【0024】
脂肪族ジオール類としては、例えば2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、1,14-テトラデカンジオール、オクタエチレングリコール、1,16-ヘキサデカンジオール、4,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}メタン、1,1-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}エタン、1,1-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-1-フェニルエタン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル}プロパン、1,1-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス{4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,3’-ビフェニル}プロパン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル}プロパン、2,2-ビス{3-t-ブチル-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}ブタン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-4-メチルペンタン、2,2-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}オクタン、1,1-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}デカン、2,2-ビス{3-ブロモ-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2-ビス{3,5-ジメチル-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2-ビス{3-シクロヘキシル-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、1,1-ビス{3-シクロヘキシル-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}ジフェニルメタン、9,9-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン、9,9-ビス{4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル}フルオレン、1,1-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,1-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロペンタン、4,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ-テル、4,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-3,3’-ジメチルジフェニルエ-テル、1,3-ビス[2-{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,3-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、4,8-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3-ビス{(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-5,7-ジメチルアダマンタン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール(イソソルビド)、1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-マンニトール(イソマンニド)、1,4:3,6-ジアンヒドロ-L-イジトール(イソイディッド)等が挙げられる。
【0025】
これらの中で芳香族ビスフェノール類が好ましく、なかでも1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-スルホニルジフェノール、2,2’-ジメチル-4,4’-スルホニルジフェノール、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,3-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および1,4-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、が好ましく、殊に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパンおよび9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレンが好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0026】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、下記一般式〔2〕で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
【0027】
【化4】
【0028】
[上記一般式〔2〕において、R及びRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~18のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~14のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、a及びbは夫々1~4の整数であり、Wは単結合もしくは下記一般式〔3〕および〔4〕で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
【0029】
【化5】
【0030】
