(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118569
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11582 20170101AFI20220805BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220805BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L27/092 B
H01L27/092 F
H01L27/092 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015171
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶌根 猛
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F048AA07
5F048AB01
5F048AC03
5F048BA01
5F048BA13
5F048BB04
5F048BB05
5F048BB09
5F048BC06
5F048BE02
5F048BE03
5F048BE05
5F048BE06
5F048BE07
5F048BF04
5F048BF18
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083MA06
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5F083MA19
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR33
5F083PR41
5F101BA46
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH14
(57)【要約】
【課題】高い信頼性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1の表面と、第2の表面と、を有する半導体基板と、第1の表面と第2の表面との間に設けられた半導体領域と、第1の表面に設けられ、ドナー濃度またはアクセプタ濃度が半導体領域よりも高い第1のウェル領域と、第1のウェル領域と第2の表面との間に設けられ、アクセプタ濃度が半導体領域よりも高い第2のウェル領域と、第2のウェル領域と第2の表面との間に設けられ、ドナー濃度が半導体領域よりも高い第3のウェル領域と、第1の表面に沿って第1のウェル領域の少なくとも一部を囲み、第1の表面と交差する方向に第1の表面から第3のウェル領域まで延在する導電体と、導電体と第1のウェル領域との間および導電体と第2のウェル領域との間に設けられた絶縁体と、を具備する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と、第2の表面と、を有する半導体基板と、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に設けられた半導体領域と、
前記第1の表面に設けられ、ドナー濃度またはアクセプタ濃度が前記半導体領域よりも高い第1のウェル領域と、
前記第1のウェル領域と前記第2の表面との間に設けられ、アクセプタ濃度が前記半導体領域よりも高い第2のウェル領域と、
前記第2のウェル領域と前記第2の表面との間に設けられ、ドナー濃度が前記半導体領域よりも高い第3のウェル領域と、
前記第1の表面に沿って前記第1のウェル領域の少なくとも一部を囲み、前記第1の表面と交差する方向に前記第1の表面から前記第3のウェル領域まで延在する導電体と、
前記導電体と前記第1のウェル領域との間および前記導電体と前記第2のウェル領域との間に設けられた絶縁体と、
を具備する、半導体装置。
【請求項2】
前記導電体は、ドナー不純物がドープされた多結晶半導体を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のウェル領域は、第1の負電圧を供給する電源回路に電気的に接続される、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記導電体は、第2の負電圧を供給する電源回路に電気的に接続される、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のウェル領域にチャネル領域を有する電界効果トランジスタを具備する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
メモリセルアレイを含む第1の領域と、周辺回路を含む第2の領域と、を具備し、
前記第2の領域は、
第1の表面と、第2の表面と、を有する半導体基板と、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に設けられた半導体領域と、
前記第1の表面に設けられ、ドナー濃度またはアクセプタ濃度が前記半導体領域よりも高い第1のウェル領域と、
前記第1のウェル領域と前記第2の表面との間に設けられ、アクセプタ濃度が前記半導体領域よりも高い第2のウェル領域と、
前記第2のウェル領域と前記第2の表面との間に設けられ、ドナー濃度が前記半導体領域よりも高い第3のウェル領域と、
前記第1の表面に沿って前記第1のウェル領域の少なくとも一部を囲み、前記第1の表面と交差する方向に前記第1の表面から前記第3のウェル領域まで延在する導電体と、
前記導電体と前記第1のウェル領域との間および前記導電体と前記第2のウェル領域との間に設けられた絶縁体と、
を含む、半導体記憶装置。
【請求項7】
