(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118533
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】自動二輪車
(51)【国際特許分類】
B62H 1/02 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
B62H1/02 B
B62H1/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015114
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】井上 祐一
(57)【要約】
【課題】サイドスタンドの位置を検出するロータリ式のサイドスタンドスイッチを備え、レイアウトの自由度が高い自動二輪車を提供すること。
【解決手段】自動二輪車1は、サイドスタンド70の根元部71を回転可能に支持する支持軸73と、ロータリ式のサイドスタンドスイッチ80と、ブラケット76から車幅方向の外方に延びるピン77と、ブラケット76から車幅方向の内方に延びる係合軸78と、係合軸78に係合するリターンスプリング74とを備えている。ピン77はサイドスタンドスイッチ80のハウジング82に係合し、ハウジング82の回転を規制している。サイドスタンドスイッチ80は、サイドスタンド70の根元部71よりも車幅方向の外方に配置されている。リターンスプリング74は、サイドスタンド70よりも車幅方向の内方に配置されている。係合軸78は、ピン77の中心線77cから外れた位置に配置されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
根元部を有するサイドスタンドと、
前記サイドスタンドの前記根元部を前記車体フレームに回転可能に支持する支持軸と、
ハウジングと、前記サイドスタンドの前記根元部に固定され、前記ハウジングに対して回転可能なロータと、を有するロータリ式のサイドスタンドスイッチと、
前記車体フレームから車幅方向の外方に延び、前記ハウジングに係合し、前記ハウジングの回転を規制するピンと、
前記車体フレームから車幅方向の内方に延びる第1スプリング止め部材と、
前記サイドスタンドから車幅方向の内方に延びる第2スプリング止め部材と、
前記第1スプリング止め部材に係合する第1端部と前記第2スプリング止め部材に係合する第2端部とを有するリターンスプリングと、を備え、
前記サイドスタンドスイッチは、前記サイドスタンドの前記根元部よりも車幅方向の外方に配置され、
前記リターンスプリングは、前記サイドスタンドよりも車幅方向の内方に配置され、
前記第1スプリング止め部材は、前記ピンの中心線から外れた位置に配置されている、自動二輪車。
【請求項2】
車幅方向の外方から前記支持軸の軸線に沿って見たときに、前記ピンは前記支持軸の軸線の前方に配置されている、請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項3】
車幅方向の外方から前記支持軸の軸線に沿って見たときに、前記第1スプリング止め部材は前記支持軸の軸線の上方に配置されている、請求項1または2に記載の自動二輪車。
【請求項4】
前記リターンスプリングは、螺旋状に巻かれた素線からなるコイル部と、真っ直ぐに延びる素線からなるストレート部とを有するコイルスプリングからなり、
前記ストレート部は、前記コイル部と前記第1端部との間に設けられている、請求項1~3のいずれか一つに記載の自動二輪車。
【請求項5】
前記第1スプリング止め部材は軸である、請求項1~4のいずれか一つに記載の自動二輪車。
【請求項6】
前記サイドスタンドスイッチの前記ハウジングには、U字状の溝が形成され、
前記ピンは、前記溝に係合している、請求項1~5のいずれか一つに記載の自動二輪車。
【請求項7】
前記サイドスタンドスイッチには、前方に開いた接続口が形成され、
前記接続口に接続された第1ワイヤハーネスを備えている、請求項1~6のいずれか一つに記載の自動二輪車。
【請求項8】
シフトペダルと、
前記シフトペダルの操作を検出するシフトペダルセンサと、
前記シフトペダルセンサに接続され、前記シフトペダルセンサから前方に延びる第2ワイヤハーネスと、を備え、
前記第2ワイヤハーネスは、前記サイドスタンドスイッチの上方に配置されている、請求項1~7のいずれか一つに記載の自動二輪車。
【請求項9】
内燃機関と、
前記内燃機関に設けられたシフト軸と、
前記シフト軸と前記シフトペダルとを連結するシフトロッドと、を備え、
前記シフトロッドは、前記サイドスタンドスイッチ、前記ピン、および前記第1スプリング止め部材の上方に配置されている、請求項8に記載の自動二輪車。
