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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118561
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ用検出器
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/64 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
G01N30/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015157
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 勇樹
(57)【要約】
【課題】 簡単な構成で検出器の筐体内の温度の安定性を確保しつつ、筐体内で漏出した液体を円滑に筐体外に排出することを可能にする。
【解決手段】 液体クロマトグラフ用検出器は、液体中の成分を検出する検出部67と、検出部67に液体を導く配管63a~63dと、配管63a~63dの少なくとも一部と検出部67とを収容するとともに底部を有する筐体61と、筐体61内の底部61D上に設けられた断熱材とを備え、筐体61の底部61Dには排出口61Pが設けられ、断熱材62Dは上面621および下面622を有し、断熱材62Dの上面621には第1の開口1が設けられ、断熱材62Dの下面622には平面視で排出口61Pと重なるように第2の開口2が設けられ、断熱材62Dには第1の開口1から第2の開口2に液体を導く流路3が設けられ、流路3は屈曲部6を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中の成分を検出する検出部と、
前記検出部に液体を導く配管と、
前記配管の少なくとも一部と前記検出部とを収容するとともに底部を有する筐体と、
前記筐体内の前記底部上に設けられた断熱材とを備え、
前記筐体の前記底部には排出口が設けられ、
前記断熱材は上面および下面を有し、
前記断熱材の前記上面には第1の開口が設けられ、前記断熱材の前記下面には平面視で前記排出口と重なるように第2の開口が設けられ、
前記断熱材には前記第1の開口から前記第2の開口に液体を導く流路が設けられ、
前記流路は屈曲部を有する、液体クロマトグラフ用検出器。
【請求項2】
前記第1の開口は、平面視で前記排出口と重ならない位置に設けられる、請求項1記載の液体クロマトグラフ用検出器。
【請求項3】
前記断熱材は側面を有し、
前記流路は、前記第1の開口と前記第2の開口とをつなぐように前記断熱材の前記側面に延びる凹部を含む、請求項1または2記載の液体クロマトグラフ用検出器。
【請求項4】
前記断熱材は端面を有し、
前記凹部は、前記側面および前記端面に形成された第1の切欠き部と、前記側面および前記下面に形成された第2の切欠き部とを有し、
前記第1の切欠き部と前記第2の切欠き部とは、前記屈曲部が形成されるように連結される、請求項3に記載の液体クロマトグラフ用検出器。
【請求項5】
前記流路は、前記第1の開口から上下方向に延びる第1の部分と、前記第2の開口から前記上下方向と交差する方向に延びる第2の部分とを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフ用検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ用検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフには、液体の移動相中の試料の成分を検出するために、電気伝導度検出器等の検出器が用いられる。電気伝導度検出器では、液体中を流れる電流の値の変化量をクロマトグラムとして検出する。特許文献1には、液体クロマトグラフの一種であるイオンクロマトグラフに用いられる電気伝導度検出器が記載されている。
【0003】
特許文献1の電気伝導度検出器によれば、筐体内に配管、ヒータおよび検出装置が設けられる。ヒータは、検出装置に接続される配管内の移動相が所定の温度になるように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2018/150562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体クロマトグラフ用検出器においては、筐体内の配管の接続部分の締結力が不足している場合、または配管に高い圧力が加わった場合等に、配管中の液体が筐体内に漏出することがある。
