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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118562
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20220805BHJP
   B65D 43/08 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
B65D77/20 A
B65D43/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015158
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】591007295
【氏名又は名称】株式会社アプリス
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】田邉 敦士
(72)【発明者】
【氏名】三堂地 広晶
(72)【発明者】
【氏名】甘利 明敏
(72)【発明者】
【氏名】井上 昌大
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB18
3E067BA10A
3E067BB01A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067EA32
3E067EB27
3E067ED07
3E067FC01
3E067GA01
3E067GD01
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA34
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA03
3E084DB11
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084FC01
3E084GA08
3E084GB12
3E084KB10
(57)【要約】
【課題】紙製の台座を備える容器であっても、被せ蓋と台座の嵌合の確実性を向上させた容器を提供する。
【解決手段】この容器1は、内容物4が載置される紙製の台座2と、台座2に被せられるプラスチック製の被せ蓋3とを備えるようにした。台座2は、内容物4が載置される台座平面21と、台座平面21の各辺に設けられる台座側面22とを有する。この台座側面22は、両端が隣り合う台座側面22と切り離されつつ、台座平面21の辺から末広がりに延びるようにした。被せ蓋3は、台座側面21の基端から延び先端との間に位置し、台座側面22を蓋内側に押し込んで、台座側面22に対して外側から被さる外嵌合側面36を有するようにした。これにより、台座2と被せ蓋3とは、台座側面22が外嵌合側面36を内側から突っ張る嵌合構造を有するようにした。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が載置される紙製の台座と、
前記台座に被せられるプラスチック製の被せ蓋と、
を備え、
前記台座は、
前記内容物が載置される台座平面と、
前記台座平面の各辺に設けられる台座側面と、
を有し、
前記台座側面は、隣り合う前記台座側面と部分的又は完全に切り離されつつ、前記台座平面の辺から末広がりに延び、
前記被せ蓋は、前記台座側面の基端から延び先端との間に位置し、前記台座側面を蓋内側に押し込んで、前記台座側面に対して外側から被さる外嵌合側面を有し、
前記台座と前記被せ蓋とは、前記台座側面が前記外嵌合側面を内側から突っ張る嵌合構造を有すること、
を特徴とする容器。
【請求項2】
前記台座は、下方から前記台座平面へ向けて切り欠かれた台座角部を有し、
前記被せ蓋は、内周面に突起部を有する蓋角部を有し、
前記台座と前記被せ蓋とは、前記蓋角部の突起部が前記台座角部の切り欠きの縁に引っ掛かる嵌合構造を更に有すること、
を特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記台座角部は、下方から前記台座平面へ未達の高さまで切り欠かれ、前記台座平面よりも低い位置に切り欠き縁を有し、
前記被せ蓋は、前記台座平面の縁と接触する蓋平面を有し、
前記蓋平面は、前記台座角部と接触する角平面部を有し、
前記角平面部は、扇状に拡がり、
前記台座角部は、前記角平面部よりも曲率が大きいか又は角張っていること、
を特徴とする請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記蓋平面は、前記台座平面の辺縁に接触する側縁平面部を更に有し、
