(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118551
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】清掃装置
(51)【国際特許分類】
A47L 11/24 20060101AFI20220805BHJP
A47L 11/282 20060101ALI20220805BHJP
B08B 1/04 20060101ALI20220805BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20220805BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220805BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20220805BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20220805BHJP
A61L 101/06 20060101ALN20220805BHJP
A61L 101/34 20060101ALN20220805BHJP
【FI】
A47L11/24
A47L11/282
B08B1/04
A47L9/28 E
G05D1/02 H
A61L2/10
A61L2/18
A61L101:06
A61L101:34
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015143
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000223986
【氏名又は名称】フィグラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】武村 典美
(72)【発明者】
【氏名】磯野 整
(72)【発明者】
【氏名】蜂巣 和正
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭子
(72)【発明者】
【氏名】和田 章嗣
(72)【発明者】
【氏名】扇谷 敏明
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 智幸
【テーマコード(参考)】
3B057
3B116
4C058
5H301
【Fターム(参考)】
3B057DA00
3B116AA01
3B116AA31
3B116AB51
3B116BA02
3B116BA15
3B116BA35
3B116BB22
3B116BB62
3B116BB72
3B116BB77
3B116BC01
3B116CD42
3B116CD43
4C058AA23
4C058AA29
4C058BB06
4C058BB07
4C058CC05
4C058DD01
4C058DD13
4C058JJ06
4C058JJ07
4C058JJ08
4C058JJ24
4C058KK02
4C058KK23
4C058KK26
5H301BB11
5H301CC10
5H301GG10
5H301LL02
5H301LL08
5H301LL14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】人の活動空間を自動的に清掃することができ、あわせて特に必要と認められる部位について重点的に消毒作業を施すことができる清掃装置を提供する。
【解決手段】清掃装置1には、塵芥を収容するための塵芥コンテナ20と、前記塵芥コンテナ20が搭載され、所定の経路設定に従って清掃対象領域を移動するための駆動装置を備えた本体部と、前記本体部の塵芥コンテナ20に収集した塵芥を送出可能に前記本体部に接続されている清掃ユニット30とを有し、前記本体部には、前記清掃対象領域に存在する、多数の人が接触する可能性のある部位である人接触部位に対して消毒処理を実行するように構成されている消毒ユニット100が設けられている。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥を収容するための塵芥収容部と、
前記塵芥収容部が搭載され、所定の経路設定に従って清掃対象領域を移動するための駆動装置を備えた本体部と、
前記本体部の塵芥収容部に収集した塵芥を送出可能に前記本体部に接続されている清掃部とを有し、
前記本体部には、前記清掃対象領域に存在する、多数の人が接触する可能性のある部位である人接触部位に対して消毒処理を実行するように構成されている消毒処理部が設けられている、
清掃装置。
【請求項2】
前記消毒処理部は前記人接触部位と床面からの高さが実質的に一致する位置に設けられている、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記消毒処理部は、前記人接触部位に対して消毒薬剤を放出するか、又は紫外光を照射するように構成されている、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記消毒処理部は、前記人接触部位を覆う被覆体を備えている、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項5】
前記所定の経路設定が、設定される経路上に存在する前記人接触部位の位置設定を含んでいる、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項6】
