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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118519
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】自走装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220805BHJP
   B62D 61/10 20060101ALI20220805BHJP
   B62D 11/04 20060101ALI20220805BHJP
   B60B 19/00 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
G05D1/02 Z
B62D61/10
B62D11/04 Z
B60B19/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015093
(22)【出願日】2021-02-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 静雄
(72)【発明者】
【氏名】長末 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 亮太
【テーマコード(参考)】
3D052
5H301
【Fターム(参考)】
3D052AA02
3D052EE02
3D052FF03
3D052HH03
5H301AA09
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301HH18
5H301QQ00
(57)【要約】
【課題】オムニホイールのローラの偏摩耗が抑制される自走装置、を提供する。
【解決手段】自走装置100は、走行体61と、制御装置とを備える。走行体61は、第1駆動輪および第2駆動輪に対して互いに異なる回転が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能である。制御装置は、第1走行ルートに沿った走行体の走行が複数回繰り返された後、走行体61が第2走行ルート520に沿って走行するように、第1駆動輪および第2駆動輪の駆動を制御する。第2走行ルート520は、第1走行ルートに沿って延び、走行体61が、第1走行ルートにおける走行体61の進行方向と同じ方向に進行する第1区間521と、第1走行ルートの一部区間と置き換えられ、走行体61が、第1走行ルートの一部区間における走行体61の進行方向に対して角度をなして進行するタイミングを含む第2区間522とを有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体の走行を制御するための制御装置とを備え、
前記走行体は、
左右方向に延びる第1軸を中心に回転可能な第1駆動輪と、
前記第1軸の延長線上で左右方向に延びる第2軸を中心に回転可能な第2駆動輪と、
左右方向に延びる第3軸を中心に回転可能に支持されるホイールと、前記第3軸を中心とする周方向に並び、前記ホイールの外周縁において、前記第3軸と直交する第4軸を中心に回転可能に支持される複数のローラとを含む従動輪とを有し、
前記走行体は、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪に対して互いに異なる回転が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能であり、
前記制御装置は、前記走行体が第1位置および第2位置の間を第1走行ルートに沿って走行し、前記第1走行ルートに沿った前記走行体の走行が複数回繰り返された後、前記走行体が前記第1位置および前記第2位置の間を第2走行ルートに沿って走行するように、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪の駆動を制御し、
前記第2走行ルートは、前記第1走行ルートに沿って延び、前記走行体が、前記第1走行ルートにおける前記走行体の進行方向と同じ方向に進行する第1区間と、前記第1走行ルートの一部区間と置き換えられ、前記走行体が、前記第1走行ルートの前記一部区間における前記走行体の進行方向に対して角度をなして進行するタイミングを含む第2区間とを有する、自走装置。
【請求項2】
前記第2走行ルートにおける前記走行体の走行距離は、前記第1走行ルートにおける前記走行体の走行距離よりも長い、請求項1に記載の自走装置。
【請求項3】
前記第2区間における前記走行体の走行距離は、前記第1区間における前記走行体の走行距離よりも短い、請求項1または2に記載の自走装置。
【請求項4】
前記第2区間における前記走行体の走行は、右方への旋回動作および/または左方への旋回動作を含み、
右方への旋回動作時における前記走行体の旋回角度の総和と、左方への旋回動作時における前記走行体の旋回角度の総和とが、互いに異なる、請求項1から3のいずれか1項に記載の自走装置。
【請求項5】
前記第2区間における前記走行体の走行は、右方への旋回動作および/または左方への旋回動作を含み、
右方への旋回動作時における前記走行体の走行時間と、左方への旋回動作時における前記走行体の走行時間とが、互いに異なる、請求項1から4のいずれか1項に記載の自走装置。
【請求項6】
前記走行体は、前記従動輪として、前後方向に離れて配置される第1従動輪および第2従動輪を含み、
前記第1走行ルートおよび前記第2走行ルートの各ルートは、前記走行体が前記第1位置から前記第2位置に向けて走行する往路と、前記走行体が前記第2位置から前記第1位置に向けて走行する復路とを含み、
前記第2走行ルートの前記往路は、前記第1走行ルートに沿って延び、前記走行体が、前記第1走行ルートの前記往路における前記走行体の進行方向と同じ方向に進行する前記第1区間に対応し、
前記第2走行ルートの前記復路は、前記第1走行ルートに沿って延び、前記走行体が、前記第1走行ルートの前記復路における前記走行体の進行方向に対して180°の角度をなして背走する前記第2区間に対応する、請求項1に記載の自走装置。
【請求項7】
走行体と、
前記走行体の走行を制御するための制御装置とを備え、
前記走行体は、
左右方向に延びる第1軸を中心に回転可能な第1駆動輪と、
前記第1軸の延長線上で左右方向に延びる第2軸を中心に回転可能な第2駆動輪と、
左右方向に延びる第3軸を中心に回転可能に支持されるホイールと、前記第3軸を中心とする周方向に並び、前記ホイールの外周縁において、前記第3軸と直交する第4軸を中心に回転可能に支持される複数のローラとを含む従動輪とを有し、
前記走行体は、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪に対して互いに異なる回転が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能であり、
前記制御装置は、前記走行体が充電ステーションまたは待機ステーションにおいて旋回動作をするように、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪の駆動を制御する、自走装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第1駆動輪が正転し、前記第2駆動輪が前記第1駆動輪と同じ回転数で反転するように、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪の駆動を制御する、請求項7に記載の自走装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自走装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2019-206249号公報(特許文献1)には、車体と、車体を走行可能に支持する複数のオムニホイールと、オムニホイールに付設されるローラブレーキ装置とを備える車両が開示されている。オムニホイールは、本体ホイールと、本体ホイールの円周上に配置され、本体ホイールの回転軸とは軸直方向に回転可能に設けられる複数のローラとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-206249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、走行輪として、オムニホイールを用いた自走装置が知られている。このような自走装置においては、ホイール(本体ホイール)の回転と、複数のローラの回転との組み合わせによって、多方向、かつ、小回りが利いた旋回動作が可能となるが、その一方で、床面に対する各ローラの接触位置が偏ることによって、ローラが偏摩耗する可能性がある。
【0005】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、オムニホイールのローラの偏摩耗が抑制される自走装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の1つの局面に従った自走装置は、走行体と、走行体の走行を制御するための制御装置とを備える。走行体は、左右方向に延びる第1軸を中心に回転可能な第1駆動輪と、第1軸の延長線上で左右方向に延びる第2軸を中心に回転可能な第2駆動輪と、左右方向に延びる第3軸を中心に回転可能に支持されるホイールと、第3軸を中心とする周方向に並び、ホイールの外周縁において、第3軸と直交する第4軸を中心に回転可能に支持される複数のローラとを含む従動輪とを有する。走行体は、第1駆動輪および第2駆動輪に対して互いに異なる回転が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能である。制御装置は、走行体が第1位置および第2位置の間を第1走行ルートに沿って走行し、第1走行ルートに沿った走行体の走行が複数回繰り返された後、走行体が第1位置および第2位置の間を第2走行ルートに沿って走行するように、第1駆動輪および第2駆動輪の駆動を制御する。第2走行ルートは、第1走行ルートに沿って延び、走行体が、第1走行ルートにおける走行体の進行方向と同じ方向に進行する第1区間と、第1走行ルートの一部区間と置き換えられ、走行体が、第1走行ルートの一部区間における走行体の進行方向に対して角度をなして進行するタイミングを含む第2区間とを有する。