【0006】
筐体内に漏出した液体を筐体外に排出するために、筐体内から筐体外に突出する筒状のチューブが設けられることがある。この場合、筐体外の温度がチューブを通して筐体内に伝わると、筐体内の温度の安定性が損なわれる。そのため、チューブの直径を小さくする必要がある。その結果、筐体内に漏出した液体が円滑に筐体外に排出されにくい。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構成で検出器の筐体内の温度の安定性を確保しつつ、筐体内で漏出した液体を円滑に筐体外に排出することが可能な液体クロマトグラフ用検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る液体クロマトグラフ用検出器によれば、液体中の成分を検出する検出部と、前記検出部に液体を導く配管と、前記配管の少なくとも一部と前記検出部とを収容するとともに底部を有する筐体と、前記筐体内の前記底部上に設けられた断熱材とを備え、前記筐体の前記底部には排出口が設けられ、前記断熱材は上面および下面を有し、前記断熱材の前記上面には第1の開口が設けられ、前記断熱材の前記下面には平面視で前記排出口と重なるように第2の開口が設けられ、前記断熱材には前記第1の開口から前記第2の開口に液体を導く流路が設けられ、前記流路は屈曲部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成で検出器の筐体内の温度の安定性を確保しつつ、筐体内で漏出した液体を円滑に筐体外に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態に係る液体クロマトグラフ用検出器を備える液体クロマトグラフの構成を示す図である。
図2】検出器の構成を示す模式的正面断面図である。
図3図2の検出器のA-A線断面図である。
図4図3の検出器の正面板が取り外された状態で主として断熱材を正面側から見た模式的斜視図である。
図5図4のB-B線断面を示す模式的斜視図である。
図6図3の検出器の背面板が取り外れた状態で主として断熱材を背面側から見た模式的斜視図である。
図7図3の検出器の断熱材を平面視した場合の検出器の模式的断面図である。
図8】断熱材に設けられる流路の他の例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る液体クロマトグラフ用検出器について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(1)液体クロマトグラフの構成
図1は、一実施の形態に係る液体クロマトグラフ用検出器を備える液体クロマトグラフの構成を示す図である。本実施の形態に係る液体クロマトグラフは、イオンクロマトグラフである。
【0013】
図1の液体クロマトグラフ100は、ポンプ20、試料導入部30、分離カラム40、サプレッサ装置50、電気伝導度検出器(以下、検出器と略記する。)60およびカラムオーブン70を備える。カラムオーブン70内に分離カラム40および検出器60が収容される。
【0014】
ポンプ20は、溶離液収容器10から溶離液を吸引し、吸引した溶離液を分離カラム40に導く。試料導入部30は、ポンプ20から分離カラム40に導かれる溶離液に試料を導入する。それにより、分離カラム40には、溶離液および試料が導入される。分離カラム40は、導入された試料を成分ごとに分離する。成分ごとに分離された試料を含む溶離液は、サプレッサ装置50に導入される。また、サプレッサ装置50から導出された溶離液は、検出器60を通して再度サプレッサ装置50に導入された後に廃棄される。
【0015】
サプレッサ装置50は、イオン交換膜を含む。サプレッサ装置50は、分離カラム40から導入された溶離液中のイオンのうち分析対象外のイオンと検出器60から導入された溶離液中のイオンのうち分析対象のイオンとをイオン交換膜を通して交換する。それにより、分析対象外の不要なイオン成分が除去された溶離液が検出器60に導かれる。検出器60は、溶離液中の試料の成分を検出する。
【0016】
(2)検出器60の構成
図2は、検出器60の構成を示す模式的正面断面図である。図3は、図2の検出器60のA-A線断面図である。図2に示すように検出器60は、筐体61、複数の板状の断熱材62A~62F、複数の配管63a~63d、カップリング64、熱交換ブロック65、温度調整部66、検出部67および回路基板68(図3参照)を備える。検出部67は、電極67A,67Bを有する。
【0017】
