(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118552
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】溝路構築ユニット及び溝路構築方法
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
E03F5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015145
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】595138155
【氏名又は名称】ダイセルミライズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592094243
【氏名又は名称】カネソウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町谷 行啓
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健治
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CA02
2D063CA44
(57)【要約】
【課題】簡易で且つ作業性の優れた溝路構築ユニット及び溝路構築方法を提供する。
【解決手段】型枠支保工を使用せずに溝路を構築する溝路構築ユニットであって、溝路の側面を形成するための側板パネルであって、一方の面に溝路側面形成面が形成されると共に他方の面に堰板面が形成される1又は複数の側板パネルと、溝路の側部を形成するためのフレッシュコンクリートが充填される側部コンクリート充填予定区域に位置決め固定される1又は複数の定着用部材と、溝路の上部開口を覆う蓋体を保持するための長尺の受枠本体と、当該受枠本体に設けられると共に定着用部材に接合されることで受枠本体を規定位置に固定するための定着部と、側板パネルの上端側領域を保持可能なパネル上端側保持部と、を有する、1又は複数の受枠ユニットを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠支保工を使用せずに溝路を構築する溝路構築方法であって、
一方の面に溝路側面形成面が形成されると共に他方の面に堰板面が形成された、溝路の側面を形成するための1又は複数の側板パネルを用意する工程と、
溝路の側部を形成するためのフレッシュコンクリートが充填される側部コンクリート充填予定区域に1又は複数の定着用部材を位置決め固定する定着部材設置工程と、
溝路の上部開口を覆う蓋体を保持するための長尺の受枠本体と、当該受枠本体に設けられると共に前記定着用部材に接合されることで前記受枠本体を規定位置に固定するための定着部と、前記側板パネルの上端側領域を保持可能なパネル上端側保持部と、を有する、1又は複数の受枠ユニットを用意し、前記受枠ユニットにおける前記定着部を前記定着用部材に接合し、前記受枠本体を規定位置に設置する受枠設置工程と、
前記堰板面を前記側部コンクリート充填予定区域側に向けた状態で前記側板パネルの上端側領域を前記パネル上端側保持部に保持するパネル設置工程と、
前記側部コンクリート充填予定区域にフレッシュコンクリートを充填するコンクリート打設工程と、
を含む、溝路構築方法。
【請求項2】
前記受枠本体は、前記蓋体の外縁側領域を載置する載置面を上面側に有する蓋体載置板部と、当該蓋体載置板部の内端縁から下方に垂設された第1挟持片と、を有し、
前記定着部は、前記定着用部材に接合可能な固定片と、前記第1挟持片との間に第1嵌合溝が形成されるように当該第1挟持片と対向配置される第2挟持片と、を有し、
前記パネル上端側保持部は、前記第1挟持片及び前記第2挟持片を含んで構成され、前記第1嵌合溝に嵌合された前記側板パネルの上端側領域を把持可能であり、
前記パネル設置工程においては、前記側板パネルの上端側領域を前記第1嵌合溝に嵌合させる、
請求項1に記載の溝路構築方法。
【請求項3】
少なくとも前記コンクリート打設工程に先行して、前記側板パネルの下端側領域が溝路形成予定区域側にずれることを抑制するパネル下端側ずれ止め部材を設置するずれ止め部材設置工程を、更に含む、
請求項1又は2に記載の溝路構築方法。
【請求項4】
前記パネル下端側ずれ止め部材は、前記溝路形成予定区域の下方に位置すると共に溝路の底部を形成するためのフレッシュコンクリートが充填される底部コンクリート充填予定区域に位置決め固定され、前記側板パネルの下端側領域を保持可能なパネル下端側保持部材である、
請求項3に記載の溝路構築方法。
【請求項5】
前記パネル下端側ずれ止め部材は、前記側板パネルの下端側領域を嵌合可能な第2嵌合溝を有するパネル受部を有する、
請求項4に記載の溝路構築方法。
【請求項6】
前記コンクリート打設工程において、前記側部コンクリート充填予定区域及び前記底部コンクリート充填予定区域にフレッシュコンクリートを同時充填する、
請求項4又は5に記載の溝路構築方法。
【請求項7】
前記コンクリート打設工程において、前記パネル下端側保持部材によって保持されている前記側板パネルの下端面がフレッシュコンクリートに埋設されるように前記底部コンクリート充填予定区域にフレッシュコンクリートを充填する、
請求項6に記載の溝路構築方法。
【請求項8】
前記定着部材設置工程に先行して、一部が溝路の底部を形成するコンクリート床版を予め構築する床版構築工程を更に含み、
前記パネル設置工程において、前記側板パネルの下端面が前記コンクリート床版の上面に当接するように前記側板パネルの上端側領域を前記パネル上端側保持部に固定し、
前記位置ずれ抑止部材設置工程においては、前記コンクリート床版の上面のうちの前記側板パネルにおける前記溝路側面形成面で囲まれた領域に前記パネル下端側ずれ止め部材を設置する、
請求項3に記載の溝路構築方法。
【請求項9】
型枠支保工を使用せずに溝路を構築する溝路構築ユニットであって、
溝路の側面を形成するための側板パネルであって、一方の面に溝路側面形成面が形成されると共に他方の面に堰板面が形成される1又は複数の側板パネルと、
溝路の側部を形成するためのフレッシュコンクリートが充填される側部コンクリート充填予定区域に位置決め固定される1又は複数の定着用部材と、
溝路の上部開口を覆う蓋体を保持するための長尺の受枠本体と、当該受枠本体に設けられると共に前記定着用部材に接合されることで前記受枠本体を規定位置に固定するための定着部と、前記側板パネルの上端側領域を保持可能なパネル上端側保持部と、を有する、1又は複数の受枠ユニットと、
を備える溝路構築ユニット。
【請求項10】
前記受枠本体は、前記蓋体の外縁側領域を載置する載置面を上面側に有する蓋体載置板部と、当該蓋体載置板部の内端縁から下方に垂設された第1挟持片と、を有し、
前記定着部は、前記定着用部材に接合可能な固定片と、前記第1挟持片との間に第1嵌合溝が形成されるように当該第1挟持片と対向配置される第2挟持片と、を有し、
前記パネル上端側保持部は、前記第1挟持片及び前記第2挟持片を含んで構成され、前記第1嵌合溝に嵌合された前記側板パネルの上端側領域を把持可能である、
請求項9に記載の溝路構築ユニット。
【請求項11】
前記側板パネルの下端側領域が溝路形成予定区域側にずれることを抑制するパネル下端側ずれ止め部材を、更に備える、
請求項9又は10に記載の溝路構築ユニット。
【請求項12】
前記パネル下端側ずれ止め部材は、前記溝路形成予定区域の下方に位置すると共に溝路の底部を形成するためのフレッシュコンクリートが充填される底部コンクリート充填予定区域に位置決め固定され、前記側板パネルの下端側領域を保持可能なパネル下端側保持部材である、
請求項11に記載の溝路構築ユニット。
【請求項13】
前記パネル下端側保持部材は、前記側板パネルの下端側領域を嵌合可能な第2嵌合溝を有するパネル受部を有する、
請求項12に記載の溝路構築ユニット。
【請求項14】
前記底部コンクリート充填予定区域におけるコンクリート天端設定高さは、前記パネル下端側保持部材によって保持されている前記側板パネルの下端面よりも相対的に高い位置に設定されている、
請求項12又は13に記載の溝路構築ユニット。
【請求項15】
前記溝路構築ユニットは、予め構築されたコンクリート床版であってその一部が溝路の
底部を形成するコンクリート床版の上方に溝路の側部を構築するためのユニットであって、
前記パネル上端側保持部は、前記側板パネルの下端面が前記コンクリート床版の上面に当接した状態となるように前記側板パネルの上端側領域を保持し、
前記パネル下端側ずれ止め部材は、前記コンクリート床版の上面のうちの前記側板パネルにおける前記溝路側面形成面で囲まれた領域に設置される、
請求項11に記載の溝路構築ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝路構築ユニット及び溝路構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排水溝等の通水溝路の施工方法として種々の方法が知られている(例えば、特許文献1、2等を参照)。例えば、コンクリート製のU字溝によって構成される溝路が広く知られているが、コンクリート製のU字溝は重量物であることから、その運搬や施工の際における取扱い性が悪く、作業性を向上できない一因とされている。
【0003】
一方、ベニヤ合板等といった木製型枠パネルを所定の溝路形状を形成するように組み付けると共に、コンクリートを流し込むべきコンクリート打設予定区域内に適宜鉄筋の配筋を行った後、コンクリート打設予定区域内にコンクリートを打設する在来工法が知られている。この在来工法では、コンクリート打設予定区域内にコンクリートを打設後、所定の養生期間が経過した後に硬化コンクリートから木製型枠パネルを取り外す脱型作業を行う必要がある。そのため、作業工程が複雑なものとなり、施工期間が長くなると共に施工コストが増大する一因となっていた。
【0004】
更に、在来工法では、木製型枠パネルを再利用するためにパネル表面を清掃したり洗浄するのに手間が掛かり、また、洗浄に伴って汚水が多量に発生していた。また、清掃や洗浄を行っても再利用することのできない使用済みの木製型枠パネルは産業廃棄物として廃棄されてしまうことも問題であった。
【0005】
更に、溝路の側壁を形成するための木製型枠パネルは、通常、コンクリート打設予定区域内に配置したセパレータの端部を木製型枠パネルの貫通孔を通じて外側に露出させ、セパレータの端部に取り付けたフォームタイ(登録商標)を木製型枠パネル外面との間に単管パイプや端太材等を挟持した状態で締結することによって組み付けられ、これによってコンクリート側圧に対抗できるようにされている。しかしながら、このような木製型枠パネルの組み付けは、いわゆる型枠大工でないと作業することが難しい。そのため、熟練した型枠大工を人員確保することが年々難しくなって今日においては、より簡易に溝路を構築することのできる施工方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5572360号公報
【特許文献2】特開昭56-73769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の技術は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易で且つ作業性の優れた溝路構築ユニット及び溝路構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る技術は、型枠支保工を使用せずに溝路を構築する溝路構築方法であって、一方の面に溝路側面形成面が形成されると共に他方の面に堰板面が形成された、溝路の側面を形成するための1又は複数の側板パネルを用意する工程と、溝路の側部を形成するためのフレッシュコンクリートが充填される側部コンクリート充填予定区域に1又は複数の定着用部材を位置決め固定する定着部材設置工程と、溝路の上部開口を覆う蓋体を保持す
るための長尺の受枠本体と、当該受枠本体に設けられると共に前記定着用部材に接合されることで前記受枠本体を規定位置に固定するための定着部と、前記側板パネルの上端側領域を保持可能なパネル上端側保持部と、を有する、1又は複数の受枠ユニットを用意し、前記受枠ユニットにおける前記定着部を前記定着用部材に接合し、前記受枠本体を規定位置に設置する受枠設置工程と、前記堰板面を前記側部コンクリート充填予定区域側に向けた状態で前記側板パネルの上端側領域を前記パネル上端側保持部に保持するパネル設置工程と、前記側部コンクリート充填予定区域にフレッシュコンクリートを充填するコンクリート打設工程と、を含む。
【0009】
また、前記受枠本体は、前記蓋体の外縁側領域を載置する載置面を上面側に有する蓋体載置板部と、当該蓋体載置板部の内端縁から下方に垂設された第1挟持片と、を有し、前記定着部は、前記定着用部材に接合可能な固定片と、前記第1挟持片との間に第1嵌合溝が形成されるように当該第1挟持片と対向配置される第2挟持片と、を有し、前記パネル上端側保持部は、前記第1挟持片及び前記第2挟持片を含んで構成され、前記第1嵌合溝に嵌合された前記側板パネルの上端側領域を把持可能であり、前記パネル設置工程においては、前記側板パネルの上端側領域を前記第1嵌合溝に嵌合させてもよい。