前記角平面部は、前記側縁平面部よりも長く張り出していること、
を特徴とする請求項3記載の容器。
【請求項5】
前記被せ蓋は、前記外嵌合側面に内周面から突出する突起部を有し、
前記台座と前記被せ蓋とは、前記外嵌合側面の突起部が前記台座側面に食い込む嵌合構造を更に有すること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
内容物を台座に載せ、被せ蓋で内容物を収容した容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を乗せた台座に被せ蓋を被せて成る容器がある。このような容器は、例えば、背が低く、平面視で三角形や四角形を含む多角形の台座、及び背が高く、透明な被せ蓋を有する。台座にはカットケーキや大福等の内容物を乗せられ、被せ蓋を通して内容物の全体像が視認可能になっている。
【0003】
従来より、容器の台座も被せ蓋もプラスチックで作製されていた。プラスチック製の台座及び被せ蓋には突起が設けられており、樹脂が有する高弾性の特性を利用して両突起を嵌合させていた。これにより、被せ蓋から内容物を乗せた台座が外れ、内容物が落体してしまうことを抑制していた。
【0004】
突起は、主に、台座の角部及び被せ蓋の角部に設けられる(例えば特許文献1参照)。プラスチック製の台座も被せ蓋も離型後に側面が内側に凹むように変形することが多く、側面に突起を設けても嵌合出来ないか、嵌合できても緩くなってしまう虞があるためである。この点、角部は高剛性で変形が少なく、突起の嵌合は設計に近くなる。また、突起は、台座の角部と被せ蓋の周方向に沿って長く延在し、両突起の長さは概略一致する(例えば特許文献1参照)。台座の角部と被せ蓋の角部は、嵌め込み作業時に容易に一致するため、嵌合可能性を高めるために一方の突起をバッファ分長くする必要性が低いためである。
【0005】
近年、化学的に安定な物質であるために自然分解し難いプラスチックの使用が環境問題となっている。そのため、この容器に使用されるプラスチックの減量が要望される。そこで、このような容器は、透明性を確保するため合成樹脂又はバイオマスプラスチックの被せ蓋と、紙製の台座とにより構成することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6-27662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
紙製の台座は、合成樹脂と比べて弾性が低い。そのため、紙製の台座がひとたび変形してしまうと、台座と被せ蓋との嵌合構造が成り立たなくなり、台座と被せ蓋から外れてしまう。そこで、厚い紙を用いて台座を作製することで、台座の弾性を高め、または台座を変形し難くすることが考えられる。
【0008】
しかしながら、厚い紙を用いると、台座に被せ蓋を嵌合させるのに大きな力が必要となり、台座と被せ蓋とを嵌合させる作業性が低下する。最悪の場合、台座に被せ蓋を嵌合させる力が不足し、台座と被せ蓋が十分に嵌合せず、被せ蓋と台座とが外れて内容物が落体してしまう。
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、紙製の台座を備える容器であっても、被せ蓋と台座の嵌合の確実性を向上させた容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の実施形態に係る容器は、内容物が載置される紙製の台座と、前記台座に被せられるプラスチック製の被せ蓋と、を備え、前記台座は、前記内容物が載置される台座平面と、前記台座平面の各辺に設けられる台座側面と、を有し、前記台座側面は、隣り合う前記台座側面と部分的又は完全に切り離されつつ、前記台座平面の辺から末広がりに延び、前記被せ蓋は、前記台座側面の基端から延び先端との間に位置し、前記台座側面を蓋内側に押し込んで、前記台座側面に対して外側から被さる外嵌合側面を有し、前記台座と前記被せ蓋とは、前記台座側面が前記外嵌合側面を内側から突っ張る嵌合構造を有すること、を特徴とする。
【0011】
前記台座は、下方から前記台座平面へ向けて切り欠かれた台座角部を有し、前記被せ蓋は、内周面に突起部を有する蓋角部を有し、前記台座と前記被せ蓋とは、前記蓋角部の突起部が前記台座角部の切り欠きの縁に引っ掛かる嵌合構造を更に有するようにしてもよい。
【0012】
前記台座角部は、下方から前記台座平面へ未達の高さまで切り欠かれ、前記台座平面よりも低い位置に切り欠き縁を有し、前記被せ蓋は、前記台座平面の縁と接触する蓋平面を有し、前記蓋平面は、前記台座角部と接触する角平面部を有し、前記角平面部は、扇状に拡がり、前記台座角部は、前記角平面部よりも曲率が大きいか又は角張っているようにしてもよい。