前記所定の経路設定において設定された経路上に存在する前記人接触部位に到達した場合、前記消毒処理部が前記人接触部位を覆うことができる位置まで、距離計測を実行しながら接近するように構成されている、請求項5に記載の清掃装置。
【請求項7】
前記消毒処理部が前記人接触部位としての手すりを消毒するものであり、前記手すりに消毒薬剤を放出する消毒部と、前記手すりの長手方向に隣接して手すりに付着した消毒薬液を拭き取るワイプ部とが設けられている、請求項3に記載の清掃装置。
【請求項8】
前記本体部の底面に、床面に向けて紫外光を照射する紫外光照射部が設けられている、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項9】
前記清掃部の底面に、床面に向けて消毒薬剤を放出する薬剤放出部が設けられている、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項10】
前記清掃部の底面に、床面に回転しながら接触しつつ塵埃を収集するための回転ブラシが設けられており、当該回転ブラシが床面と接触する付近に向けて紫外光を照射する紫外光照射部が設けられている、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項11】
前記本体部に、人体に使用するのに好適な消毒薬剤を保持する消毒管理箱と、当該消毒管理箱から延伸して人が手指に消毒薬液を放出するのに好適な高さに開口しているノズルを有する薬剤放出チューブとを備え、前記消毒管理箱は、人のスイッチ操作又は人の手指が接近したことを検出して消毒薬剤を放出するように構成されている、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項12】
前記本体部から床面と反対方向に延伸する支持体と、該支持体に設けられた紫外光源とを備え、前記所定経路に沿って移動中に、周囲の構造物に対して前記紫外光源から紫外光を照射するように構成されている、請求項1に記載の清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビル、空港ターミナル、鉄道駅等の施設において清潔な環境を保つための清掃作業は欠かせない。近年は、少子高齢化社会において清掃作業の省力化を図るために、自動運転あるいは遠隔操作により清掃作業を行うことができる、いわゆる清掃ロボットが各所で導入されている。一般に、清掃ロボットは、例えば、あらかじめ設定された、あるいは遠隔指示される経路に沿って移動しつつ、回転ブラシ等で床面を清掃しながら塵埃を吸引する機能を備える。
【0003】
近時、感染症対策が社会的な喫緊の課題となっており、前記したオフィスビル、公共施設等においても、特に不特定多数の人が接触する手すり、ドアノブなどの設備について、適時に消毒を施すことが求められている。この点では、例えば、特許文献1に記載されている無人洗浄消毒システムが、「無人走行洗浄装置を遠隔操作により走行させて指定した洗浄エリアの排泄物の汚れ位置を特定し洗浄ロボットを通じて効率よく洗浄作業が行なえる畜舎の無人洗浄消毒システム」として、洗浄ロボットによる洗浄動作後に撮像カメラによる洗浄エリアの撮像を行い、制御部は撮像画像と基準画像を対比して洗浄が完了したか否かを判定し、洗浄が完了するまで洗浄動作、洗浄エリアの撮像及び洗浄完了判定を繰り返し、洗浄が完了すると無人走行洗浄装置を次の洗浄エリアへ移動」させる構成を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は遠隔操作により畜舎の洗浄消毒を行うシステムであり、もとより人間の生活空間で利用するのに適したシステムとは言えない。例えば、噴射した消毒液が洗浄対象だけでなくその周囲に飛散して周囲環境に影響を与えるといった問題が考えられる。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、人の活動空間を自動的に清掃することができ、あわせて特に必要と認められる部位について重点的に消毒作業を施すことができる清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するための本発明の一つは、塵芥を収容するための塵芥収容部と、前記塵芥収容部が搭載され、所定の経路設定に従って清掃対象領域を移動するための駆動装置を備えた本体部と、前記本体部の塵芥収容部に収集した塵芥を送出可能に前記本体部に接続されている清掃部とを有し、前記本体部には、前記清掃対象領域に存在する、多数の人が接触する可能性のある部位である人接触部位に対して消毒処理を実行するように構成されている消毒処理部が設けられている清掃装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、人の活動空間を自動的に清掃することができ、あわせて特に必要と認められる部位について重点的に消毒作業を施すことができる清掃装置を提供することができる。
【0009】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の一実施形態である清掃装置の概略正面図である。
【
図1B】本発明の一実施形態である清掃装置の概略側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態である清掃装置の機能を例示する機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態である清掃装置の動作を例示する模式図である。
【
図4】清掃装置1の全体制御フロー例を示すフローチャートである。
【
図5】消毒ユニット100の外観を例示する概略斜視図である。
【