【請求項10】
前記サイドスタンドスイッチ、前記ピン、および前記第1スプリング止め部材は、前記シフトロッドの前端よりも後方、かつ、前記シフトロッドの後端よりも前方に配置されている、請求項9に記載の自動二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドスタンドを備えた自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体フレームに回転可能に支持されたサイドスタンドと、サイドスタンドの位置を検出するロータリ式のサイドスタンドスイッチとを備えた自動二輪車が知られている。例えば特許文献1に、そのような自動二輪車が開示されている。
【0003】
ロータリ式のサイドスタンドスイッチは、ハウジングと、ハウジングに対して回転可能なロータと、ロータの回転によりON/OFFされるスイッチとを有している。特許文献1に開示された自動二輪車では、ロータはサイドスタンドの根元部に固定されている。ロータはサイドスタンドの回転に伴って回転する。そのため、ハウジングがロータと一緒に回転しないよう、ハウジングの回転を規制する必要がある。
【0004】
図10に示すように、ハウジング507には切欠き509が形成されている。車体フレームのブラケット502には、シャフト504が設けられている。シャフト504はハウジング507の切欠き509と係合している。シャフト504により、ハウジング507の回転は規制される。
【0005】
サイドスタンド501は、先端部が地面に接触する位置(以下、起立位置という)と、先端部が根元部の後方に位置する位置(以下、格納位置という)との間で回転する。
図10は、起立位置を表している。サイドスタンド501にはリターンスプリング506が設けられている。リターンスプリング506の一端部は、ブラケット502に設けられたシャフト504に取り付けられている。リターンスプリング506の他端部は、サイドスタンド501に設けられたボス部505に取り付けられている。シャフト504は、ブラケット502から車幅方向の外方に延びている。ボス部505は、サイドスタンド501から車幅方向の外方に延びている。サイドスタンドスイッチ500およびリターンスプリング506は、サイドスタンド501の車幅方向の外方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リターンスプリング506は、サイドスタンド501が起立位置にあるときにはサイドスタンド501を起立位置に保持し、サイドスタンド501が格納位置にあるときにはサイドスタンド501を格納位置に保持する役割を果たす。リターンスプリング506がこのような役割を果たすために、リターンスプリング506の伸び量が最大となるときのボス部505の位置は、サイドスタンド501が起立位置のときのボス部505の位置と、サイドスタンド501が格納位置のときのボス部505の位置との間になければならない。そのため、サイドスタンド501の回転中心501cと、リターンスプリング506の一端部を支持するシャフト504と、リターンスプリング506の他端部を支持するボス部505とには、所定の位置関係が必要である。なお、回転中心501cは、ロータリ式のサイドスタンドスイッチ500の回転中心でもある。
【0008】
ところで、ロータリ式のサイドスタンドスイッチ500の上方かつ近傍に、クイックシフタなどの車両部品を配置したい場合がある。しかし、特許文献1に開示された構成では、レイアウトの自由度が低い。そのため、サイドスタンドスイッチ500の上方かつ近傍に、車両部品を配置することが困難であった。
【0009】
本発明の目的は、サイドスタンドの位置を検出するロータリ式のサイドスタンドスイッチを備え、レイアウトの自由度が高い自動二輪車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに開示される自動二輪車は、車体フレームと、サイドスタンドと、支持軸と、ロータリ式のサイドスタンドスイッチと、ピンと、第1スプリング止め部材と、第2スプリング止め部材と、リターンスプリングと、を備える。前記サイドスタンドは根元部を有する。前記支持軸は、前記サイドスタンドの前記根元部を前記車体フレームに回転可能に支持する。前記サイドスタンドスイッチは、ハウジングと、前記サイドスタンドの前記根元部に固定され、前記ハウジングに対して回転可能なロータと、を有する。前記ピンは、前記車体フレームから車幅方向の外方に延び、前記ハウジングに係合している。前記ピンは、前記ハウジングの回転を規制する。前記第1スプリング止め部材は、前記車体フレームから車幅方向の内方に延びている。前記第2スプリング止め部材は、前記サイドスタンドから車幅方向の内方に延びている。前記リターンスプリングは、前記第1スプリング止め部材に係合する第1端部と前記第2スプリング止め部材に係合する第2端部とを有する。前記サイドスタンドスイッチは、前記サイドスタンドの前記根元部よりも車幅方向の外方に配置されている。前記リターンスプリングは、前記サイドスタンドよりも車幅方向の内方に配置されている。前記第1スプリング止め部材は、前記ピンの中心線から外れた位置に配置されている。