【0013】
前記蓋平面は、前記台座平面の辺縁に接触する側縁平面部を更に有し、前記角平面部は、前記側縁平面部よりも長く張り出しているようにしてもよい。
【0014】
前記被せ蓋は、前記外嵌合側面に内周面から突出する突起部を有し、前記台座と前記被せ蓋とは、前記外嵌合側面の突起部が前記台座側面に食い込む嵌合構造を更に有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、紙製の台座を備える容器であっても、被せ蓋と台座との嵌合の確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】容器の斜視図である。
図2】容器の被せ蓋の斜視図である。
図3】被せ蓋の底面図である。
図4】容器の台座の斜視図である。
図5】台座の平面図である。
図6】台座の長辺側の側面図である。
図7】台座の短辺側の側面図である。
図8】内容物を乗せた台座に被せ蓋を被せる状態を示す図である。
図9】外嵌合側面と台座側面との嵌合を示す遷移図である。
図10】外嵌合側面の突起部と台座側面との嵌合を示す断面図である。
図11】切り欠き縁と蓋角部の突起部との嵌合を示す遷移図である。
図12】被せ蓋と台座の角を拡大した平面図である。
図13】台座の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(全体構成)
本発明の実施形態に係る容器について図面を参照しつつ詳細に説明する。各図面においては、理解容易のため、厚み、寸法、位置関係、比率又は形状等を強調して示している場合があり、本発明は、それら強調に限定されるものではない。以下、容器の底側を下方又は下側といい、天面側を上方又は上側という。また、上下方向に直交する方向を水平という。
【0018】
図1は、容器1の斜視図である。容器1は、手に持って搬送可能な可搬容器であり、これに限られないが、例えばカットケーキや大福等の食品を内容物4として収容している。この容器1は、台座2と被せ蓋3を備えている。台座2は、内容物4を載置する台である。被せ蓋3は、内容物4が載置された台座2に覆い被さり、内容物4を収容するケースである。
【0019】
外部から容器1内の内容物4の全体像が視認可能になっている。即ち、被せ蓋3は、内部が視認可能な透明性を有する。被せ蓋3はヘイズ値の低いプラスチック製である。この被せ蓋3は、石油系のプラスチック、バイオマスプラスチック、生分解性プラスチック、またはこれらの混合により成型されている。
【0020】
石油系のプラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート又はポリスチレン等が挙げられる。バイオマスプラスチックとしては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のバイオポリオレフィンが挙げられる。生分解性プラスチックとしては、ポリ乳酸、デンプン樹脂、又はポリヒドロキシアルカン酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリブチレンサクシネート若しくはポリエチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステルや芳香族ポリエステルが挙げられる。
【0021】
一方、台座2は紙製である。例えば、この台座2は、広葉樹パルプ若しくは針葉樹パルプ等の木材パルプ、ワラパルプ若しくはバガスパルプ等の非木材パルプ、または新聞紙古紙若しくは上質古紙等の古紙パルプにより成る。これらパルプを波形シートの両面にライナーシートを貼り合わせた両面段ボール、又は波形シートの片面にライナーシートを貼り合わせた片面段ボール等に加工し、これら段ボールから台座2が成形される。
【0022】
内容物4が乗る台座平面21は、端まで全域に亘って平坦である。即ち、台座平面21からは、内容物4の視認の障害となる壁等は突き出していない。もっとも、内容物4の側面を大きく覆い隠さなければ、内容物4の支持等のために背の低い規制片を台座平面21に立設し、内容物4の下端周囲を覆ってもよい。被せ蓋3は、台座平面21に対向する天面31と、天面31の各辺から下方へ延出する上側面32を有し、上側面32は、台座平面21上の内容物4の全周囲を最下端から最上端まで囲んでいる。これにより、この容器1からは内容物4の全体が視認可能になっている。
【0023】
(被せ蓋)
このような容器1において、被せ蓋3は台座2に覆い被さって外側から各種の嵌合構造によって嵌まっている。図2及び図3は、台座2と外嵌合する被せ蓋3を示す図であり、図2は斜視図、図3は底面図である。
【0024】