【0010】
また、本開示に係る溝路構築方法は、少なくとも前記コンクリート打設工程に先行して、前記側板パネルの下端側領域が溝路形成予定区域側にずれることを抑制するパネル下端側ずれ止め部材を設置するずれ止め部材設置工程を、更に含んでいてもよい。
【0011】
また、前記パネル下端側ずれ止め部材は、前記溝路形成予定区域の下方に位置すると共に溝路の底部を形成するためのフレッシュコンクリートが充填される底部コンクリート充填予定区域に位置決め固定され、前記側板パネルの下端側領域を保持可能なパネル下端側保持部材であってもよい。
【0012】
また、前記パネル下端側ずれ止め部材は、前記側板パネルの下端側領域を嵌合可能な第2嵌合溝を有するパネル受部を有していてもよい。
【0013】
また、本開示に係る溝路構築方法は、前記コンクリート打設工程において、前記側部コンクリート充填予定区域及び前記底部コンクリート充填予定区域にフレッシュコンクリートを同時充填してもよい。
【0014】
また、前記コンクリート打設工程において、前記パネル下端側保持部材によって保持されている前記側板パネルの下端面がフレッシュコンクリートに埋設されるように前記底部コンクリート充填予定区域にフレッシュコンクリートを充填してもよい。
【0015】
また、前記定着部材設置工程に先行して、一部が溝路の底部を形成するコンクリート床版を予め構築する床版構築工程を更に含み、前記パネル設置工程において、前記側板パネルの下端面が前記コンクリート床版の上面に当接するように前記側板パネルの上端側領域を前記パネル上端側保持部に固定し、前記位置ずれ抑止部材設置工程においては、前記コンクリート床版の上面のうちの前記側板パネルにおける前記溝路側面形成面で囲まれた領域に前記パネル下端側ずれ止め部材を設置してもよい。
【0016】
また、本開示に係る技術は、型枠支保工を使用せずに溝路を構築する溝路構築ユニットとして特定することができる。すなわち、本開示に係る溝路構築ユニットは、溝路の側面を形成するための側板パネルであって、一方の面に溝路側面形成面が形成されると共に他方の面に堰板面が形成される1又は複数の側板パネルと、溝路の側部を形成するためのフレッシュコンクリートが充填される側部コンクリート充填予定区域に位置決め固定される1又は複数の定着用部材と、溝路の上部開口を覆う蓋体を保持するための長尺の受枠本体
と、当該受枠本体に設けられると共に前記定着用部材に接合されることで前記受枠本体を規定位置に固定するための定着部と、前記側板パネルの上端側領域を保持可能なパネル上端側保持部と、を有する、1又は複数の受枠ユニットと、を備える。
【0017】
ここで、前記受枠本体は、前記蓋体の外縁側領域を載置する載置面を上面側に有する蓋体載置板部と、当該蓋体載置板部の内端縁から下方に垂設された第1挟持片と、を有し、前記定着部は、前記定着用部材に接合可能な固定片と、前記第1挟持片との間に第1嵌合溝が形成されるように当該第1挟持片と対向配置される第2挟持片と、を有し、前記パネル上端側保持部は、前記第1挟持片及び前記第2挟持片を含んで構成され、前記第1嵌合溝に嵌合された前記側板パネルの上端側領域を把持可能であってもよい。
【0018】
また、前記側板パネルの下端側領域が溝路形成予定区域側にずれることを抑制するパネル下端側ずれ止め部材を、更に備えていてもよい。
【0019】
また、前記パネル下端側ずれ止め部材は、前記溝路形成予定区域の下方に位置すると共に溝路の底部を形成するためのフレッシュコンクリートが充填される底部コンクリート充填予定区域に位置決め固定され、前記側板パネルの下端側領域を保持可能なパネル下端側保持部材であってもよい。
【0020】
また、前記パネル下端側保持部材は、前記側板パネルの下端側領域を嵌合可能な第2嵌合溝を有するパネル受部を有していてもよい。
【0021】
また、前記底部コンクリート充填予定区域におけるコンクリート天端設定高さは、前記パネル下端側保持部材によって保持されている前記側板パネルの下端面よりも相対的に高い位置に設定されていてもよい。
【0022】
また、前記溝路構築ユニットは、予め構築されたコンクリート床版であってその一部が溝路の底部を形成するコンクリート床版の上方に溝路の側部を構築するためのユニットであって、前記パネル上端側保持部は、前記側板パネルの下端面が前記コンクリート床版の上面に当接した状態となるように前記側板パネルの上端側領域を保持し、前記パネル下端側ずれ止め部材は、前記コンクリート床版の上面のうちの前記側板パネルにおける前記溝路側面形成面で囲まれた領域に設置されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、簡易で且つ作業性の優れた溝路構築ユニット及び溝路構築方法を提供できる。
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る溝路構築ユニットを説明する図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る溝路構築ユニットによって構築された溝路を説明する図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る溝路構築ユニットの平面配置例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すA-A位置における受枠ユニットの横断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る受枠ユニットにおける受枠本体の斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る受枠ユニットにおける定着部を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る側板パネルの斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係るパネル下端側保持部材の斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係る定着部材設置工程の状況を説明する図である。
【
図10】
図10は、実施形態1に係る定着部材設置工程が完了した状況を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態1に係る受枠設置工程の状況を説明する図である。
【
図12】
図12は、実施形態1に係るジョイントピースを説明する図である。
【
図13】
図13は、実施形態1に係るずれ止め部材設置工程の状況を説明する図である。
【
図14】
図14は、実施形態1に係るパネル設置工程の状況を説明する図である。
【
図15】
図15は、実施形態1の幅止め材を説明する図である。
【
図16】
図16は、実施形態1の変形例に係る溝路構築ユニットの平面配置例を示す図である。
【
図17】
図17は、
図16のF-F矢視方向から溝路構築ユニットを眺めた状態を模式的に示す図である。
【
図19】
図19は、実施形態1の変形例に係る受枠ユニット4おける定着部を示す図である。
【
図20】
図20は、実施形態1の変形例に係る連結部材を介して受枠本体の端部領域同士が連結された連結部を上方から眺めた図である。
【
図21】
図21は、実施形態1の変形例に係る受枠本体の連結部を正面から眺めた図である。
【
図22】
図22は、実施形態1の変形例に係る受枠本体の連結部を側方から眺めた図である。
【
図23】
図23は、実施形態1の変形例に係るジョイントピースによって連結される前のブラケットを説明する図である。
【
図24】
図24は、実施形態1の変形例に係る一般用パネル下端側保持部材を説明する図である。
【
図25】
図25は、実施形態1の変形例に係るエンド用パネル下端側保持部材を説明する図である。
【
図26】
図26は、実施形態1の変形例に係る溝路構築方法の状況を説明する図である。
【
図27】
図27は、実施形態2に係る溝路構築ユニットを説明する図である。
【
図28】
図28は、実施形態2に係る溝路構築ユニットによって構築された溝路を説明する図である。
【
図29】
図29は、実施形態2に係る定着部材設置工程及び受枠設置工程が完了した状況を示す図である。
【
図30】
図30は、実施形態2に係るパネル設置工程の状況を説明する図である。
【
図31】
図31は、実施形態2に係る位置ずれ抑止部材設置工程が完了した状況の概略上面図である。
【
図32】
図32は、実施形態2の変形例に係る溝路構築ユニットを説明する図である。
【
図33】
図33は、パネル下端側保持部材の変形例を示す図である。
【
図35】
図35は、受枠ユニットの変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照して本開示の実施形態に係る溝路構築ユニット及びこれを用いた溝路構築方法について説明する。なお、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、請求の範囲によってのみ限定される。
【0026】
<実施形態1>
《溝路構築ユニット及び溝路》
図1は、実施形態1に係る溝路構築ユニット1を説明する図である。
図2は、実施形態1に係る溝路構築ユニット1によって構築された溝路100を説明する図である。
【0027】
実施形態1に係る溝路100は、
図1に示す溝路構築ユニット1を使用して施工される。溝路100は、特に限定されないが、排水溝や側溝等といった通水溝路が例示できる。また、油や液体危険物等を外部流出させないための溝路や配管・配線を設置するための溝路であってもよい。溝路100は、例えば、長手方向に対向状に形成された側面101,101、側面101,101の下端同士を接続する底面102によって規定され、その上部には上部開口103が形成されている。溝路100の側面101,101は、溝路100の長手方向に沿って対向状に配設された略長尺板状の側板パネル2の表面によって形成されている。また、
図2に示す符号CHは、硬化コンクリート(硬化後のコンクリート)である。また、符号104は溝路100の側部、符号105は溝路100の底部である。なお、溝路100の側部104や底部105は鉄筋コンクリート造であってもよい。すなわち、
図1においては図示を省略しているが、硬化コンクリートCHの内部には建築構造用鉄筋が配筋されていてもよい。
【0028】
図2に示すように、溝路100における側板パネル2の上端側領域2Aには、受枠ユニット4が装着されている。受枠ユニット4は、溝路構築ユニット1に含まれる部材であり、その詳細については後述するが、溝路100の上部開口103の周囲に形成される開口縁に沿って延設される長尺の受枠本体41を有している。受枠本体41は、溝路100の上部開口103を覆う蓋体106の外縁側領域106Aを保持するための枠部材である。なお、蓋体106の構造は特に限定されず、例えば格子状のグレーチング蓋等であってもよい。
【0029】
図3は、実施形態1に係る溝路構築ユニット1の平面配置例を示す図である。
図3においては、施工箇所への溝路構築ユニット1の設置が完了した状態を示している。施工箇所への溝路構築ユニット1の設置が完了した状態において、溝路構築ユニット1で囲まれた平面領域内に、溝路形成予定区域R1が形成される。溝路形成予定区域R1は、溝路100が形成されるべき区域(溝路100が形成される予定の区域)である。一方、溝路構築ユニット1の平面外側領域には、溝路100の側部104を形成するためのフレッシュコンクリート(硬化前のコンクリートであり、「生コン」とも呼ばれる)が充填されるべき領域(以下、「側部コンクリート充填予定区域」という)R2が規定されている。
【0030】
なお、
図3においては、溝路構築ユニット1によって平面視概略L形状の溝路形成予定区域R1が画定されているが、溝路形成予定区域R1の形状は特に限定されず、例えば一方向に延在する直線状の溝路やその他の形状を有する溝路であってもよい。なお、
図1に示すように、溝路形成予定区域R1の下方には、下地200との間に底部コンクリート充填予定区域R3が規定されている。この底部コンクリート充填予定区域R3は、溝路100の底部105を形成するためのフレッシュコンクリートが充填されるべき(充填される予定の)区域である。
図1に示す一点鎖線は、溝路形成予定区域R1及び底部コンクリート充填予定区域R3の境界を示す。なお、下地200は、溝路100を構築する溝路構築ユニット1を設置したり、溝路100を構築するコンクリートを支持するための土台であり、コンクリート製の基盤であってもよいし、デッキプレート等といった鋼板製の下地であってもよい。また、
図1は、
図3に示すA-A矢視方向から溝路構築ユニット1を眺めた状態を模式的に示している。
【0031】
次に、実施形態1に係る溝路構築ユニット1について詳しく説明する。実施形態1に係
る溝路構築ユニット1は、型枠支保工を使用せずに溝路100を構築するためのユニットであって、
溝路100の側面101を形成するための矩形板状の側板パネル2であって、一方の面に溝路側面形成面21が形成されると共に他方の面に堰板面22が形成される1又は複数の側板パネル2と、
溝路100の側部104を形成するためのコンクリートが充填される側部コンクリート充填予定区域R2に位置決め固定される1又は複数の定着用部材3と、