【0011】
上記自動二輪車によれば、リターンスプリングとロータリ式のサイドスタンドスイッチとは、サイドスタンドに対して互いに反対側に配置されている。また、ハウジングがロータと一緒に回転することを防止するピンと、リターンスプリングの第1端部に係合する第1スプリング止め部材とは、別体である。加えて、第1スプリング止め部材は、ピンの中心線から外れた位置に配置されている。よって、サイドスタンドスイッチ、ピン、および第1スプリング止め部材のレイアウトの自由度が高い。したがって、上記自動二輪車によれば、例えば、サイドスタンドスイッチの上方かつ近傍に、クイックシフタなどの車両部品を容易に配置することができる。
【0012】
車幅方向の外方から前記支持軸の軸線に沿って見たときに、前記ピンは前記支持軸の軸線の前方に配置されていてもよい。
【0013】
このことにより、ピンに邪魔されずに、サイドスタンドスイッチの上方かつ近傍にクイックシフタなどの車両部品を容易に配置することができる。
【0014】
車幅方向の外方から前記支持軸の軸線に沿って見たときに、前記第1スプリング止め部材は前記支持軸の軸線の上方に配置されていてもよい。
【0015】
このことにより、第1スプリング止め部材は支持軸の軸線の上方に配置されているので、サイドスタンドスイッチ、ピン、および第1スプリング止め部材をコンパクトに配置することができる。第1スプリング止め部材は車幅方向の内方に延びているので、第1スプリング止め部材に邪魔されずに、サイドスタンドスイッチの上方かつ近傍にクイックシフタなどの車両部品を容易に配置することができる。
【0016】
前記リターンスプリングは、螺旋状に巻かれた素線からなるコイル部と、真っ直ぐに延びる素線からなるストレート部とを有するコイルスプリングからなっていてもよい。前記ストレート部は、前記コイル部と前記第1端部との間に設けられていてもよい。
【0017】
前記第1スプリング止め部材は軸であってもよい。
【0018】
前記サイドスタンドスイッチの前記ハウジングには、U字状の溝が形成されていてもよい。前記ピンは前記溝に係合していてもよい。
【0019】
前記サイドスタンドスイッチには、前方に開いた接続口が形成されていてもよい。前記自動二輪車は、前記接続口に接続された第1ワイヤハーネスを備えていてもよい。
【0020】
このことにより、第1ワイヤハーネスはサイドスタンドスイッチから前方に延びることになる。第1ワイヤハーネスがサイドスタンドスイッチから上方に延びていないので、サイドスタンドスイッチの上方にスペースを確保することができる。よって、サイドスタンドスイッチの上方かつ近傍に、クイックシフタなどの車両部品を容易に配置することができる。
【0021】
前記自動二輪車は、シフトペダルと、前記シフトペダルの操作を検出するシフトペダルセンサと、前記シフトペダルセンサに接続され、前記シフトペダルセンサから前方に延びる第2ワイヤハーネスと、を備えていてもよい。前記第2ワイヤハーネスは、前記サイドスタンドスイッチの上方に配置されていてもよい。
【0022】
このことにより、サイドスタンドスイッチの上方かつ近傍に、第2ワイヤハーネスをコンパクトに配置することができる。
【0023】
前記自動二輪車は、内燃機関と、前記内燃機関に設けられたシフト軸と、前記シフト軸と前記シフトペダルとを連結するシフトロッドと、を備えていてもよい。前記シフトロッドは、前記サイドスタンドスイッチ、前記ピン、および前記第1スプリング止め部材の上方に配置されていてもよい。
【0024】
このことにより、サイドスタンドスイッチの上方かつ近傍に、シフトロッドをコンパクトに配置することができる。
【0025】
前記サイドスタンドスイッチ、前記ピン、および前記第1スプリング止め部材は、前記シフトロッドの前端よりも後方、かつ、前記シフトロッドの後端よりも前方に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、サイドスタンドの位置を検出するロータリ式のサイドスタンドスイッチを備え、レイアウトの自由度が高い自動二輪車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【
図4】サイドスタンドおよびサイドスタンドスイッチ等の左側面図である。