【0007】
このように構成された自走装置によれば、第1走行ルートに沿った走行体の走行が繰り返されると、床面に対するローラの接触位置に偏りが生じる可能性があるため、このような場合に、走行体を第2走行ルートに沿って走行させる。第2走行ルートは、第1走行ルートの一部区間と置き換えられ、走行体が、その一部区間における走行体の進行方向に対して角度をなして進行するタイミングを含む第2区間を有するため、床面からローラに対する荷重の加わり方を、第1走行ルートの走行時から変動させることができる。これにより、ローラの偏摩耗を抑制することができる。
【0008】
また好ましくは、第2走行ルートにおける走行体の走行距離は、第1走行ルートにおける走行体の走行距離よりも長い。
【0009】
このように構成された自走装置によれば、走行体が、第1走行ルートの一部区間を迂回して、第2走行ルートの第2区間を走行する間、走行体を旋回動作させることによって、床面に対するローラの接触位置を変動させることができる。
【0010】
また好ましくは、第2区間における走行体の走行距離は、第1区間における走行体の走行距離よりも短い。
【0011】
このように構成された自走装置によれば、ローラの偏摩耗を抑制するための走行に起因して走行体の走行距離が延びることを抑制できる。
【0012】
また好ましくは、第2区間における走行体の走行は、右方への旋回動作および/または左方への旋回動作を含む。右方への旋回動作時における走行体の旋回角度の総和と、左方への旋回動作時における走行体の旋回角度の総和とが、互いに異なる。
【0013】
このように構成された自走装置によれば、床面に対するローラの接触位置を、第2区間における走行体の走行の前後においてより積極的に異ならせることができる。
【0014】
また好ましくは、第2区間における走行体の走行は、右方への旋回動作および/または左方への旋回動作を含む。右方への旋回動作時における走行体の走行時間と、左方への旋回動作時における走行体の走行時間とが、互いに異なる。
【0015】
このように構成された自走装置によれば、床面に対するローラの接触位置を、第2区間における走行体の走行の前後においてより積極的に異ならせることができる。
【0016】
また好ましくは、走行体は、従動輪として、前後方向に離れて配置される第1従動輪および第2従動輪を含む。第1走行ルートおよび第2走行ルートの各ルートは、走行体が第1位置から第2位置に向けて走行する往路と、走行体が第2位置から第1位置に向けて走行する復路とを含む。第2走行ルートの往路は、第1走行ルートに沿って延び、走行体が、第1走行ルートの往路における走行体の進行方向と同じ方向に進行する第1区間に対応する。第2走行ルートの復路は、第1走行ルートに沿って延び、走行体が、第1走行ルートの復路における走行体の進行方向に対して180°の角度をなして背走する第2区間に対応する。
【0017】
このように構成された自走装置によれば、第1走行ルートに沿った走行体の走行が繰り返されると、走行体の進行方向に対する第1従動輪および第2従動輪の前後関係が固定されて、第1従動輪および第2従動輪の間でローラの摩耗に偏りが生じる可能性があるため、このような場合に、走行体を第2走行ルートに沿って走行させる。走行体は、第2走行ルートの復路を走行する間、第1走行ルートの復路における走行体の進行方向に対して180°の角度をなして背走するため、走行体の進行方向に対する第1従動輪および第2従動輪の前後関係を逆転させることができる。これにより、第1従動輪および第2従動輪の間でローラの摩耗に偏りが生じることを抑制できる。
【0018】
この発明の別の局面に従った自走装置は、走行体と、走行体の走行を制御するための制御装置とを備える。走行体は、左右方向に延びる第1軸を中心に回転可能な第1駆動輪と、第1軸の延長線上で左右方向に延びる第2軸を中心に回転可能な第2駆動輪と、左右方向に延びる第3軸を中心に回転可能に支持されるホイールと、第3軸を中心とする周方向に並び、ホイールの外周縁において、第3軸と直交する第4軸を中心に回転可能に支持される複数のローラとを含む従動輪とを有する。走行体は、第1駆動輪および第2駆動輪に対して互いに異なる回転が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能である。制御装置は、走行体が充電ステーションまたは待機ステーションにおいて旋回動作をするように、第1駆動輪および第2駆動輪の駆動を制御する。
【0019】
このように構成された自走装置によれば、走行体を充電ステーションまたは待機ステーションにおいて旋回動作させることによって、床面に対するローラの接触位置を変動させることができる。これにより、ローラの偏摩耗を抑制することができる。
【0020】
また好ましくは、制御装置は、第1駆動輪が正転し、第2駆動輪が第1駆動輪と同じ回転数で反転するように、第1駆動輪および第2駆動輪の駆動を制御する。
【0021】
このように構成された自走装置によれば、走行体が一定の位置で回転するため、走行体を充電ステーションまたは待機ステーションにおけるよりコンパクトな範囲で旋回動作させることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上に説明したように、この発明に従えば、オムニホイールのローラの偏摩耗が抑制される自走装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施の形態1における自走装置を示す斜視図である。
図2図1中の走行本体部を示す上面図である。
図3図2中の矢印IIIに示す方向に見た走行本体部を示す側面図である。
図4図2中の矢印IVに示す方向に見た走行本体部を示す後面図である。
図5図1中の走行本体部に設けられた従動輪を示す前面図である。
図6図5中の矢印VIに示す方向に見た従動輪を示す側面図である。
図7】走行体の代表的な走行形態と、各走行形態における第1駆動輪および第2駆動輪の回転との関係を示す表である。
図8図1中の走行体の走行制御に関する装置構成を示す図である。
図9図1中の走行体の走行制御に関する機能構成を示す図である。
図10図1中の走行体の第1走行ルートを示す平面図である。
図11図1中の走行体の第2走行ルートを示す平面図である。
図12図10中の第1走行ルートにおける一部区間を示す平面図である。
図13図11中の第2走行ルートにおける第2区間を示す平面図である。
図14図11および図13中に示す第2走行ルートの第2区間の第1変形例を示す平面図である。
図15図11および図13中に示す第2走行ルートの第2区間の第2変形例を示す平面図である。
図16図11および図13中に示す第2走行ルートの第2区間の第3変形例を示す平面図である。
図17】この発明の実施の形態2における自走装置において、第1走行ルートを示す平面図である。
図18】この発明の実施の形態2における自走装置において、第2走行ルートを示す平面図である。
図19】この発明の実施の形態3における自走装置の走行を示す平面図である。
図20】この発明の実施の形態3における自走装置の走行を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における自走装置を示す斜視図である。図1を参照して、本実施の形態における自走装置100は、コンピュータ制御により自律的に走行可能な装置である。自走装置100は、無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)であり、ワークまたは工具などの搬送対象物を任意の場所に搬送する。
【0026】
図1および後出の図面には、前方、後方、右方、左方、上方および下方の6方向が適宜示されている。前方および後方は、自走装置100が直進走行する場合の進行方向であり、互いに反対方向である。右方は、自走装置100から前方を見た場合の右手方向である。左方は、自走装置100から前方を見た場合の左手方向であり、右方の反対方向である。上方は、自走装置100から見て空側であり、下方は、自走装置100が走行する床面側である。
【0027】
なお、本実施の形態では、後述するトレイ66に対してロボットアーム11が位置する方向を前方といい、その反対方向を後方というが、いずれの方向を前方といい、いずれの方向を後方というかは、特に限定されない。
【0028】
まず、自走装置100の全体構造について説明する。自走装置100は、走行体61と、ロボットアーム11とを有する。走行体61は、モータを用いた車輪駆動により走行可能に構成されている。ロボットアーム11は、走行体61に搭載されている。ロボットアーム11は、搬送対象物を把持可能に構成されている。
【0029】
走行体61は、カバー部63と、走行本体部62とを有する。カバー部63は、走行本体部62上に設けられている。カバー部63は、走行本体部62上に内部空間を形成するカバー体からなり、その内部には、ロボットアーム11の駆動用モータ、自走装置100の動力源として設けられるバッテリ、または、自走装置100を制御するための各種制御部品などが収容されている。なお、走行本体部62の構造については、後で詳細に説明する。
【0030】
カバー部63は、頂面65を有する。頂面65上には、搬送対象物を載置するためのトレイ66が設けられている。ロボットアーム11は、頂面65に接続されている。ロボットアーム11は、頂面65から上方に向けて延出している。走行体61に対するロボットアーム11の接続位置は、トレイ66と前後方向に並んでいる。
