(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118518
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】後付サッシ
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20220805BHJP
E06B 1/60 20060101ALI20220805BHJP
E06B 9/52 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B1/60
E06B9/52 A
E06B9/52 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015092
(22)【出願日】2021-02-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】518144023
【氏名又は名称】ヤオキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069615
【弁理士】
【氏名又は名称】金倉 喬二
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝巳
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KC01
2E011KC08
2E011KD14
2E011KH01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】後付サッシ枠体を外壁に固定する固定工事の際にねじ止め等の手段を用いるため、外壁を傷つけてしまうという問題があった。
【解決手段】既設サッシ枠体4に取り付ける後付サッシ1であって、既設サッシ枠体4の網戸用のレール16に嵌める突条溝と、既設サッシ枠体4に固定する固定片と、少なくとも2枚建てからなる内外金網戸3を案内する案内片を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設サッシ枠体に取り付ける後付サッシであって、
前記既設サッシ枠体の網戸用のレールに嵌める突条溝と、
前記既設サッシ枠体に固定する固定片と、
少なくとも2枚建てからなる内外金網戸を案内する案内片を有することを特徴とする後付サッシ。
【請求項2】
請求項1に記載の後付サッシにおいて、
前記既設サッシ枠体は、既設上下枠を含み、
前記突条溝は、前記既設上下枠の室外方向における最も外側に設けられたレールに嵌めることで取り付け、
前記案内片は、前記突条溝から室外方向に延出し、前記内外金網戸を案内するレールを有し、
前記固定片は、前記突条溝の室内方向に延出し、前記既設上下枠に固定されることを特徴とする後付サッシ。
【請求項3】
請求項2に記載の後付サッシ枠体において、
前記突条溝は、その断面形状が略U字型であり、略U字型の折り返し部を介して前記案内片および固定片に接続され、
前記案内片は、前記内外金網戸を納めるために所定の間隔を隔てた2本のレールを有し、
前記固定片は、前記既設上下枠に重合するものであり、ネジ止めやビス止め等の手段により前記既設上下枠に固定されることを特徴とする後付サッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設サッシ枠体の室外側に後付けする後付サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の後付サッシは、カバー工法により、開口部に取り付けられる窓や雨戸等が嵌められた既設サッシを覆うように後付サッシ枠体が固定され、雨戸等が嵌められている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、台風等の強風により飛来物が窓に直撃して破損する被害が多発している。
【0005】
戸建やマンションに既に設けられた網戸は、合成樹脂製の網を張ってあって害虫の侵入を防ぐ程度のものであり、台風等の強風による窓の破損を防ぐことができず、また防犯対策としても耐久性が不十分であった。
【0006】
台風および防犯対策として、既設網戸に加えて雨戸等を取り付けようとする場合、従来のカバー工法では、後付サッシ枠体を既設サッシ枠体の全体を覆うように外壁に固定し、固定された後付サッシ枠体に雨戸等を納めていた。
【0007】
しかしながら、従来の技術においては、後付サッシ枠体を外壁に固定する固定工事の際にねじ止め等の手段を用いるため、外壁を傷つけてしまうという問題があった。
【0008】
また、既設網戸に加えて雨戸等を取り付けるため全体としての障子数が増加することで、美観性を損なう場合があるという問題があった。
また、高層マンションにおいては、後付サッシ枠体の固定工事の施工が容易ではなく、かかるコスト負担が増大するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明では、外壁を傷付けずに後付サッシ枠体を既設サッシ枠体に簡単かつ低コストで取り付け、後付サッシ枠体に既設網戸に代えて耐久性の高い金網戸を嵌めることにより、障子数の増加を最小限に抑えて美観性を保ちつつ耐久性を向上させた後付サッシを提供することを目的とする。
【課題を解決する為の手段】
【0010】