溝路100の上部開口103を覆う蓋106体を保持するための長尺の受枠本体41と、当該受枠本体41と一体に設けられると共に定着用部材3に接合されることで受枠本体41を規定位置に固定するための定着部42と、側板パネル2の上端側領域2Aを保持可能なパネル上端側保持部44を有する、1又は複数の受枠ユニット4等を備えている。
【0032】
受枠ユニット4は、上述した受枠本体41と、当該受枠本体41と一体に取り付けられた定着部42を含むユニット体である。
図3に示す例では、複数の受枠ユニット4が長尺方向に順次連結され、全体として環状に連結されている。
図3に示す例では、6個の受枠ユニット4(6本の受枠本体41)が連結されているが、勿論、受枠ユニット4の数は特に限定されない。
図3に示す符号P1は、複数の受枠本体41(受枠ユニット4)が相互に連結される連結箇所を示している。
図3から明らかなように、受枠ユニット4の受枠本体41は、直線的な平面形状を有する直線タイプに限定されず、全体としてL字形状、コ字形状等、種々の平面形状を有していてもよい。また、受枠本体41の長尺方向における長さ寸法は特に限定されない。
【0033】
受枠ユニット4の定着部42は、受枠本体41における1又は複数箇所に取り付けられており、
図1に示すように定着用部材3に接合可能に構成されている。定着用部材3は、例えば、下地200に定着されると共に当該下地200から上方に向かって立設された寸切ボルト(「長ねじボルト」、「全ねじボルト」という場合がある)である。ここでは、下地200をコンクリート基盤(床版コンクリート、土間コンクリート、捨て(均し)コンクリート等)とした場合を例に説明すると、コンクリート基盤に穿孔した孔にあと施工アンカーを挿入し、当該あと施工アンカー(例えば、金属系アンカーや接着系アンカー等)を介して定着用部材3(寸切ボルト)を既設のコンクリート基盤に定着してもよい。下地200に定着された定着用部材3は、
図1に示すように、側部コンクリート充填予定区域R2に配設される。受枠ユニット4の定着部42は、下地200に定着された定着用部材3に接合可能に構成されており、定着部42が定着用部材3に接合されることによって、定着部42と一体の受枠本体41を規定位置に位置決め固定することができる。
【0034】
図4は、
図3に示すB-B位置における受枠ユニット4の横断面図である。ここでいう受枠ユニット4の横断面とは、受枠ユニット4の長手方向(長尺方向)に直交する方向の断面である。
図5は、実施形態1に係る受枠ユニット4における受枠本体41の斜視図である。
図6は、実施形態1に係る受枠ユニット4における定着部42を示す図である。
図6において、(a)は定着部42の側面図、(b)は定着部42の平面図(矢視C)、(c)は定着部42の正面図(矢視D)である。
【0035】
受枠本体41は、例えばステンレス鋼板等の金属板を板金加工することによって形成されている。受枠本体41は、構築後における溝路100の上部開口103を覆う蓋体106の外縁側領域106Aを載置するための載置面411Aを上面側に有する蓋体載置板部411、蓋体載置板部411の内端縁411Bから下方に垂設された第1挟持片412、蓋体載置板部411の外端縁411Cから上方に立設された立上り部413等を含んで構成されている。なお、符号411Dは、蓋体載置板部411における載置面411Aと反対側に位置する下面である。蓋体載置板部411における載置面411A及び下面411Dは、平坦面として形成されている。また、
図3に示すように、受枠ユニット4が規定位
置に設置された状態において、受枠本体41は溝路形成予定区域R1と側部コンクリート充填予定区域R2との境界部に沿って延在しており、より具体的には、第1挟持片412が溝路形成予定区域R1側に位置し、立上り部413が側部コンクリート充填予定区域R2側に位置するように受枠本体41が配置されている。
【0036】
受枠ユニット4の定着部42は、例えば、受枠本体41に対して溶接等、適宜の接合手法によって一体に接合されている。
図3に示すように、受枠ユニット4の定着部42は、受枠本体41における1又は複数箇所に設けられている。
図6に示す例では、定着部42は、側面視概略L形状を有する金属板によって形成されている。定着部42は、例えば、鋼板等を板金加工することによって形成することができる。定着部42は、定着用部材3に接合可能な固定片421と、当該固定片421に連設される第2挟持片422を含んで構成されている。
図6に示す例では、定着部42における第2挟持片422は、側面視において概略V字形状を有している。但し、定着部42の形状は特に限定されない。
【0037】
図6の(a)に示す例では、定着部42における固定片421は平坦な金属板であり、この固定片421に対して第2挟持片422が屈曲した状態で接続されている。本実施形態においては、例えば固定片421の上面421Aを受枠本体41の蓋体載置板部411における下面411Dに添わせた状態で固定片421が蓋体載置板部411に隅肉溶接等によって接合されており、これによって定着部42と受枠本体41とが一体の受枠ユニット4が形成されている。
【0038】
また、
図6の(b)に示すように、定着部42における固定片421には、定着部42を定着用部材3と接合するための接合孔423が設けられている。接合孔423は、固定片421を板厚方向に貫通して形成されている。
図6の(b)に示す例では、固定片421における接合孔423が四角形状を有しているが、接合孔423の形状や大きさは特に限定されない。
【0039】
上記のように構成された受枠ユニット4は、
図4に示すように、受枠本体41の蓋体載置板部411における第1挟持片412と、定着部42における第2挟持片422が間隔をおいて対向配置されており、これらの間に第1嵌合溝43が形成されている。なお、第1嵌合溝43は一方向に延伸すると共に下方に向かって開口する細溝として形成されており、第1嵌合溝43は受枠本体41の長尺方向と平行に延在している。
【0040】
受枠ユニット4におけるパネル上端側保持部44は、受枠本体41側の第1挟持片412と定着部42側の第2挟持片422の組み合わせによって形成されている。言い換えると、受枠ユニット4のパネル上端側保持部44は、受枠本体41側の第1挟持片412と定着部42側の第2挟持片422を含んで形成されており、第1挟持片412及び第2挟持片422の間に形成される第1嵌合溝43に、側板パネル2の上端側領域2Aを差し込み、嵌合させることができる。パネル上端側保持部44は、第1嵌合溝43に嵌合された側板パネル2の上端側領域2Aを把持することで、側板パネル2の上端側領域2Aを固定保持することが可能である(
図1を参照)。
【0041】
図7は、実施形態1に係る側板パネル2の斜視図である。側板パネル2は、溝路100の側面101(側壁)を形成するための矩形ボードであり、側部コンクリート充填予定区域R2にフレッシュコンクリートを充填(打設)する際の捨て型枠(埋設型枠)としても利用され、側部コンクリートの硬化後は取り外されることなく溝路100の側面101(側壁)を形成する部材として存置される。
図1及び
図7に示すように、側板パネル2は、一方の面に溝路側面形成面21が形成されると共に他方の面(溝路側面形成面21と反対側の面)に堰板面22が形成されている。また、
図7に示す符号2Bは側板パネル2の下端側領域、符号2Cは側板パネル2の下端面である。
【0042】
本実施形態において、側板パネル2は、例えば、平板状の繊維強化セメント板によって形成されている。側板パネル2は、その長手方向の寸法は例えば30~242cmであり、短手方向の寸法は例えば2~242cmである。また、側板パネル2の製造コスト及び運搬コストの抑制、並びに、側板パネル2の組付け作業のしやすさの観点から、長手方向の寸法は30~200cmが好ましく、短手方向の寸法は2~50cm(特に、2~40cm)が好ましい。
【0043】
側板パネル2を形成する平板状の繊維強化セメント板としては、例えば、スレートボード、珪酸カルシウム板、スラグ石膏板等が挙げられる。スレートボードは、主原料として、例えば、セメント、繊維(但し石綿を除く)、及び混和材を含む。珪酸カルシウム板は、主原料として、例えば、石灰質原料、珪酸質原料、繊維(但し石綿を除く)、及び混和材を含む。スラグ石膏板は、主原料として、例えば、スラグ、石膏、繊維(但し石綿を除く)、及び混和材を含む。これら繊維強化セメント板については、JIS A 5430に規格が定められている。耐水性の観点からは、側板パネル2を形成する繊維強化セメント板としては、スレートボード及び珪酸カルシウム板が好ましい。また、スレートボードの市販品としては、例えば、エーアンドエーマテリアル株式会社製の「セルフレックス」が挙げられる。珪酸カルシウム板の市販品としては、例えば、エーアンドエーマテリアル株式会社製の「ハイラックM」が挙げられる。スラグ石膏板の市販品としては、例えば、吉野石膏株式会社製の「タイガーボード」が挙げられる。
【0044】
側板パネル2の厚さは、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは6mm以上である。このような構成は、側板パネル2の強度の確保の観点から好ましく、ひいては、側板パネル2の運搬時及び組付け作業時、並びにコンクリート打設の際の、側板パネル2の破損や撓みを抑制する観点から好ましい。また、側板パネル2の厚さは、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下である。このような構成は、側板パネル2の軽量化の観点から好ましく、ひいては、側板パネル2の製造コスト及び運搬コストの抑制、並びに、側板パネル2の組付け作業のしやすさの観点から好ましい。
【0045】
ここで、側板パネル2の堰板面22は接着改良面として形成されていてもよい。この接着改良面は、例えば硬化コンクリートとの接合に適した面であり、硬化コンクリートとの接着性を向上させるための処理が施された面である。接着改良面を設けることで硬化コンクリートとの接合高度を高めることができ、側板パネル2が硬化コンクリートの表面から剥離しにくくすることができる。側板パネル2の接着改良面は、例えば、モルタル硬化物層表面、凹凸成形面、機械的粗化面、または、これらの組み合わせであってもよい。側板パネル2の量産化や経済性の観点からは、側板パネル2の接着改良面としてはモルタル硬化物層表面が好ましい。
【0046】
側板パネル2におけるモルタル硬化物層表面は、上述の繊維強化セメント板における表面にモルタルを塗布した後に硬化させることによって形成することができる。当該モルタルとしては、例えば、ポリマーセメントモルタル、エポキシ樹脂モルタル、カチオン系モルタル等が挙げられる。
【0047】
ポリマーセメントモルタルは、例えば、セメントと、細骨材と、水と、ポリマーディスパージョンまたは再乳化形粉末樹脂との混合物であるモルタルである。ポリマーディスパージョンとしては、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)及びアクリル樹脂等が挙げられる。ポリマーディスパージョンとして用いることが可能なエチレン酢酸ビニル樹脂の市販品としては、例えば、ダイセルミライズ株式会社製の「セルマイティ10」が挙げられる。ポリマーディスパージョンとして用いることが可能なアクリル樹脂の市販品としては、例
えば、旭化成株式会社製の「スーパーペトロック400」等が挙げられる。
【0048】
カチオン系モルタルは、例えば、セメントと、細骨材と、水と、カチオン系ポリマーディスパージョンまたはカチオン系再乳化形粉末樹脂との混合物であるモルタルである。カチオン系ポリマーディスパージョンとしては、カチオン系スチレンブタジエンゴム、カチオン系アクリル樹脂等が挙げられる。カチオン系ポリマーディスパージョンとして用いることが可能なカチオン系スチレンブタジエンゴムの市販品としては、ダイセルミライズ株式会社製の「セルタル」等が挙げられる。カチオン系ポリマーディスパージョンとして用いることが可能なカチオン系アクリル樹脂の市販品としては、ダイセルミライズ株式会社製の「セルカチオン」等が挙げられる。
【0049】
エポキシ樹脂モルタルは、例えば、エポキシ樹脂と細骨材との混合物であるモルタルである。エポキシ樹脂モルタルの市販品としては、例えばコニシ株式会社製の「Kモルタル」等が挙げられる。
【0050】
上述のモルタル中の細骨材としては、例えば、珪砂、川砂、黒曜石パーライト、真珠岩パーライト、炭酸カルシウム粉等が挙げられる。モルタル中には、一種類の細骨材が含まれていてもよいし、二種類以上の細骨材が含まれていてもよい。
【0051】
側板パネル2における接着改良面がモルタル硬化物層表面である場合、そのモルタル硬化物層の厚さは、コンクリートに対する高い接着強度を確保するという観点からは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは1.5mm以上である。また、側板パネル2に関する軽量化及び作業性の改善の観点や、側板パネル2の製造コスト及び運搬コストの抑制の観点からは、当該モルタル硬化物層の厚さは、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは3mm以下である。
【0052】