前記導電体は、ドナー不純物がドープされた多結晶半導体を含む、請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1のウェル領域は、第1の負電圧を供給する電源回路に電気的に接続される、請求項6または請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記導電体は、第2の負電圧を供給する電源回路に電気的に接続される、請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第2の領域は、前記第1のウェル領域にチャネル領域を有する電界効果トランジスタを有する、請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記周辺回路は、前記電界効果トランジスタを有するセンスアンプを備える、請求項10に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置および半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリセルアレイと周辺回路とを含む半導体記憶装置等の半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8552524号明細書
【特許文献2】米国特許第9230861号明細書
【特許文献3】米国特許公開2012/0286819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明が解決しようとする課題の一つは、高い信頼性を有する半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1の表面と、第2の表面と、を有する半導体基板と、第1の表面と第2の表面との間に設けられた半導体領域と、第1の表面に設けられ、ドナー濃度またはアクセプタ濃度が半導体領域よりも高い第1のウェル領域と、第1のウェル領域と第2の表面との間に設けられ、アクセプタ濃度が半導体領域よりも高い第2のウェル領域と、第2のウェル領域と第2の表面との間に設けられ、ドナー濃度が半導体領域よりも高い第3のウェル領域と、第1の表面に沿って第1のウェル領域の少なくとも一部を囲み、第1の表面と交差する方向に第1の表面から第3のウェル領域まで延在する導電体と、導電体と第1のウェル領域との間および導電体と第2のウェル領域との間に設けられた絶縁体と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】半導体記憶装置の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図2】メモリチップの構成例を示すブロック図である。
【
図3】メモリセルアレイの回路構成を示す回路図である。
【
図4】メモリチップの第1の構造例を示す断面模式図である。
【
図5】電界効果トランジスタの構造例を示す断面模式図である。
【
図6】半導体基板の平面構造を説明するための平面模式図である。
【
図7】メモリピラーの構造例を示す断面模式図である。
【
図8】半導体記憶装置の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図9】半導体記憶装置の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図10】半導体記憶装置の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図11】半導体記憶装置の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図12】半導体記憶装置の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図13】メモリチップの第2の構造例を示す断面模式図である。
【
図14】メモリチップの第3の構造例を示す断面模式図である。
【
図15】多値メモリの閾値電圧分布の例を示す模式図である。
【
図16】多値メモリのシフトさせた閾値電圧分布の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図面に記載された各構成要素の厚さと平面寸法との関係、各構成要素の厚さの比率等は現物と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0008】
図1は、半導体記憶装置の構造例を説明するための断面模式図であり、X軸方向と、当該表面に沿ってX軸に略垂直なY軸方向と、当該表面に略垂直なZ軸方向と、を図示する。半導体記憶装置は、配線基板1と、チップ積層体2と、ボンディングワイヤ3と、絶縁樹脂層4と、を具備する。
【0009】
配線基板1は、表面1aと、表面1aの反対側の表面1bと、表面1aに設けられた複数の外部接続端子1cと、表面1bに設けられた複数のボンディングパッド1dと、を有する。配線基板1の例は、プリント配線板(PWB)を含む。表面1aおよび表面1bは、例えばX軸方向およびY軸方向に延在する。配線基板1の厚さ方向は、例えばZ軸方向である。
【0010】
外部接続端子1cは、例えば金、銅、はんだ等を用いて形成される。外部接続端子1cは、例えば、錫-銀系、錫-銀-銅系の鉛フリーはんだを用いて形成されてもよい。また、複数の金属材料の積層を用いて外部接続端子1cを形成してもよい。なお、
図1では、導電性ボールを用いて外部接続端子1cを形成しているが、バンプを用いて外部接続端子1cを形成してもよい。
【0011】