(上記一般式〔3〕においてR,R,R,R,R,R,R及びR10は夫々独立して水素原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数6~14のアリール基及び炭素原子数7~20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表し、R11及びR12は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~10のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、cは1~10の整数、dは4~7の整数である。)]
【0031】
【化6】
【0032】
(上記一般式〔4〕において、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は、各々独立に水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~12の置換若しくは無置換のアリール基であり、cは自然数であり、dは0又は自然数であり、c+dは150以下の自然数である。Xは炭素数2~8の二価脂肪族基である。)
【0033】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、分岐化剤を上記のジヒドロキシ化合物と併用して分岐化ポリカーボネート樹脂としてもよい。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6-ジメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキジフェニル)ヘプテン-2、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、4-{4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}-α,α-ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4-ビス(4,4-ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0034】
これらのポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。その製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
【0035】
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0~40℃であり、反応時間は数分~5時間である。カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120~300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0036】
本発明において、重合反応においては末端停止剤を使用する。末端停止剤は分子量調節のために使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる末端停止剤としては、下記一般式〔5〕~〔7〕で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0037】
【化7】
【0038】
[式中、Aは水素原子、炭素数1~9のアルキル基、アルキルフェニル基(アルキル部分の炭素数は1~9)、フェニル基、またはフェニルアルキル基(アルキル部分の炭素数1~9)であり、rは1~5、好ましくは1~3の整数である]。
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
[式中、Xは-R-O-、-R-CO-O-または-R-O-CO-である、ここでRは単結合または炭素数1~10、好ましくは1~5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10~50の整数を示す。]
【0042】
上記一般式〔5〕で表される単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、イソプロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-クレゾール、p-クミルフェノール、2-フェニルフェノール、4-フェニルフェノール、およびイソオクチルフェノールなどが挙げられる。また、上記一般式〔6〕~〔7〕で表される単官能フェノール類は、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類であり、これらを用いてポリカーボネート樹脂の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、樹脂の吸水率を低くする効果があり好ましく使用される。上記一般式〔6〕の置換フェノール類としてはnが10~30、特に10~26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。また、上記一般式〔7〕の置換フェノール類としてはXが-R-CO-O-であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10~30、特に10~26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。これら単官能フェノール類の内、上記一般式〔5〕で表される単官能フェノール類が好ましく、より好ましくはアルキル置換もしくはフェニルアルキル置換のフェノール類であり、特に好ましくはp-tert-ブチルフェノール、p-クミルフェノールまたは2-フェニルフェノールである。これらの単官能フェノール類の末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0043】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。