図2および図3に示すように、筐体61は、上板61A、側板61B,61C、底板61D、正面板61Eおよび背面板61Fにより構成される。底板61Dには、排出口61Pが形成される。本実施の形態では、排出口61Pは、平面視で筐体61の側板61Bと側板61Cとの中間の位置に形成される。
【0018】
断熱材62A~62Eは、それぞれ筐体61内で、上板61A、側板61B,61C、底板61Dおよび正面板61Eに沿って配置される。図3に示すように、断熱材62Fは、筐体61内で背面板61Fと対向するように配置される。図2に示すように、筐体61内には、断熱材62A~62Fにより取り囲まれる内部空間SP1が形成される。また、図3に示すように、筐体61内で筐体61の背面板61Fと断熱材62Fとの間に内部空間SP2が形成される。
【0019】
図2および図3に示すように、断熱材62Dは、上面621、下面622、一対の側面623,624および一対の端面625,626を有する。上面621および下面622は、底板61Dに対して平行に延びる。一対の側面623,624および一対の端面625,626は、底板61Dに対して垂直に延びる。断熱材62Dの下面622は、底板61Dに接するように配置される。断熱材62Dの側面623,624は、それぞれ断熱材62F,62Eに接するように配置される。断熱材62Dの端面625,626は、それぞれ断熱材62B,62Cに接するように配置される。断熱材62Dには、流路3が形成される。流路3の詳細については、後述する。
【0020】
筐体61の内部空間SP1には、複数の配管63a~63d、カップリング64、熱交換ブロック65、温度調整部66および検出部67が収容される。筐体61内の内部空間SP2には、回路基板68が収容される。
【0021】
配管63aは、筐体61の外部から底板61Dおよび断熱材62Dを貫通して筐体61の内部に延びる。筐体61外の配管63aの一端を配管入口63Iと呼ぶ。配管63aの他端は、カップリング64の一端に接続される。配管63bは、熱交換ブロック65から引き出される。配管63bの端部は、カップリング64の他端に接続される。配管63cは、熱交換ブロック65から引き出される。配管63cの端部は、電極67Aを通して検出部67内に挿入される。配管63dは、検出部67から電極67Bを通して引き出される。配管63dは、断熱材62Dおよび底板61Dを貫通して筐体61の外部に延びる。配管63dの端部を配管出口63Oと呼ぶ。
【0022】
サプレッサ装置50から配管入口63Iに導かれた溶離液は、カップリング64および配管63bを通して熱交換ブロック65に導かれる。温度調整部66は、熱交換ブロック65の温度を所定の温度に維持する。それにより、熱交換ブロック65内の配管中を流れる溶離液の温度が一定に保たれる。この状態で、熱交換ブロック65から導出された溶離液が配管63cを通して検出部67に導かれる。電極67A,67Bには、電圧が印加される。この状態で、電極67Aと電極67Bとの間を流れる溶離液のイオン濃度に応じた電流値の変化が測定される。それにより、電流値の変化が電気伝導度の変化として測定されることにより溶離液内の試料の成分が検出される。検出部67から導出される溶離液は、配管63dを通して配管出口63Oに導かれ、サプレッサ装置50に導入される。
【0023】
図4は、図3の検出器60の正面板61Eが取り外された状態で主として断熱材62Dを正面側から見た模式的斜視図である。図5は、図4のB-B線断面を示す模式的斜視図である。図6は、図3の検出器60の背面板61Fが取り外れた状態で主として断熱材62Dを背面側から見た模式的斜視図である。図7は、図3の検出器60の断熱材62Dを平面視した場合の検出器60の模式的断面図である。
【0024】
図7に示すように、断熱材62Dの上面621には、平面視で筐体61の底板61Dの排出口61Pと重ならないように第1の開口1が設けられる。本実施の形態では、第1の開口1は、断熱材62Dの側面623と端面625とが交差する角部に形成された矩形状の切欠きである。
【0025】
断熱材62Dの下面622には、平面視で筐体61の底板61Dの排出口61Pと重なるように第2の開口2が設けられる。本実施の形態では、第2の開口2は、断熱材62Dの側面623に沿って端面625まで延びる帯状の切欠きである。第2の開口2の一部が排出口61Pと重なる。また、断熱材62Dには、第1の開口1から第2の開口2に液体を導く流路3が設けられる。本実施の形態では、図6に示すように、流路3は、断熱材62Dの側面623に形成される凹部である。凹部は、第1の開口1と第2の開口2とをつなぐように延びる。流路3を構成する凹部は、断熱材62Dの側面623および端面625に形成される第1の切欠き部4と、断熱材62Dの側面623および下面622に形成される第2の切欠き部5とを含む。第1の切欠き部4は、第1の開口1から下方に延びる第1の部分に相当する。第2の切欠き部5は、第2の開口2から水平方向に延びる第2の部分に相当する。第1の切欠き部4と第2の切欠き部5との間には、屈曲部6が形成される。それにより、流路3は、上下方向に延びる第1の部分および水平方向に延びる第2の部分を含む。