【0031】
なお、走行体61に対するロボットアーム11の接続位置は、特に限定されず、たとえば、水平方向を向くカバー部63の側面であってもよい。
【0032】
ロボットアーム11は、基台部12と、アーム部13とを有する。基台部12は、走行体61に対して回転可能に接続されている。基台部12は、回転中心軸111を中心に回転可能である。回転中心軸111は、鉛直方向に延びている。基台部12は、回転中心軸111の軸上で延びている。基台部12は、回転中心軸111を中心に回転運動する。
【0033】
アーム部13は、基台部12に対して接続されている。アーム部13は、基台部12からアーム状に延びている。
【0034】
アーム部13は、第1可動部21と、第2可動部22と、第3可動部24とを有する。第1可動部21は、基台部12に対して、回転中心軸112を中心に回転可能に接続されている。回転中心軸112は、回転中心軸111と直交する方向に延びている。回転中心軸112は、水平方向に延びている。第1可動部21は、基台部12から回転中心軸112の半径方向に延びている。第1可動部21は、回転中心軸112を中心にして揺動運動する。
【0035】
第2可動部22は、第1可動部21に対して、回転中心軸113を中心に回転可能に接続されている。回転中心軸113は、回転中心軸112と平行に延びている。回転中心軸113は、水平方向に延びている。第2可動部22は、第1可動部21から回転中心軸113の半径方向に延びている。
【0036】
第2可動部22は、回転部23を有する。回転部23は、回転中心軸114を中心に回転可能である。回転中心軸114は、回転中心軸113の半径方向に延びている。回転部23は、回転中心軸114の軸上で延びている。第2可動部22(回転部23)は、回転中心軸113を中心に揺動運動するとともに、回転中心軸114を中心に回転運動する。
【0037】
第3可動部24は、第2可動部22(回転部23)に対して、回転中心軸115を中心に回転可能に接続されている。回転中心軸115は、回転中心軸112および回転中心軸113と平行に延びている。回転中心軸115は、水平方向に延びている。第3可動部24は、第2可動部22(回転部23)から回転中心軸115の半径方向に延びている。
【0038】
第3可動部24は、回転部25を有する。回転部25は、回転中心軸116を中心に回転可能である。回転中心軸116は、回転中心軸115の半径方向に延びている。回転部25は、回転中心軸116の軸上で延びている。第3可動部24(回転部25)は、回転中心軸115を中心に揺動運動するとともに、回転中心軸116を中心に回転運動する。
【0039】
第3可動部24(回転部25)の先端には、搬送対象物を把持するためのエンドエフェクタ(不図示)が取り付けられている。
【0040】
なお、本実施の形態では、6軸(回転中心軸111~116)が制御可能なロボットアーム11について説明したが、走行体61には、6軸以外の多軸制御可能なロボットアームが搭載されてもよい。
【0041】
続いて、走行体61(走行本体部62)の構造について具体的に説明する。図2は、図1中の走行本体部を示す上面図である。図3は、図2中の矢印IIIに示す方向に見た走行本体部を示す側面図である。図4は、図2中の矢印IVに示す方向に見た走行本体部を示す後面図である。図5は、図1中の走行本体部に設けられた従動輪を示す前面図である。図6は、図5中の矢印VIに示す方向に見た従動輪を示す側面図である。
【0042】
図1から図6を参照して、走行体61(走行本体部62)は、第1駆動輪71と、第1走行用モータ77と、第2駆動輪72と、第2走行用モータ78と、従動輪51とを有する。
【0043】
第1駆動輪71は、第1軸121を中心に回転可能に構成されている。第1軸121は、仮想上の直線であり、左右方向に延びている。第2駆動輪72は、第2軸122を中心に回転可能に構成されている。第2軸122は、仮想上の直線であり、第1軸121の延長線上で左右方向に延びている。
【0044】
第1駆動輪71および第2駆動輪72は、左右方向において、互いに離れて設けられている。第1駆動輪71は、走行体61の右側に配置され、第2駆動輪72は、走行体61の左側に配置されている。第1駆動輪71および第2駆動輪72は、前後方向において、互いに揃った位置に設けられている。
【0045】
第1駆動輪71および第2駆動輪72は、互いに独立して回転可能なように構成されている。第1駆動輪71および第2駆動輪72は、正転および反転が可能なように構成されている。第1駆動輪71および第2駆動輪72は、任意の回転数(回転速度)で回転可能なように構成されている。
【0046】
第1走行用モータ77は、減速機75を介して第1駆動輪71に接続されている。第1駆動輪71は、第1走行用モータ77からの回転が入力されることによって回転する。第2走行用モータ78は、減速機76を介して第2駆動輪72に接続されている。第2駆動輪72は、第2走行用モータ78からの回転が入力されることによって回転する。第1走行用モータ77および第2走行用モータ78は、回転数(回転速度)および回転方向を制御可能なサーボモータまたはステッピングモータからなる。
【0047】
従動輪51は、第3軸126を中心に回転可能なように支持されている。第3軸126は、仮想上の直線であり、左右方向に延びている。第3軸126は、前後方向において、第1軸121および第2軸122からずれた位置に設けられている。
【0048】
従動輪51は、第1駆動輪71および/または第2駆動輪72の回転に伴って従動回転する。走行体61(走行本体部62)が、第1駆動輪71および/または第2駆動輪72の回転により床面上を走行するとき、従動輪51と、従動輪51が接触する床面との間に相対的な移動が生じることによって、従動輪51が回転する。
【0049】
走行体61(走行本体部62)は、複数の従動輪51(51Rf,51Lf,51Rb,51Lb)を有する。
【0050】
従動輪51Rfおよび従動輪51Lfは、第1駆動輪71および第2駆動輪72よりも前方に配置されている。従動輪51Rfおよび従動輪51Lfは、左右方向において、互いに離れて設けられている。従動輪51Rfは、走行体61の右側に配置され、従動輪51Lfは、走行体61の左側に配置されている。従動輪51Rfは、第1駆動輪71と前後方向に並んで設けられている。従動輪51Lfは、第2駆動輪72と前後方向に並んで設けられている。従動輪51Rfおよび従動輪51Lfは、前後方向において、互いに揃った位置に設けられている。
【0051】
従動輪51Rbおよび従動輪51Lbは、第1駆動輪71および第2駆動輪72よりも後方に配置されている。従動輪51Rbおよび従動輪51Lbは、左右方向において、互いに離れて設けられている。従動輪51Rfは、走行体61の右側に配置され、従動輪51Lfは、走行体61の左側に配置されている。従動輪51Rbは、第1駆動輪71と前後方向に並んで設けられている。従動輪51Lbは、第2駆動輪72と前後方向に並んで設けられている。従動輪51Rbおよび従動輪51Lbは、前後方向において、互いに揃った位置に設けられている。
【0052】
図5および図6に示されるように、従動輪51は、オムニホイールからなる。従動輪51は、ホイール56と、複数のローラ60とを有する。
【0053】
ホイール56は、第3軸126を中心に回転可能なように支持されている。第3軸126は、仮想上の直線であり、左右方向に延びている。複数のローラ60は、第3軸126を中心とする周方向に並んでいる。ローラ60は、ホイール56の外周縁において、第4軸130を中心に回転可能なように支持されている。第4軸130は、仮想上の直線であり、第3軸126と直交する方向に延びている。第4軸130は、第3軸126を中心とする円周の接線方向に延びている。ローラ60は、第4軸130を中心とする樽形の形状を有する。
【0054】
ホイール56は、基部57と、複数のローラ支持部58とを有する。基部57は、第3軸126を中心とする円盤形状を有する。
【0055】
複数のローラ支持部58は、基部57から、基部57を挟んで一方の側と、他方の側とに張り出すように設けられている。複数のローラ支持部58は、第3軸126の周方向において互いに間隔を開けて設けられている。第3軸126の周方向に互いに隣り合うローラ支持部58同士は、第4軸130の軸方向において対向している。ローラ60は、第3軸126の周方向において互いに隣り合うローラ支持部58により支持されている。
【0056】
基部57を挟んで一方の側で支持される複数のローラ60と、基部57を挟んで他方の側で支持される複数のローラ60とは、第3軸126の周方向において、第3軸126の周方向に並ぶ複数のローラ60間のピッチの半分だけずれるように設けられている。
【0057】
ローラ60は、外周面60aを有する。第4軸130を中心とするローラ60(外周面60a)の直径は、第4軸130の軸方向におけるローラ60の中心位置で最も大きくなり、第4軸130の軸方向におけるローラ60の両端に近づくほど小さくなる。外周面60aは、従動輪51を第3軸126の軸方向に見た場合に、ホイール56の外周縁において、第3軸126を中心とする円弧形状をなしている。外周面60aは、走行体61が走行する床面と接触する。
【0058】
従動輪51には、車軸挿入孔59が設けられている。車軸挿入孔59は、第3軸126の軸上で延びている。車軸挿入孔59は、第3軸126の軸方向において従動輪51を貫通する貫通孔からなる。車軸挿入孔59には、後述する第3車軸96、第4車軸97、第5車軸98および第6車軸99の各車軸が挿入されている。
【0059】