複数のボンディングパッド1dは、配線基板1の内部配線を介して複数の外部接続端子1cに接続される。複数のボンディングパッド1dは、例えば銅、銀、金、またはニッケル等の金属元素を含有する。例えば、電解めっき法または無電解めっき法等により上記材料を含むめっき膜を形成することにより複数のボンディングパッド1dを形成してもよい。また、導電性ペーストを用いて複数のボンディングパッド1dを形成してもよい。
【0012】
チップ積層体2は、複数のメモリチップ2aを含む。複数のメモリチップ2aは、例えばZ軸方向において、配線基板1の表面1bの上に段々に積層される。換言すると、複数のメモリチップ2aは、互いに部分的に重畳する。複数のメモリチップ2aは、例えばダイアタッチフィルム等の接着層を挟んで互いに接着される。
図1に示すチップ積層体2は、4つのメモリチップ2aを有するが、メモリチップ2aの数は、
図1に示す数に限定されない。
【0013】
複数のメモリチップ2aのそれぞれは、複数の接続パッド2bを有する。複数のメモリチップ2aは、複数のボンディングワイヤ3を介して並列に接続されるとともにボンディングパッド1dに直列に接続される。
【0014】
絶縁樹脂層4は、チップ積層体2を覆う。絶縁樹脂層4は、酸化シリコン(SiO2)等の無機充填材を含有し、例えば無機充填材を有機樹脂等と混合した封止樹脂を用いてトランスファモールド法、コンプレッションモールド法、インジェクションモールド法等のモールド法により形成される。
【0015】
図2は、メモリチップ2aの構成例を示すブロック図である。メモリチップ2aは、メモリセルアレイ20と、コマンドレジスタ21と、アドレスレジスタ22と、シーケンサ23と、ドライバ24と、ローデコーダ25と、センスアンプ26と、を含む。
【0016】
メモリセルアレイ20は、複数のブロックBLK(BLK0~BLK(L-1)(Lは2以上の自然数である))を含む。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶する複数のメモリトランジスタMTの集合である。
【0017】
メモリセルアレイ20は、複数のワード線WLおよび複数のビット線BLに接続される。各メモリトランジスタMTは、複数のワード線WLの一つおよび複数のビット線BLの一つに接続される。
【0018】
コマンドレジスタ21は、メモリコントローラから受信したコマンド信号CMDを保持する。コマンド信号CMDは、例えば、シーケンサ23に読み出し動作、書き込み動作、および消去動作を実行させる命令データを含む。
【0019】
アドレスレジスタ22は、メモリコントローラから受信したアドレス信号ADDを保持する。アドレス信号ADDは、例えば、ブロックアドレスBA、ページアドレスPA、およびカラムアドレスCAを含む。例えば、ブロックアドレスBA、ページアドレスPA、およびカラムアドレスCAは、それぞれブロックBLK、ワード線WL、およびビット線BLの選択に用いられる。
【0020】
シーケンサ23は、メモリチップ2aの動作を制御する。シーケンサ23は、例えばコマンドレジスタ21に保持されたコマンド信号CMDに基づいてドライバ24、ローデコーダ25、およびセンスアンプ26等を制御して、読み出し動作、書き込み動作、および消去動作等の動作を実行する。
【0021】
ドライバ24は、読み出し動作、書き込み動作、および消去動作等で使用される電圧を生成する。ドライバ24は、例えばDAコンバータを含む。そして、ドライバ24は、例えば、アドレスレジスタ22に保持されたページアドレスPAに基づいて、選択されたワード線WLに対応する信号線に、生成した電圧を印加する。
【0022】
ローデコーダ25は、アドレスレジスタ22に保持されたブロックアドレスBAに基づいて、対応するメモリセルアレイ20内の1つのブロックBLKを選択する。そして、ローデコーダ25は、例えば、選択されたワード線WLに対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線WLに転送する。
【0023】
センスアンプ26は、書き込み動作において、メモリコントローラから受信した書き込みデータDATに応じて、各ビット線BLに所望の電圧を印加する。また、センスアンプ26は、読み出し動作において、ビット線BLの電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてメモリコントローラに転送する。
【0024】
メモリチップ2aとメモリコントローラとの間の通信は、例えば、NANDインターフェイス規格をサポートしている。例えば、メモリチップ2aとメモリコントローラとの間の通信は、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号WEn、リードイネーブル信号REn、レディビジー信号RBn、および入出力信号I/Oを使用する。
【0025】
コマンドラッチイネーブル信号CLEは、メモリチップ2aが受信した入出力信号I/Oがコマンド信号CMDであることを示す。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、受信した信号I/Oがアドレス信号ADDであることを示す。ライトイネーブル信号WEnは、入出力信号I/Oの入力をメモリチップ2aに命令する信号である。リードイネーブル信号REnは、入出力信号I/Oの出力をメモリチップ2aに命令する信号である。
【0026】
レディビジー信号RBnは、メモリチップ2aがメモリコントローラからの命令を受け付けるレディ状態であるか命令を受け付けないビジー状態であるかを、メモリコントローラに通知する信号である。
【0027】
入出力信号I/Oは、例えば、8ビット幅の信号であり、コマンド信号CMD、アドレス信号ADD、書き込みデータ信号DAT等の信号を含むことができる。
【0028】