図2及び図3に示すように、被せ蓋3には、上側面32の下端が屈曲して水平に拡がることで、蓋平面33が形成されている。蓋平面33は、上側面32から1周に亘って延在しており、水平方向に幅広な環形状を有する。上側面32の間口は、縦横共に台座2の台座平面21よりも狭い。換言すれば、蓋平面33の内周縁は、台座平面21に内包され、蓋平面33の外周縁は、台座平面21の外周縁と一致する。そのため、蓋平面33は、台座2と被せ蓋3との嵌合時、台座平面21の周縁領域と面で当接する。
【0025】
この蓋平面33は、側縁平面部34と角平面部35に区分けできる。側縁平面部34は、上側面32の各辺に沿う長細い領域であり、台座平面21の各辺縁領域と面で当接する。角平面部35は、隣り合う上側面32に挟まれた角と台座平面21の角を中心に拡がる扇状領域であり、台座平面21の角領域と当接する。
【0026】
この角平面部35は、側縁平面部34よりも水平方向に長く張り出しており、角平面部35の幅W35、即ち隣り合う上側面32に挟まれた角から角平面部35の最外端までの距離は、側縁平面部34の幅W34、即ち側縁平面部34の内周と外周との距離よりも長い。側縁平面部34を上側面32に沿って区切り、その区切り長を角平面部35の内周長に相当する長さにしたとき、側縁平面部34の区切られた面積よりも、角平面部35は相対的に大面積になっている。
【0027】
被せ蓋3には、蓋平面33の側縁平面部34が屈曲して下方に垂直に延びることで、外嵌合側面36が形成されている。また、被せ蓋3には、扇状の角平面部35の外周縁が下方に向けて垂直に延びることで、曲率を有する角丸状の蓋角部38が形成されている。外嵌合側面36は被せ蓋3の各辺から延出し、蓋角部38は被せ蓋3の各角に位置し、外嵌合側面36と蓋角部38とは、被せ蓋3を周方向に一周に亘って交互に並んで繋がっている。
【0028】
外嵌合側面36の間口は、台座2の台座平面21に相当し、外嵌合側面36の内周面に台座平面21の辺が到達し、蓋角部38の内周一点に台座平面21の角が到達する。尚、蓋角部38の一つには、被せ蓋3を外すときに把持される把持部37が当該蓋角部38の下端から延出している。
【0029】
各蓋角部38の内周面には、突起部39が膨出している。突起部39は、蓋角部38の内周面に沿って同一高さを維持しながら円弧状に延びており、曲率を有する。この突起部39は、角平面部35の底面よりも高さH38分だけ下方を延びている。
【0030】
また、外嵌合側面36の内周面にも突起部39が膨出している。外嵌合側面36の突起部39は、外嵌合側面36のうち、被せ蓋3の辺の延び方向中心位置に膨出しており、外嵌合側面36の内周面に沿って同一高さを維持しながら直線状に延びている。外嵌合側面36の突起部39は、側縁平面部34の底面よりも高さH38分だけ下方を延びている。
【0031】
(台座)
図4乃至7は、台座2を示す図であり、図4は台座2の斜視図、図5は台座2の平面図、図6は台座2の長辺側の側面図、及び図7は台座2の短辺側の側面図である。
【0032】
台座2は、台座平面21が高い上げ底形状を有している。この台座2には、台座平面21の各辺からフラップ状の台座側面22が延出している。台座側面22は、台座平面21の辺の一方の端から他方の端まで繋がって延出しており、台座平面21から下方及び台座2の外方へ向けて斜めに傾斜しており、所謂末広がりに延びている。台座側面22と台座平面21の境界は、被せ蓋3の外嵌合側面36よりも内側に位置し、台座側面22の下端は、被せ蓋3の外嵌合側面36よりも外側に位置する。
【0033】
隣り合う台座側面22の間に位置する台座角部23には、下端か上方へ向けて切り込まれた切り欠き24が形成されている。詳細には、台座角部23は、台座平面21から高さW26分の位置まで及ぶ切り欠き縁25を残して切り欠かれている。切り欠き縁25の高さW26は、角平面部35の底面から突起部39の高さH38と同一である。
【0034】
隣り合う台座側面22は、この切り欠き24によって、切り欠き縁25による繋がりを残して断絶している。そのため、台座平面21の両端は、隣の台座側面22との拘束が弱く、台座側面22は、台座側面22と台座平面21との境界線を中心にして、末広がりの延びから垂直の延びになるように内側へ向けて可動となっている。
【0035】
切り欠き縁25は帯部26によって形成されている。帯部26は、隣り合う台座側面22の一方から、台座2の辺の延びに沿って水平に延ばされている。帯部26の上側を延びる辺は、台座平面21の高さと一致する。帯部26の下側を延びる辺は、台座平面21から下方へ幅W26の位置に延びており、この帯部26の下型を延びる辺が切り欠き縁25となる。帯部26は、台座角部23に巻き付いて隣の台座側面22に及ぶ。帯部26の先端には、帯部26と比べて面積の広い幅広片27が形成されており、この幅広片27が隣の台座側面22に接着剤等で貼着されている。