図2に示されるように、従動輪51Rfのホイール56は、第3軸126Rfを中心に回転可能なように支持されている。従動輪51Lfのホイール56は、第3軸126Lfを中心に回転可能なように支持されている。従動輪51Rbのホイール56は、第3軸126Rbを中心に回転可能なように支持されている。従動輪51Lbのホイール56は、第3軸126Lbを中心に回転可能なように支持されている。
【0060】
図1から図6を参照して、走行体61(走行本体部62)は、フレーム86と、第1支持アーム93と、第2支持アーム94と、第1支持軸91と、第2支持軸92と、第3支持アーム88と、第3支持軸87とをさらに有する。
【0061】
フレーム86は、水平面に平行に延在するフレーム体からなる。フレーム86は、左右方向において、従動輪51Rf、第1駆動輪71および従動輪51Rbと、従動輪51Lf、第2駆動輪72および従動輪51Lbとの間に配置されている。フレーム86は、前後方向において、従動輪51Rfおよび従動輪51Lfと、従動輪51Rbおよび従動輪51Lbとの間に配置されている。
【0062】
第1支持アーム93および第2支持アーム94は、前後方向に沿ってアーム状に延びている。第1支持アーム93および第2支持アーム94は、左右方向において、互いに離れて設けられている。第1支持アーム93は、左右方向において、従動輪51Rfおよび第1駆動輪71と、フレーム86との間に配置されている。第2支持アーム94は、左右方向において、従動輪51Lfおよび第2駆動輪72と、フレーム86との間に配置されている。
【0063】
第1支持軸91および第2支持軸92は、左右方向に軸状に延びている。第1支持アーム93は、第1支持軸91を介して、フレーム86に接続されている。第1支持アーム93は、フレーム86によって、第1支持軸91を中心に回動可能なように支持されている。第2支持アーム94は、第2支持軸92を介して、フレーム86に接続されている。第2支持アーム94は、フレーム86によって、第2支持軸92を中心に回動可能なように支持されている。
【0064】
第3支持アーム88は、左右方向に沿ってアーム状に延びている。第3支持アーム88は、フレーム86の後方に設けられている。第3支持軸87は、前後方向に軸状に延びている。第3支持アーム88は、第3支持軸87を介して、フレーム86に接続されている。第3支持アーム88は、フレーム86によって、第3支持軸87を中心に回動可能なように支持されている。
【0065】
走行体61(走行本体部62)は、第1車軸73と、第2車軸74とをさらに有する。第1車軸73および第2車軸74は、それぞれ、第1軸121および第2軸122の軸上で左右方向に延びている。
【0066】
第1駆動輪71は、第1車軸73を介して、第1支持アーム93に接続されている。第1駆動輪71は、第1支持軸91よりも後方に配置されている。第1駆動輪71は、第1支持アーム93によって、第1軸121を中心に回転可能なように支持されている。第1車軸73は、第1走行用モータ77(減速機75)の出力軸に接続されている。第2駆動輪72は、第2車軸74を介して、第2支持アーム94に接続されている。第2駆動輪72は、第2支持軸92よりも後方に配置されている。第2駆動輪72は、第2支持アーム94によって、第2軸122を中心に回転可能なように支持されている。第2車軸74は、第2走行用モータ78(減速機76)の出力軸に接続されている。
【0067】
走行体61(走行本体部62)は、第3車軸96と、第4車軸97と、第5車軸98と、第6車軸99とをさらに有する。第3車軸96、第4車軸97、第5車軸98および第6車軸99は、それぞれ、第3軸126Rf、第3軸126Lf、第3軸126Rbおよび第3軸126Lbの軸上で左右方向に延びている。
【0068】
従動輪51Rfは、第3車軸96を介して、第1支持アーム93に接続されている。従動輪51Rfは、第1支持軸91よりも前方に配置されている。従動輪51Rfは、第1支持アーム93によって、第3軸126Rfを中心に回転可能なように支持されている。従動輪51Lfは、第4車軸97を介して、第2支持アーム94に接続されている。従動輪51Lfは、第2支持軸92よりも前方に配置されている。従動輪51Lfは、第2支持アーム94によって、第3軸126Lfを中心に回転可能なように支持されている。
【0069】
従動輪51Rbは、第5車軸98を介して、第3支持アーム88に接続されている。従動輪51Rbは、第3支持軸87よりも右方に配置されている。従動輪51Rbは、第3支持アーム88によって、第3軸126Rbを中心に回転可能なように支持されている。従動輪51Lbは、第6車軸99を介して、第3支持アーム88に接続されている。従動輪51Lbは、第3支持軸87よりも左方に配置されている。従動輪51Lbは、第3支持アーム88によって、第3軸126Lbを中心に回転可能なように支持されている。
【0070】
このような構成により、第1支持アーム93、第2支持アーム94および第3支持アーム88を、走行体61が走行する床面の凹凸に合わせて揺動させ、全ての車輪が床面に接触した状態を維持することができる。
【0071】
なお、本発明において、第1支持アーム93、第2支持アーム94および第3支持アーム88の揺動機構は、必須の構成ではない。また、従動輪51の数は、特に限定されず、たとえば、従動輪51Rbおよび従動輪51Lbが設けられた後輪の各位置に、2つの従動輪51が前後方向に並んで設けられてもよい。また、走行体61は、第1駆動輪71および第2駆動輪72と、前後方向に延びる走行体61の中心線上に設けられる従動輪51とを備える三輪車であってもよい。
【0072】
図7は、走行体の代表的な走行形態と、各走行形態における第1駆動輪および第2駆動輪の回転との関係を示す表である。
【0073】
図7を参照して、走行体61は、第1駆動輪71および第2駆動輪72に対して、互いに同じ回転が付与されることによって、前後方向に直進し、第1駆動輪71および第2駆動輪72に対して、互いに異なる回転が付与されることによって、左右方向に旋回動作する(差動2輪駆動方式)。第1駆動輪71、第2駆動輪72および従動輪51は、左右に操舵不可である。
【0074】
より具体的には、走行体61は、第1駆動輪71および第2駆動輪72を、互いに等しい回転数で、かつ、正転させることによって、前方に直進する(前進)。走行体61は、第1駆動輪71および第2駆動輪72を、互いに等しい回転数で、かつ、反転させることによって、後方に直進する(後進)。
【0075】
走行体61は、第2駆動輪72を正転させ、第1駆動輪71を第2駆動輪72よりも大きい回転数で正転させることによって、左方に旋回動作する(左旋回)。走行体61は、第1駆動輪71を正転させ、第2駆動輪72を第1駆動輪71よりも大きい回転数で正転させることによって、右方に旋回動作する(右旋回)。
【0076】
走行体61は、第1駆動輪71を正転させ、第2駆動輪72を第1駆動輪71と同じ回転数で反転させることによって、回転動作する(左回転)。上面視における走行体61の回転中心Pは、理想的には、第1軸121および第2軸122の軸上であって、第1駆動輪71および第2駆動輪72の中心位置に対応している。
【0077】
なお、第1駆動輪71を反転させ、第2駆動輪72を第1駆動輪71と同じ回転数で正転させた場合には、走行体61の回転動作の方向が上記の場合と逆転する(右回転)。本発明における「旋回動作」は、上記の右旋回、左旋回、および、回転(左回転、右回転)の動作を含む。
【0078】
続いて、走行体61の走行制御について説明する。図8は、図1中の走行体の走行制御に関する装置構成を示す図である。図9は、図1中の走行体の走行制御に関する機能構成を示す図である。
【0079】
図10は、図1中の走行体の第1走行ルートを示す平面図である。図11は、図1中の走行体の第2走行ルートを示す平面図である。図12は、図10中の第1走行ルートにおける一部区間を示す平面図である。図13は、図11中の第2走行ルートにおける第2区間を示す平面図である。
【0080】
なお、図12および図13中には、それぞれ、第1走行ルート510および第2走行ルート520を走行する自走装置100が模式的に示されている。
【0081】
図8から図13を参照して、自走装置100は、制御装置201を有する。制御装置201は、走行体61が第1位置PAおよび第2位置PBの間を第1走行ルート510に沿って走行し、第1走行ルート510に沿った走行体61の走行が複数回繰り返された後、走行体61が第1位置PAおよび第2位置PBの間を第2走行ルート520に沿って走行するように、第1駆動輪71および第2駆動輪72の駆動を制御する。
【0082】
第2走行ルート520は、第1走行ルート510に沿って延び、走行体61が、第1走行ルート510における走行体61の進行方向と同じ方向に進行する第1区間521と、第1走行ルート510の一部区間515と置き換えられ、走行体61が、第1走行ルート510の一部区間515における走行体61の進行方向に対して角度をなして進行するタイミングを含む第2区間522とを有する。
【0083】
図8に示されるように、自走装置100は、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、通信インターフェイス204と、レーザセンサ205と、モータ駆動装置206と、記憶装置210とをさらに有する。これらのコンポーネントは、バス209に接続されている。
【0084】
制御装置201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成されている。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、それらの組み合わせなどによって構成され得る。一例として、制御装置201は、PLC(Programmable Logic Controller)である。
【0085】