図6】消毒ユニット100の横断面を例示する模式断面図である。
【
図7】消毒ユニット100の横断面を例示する模式断面図である。
【
図9】ワイプ部100Bの横断面を例示する模式断面図である。
【
図10A】消毒ユニット100の横断面を示す模式断面図である。
【
図10B】消毒ユニット100の模式側面図である。
【
図12】清掃ユニット30の内部構成例を示す模式図である。
【
図13】本発明の変形例に関わる清掃装置の模式正面図である。
【
図14A】本発明の変形例に関わる清掃装置の模式正面図である。
【
図14B】本発明の変形例に関わる清掃装置の模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<清掃装置の構成>
まず、本発明の一実施形態に係る清掃装置の全体構成について説明する。
図1Aに本実施形態に係る清掃装置1の模式正面図を、
図1Bにその模式側面図を示している。
【0013】
清掃装置1はボディ10、ベース15、塵芥コンテナ20、及び清掃ユニット30を備えている。ボディ10は耐久性を有する合成樹脂成形体等により形成され、内部には、清掃装置1の所定経路に沿った移動を制御する制御部、清掃装置1の駆動源となる電気モータ、制御部の制御下で電気モータの駆動制御を行う駆動制御部、塵芥を吸引するための吸引ポンプ、清掃装置1の各部に電力を供給する電源装置等の機器が収容されている。
【0014】
ベース15は清掃装置1の構造的な基盤をなし、シャーシに相当する。ベース15の上には、前記のボディ10と、塵芥コンテナ20が設置されている。塵芥コンテナ20は、後述する清掃ユニット30が収集した塵芥を貯蔵しておく容器である。清掃ユニット30と塵芥コンテナ20との間は、塵芥コンテナ20の蓋25に接続されたホース35によって連通され、清掃ユニット30が収集した塵芥がホース35を通じて塵芥コンテナ20内に吸い込まれる。通常の掃除機と同様、塵芥コンテナ20内は図示を省略する吸引ポンプ等によって負圧とされ、清掃ユニット30が収集した塵芥を吸い込み貯蔵する。
【0015】
清掃ユニット30は、ベース15の後方に接続されており、
図1Bで清掃装置1が右方に移動する(前進する)とき、追従して移動する。清掃ユニット30には、その長手方向(清掃装置1としては幅方向)に沿って回転軸を有する略円筒状の回転ブラシ32が設けられている。回転ブラシ32は、清掃ユニット30内に設けられる図示しないモータによって回転し、床面にある塵芥をかき上げてホース35の開口の方へ誘導する。清掃ユニット30の底面には、回転ブラシ32と並列に、薬剤放出部1300が設けられ、清掃ユニット30の回転ブラシ32により清掃対象の床面を清掃しながら床面を消毒するための消毒薬剤が放出される。薬剤放出部1300については後述する。
【0016】
ボディ10の前方には、距離センサ12が設けられている。本実施形態では、距離センサ12によって超音波による距離計測を行い、障害物、壁面との衝突回避制御が行われる。距離センサ12は超音波センサに限定されるものではなく、ミリ波レーダー等の計測手段によってもよい。
【0017】
ベース15の前方には、周囲物体との不測の干渉時に即座に清掃装置1を停止させることができるよう、バンパー16が設置され、リミットスイッチ等の接触検知手段に接続されている。
【0018】
ベース15の底部に設けられている一対の車輪40は、図示しない電気モータによって制御部の制御下に駆動制御され、清掃装置1の前後進、回転を可能としている。また同じくベース15の底部には、車輪40の前方に、清掃対象の床面に向けて紫外光を照射する紫外光照射部1400が設けられている。紫外光照射部1400については後述する。
【0019】
ボディ10の側方には、ブラケット14を介して消毒管理箱130が設けられ、この消毒管理箱130から上方に延伸している管状の接続部120があり、その上部に消毒ユニット100が設置されている。消毒管理箱130には、図示を省略する薬剤タンクと、薬剤タンクに貯蔵されている消毒用薬剤を接続部120へ圧送し、消毒ユニット100内に放出するためのポンプ等が収容されている。接続部120は管状の部材であり、その内部に消毒ユニット100へ消毒管理箱130からの消毒薬剤を送るためのチューブ、消毒ユニット100で利用される電力、制御信号等を伝送するための伝送線が挿通される。
【0020】
前記消毒管理箱130から清掃ユニット30へ、薬剤チューブ140が延伸して設置されている。薬剤チューブ140が形成する消毒管理箱130からの消毒薬剤のための流路は、清掃ユニット30の床面に対向してその底面に設けられている薬剤放出部1300の放出ノズルに接続され、床面に向けて消毒薬剤を散布することができるように構成されている。
【0021】
ここで、紫外光照射部1400について述べる。紫外光照射部1400は、図示を省略する紫外光源を備え、後述する演算部の制御下でこの紫外光源の点灯、消灯を行って、床面の消毒処理を実行する。紫外光源としては、UV-C波長帯の紫外光を発生する紫外光LED等の光源が好適に用いられる。なお、UV-C波長帯の紫外光は、ウイルス不活化といった消毒効果を有しているが、人体に照射された場合は皮膚等に影響を与えることも指摘されているため、後述するように人が清掃装置1の周囲に存在することを検知した場合、紫外光源を消灯するように構成されている。
【0022】
消毒ユニット100、薬剤放出部1300から消毒処理対象に向けて放出される薬剤としては、ウイルス不活化等の殺菌作用を有しながら、周囲環境に影響を与えるおそれが少ない種類の薬剤を選定する。特に限定するものではないが、スポルディング分類における、粘膜及び損傷皮膚に接触する器具に適用される中水準消毒処理で用いられる次亜塩素酸ナトリウム、アルコール等を含む薬剤を用いることが考えられる。これにより、正常粘膜を通じたウイルスによる感染症罹患を防ぐレベルの効果を得ることができる。