【
図5】サイドスタンドおよびサイドスタンドスイッチ等の平面図である。
【
図6】サイドスタンドおよびサイドスタンドスイッチ等の右側面図である。
【
図7】サイドスタンドおよびサイドスタンドスイッチ等の正面図である。
【
図8】サイドスタンドおよびサイドスタンドスイッチ等を、車幅方向の外方から支持軸の軸線に沿って見た図である。
【
図9】リターンスプリングが所定の役割を果たすために必要な支持軸、係合軸、およびフックの相互の位置関係を説明する模式図である。
【
図10】従来の自動二輪車におけるサイドスタンド、サイドスタンドスイッチ、およびリターンスプリングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る自動二輪車1の左側面図である。
【0029】
以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、乗員が乗車せずかつ荷物が載せられていない自動二輪車1が水平面上に直立した状態で停止している場合に、シート2に着座した仮想的な乗員から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図中のF、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。前方とは、車両平面視において、車両中心線CL(
図5参照)に沿って前向きに延びる方向だけでなく、当該方向から左右に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。同様に、後方とは、車両平面視において、車両中心線CLに沿って後向きに延びる方向だけでなく、当該方向から左右に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。左方とは、車両平面視において、車両中心線CLに対して垂直に左向きに延びる方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。右方とは、車両平面視において、車両中心線CLに対して垂直に右向きに延びる方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。上方とは、車両側面視において、鉛直上向きの方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。下方とは、車両側面視において、鉛直下向きの方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。
【0030】
図1に示すように、自動二輪車1は、車体フレーム3と、車体フレーム3に支持されたシート2と、前輪4と、後輪5と、前輪4を操舵するハンドルバー6と、後輪5を駆動する内燃機関(以下、エンジンという)7とを備えている。エンジン7は車体フレーム3に支持されている。
【0031】
車体フレーム3は、下方に延びる左および右のサイドフレーム10を有している。各サイドフレーム10は、エンジン7の側方に配置されている。
図1に示すように、左のサイドフレーム10はエンジン7の左方に配置されている。
【0032】
サイドフレーム10にはピボット軸11が支持されている。ピボット軸11には、リアアーム8の前端部が揺動可能に連結されている。リアアーム8は、ピボット軸11を介してサイドフレーム10に揺動可能に連結されている。リアアーム8の後端部には、後輪5が回転可能に連結されている。エンジン7と後輪5とは、動力伝達部材の一例であるチェーン9により連結されている。
【0033】
図示は省略するが、エンジン7は有段式の変速機を備えている。エンジン7には、変速機のシフト軸16(
図2参照)が設けられている。シフト軸16が回転すると、変速機のギア段が変更される。シフト軸16の一部は、エンジン7の外部に配置されている。
【0034】
図2、
図3は、それぞれ自動二輪車1の一部を抽出した斜視図、左側面図である。自動二輪車1は、フットレスト34と、シフト軸16を操作するシフトペダル30と、シフト軸16とシフトペダル30とを連結するシフトロッド40と、サイドスタンド70と、サイドスタンド70の位置を検出するロータリ式のサイドスタンドスイッチ80と、を備えている。
【0035】
サイドフレーム10には、フットレストブラケット20が固定されている。シフトペダル30はフットレストブラケット20に取り付けられている。シフトペダル30は、上下に回転可能なペダル支持軸31と、ペダル支持軸31から前方に延びるペダルアーム32と、ペダルアーム32から左方に延びるペダル操作軸33と、ペダル支持軸31から下方に延びるリンクアーム35とを有している。ペダル操作軸33は、ペダルアーム32から車幅方向の外方に延びている。なお、「車幅方向の外方」とは、車両中心線CL(