【0044】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、13,000~50,000の範囲が好ましく、16,000~30,000がより好ましく、18,000~28,000の範囲がさらにより好ましく、19,000~26,000の範囲が最も好ましい。分子量が50,000を越えると溶融粘度が高くなりすぎて成形性に劣る場合があり、分子量が13,000未満であると機械的強度に問題が生じる場合がある。なお、本発明でいう粘度平均分子量は、まず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0045】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、樹脂中の全Cl(塩素)量が好ましくは0~200ppm、より好ましくは0~150ppmである。ポリカーボネート樹脂中の全Cl量が200ppmを越えると、色相および熱安定性が悪くなるので好ましくない。
【0046】
(光拡散剤(B))
本発明で使用される光拡散剤は、高分子微粒子に代表される有機系微粒子、並びに無機系微粒子の何れであってもよい。高分子微粒子としては、非架橋性モノマーと架橋性モノマーとを重合して得られる架橋粒子が代表的に例示される。さらにかかるモノマー以外の他の共重合可能なモノマーを使用することもできる。なかでも、高分子微粒子が好ましく、特に架橋粒子が好適に使用できる。
【0047】
かかる架橋粒子において、非架橋性モノマーとして使用されるモノマーとして、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー、アクリロニトリル系モノマー等の非架橋性ビニル系モノマー及びオレフィン系モノマー等を挙げることができる。
【0048】
アクリル系モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、およびフェニルメタクリレート等を単独でまたは混合して使用することが可能である。このなかでも特にメチルメタクリレートが好ましい。
【0049】
また、スチレン系モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルスチレン(ビニルトルエン)、およびエチルスチレン等のアルキルスチレン、並びにブロモ化スチレンの如きハロゲン化スチレンを使用することができ、特にスチレンが好ましい。
【0050】
アクリロニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルを使用することができる。また、オレフィン系モノマーとしては、エチレンおよび各種ノルボルネン型化合物等を使用することができる。さらに、他の共重合可能な他のモノマーとして、グリシジルメタクリレート、N-メチルマレイミド、および無水マレイン酸等を例示することができる。本発明の有機架橋粒子は結果としてN-メチルグルタルイミドの如き単位を有することもできる。
【0051】
一方、かかる非架橋性ビニル系モノマーに対する架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、およびN-メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。また、他の架橋粒子としては、ポリオルガノシルセスキオキサンに代表されるシリコーン架橋粒子を挙げることができる。
【0052】
本発明で使用される光拡散剤の平均粒径は0.01~50μmであることが好ましく、より好ましくは1~30μm、さらに好ましく2~30μmである。平均粒径が0.01μm未満あるいは50μmを超えると光拡散性が不足する場合がある。かかる平均粒径は、レーザー回折・散乱法で求められる粒度の積算分布の50%値(D50)で表されるものである。粒子径の分布は単一であっても複数であってもよい。すなわち平均粒径の異なる2種以上の光拡散剤を組み合わせることが可能である。しかしながらより好ましい光拡散剤は、その粒径分布の狭いものである。平均粒径の前後2μmの範囲に、粒子の70質量%以上が含有される分布を有するものがより好ましい。光拡散剤の形状は、光拡散性の観点から球状に近いものが好ましく、真球状に近い形態であるほどより好ましい。かかる球状には楕円球を含む。
【0053】
本発明で使用される光拡散剤の屈折率は、1.30~1.80の範囲が好ましく、より好ましくは1.33~1.70、さらに好ましくは1.35~1.65の範囲である。これらは樹脂組成物に配合した状態において十分な光拡散機能を発揮する。
【0054】
本発明で使用される光拡散剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂成分100質量部に対して、0.05~10.0質量部であり、好ましくは0.1~7.0質量部、より好ましくは0.15~5.0質量部、さらに好ましくは0.2~2.0質量である。光拡散剤の含有量が0.05質量部未満である場合十分な光拡散性が得られず、10質量部より多くなると、全光線透過率や耐候性が低下する。
【0055】
(マロン酸エステル系紫外線吸収剤(C))
本発明で使用される紫外線吸収剤はマロン酸エステル系紫外線吸収剤である。マロン酸エステル系紫外線吸収剤としては、耐久性の観点から、2-(1-アリールアルキリデン)マロン酸エステル類が好ましく使用される。マロン酸エステル系紫外線吸収剤は、クラリアントジャパン(株)製 Hostavin PR-25やクラリアントジャパン(株)製 Hostavin B-CAPなどが市販されている。
【0056】
マロン酸エステル系紫外線吸収剤の使用量は、芳香族ポリカーボネート100質量部に対し、0.15~2.0質量部であり、0.2~1.6質量部が好ましく、0.25~1.0質量部がより好ましく、0.3~0.5質量部がさらに好ましい。0.15質量部未満では、充分な耐候性を得ることができず、2.0質量部を超えると、紫外線吸収剤のブリードアウトによる加工時のガス発生の問題や全光線透過率、耐候性および機械的強度の低下が起こるので好ましくない。
【0057】
光拡散性樹脂組成物からなる成形体に光を透過させる場合、透明樹脂からなる成形体と比較して成形体中で光が拡散し、光の透過路が長くなってしまうため、光拡散性に対して十分な紫外線吸収剤を使用する必要がある。具体的には光拡散剤の使用量(b)に対するマロン酸エステル系紫外線吸収剤の使用量(c)の割合c/bが0.2以上であることが必要であり、0.25以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。c/bが0.2未満であると充分な耐候性を得ることができず好ましくない。
【0058】
(熱安定剤(D))
本発明で好ましく使用される熱安定剤(D)は、リン系熱安定剤および/または硫黄系熱安定剤が好ましい。
【0059】