側板パネル2における接着改良面が凹凸成形面である場合、例えば、側板パネル2を形成するための繊維強化セメント板の作製過程で、所定の凹凸形状を有する型板等など型部材を使用して繊維強化セメント板をプレス成形または押出成形することにより、凹凸成形面を形成することができる。
【0053】
側板パネル2における接着改良面が機械的粗化面である場合、例えば、側板パネル2を形成するための繊維強化セメント板の表面に対してサンディングまたはチッピングなど機械的な粗面化処理を行って当該表面を目粗しすることにより、機械的粗化面を形成することができる。
【0054】
また、側板パネル2の溝路側面形成面21は化粧面(仕上面)として形成されていてもよい。この場合、側板パネル2の溝路側面形成面21は、繊維強化セメント板の表面に塗工された仕上げ塗材によって形成されていてもよい。側板パネル2の溝路側面形成面21を形成する仕上げ塗材としては、例えば、厚膜型エポキシ樹脂系や水性硬質ウレタン系の仕上げ塗材であってもよい。厚膜型エポキシ樹脂系の仕上げ塗材としては、株式会社エービーシー商会製の「ケミクリートE」等が挙げられる。また、水性硬質ウレタン系の仕上げ塗材としては、耐熱耐低温性、耐摩耗性、耐水性、抗菌性などに優れた株式会社エービーシー商会製の「タフクリートMH」等が挙げられる。側板パネル2の溝路側面形成面21を化粧面(仕上面)として形成することで、溝路構築ユニット1を使用して溝路を構築した後、側板パネル2の溝路形成面21に改めて仕上げ材を塗工する必要がなく、作業効率の観点から好ましい。
【0055】
以上のような側板パネル2としては、特開平8-312092号公報に記載のもの(但し、石綿は含有していないもの)、及び、ダイセルミライズ株式会社製の「セル・ケ
コミパネル」、「セル・スリムステップボード」が、特に好ましい。
【0056】
次に、
図1に示すパネル下端側保持部材5の詳細構造について説明する。パネル下端側保持部材5は、底部コンクリート充填予定区域R3に位置決め固定される部材であり、側板パネル2の下端側領域2Bを固定保持することが可能である。また、パネル下端側保持部材5は、規定位置に設置された側板パネル2の下端側領域2Bが溝路形成予定区域R1側にずれることを抑制するパネル下端側ずれ止め部材に相当する。これにより、後続するフレッシュコンクリート打設工程において側部コンクリート充填予定区域R2に打設されるコンクリートの圧力が側板パネル2に作用しても、側板パネル2の下端側領域2Bが溝路形成予定区域R1側にずれることを抑制できる。
【0057】
図8は、実施形態1に係るパネル下端側保持部材5の斜視図である。パネル下端側保持部材5は、下地200に固定可能な台座部51と、側板パネル2の下端側領域2Bを嵌合可能な第2嵌合溝52を有するパネル受部53と、台座部51及びパネル受部53を接続する軸部54を有する。
図8には、一組のパネル下端側保持部材5と、当該一組のパネル下端側保持部材5を連結するための連結棒部材55とが図示されている。
【0058】
パネル下端側保持部材5の台座部51は、下地200に安定して載置可能な平坦な下面を有する土台部材であり、例えば釘等の固定具を挿通可能な固定孔51Aが設けられている。台座部51における固定孔51Aの数は特に限定されないが、台座部51の複数箇所に固定孔51Aが設けられていることが好ましい。例えば、下地200がコンクリート基盤である場合、固定孔51Aを通じてコンクリート釘等をコンクリート基盤に打ち込むことによって台座部51をコンクリート基盤に固定することができる。
【0059】
パネル下端側保持部材5の軸部54は、例えば寸切ボルトによって形成されており、台座部51及びパネル受部53を相互に接続している。パネル下端側保持部材5の台座部51には、軸部54の下端側を連結可能な連結部51Bが形成されている。例えば、連結部51Bは、軸部54をねじ込み可能なスリーブ体として構成されていてもよく、当該スリーブ体の内周面側に軸部54を螺着可能なメスねじ部を有していてもよい。
【0060】
パネル受部53の上部には、側板パネル2の下端側領域2Bを嵌合可能な第2嵌合溝52が形成されており、第2嵌合溝52に嵌合した側板パネル2の下端側領域2Bを把持することが可能である。
図8に示すように、パネル受部53の第2嵌合溝52は一方向に延伸すると共に上方に向かって開口する細溝として形成されている。また、パネル受部53の下端面には、軸部54の上端側を螺着可能なナット(図示せず)が取り付けられており、当該ナットに軸部54の上端側を螺着することでパネル受部53及び軸部54が相互に連結されている。パネル下端側保持部材5は、パネル受部53のナットに対する軸部54の螺着量を変更することで、台座部51から第2嵌合溝52までの高さを自由に変更することができる。このような高さ調整機構を有するパネル下端側保持部材5によれば、台座部51を下地200に固定した状態で、第2嵌合溝52の高さを自在に調整することができる。
【0061】
更に、パネル下端側保持部材5のパネル受部53には、連結棒部材55の端部を挿入することで保持可能な装着孔57を有する連結用スリーブ56が設けられている。連結棒部材55は、例えば細長い丸鋼などの硬質棒部材によって形成されている。
図8に示す例では、連結棒部材55は、一方向に延伸する幅決め部551と、当該幅決め部551の両端から屈曲して延在する一対の装着用端部552を含んで構成されている。連結棒部材55は、例えば丸鋼の両端を概略コの字形状に折り曲げ加工することによって形成されていてもよい。
【0062】
図8に示すように、連結棒部材55は、幅決め部551の両端に設けられた一対の装着用端部552を、異なる一組のパネル下端側保持部材5の連結用スリーブ56における装着孔57に装着する態様で用いられる。すなわち、異なる一組のパネル下端側保持部材5は、一本の連結棒部材55を共有する態様で各々の連結用スリーブ56における装着孔57に連結棒部材55の装着用端部552を装着する。これにより、一組のパネル下端側保持部材5同士を、共有する連結棒部材55を介して相互に連結できる。
【0063】
更に、本実施形態に係るパネル下端側保持部材5は、連結用スリーブ56の装着孔57に装着される連結棒部材55の向きをガイド(規制)するためのガイド部58を有している。
図8に示すように、パネル下端側保持部材5のガイド部58は、連結用スリーブ56における装着孔57の上方に設けられた一対の対向する規制壁58A,58Aを備えている。
図8に示すように、連結用スリーブ56における装着孔57に連結棒部材55の装着用端部552を装着した状態では、対向配置された規制壁58A,58A間に形成された隙間58Bに幅決め部551が位置付けられている。この状態において、連結用スリーブ56の装着孔57に挿入された装着用端部552が装着孔57内において軸方向に回転しようとしても、隙間58Bに位置付けられている幅決め部551が規制壁58Aと干渉することで、装着用端部552の回転を規制することができる。このようにして、本実施形態に係るパネル下端側保持部材5は、連結用スリーブ56に対して連結棒部材55を予め規定された向きのみに装着できる。
【0064】
図8に示すパネル下端側保持部材5の例では、パネル受部53における第2嵌合溝52の延在方向に対して規制壁58A,58Aが直交方向に延在している。その結果、連結用スリーブ56の装着孔57に連結棒部材55が装着された際に、第2嵌合溝52の延在方向と幅決め部551の延在方向とがなす角度(以下、「連結部材装着角度」という)を直角に設定することができる。そして、パネル受部53における第2嵌合溝52の延在方向と規制壁58A,58Aの延在方向とがなす角度を適宜変更することで、連結部材装着角度を自由に変更することができる。本実施形態においては、構築すべき溝路100の仕様に応じて、異なる連結部材装着角度を有する複数種類のパネル下端側保持部材5を用意しておいてもよい。パネル受部53の連結部材装着角度としては、例えば、45°、90°、135°などが挙げられるが、これらの角度には特に限定されない。なお、パネル下端側保持部材5におけるパネル受部53に連結棒部材55の一端側を連結する態様は上記態様に限定されず、種々の態様を採用することができる。
【0065】
《溝路構築方法》
本実施形態においては、以上のように構成される溝路構築ユニット1を使用して溝路100が構築される。以下、溝路構築ユニット1を用いた溝路100の構築方法(施工方法)について説明する。
【0066】
まず、定着部材設置工程においては、所定の本数の定着用部材3を用意し、溝路100の側部104を形成するためのコンクリートが充填される側部コンクリート充填予定区域R2に、用意した定着用部材3を位置決め固定する。ここでは、定着用部材3として寸切ボルトを用いる場合を例に説明するが、もちろん定着用部材3は寸切ボルトに限定されず、異形棒鋼やアングル材等、受枠ユニット4の定着部42を接合することで受枠ユニット4を保持できる限りにおいて種々の部材を採用することができる。
【0067】
図9は、実施形態1に係る定着部材設置工程の状況を説明する図である。なお、
図9には、
図3に示すE-E位置に対応する定着部材設置工程の状況を示している。
図9に示す例では、コンクリート基盤200Aの所定箇所に定着用部材3(例えば、寸切ボルト)を立設させている。例えば、下地としてのコンクリート基盤200Aの所定箇所に穿孔した後、孔内へのあと施工アンカー(例えば、金属系アンカー)の挿入及び打ち込みを行うこ
とであと施工アンカーを孔内に固定する。そして、あと施工アンカーのメスねじ部に定着用部材3(例えば、寸切ボルト)を螺着させることによって定着用部材3(例えば、寸切ボルト)をコンクリート基盤200Aに立設させてもよい。コンクリート基盤200Aは、例えば捨て(均し)コンクリートであってもよいし、床版コンクリートであっても良く、特に限定されない。
図10は、実施形態1に係る定着部材設置工程が完了した状況を示す図であり、コンクリート基盤200Aの規定位置に必要な本数の定着用部材3(例えば、寸切ボルト)を位置決め固定し、コンクリート基盤200から上方に向けて立設させる。なお、
図10において、現時点でまだ設置されていない受枠ユニット4については破線で示している。また、構築すべき溝路100が鉄筋コンクリート構造である場合には、側部コンクリート充填予定区域R2及び底部コンクリート充填予定区域R3に建築構造用鉄筋を配筋した後、コンクリート基盤200Aに定着用部材3を定着してもよい。或いは、コンクリート基盤200Aに定着用部材3を定着した後、側部コンクリート充填予定区域R2及び底部コンクリート充填予定区域R3に建築構造用鉄筋を配筋してもよい。
【0068】
次に、受枠設置工程においては、所定の数の受枠ユニット4を用意し、当該受枠ユニット4における定着部42を、コンクリート基盤200Aに立設する定着用部材3に接合することで、受枠ユニット4における受枠本体41を規定位置に設置する。
【0069】
図11は、実施形態1に係る受枠設置工程の状況を説明する図である。
図11に示す例では、一組のナット6を用いて、受枠ユニット4における定着部42を定着用部材3に接合している。例えば、一方のナット6を螺着させた状態の定着用部材3を、定着部42における固定片421に形成された接合孔423(
図6を参照)に通した後、その定着用部材3に他方のナット6を螺着させることによって、受枠ユニット4における定着部42を定着用部材3に接合してもよい。これにより、受枠ユニット4における受枠本体41を規定位置に設置することができる。その際、受枠ユニット4における定着部42を定着用部材3に接合する際、定着部42の高さを測量しながら規定高さに調整することで、受枠ユニット4を精度よく規定位置に設置することができる。なお、ここでは、ナット6を用いて受枠ユニット4における定着部42を定着用部材3に接合する例を説明したがこれには限定されない。例えば、受枠ユニット4における定着部42を定着用部材3に溶接等によって接合してもよい。また、定着用部材3に異形棒鋼やアングル材等を用いる場合には、当該異形棒鋼やアングル材等に受枠ユニット4の定着部42を溶接等によって接合してもよい。
【0070】
受枠設置工程が完了すると、
図3に示されるように全ての受枠ユニット4が規定位置に設置され、長手方向に隣接する受枠本体41同士が相互に連結(接合)された状態となる。その際、各受枠ユニット4は、パネル上端側保持部44(第1嵌合溝43)が溝路形成予定区域R1側に配置されるように設置される。また、各受枠本体41及び第1嵌合溝43の延在方向は、溝路形成予定区域R1及び側部コンクリート充填予定区域R2の境界方向と平行になるように配向される。
【0071】
なお、本実施形態における各受枠本体41は、その長手方向における一端側に、受枠本体41同士を連結するためのジョイントピース45が設けられており、このジョイントピース45を介して受枠本体41同士を相互に接合できるように構成されている。
図12は、実施形態1に係る受枠本体41の一端側に設けられるジョイントピース45を説明する図である。
図12には、受枠本体41の一端側に配置されたジョイントピース45とその近傍の斜視図が示されている。
【0072】
ジョイントピース45は、側面視が概略L字形状を有するアングル材であり、受枠本体41の裏面側に添わせた状態で溶接等によって一体に接合されている。
図12に示すように、ジョイントピース45は、受枠本体41の一端側から長尺方向外側に向かって突出し