図5参照)から遠ざかる方を言う。「車幅方向の内方」とは、車両中心線CLに近づく方を言う。ペダル支持軸31は、フットレストブラケット20に回転可能に支持されている。フットレスト34は、ペダル支持軸31の車幅方向の外方に配置されている。
【0036】
自動二輪車1はクイックシフタ55を備えている。クイックシフタ55は、乗員によるシフトペダル30の操作を検知したときに、エンジン7のトルクを一時的に低減させることにより、ペダル操作だけでシフトチェンジを可能とするものである。クイックシフタ55は、シフトペダル30の操作を検知するシフトペダルセンサ50と、シフトペダルセンサ50に接続されたワイヤハーネス60とを有している。
【0037】
ここでは、シフトペダルセンサ50は棒状に形成されている。シフトペダルセンサ50はシフトロッド40の一部を構成している。シフトロッド40は、メインロッド41とシフトペダルセンサ50とを有している。メインロッド41の前端部は、リンクアーム42を介してシフト軸16に連結されている。シフト軸16は、リンクアーム42の上端部に接続されている。メインロッド41の前端部は、リンクアーム42の下端部に回転可能に接続されている。メインロッド41の後端部は、シフトペダルセンサ50の前端部に接続されている。シフトペダルセンサ50の後端部は、シフトペダル30のリンクアーム35に回転可能に接続されている。
【0038】
図3に示すように、ワイヤハーネス60はシフトペダルセンサ50から前方に延びている。ワイヤハーネス60の後端部60bは、シフトペダルセンサ50に接続されている。ワイヤハーネス60の前端部60aは、ECU(Electronic Control Unit)90に接続されている。ワイヤハーネス60の一部は、ハーネスカバー66に挿入されており、ハーネスカバー66によって覆われている。ハーネスカバー66はホース状に形成されている。
【0039】
ECU90は、シフトペダルセンサ50から信号を受けて、エンジン7の出力を一時的に低下させる制御を行うように構成されている。シフトペダルセンサ50が乗員によるシフトアップ操作を検知すると、ECU90はエンジン7の出力を一時的に低下させることにより、変速機のギア(図示せず)の駆動トルクを低減させる。これにより、乗員は、例えばクラッチレバーを操作せずにシフトチェンジを行うことができる。乗員は、シフトペダル30の操作のみでシフトチェンジを行うことができる。
【0040】
サイドフレーム10の下部にはブラケット76が固定されている。ブラケット76は、車体フレーム3の一部である。サイドスタンド70は、ブラケット76に回転可能に支持されている。
図4、
図5、
図6、
図7は、サイドスタンド70およびサイドスタンドスイッチ80等の左側面図、平面図、右側面図、正面図である。
図4は、サイドスタンド70およびサイドスタンドスイッチ80等を車幅方向の外方から見た側面図である。
図6は、サイドスタンド70およびサイドスタンドスイッチ80等を車幅方向の内方から見た側面図である。次に、
図4~
図7を参照しながら、サイドスタンド70およびサイドスタンドスイッチ80等について説明する。
【0041】
図4に示すように、サイドスタンド70は、根元部71と先端部72とを有している。根元部71は、支持軸73によりブラケット76に回転可能に支持されている。根元部71は、支持軸73の軸線73c周りに回転可能である。根元部71は、ブラケット76に上下に回転可能に支持されている。サイドスタンド70は、先端部72が根元部71の下方に位置する起立位置と、先端部72が根元部71の後方に位置する格納位置とに位置変更可能に構成されている。
図4~
図7は、サイドスタンド70が格納位置にある状態を表している。自動二輪車1の駐車時には、サイドスタンド70は起立位置に設定される。サイドスタンド70が起立位置にあるときに、先端部72は地面に接触する。自動二輪車1に乗員が乗車するときには、サイドスタンド70は格納位置に設定される。サイドスタンド70が格納位置にあるときに、先端部72は地面よりも上方に位置し、地面から離間する。
【0042】
サイドスタンドスイッチ80はサイドスタンド70の根元部71に取り付けられている。サイドスタンドスイッチ80は、サイドスタンド70の根元部71よりも車幅方向の外方に配置されている。サイドスタンドスイッチ80はロータリ式のスイッチである。サイドスタンドスイッチ80は、ハウジング82と、サイドスタンド70の根元部71に固定されたロータ83と、ロータ83の回転によりON/OFFされるスイッチ(図示せず)とを有している。スイッチはハウジング82に固定されている。ロータ83はハウジング82に対して回転可能に組み付けられている。ロータ83はサイドスタンド70の根元部71に固定されているので、ロータ83はサイドスタンド70と共に、支持軸73の軸線73c周りに回転する。根元部71が回転することによってサイドスタンド70の位置が起立位置から格納位置に変更されたとき、または、格納位置から起立位置に変更されたときに、上記スイッチはONまたはOFFされる。これにより、サイドスタンド70の位置が検出される。