制御装置201は、制御プログラム211またはオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することによって、自走装置100の動作を制御する。制御装置201は、制御プログラム211の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置210またはROM202からRAM203に制御プログラム211を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム211の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0086】
通信インターフェイス204には、LAN(Local Area Network)またはアンテナなどが接続されている。自走装置100は、通信インターフェイス204を介して、自走装置100および外部機器の間の無線通信または有線通信を実現する。当該外部機器は、たとえば、サーバー(不図示)、または、自走装置100を操作するためのユーザ端末(不図示)を含む。当該ユーザ端末は、たとえば、タブレット端末またはスマートフォンである。ユーザは、当該ユーザ端末を介して、自走装置100の走行を制御することができる。
【0087】
レーザセンサ205は、図1中のカバー部63に収容されている。レーザセンサ205は、自ら回転しながらレーザ光を周囲に照射し、当該レーザ光の反射光を受光することによって、レーザセンサ205の周囲にある物体を検出する。レーザセンサ205は、レーザセンサ205からレーザ光の走査面内に存在する物体までの距離を、レーザセンサ205の回転軸周りの角度別に表わした2次元距離データDとして、制御装置201に出力する。
【0088】
モータ駆動装置206は、制御装置201からのモータ駆動指令に従って、第1走行用モータ77および第2走行用モータ78の回転を制御する。モータ駆動指令は、たとえば、第1走行用モータ77および第2走行用モータ78の正転指令、第1走行用モータ77および第2走行用モータ78の逆転指令、ならびに、第1走行用モータ77および第2走行用モータ78の回転数(回転速度)を含む。
【0089】
記憶装置210は、たとえば、ハードディスクまたはフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置210は、自走装置100の走行を制御するための制御プログラム211、および、第1走行ルート510および第2走行ルート520を含む自走装置100の走行ルートが規定されるマップ212などを格納する。制御プログラム211およびマップ212は、記憶装置210に限定されず、制御装置201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM202、RAM203、または、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されてもよい。
【0090】
また、制御プログラム211は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、制御プログラム211による自走装置100の走行制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム211の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム211によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム211の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で、自走装置100が構成されてもよい。
【0091】
図10から図13には、一例として、工作機械310および工作機械320が設置された工場内が示されている。前工程の工作機械310で仕上がったワークを、後工程の工作機械320に搬送する作業を行なうために、自走装置100が、工作機械310の前の第1位置PAから、工作機械320の前の第2位置PBまで移動する場合が想定されている。自走装置100は、第1位置PAから第2位置PBへの移動を繰り返すことによって、ワークの搬送作業を継続して行なう。
【0092】
自走装置100は、第1位置PAにおいて、第1作業としての工作機械310から自走装置100へのワークの搬入作業を行ない、第2位置PBにおいて、第2作業としての自走装置100から工作機械320へのワークの搬出作業を行なう。
【0093】
第1位置PAには、工作機械310に替わって、ワークの素材が格納されるストッカが設けられてもよい。自走装置100が第1位置PAおよび第2位置PBでそれぞれ行なう第1作業および第2作業の内容は、特に限定されない。
【0094】
工作機械310および工作機械320の間には、走行体61が第1位置PAから第2位置PBまで移動するための第1走行ルート510が規定されている。なお、本実施の形態では、走行体61が第2位置PBから第1位置PAに戻る際の走行ルートは、特に限定されない。
【0095】
第1走行ルート510は、第1位置PAを含み、直線状に延びる第1通路430と、第1通路430から右方に90°折れ曲がった位置で直線上に延びる第2通路420と、第2通路420から左方に90°折れ曲がった位置で直線上に延び、第2位置PBを含む第3通路410とに規定されている。
【0096】
第1走行ルート510は、第1通路430および第2通路420が交わる位置で90°折れ曲がり、第2通路420および第3通路410が交わる位置で90°折れ曲がっている。第1走行ルート510は、各角部で湾曲しながら延びてもよい。
【0097】
第1走行ルート510は、第1位置PAおよび第2位置PBの間の少なくとも一部の区間に直線状に延びる経路を含む。第1走行ルート510は、第1位置PAおよび第2位置PBの間の全区間で直線状に延びる経路であってもよい。
【0098】
第1走行ルート510は、第1位置PAおよび第2位置PBの間を繋ぐ複数の経路のうちで、最も短い経路であることが好ましい。
【0099】
第1走行ルート510の経路上には、第3位置PCと、第4位置PDとが規定されている。第3位置PCおよび第4位置PDは、第3通路410に配置されている。第3位置PCは、第1位置PAおよび第4位置PDの間に位置している。第4位置PDは、第3位置PCおよび第2位置PBの間に位置している。
【0100】
工作機械310および工作機械320の間には、走行体61が第1位置Paから第2位置Pbに向けて移動するための第2走行ルート520がさらに規定されている。
【0101】
第2走行ルート520の経路上には、第3位置Pcと、第4位置Pdとが規定されている。第1位置Pa、第2位置Pb、第3位置Pcおよび第4位置Pdは、それぞれ、第1走行ルート510における第1位置PA、第2位置PB、第3位置PCおよび第4位置PDに対応している。
【0102】
第2走行ルート520は、第1区間521と、第2区間522とを有する。第1区間521は、第1位置Paおよび第3位置Pcの間の区間、ならびに、第4位置Pdおよび第2位置Pbの間の区間である。第1区間521は、第1走行ルート510に沿って延びている。第1区間521は、第1走行ルート510における第1位置PAおよび第3位置PCの間の区間、ならびに、第1走行ルート510における第4位置PDおよび第2位置PBの間の区間と同一経路である。
【0103】
第1区間521における走行体61の進行方向は、第1走行ルート510における走行体61の進行方向と同じである。
【0104】
より具体的には、第1区間521を第1位置Paから第3位置Pcに向けて走行する間の走行体61の進行方向は、第1走行ルート510を第1位置PAから第3位置PCに向けて走行する間の走行体61の進行方向と対応している(前進方向、右方向、前進方向、左方向、および、前進方向)。第1区間521を第3位置Pcから第2位置Pbに向けて走行する間の走行体61の進行方向は、第1走行ルート510を第3位置PCから第2位置PBに向けて走行する間の走行体61の進行方向と対応している(前進方向)。
【0105】
第2区間522は、第3位置Pcおよび第4位置Pdの間の区間である。第2区間522は、第1走行ルート510の一部区間515(第3位置PCおよび第4位置PDの間の区間)と置き換えられている。
【0106】
第2区間522は、第1直線部522pと、第2直線部522qと、第3直線部522rと、第4直線部522sと、第5直線部522tとを有する。
【0107】
第1直線部522pは、第3位置Pcおよび第1角部Peの間で直線状に延びている。第2直線部522qは、第1直線部522pから左方に90°折れ曲がった位置において、第1角部Peおよび第2角部Pfの間で直線状に延びている。第3直線部522rは、第2直線部522qから左方に90°折れ曲がった位置において、第2角部Pfおよび第3角部Pgの間で直線状に延びている。第4直線部522sは、第3直線部522rから左方に90°折れ曲がった位置において、第3角部Pgおよび第4角部Phの間で直線状に延びている。第5直線部522tは、第4直線部522sから左方に90°折れ曲がった位置において、第4角部Phおよび第4位置Pdの間で直線状に延びている。
【0108】
第1直線部522p、第3直線部522rおよび第5直線部522tは、第1走行ルート510における一部区間515と平行に延びている。第2直線部522qおよび第4直線部522sは、第1走行ルート510における一部区間515と直交する方向に延びている。
【0109】
第2区間522は、第1角部Pe、第2角部Pf、第3角部Pgおよび第4角部Phの各角部において、90°折れ曲がっている。第2区間522は、第1角部Pe、第2角部Pf、第3角部Pgおよび第4角部Phの各角部において、湾曲しながら延びる構成であってもよい。
【0110】
第2区間522は、第3通路410に規定されている。第2区間522は、第3位置Pcおよび第4位置Pdの間において、周回経路をなしている。