【0026】
流路3の第1の部分は、断熱材62Bの側面と断熱材62Dの第1の切欠き部4の内面とにより形成される。流路3の第2の部分は、底板61Dの上面と断熱材62Dの第2の切欠き部5の内面とにより形成される。
【0027】
(3)実施の形態の効果
本実施の形態に係る検出器60によれば、筐体61内の配管63a~63dの接続部から漏出した液体は、重力により底板61D上の断熱材62Dの第1の開口1から流路3を通して第2の開口2に導かれ、底板61Dの排出口61Pを通して筐体61外に排出される。この場合、流路3が屈曲部6を有するので、外気の熱が筐体61内に伝わりにくくなる。したがって、筐体61内の温度が熱的な外乱の影響を受けることが抑制される。その結果、簡単な構成で筐体61内の温度の安定性を確保しつつ筐体61内で漏出した液体を円滑に筐体61外に排出することができる。
【0028】
また、第1の開口1と底板61Dの排出口61Pとが平面視で重ならないので、流路3の構造を複雑化することなく、第1の開口1と第2の開口2との間の流路3に屈曲部6を形成することが可能となる。
【0029】
さらに、流路3を構成する第1の切欠き部4および第2の切欠き部5が断熱材62Dの側面623に露出しているので、断熱材62Dに流路3を容易に形成することが可能となる。
【0030】
特に、第1の切欠き部4は、上下方向に延びるように形成され、第2の切欠き部5は、第2の開口2から水平方向に延びるように形成される。それにより、断熱材62Dの側面623および端面625に沿った第1の切欠き部4と断熱材62Dの側面623および下面622に沿った第2の切欠き部5とにより流路3を容易に形成することができる。
【0031】
また、筐体61内に漏出した液体が第1の開口1から第1の切欠き部4を通して重力により下方に導かれるので、漏出した液体が第2の開口2へ円滑に流動する。また、外気の熱は第2の切欠き部5を通して水平方向に伝わるので、外気の熱が第1の開口1まで到達しにくい。それにより、簡単な構成で筐体61内の温度の安定性を十分に確保しつつ筐体61内で漏出した液体をより円滑に筐体61外に排出することができる。
【0032】
(4)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、第1の開口1は、平面視で排出口61Pに重ならない位置に設けられるが、本発明はこれに限定されない。図8は、断熱材62Dに設けられる流路の他の例を示す模式的斜視図である。図8の例では、第1の開口1は、平面視で底板61Dの排出口61Pと重なるように設けられる。流路3は、上下方向に延びる切欠き部4a、水平方向に延びる切欠き部5a、上下方向に延びる切欠き部4b、水平方向に延びる切欠き部5bおよび上下方向に延びる切欠き部4cにより形成される。切欠き部4a、切欠き部5a、切欠き部4b、切欠き部5bおよび切欠き部4cは、順に連結されている。切欠き部4aと切欠き部5aとの連結部が屈曲部となり、切欠き部5aと切欠き部4bとの連結部が屈曲部となる。切欠き部4bと切欠き部5bとの連結部が屈曲部となり、切欠き部5bと切欠き部4cとの連結部が屈曲部となる。本例の流路3においては、外気の熱が筐体61内により伝わりにくくなる。
【0033】
(b)上記実施の形態において、流路3は、断熱材62Dの側面623および端面625に沿って形成された第1の切欠き部4と、断熱材62Dの側面623および下面622に沿って形成された第2の切欠き部5とにより構成されるが、流路3の構成はこれに限定されない。例えば、流路3が断熱材62Dの側面623に形成された凹部により構成されてもよい。また、流路3が断熱材62Dの内部に形成されてもよい。さらに、流路3の第1および第2の部分の一方が断熱材62Dの側面623に形成され、第1および第2の部分の他方が断熱材62Dの内部に形成されてもよい。
【0034】
(c)第1の切欠き部4は、傾斜するように上下方向に延びてもよい。また、第2の切欠き部5は、水平方向から傾斜するように延びてもよい。この場合、第2の切欠き部5は、漏出した液体が重力により流れ易いように、上流部分の高さよりも下流部分の高さがよりも低下するように傾斜することが好ましい。