【0043】
ブラケット76には、車幅方向の外方に延びるピン77が設けられている。ピン77は、ロータ83の回転と共にハウジング82が回転しないように、ハウジング82の回転を規制する。本実施形態では、ピン77は円柱形状に形成されている。ピン77はハウジング82に係合している。ハウジング82にはU字状の溝82dが形成されている。ピン77は、この溝82dに係合している。
図8は、サイドスタンド70およびサイドスタンドスイッチ80等を、車幅方向の外方から支持軸73の軸線73cに沿って見た図である。
図8に示すように、車幅方向の外方から支持軸73の軸線73cに沿って見たときに、ピン77は軸線73cの前方に配置されている。ハウジング82の溝82dは前方に向かって開いている。サイドスタンドスイッチ80は前向きに設置されている。
【0044】
図4に示すように、サイドスタンドスイッチ80にはワイヤハーネス81が接続されている。サイドスタンドスイッチ80の前部には、ワイヤハーネス81が接続される接続口80aが形成されている。接続口80aは前向きに開いている。接続口80aおよびU字状の溝82dは、共に前向きに開いている。ワイヤハーネス81の後端部81bは、サイドスタンドスイッチ80に接続されている。ワイヤハーネス81は、サイドスタンドスイッチ80から前方に延びている。ワイヤハーネス81の前端部81aは、ECU90に接続されている(
図3参照)。
【0045】
図6に示すように、サイドスタンド70にはリターンスプリング74が設けられている。リターンスプリング74は、サイドスタンド70よりも車幅方向の内方に配置されている。リターンスプリング74はコイルスプリングからなっている。リターンスプリング74は、第1端部74aと、真っ直ぐに延びる素線からなるストレート部74Sと、螺旋状に巻かれた素線からなるコイル部74Cと、第2端部74bとを有している。ここでは、第1端部74aおよび第2端部74bは、フック状に形成されている。ストレート部74Sは、コイル部74Cと第1端部74aとの間に設けられている。
【0046】
車体フレーム3のブラケット76には、車幅方向の内方に延びる係合軸78が設けられている。サイドスタンド70には、車幅方向の内方に延びるフック79が設けられている。係合軸78には、リターンスプリング74の第1端部74aが係合している。フック79には、リターンスプリング74の第2端部74bが係合している。係合軸78、フック79は、それぞれ「第1スプリング止め部材」、「第2スプリング止め部材」の一例である。
図8に示すように、車幅方向の外方から支持軸73の軸線73cに沿って見たときに、係合軸78は支持軸73の上方に配置されている。車幅方向の外方から支持軸73の軸線73cに沿って見たときに、係合軸78はピン77よりも後方に配置されている。車幅方向の外方から支持軸73の軸線73cに沿って見たときに、係合軸78はピン77の後方かつ上方に配置されている。
【0047】
リターンスプリング74は、サイドスタンド70を起立位置または格納位置に保持する役割を果たす。すなわち、リターンスプリング74は、サイドスタンド70が起立位置にあるときには、サイドスタンド70を起立位置に保持する。リターンスプリング74は、サイドスタンド70が格納位置にあるときには、サイドスタンド70を格納位置に保持する。サイドスタンド70は支持軸73の軸線73c周りに回転するので、
図9に模式的に示すように、フック79は軸線73cを中心とする円弧73R上を移動する。リターンスプリング74が上記役割を果たすために、リターンスプリング74の伸び量が最大となるときのフック79の位置79Bは、サイドスタンド70が起立位置のときのフック79の位置79Aと、サイドスタンド70が格納位置のときのフック79の位置79Cとの間に設定されている。このように設定されていることにより、サイドスタンド70が起立位置にあるときに、サイドスタンド70はリターンスプリング74により、格納位置に向かう方向と逆の方向R1に付勢される。サイドスタンド70が格納位置にあるときに、サイドスタンド70はリターンスプリング74により、起立位置に向かう方向と逆の方向R2に付勢される。そのため、サイドスタンド70はリターンスプリング74により、起立位置にあるときには起立位置に保持され、格納位置にあるときには格納位置に保持される。