【0023】
<清掃装置1の制御系統>
次に、清掃装置1の制御系統について説明する。
図2に、本実施形態の清掃装置1の概略機能ブロック図を示している。清掃装置1には演算部1000、駆動制御部1100、駆動部1120が設けられている。演算部1000は、例えばプロセッサとメモリを備えたCPU、MPU等の演算装置であり、あらかじめメモリに格納されているプログラムに従って清掃装置1の各部の制御を行う。演算部1000には、通常のコンピュータと同様に、適宜の記憶デバイスにより構成された記憶部、外部からのデータ入力を受けつけるタッチパネル等の入力部、内部演算に基づいて外部へ画像表示出力、音声出力等を行う液晶ディスプレイ、LEDランプ、スピーカー等の出力部、あるいは、外部の通信ネットワークと演算部1000との通信機能を有する通信部といった機能ブロックが接続される。なお、演算部1000は、入出力部、通信部を経由して外部から遠隔操作信号を受信してその操作指示に従って動作するように構成してもよい。
【0024】
駆動制御部1100と駆動部1120は、演算部1000からの指令に従って、所定の経路に沿って清掃装置1を移動させるべく、車輪40を回転駆動させる電気モータを制御する。具体的には、例えば駆動部1120としてのDCモータを用い、これに駆動制御部1100としてPWM制御回路を組み合わせてトルク制御を行うことが考えられる。
【0025】
消毒管理部1150は、演算部1000からの指令に従って、消毒薬剤の放出、紫外光の照射を制御する。
【0026】
清掃装置1の清掃ユニット30には、回転ブラシ駆動部1200、薬剤放出部1300、紫外光照射部1400が設けられる。回転ブラシ駆動部1200は演算部1000の指令に従って、回転ブラシ32を回転させる機能を有し、回転駆動用の小型電気モータとその駆動回路を備える。薬剤放出部1300は、本実施形態では例えば消毒管理箱130に備えられているポンプから薬剤チューブ140を通じて供給される消毒薬剤を床面に向けて放出する機能を有する。ポンプの動作は、消毒管理部1150からの指令に従って制御される。
【0027】
紫外光照射部1400は、前記したように、例えばUV-C波長帯の紫外光を放射する紫外光LED等の紫外光源を含み、その紫外光源の点灯・消灯は、消毒管理部1150の指令によって制御される。
【0028】
清掃装置1のボディ10には距離検出部1500が、ベース15には接触検出部1600が設けられる。距離検出部1500は例えば前記した距離センサ12としての超音波センサであって、ボディ10の前方に存在する人、壁面等の物体との距離を計測して、その計測データを演算部1000に送信する。演算部1000では、受信した計測データに基づいて車輪40の駆動制御を実行する。接触検出部1600は前記のようにバンパー16に設けられたリミットスイッチ等で構成されており、バンパー16が物体に接触したことを信号として演算部1000に送信する。接触した旨の信号を受信した演算部1000は、駆動制御部1100に対して停止命令を送出する。
【0029】
消毒ユニット100には、薬剤放出部1700、紫外光照射部1800、距離検出部1900が設けられる。薬剤放出部1700は、消毒管理箱130から圧送される消毒薬剤を、後述するような箱形に形成されている消毒ユニット100内に向けて放出し、消毒ユニット100に覆われるようにその内部に位置している手すり、ドアノブ等の消毒対象物を消毒処理する。紫外光照射部1800は、UV-C波長帯の紫外光を発生する紫外光LED等の紫外光源を備え、前記したような消毒対象物に向けて消毒処理を実行する。距離検出部1900は、超音波センサ、赤外線センサ等で構成された距離センサであり、消毒ユニット100と消毒処理対象物との距離を計測して、そのデータを演算部1000に送信する。演算部1000、消毒管理部1150は、受信した距離計測データに基づいて消毒ユニット100が十分に消毒対象物に接近しているかを判定し、判定結果に応じて消毒薬剤の放出、紫外光の照射を薬剤放出部1700、紫外光照射部1800に指示する。
【0030】
以上の
図2に例示した清掃装置1の機能ブロックはその構成の一例であり、これ以外の構成、例えば演算部1000の機能の全部、あるいは一部をハードウェアにより実装するなどの構成を採用して同様の機能を実現しても差し支えない。
【0031】
<清掃装置1の動作>
次に、本実施形態の清掃装置1の動作について、例を挙げて説明する。
図3に、清掃装置1の動作例を模式的に示している。
図3は、それぞれ矩形を有して隣接している領域A~領域Cを、清掃装置1が移動しながら清掃する移動経路を示している。領域A~Cは、オフィスビル、ホテル、病院、空港等の施設の床面を表していると考えればよい。
図3の例では、領域Bの壁面に、手すりHR、ドアDのドアノブKBが存在することを想定している。清掃装置1は、領域Aの隅から清掃動作を開始し、矢印付きの実線で示されているように直進と方向転換を繰り返しながら、領域A→領域B→領域Cの順に清掃及び床面の消毒処理を行う。そしてその間、手すりHR、ドアノブKBについて消毒処理を行う。
【0032】
図4に、本実施形態による清掃装置1の全体制御フローを例示するフローチャートを示している。この全体制御フローを実行させるプログラムは、あらかじめ演算部1000のメモリに格納されているものとする。清掃開始の指示を受けてスタートすると、清掃装置1は所定のプログラムに従って移動しながら清掃ユニット30の回転ブラシ32により清掃動作を行う(S11)。この際、演算部1000は、プログラムの指示に応じて床面に消毒薬剤の放出、紫外光照射もあわせて行うことができる。