【0035】
(d)上記実施の形態では、検出器60が電気伝導度検出器であるが、検出器60が、蛍光検出器または示差屈折率検出器等の他の検出器であってもよい。
【0036】
(5)態様
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0037】
(第1項)一態様に係る液体クロマトグラフ用検出器は、
液体中の成分を検出する検出部と、
検出部に液体を導く配管と、
配管の少なくとも一部と検出部とを収容するとともに底部を有する筐体と、
筐体内の底部上に設けられた断熱材とを備え、
筐体の底部には排出口が設けられ、
断熱材は上面および下面を有し、
断熱材の上面には第1の開口が設けられ、断熱材の下面には平面視で排出口と重なるように第2の開口が設けられ、
断熱材には第1の開口から第2の開口に液体を導く流路が設けられ、
流路は屈曲部を有してもよい。
【0038】
一態様に係る液体クロマトグラフ用検出器によれば、筐体内の配管の接続部から漏出した液体は、底部上の断熱材の第1の開口から流路を通して第2の開口に導かれ、底部の排出口を通して筐体外に排出される。この場合、流路が屈曲部を有するので、外気の熱が筐体内に伝わりにくくなる。したがって、筐体内の温度が熱的な外乱の影響を受けることが抑制される。その結果、簡単な構成で筐体内の温度の安定性を確保しつつ筐体内で漏出した液体を円滑に筐体外に排出することができる。
【0039】
(第2項)第1項に記載の液体クロマトグラフ用検出器において、第1の開口は、平面視で排出口と重ならない位置に設けられてもよい。
【0040】
第2項に記載の液体クロマトグラフ用検出器によれば、流路の構造を複雑化することなく、第1の開口と第2の開口との間の流路に屈曲部を形成することが可能となる。
【0041】
(第3項)第1項または第2項に記載の液体クロマトグラフ用検出器において、
断熱材は側面を有し、
流路は、第1の開口と第2の開口とをつなぐように断熱材の側面に延びる凹部を含んでもよい。
【0042】
第3項に記載の液体クロマトグラフ用検出器によれば、流路を構成する凹部が断熱材の表面に露出しているので、断熱材に流路を容易に形成することが可能となる。
【0043】
(第4項)第3項に記載の液体クロマトグラフ用検出器において、
断熱材は端面を有し、
凹部は、側面および端面に形成された第1の切欠き部と、側面および下面に形成された第2の切欠き部とを有し、
第1の切欠き部と第2の切欠き部とは、屈曲部が形成されるように連結されてもよい。
【0044】
第4項に記載の液体クロマトグラフ用検出器によれば、断熱材の側面および端面に沿った第1の切欠き部と断熱材の側面および下面に沿った第2の切欠き部とにより流路を容易に形成することができる。
【0045】
(第5項)第1項~第4項のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフ用検出器において、
流路は、第1の開口から上下方向に延びる第1の部分と、第2の開口から上下方向と交差する方向に延びる第2の部分とを有してもよい。
【0046】
第5項に記載の液体クロマトグラフ用検出器によれば、漏出した液体が第1の部分を通して重力により下方に導かれるので、漏出した液体が第2の開口へ円滑に流動する。また、外気の熱は第2の部分を通して上下方向と交差する方向に伝わるので、外気の熱が第1の開口まで到達しにくい。それにより、簡単な構成で筐体内の温度の安定性を十分に確保しつつ筐体内で漏出した液体をより円滑に筐体外に排出することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…第1の開口,2…第2の開口,3…流路,4…第1の切欠き部,4a,4b,4c,5a,5b…切欠き部,5…第2の切欠き部,6…屈曲部,10…溶離液収容器,20…ポンプ,30…試料導入部,40…分離カラム,50…サプレッサ装置,60…検出器,61…筐体,61A…上板,61B…側板,61C…側板,61D…底板,61E…正面板,61F…背面板,61P…排出口,62A,62B,62C,62D,62E,62F…断熱材,63I…配管入口,63O…配管出口,63a,63b,63c,63d…配管,64…カップリング,65…熱交換ブロック,66…温度調整部,67…検出部,67A,67B…電極,68…回路基板,70…カラムオーブン,100…液体クロマトグラフ,621…上面,622…下面,623…側面,624…側面,625…端面,626…端面,SP1,SP2…内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8