【0048】
支持軸73、係合軸78、およびフック79は、リターンスプリング74が上記役割を果たすように配置されている。すなわち、支持軸73、係合軸78、およびフック79は、リターンスプリング74の伸び量が最大となるときのフック79の位置79Bが、サイドスタンド70が起立位置のときのフック79の位置79Aと、サイドスタンド70が格納位置のときのフック79の位置79Cとの間に位置するように配置されている。本実施形態では、
図8に示すように車幅方向の外方から支持軸73の軸線73cに沿って見たときに、係合軸78は支持軸73の上方に配置されている。
【0049】
ところで、リターンスプリング74をサイドスタンド70の車幅方向の外方に配置し、リターンスプリング74の第1端部74aをピン77に係合させることが考えられる。すなわち、ピン77を係合軸として利用することが考えられる。この場合、リターンスプリング74が上記役割を果たすために、ピン77を支持軸73の上方に配置する必要がある。しかし、その場合、U字状の溝82dが上方に向かって開くように、サイドスタンドスイッチ80を上向きに配置する必要がある。その結果、サイドスタンドスイッチ80の接続口80aは上向きとなり、ワイヤハーネス81はサイドスタンドスイッチ80から上向きに延びることになる。そのため、サイドスタンドスイッチ80の上方かつ近傍に、スペースを確保することは難しい。
【0050】
一方、本実施形態では、リターンスプリング74は、サイドスタンド70に対して車幅方向の内方に配置されている。サイドスタンドスイッチ80は、サイドスタンド70に対して車幅方向の外方に配置されている。サイドスタンドスイッチ80とリターンスプリング74とは、サイドスタンド70に対して、互いに反対側に配置されている。サイドスタンドスイッチ80のハウジング82の回転を規制するピン77は、ブラケット76から車幅方向の外方に延びている。リターンスプリング74の第1端部74aと係合する係合軸78は、ブラケット76から車幅方向の内方に延びている。ピン77と係合軸78とは別体である。そのため、支持軸73、係合軸78、およびフック79のレイアウトの自由度が高い。
【0051】
図8に示すように、係合軸78は、ピン77の中心線77cから外れた位置に配置されている。車幅方向の外方から支持軸73の軸線73cに沿って見たときに、ピン77は支持軸73の前方かつ下方に配置されている。
図7に示すように、係合軸78の軸線78cとピン77の中心線77cとは、一致していない。係合軸78の軸線78cとピン77の中心線77cとは、互いに平行である。
【0052】
図4に示すように本実施形態では、ピン77が支持軸73の前方に配置されているので、サイドスタンドスイッチ80の溝82dおよび接続口80aは、前向きに配置されている。そのため、ワイヤハーネス81は、サイドスタンドスイッチ80から前方に延びている。サイドスタンドスイッチ80の上方かつ近傍に、スペースを確保することができる。本実施形態では、上記スペースにクイックシフタ55の一部が配置されている。
【0053】
図4に示すように、サイドスタンドスイッチ80およびピン77は、シフトロッド40の下方に配置されている。
図6に示すように、係合軸78はシフトロッド40の下方に配置されている。
図4に示すように、サイドスタンドスイッチ80、ピン77,および係合軸78は、シフトロッド40の前端40fよりも後方、かつ、シフトロッド40の後端40bよりも前方に配置されている。
【0054】
シフトペダルセンサ50に接続されたワイヤハーネス60の一部は、サイドスタンドスイッチ80の上方に配置されている。ワイヤハーネス60の他の一部は、サイドスタンド70の上方に配置されている。ワイヤハーネス60は、サイドスタンドスイッチ80の上方を通って、前後に延びている。
【0055】
以上が本実施形態に係る自動二輪車1の構成である。次に、自動二輪車1によってもたらされる様々な効果について説明する。
【0056】
自動二輪車1によれば、リターンスプリング74とサイドスタンドスイッチ80とは、サイドスタンド70の根元部71に対して互いに反対側に配置されている(
図7参照)。また、サイドスタンドスイッチ80のハウジング82の回転を規制するピン77と、リターンスプリング74の第1端部74aに係合する係合軸78とは、別体である。加えて、係合軸78は、ピン77の中心線77cから外れた位置に配置されている。よって、自動二輪車1によれば、サイドスタンドスイッチ80、ピン77、および係合軸78のレイアウトの自由度が高い。したがって、サイドスタンドスイッチ80の上方かつ近傍に、クイックシフタ55を容易に配置することができる。