【0111】
第2区間522は、走行体61が、第1走行ルート510の一部区間515における走行体61の進行方向に対して角度をなして走行するタイミングを含む。
【0112】
より具体的には、第2区間522において、第1角部Pe、第2角部Pf、第3角部Pgおよび第4角部Phの各角部を走行するタイミングの走行体61の進行方向(左方)は、第1走行ルート510の一部区間515を走行する間の走行体61の進行方向(前進方向)に対して90°の角度をなしている。
【0113】
第2走行ルート520における走行体61の走行距離は、第1走行ルート510における走行体61の走行距離よりも長い。第2走行ルート520における走行体61の走行時時間は、第1走行ルート510における走行体61の走行時間よりも長い。
【0114】
第2走行ルート520の第2区間522における走行体61の走行距離は、第1走行ルート510の一部区間515における走行体61の走行距離よりも長い。第2走行ルート520の第2区間522における走行体61の走行時間は、第1走行ルート510の一部区間515における走行体61の走行時間よりも長い。
【0115】
第2区間522における走行体61の走行速度は、第1区間521における走行体61の走行速度と同じであってもよいし、第1区間521における走行体61の走行速度以上であってもよいし、第1区間521における走行体61の走行速度未満であってもよい。
【0116】
第2区間522における走行体61の走行は、右方への旋回動作および/または左方への旋回動作を含む。右方への旋回動作時における走行体61の旋回角度の総和と、左方への旋回動作時における走行体61の旋回角度の総和とが、互いに異なる。右方への旋回動作時における走行体61の走行時間と、左方への旋回動作時における走行体61の走行時間とが、互いに異なる。
【0117】
より具体的には、第2区間522における走行体61の走行は、第1角部Pe、第2角部Pf、第3角部Pgおよび第4角部Phの各角部における、左方への90°の旋回動作を含む。右方への旋回動作時における走行体61の旋回角度の総和(=0°)と、左方への旋回動作時における走行体61の旋回角度の総和(=360°)とが、互いに異なる。右方への旋回動作時における走行体61の走行時間(=0(s))と、左方への旋回動作時における走行体61の走行時間(=T(s))とが、互いに異なる。
【0118】
図9に示されるように、制御装置201は、走行制御部221と、走行履歴取得部222とを有する。
【0119】
走行制御部221は、レーザセンサ205から入力される2次元距離データDと、マップ212とを比較することにより、自走装置100の現在位置を特定する。制御装置201は、現在位置を特定することで、マップ212上に規定された所定経路に沿って自走装置100を走行させることが可能となる。
【0120】
走行制御部221は、自走装置100の移動中にレーザセンサ205から順次取得される2次元距離データDに基づいて、自走装置100の周囲にある障害物を検知し、当該障害物との衝突を避けるように自走装置100の走行を制御してもよい。当該障害物は、たとえば、人または他の自走装置100などの移動体と、壁または棚などの静止体とを含む。
【0121】
走行履歴取得部222は、モータ駆動装置206によって駆動される第1走行用モータ77および第2走行用モータ78の駆動パターンなどに基づいて、走行体61の走行履歴を取得する。走行履歴取得部222は、取得した走行履歴に関するデータを走行制御部221に出力する。
【0122】
走行制御部221は、走行体61がマップ212上に規定された第1走行ルート510に沿って走行体61が走行するように、第1駆動輪71および第2駆動輪72の駆動を制御する。
【0123】
走行制御部221は、走行履歴取得部222からのデータに基づいて、第1走行ルート510に沿った走行体61の走行回数Nをカウントする。走行制御部221は、第1走行ルート510に沿った走行体61の走行回数Nが予め定められた規定回数Nc(Nc≧2)となったあと、走行体61がマップ212上に規定された第2走行ルート520に沿って走行するように、第1駆動輪71および第2駆動輪72の駆動を制御する。
【0124】
規定回数Ncは、10回以上の値であってもよいし、30回以上の値であってもよいし、50回以上の値であってもよい。規定回数Ncは、第1位置PAおよび第2位置PBの間における第1走行ルート510の距離、第1走行ルート510の経路の形態、または、走行体61の走行速度などを考慮して、適宜決定される。
【0125】
走行制御部221は、第2走行ルート520に沿った走行体61の走行が完了したあと、走行体61が再び第1走行ルート510に沿って走行するように、第1駆動輪71および第2駆動輪72の駆動を制御する。
【0126】
図1から図13を参照して、自走装置100の走行体61は、第1駆動輪71および第2駆動輪72と、オムニホイールである従動輪51とを有しており、これら走行輪によって、差動2輪駆動方式の走行方式を実現している。このような構成では、走行体61の走行に伴って、従動輪51のホイール56が、その外周縁に沿って設けられた複数のローラ60の外周面60aを床面に接触させながら第3軸126を中心に回転する。このため、走装置100が一定の経路を繰り返し走行した場合に、床面に対するローラ60の外周面60aの接触位置が偏って、ローラ60が偏摩耗する可能性がある。
【0127】
これに対して、本実施の形態では、第1走行ルート510に沿った走行体61の走行回数Nが予め定められた規定回数Ncとなったあとに、走行体61を第2走行ルート520に沿って走行させる。走行体61は、第2走行ルート520の第2区間522(第1角部Pe,第2角部Pf,第3角部Pg,第4角部Ph)を走行する間、第1走行ルート510の一部区間515における走行体61の進行方向に対して90°の角度をなして進行する。これにより、床面に対するローラ60の外周面60aの接触位置を第1走行ルート510の走行時から変動させ、ローラ60の偏摩耗を抑制することができる。結果、走行体61をより安定して走行させることができる。
【0128】
また、第2区間522における走行体61の走行において、右方への旋回動作時における走行体61の旋回角度の総和と、左方への旋回動作時における走行体61の旋回角度の総和とが、互いに異なり、右方への旋回動作時における走行体61の走行時間と、左方への旋回動作時における走行体61の走行時間とが、互いに異なる。このような構成により、第2区間522の走行の前後において、床面に対するローラ60の外周面60aの接触位置をより積極的にずらすことができる。
【0129】
図14から図16は、図11および図13中に示す第2走行ルートの第2区間の変形例を示す平面図である。
【0130】
図14を参照して、本変形例では、第2走行ルート520の第2区間522が、第3通路410から分岐し、第3通路410に再び接続される迂回路480に規定されている。本変形例に示されるように、第2走行ルート520の第2区間522は、第1走行ルート510の一部区間515が規定される通路を迂回する迂回路に規定されてもよい。
【0131】
図15を参照して、本変形例では、第3位置Pcに連なる第2走行ルート520の第1区間521と、第4位置Pdに連なる第2走行ルート520の第1区間521とが、互いに90°異なる方向に延びている。本変形例に示されるように、第3位置Pcに連なる第2走行ルート520の第1区間521と、第4位置Pdに連なる第2走行ルート520の第1区間521とが、互いに異なる方向に延びるように、第1走行ルート510の一部区間515が設定されてもよい。
【0132】
図16を参照して、本変形例では、第2走行ルート520の第2区間522が、第3位置Pcおよび第4位置Pdの間で、連続的に湾曲して延びている。
【0133】
これら変形例によっても、床面に対するローラ60の外周面60aの接触位置を第1走行ルート510の走行時から変動させ、ローラ60の偏摩耗を抑制することができる。
【0134】
(実施の形態2)
図17は、この発明の実施の形態2における自走装置において、第1走行ルートを示す平面図である。図18は、この発明の実施の形態2における自走装置において、第2走行ルートを示す平面図である。本実施の形態における自走装置110は、実施の形態1における自走装置100と比較して、基本的には同様の構成を備える。以下、重複する構成については、その説明を繰り返さない。
【0135】
図17および図18を参照して、工作機械310および工作機械320の間には、走行体61が第1位置PAおよび第2位置PBの間で往復移動するための第1走行ルート510が規定されている。第1走行ルート510は、走行体61が第1位置PAから第2位置PBに向けて走行する往路510Sと、走行体61が第2位置PBから第1位置PAに向けて走行する復路510Tとを有する。
【0136】
第1走行ルート510の往路510Sおよび復路510Tは、第1位置PAおよび第2位置PBの間で直線状に延びている。なお、第1走行ルート510は、湾曲状に曲がる経路、または、屈曲する経路などを含んでもよい。
【0137】
工作機械310および工作機械320の間には、走行体61が第1位置Paおよび第2位置Pbの間で往復移動するための第2走行ルート520がさらに規定されている。第1位置Paおよび第2位置Pbは、それぞれ、第1走行ルート510における第1位置PAおよび第2位置PBに対応している。第2走行ルート520は、走行体61が第1位置Paから第2位置Pbに向けて走行する往路520Sと、走行体61が第2位置Pbから第1位置Paに向けて走行する復路520Tとを有する。
【0138】
走行体61は、第1走行ルート510の往路510Sおよび復路510Tを前進しながら走行する。走行体61は、第2走行ルート520の往路520Sを前進しながら走行し、第2走行ルート520の復路520Tを後進しながら走行(背走)する。