【0033】
演算部1000は、車輪40による積算走行距離、あるいは距離センサ110による壁面との距離計測データ等に応じて、領域Bの手すりHRの始点(一方の端部)に到達したか判定し(S13)、到達したと判定した場合は(S13,Yes)、手すり消毒動作に遷移する(S15)。清掃装置1はプログラムに記録されている例えば手すりHRの長さに合わせて消毒動作を行いながら移動し、手すりHRの終点(他方の端部)に到達したか判定し(S17)、到達したと判定した場合(S17,Yes)、所定のプログラムに従って清掃動作を行うフェーズに遷移する(S19)。
【0034】
次いで、演算部1000は、車輪40による積算走行距離等に応じて、領域BのドアノブKBに到達したか判定し(S21)、到達したと判定した場合は(S21,Yes)、ドアノブKBの消毒動作に遷移する(S23)。清掃装置1はプログラムに記録されている例えば消毒処理時間に合わせて消毒動作を行い、消毒動作終了後、再び所定のプログラムに従って清掃動作を行うフェーズに遷移する(S25)。その後清掃装置1は演算部1000による終点に到達したかどうかの判定結果に従って(S27)、終点に到達したと判定した場合(S27,Yes)、一連の清掃動作を終了する。
【0035】
このように、本実施形態の清掃装置1によれば、あらかじめ設定した経路に沿って清掃動作を行いながら床面の消毒薬剤、紫外光による消毒処理を行うことができる。さらに、設定経路の途中に存在する手すり、ドアノブ、スイッチのような、不特定の人が触れる物体を消毒対象として消毒薬剤、紫外光によって消毒処理することができる。なお、消毒対象の特定は、監視カメラによる人流計測、温度センサ、サーモカメラ等の計測手段から得られる情報に基づいてあらかじめ移動経路途中の位置としてプログラムしておくことができる。
【0036】
なお、以上の説明では、演算部1000のメモリにあらかじめ清掃装置1の移動経路制御を行うためのプログラムを格納しておく構成としたが、制御の態様はこれに限定されない。例えばレーザー光を用いた距離測定技術であるLIDARにより、壁面、障害物等の周囲環境を表すデータを取得して自律移動制御を行う構成等も適宜採用してよい。
【0037】
<消毒ユニット100の構成>
次に、清掃装置1に設けられる消毒ユニット100の構成について説明する。
図5に、一実施形態に係る消毒ユニット100の模式的な斜視図を示している。
図5に例示する消毒ユニット100は略直方体形状の中空箱体として形成されていて、消毒対象である手すりHRの一部がその中空部に収容されるように切欠き部102が設けられている。手すりHRは壁面Wから突設されている支柱Pによって支持されている。消毒ユニット100は、
図5の例ではL字状の支持アーム115によりボディ10に対して固定されている。なお、消毒管理箱130との間の薬剤チューブ、伝送線等は図示を省略している。
【0038】
消毒ユニット100の上面には、作動表示部104が設けられている。作動表示部104は例えば蛍光物質を添加したアクリル樹脂により形成した半透明の樹脂板であり、消毒ユニット100の内部で紫外光が照射されると、その紫外光を受けて発光する。これにより、消毒ユニット100で紫外光が照射されていることが視覚的に明瞭となる。なお、作動表示部104としては、紫外光照射と同期して可視光を発生する光源を設け、この可視光の視認によって紫外線照射が行われていることを明らかにする構成とすることもできる。
【0039】
前記したように、消毒ユニット100には消毒薬剤の放出、紫外光の照射のいずれかの機能を付与したり、両方の機能を一つの消毒ユニット100に併設したりすることが可能である。ここでは、消毒ユニット100に消毒薬剤の放出、紫外光の照射のいずれかの機能が設けられる場合について説明する。
【0040】
図6に、消毒薬剤を放出する機能を備えた消毒ユニット100を、その横断面図として例示している。
図6の消毒ユニット100は、切欠き部102を備え、適宜の金属板、樹脂板等で箱形に形成されたハウジング105を備え、その内部に紫外光源を含む紫外光放射部1800が配置されている。ハウジング105の内面は紫外光を反射する適宜の板材、又はコーティング層106によって覆われており、紫外光源から照射された紫外光が手すりHRの表面に効率的に入射するように構成されている。切欠き部102には、短冊状あるいはブラシ状のバリア107が植設されており、手すりHRの一部がハウジング105内に配置されることを可能としつつ、紫外光源から照射される紫外光が無用にハウジング105の外へ漏れ出ることを防止している。バリア107としては、帯電防止加工が施された適宜の樹脂線材、すだれ様に構成された導電性の布材など種々の形状の素材を用いてよい。またバリア107としては、公知の紫外線吸収剤によるコーティング層を有することが有利である。ハウジング105の切欠き部102が設けられている面には、距離センサ110が設置され、壁面Wとの間の距離を超音波、赤外線ビーム等で計測することで距離データを演算部1000に送り、演算部1000が駆動制御部100に対して壁面Wへの接近制御を行うことができるようにしている。
【0041】
以上の消毒ユニット100によれば、手すりHRの表面を紫外光で効果的に消毒できるとともに、消毒ユニット100の外部に紫外光が漏れるのを抑制することができる。
【0042】
次に、消毒ユニット100に消毒薬剤を放出する機能を設けた場合について説明する。
図7に、当該消毒ユニット100の構成例をその概略横断面図として示している。なお、