そのため、既設サッシ枠体に取り付ける後付サッシであって、前記既設サッシ枠体の網戸用のレールに嵌める突条溝と、前記既設サッシ枠体に固定する固定片と、少なくとも2枚建てからなる内外金網戸を案内する案内片を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このようにした本発明は、外壁を傷付けることなく、美観性を保ちつつ耐久性を向上させた後付サッシを提供することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】実施例における後付サッシ枠体を屋外側から見た場合の概略斜視図
【
図4】実施例における後付サッシ枠体の断面方向から見た取り付け方法の説明図
【
図5】実施例における後付上下枠の既設上下枠への固定・取付方法についての説明図
【
図6】実施例における3本以上のレールを有する後付サッシ枠体の取り付け図
【
図7】実施例における支持材を有する後付サッシ枠体の取り付け図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明による後付サッシ枠体の実施例を説明する。
【実施例0014】
図1は実施例における後付サッシ枠体の取り付け図である。
【0015】
図1において、後付サッシ1は、建物の開口部に納められるものであり、四角枠の後付サッシ枠体2と、後付サッシ枠体2に設けられたレール16に納められた引き違い用の金網戸3から構成される。
【0016】
後付サッシ枠体2を、既設上枠41と既設下枠42と既設縦枠43からなる既設サッシ枠体4の屋外側に取り付けることで、新たに2枚の引き違い用の障子の開閉(図中矢印Aで示す方向)が可能になる。
【0017】
図2は実施例における後付サッシ枠体の概略斜視図である。
【0018】
図2において、後付サッシ枠体2は、後付上枠11と、後付下枠12と、2つの後付縦枠19とを有している。
【0019】
図3は実施例における後付下枠の説明図である。なお、
図3(a)は後付下枠の概略斜視図であり、
図3(b)は後付下枠の断面図である。
以下、後付上枠11および後付下枠12は、同じ構成であるため、後付下枠12を代表に説明する。
【0020】
図3において、後付上下枠としての後付上枠11および後付下枠12は、既設上下枠としての既設上枠41および既設下枠42に取り付けられるものであり、突条溝13と、案内片15と、固定片17とを一体的に備えるものである。
【0021】
突条溝13は、上方に突条が形成され、その突条溝と既設上下枠の室外方向における最も外側に設けられた従来の網戸レールとしてのレール44が嵌合するものである。
また、突条溝13は、金網戸3の開閉方向(図中矢印A方向)に延伸しており、突条溝と従来の網戸レールが嵌合することにより、既設上下枠に取り付けられる。
【0022】
また、突条溝13は、その断面形状が略U字型であり、略U字型の折り返し部14を介して後述する案内片15および固定片17に接続され一体に構成されている。
【0023】
以下、突条溝13と案内片15を接続する折り返し部14を第1の折り返し部とし、突条溝13と固定片17を接続する折り返し部14を第2の折り返し部として説明する。
【0024】
また、第1の折り返し部は、第2の折り返し部より下方に位置するものとする。
【0025】
本実施例では、第1の折り返し部と第2の折り返し部との位置関係によって、後付サッシ枠体に納めることができる障子のサイズを調整することができる。
【0026】
案内片15は、突条溝13から室外方向(図中矢印Bで示す)に延出し金網戸3を案内するレール16を有するものである。
【0027】
また、案内片15は、突条溝13の第1の折り返し部から室外方向に延出しており、金網戸3を納めるために所定の間隔を隔てた2本のレール16を有し、2枚の内外金網戸が引き違いできるようになっている。
【0028】
固定片17は、突条溝13の室内方向(図中矢印Cで示す)に延出し既設上下枠に固定されるものである。
【0029】
また、固定片17は、第2の折り返し部から室内方向に延出し既設上下枠の表面に重合して覆うものであり、例えばビス45止め等の手段により既設上下枠に固定される。
本実施例では、固定片17の室内方向における幅は、既設上下枠に設けられたレール間の距離よりも小さいものとして説明するが、それに限定されず、ビス45止め等の手段による固定が可能な幅であれば良い。
【0030】
後付縦枠19は、縦枠突条溝20と、縦枠固定片21とを有する。
【0031】
縦枠突条溝20は、金網戸3が納められるように、後付上下枠の案内片15に対応して室外方向に張り出すものであり、既設縦枠43の外枠に嵌めることで取り付けられる。
【0032】
縦枠固定片21は、上述した固定片17と同様な構成のため説明を省略する。
【0033】
すなわち、後付サッシ枠体2は、後付上下枠により既設上下枠に固定され、後付縦枠19により既設縦枠43に固定されることで、既設サッシ枠体4に取り付けられる。
【0034】
金網戸3は、引き違い用の例えばメタルパンチング網戸である。
【0035】
これは、後付サッシ枠体2に、耐久性の高い金網戸3を使用することにより、通気性を保持したまま防犯性をも向上させるためである。
【0036】
本実施例では、金網戸3として説明するが、それに限定されず、コンパネやアクリル板も使用でき、台風等による窓の破損を抑制することができる。
【0037】
すなわち、ユーザが所望する用途・目的に応じて後付サッシ枠体2に後付けする障子を選択することができる。
【0038】
次に、後付サッシ枠体2の取り付け方法について説明する。
【0039】
図4は実施例における後付サッシ枠体の断面方向から見た取り付け方法の説明図である。なお、