【0139】
第2走行ルート520は、第1区間521と、第2区間522とを有する。往路520Sは、第1区間521に対応している。復路520Tは、第2区間522に対応している。第2区間522(復路520T)は、第1走行ルート510の一部区間515(復路510T)と置き換えられている。
【0140】
第1区間521(往路520S)における走行体61の進行方向は、第1走行ルート510における走行体61の進行方向と同じである。第2区間522(復路520T)は、走行体61が、第1走行ルート510の一部区間515(復路510T)における走行体61の進行方向に対して角度をなして走行するタイミングを含む。
【0141】
より具体的には、第1区間521(往路520S)を走行する間の走行体61の進行方向(前進方向)は、第1走行ルート510における走行体61の進行方向(前進方向)と対応している。第2区間522(復路520T)を走行する場合の走行体61の進行方向(後進方向)は、第1走行ルート510の一部区間515(復路510T)を走行する間の走行体61の進行方向(前進方向)に対して180°の角度をなしている。
【0142】
自走装置110の走行体61は、従動輪51として、前輪(第1従動輪)に対応する従動輪51Rfおよび従動輪51Lfと、後輪(第2従動輪)に対応する従動輪51Rbおよび従動輪51Lbとを有する。このような構成において、走行体61が前進方向および後進方向のいずれか一方の方向にのみ走行すると、前輪および後輪と、第1駆動輪71および第2駆動輪72との位置関係が固定されたり、前輪および後輪と、前後方向における搬送対象物の積載位置との位置関係が固定されたりすることによって、前輪および後輪のいずれか一方の摩耗量が、前輪および後輪のいずれか他方の摩耗量よりも大きくなる可能性がある。
【0143】
これに対して、本実施の形態では、第1走行ルート510に沿った走行体61の走行回数Nが予め定められた規定回数Ncとなったあとに、走行体61を第2走行ルート520に沿って走行させる。走行体61は、第2走行ルート520の第2区間522(復路520T)を走行する間、第1走行ルートの一部区間515(復路510T)における走行体61の進行方向に対して180°の角度をなして進行する。
【0144】
これにより、前輪に対応する従動輪51Rfおよび従動輪51Lfと、後輪に対応する従動輪51Rbおよび従動輪51Lbとの前後関係が逆転するため、従動輪51Rfおよび従動輪51Lfの摩耗量と、従動輪51Rbおよび従動輪51Lbの摩耗量との間にばらつきが生じることを抑制できる。
【0145】
以上に説明した、この発明の実施の形態2における自走装置110によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0146】
(実施の形態3)
図19および図20は、この発明の実施の形態3における自走装置の走行を示す平面図である。本実施の形態における自走装置120は、実施の形態1における自走装置100と比較して、基本的には同様の構成を備える。以下、重複する構成については、その説明を繰り返さない。
【0147】
図19および図20を参照して、本実施の形態における自走装置120は、図1中に示される自走装置100と同様に、走行体61と、制御装置201とを備える。走行体61は、第1駆動輪71および第2駆動輪72と、従動輪51(51Rf,51Lf,51Rb,51Lb)とを有し、第1駆動輪71および第2駆動輪72に対して互いに異なる回転(回転数,回転方向)が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能である(差動2輪駆動方式)。
【0148】
工作機械310および工作機械320が設置される工場内には、充電ステーション440および待機ステーション460がさらに設けられている。
【0149】
充電ステーション440は、自走装置120のバッテリに外部から充電するための場所である。充電ステーション440には、接触充電式または非接触充電式の充電装置450が設置されている。充電ステーション440には、複数の充電装置450が設置されてもよい。制御装置201は、バッテリの充電量が規定量よりも小さくなった場合、または、自走装置120の作業が完了もしくは中断した場合などに、走行体61が充電ステーション440に向けて走行するように、第1駆動輪71および第2駆動輪72の駆動を制御する。
【0150】
待機ステーション460は、自走装置120が待機するための場所である。待機ステーション460は、複数台の自走装置120が待機可能な広さ(床面積)を有する。制御装置201は、自走装置120の作業が完了もしくは中断した場合などに、走行体61が待機ステーション460に向けて走行するように、第1駆動輪71および第2駆動輪72の駆動を制御する。
【0151】
図19に示されるように、制御装置201は、走行体61が充電ステーション440において旋回動作をするように、第1駆動輪71および第2駆動輪72の駆動を制御する。充電ステーション440における旋回動作は、バッテリの充電の前後に行なわれてもよいし、バッテリの充電中に行なわれてもよい。図20に示されるように、制御装置201は、走行体61が待機ステーション460において旋回動作をするように、第1駆動輪71および第2駆動輪72の駆動を制御する。
【0152】
充電ステーション440および待機ステーション460における走行体61の旋回動作は、たとえば、一定の円周上の周回する右旋回または左旋回であってもよいし、第1駆動輪71および第2駆動輪72の中心位置を回転中心とする回転であってもよい。旋回動作が回転である場合、より狭い範囲で走行体61を旋回動作させることができる。
【0153】
このような構成によれば、走行体61の旋回動作に伴って、床面に対するローラ60の接触位置を変動させることによって、ローラ60の偏摩耗を抑制することができる。また、充電ステーション440および待機ステーション460における自走装置120は、作業を行なうタイミングでないため、床面に対するローラ60の接触位置を変動させるための走行体61の旋回動作が自走装置120の作業効率が妨げることを抑制できる。
【0154】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0155】
この発明は、AGV等の自走装置に適用される。
【符号の説明】
【0156】
11 ロボットアーム、12 基台部、13 アーム部、21 第1可動部、22 第2可動部、23,25 回転部、24 第3可動部、51,51Lb,51Lf,51Rb,51Rf,51Lf 従動輪、56 ホイール、57 基部、58 ローラ支持部、59 車軸挿入孔、60 ローラ、60a 外周面、61 走行体、62 走行本体部、63 カバー部、65 頂面、66 トレイ、71 第1駆動輪、72 第2駆動輪、73 第1車軸、74 第2車軸、75,76 減速機、77 第1走行用モータ、78 第2走行用モータ、86 フレーム、87 第3支持軸、88 第3支持アーム、91 第1支持軸、92 第2支持軸、93 第1支持アーム、94 第2支持アーム、96 第3車軸、97 第4車軸、98 第5車軸、99 第6車軸、100,110,120 自走装置、111,112,113,114,115,116 回転中心軸、121 第1軸、122 第2軸、126,126Lb,126Lf,126Rb,126Rf 第3軸、130 第4軸、201 制御装置、202 ROM、203 RAM、204 通信インターフェイス、205 レーザセンサ、206 モータ駆動装置、209 バス、210 記憶装置、211 制御プログラム、212 マップ、221 走行制御部、222 走行履歴取得部、310,320 工作機械、410 第3通路、420 第2通路、430 第1通路、440 充電ステーション、450 充電装置、460 待機ステーション、480 迂回路、510 第1走行ルート、510S,520S 往路、510T,520T 復路、515 一部区間、520 第2走行ルート、521 第1区間、522 第2区間、522p 第1直線部、522q 第2直線部、522r 第3直線部、522s 第4直線部、522t 第5直線部、PA,Pa 第1位置、PB,Pb 第2位置、PC,Pc 第3位置、PD,Pd 第4位置、Pe 第1角部、Pf 第2角部、Pg 第3角部、Ph 第4角部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2021-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体の走行を制御するための制御装置とを備え、
前記走行体は、
左右方向に延びる第1軸を中心に回転可能な第1駆動輪と、
前記第1軸の延長線上で左右方向に延びる第2軸を中心に回転可能な第2駆動輪と、
左右方向に延びる第3軸を中心に回転可能に支持されるホイールと、前記第3軸を中心とする周方向に並び、前記ホイールの外周縁において、前記第3軸と直交する第4軸を中心に回転可能に支持される複数のローラとを含む従動輪とを有し、
前記走行体は、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪に対して互いに異なる回転が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能であり、
前記制御装置は、前記走行体が第1位置および第2位置の間を第1走行ルートに沿って走行し、前記第1走行ルートに沿った前記走行体の走行が複数回繰り返された後、前記走行体が前記第1位置および前記第2位置の間を第2走行ルートに沿って走行するように、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪の駆動を制御し、