ており、この突出領域における上面は別の受枠本体41の端部を載置する載置面45Aとして形成されている。ここで、受枠本体41の長手方向における端部のうち、ジョイントピース45が設けられている方の端部を第1端部と呼び、ジョイントピース45が設けられていない方の端部を第2端部と呼ぶ。本実施形態においては、各受枠本体41を長手方向に相互連結する際、一方の受枠本体41における第1端部と他方の受枠本体41における第2端部が突き合わされた状態で接合される。
【0073】
これによれば、相互に連結される一方の受枠本体41における第1端部に設けられたジョイントピース45の載置面45Aに、他方の受枠本体41における第2端部を載置した状態で第1端部と第2端部を突き合わせることができ、この状態で他方の受枠本体41における第2端部にジョイントピース45を溶接等によって接合することで、容易に受枠本体41同士を一体に連結することができる。但し、受枠ユニット4の受枠本体41に設けられているジョイントピース45は必須の構成ではなく、ジョイントピース45が設けられていなくてもよい。この場合、受枠本体41の端面同士を互いに突き合せた状態で溶接等によって接合し、受枠本体41同士を相互に連結してもよい。
【0074】
なお、
図3に示すように、各受枠ユニット4において、受枠本体41に設置される定着部42の数は少なくとも1つ以上であればよいが、受枠本体41の形状や長さに応じてバランス良く定着部42を配置し、各定着部42を定着用部材3に接合することで支持することが好ましい。例えば、受枠本体41が平面視においてL字形状やコ字形状など、直線タイプ以外の受枠本体41には複数の定着部42を設けることが好ましく、これによって受枠本体41を安定した姿勢に固定することができる。また、
図3に示すように、複数の受枠本体41が順次連結された状態において、受枠本体41の長手方向に沿った定着部42の配置間隔が概ね等間隔(例えば、500mm程度)となるように各受枠本体41に設けられる定着部42の数や位置が決定されていると好ましい。なお、各受枠本体41同士の連結端部には上記の通りジョイントピース45が配置されるため、定着部42がジョイントピース45と干渉しないように、受枠本体41の端部を除いた位置に定着部42を配置することが好ましい。
【0075】
上記の受枠設置工程が完了すると、次に、ずれ止め部材設置工程において、側板パネル2の下端側領域2Bが溝路形成予定区域R1側にずれることを抑制するためのパネル下端側ずれ止め部材(パネル下端側保持部材5)を設置する。本実施形態においては、底部コンクリート充填予定区域R3に位置決め固定されるパネル下端側保持部材5がパネル下端側ずれ止め部材に相当する。
【0076】
図13は、実施形態1に係るずれ止め部材設置工程の状況を説明する図である。ずれ止め部材設置工程においては、必要な数のパネル下端側保持部材5を用意し、コンクリート基盤200A上の所定の位置に各パネル下端側保持部材5を立設させる。より詳しくは、コンクリート基盤200A上において、パネル下端側保持部材5を設置する位置を位置出し後、所定の位置にパネル下端側保持部材5の台座部51を固定する。台座部51の固定は、上述の通り、固定孔51Aを通じてコンクリート釘等をコンクリート基盤200Aに打ち込むことによってなされる。
【0077】
図13に示すように、コンクリート基盤200A上に立設する各パネル下端側保持部材5は、溝路形成予定区域R1の下方に規定される底部コンクリート充填予定区域R3内に配設され、この状態においてパネル受部53の第2嵌合溝52は上方に向かって開口している。また、コンクリート基盤200Aに設置された各パネル下端側保持部材5は、パネル受部53の第2嵌合溝52が側部コンクリート充填予定区域R2と底部コンクリート充填予定区域R3の境界方向に沿って延在するように配向されている。後述するように、本実施形態においては、各側板パネル2は、上端側領域2Aを受枠ユニット4における第1
嵌合溝43に嵌合し、下端側領域2Bをパネル下端側保持部材5におけるパネル受部53の第2嵌合溝52に嵌合させることで規定位置に保持される。したがって、コンクリート基盤200A上に立設する各パネル下端側保持部材5は、各受枠ユニット4における受枠本体41の概略鉛直下方に配置される。なお、コンクリート基盤200A上に立設する各パネル下端側保持部材5において、パネル受部53における第2嵌合溝52の高さは上述した高さ調整機構を用いて所定の高さに調整される。
【0078】
また、
図13に示すように、各パネル下端側保持部材5におけるパネル受部53の連結用スリーブ56は、底部コンクリート充填予定区域R3の内側を向いて配置される。このようにすることで、底部コンクリート充填予定区域R3において互いに対向するパネル下端側保持部材5同士を、互いのパネル受部53における連結用スリーブ56に装着する連結棒部材55を共有することによって連結できる。勿論、連結棒部材55における幅決め部551は、構築すべき溝路100の形状、寸法に応じて予め適切な長さに調整しておくことができる。
【0079】
本実施形態において、パネル下端側保持部材5が設置される位置や数は特に限定されないが、側部コンクリート充填予定区域R2と底部コンクリート充填予定区域R3の境界方向に沿って間隔を置いて配置されるパネル下端側保持部材5同士の間隔が過度に大きくならないようにバランス良くパネル下端側保持部材5を配置することが好ましく、例えばパネル下端側保持部材5同士の間隔を500mm程度に設定すると好適である。
【0080】
次に、溝路100の側面101を形成するための1又は複数の側板パネル2を用意し、用意した側板パネル2をパネル設置工程において設置する。
図14は、実施形態1に係るパネル設置工程の状況を説明する図である。
図14に示すように、パネル設置工程においては、用意した各側板パネル2の上端側領域2Aをパネル上端側保持部44の第1嵌合溝43に嵌合し(差し込み)、下端側領域2Bをパネル下端側保持部材5におけるパネル受部53の第2嵌合溝52に嵌合させる(差し込む)ことにより、パネル上端側保持部44及びパネル下端側保持部材5によって側板パネル2を保持する。その際、本実施形態においては、側板パネル2毎に、その上端側領域2Aを少なくとも1箇所以上で保持できるようにパネル上端側保持部44を配置し、その下端側領域2Bを少なくとも1箇所以上で保持できるようにパネル下端側保持部材5を配置するようにした。これにより、各側板パネル2を規定位置へと堅固に固定できる。なお、各側板パネル2は、堰板面22を側部コンクリート充填予定区域R2側に向け、溝路側面形成面21を溝路形成予定区域R1側に向けた状態でパネル上端側保持部44及びパネル下端側保持部材5によって固定保持される。
【0081】
なお、
図14に示す符号L1は、後述するコンクリート打設工程において、側部コンクリート充填予定区域R2にフレッシュコンクリートを充填(打設)する際のコンクリート天端高さ(以下、「側部コンクリート天端高さ」という)である。また、符号L2は、底部コンクリート充填予定区域R3にフレッシュコンクリートを充填(打設)する際のコンクリート天端高さ(以下、「底部コンクリート天端高さ」という)である。各側板パネル2の設置が完了すると、
図1に示す状態、すなわち施工箇所への溝路構築ユニット1の設置が完了し、側部コンクリート充填予定区域R2及び底部コンクリート充填予定区域R3にフレッシュコンクリートを充填する準備が整う。
【0082】
次に、コンクリート打設工程において、側部コンクリート充填予定区域R2及び底部コンクリート充填予定区域R3にフレッシュコンクリートを充填する。ここでは、側部コンクリート充填予定区域R2及び底部コンクリート充填予定区域R3に対してフレッシュコンクリートを同時充填(同時打設)する。すなわち、
図14で説明したように、側部コンクリート充填予定区域R2においては側部コンクリート天端高さL1まで、底部コンクリ
ート充填予定区域R3においては底部コンクリート天端高さL2までフレッシュコンクリートを充填(打設)する。ここでいう同時充填(同時打設)は、側部コンクリート充填予定区域R2及び底部コンクリート充填予定区域R3へのコンクリート充填を厳密には同時に行う必要は無い。例えば、まず底部コンクリート充填予定区域R3に対してフレッシュコンクリートの充填を行い、これに継続(連続)して側部コンクリート充填予定区域R2に対するフレッシュコンクリートの充填を行うようにしてもよい。
【0083】
なお、コンクリート打設工程に際しては、側部コンクリート充填予定区域R2へのフレッシュコンクリートの充填を行う直前に、各側板パネル2における堰板面22の表面を湿らして堰板面22の吸水調整を行うことが好ましい。これにより、フレッシュコンクリートの充填時において、フレッシュコンクリートに含まれる水分が側板パネル2を構成する繊維強化セメント素地に過剰に吸収され、いわゆるドライアウトの状態に至ることを抑制できる。また、受枠本体41における蓋体載置板部411の載置面411Aや立上り部413等、側部コンクリート天端高さL1よりも高い位置に配置される仕上面については、コンクリート打設工程に先立って養生テープ等を使用して養生しておくことが好ましい。これにより、上記仕上面にフレッシュコンクリートが付着することを抑制できる。そして、コンクリート打設工程においては、突き棒、棒状バイブレータ等を使用したフレッシュコンクリートの締固めや、コテ等よるコンクリート天端の表面仕上げを必要に応じて適切に行った上で、所定の養生を経てコンクリートを硬化させる。これにより、
図2に示したような溝路100を構築することができる。なお、構築した溝路100の底部105には、必要に応じてレベリング材やモルタルなどを打設して水勾配を付けてもよい。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る溝路構築ユニット1によれば、溝路100の側面101を形成するための側板パネル2と、溝路100の側部104が形成される側部コンクリート充填予定区域R2に位置決め固定される定着用部材3と、溝路100の上部開口103を覆う蓋106体を保持するための長尺の受枠本体41と、当該受枠本体41と一体に設けられると共に定着用部材3に接合されることで受枠本体41を規定位置に固定するための定着部42と、側板パネル2の上端側領域2Aを保持可能なパネル上端側保持部44を有する、受枠ユニット4を備える。そして、上記溝路構築ユニット1を用いた溝路構築方法によれば、側部コンクリート充填予定区域R2に定着用部材3を位置決め固定し、側部コンクリート充填予定区域R2に位置決め固定された定着用部材3に受枠ユニット4における定着部42を接合することで受枠本体41を規定位置に設置することができる。そして、側板パネル2の上端側領域2Aを受枠ユニット4のパネル上端側保持部44に保持し、側板パネル2を規定位置に固定した状態で側部コンクリート充填予定区域R2にフレッシュコンクリートを充填することで、側板パネル2の堰板面22をコンクリート充填時の堰板として利用しつつ溝路100を構築することができる。
【0085】
そして、溝路構築ユニット1の側板パネル2は、溝路100の構築後においては溝路100の側面101を形成するため、側部コンクリート充填予定区域R2に充填したコンクリートが硬化した後に、その硬化コンクリートから側板パネル2を取り外す必要が無い。上述した側板パネル2の固定構造によれば、型枠支保工を使用せずに溝路100を構築することができる。これらによれば、溝路100を構築する際の作業性に優れ、また、作業工程を簡略化することが可能である。その結果、溝路100を構築するために要する労力・時間・コストを削減することができる。更に、本実施形態においては、いわゆるセパレータを用いて側板パネル2を固定する必要が無いため、いわゆる型枠大工以外の作業員でも簡易に溝路100を施工することができる。但し、付加的に、或いはパネル下端側保持部材5に代えてセパレータを用いて側板パネル2同士を固定することが阻害されるものではない。
【0086】
また、本実施形態に係る溝路構築ユニット1は、更に、側板パネル2の下端側領域2B
が溝路形成予定区域R1側にずれることを抑制するパネル下端側ずれ止め部材としてのパネル下端側保持部材5を備え、少なくともコンクリート打設工程に先行してパネル下端側保持部材5を設置するようにした。これによれば、側部コンクリート充填予定区域R2へのフレッシュコンクリートの充填時に堰板を兼ねる側板パネル2をより一層堅固に保持することができるため、施工品質を向上させることができる。
【0087】
特に、パネル下端側保持部材5は、溝路形成予定区域R1の下方に位置する底部コンクリート充填予定区域R3に位置決め固定され、側板パネル2の下端側領域2Bを保持する構造を採用するようにした。このようなパネル下端側保持部材5によれば、受枠ユニット4側のパネル上端側保持部44と協働して側板パネル2の上端側領域2A及び下端側領域2Bの双方を保持することができる。そのため、コンクリート打設時に側板パネル2に大きな側圧が作用しても安定して側板パネル2を規定位置に保持することができる。
【0088】
更に、受枠ユニット4側のパネル上端側保持部44として、第1嵌合溝に嵌合された側板パネル2の上端側領域2Aを把持する構造を採用し、パネル下端側保持部材5として第2嵌合溝に嵌合された側板パネル2の下端側領域2Bを把持する構造を採用したので、側板パネル2を設置する際の作業性が非常に優れたものとなる。