図6と同様の構成については説明を省略する。
【0043】
図7の消毒ユニット100の内部には、一以上の薬剤放出部1700がハウジング105の内方へ向けて設置されており、ハウジング105内に配置された手すりHRの表面に向けて消毒薬剤を放出することができるように構成されている。薬剤放出部1700の各ノズルは、図示を省略するチューブにより消毒管理箱130のポンプに接続されている。ハウジング105の内面は吸液性を有する層、例えばスポンジ等の多孔質の材料層で覆われており、放出された消毒薬剤の余剰分を吸収できるように構成されている。余剰分が多い場合には、その余剰分の消毒薬剤は、ハウジング105内の底面に設けた通路105Aを通じて余剰薬剤受け108に貯留される。
【0044】
以上の消毒ユニット100によれば、手すりHRの表面を消毒薬液で効果的に消毒できるとともに、放出された消毒薬剤が消毒ユニット100の外部に漏れるのを抑制することができる。
【0045】
なお、簡易な構成として、上記の消毒ユニット100には、薬剤放出部1700を保持するフレームのみで、消毒対象物を覆うハウジング105を設けないことも選択肢である。
【0046】
次に、消毒薬剤の放出機能を備える消毒ユニット100について、その変形例を説明する。
図8に、消毒ユニット100が手すりHRの一部を覆うように配置された状態の模式平面図を示す。ここで、消毒部100Aが、
図7に例示した消毒ユニット100に相当する。
図8の例は、消毒部100Aの両側にワイプ部100Bが設けられている点が
図7の構成例と異なる。
【0047】
図9に、ワイプ部100Bの構成例を、その横断面図により示している。ワイプ部100Bのハウジング100B1は、金属板、樹脂板等の適宜の素材で構成され、
図5~
図7に例示した消毒ユニット100とほぼ同等の形状寸法を有し、その内部に、ハウジング100Bの内面から吸液性を有するブラシ状のワイプ材100B2が内方に向かって植設されていて、手すりHRの表面に接触している。この状態で
図8の消毒ユニット100が手すりHRに沿って移動すると、ワイプ部100B内部のワイプ材100B2が手すりHRの表面に接触しながら手すりHRの長手方向に移動し、手すりHRの表面に付着している余剰の消毒薬液を拭き取る効果を奏する。なお、ワイプ材100B2の構成は、手すりHRの表面を拭き取るのに好適な形状、配置、材質とすることができ、
図9に例示する構成に制約されるものではない。
【0048】
上記した変形例に係る消毒ユニット100によれば、手すりHRの表面に付着した余剰の消毒薬剤が拭き取られるので、手すりHRの表面から余剰の消毒薬剤が垂れて床面を汚損するのを防ぐことができる。
【0049】
次に、消毒ユニット100の第2変形例について説明する。
図10A、10Bに、本実施形態の第2変形例に係る消毒ユニット100の構成例を示している。この消毒ユニット100には、消毒薬剤の放出機能と紫外光照射機能とが併設されており、壁面にあるドアDに突設されているドアノブKBを消毒処理する位置に配置されている状態を示している。このため、ハウジング105の内面には、薬剤放出部1700と紫外光照射部1800とが設けられ、ドアノブKBの表面を消毒処理することができるように構成されている。図示は省略しているが、薬剤放出部1700は消毒管理箱130のポンプへ、紫外光照射部1800は、消毒管理箱130の電源へ接続される。手すりHRを消毒処理する消毒ユニット100と同様に、第2変形例の消毒ユニット100も、消毒処理対象物であるドアノブKBへの接近制御を実行するための距離センサが設けられる。なお、前記実施形態と同様に、
図8に例示したワイプ部100Bを併設して、消毒薬剤が付着したドアノブKBを拭き取るように構成してもよい。
【0050】
以上説明した第2変形例に係る消毒ユニット100によれば、手すりHRと同様に、ドアノブKBの表面も人手をかけずに消毒処理をすることができる。なお、消毒ユニット100を備えた清掃装置1による消毒処理対象物は、手すりHR、ドアノブKBに限定されるものではなく、壁面、ベンチ等、清掃を行う場所に設置されて不特定の人が接触する場所、設備なども含まれてよい。その場合、消毒ユニット100の形状寸法、清掃装置1への取付方、取付け高さ等の条件は、適宜、対象となる消毒処理対象物に適応させることができる。あるいは、
図1に例示した消毒ユニット100を支持する接続部120の高さを可変しうるように構成してもよい。
【0051】
なお、清掃時にドアが動いた場合、ドア又はドアノブが消毒ユニット100と衝突する等の不都合を防ぐことを目的として、ドア・ドアノブの清掃・消毒時には、音声など音で周囲に作業実施を知らせる機能を設けることができる。具体的には、清掃装置1に設けた発音装置を、
図4の全体制御フロー例におけるS23のステップにて動作させるようにすればよい。
【0052】
また、ドアの反対側に作業実施を知らせるために、アクチュエータをドアに当て、ドアを介して反対側に音声、振動などを伝え、ドアの反対側にいる人に注意喚起をする機能を設けることができる。前記のアクチュエータは消毒ユニット100に取り付けられていてもよい。具体的には、前記アクチュエータを、
図4の全体制御フロー例におけるS23のステップにて動作させるようにすればよい。
【0053】
また、ドア又はドアノブの動きを検知するセンサを、例えば消毒ユニット100に設け、ドア又はドアノブの動きを検知した場合には、その動きを妨げないように直ちに清掃装置1をドアから離れるように移動させる機能を設けることができる。具体的には、消毒ユニット100に設けた距離検出部1900が検出対象であるドア、ドアノブのイレギュラーな接近を示す検出結果を演算部1000が判断した場合に、駆動部1120をドア、ドアノブから離れるように動作させる命令を演算部1000から駆動制御部1100に与えることで実現することができる。