以上で説明したメモリチップ2aおよびメモリコントローラは、それらの組み合わせにより1つの半導体記憶装置を構成してもよい。このような半導体記憶装置の例は、例えばSDカードのようなメモリカードや、ソリッドステートドライブ(SSD)を含む。
【0029】
次に、メモリセルアレイ20の回路構成例について説明する。
図3は、メモリセルアレイ20の回路構成を示す回路図である。
図3は、ブロックBLK0を例示するが、他のブロックBLKの構成も同じである。
【0030】
ブロックBLKは、複数のストリングユニットSUを含む。各ストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。なお、
図3は、3つのストリングユニットSU(SU0~SU2)を図示しているが、ストリングユニットSUの数は、特に限定されない。
【0031】
各NANDストリングNSは、複数のビット線BL(BL0~BL(N-1)(Nは2以上の自然数である))の一つに接続される。各NANDストリングNSは、メモリトランジスタMTと、選択トランジスタST1と、選択トランジスタST2と、を含む。
【0032】
メモリトランジスタMTは、制御ゲートと、電荷蓄積層と、を含み、データを不揮発に保持する。
図3は、複数のメモリトランジスタMT(MT0~MT(M-1)(Mは2以上の自然数))を図示するが、メモリトランジスタMTの数は、特に限定されない。なお、各NANDストリングNSは、メモリトランジスタMTの構造と同じ構造を有するが、データの保持には使用されないダミーメモリトランジスタを含んでいてもよい。
【0033】
メモリトランジスタMTは、それぞれ電荷蓄積層に絶縁膜を用いたMONOS型であってもよいし、電荷蓄積層に導電体層を用いたFG型であってもよい。以下、本実施形態では、MONOS型を例として説明する。
【0034】
選択トランジスタST1は、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用
される。選択トランジスタST1の数は、特に限定されない。
【0035】
選択トランジスタST2は、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。選択トランジスタST2の数は、特に限定されない。
【0036】
各NANDストリングNSにおいて、選択トランジスタST1のドレインは、対応するビット線BLに接続される。選択トランジスタST1のソースは、直列に接続されたメモリトランジスタMTの一端に接続される。直列に接続されたメモリトランジスタMTの他端は、選択トランジスタST2のドレインに接続される。
【0037】
同一のブロックBLKにおいて、選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。各ストリングユニットSUの選択トランジスタST1のゲートは、それぞれ対応する選択ゲート線SGDに接続される。メモリトランジスタMTの制御ゲートは、それぞれ対応するワード線WLに接続される。選択トランジスタST2のゲートは、対応する選択ゲート線SGSに接続される。
【0038】
同じカラムアドレスCAが割り当てられた複数のNANDストリングNSは、複数のブロックBLK間で同じビット線BLに接続される。ソース線SLは、複数のブロックBLK間で接続される。
【0039】
(メモリチップ2aの第1の構造例)
図4は、メモリチップ2aの第1の構造例を示す断面模式図であり、X-Z断面を示す。
【0040】
図4に示すメモリチップ2aは、
図2に示すメモリセルアレイ20を含む第1の領域R1と、Z軸方向においてメモリセルアレイ20の下方に、
図2に示すコマンドレジスタ21、アドレスレジスタ22、シーケンサ23、ドライバ24、ローデコーダ25、センスアンプ26等の周辺回路を含む第2の領域R2と、を具備する。
【0041】
図4は、半導体基板200に設けられた電界効果トランジスタ(FET)TR
Nおよび電界効果トランジスタTR
P等の電界効果トランジスタと、導電層221と、導電層222と、導電層223と、ソース線SLと、メモリピラーMPと、選択ゲート線SGSと、ワード線WL(ワード線WL0~ワード線WL(M-1)と、選択ゲート線SGDと、ビット線BLと、導電層231と、導電層232と、導電層233と、を図示する。各構成要素の間は、必要に応じて絶縁層が設けられる。
【0042】
図5は、電界効果トランジスタTR
Nおよび電界効果トランジスタTR
Pの構造例を説明するための断面模式図であり、X-Z断面を示す。
【0043】
電界効果トランジスタTR
Nおよび電界効果トランジスタTR
Pが形成される半導体基板200は、表面200aと、表面200bと、を有する。
図5は、半導体基板200に設けられた、半導体領域201と、p型ウェル領域(Pwell)202pと、n型ウェル領域(Nwell)202nと、p型ディープウェル領域(D-Pwell)203と、n型ディープウェル領域(D-Nwell)204と、導電体205と、絶縁体206と、素子分離体207と、をさらに図示する。
【0044】
半導体領域201は、半導体基板200の基板領域であって、表面200aと表面200bとの間に設けられる。表面200aおよび表面200bは、例えばX軸方向およびY軸方向に延在する。半導体基板200の厚さ方向は、例えばZ軸方向である。表面200aおよび表面200bの一方は、表面200aおよび表面200bの他方の反対側に設けられる。
【0045】
半導体領域201は、例えばn型ディープウェル領域204と表面200bとの間に設けられる。半導体領域201は、p型ウェル領域202pとp型ディープウェル領域203との間、およびn型ウェル領域202nとp型ディープウェル領域203との間に設けられてもよい。半導体領域201は、例えばシリコン(Si)を含む。半導体領域201は、例えばボロン(B)等のアクセプタ不純物を含んでいてもよい。半導体領域201のアクセプタ濃度は、例えば1×1013cm-3以上1×1016cm-3以下である。