【0057】
自動二輪車1によれば、
図8に示すように、車幅方向の外方から支持軸73の軸線73cに沿って見たときに、ピン77は支持軸73の軸線73cの前方に配置されている。ピン77に邪魔されずに、サイドスタンドスイッチ80の上方かつ近傍に、クイックシフタ55を容易に配置することができる。
【0058】
自動二輪車1によれば、車幅方向の外方から支持軸73の軸線73cに沿って見たときに、係合軸78は支持軸73の軸線73cの上方に配置されている。サイドスタンドスイッチ80、ピン77、および係合軸78をコンパクトに配置することができる。係合軸78は車幅方向の内方に延びているので、クイックシフタ55を係合軸78に邪魔されずにサイドスタンドスイッチ80の上方かつ近傍に配置することができる。
【0059】
図4に示すように、自動二輪車1によれば、サイドスタンドスイッチ80に前方に開いた接続口80aが形成されている。接続口80aには、ワイヤハーネス81が接続されている。ワイヤハーネス81は、サイドスタンドスイッチ80から前方に延びている。ワイヤハーネス81がサイドスタンドスイッチ80の上方に配置されていないので、サイドスタンドスイッチ80の上方にスペースを確保することができる。よって、サイドスタンドスイッチ80の上方かつ近傍に、クイックシフタ55を容易に配置することができる。
【0060】
自動二輪車1によれば、サイドスタンドスイッチ80の上方に、ワイヤハーネス60が挿入されたハーネスカバー66が配置されている。ワイヤハーネス60はサイドスタンドスイッチ80の上方に配置されている。サイドスタンドスイッチ80の上方かつ近傍に、クイックシフタ55のワイヤハーネス60をコンパクトに配置することができる。
【0061】
自動二輪車1によれば、シフト軸16とシフトペダル30とを連結するシフトロッド40は、サイドスタンドスイッチ80、ピン77、および係合軸78の上方に配置されている。サイドスタンドスイッチ80の上方かつ近傍にシフトロッド40をコンパクトに配置することができる。
【0062】
以上、一実施形態について説明したが、前記実施形態は一例に過ぎず、他にも様々な実施形態が可能である。次に、他の実施形態の例について簡単に説明する。
【0063】
ピン77の形状は円柱形状に限定されない。ピン77の断面形状は円に限定されない。ピン77の断面形状は、四角形状、六角形状などであってもよい。ピン77の断面形状は特に限定されない。ピン77は中実体であってもよく、中空体であってもよい。例えば、ピン77は管状に形成されていてもよい。
【0064】
ハウジング82は、ハウジング82の回転が規制されるようにピン77と係合していればよく、ハウジング82の溝82dは必ずしも必要ではない。ハウジング82は、ピン77と係合する溝82d以外の係合部を有していてもよい。
【0065】
前記実施形態では、リターンスプリング74のストレート部74Sは、コイル部74Cの前方に位置している。しかし、ストレート部74Sはコイル部74Cの後方に位置していてもよい。ストレート部74Sは、コイル部74Cと第2端部74bとの間に設けられていてもよい。リターンスプリング74は、第1端部74aとコイル部74Cと第2端部74bとを有し、ストレート部74Sを有していなくてもよい。
【0066】
リターンスプリング74の第1端部74aと係合する第1スプリング止め部材は、係合軸78に限られない。第1スプリング止め部材は、例えば、車体フレーム3から車幅方向の内方に延びるフックであってもよい。第1スプリング止め部材の形状は特に限定されない。リターンスプリング74の第2端部74bと係合する第2スプリング止め部材は、フック79に限られない。第2スプリング止め部材は、例えば、サイドスタンド70から車幅方向の内方に延びる軸であってもよい。第2スプリング止め部材の形状は特に限定されない。
【0067】
サイドスタンドスイッチ80の上方かつ近傍に配置される車両部品は、クイックシフタ55に限られない。
【0068】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0069】
1…自動二輪車、3…車体フレーム、7…内燃機関、16…シフト軸、30…シフトペダル、40…シフトロッド、50…シフトペダルセンサ、60…ワイヤハーネス(第2ワイヤハーネス)、70…サイドスタンド、71…根元部、73…支持軸、74…リターンスプリング、74a…第1端部、74b…第2端部、74C…コイル部、74S…ストレート部、77…ピン、78…係合軸(第1スプリング止め部材、軸)、79…フック(第2スプリング止め部材)、80…サイドスタンドスイッチ、80a…接続口、81…ワイヤハーネス(第1ワイヤハーネス)、82…ハウジング、82d…溝、83…ロータ