【0089】
また、本実施形態に係る溝路構築方法では、側部コンクリート充填予定区域R2及び底部コンクリート充填予定区域R3に対して、フレッシュコンクリートを同時充填するようにしたので、溝路100の底部105と側部104を同時期に構築することができ、施工に要する施工期間の短縮に資することができる。
【0090】
また、本実施形態においては、底部コンクリート充填予定区域R3にコンクリート打設を行う際の底部コンクリート天端高さL2が、パネル下端側保持部材5によって保持されている側板パネル2の下端面2Cよりも相対的に高い位置に設定されている。これによれば、コンクリート打設工程において、パネル下端側保持部材5によって保持されている側板パネル2の下端面2Cがフレッシュコンクリートに埋設されるように底部コンクリート充填予定区域R3にフレッシュコンクリートを充填することができる。このようにすれば、底部コンクリート充填予定区域R3から側部コンクリート充填予定区域R2へと順次、フレッシュコンクリートを打ち上げてゆく際、底部コンクリート充填予定区域R3に充填されたフレッシュコンクリートに側板パネル2の下端面2Cが少なくとも埋没しているため、側部コンクリート充填予定区域R2に充填したフレッシュコンクリートが底部コンクリート充填予定区域R3側に漏出することを抑制できる。そのため、側部コンクリート充填予定区域R2から底部コンクリート充填予定区域R3側に漏出したコンクリートが硬化した後、溝路100における所期の入隅形状と比較して余分な余剰形状部位が形成されてしまうことを抑制できる。したがって、当該余剰形状部位を削り取る作業(斫り作業)やそれに付随する補修作業が発生することを未然に防ぐことができ、溝路100を構築するために要する労力・時間・コストを削減できる。
【0091】
更に、上記の底部コンクリート天端高さL2は、底部コンクリート充填予定区域R3に位置決め固定されているパネル下端側保持部材5の上端(より詳しくはパネル受部53の上端)よりも相対的に高い位置に設定されていてもよい。これによれば、コンクリート打設工程において、側板パネル2の下端側領域2Bを保持しているパネル下端側保持部材5の全体をコンクリート内に埋没させることができる。これにより、溝路100の構築後において、溝路100内にパネル受部53の一部が露出した状態で存置されることを抑制できる。したがって、溝路100の構築、溝路100内に露出するパネル受部53の一部を削り取る作業(斫り作業)やそれに付随する補修作業が発生することを未然に防ぐことができ、溝路100を構築するために要する労力・時間・コストを削減できる。
【0092】
<変形例>
ここで、上記実施形態の変形例について説明する。上記実施形態においては、定着用部材3をコンクリート基盤200Aに定着させる例について説明したが、この構成に代えて、コンクリート基盤200A上に配筋された鉄筋や側部コンクリート充填予定区域R2に配置された鉄骨などの鉄部材に定着用部材3が溶接されていてもよいし、上記鉄筋や鉄骨などに対して連結金具を介して連結されていてもよい。また、パネル下端側保持部材5についても同様に、コンクリート基盤200A上に配筋された鉄筋や側部コンクリート充填予定区域R2に配置された鉄骨などの鉄部材に対して、パネル下端側保持部材5の軸部54を溶接、或いは連結金具を介して固定することで設置してもよい。このような連結金具としては、例えば、岡部株式会社から販売されている商品名「セパグリップ」、共栄製作所株式会社から販売されている商品名「エスケーユニバ」および「ドマスター」、日本仮設株式会社から販売されている商品名「テツカブト(ナット付)」、株式会社国元商会から販売されている商品名「KSガッツ」、乾産業株式会社から販売されている商品名「セパジメ」、コンドーテック株式会社から販売されている商品名「ワイヤクリップ KMクリップ」等が例示できる。
【0093】
また、溝路100を構築するコンクリートを支持する下地200がコンクリート基盤200Aではなく、デッキプレート等といった鋼板製下地の場合には、寸切ボルトや鉄筋棒などの定着用部材3を溶接によって鋼板製下地に固定してもよい。また、デッキプレート用の吊り金具を介してデッキプレート下地にパネル下端側保持部材5を固定してもよい。また、パネル下端側保持部材5についても同様に、下地200がデッキプレート等といった鋼板製下地の場合には、パネル下端側保持部材5の軸部54を溶接によって鋼板製下地に固定しても良く、また、デッキプレート用の吊り金具を介してパネル下端側保持部材5の軸部54をデッキプレート下地に固定してもよい。
【0094】
また、上述した溝路構築方法に係る各工程は、可能な限りその順序を入れ替えることができ、また一部の工程を省略したり、別の工程を付加することができる。例えば、本実施形態に係る溝路構築方法は、上記受枠設置工程に先行してずれ止め部材設置工程を行ってもよい。また、受枠設置工程に後続して各側板パネル2の上端側領域2Aを受枠ユニット4における第1嵌合溝43に嵌合させた後、コンクリート基盤200A上に各パネル下端側保持部材5を設置すると共に各側板パネル2の下端側領域2Bを各パネル下端側保持部材5の第2嵌合溝52に嵌合させてもよい。
【0095】
また、コンクリート打設工程に先立って、対向する受枠本体41同士の間に幅止め材を必要に応じて架設し、対向する受枠本体41同士を相互連結してもよい。
図15は、幅止め材8を説明する図である。幅止め材8は、例えば、対向する受枠本体41A,41B間に架設可能な長さを有する短冊形状の鋼板であり、対向する受枠本体41A,41B間に渡って架設されている。また、幅止め材8は、一方の端部8Aが受枠本体41Aに溶接され、他方の端部8Bが受枠本体41Bに溶接されており、これによって対向する受枠本体41A,41B同士が幅止め材8を介して連結されている。なお、幅止め材8の形状は特に限定されず、例えば金属製のアングル材であってもよいし、適宜の形状を有する形鋼や鉄筋棒鋼であってもよい。また、幅止め材8の端部8A,8Bが受枠本体41A,41Bに溶接される部位は特定の箇所に限定されないが、受枠本体41A,41Bの蓋体載置板部411における載置面411Aや立上り部413などに端部8A,8Bを溶接してもよい。このような幅止め材8を付加的に適用することで、コンクリート打設時のコンクリート圧力、振動、衝撃などに起因して受枠本体41A,41Bが規定位置からずれることを、より好適に抑制することができる。勿論、上記幅止め材8は後述する実施形態2に対しても適用できる。
【0096】
図16~
図25は、実施形態1の変形例に係る溝路構築ユニット1を説明する図である
。
図16は、実施形態1の変形例に係る溝路構築ユニット1の平面配置例を示す図である。
図17は、
図16のF-F矢視方向から溝路構築ユニット1を眺めた状態を模式的に示す図である。本変形例において、上述までの溝路構築ユニット1と共通する構成については同一の符号を付すことにより詳細な説明を割愛する。また、本変形例の説明においても、下地200上に配筋される建築構造用鉄筋の図示を省略する。
【0097】
図16に示す符号Pは、
図3と同様、複数の受枠本体41(受枠ユニット4)が相互に連結される連結箇所を示す。
図16に示す例では、一対のコの字形状を有する受枠ユニット4(受枠本体41)が連結部材9を介して環状に連結されている。勿論、溝路構築ユニット1に含まれる受枠本体41(受枠ユニット4)の数、形状、大きさなどは特に限定さされない。
【0098】
図17に示すように、本変形例においても、各受枠ユニット4におけるパネル上端側保持部44(第1嵌合溝43)に側板パネル2の上端側領域2Aが嵌合されることで当該上端側領域2Aが保持される構成となっている。本変形例に係る溝路構築ユニット1は、上述したパネル下端側保持部材5に代えてパネル下端側保持部材10を有しており、当該パネル下端側保持部材10によって側板パネル2の下端側領域2Bを保持している。
【0099】
図18は、
図16に示すG-G位置における受枠ユニット4の横断面図である。本変形例における受枠ユニット4は、
図3で説明したい態様と形状が若干異なっているが基本構造は同様であり、蓋体106を保持するための長尺の受枠本体41、当該受枠本体41と一体に設けられると共に定着用部材3に接合されることで受枠本体41を規定位置に固定するための定着部42、側板パネル2の上端側領域2Aを保持可能なパネル上端側保持部44等を含んで構成されている。受枠本体41や定着部42は、例えば、ステンレス鋼板等を板金加工することによって形成してもよい。
【0100】
図19は、実施形態1の変形例に係る受枠ユニット4における定着部42を示す図である。
図19において、(a)は定着部42の側面図、(b)は定着部42の平面図(矢視H)である。なお、
図19に示す定着部42は、受枠本体41に接合される前の状態を示している。
【0101】
図19に示すように、受枠ユニット4における定着部42は、ベース部420と、ベース部420の一方側に連設される固定片421と、ベース部420の他方側に連設される第2挟持片422等を含んで構成されている。ベース部420は、当該ベース部420に連設される固定片421や第2挟持片422に比べて左右の幅方向に張り出した一対の接合片420A,420Aを有している。ベース部420は、受枠本体41の蓋体載置板部411における下面411Dに添わせた状態で当該蓋体載置板部411に接合される。例えば、ベース部420は、一対の接合片420A,420Aを受枠本体41の蓋体載置板部411にスポット溶接することで蓋体載置板部411に接合されてもよい。本変形例においては、ベース部420における接合片420A,420Aが左右幅方向に張り出した態様となっているため、スポット溶接機の電極部が受枠本体41や定着部42における他の部位に接触することを容易に回避することができ、作業性に優れている。
【0102】
固定片421は、側面視で概略L字形状を有しており、定着部42を定着用部材3と接合するための接合孔423が設けられている。また、定着部42における第2挟持片422は、側面視において概略V字形状を有している。
【0103】
上記のように構成された本変形例に係る受枠ユニット4においても、受枠本体41の蓋体載置板部411における第1挟持片412と、定着部42における第2挟持片422が間隔をおいて対向配置されており、これらの間に第1嵌合溝43が形成されている。第1
嵌合溝43は、一方向に延伸すると共に下方に向かって開口する細溝として形成されており、受枠本体41の長尺方向と平行に延在している。なお、本変形例において、受枠ユニット4のパネル上端側保持部44は、第2挟持片422の下端に比べて第1挟持片412の下端が上方の位置に配置されているため、側板パネル2の上端側領域2Aを第1嵌合溝43に嵌合させて取り付けやすい構造となっている。
【0104】
次に、隣接する受枠ユニット4(受枠本体41)同士を連結する連結部材9について説明する。
図20は、実施形態1の変形例に係る連結部材9を介して受枠本体41の端部領域同士が連結された連結部を上方から眺めた図である。
図21は、実施形態1の変形例に係る受枠本体41の連結部を正面から眺めた図(矢視I)、
図22は、実施形態1の変形例に係る受枠本体41の連結部を側方から眺めた図(矢視J)である。なお、本変形例に
おいて、受枠本体41の端部領域には上述したジョイントピース45は設けられていない。
【0105】
連結部材9は、受枠本体41の各端部領域に接合されたブラケット91、相互に連結される受枠本体41の端部に設けられたブラケット91同士に跨ってこれらを連結するためのジョイントピース92、ねじ93等を含んで構成されている。
【0106】
図23は、実施形態1の変形例に係るジョイントピース92によって連結される前のブラケット91を説明する図である。ブラケット91は、受枠本体41の各端部領域に設けられており、
図23に示す例では矩形状を有する平鋼板によって構成されている。
図23に示すように、ブラケット91は、受枠本体41の端部領域において、その上面を蓋体載置板部411の下面411Dに添わせた状態で溶接などによって接合されている。また、ブラケット91は、蓋体載置板部411から受枠本体41の背面側に向かって張り出しており、その張出し領域911にジョイントピース92が載置されるように構成されている。また、
図23に示す符号911Aは、張出し領域911を貫通して設けられた固定孔である。本変形例において、固定孔911Aの内壁面には、ねじ93を螺着可能なねじ溝が形成されている。
【0107】
ジョイントピース92は、連結すべき一対の受枠本体41の端部領域に配置された一対のブラケット91における張出し領域911に跨るようにして配置可能な形状および大きさを有しており、
図23に示す例では矩形状を有する平鋼板によって構成されている。ジョイントピース92には、一対のねじ挿通孔92Aが形成されている。例えば、ねじ挿通孔92Aは、ねじ93の軸部よりも大きな直径を有しており、ねじ93の軸部を遊嵌することができる。また、ジョイントピース92は、一対のブラケット91における張出し領域911の上面に跨って配置した際に、一対のねじ挿通孔92Aが各張出し領域911における固定孔911Aと平面位置が一致するようになっている。
【0108】
上記のように構成された連結部材9を用いて受枠本体41同士を連結(接合)する際には、互いに連結すべき一対の受枠本体41のブラケット91同士を