【0046】
p型ウェル領域202pは、表面200aに設けられる。p型ウェル領域202pは、例えばボロン等のアクセプタ不純物を含む。p型ウェル領域202pは、半導体領域201よりもアクセプタ濃度が高い。p型ウェル領域202pのアクセプタ濃度は、例えば1×1017cm-3以上1×1019cm-3以下が好ましい。これにより、電界効果トランジスタTRNに要求される絶縁耐圧、リーク電流、寿命等の条件を満たすことができる。
【0047】
p型ウェル領域202pは、例えば電圧VPwellをp型ウェル領域202pに供給する電源回路に接続される。電圧VPwellは、例えば負電圧である。電源回路は、例えば周辺回路に含まれてもよい。
【0048】
n型ウェル領域202nは、表面200aに設けられる。n型ウェル領域202nは、例えばリン(P)、ヒ素(As)等のドナー不純物を含む。n型ウェル領域202nは、半導体領域201よりもドナー濃度が高い。n型ウェル領域202nのドナー濃度は、例えば1×1017cm-3以上1×1019cm-3以下が好ましい。これにより、電界効果トランジスタTRPに要求される絶縁耐圧、リーク電流、寿命等の条件を満たすことができる。
【0049】
n型ウェル領域202nは、例えば電圧VNwellをn型ウェル領域202nに供給する電源回路に接続される。電圧VNwellは、例えば正電圧である。電源回路は、例えば周辺回路に含まれてもよい。
【0050】
p型ディープウェル領域203は、表面200aに対し、p型ウェル領域202pおよびn型ウェル領域202nよりも深い位置に設けられたp型ウェル領域である。p型ディープウェル領域203は、p型ウェル領域202pと表面200bとの間、およびn型ウェル領域202nと表面200bとの間に設けられ、表面200aから離れている。
【0051】
p型ディープウェル領域203は、ボロン等のアクセプタ不純物を含有する。p型ディープウェル領域203は、半導体領域201よりもアクセプタ濃度が高い。p型ディープウェル領域203のアクセプタ濃度は、例えば1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であることが好ましい。
【0052】
n型ディープウェル領域204は、表面200aに対し、p型ウェル領域202pおよびn型ウェル領域202nよりも深い位置に設けられたn型ウェル領域である。n型ディープウェル領域204は、p型ディープウェル領域203と表面200bとの間に設けられ、表面200aから離れている。
図5に示すn型ディープウェル領域204は、p型ディープウェル領域203に接しているが、これに限定されない。また、
図5に示すn型ディープウェル領域204は、p型ディープウェル領域203の厚さよりも厚い厚さを有しているが、これに限定されない。
【0053】
n型ディープウェル領域204は、リン、ヒ素等のドナー不純物を含有する。n型ディープウェル領域204は、半導体領域201よりもドナー濃度が高い。n型ディープウェル領域204のドナー濃度は、例えば1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であることが好ましい。
【0054】
導電体205は、表面200aに沿ってp型ウェル領域202pおよびn型ウェル領域202nのそれぞれの少なくとも一部を囲む。
図6は、半導体基板200の平面構造例を説明するための平面模式図であり、X-Y平面を示す。
図6に示す導電体205は、表面200aに沿ってp型ウェル領域202pおよびn型ウェル領域202nを囲む。電界効果トランジスタTR
Nは、p型ウェル領域202pにチャネル領域を有する。電界効果トランジスタTR
Pは、n型ウェル領域202nにチャネル領域を有する。
【0055】
導電体205は、
図5に示すように、表面200aと交差する方向(Z軸方向)に沿って表面200aからn型ディープウェル領域204まで延在する。これは、導電体205がn型ディープウェル領域204に接続されることを示す。導電体205は、導電体205の上に形成されるコンタクトプラグを介し、電圧V
DNwellを供給する電源回路に電気的に接続される。電圧V
DNwellは、例えば負電圧である。
【0056】
導電体205は、半導体領域201の半導体材料(例えばシリコン)よりも電気伝導率が高い材料を含むことが好ましい。導電体205の例は、リン、ヒ素等のドナー不純物がドープされた多結晶半導体を含む。多結晶半導体の例は、ポリシリコンを含む。これに限定されず、導電体205として金属材料等の他の導電性材料を用いてもよい。
【0057】
絶縁体206は、導電体205とp型ウェル領域202pとの間、導電体205とn型ウェル領域202nとの間、および導電体205とp型ディープウェル領域203との間に設けられ、導電体205の側面を覆う。絶縁体206は、導電体205とp型ウェル領域202pとを物理的に分離し、導電体205とn型ウェル領域202nとを物理的に分離するとともに、導電体205とp型ディープウェル領域203とを物理的に分離する。絶縁体206は、例えば酸化シリコンを含む。
【0058】
素子分離体207は、電界効果トランジスタTRNと電界効果トランジスタTRPとの間に設けられ、電界効果トランジスタTRNと電界効果トランジスタTRPとを分離する。素子分離体207は、例えば酸化シリコンを含む。
【0059】