リン系熱安定剤としては、亜リン酸エステルまたはリン酸エステルが好ましい。亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル等が挙げられる。
【0060】
また、リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2-エチルフェニルジフェニルホスフェート、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4-ジフェニレンホスフォナイト等が挙げられる。
【0061】
リン系熱安定剤の中でも、上記式(X)で示されるトリス(2,4-ジ-tert.-ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。具体的にはBASF社製「IRGAFOS 168 FF」が市販されている。
【0062】
硫黄系熱安定剤としては例えば、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル-3,3’-チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2-メチル-4-(3-ラウリルチオプロピオニルオキシ)-5-tert-ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプト-6-メチルベンズイミダゾール、1,1’-チオビス(2-ナフトール)などを挙げることができる。
【0063】
硫黄系熱安定剤の中でも、上記式(Y)で示されるペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。具体的には住友化学(株)社製「スミライザーTP‐D」が市販されている。
【0064】
熱安定剤の使用量は芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.01~0.1質量部が好ましく、0.02~0.08質量部がより好ましく、0.03~0.07質量部がさらに好ましい。上記範囲内では、充分な熱安定性を得ることができ、耐蒸気性に優れる。
【0065】
(離型剤(E))
本発明で好ましく使用される離型剤としては、例えば、脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1-アルケン重合体などであり、酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。これらの中でも入手の容易さ、離型性および透明性の点から脂肪酸エステルが好ましい。
【0066】
かかる離型剤を含有させる割合は、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~0.5質量部、より好ましくは0.15~0.4質量部、さらに好ましくは0.2~0.3質量部である。上記範囲であると、離型性が良好で、耐蒸気性に優れ、成形時の金型汚染も低減される。
【0067】
上記離型剤の中でも脂肪酸エステルが好ましく用いられる。脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数としては、好適には3~32の範囲、より好適には5~30の範囲である。かかる一価アルコー
ルとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール~ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられる。脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。
【0068】
一方、脂肪族カルボン酸は炭素数3~32であることが好ましく、特に炭素数10~22の脂肪族カルボン酸が好ましい。該脂肪族カルボン酸としては、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、イコサン酸、およびドコサン酸(ベヘン酸)などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中でも脂肪族カルボン酸は、炭素原子数14~20であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。かかる脂肪族カルボン酸は通常、動物性油脂(牛脂および豚脂など)や植物性油脂(パーム油など)などの天然油脂類から製造されるため、これらの脂肪族カルボン酸は、通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。したがって脂肪族カルボン酸の製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなる。脂肪酸エステルにおける酸価は、20以下(実質的に0を取り得る)であることが好ましい。しかしながら全エステル(フルエステル)の場合には、離型性を向上させるため、少なくからず遊離の脂肪酸を含有することが好ましく、この点においてフルエステルにおける酸価は3~15の範囲が好ましい。また脂肪酸エステルのヨウ素価は、10以下(実質的に0を取り得る)が好ましい。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
【0069】
前述の脂肪酸エステルは、部分エステルおよびフルエステルのいずれであってもよいが、より良好な離型性および耐久性の点で部分エステルが好ましく、特にグリセリンモノエステルが好ましい。グリセリンモノエステルは、グリセリンと脂肪酸のモノエステルが主成分であり、好適な脂肪酸としてはステアリン酸、パルチミン酸、ベヘン酸、アラキン酸、モンタン酸、およびラウリン酸等の飽和脂肪酸やオレイン酸、リノール酸、およびソルビン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられ、特にステアリン酸、ベヘン酸、およびパルチミン酸のグリセリンモノエステルを主成分としたものが好ましい。尚、かかる脂肪酸は、天然の脂肪酸から合成されたものであり、上述のとおり混合物となる。そのような場合でも、脂肪酸エステル中のグリセリンモノエステルの割合は60質量%以上であることが好ましい。
【0070】
なお、部分エステルは、熱安定性の点ではフルエステルに対して劣る場合が多い。かかる部分エステルの熱安定性を向上するため、部分エステルは、好ましくは20ppm未満、より好ましくは5ppm未満、更に好ましくは1ppm未満のナトリウム金属含有量とすることが好ましい。ナトリウム金属含有量が1ppm未満の脂肪酸部分エステルは、脂肪酸部分エステルを通常の方法で製造した後、分子蒸留などにより精製して製造することができる。