【0054】
<清掃装置1の床面消毒機能>
次に、本実施形態の清掃装置1における床面消毒機能について説明する。
図11に、清掃装置1の底面図を模式的に例示している。
図11に例示する清掃装置1のベース15の底面には、車輪40の前方に紫外光照射部1400が設けられている。紫外光照射部1400は、演算部1000の制御下で紫外光源の点灯・消灯制御がなされる。例えば紫外光源は、清掃動作の開始から終了まで点灯させてもよいし、プログラムに従って移動経路の所定の区間でのみ点灯するようにしてもよい。なお、ベース15の底面には、紫外光照射部1400からの紫外光が周囲に漏れるのを低減すべく、ベース15の底面外周に沿ってスカート状のカバーを設けてもよい。カバーの内表面に紫外光反射特性に優れた材料を用いることにより、紫外線が外部に漏れるのを防ぎ、また反射した紫外光が車輪40等の部品に当たって該当部分を消毒する効果を期待することもできる。
【0055】
一方、清掃ユニット30には、その回転ブラシ32と並列に、薬剤放出部1300が設けられている。薬剤放出部1300は薬剤チューブ140を介して消毒管理箱130のポンプに接続され、演算部1000の制御下で薬剤の放出が制御される。例えば薬剤放出部1300は、清掃動作の開始から終了まで継続して消毒薬剤を放出してもよいし、プログラムに従って移動経路の所定の区間でのみ消毒薬剤を放出するようにしてもよい。なお、薬剤放出部1300の進行方向後方に、床面に放出した消毒薬剤を床面上に塗り広げるためのウエス等の布材を設けてもよい。
【0056】
なお、ベース15の底面に、鏡面加工板、アルミニウム等の金属板等、UV-C波長帯の紫外光を反射しやすい材質を用い、床面からの反射紫外光を再び床面に戻して、紫外光の効果を高めることができる。また、ベース15の底面に光触媒コーティング層等、可視光や紫外線の入射により細菌やウイルスの数を減らす効果のある材質を少なくとも一部分に取付け、ベース15底面の消毒効果を得ることができる。
【0057】
また、紫外線照射部1400の紫外光源をベース15の底面に埋込むことにより底面をフラットにし、ベース15底面の清掃性を高めることができる。
【0058】
図12には、清掃ユニット30の内部を横断面図として模式的に示している。
図12は、回転ブラシ32がカーペットのような起毛のある面上を、その起毛CPをかき分けながらほこり、ごみを吸引している様子を示している。図示のように、清掃ユニット30内の回転ブラシ32に隣接する位置に、紫外光照射部1400が設置されている。この紫外光照射部1400は、回転ブラシ32がかき分けた起毛の部分に紫外光を照射する。これにより、かき分けられた起毛の間も紫外光によって消毒することができる(消毒領域ST)。
【0059】
<人の皮膚の消毒>
これまでの清掃装置は、あらかじめ設定されたプログラムによる制御下で消毒薬剤の放出を行っていた。ここでは、第3変形例として、人の手指を消毒するための構成例を示す。
図13に、第3変形例に係る清掃装置1の正面図を模式的に示している。
図13に例示する清掃装置1は、消毒ユニット100に代えて薬剤放出チューブ200を備えている。薬剤放出チューブ200は人が手指を消毒するのに適した高さにおいて、下方に曲げられた首部を有する。消毒管理箱130には操作ボタン210が設置されており、操作ボタン210を操作している間だけ薬剤放出チューブ200から消毒薬剤が出るように構成されている。手指を消毒しようとする人は、清掃装置1に近づくと、清掃装置1はボディ10に設けられている距離センサ12によって人の接近を検知して停止する。その後、人が消毒しようとする手指を薬剤放出チューブ200の先端部下方に差し出し、操作ボタン210を扱うことによって、その人の手指に薬剤放出チューブ200から消毒薬剤が放出される。これにより、手指を消毒したい人は、清掃装置1を利用して手軽に消毒を行うことができる。また、病院のロビーなどで、清掃動作を行うことなくプログラムされた経路で巡回し、手指の消毒を促す音声案内を行いつつ、所望する人が手指を消毒できるようにしてもよい。このような構成により、だれでも気軽に手指を消毒することができる機会を設け、感染症対策の一助となすことが可能である。なお、消毒管理箱130に赤外線センサ等の近接センサを設け、人が薬剤放出チューブ200の下方に手指を差し出すと、一定量の消毒薬剤が放出されるように構成してもよい。本変形例における消毒薬剤は、人の手指に使用して問題ないアルコール系の薬剤などを用いる。
【0060】
なお、薬剤放出チューブ200から必要時のみに薬剤放出をするために、薬剤放出チューブ200の近傍に赤外線カメラ・可視光カメラ等の撮像手段を設けることができる。例えば、撮像手段により取得した画像データを演算部1000(
図4)に送り、演算部1000が、受信した画像データが手を開いて差し出している状態を表していると判定した場合、薬剤放出部に規定量の薬剤放出を行わせるように構成する。
【0061】
<周囲環境への紫外光照射>
次に、本実施形態の清掃装置1におけるさらなる変形例について説明する。