図23に示すように突き合せ、その状態から一対のブラケット91における張出し領域911の上面に跨るようにしてジョイントピース92を載置する。そして、ジョイントピース92のねじ挿通孔92Aにねじ93を挿通させた状態で、一対のブラケット91における各固定孔911Aにねじ93を螺着し、固定する。これにより、連結部材9を用いて受枠本体41同士を連結することができる。
【0109】
次に、パネル下端側保持部材10について説明する。
図24は、実施形態1の変形例に係る一般用パネル下端側保持部材10Aを説明する図である。
図25は、実施形態1の変形例に係るエンド用パネル下端側保持部材10Bを説明する図である。(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は端面図である。一般用パネル下端側保持部材10Aおよびエン
ド用パネル下端側保持部材10Bは、例えば、鋼板等を板金加工することによって形成することができる。
【0110】
まず、一般用パネル下端側保持部材10Aおよびエンド用パネル下端側保持部材10Bは矩形平面形状を有し、長手方向に沿って延在する一対のベース部11と、当該一対のベース部11の間に配置されると共に長手方向に延在する隆起部12を備える。ベース部11は矩形状の平坦な平板プレートである。隆起部12は、各ベース部11から立ち上がる一対の立上部121と、各立上部121の上端同士を接続する頂壁部122を有している。
【0111】
一般用パネル下端側保持部材10Aは、隆起部12の両端側にそれぞれ第1固定用孔13が形成されている。各第1固定用孔13は、定着用部材3を挿通可能な大きさを有している。また、
図24に示すように、隆起部12のうち、一対の第1固定用孔13の内側にはそれぞれ保持溝14が形成されている。保持溝14は、側板パネル2の下端側領域2Bを保持するための溝であり、隆起部12の一部を切り欠くことで形成されると共に一般用パネル下端側保持部材10A(隆起部12)の幅方向に沿って延在している。保持溝14の幅は、側板パネル2における下端側領域2Bの厚さと等しいか、僅かに大きな寸法に形成されており、当該下端側領域2Bをがたつくことなく保持できるように構成されている。また、
図24に示す符号15は、各ベース部11の長手方向に間隔おいて形成された第2固定用孔である。第2固定用孔15は、各ベース部11を厚さ方向に貫通するように形成されている。以上のように構成される一般用パネル下端側保持部材10Aは、第1固定用孔13および第2固定用孔15を選択的に用いて、或いは併用することによって、取り付け対象に対して固定することができる。
【0112】
一方、エンド用パネル下端側保持部材10Bは、隆起部12における一端側に単一の第1固定用孔13が形成されており、隆起部12における他端側に単一の保持溝14を有している。エンド用パネル下端側保持部材10Bにおいても、保持溝14は、エンド用パネル下端側保持部材10B(隆起部12)の幅方向に沿って延在している。エンド用パネル下端側保持部材10Bに各ベース部11においても、複数の第2固定用孔15がベース部11の長手方向に間隔を置いて形成されている。以上のように構成されるエンド用パネル下端側保持部材10Bは、第1固定用孔13および第2固定用孔15を選択的に用いて、或いは併用することによって、取り付け対象に対して固定することができる。
【0113】
上記のように構成される実施形態1の変形例に係る溝路構築ユニット1は、各側板パネル2の上端側領域2Aを受枠ユニット4におけるパネル上端側保持部44によって保持し、各側板パネル2の下端側領域2Bをパネル下端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A、エンド用パネル下端側保持部材10B)における保持溝14によって保持することで、各側板パネル2を規定位置に固定することができる。
【0114】
本変形例に係る溝路構築ユニット1を用いた溝路100の構築方法(施工方法)は、
図26に示すように、下地200に定着された定着用部材3(寸切ボルト)に、ナット6A、6を用いてパネル下端側保持部材10、受枠ユニット4をそれぞれ定着用部材3に接合する。定着用部材3(寸切ボルト)に対する受枠ユニット4の接合方法は既述の通りである。また、パネル下端側保持部材10は、底部コンクリート充填予定区域R3に設置される。
【0115】
図26においては、下地200に定着された一対の定着用部材3(寸切ボルト)に対して、一般用パネル下端側保持部材10Aの両端に形成された第1固定用孔13(
図24を参照)をそれぞれ挿通させ、当該一般用パネル下端側保持部材10Aの隆起部12を上下のナット6Aによって挟み込むことによって固定される。これにより、一般用パネル下端
側保持部材10Aは、一対の定着用部材3間に掛け渡された状態で固定することができる。その際、一般用パネル下端側保持部材10Aを定着用部材3に固定する上下のナット6Aの高さを調整することで、一般用パネル下端側保持部材10Aを規定高さに水平な姿勢で容易に固定することができる。なお、上記説明から明らかなように、一般用パネル下端側保持部材10Aは、溝路100の長手方向に対向状に形成される一対の側面を形成するために対向配置される一対の側板パネル2の下端側領域2Bを保持するために使用され、隆起部12の両端側に形成された各保持溝14にそれぞれ下端側領域2Bを嵌合保持することができる。
【0116】
一方、
図25で説明したエンド用パネル下端側保持部材10Bは、溝路100の端面を形成するための側板パネル2の下端側領域2Bを保持するために用いられ、単一の保持溝14に当該下端側領域2Bを嵌合保持することができる。
図26においては、一般用パネル下端側保持部材10Aを一対の定着用部材3間に横架させる態様が示しているが、
図16に示すように、エンド用パネル下端側保持部材10Bについても定着用部材3(寸切ボルト)にナット6Aを用いて固定することができる。エンド用パネル下端側保持部材10Bについても、一般用パネル下端側保持部材10Aと同様、水平な姿勢に固定され、その設置高さが規定の高さに調整される。なお、パネル下端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A、エンド用パネル下端側保持部材10B)は、その保持溝14の延在方向が所期の方向に一致するように設置することができる。
【0117】
なお、下地200に定着された定着用部材3に固定された各受枠ユニット4の受枠本体41同士は、
図20乃至23で説明した連結部材9を用いて相互に連結される。また、本変形例においては、底部コンクリート充填予定区域R3に設置されると共に側板パネル2の下端側領域2Bを保持するパネル下端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A、エンド用パネル下端側保持部材10B)が側板パネル2の下端側領域2Bが溝路形成予定区域R1側にずれることを抑制するパネル下端側ずれ止め部材に相当する。
【0118】
以上のように、ずれ止め部材設置工程および受枠設置工程が完了すると、
図16に示されるように全ての受枠ユニット4が規定位置に設置され、長手方向に隣接する受枠本体41同士が相互に連結(接合)された状態となる。その際、各受枠ユニット4は、パネル上端側保持部44(第1嵌合溝43)が溝路形成予定区域R1側に配置されるように設置される。また、各受枠本体41、第1嵌合溝43、保持溝14の延在方向は、溝路形成予定区域R1及び側部コンクリート充填予定区域R2の境界方向と平行になるように配向される。
【0119】
その後、パネル設置工程において、各側板パネル2の上端側領域2Aをパネル上端側保持部44の第1嵌合溝43に嵌合し(差し込み)、下端側領域2Bをパネル下端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A、エンド用パネル下端側保持部材10B)における保持溝14に嵌合させる(差し込む)ことにより、各側板パネル2の上下を固定する(
図17を参照)。本変形例においても、側板パネル2毎に、その上端側領域2Aを少なくとも1箇所以上で保持できるようにパネル上端側保持部44を配置し、その下端側領域2Bを少なくとも1箇所以上で保持できるようにパネル下端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A、エンド用パネル下端側保持部材10B)が配置される。これにより、各側板パネル2を規定位置へと堅固に固定できる。なお、各側板パネル2は、堰板面22を側部コンクリート充填予定区域R2側に向け、溝路側面形成面21を溝路形成予定区域R1側に向けた状態でパネル上端側保持部44及びパネル下端側保持部材5によって固定保持される。その後、既述の実施形態と同様、コンクリート打設工程において側部コンクリート充填予定区域R2及び底部コンクリート充填予定区域R3にフレッシュコンクリートを充填することによって溝路100を構築することができる。なお、側部コンクリート充填予定区域R2及び底部コンクリート充填予定区域R3に対するコンクリート
の打設は、フレッシュコンクリートを同時充填(同時打設)してもよいし、同時充填(同時打設)を行わなくてもよい。
【0120】
また、本変形例におけるパネル下端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A、エンド用パネル下端側保持部材10B)は、第2固定用孔15を用いて規定位置に設置してもよい。例えば、下地200に打ち込んだ適宜のボルト等を第2固定用孔15に挿通させて、ナット等を用いて締結することでパネル下端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A、エンド用パネル下端側保持部材10B)を固定してもよい。その際、パネル下端側保持部材10における第1固定用孔13および第2固定用孔15を選択的に用いて、或いは併用することによって、パネル下端側保持部材10を固定してもよい。また、例えば、下地200がデッキプレート等といった鋼板製下地の場合には、鋼板製下地に溶接によって固定したボルト等に対して、第1固定用孔13又は第2固定用孔15を選択的に用い、若しくはこれらを併用してパネル下端側保持部材10を固定してもよい。また、ボンドやモルタルなどの接着材を用いて、パネル下端側保持部材10を鋼板製下地に対して固定してもよい。ここで、パネル下端側保持部材10はベース部11に第2固定用孔15が設けられているため、ボンドやモルタルなどの接着材を第2固定用孔15に入り込ませた状態(第2固定用孔15を通じてベース部11の下面側から上面側に接着材が盛り上がった状態)で硬化させることができ、これによって堅固にベース部11を鋼板製下地に固定できる。
【0121】
<実施形態2>
《溝路構築ユニット及び溝路》
次に、実施形態2について説明する。
図27は、実施形態2に係る溝路構築ユニット1Aを説明する図である。
図28は、実施形態2に係る溝路構築ユニット1Aによって構築された溝路100Aを説明する図である。なお、本実施形態に係る溝路構築ユニット1Aの説明では、実施形態1に係る溝路構築ユニット1との相違点を中心に説明し、溝路構築ユニット1と共通する構成については同一の符号を付すことにより詳細な説明を割愛する。
【0122】
図28に示す符号107は、コンクリート床版である。コンクリート床版107の一部は溝路100Aの底部105を形成している。そして、溝路100Aの側部104は、コンクリート床版107の上部に積層配置されている。
【0123】
次に、実施形態2に係る溝路構築ユニット1Aについて説明する。実施形態2に係る溝路構築ユニット1Aは、型枠支保工を使用せずに溝路100Aを構築するためのユニットであって、予め構築されたコンクリート床版107の上方に溝路100Aの側部104を積層して構築することを特徴とする。なお、
図27に示す符号107Aは、コンクリート床版107の上面である。
【0124】
実施形態2に係る溝路構築ユニット1Aは、
図27に示すように、1又は複数の側板パネル2と、側部コンクリート充填予定区域R2に位置決め固定される1又は複数の定着用部材3と、1又は複数の受枠ユニット4と、1又は複数のパネル下端側ずれ止め部材7等を備えている。側板パネル2、定着用部材3、受枠ユニット4については実施形態1の構成と同様である。パネル下端側ずれ止め部材7は、規定位置に設置された側板パネル2の下端側領域2Bが溝路形成予定区域R1側にずれることを抑制する部材であり、ここでは端太材によって形成されている。
【0125】
《溝路構築方法》
以下、実施形態2に係る溝路構築ユニット1Aを用いて溝路100Aを構築する溝路構築方法について説明する。
【0126】
実施形態2に係る溝路構築方法は、実施形態1で説明した定着部材設置工程に先行して、施工箇所にコンクリート床版107を予め構築する床版構築工程を含む。すなわち、
図27に示されるように、一部が溝路100Aの底部105を形成するコンクリート床版107を構築する。コンクリート床版107は、例えば鉄筋コンクリート造であってもよいが、これには限定されない。
【0127】