【0071】
具体的には、スプレーノズル式脱ガス装置によりガス分および低沸点物質を除去した後に流下膜式蒸留装置を用い蒸留温度120~150℃、真空度0.01~0.03kPaの条件にてグリセリン等の多価アルコール分を除去し、更に遠心式分子蒸留装置を用いて、蒸留温度160~230℃、真空度0.01~0.2Torrの条件にて高純度の脂肪酸部分エステルを留出分として得る方法などがあり、ナトリウム金属は蒸留残渣として除去できる。得られた留出分に対し、繰り返し分子蒸留を行うことにより、更に純度を上げ、ナトリウム金属含有量の更に少ない脂肪酸部分エステルを得ることもできる。また前もって適切な方法にて分子蒸留装置内を十分に洗浄し、また気密性を高めるなどにより外部環境からのナトリウム金属成分の混入を防ぐことも肝要である。かかる脂肪酸エステルは、専門業者(例えば理研ビタミン(株))から入手可能である。
【0072】
本発明の光拡散性樹脂組成物には、必要に応じて例えば、他の紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系、環状イミノエステル系、シアノアクリレート系など)、帯電防止剤、着色剤、流動性改良剤、難燃剤、凝集防止剤等を更に添加してもよい。
【0073】
本発明の光拡散性樹脂組成物の混合及び混練は、通常の熱可塑性樹脂に適用される方法で行えばよく、例えばリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリユー押出機、多軸スクリュー押出機等により行うことができる。混練の温度条件は通常、260~320℃が適当である。
【0074】
本発明の光拡散性樹脂組成物は、一般的な熱可塑性樹脂の成形方法が適用でき、例えば生産性の点からペレット状樹脂組成物からの射出成形、射出圧縮成形、押出成形が可能である。さらに押出成形されたシート状成形体からの真空成形、圧空成形等により目的の成形体とすることもできる。
【0075】
本発明の光拡散性樹脂組成物は、厚み2mmの成形体とした際の350nmの波長の分光光線透過率が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。また、380nmの波長の分光光線透過率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、45%以上であることがさらに好ましい。本発明の光拡散性樹脂組成物から得られる成形体は、紫外線領域の光線透過率が低く、且つ可視光線領域の光線透過率が高いという特徴を有する。このような特徴を有する成形体は色相にも優れることになる。
【0076】
本発明の光拡散性樹脂組成物は、厚み2mmの成形体とした際のヘーズが30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
【0077】
本発明の成形体としては、照明カバー、照明用レンズ等の光学部材が挙げられ、中でも屋外用透明光学部材として好適に用いることができる。
【実施例0078】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例と比較例で使用した原料は次の通りである。
【0079】
(芳香族ポリカーボネート樹脂(A))
A-1:帝人(株)製パンライトL-1225WX(ビスフェノールAを原料としたポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量19,700)
A-2:帝人(株)製パンライトL-1225WP(ビスフェノールAを原料としたポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量22,500)
A-3:下記製法により得られた粘度平均分子量25,100の分岐構造を有するポリカーボネート樹脂パウダー
【0080】
温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水2340部、25%水酸化ナトリウム水溶液947部、ハイドロサルファイト0.7部を仕込み、攪拌下にビスフェノー
ルA710部を溶解した(ビスフェノールA溶液)後、塩化メチレン2299部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液112部、14%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンを25%濃度で溶解した水溶液38.1部(1.00mol%)を加えて、15~25℃でホスゲン354部を約90分かけて吹き込みホスゲン化反応を行った。ホスゲン化終了後、11%濃度のp-tert-ブチルフェノールの塩化メチレン溶液219部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液88部を加えて、攪拌を停止し、10分間静置分離後、攪拌を行い乳化させ5分後、ホモミキサー(特殊機化工業(株))で回転数1200rpm、バス回数35回で処理し高乳化ドープを得た。該高乳化ドープを重合槽(攪拌機付き)で、無攪拌条件下、温度35℃で3時間反応し重合を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネートのパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
【0081】
A-4:下記製法により得られた粘度平均分子量19,400のポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダー
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21591部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液3674部を入れ、上記式〔1〕で表されるカーボネート構成単位を構成するジヒドロキシ化合物(I)として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)3880部、およびハイドロサルファイト7.6部を溶解した後、塩化メチレン14565部(ジヒドロキシ化合物(I)1モルに対して14モル)を加え、撹拌下22~30℃でホスゲン1900部を60分要して吹き込んだ。次に、48.5%水酸化ナトリウム水溶液1131部、p-tert-ブチルフェノール108部を塩化メチレン800部に溶解した溶液を加え、攪拌しながら上記式〔3〕で表わされるカーボネート構成単位を構成するジメチルシロキサン単位の平均繰返し数が約37であるジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)として下記式〔8〕で表されるポリジオルガノシロキサン化合物430部を塩化メチレン1600部に溶解した溶液を、ジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)が二価フェノール(I)の量1モルあたり0.0008モル/minとなる速度で加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が26℃の状態でトリエチルアミン4.3部を加えて温度26~31℃において45分撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダーを得た。(ポリジオルガノシロキサン成分含有量8.2%、粘度平均分子量19,400)
【0082】
【化10】
【0083】
(光拡散剤(B))
B-1:ビーズ状架橋アクリル粒子(積水化成品工業(株)製:MBX-5(商品名)、平均粒子径5μm)
B-2:ビーズ状架橋シリコーン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン
合同会社(株)製:TSR9002(商品名)、平均粒子径2μm)
【0084】
(マロン酸エステル系紫外線吸収剤(C))
C-1:クラリアントジャパン(株)製Hostavin B-CAP
C-2:クラリアントジャパン(株)製Hostavin PR-25
(他の紫外線吸収剤(比較例))
C-3:ケミプロ化成(株)製ケミソーブ79(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)
C-4:BASF製Tinuvin234(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)
C-5:BASF製Tinuvin1577ED(トリアジン系紫外線吸収剤)
C-6:シプロ化成(株)製SEESORB703(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)
C-7:(株)ADEKA製アデカスタブLA-31(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)
【0085】
(熱安定剤(D))
クラリアントジャパン(株)製ホスタノックスP-EPQ(リン系熱安定剤)
BASF製IRGAFOS168FF(リン系熱安定剤、式(1)の化合物)
住友化学(株)社製スミライザーTP‐D(硫黄系熱安定剤、式(2)の化合物)
【0086】
(離型剤(E))
日油(株)製ユニスターH-476-S(脂肪酸エステル)
【0087】
その他成分
F-114P:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ化学(株)製:メガファックF-114P(商品名))
SN3307::ポリテトラフルオロエチレン粒子とスチレン-アクリル系共重合体からなる混合物(Shine Polymer 製:SN3307(商品名))
【0088】
(1)試験片の作成
射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S-M IV]を用いて、成形温度280℃、金型温度80℃にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)である3段型プレートを成形した。
【0089】
(2)全光線透過率、ヘーズ
前記(1)で成形した試験片(厚さ2mm部分)の全光線透過率およびヘーズを(株)村上色彩技術研究所製 反射・透過率計HR-100を用いJIS-K 7136に従い測定した。
【0090】
(3)分光光線透過率(350nm、380nm)
前記(1)で成形した試験片(厚さ2mm部分)の光線透過率を、アジレント・テクノロジー(株)製のUV-Vis-NIR分光光度計Cary5000を用いて測定した。350nmの分光光線透過率が低く、380nmの分光光線透過率が高くなると、色相に優れる。
【0091】
(4)耐候性
前記(1)で成形した試験片をブラックパネル温度63℃、湿度50%、放射照度0.35W/m2(340nm)、に設定した東洋精機製作所製アトラスCi4000に試験片の片面を照射するように設置し、500時間後に取り出した。 取り出した試験片をサカタインクスエンジニアリング(株)製の分光光度計CE-7000Aで、D65光源、10度視野の透過法で測定し、該試験片のΔEを算出した。ΔE値は小さいほど好ましい。
【0092】
(5)耐蒸気性
前記(1)で成形した試験片をラボ用オートクレーブヤマト科学(株)製SN-510で120℃、24時間の湿熱処理を行い、処理後の試験片の粘度平均分子量と処理前の粘度平均分子量の差(ΔMv×10-3)を算出した。ΔMv値は小さいほど好ましい。
なお、粘度平均分子量Mvは、まず次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlに試験片を0.7g切り取り溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは資料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出したものである。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c (但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
c=0.7
【0093】
[実施例1~18及び比較例1~9]
表1に示す割合で各原料をブレンドした後、スクリュー径30mmの(株)日本製鋼所製ベント付き二軸押出機TEX30αによりシリンダー温度280℃で溶融混錬し、ストランドカットによりペレット化した。該ペレットを120℃で5時間乾燥した後、前記の条件で評価用試験片を成形し、前記の評価を行い評価結果について表1に示した。
【0094】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の光拡散性樹脂組成物は、良好な光透過性、耐候性、色相、光拡散性および耐蒸気性に優れ、屋外用光学透明部材として有用である。