図14A,14Bに、第4変形例に係る清掃装置1の模式的な正面図、側面図をそれぞれ示している。第4変形例の清掃装置1は、消毒ユニット100に代えて、紫外光照射ポスト300を備えている。紫外光照射ポスト300は、清掃装置1のベース15上に立設された支柱310と、その支柱310に設けられた紫外光源を有する紫外光照射部1800とを有する。紫外光照射部1800は、所定のプログラムに従った演算部1000の制御下で、その点灯・消灯が制御される。紫外光照射ポスト300からの紫外光は、建物内部の壁面、天井、各種設備品など、清掃装置1の周囲環境にあって微生物、ウイルス等が付着していると考えられる場所に対して照射される。したがって、紫外光源の点灯は、夜間の無人状態において有効となるように制御することが考えられる。また、その際でも、距離センサ12が人の存在を検出した場合には即座に消灯するようにプログラムを構成することができる。本変形例によれば、清掃装置1の周囲環境について、広範囲に紫外光を照射することにより、効率的な消毒処理を行うことができる。また、人の存在検知を契機として紫外光源を即座に消灯させるので、人に対する安全性も確保することができる。
【0062】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態に係る清掃装置1によれば、人の活動空間を自動的に清掃することができ、あわせて特に必要と認められる部位について重点的に消毒作業を施すことができる。
【0063】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0064】
例えば、塵芥コンテナ20内に紫外光源を設けて紫外線を照射することにより塵芥を消毒し、清掃装置1を取り扱う作業者がウイルス等に感染するのを予防するように構成することができる。この場合、紫外光源の点灯・消灯を集塵ブロアーの動作と連動させ、集塵ブロアー停止後一定期間紫外光源を点灯し続けるように構成することができる。塵芥コンテナ20の可視光透過部分には紫外線が透過しないように反射コーティングを施す。また、塵芥コンテナ20の蓋25のロック解除により紫外光照射を直ちに停止する構造として、人体への照射を防止することができる。また、蓋25の開閉用取っ手に接触センサを設けて、取っ手への人の接触によって紫外光照射を停止するように構成することもできる。
【0065】
なお、清掃装置1のボディ10等の表面の少なくとも一部に光触媒コーティング層を設け、清掃装置1自身が発した光線・環境の光線(太陽光等)により該当表面に付着したウイルスの不活化、細菌の減少といった効果を得ることができる。
【0066】
また、清掃装置1に搭載した距離センサ12等の人を検知するための機器から死角になる部分が発生する場合には、その死角付近に近づく際に紫外光の出力を抑えるか、一時的に紫外光の出力を停止して、死角付近に人がいた場合にその人への紫外光の影響を抑制させる機能を設けることができる。具体的には、例えば、
図3のような清掃装置1の動作経路を計画する際に死角となる領域を抽出しておき、動作制御プログラムにおいて該当領域付近の所定範囲においては紫外光の出力を低減又は一時的に停止するように制御することができる。
【0067】
<空間の集塵・清浄>
以上説明した実施形態は、主として消毒機能を備えた清掃装置として実現されていたが、塵芥コンテナ20を着脱可能な構造とし、空気清浄ユニットに置き換えることを可能とする構成を採用することもできる。空気清浄ユニットは、空気清浄フィルター、吸排気ブロワ、プラズマ発生装置等の通常の空気清浄装置と同等の構成を備え、清掃装置1の周囲空間の空気を吸入し、空気清浄フィルター等を通過させることにより、空気中の塵・ウイルス・細菌などを低減した空気を再び周囲空間に放出する。なお、天井にカメラ等の撮像手段を設け、撮像手段で取得した画像認識を通じて人通りが多い個所を推定し、その付近にはより長い時間とどまり、周囲空気の汚れが多い傾向にある部分において重点的に集塵・空気清浄を行うように構成してもよい。なお、この場合、画像認識結果に基づく清掃装置1の経路上での動作制御は、例えば画像認識結果に基づいて決定された重点的空気正常動作箇所を演算部1000で受信して
図2の駆動制御部1100と図示を省略する空気清浄ユニットの動作制御を実行させればよい。このような構成によれば、空気清浄化対象の区域において、所定の経路に沿って移動しながら必要箇所についての重点的な空気清浄化を効率的に実現することができる。
【0068】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、演算装置(プロセッサ)がそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、又は、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0069】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 清掃装置
10 ボディ
12,110 距離センサ
14 ブラケット
15 ベース
16 バンパー
20 塵芥コンテナ
25 蓋部
30 清掃ユニット
32 回転ブラシ
35 接続ホース
40 車輪
100 消毒ユニット
100A 消毒部
100B ワイプ部
100B1 ハウジング
100B2 ワイプ材
102 切欠き部
102A 開口
104 作動表示部
105 ハウジング
105A 通路
106 紫外光反射層
106A 薬剤吸収層
107 バリア
108 余剰薬剤受け
115 支持アーム
120 接続部
130 消毒管理箱
140 薬剤チューブ
200 薬剤放出チューブ
210 操作ボタン
300 紫外光照射ポスト
310 支柱
1000 演算部
1100 駆動制御部
1120 駆動部
1150 消毒管理部
1200 回転ブラシ駆動部
1300,1700 薬剤放出部
1400,1800 紫外光照射部
1500,1900 距離検出部
1600 接触検出部