【0036】
このような台座角部23は曲率が被せ蓋3の蓋角部38よりも大きく、又は二階微分が出来ない例えば直角、鋭角又は鈍角等の屈折した角である。換言すると、帯部26は、曲率が被せ蓋3の蓋角部38よりも大きく、又は二階微分が出来ない例えば直角、鋭角又は鈍角等の屈折した角になるように巻き付く。切り欠き縁25の長さは、蓋角部38の突起部39よりもかなり短い。
【0037】
(嵌め込み工程)
図8に示すように、この容器1に内容物4を収容する際は、台座平面21の上に内容物4を載置した後、上から被せ蓋3を被せる。このとき、図9に示すように、被せ蓋3の外嵌合側面36によって、台座2の台座側面22を末広がりに延びていた状態から垂直に降ろされる方向に押し下げる。台座側面22は被せ蓋3の内側に押し込まれていき、蓋平面33が台座平面21に面接触するまで、台座2を被せ蓋3に嵌め込んでいく。
【0038】
被せ蓋3の内側に押し込まれた台座側面22は、弾性力により末広がりに延びた状態に復元しようとし、外嵌合側面36の内周面を突っ張る。これにより、被せ蓋3と台座2には、外嵌合側面36を台座側面22が突っ張る嵌合構造が発生し、被せ蓋3が台座2に嵌まる。
【0039】
ここで、台座側面22は、台座角部23に切り欠き24が入れられていることにより、隣の台座側面22と非接続となって孤立しており、被せ蓋3の内側に押し込まれるまで、容易に押し下げられる。そのため、嵌合させるための力不足となることなく、より確実に突っ張る嵌合構造を作出でき、被せ蓋3と台座2とが外れて内容物4が落体することを防止できる。
【0040】
また、図10に示すように、外嵌合側面36の内周面に形成された突起部39は、台座側面22が末広がりに延びた状態に復元しようとすることにより、台座側面22の外表面に食い込む。更に、プラスチック製の被せ蓋3は、外嵌合側面36が成型後に内側に凹むように歪み変形し、紙製の台座2は、台座側面22が外側に膨らむように撓み変形する。そのため、外嵌合側面36の突起部39と台座側面22は互いに近づき、食い込み嵌合構造が強化される。
【0041】
また、図11に示すように、台座2に被せ蓋3を被せるとき、台座角部23は蓋角部38の突起部39を乗り越えて、切り欠き縁25が上から蓋角部38の突起部39に引っ掛かる。これにより、被せ蓋3と台座2には、切り欠き縁25が蓋角部38の突起部39に引っ掛かる嵌合構造が発生し、被せ蓋3が台座2に嵌まり込む。
【0042】
蓋角部38の突起部39が台座角部23の帯部26の表面を移動中は、帯部26の表面と蓋角部38の突起部39とが圧接する。そのため、作業者には、台座平面21が蓋平面33に近づく方向とは反対方向の負荷が掛かる。蓋角部38の突起部39が帯部26の表面を通過し終え、切り欠き縁25が蓋角部38の突起部39の上に位置するとき、圧接による負荷が解除されるため、台座平面21は蓋平面3に勢いよく衝突する。
【0043】
このとき、図12に示すように、角平面部35が扇状に拡がっているのに対して、台座角部23は曲率が大きく又は角張っているので、衝突の瞬間は、台座角部23をスティックとし、角平面部35をドラムの打面とするように、台座角部23が角平面部35の1点を叩く。そのため、角平面部35は台座角部23に抑え込まれずに振動して、パチンと音がする。この打音により、作業者は被せ蓋3と台座2の嵌合が成立したことを知覚でき、嵌合の確実性がより向上し、嵌合不足の事態が抑制される。
【0044】
(効果)
このように、この容器1は、内容物4が載置される紙製の台座2と、台座2に被せられるプラスチック製の被せ蓋3とを備えるようにした。台座2は、内容物4が載置される台座平面21と、台座平面21の各辺に設けられる台座側面22とを有する。この台座側面22は、隣り合う台座側面22と切り離されつつ、台座平面21の辺から末広がりに延びるようにした。被せ蓋3は、台座側面22の基端から延び先端との間に位置し、台座側面22を蓋内側に押し込んで、台座側面22に対して外側から被さる外嵌合側面36を有するようにした。これにより、台座2と被せ蓋3とは、台座側面22が外嵌合側面36を内側から突っ張る嵌合構造を有するようにした。
【0045】
台座側面22は隣の台座側面22と切り離されているので可動し易くなっており、台座2と被せ蓋3とを軽く嵌合させることができ、嵌合を成立させるための力不足となる虞が低減するため、被せ蓋3と台座2との嵌合の確実性を向上させることができる。
【0046】