床版構築工程が完了すると、次に、定着部材設置工程において所定の本数の定着用部材3を用意し、溝路100Aの側部104を形成するためのコンクリートが充填される側部コンクリート充填予定区域R2に、用意した定着用部材3を位置決め固定する。なお、定着部材設置工程を行う際には、コンクリート床版107のコンクリートは既に硬化している。上記のように、コンクリート床版107を下地とした定着用部材3の位置決め固定が完了すると、受枠設置工程において所定の数の受枠ユニット4を用意する。そして、受枠ユニット4における定着部42を、側部コンクリート充填予定区域R2に位置決め固定された定着用部材3に接合することで、受枠ユニット4における受枠本体41を規定位置に設置する。
【0128】
図29は、実施形態2に係る定着部材設置工程及び受枠設置工程が完了した状況を示す図である。本実施形態においては、定着用部材3が、側部コンクリート充填予定区域R2の下方に位置する既設のコンクリート床版107を下地として立設される。コンクリート床版107に対する定着用部材3は、実施形態1と同様に、例えばあと施工アンカーを介してなされる。また、受枠設置工程は、実施形態1と同様、受枠ユニット4における定着部42を定着用部材3に接合することで、受枠ユニット4における受枠本体41を規定位置に設置することができる。また、本実施形態の受枠設置工程においても、各受枠ユニット4における受枠本体41は、規定位置に設置された状態で相互に連結(接合)される。また、溝路100Aが鉄筋コンクリート構造である場合には、コンクリート床版107の上部に規定される側部コンクリート充填予定区域R2に建築構造用鉄筋が配筋されることになるが、
図29においては配筋の図示を省略している。
【0129】
次に、溝路100Aの側面101を形成するための1又は複数の側板パネル2を用意し、用意した側板パネル2をパネル設置工程において設置する。
図30は、実施形態2に係るパネル設置工程の状況を説明する図である。実施形態2に係るパネル設置工程では、側板パネル2の下端面2Cがコンクリート床版107の上面107Aに当接するように前記側板パネル2の上端側領域2Aを受枠ユニット4におけるパネル上端側保持部44の第1嵌合溝43に嵌合することで当該パネル上端側保持部44に固定する。すなわち、溝路構築ユニット1Aにおけるパネル上端側保持部44は、側板パネル2の下端面2Cがコンクリート床版107の上面107Aに当接した状態となるように側板パネル2の上端側領域2Aを保持する。
【0130】
パネル設置工程において各側板パネル2の設置が完了すると、次に、位置ずれ抑止部材設置工程においては、コンクリート床版107の上面107Aのうちの側板パネル2における溝路側面形成面21で囲まれた領域(以下、「パネル内側領域」という)R4に1又は複数のパネル下端側ずれ止め部材7を設置する。このパネル内側領域R4は、コンクリート床版107における上面107Aのうち、溝路形成予定区域R1の下方に位置する領域ということができる。
【0131】
図31は、実施形態2に係る位置ずれ抑止部材設置工程が完了した状況の概略上面図である。パネル下端側ずれ止め部材7は、例えば角材である。
図31に示すように、例えば複数のパネル下端側ずれ止め部材7を組み上げ、側板パネル2の溝路側面形成面21に添わせて設置することで、側部コンクリート充填予定区域R2へのフレッシュコンクリート
の充填時に側板パネル2の下端側領域2Bが溝路形成予定区域R1側に位置ずれすることを抑制できる。なお、位置ずれ抑止部材設置工程が完了した状況の概略側面図は、
図27に示す状況と実質的に等しい。また、
図31に示すパネル下端側ずれ止め部材7(角材)の配置態様は例示的なものであり、他の配置態様を採用できるのは勿論である。また、側板パネル2における下端側領域2Bが溝路形成予定区域R1側に位置ずれすることを抑制できる限りにおいて、パネル下端側ずれ止め部材7は種々の構成を採用することができる。
【0132】
上記位置ずれ抑止部材設置工程が完了すると、次に、コンクリート打設工程において側部コンクリート充填予定区域R2にフレッシュコンクリートが充填される。その結果、
図28に示されるような溝路100Aを構築することができる。
【0133】
上述した実施形態2に係る溝路構築ユニット1A及びこれを用いた溝路構築方法においては、溝路100Aの底部105を形成するコンクリート床版107を予め構築してから、溝路構築ユニット1Aを使用して溝路100Aの側部104を構築する。すなわち、本実施形態においては、溝路100Aを2段階に分けて構築している。本実施形態においては、溝路100Aの側部104を施工する際には、既に底部105が構築されているため、側板パネル2を下地から浮かせた状態で保持する必要が無い。すなわち、実施形態1で説明したパネル下端側保持部材5を下地(例えば、コンクリート基盤)に設置する必要が無く、コンクリート床版107に定着した定着用部材3と接合された受枠ユニット4のパネル上端側保持部44によって側板パネル2の上端側領域2Aを保持すると共に、側板パネル2の下端面2Cをコンクリート床版107の上面107Aに突き合せた状態とすることで側板パネル2を簡易に設置できる。
【0134】
そして、パネル下端側ずれ止め部材7の設置時においても、溝路100Aの底部105が既に構築されているため、コンクリート床版107における上面107Aのパネル内側領域R4にパネル下端側ずれ止め部材7を載置することが可能であるため、その作業性が優れている。
【0135】
次に、実施形態2の変形例について説明する。
図27で説明した溝路構築ユニット1Aにおいてはパネル下端側ずれ止め部材7を用いて規定位置に設置された側板パネル2の下端側領域2Bが溝路形成予定区域R1側にずれることを抑制するようにしたが、パネル下端側ずれ止め部材7に代えて、上述したパネル下端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A、エンド用パネル下端側保持部材10B)を用いてもよい。
【0136】
図32は、実施形態2の変形例に係る溝路構築ユニット1Aを説明する図である。
図32に示す例では、一般用パネル下端側保持部材10Aがコンクリート床版107における上面107A上に設置されている。なお、
図32においては一般用パネル下端側保持部材10Aの設置例を示しているが、エンド用パネル下端側保持部材10Bについても同様にコンクリート床版107における上面107A上に設置することができる。本変形例においては、実施形態1の変形例と同様、パネル下端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A、エンド用パネル下端側保持部材10B)の隆起部12に設けられている保持溝14に側板パネル2の下端側領域2Bを嵌合することで当該下端側領域2Bを固定保持し、後続のコンクリート打設時に下端側領域2Bの位置ずれが起こることを抑制できる。そして、コンクリート打設工程において側部コンクリート充填予定区域R2にフレッシュコンクリートが充填されると、コンクリート床版107の上部に溝路100Aの側部104が積層されることで、溝路100Aが構築される。
【0137】
ここで、実施形態2のように、溝路100Aの底部105を形成するコンクリート床版107を先行して構築後に側部104を構築する場合には、
図33に示すようなパネル下
端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A、エンド用パネル下端側保持部材10B)を採用し、その第2固定用孔15を用いてコンクリート床版107の上面107Aにパネル下端側保持部材10を固定してもよい。
図33はパネル下端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A、エンド用パネル下端側保持部材10B)の変形例を示す図である。
図33の(a)に示す一般用パネル下端側保持部材10Aは、
図24で説明した一般用パネル下端側保持部材10Aの長手方向における両端側が切り落とされることで短尺化されており、第1固定用孔13が設けられていない。また、
図33の(b)に示すエンド用パネル下端側保持部材10Bは、
図25で説明したエンド用パネル下端側保持部材10Bの長手方向における一端側が切り落とされることで短尺化されており、第1固定用孔13が設けられていない。
【0138】
図34は、
図33に示すパネル下端側保持部材10(一般用パネル下端側保持部材10A)の設置例を説明する図である。
図34に示す一般用パネル下端側保持部材10Aは、その両端側に第1固定用孔13が設けられておらず、短尺化されていることから、一般用パネル下端側保持部材10Aの端部をコンクリート床版107に立設する定着用部材3と干渉させることなく、定着用部材3を用いずに一般用パネル下端側保持部材10Aを設置できる。例えば、
図34に示す符号BDは、コンクリート床版107の上面107Aに設けられたボンドやモルタルなどの接着材である。一般用パネル下端側保持部材10Aの位置合わせおよびレベル合わせを行った状態で、ベース部11を接着材BDによってコンクリート床版107の上面107A上に固定することができる。その際、一般用パネル下端側保持部材10Aにおけるベース部11には第2固定用孔15が設けられているため、接着材BDが第2固定用孔15に入り込ませた状態(第2固定用孔15を通じてベース部11の下面側から上面側に接着材BDが盛り上がった状態)で硬化させることができ、これによって堅固にベース部11をコンクリート床版107へと固定できる。勿論、
図34においては一般用パネル下端側保持部材10Aの設置対応を例に説明したが、接着材BDを用いて
図33に示すエンド用パネル下端側保持部材10Bをコンクリート床版107に固定することができる。
【0139】
なお、
図32乃至34で説明した変形例においては、側部コンクリート充填予定区域R2へのコンクリート打設後において、溝路100の底部105にはパネル下端側保持部材10が外部に露出した状態となっている。そのため、溝路100の底部105に、レベリング材やモルタルなどを打設し、パネル下端側保持部材10を埋設させてもよい。
【0140】
なお、上述の各実施形態および変形例において、受枠ユニット4における受枠本体41に対して定着部42を溶接等によって一体に接合する態様を例に説明したが、勿論、ボルト等を介して定着部42が受枠本体41に接合されてもよい。
図35は、受枠ユニット4の変形例を説明する図である。
図35に示す受枠ユニット4は、概略L形断面を有する長尺の受枠本体41に対してアングル材414および定着部42が取り付けられることによって構成されている。
【0141】
受枠本体41は、載置面411Aを上面側に有する蓋体載置板部411と、当該蓋体載置板部411における外端縁411Cから上方に向けて立設された立上り部413を含んで構成されている。また、アングル材414はL形横断面を有し、蓋体載置板部411の下面411Dに対して溶接等によって接合される添え板部415と、当該添え板部415から下方に向かって延設された第1挟持片412を含んで構成されている。
図35に示すように、アングル材414の第1挟持片412は、蓋体載置板部411の内端縁411Bに位置付けられており、当該内端縁411Bから下方に垂設されている。
【0142】
また、受枠本体41の下面411Dには、寸切ボルト424が溶接等によって直付けされている。寸切ボルト424は、蓋体載置板部411の下面411Dにおいて内端縁41
1Bおよび外端縁411Cの間に位置する部位から垂直下方に向けて延設されている。そして、固定片421と、当該固定片421に連設される第2挟持片422を含んで構成されたL型横断面を有する定着部42が一対の座金425、ナット426を用いて締結されている。
【0143】
定着部42の固定片421には、寸切ボルト424を挿通するための挿通孔427が当該固定片421を貫通して設けられており、この挿通孔427に寸切ボルト424を挿通し、且つ、一対の座金425によって固定片421が挟み込まれた状態で寸切ボルト424にナット426を螺着するによって定着部42が受枠本体41に固定される。その際、定着部42は、第2挟持片422が第1挟持片412と間隔をおいて対向配置されるように受枠本体41に固定される。定着部42の固定片421に形成された挿通孔427は、例えば固定片421の前後方向に長軸を有する長穴として形成されていてもよい。これにより、受枠本体41の前後方向に沿って、受枠本体41に対する定着部42の取り付け位置を調整することができる。但し、挿通孔427は上記のような態様に限らず、円形孔であってもよい。なお、定着部42の固定片421には、上述した定着用部材3を挿通可能な接合孔423が設けられており、接合孔423を用いて定着用部材3に定着部42を接合することができる。なお、
図35で説明した受枠ユニット4は、上述までの各実施形態および変形例の何れにも適用できる。
【0144】
以上、本開示に係る溝路構築ユニット及びこれを用いた溝路構築方法の実施形態について説明したが、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0145】
1 :溝路構築ユニット
2 :側板パネル
3 :定着用部材
4 :受枠ユニット
5 :パネル下端側保持部材
41 :受枠本体
42 :定着部
43 :第1嵌合溝
44 :パネル上端側保持部
51 :台座部
52 :第2嵌合溝
53 :パネル受部
54 :軸部
55 :連結棒部材
100 :溝路