前記第2走行ルートは、前記第1走行ルートに沿って延び、前記走行体が、前記第1走行ルートにおける前記走行体の進行方向と同じ方向に進行する第1区間と、前記第1走行ルートの一部区間と置き換えられ、前記走行体が、前記第1走行ルートの前記一部区間における前記走行体の進行方向に対して角度をなして進行するタイミングを含む第2区間とを有し、
前記第2区間における前記走行体の走行は、右方への旋回動作および/または左方への旋回動作を含み、
右方への旋回動作時における前記走行体の旋回角度の総和と、左方への旋回動作時における前記走行体の旋回角度の総和とが、互いに異なる、自走装置。
【請求項2】
前記第2走行ルートにおける前記走行体の走行距離は、前記第1走行ルートにおける前記走行体の走行距離よりも長い、請求項1に記載の自走装置。
【請求項3】
前記第2区間における前記走行体の走行距離は、前記第1区間における前記走行体の走行距離よりも短い、請求項1または2に記載の自走装置。
【請求項4】
方への旋回動作時における前記走行体の走行時間と、左方への旋回動作時における前記走行体の走行時間とが、互いに異なる、請求項1からのいずれか1項に記載の自走装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
この発明の1つの局面に従った自走装置は、走行体と、走行体の走行を制御するための制御装置とを備える。走行体は、左右方向に延びる第1軸を中心に回転可能な第1駆動輪と、第1軸の延長線上で左右方向に延びる第2軸を中心に回転可能な第2駆動輪と、左右方向に延びる第3軸を中心に回転可能に支持されるホイールと、第3軸を中心とする周方向に並び、ホイールの外周縁において、第3軸と直交する第4軸を中心に回転可能に支持される複数のローラとを含む従動輪とを有する。走行体は、第1駆動輪および第2駆動輪に対して互いに異なる回転が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能である。制御装置は、走行体が第1位置および第2位置の間を第1走行ルートに沿って走行し、第1走行ルートに沿った走行体の走行が複数回繰り返された後、走行体が第1位置および第2位置の間を第2走行ルートに沿って走行するように、第1駆動輪および第2駆動輪の駆動を制御する。第2走行ルートは、第1走行ルートに沿って延び、走行体が、第1走行ルートにおける走行体の進行方向と同じ方向に進行する第1区間と、第1走行ルートの一部区間と置き換えられ、走行体が、第1走行ルートの一部区間における走行体の進行方向に対して角度をなして進行するタイミングを含む第2区間とを有する。第2区間における走行体の走行は、右方への旋回動作および/または左方への旋回動作を含む。右方への旋回動作時における走行体の旋回角度の総和と、左方への旋回動作時における走行体の旋回角度の総和とが、互いに異なる。
この発明のの局面に従った自走装置は、走行体と、走行体の走行を制御するための制御装置とを備える。走行体は、左右方向に延びる第1軸を中心に回転可能な第1駆動輪と、第1軸の延長線上で左右方向に延びる第2軸を中心に回転可能な第2駆動輪と、左右方向に延びる第3軸を中心に回転可能に支持されるホイールと、第3軸を中心とする周方向に並び、ホイールの外周縁において、第3軸と直交する第4軸を中心に回転可能に支持される複数のローラとを含む従動輪とを有する。走行体は、第1駆動輪および第2駆動輪に対して互いに異なる回転が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能である。制御装置は、走行体が第1位置および第2位置の間を第1走行ルートに沿って走行し、第1走行ルートに沿った走行体の走行が複数回繰り返された後、走行体が第1位置および第2位置の間を第2走行ルートに沿って走行するように、第1駆動輪および第2駆動輪の駆動を制御する。第2走行ルートは、第1走行ルートに沿って延び、走行体が、第1走行ルートにおける走行体の進行方向と同じ方向に進行する第1区間と、第1走行ルートの一部区間と置き換えられ、走行体が、第1走行ルートの一部区間における走行体の進行方向に対して角度をなして進行するタイミングを含む第2区間とを有する。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体の走行を制御するための制御装置とを備え、
前記走行体は、
左右方向に延びる第1軸を中心に回転可能な第1駆動輪と、
前記第1軸の延長線上で左右方向に延びる第2軸を中心に回転可能な第2駆動輪と、
左右方向に延びる第3軸を中心に回転可能に支持されるホイールと、前記第3軸を中心とする周方向に並び、前記ホイールの外周縁において、前記第3軸と直交する第4軸を中心に回転可能に支持される複数のローラとを含む従動輪とを有し、
前記走行体は、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪に対して互いに異なる回転が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能であり、
前記制御装置は、前記走行体が第1位置および第2位置の間を第1走行ルートに沿って走行し、前記第1走行ルートに沿った前記走行体の走行が複数回繰り返された後、前記走行体が前記第1位置および前記第2位置の間を第2走行ルートに沿って走行するように、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪の駆動を制御し、
前記第2走行ルートは、前記第1走行ルートに沿って延び、前記走行体が、前記第1走行ルートにおける前記走行体の進行方向と同じ方向に進行する第1区間と、前記第1走行ルートの一部区間と置き換えられ、前記走行体が、前記第1走行ルートの前記一部区間における前記走行体の進行方向に対して角度をなして進行するタイミングを含む第2区間とを有し、
前記第2区間における前記走行体の走行は、右方への旋回動作および/または左方への旋回動作を含み、
右方への旋回動作時における前記走行体の旋回角度の総和と、左方への旋回動作時における前記走行体の旋回角度の総和とが、互いに異なり、
前記制御装置は、前記走行体の走行履歴を取得し、その取得した前記走行体の走行履歴に基づいて、前記第1走行ルートおよび前記第2走行ルートのいずれか一方の走行ルートを選択する、自走装置。
【請求項2】
前記第2走行ルートにおける前記走行体の走行距離は、前記第1走行ルートにおける前記走行体の走行距離よりも長い、請求項1に記載の自走装置。
【請求項3】
前記第2区間における前記走行体の走行距離は、前記第1区間における前記走行体の走行距離よりも短い、請求項1または2に記載の自走装置。
【請求項4】
右方への旋回動作時における前記走行体の走行時間と、左方への旋回動作時における前記走行体の走行時間とが、互いに異なる、請求項1から3のいずれか1項に記載の自走装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
この発明の1つの局面に従った自走装置は、走行体と、走行体の走行を制御するための制御装置とを備える。走行体は、左右方向に延びる第1軸を中心に回転可能な第1駆動輪と、第1軸の延長線上で左右方向に延びる第2軸を中心に回転可能な第2駆動輪と、左右方向に延びる第3軸を中心に回転可能に支持されるホイールと、第3軸を中心とする周方向に並び、ホイールの外周縁において、第3軸と直交する第4軸を中心に回転可能に支持される複数のローラとを含む従動輪とを有する。走行体は、第1駆動輪および第2駆動輪に対して互いに異なる回転が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能である。制御装置は、走行体が第1位置および第2位置の間を第1走行ルートに沿って走行し、第1走行ルートに沿った走行体の走行が複数回繰り返された後、走行体が第1位置および第2位置の間を第2走行ルートに沿って走行するように、第1駆動輪および第2駆動輪の駆動を制御する。第2走行ルートは、第1走行ルートに沿って延び、走行体が、第1走行ルートにおける走行体の進行方向と同じ方向に進行する第1区間と、第1走行ルートの一部区間と置き換えられ、走行体が、第1走行ルートの一部区間における走行体の進行方向に対して角度をなして進行するタイミングを含む第2区間とを有する。第2区間における走行体の走行は、右方への旋回動作および/または左方への旋回動作を含む。右方への旋回動作時における走行体の旋回角度の総和と、左方への旋回動作時における走行体の旋回角度の総和とが、互いに異なる。制御装置は、走行体の走行履歴を取得し、その取得した走行体の走行履歴に基づいて、第1走行ルートおよび第2走行ルートのいずれか一方の走行ルートを選択する。
この発明の別の局面に従った自走装置は、走行体と、走行体の走行を制御するための制御装置とを備える。走行体は、左右方向に延びる第1軸を中心に回転可能な第1駆動輪と、第1軸の延長線上で左右方向に延びる第2軸を中心に回転可能な第2駆動輪と、左右方向に延びる第3軸を中心に回転可能に支持されるホイールと、第3軸を中心とする周方向に並び、ホイールの外周縁において、第3軸と直交する第4軸を中心に回転可能に支持される複数のローラとを含む従動輪とを有する。走行体は、第1駆動輪および第2駆動輪に対して互いに異なる回転が付与されることにより、左右方向に旋回動作が可能である。制御装置は、走行体が第1位置および第2位置の間を第1走行ルートに沿って走行し、第1走行ルートに沿った走行体の走行が複数回繰り返された後、走行体が第1位置および第2位置の間を第2走行ルートに沿って走行するように、第1駆動輪および第2駆動輪の駆動を制御する。第2走行ルートは、第1走行ルートに沿って延び、走行体が、第1走行ルートにおける走行体の進行方向と同じ方向に進行する第1区間と、第1走行ルートの一部区間と置き換えられ、走行体が、第1走行ルートの一部区間における走行体の進行方向に対して角度をなして進行するタイミングを含む第2区間とを有する。