電界効果トランジスタTRNは、不純物領域208aと、ゲート絶縁膜209aと、ゲート電極210aと、絶縁膜211aと、絶縁層212aと、を具備する。電界効果トランジスタTRPは、不純物領域208bと、ゲート絶縁膜209bと、ゲート電極210bと、絶縁膜211bと、絶縁層212bと、を具備する。なお、上記電界効果トランジスタは、高速動作を目的とした超低圧耐圧トランジスタであり、例えば低電圧駆動および高速動作が可能な周辺回路に適用可能である。電界効果トランジスタTRNおよび電界効果トランジスタTRPのそれぞれは、上記周辺回路のいずれかを構成する。
【0060】
不純物領域208aは、
図5に示すように、p型ウェル領域202pに設けられる。不純物領域208aは、電界効果トランジスタTR
Nのソース領域またはドレイン領域を構成する。電界効果トランジスタTR
Nは、不純物領域208aの間にチャネル領域を有する。不純物領域208aは、例えば上記ドナー不純物を含む。一対の不純物領域208aは、それぞれ複数のコンタクトプラグ213aの一つに接続される。電界効果トランジスタTR
Nは、不純物領域208aの間にチャネル領域を有する。
【0061】
不純物領域208bは、
図5に示すように、n型ウェル領域202nに設けられる。不純物領域208bは、
図5に示すように、電界効果トランジスタTR
Pのソース領域またはドレイン領域を構成する。電界効果トランジスタTR
Pは、不純物領域208bの間にチャネル領域を有する。不純物領域208bは、例えば上記アクセプタ不純物を含む。一対の不純物領域208bは、それぞれ複数のコンタクトプラグ213bの一つに接続される。
【0062】
ゲート絶縁膜209aは、
図5に示すように、p型ウェル領域202pの上に設けられる。ゲート絶縁膜209bは、
図5に示すように、n型ウェル領域202nの上に設けられる。ゲート絶縁膜209aおよびゲート絶縁膜209bのそれぞれは、例えば酸化シリコン膜を含む。
【0063】
ゲート電極210aは、
図5に示すように、ゲート絶縁膜209aの上に設けられる。ゲート電極210bは、
図5に示すように、ゲート絶縁膜209bの上に設けられる。ゲート電極210aおよびゲート電極210bのそれぞれは、例えばドープされた炭素を含有するポリシリコン層、ドープされたリンを含有するポリシリコン層、チタン層、窒化チタンまたは窒化タングステンを含む金属窒化物層、タングステン層等の導電層を含む。これらの導電層を順に積層してゲート電極210aおよびゲート電極210bを構成してもよい。ゲート電極210aは、複数のコンタクトプラグ213aの一つに接続される。ゲート電極210bは、複数のコンタクトプラグ213bの一つに接続される。
【0064】
ゲート電極210aは、例えばビット線BLに電気的に接続される。
【0065】
絶縁膜211aは、
図5に示すように、ゲート電極210aの上に設けられる。絶縁膜211bは、ゲート電極210bの上に設けられる。絶縁膜211aおよび絶縁膜211bは、例えばゲート電極210aおよびゲート電極210bの上にコンタクトプラグを形成する際のエッチングストッパとして機能する。絶縁膜211aおよび絶縁膜211bのそれぞれは、例えば窒化シリコン(SiN)膜である。
【0066】
絶縁層212aおよび絶縁層212bのそれぞれは、例えば第1の絶縁層と、第1の絶縁層の上に設けられた第2の絶縁層と、を含んでもよい。第1の絶縁層および第2の絶縁層は、ゲート電極210aおよび絶縁膜211aの積層の側面およびゲート電極210bおよび絶縁膜211bの積層の側面にそれぞれ設けられ、当該積層の厚さ方向に沿って延在する。第1の絶縁層は、例えば二酸化シリコン(SiO2)層である。第2の絶縁層は、例えば窒化シリコン(SiN)層である。絶縁層212aおよび絶縁層212bは、電界効果トランジスタTRNおよび電界効果トランジスタTRPのサイドウォールとしてそれぞれ機能する。
【0067】
図5に示すように、電界効果トランジスタTR
Nのチャネル領域および電界効果トランジスタTR
Pのチャネル領域は、絶縁体206、p型ディープウェル領域203、およびn型ディープウェル領域204により囲まれる。上記構造をトリプルウェル構造ともいう。なお、電界効果トランジスタTR
Nおよび電界効果トランジスタTR
Pの少なくとも一つが絶縁体206、p型ディープウェル領域203、およびn型ディープウェル領域204により囲まれていればよい。
【0068】
導電層221、導電層222、導電層223は、
図4に示すように、複数のコンタクトプラグを介して電界効果トランジスタのソースまたはドレインに接続される。
【0069】
ソース線SLは、
図4に示すように、電界効果トランジスタの上方に設けられる。選択ゲート線SGSは、ソース線SLの上方に設けられる。ワード線WLは、選択ゲート線SGSの上方に順に設けられる。選択ゲート線SGDは、複数のワード線WLの上方に設けられる。ビット線BLは、選択ゲート線SGDの上方に設けられる。
【0070】
メモリピラーMPは、
図4に示すように、選択ゲート線SGS、複数のワード線WL、および選択ゲート線SGDを含む積層体を貫通して延在する。ここで、メモリピラーMPの構造例について説明する。
図7は、メモリピラーMPの構造例を示す断面模式図である。
図7は、導電層241と、絶縁層242と、ブロック絶縁膜251と、電荷蓄積膜252と、トンネル絶縁膜253と、半導体層254と、コア絶縁層255と、キャップ層256と、導電層231と、を図示する。
【0071】
導電層241および絶縁層242は、
図7に示すように、交互に積層されて積層体を構成する。複数の導電層241は、選択ゲート線SGS、ワード線WL、選択ゲート線SGDをそれぞれ構成する。導電層241は、金属材料を含む。絶縁層242は、例えば酸化シリコンを含む。
【0072】
ブロック絶縁膜251、電荷蓄積膜252、トンネル絶縁膜253、半導体層254、およびコア絶縁層255は、