尚、この容器1では、切り込み縁25と突起部39との嵌合構造を備えるため、また帯部26を突起部39が乗り越えたときに台座角部23を角平面部35に勢いよく衝突させるため、台座側面22は隣の台座側面22と部分的に切り離されているようにした。但し、台座側面22を可動させ易くするために、台座角部23と台座平面21との境界まで切り欠き24が及ぶようにして、隣り合う台座側面22同士を部分的ではなく完全に切り離してもよい。
【0047】
また、この容器1は、例えば概略直方体形状とし、台座平面21の4辺に台座側面22を有し、被せ蓋3の4辺に外嵌合側面36を配置するようにしてもよいが、容器1の形状はこれに限られない。例えば、容器1は概略三角柱とし、台座平面21の3辺に台座側面22を有し、被せ蓋3の3辺に外嵌合側面36を配置するようにしてもよいし、容器1は5角形以上の多角形としてもよい。
【0048】
更に、この容器1において、台座2は、下方から台座平面21へ向けて切り欠かれた台座角部23を有するようにした。また、被せ蓋3は、内周面に突起部39を有する蓋角部38を有するようにした。これにより、台座2と被せ蓋3とは、蓋角部38の突起部39が台座角部23の切り欠き縁25に引っ掛かる嵌合構造を更に有するようにした。
【0049】
台座側面22が外嵌合側面36を突っ張ることによる嵌合構造に加えて、この引っ掛かりの嵌合構造が加わることになり、容器1は、被せ蓋3と台座2との嵌合の確実性を向上させることができるとともに、嵌合強度を更に向上させることができる。
【0050】
また、台座角部23は、下方から台座平面21へ未達の高さまで切り欠かれ、台座平面21よりも低い位置に切り欠き縁25を有するようにした。また、被せ蓋3は、台座平面21の縁と接触する蓋平面33を有するようにした。そして、蓋平面33は、台座角部23と接触する角平面部35を有し、角平面部35は扇状に拡がり、台座角部23は、角平面部35よりも曲率が大きいか又は角張っているようにした。例えば、容器1が概略直方体形状の場合、台座角部23は直角であるのに対し、角平面部35は扇状に拡がって長い角丸状になっている。
【0051】
これにより、蓋角部38の突起部39と切り欠き縁25は、被せ蓋3の角平面部35に台座2の台座角部23を勢いよく打ち付ける助勢機構となり、台座角部23は角平面部35に勢いよく衝突する。角平面部35は扇形状を有し、台座角部23は曲率が大きいか又は角張っているため、衝突瞬間では、台座角部23は角平面部35に一点で衝突し、角平面部35を抑え込むことはない。そのため、角平面部35に振動が発生してパチンと打音がし、作業者は嵌合が成立したことを知覚できる。従って、容器1は、被せ蓋3と台座2との嵌合の確実性を更に向上させることができる。
【0052】
蓋平面33は、台座平面21の辺縁に接触する側縁平面部34を更に有し、角平面部35は、側縁平面部34よりも長く張り出しているようにした。これにより、台座角部23で角平面部35を打ったときにより大きな音が発生し、作業者は嵌合が成立したことをより確実に知覚できる。
【0053】
尚、打音は小さくなるが、図13に示すように、台座平面21の高さまで切り欠き24が及ぶように形成し、台座平面21から切り欠き縁25までの高さW26をゼロにしてもよい。また、打音は小さくなるが、突起部39と切り欠き縁25との嵌合強度を上げるために、台座角部23の曲率を蓋角部38と同じにし、突起部39と切り欠き縁25が嵌合する範囲を拡げるようにしてもよい。台座角部23を被せ蓋3の角平面部35の形状に合わせて台座平面21から延出することで、台座角部23の曲率を蓋角部38と同一にすることができる。
【0054】
また、被せ蓋3は、外嵌合側面36に内周面から突出する突起部39を有するようにした。台座2は紙製であるために台座側面22は外側に膨らむように歪み、被せ蓋3はプラスチック製であるために外嵌合側面36は内側に凹むように撓む。そのため、台座2と被せ蓋3とは、外嵌合側面36の突起部39が台座側面22に食い込む嵌合構造を更に有する。これにより、台座側面22が外嵌合側面36を突っ張ることによる嵌合構造に加えて、この食い込みの嵌合構造が加わることになり、容器1は、被せ蓋3と台座2との嵌合の確実性を向上させることができるとともに、嵌合強度を更に向上させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 容器
2 台座
21 台座平面
22 台座側面
23 台座角部
24 切り欠き
25 切り欠き縁
26 帯部
27 幅広片
3 被せ蓋
31 天面
32 上側面
33 蓋平面
34 側縁平面部
35 角平面部
36 外嵌合側面
37 把持部
38 蓋角部
39 突起部
4 内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13