図4(a)において、既設サッシ枠体4は、建物の開口部に納められており、室外方向に、2枚の引き違い窓、網戸の順でそれぞれに対応するレール44が設けられている。
【0040】
まず、
図4(a)に示すように、既設上下枠の最も室外側のレール44に納められた網戸を取り外す。
【0041】
次に、
図4(b)に示すように、後付サッシ枠体2の後付上下枠を既設上下枠に固定して取付ける。また、併せて後付縦枠を既設縦枠に固定して取付ける。
【0042】
次に、後付上下枠の既設上下枠への固定・取付方法について説明する。なお、後付上枠41および後付下枠42で取り付け方法は同様のため、後付下枠12を代表に説明する。
図5(a)は断面方向から見た場合の後付下枠12の既設下枠42への取り付け方法を説明するものであり、
図5(b)は断面方向から見た場合の後付縦枠19の既設縦枠43への取り付け方法を説明するものである。
【0043】
図5(a)において、後付下枠12は、突条溝13が既設下枠42の室外方向における
最も外側に設けられた網戸用のレール44を覆うように嵌められ、固定片17が既設上枠41にビス45止めされることにより、既設下枠42に固定される。
【0044】
また、固定片17のビス45止めは、既設下枠41の網戸の開閉方向における長さに応じて複数個所行われるものとする。
【0045】
また、固定片17の室内方向における幅は、既設下枠42の室外方向における最も外側に設けられた網戸用のレール44と、該網戸用のレール44に対向する室内側に設けられた外窓用のレールとの間の距離よりも小さい。
【0046】
図5(b)において、後付縦枠19は、縦枠突条溝20が既設縦枠43の外枠を覆うように嵌められ、縦枠固定片21が既設縦枠43にビス45止めされるにより固定される。
【0047】
なお、本実施例では、後付縦枠19は後付上下枠と同様な突条溝13および固定片17を有するものとして説明するが、それに限定されず、後付上下枠の案内片15に対応して室外側に張り出すものであれば良い。すなわち、後付縦枠19は、後付上下枠と組んで枠体2内に2枚の内外金網戸3が納められるように構成されていれば良い。
【0048】
上述した後付上下枠と後付縦枠19からなる後付サッシ枠体2が既設サッシ枠体4に取り付けられる。
【0049】
次に、
図4(c)に示すように、2枚の内外金網戸が後付サッシ枠体2に納められる。
後付上枠11に設けられた案内片15には内外金網戸の上端部が係合し、後付下枠12に設けられた案内片15には内外金網戸の下端部が係合することにより、内外金網戸が摺動可能に納められる。
【0050】
このように、本実施例では、既設サッシ枠体4に後付サッシ1の後付サッシ枠体2を取り付け金網戸3を納めることにより、後付サッシ1を、外壁60への固定等の躯体を傷付ける工事を要さず、かつ簡単・低コストで既設サッシ枠体4に取り付けることができる。
【0051】
従来のカバー工法では既設網戸に加えて雨戸等が追加されていたのに対して、本実施例では、既設下枠42の室外方向における最も外側に設けられた網戸用のレール44に嵌められた既設網戸を取り除いたうえで金網戸を嵌めることができ、全体としての障子数を最小限にでき美観性を保つことができる。
【0052】
また、後付サッシ枠体2の取り付けにより2枚の内外金網戸の開閉が可能になることにより、内外金網戸に対して室内側から施錠できる施錠機構(例えば、落とし金具等)を設けることで防犯性を向上させることができる。
【0053】
また、後付サッシ枠体2に2枚の内外雨戸を納めることで、引き違い窓全面を守ることができ、台風等による窓ガラスの破損を抑制することができる。
【0054】
なお、本実施例では、後付サッシ枠体2の案内片15は2本のレール16を有するとして説明したが、それに限定されず、3本以上のレールを有するようにしても良い。
【0055】
図5に示すように、後付サッシ枠体2の案内片15が3本のレールを有する場合、3枚の金網戸3を納めることが可能になり、室内側1枚を金網戸として使用し、その他を引き違いアクリル板と使用する等、ユーザの要求に応じた障子の組み合わせが可能になる。
【0056】
また、後付サッシ枠体2の後付下枠12の下方から外壁60に向かって傾斜する支持材50を取り付けるようにしても良い。
【0057】
この場合、後付下枠12は支持材50を固定するための支持材固定部18を有し、支持材50は外壁60に当接して後付サッシ枠体2を保持することにより、3枚以上の金網戸3を納める後付サッシ枠体2を取り付ける場合の安定性を向上させることができる。
【0058】
以上説明したように、本実施例では、既設上下枠を含む既設サッシ枠体4に取り付ける後付サッシ枠体2を含む後付サッシ1であって、既設サッシ枠体4の既設上下枠に設けられた網戸用のレール44に嵌める突条溝13と、既設サッシ枠体4に固定する固定片17と、少なくとも2枚建てからなる内外金網戸を案内する案内片とを有することにより、外壁60を傷付けることなく、障子数の増加を最小限に抑えて美観性を保ちつつ耐久性を向上させた後付サッシを提供することができるという効果が得られる。
【0059】
また、本実施例では、後付サッシ枠体2を取り付けることで、ユーザの要求に応じて金網戸や雨戸等の引き違い障子を納めることが可能になるという効果が得られる。
【0060】
また、後付サッシ枠体2に雨戸を納めることで、台風等の災害による窓の破損を抑制することができるという効果が得られる。
また、後付サッシ枠体2に金網戸を納めることで、防犯性を向上させることができるという効果が得られる。