図4に示すように、メモリピラーMPを構成する。メモリピラーMPの各構成要素は、Z軸方向に沿って延伸する。1つのメモリピラーMPが1つのNANDストリングNSに対応する。また、ブロック絶縁膜251、電荷蓄積膜252、およびトンネル絶縁膜253は、導電層241と絶縁層242との積層体と半導体層254との間にメモリ層を構成する。
【0073】
ブロック絶縁膜251、トンネル絶縁膜253、およびコア絶縁層255は、例えば酸化シリコンを含む。電荷蓄積膜252は、例えば窒化シリコンを含む。半導体層254およびキャップ層256は、例えばポリシリコンを含む。
【0074】
より具体的には、複数の導電層241を貫通してメモリピラーMPに対応するホールが形成される。ホールの側面にはブロック絶縁膜251、電荷蓄積膜252、及びトンネル絶縁膜253が順次積層されている。そして、側面がトンネル絶縁膜253に接するように半導体層254が形成される。
【0075】
半導体層254は、Z軸方向に沿って導電層241と絶縁層242との積層体を貫通する。半導体層254は、選択トランジスタST1、選択トランジスタST2、メモリトランジスタMTのチャネル領域を有する。よって、半導体層254は、選択トランジスタST1、選択トランジスタST2、メモリトランジスタMTの電流経路を接続する信号線として機能する。
【0076】
コア絶縁層255は、半導体層254の内側に設けられる。コア絶縁層255は、半導体層254に沿って延在する。
【0077】
キャップ層256は、半導体層254およびコア絶縁層255の上に設けられるとともに、トンネル絶縁膜253に接する。
【0078】
導電層231の一つは、コンタクトプラグを介してキャップ層256に接する。導電層231の一つは、ビット線BLを構成する。導電層231は、金属材料を含む。
【0079】
メモリピラーMPおよび各ワード線WLを構成する導電層241は、メモリトランジスタMTを構成する。メモリピラーMPおよび選択ゲート線SGDを構成する導電層241は、選択トランジスタST1を構成する。メモリピラーMPおよび各選択ゲート線SGSを構成する導電層241は、選択トランジスタST2を構成する。
【0080】
次に、半導体記憶装置の製造方法例について
図8ないし
図12を参照して説明する。
図8ないし
図12は、半導体記憶装置の製造方法例を説明するための断面模式図であり、X-Z断面を示す。なお、ここでは、電界効果トランジスタTR
Nおよび電界効果トランジスタTR
Pを形成するまでの製造工程について説明する。
【0081】
まず、
図8に示すように、半導体基板200にp型ディープウェル領域203およびn型ディープウェル領域204を形成する。p型ディープウェル領域203は、パターンを有するマスクを用いて表面200a側からボロン等のアクセプタ不純物のイオンを注入することにより形成される。n型ディープウェル領域204は、パターンを有するマスクを用いて表面200a側からリン、ヒ素等のドナー不純物のイオンを注入することにより形成される。表面200aに対するp型ディープウェル領域203の深さおよびn型ディープウェル領域204の深さは、例えば不純物イオンの加速電圧を調整することにより制御できる。不純物濃度は、例えば不純物イオンのドーズ量を調整することにより制御できる。
【0082】
次に、
図9に示すように、半導体基板200を部分的に除去して表面200aに開口Sを形成する。開口Sは、導電体205および絶縁体206を形成するための溝であり、
図6に示す形状を有する導電体205および絶縁体206を形成するため、表面200aに沿ってループ状に設けられる。開口Sは、表面200aと交差する方向(Z軸方向)に沿って表面200aからn型ディープウェル領域204まで延在する。半導体基板200は、例えばパターンを有するマスクを用いた反応性イオンエッチング(RIE)により部分的に除去可能である。
【0083】
次に、
図10に示すように、表面200aの上に絶縁体206を形成する。絶縁体206は、開口Sの内壁面および内底面に延在する。絶縁体206は、例えば化学気相成長法(CVD)を用いて酸化シリコン膜等の絶縁膜を成膜することにより形成可能である。絶縁体206の厚さは、開口Sの全てが絶縁体206により埋められなければ特に限定されない。
【0084】
次に、
図11に示すように、絶縁体206を部分的に除去することにより、表面200aを露出させるとともに、開口Sの内底面においてn型ディープウェル領域204を部分的に露出させる。絶縁体206は、例えば反応性イオンエッチングを用いて部分的に除去可能である。
【0085】
次に、
図12に示すように、開口Sに導電体205を形成する。導電体205は、例えば開口Sを埋める多結晶半導体層を形成することにより形成可能である。多結晶半導体層は、ドープされたリン、ヒ素等のドナー不純物を含む。なお、非晶質半導体層を形成し、ドナー不純物を非晶質半導体層にドープした後、熱処理により非晶質半導体層を結晶化させることにより上記多結晶半導体層を形成してもよい。これに限定されず、金属材料を含む層を開口を埋めるように形成することにより、導電体205を形成してもよい。
【0086】
その後、
図5に示す素子分離体207と、不純物領域208a、208bと、ゲート絶縁膜209a、209bと、ゲート電極210a、210aと、絶縁膜211a、211bと、絶縁層212a、212bと、コンタクトプラグ213a、213bと、を形成することにより、電界効果トランジスタTR
Pおよび電界効果トランジスタTR
Nを形成できる。各構成要素の形成方法については、既知の方法を用いることができる。以上が半導体記憶装置の製造方法例の説明である。
【0087】
(メモリチップ2aの第2の構造例)
図13は、メモリチップ2aの第2の構造例を示す断面模式図であり、X-Z断面を示す。なお、メモリチップ2aの第1の構造例と同じ構成要素については、第1の構造例の説明を適宜援用できる。
【0088】
図13に示すメモリチップ2aは、
図2に示すメモリセルアレイ20を含む第1の領域R1と、メモリセルアレイ20の隣に並置され、
図2に示すコマンドレジスタ21、アドレスレジスタ22、シーケンサ23、ドライバ24、ローデコーダ25、センスアンプ26等の周辺回路を含む第2の領域R2と、を具備する。
【0089】
図13は、半導体基板200に設けられた電界効果トランジスタTR
Nおよび電界効果トランジスタTR
Pと、導電層221と、メモリピラーMPと、選択ゲート線SGSと、ワード線WL(ワード線WL0~ワード線WL(M-1)と、選択ゲート線SGDと、ビット線BLと、導電層231と、を図示する。
【0090】
半導体基板200は、p型半導体領域219pをさらに含む。p型半導体領域219pは、メモリセルアレイ20の下方に設けられ、表面200aに設けられる。p型半導体領域219pは、例えばボロン等のアクセプタ不純物を含む。p型半導体領域219pは、半導体領域201よりもアクセプタ濃度が高い。p型半導体領域219pは、コンタクトプラグを介して図示しないソース線SLに接続される。半導体基板200のその他の構造は、
図5および
図6に示す構造と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0091】
電界効果トランジスタTR
N、電界効果トランジスタTR
P等の電界効果トランジスタの構造例は、
図5および
図6に示す構造と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0092】
メモリピラーMPは、選択ゲート線SGS、複数のワード線WL、および選択ゲート線SGDを含む積層体を貫通してp型半導体領域219pに接続される。メモリピラーMPの構造例は、
図7に示す構造と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0093】
(メモリチップ2aの第3の構造例)
図14は、メモリチップ2aの第1の構造例を示す断面模式図であり、X-Z断面を示す。なお、メモリチップ2aの第1の構造例と同じ構成要素については、第1の構造例の説明を適宜援用できる。
【0094】
図14に示すメモリチップ2aは、メモリセルアレイ20を含む第1の領域R1と、メモリセルアレイ20の隣に並置され、コマンドレジスタ21、アドレスレジスタ22、シーケンサ23、ドライバ24、ローデコーダ25、センスアンプ26等の周辺回路を含む第2の領域R2と、を具備する。第1の領域R1および第2の領域R2は、別々の基板に設けられ、基板同士を貼り合わせることにより接合されている。
【0095】
図14は、半導体基板200に設けられた電界効果トランジスタTR
Nおよび電界効果トランジスタTR
Pと、導電層221と、導電層224と、導電層225と、基板300に設けられたメモリピラーMPと、選択ゲート線SGSと、ワード線WL(ワード線WL0~ワード線WL(M-1)と、選択ゲート線SGDと、ビット線BLと、導電層231と、導電層234と、接続パッド261と、接続パッド262と、を図示する。
【0096】
半導体基板200は、
図5および
図6に示す構造と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0097】
電界効果トランジスタTR
N、電界効果トランジスタTR
P等の電界効果トランジスタの構造例は、
図5および
図6に示す構造と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0098】
メモリピラーMPは、選択ゲート線SGS、複数のワード線WL、および選択ゲート線SGDを含む積層体を貫通して基板300に接続され、基板300を介して図示しないソース線SLに接続される。その他のメモリピラーMPの構造例は、
図7に示す構造と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0099】
導電層225の一つは、コンタクトプラグ並びに導電層221および導電層224を介して電界効果トランジスタTRN、電界効果トランジスタTRP等の電界効果トランジスタのソースまたはドレインに接続される。
【0100】
導電層234の一つは、コンタクトプラグおよび導電層231を介して基板300に接続される。導電層234の他の一つは、コンタクトプラグを介してビット線BLに接続される。導電層234の別の他の一つは、コンタクトプラグおよび導電層231を介して選択ゲート線SGS、複数のワード線WL、または選択ゲート線SGDに接続される。
【0101】
接続パッド261は、半導体基板200側の接続パッドである。接続パッド261は、コンタクトプラグを介して導電層225に接続される。接続パッド261は、例えば銅や銅合金等の金属材料を含む。
【0102】
接続パッド262は、基板300側の接続パッドである。接続パッド262は、コンタクトプラグを介して導電層234に接続される。接続パッド262は、例えば銅や銅合金等の金属材料を含む。
【0103】
接続パッド261および接続パッド262は、例えば金属間の元素拡散、ファンデルワールス力、体積膨張や溶融による再結晶化等により直接接合される。さらに、絶縁物同士の元素拡散、ファンデルワールス力、脱水縮合やポリマー化等の化学反応等により直接接合することにより、別々の基板に設けられた第1の領域R1および第2の領域R2を貼り合わせることができる。
【0104】
基板300は、特に限定されないが、例えば配線基板を用いてもよい。基板300は、例えば表面に複数の電極パッドを有する。複数の電極パッドは、メモリピラーMPやコンタクトプラグに接続される。
【0105】
次に、これらの半導体記憶装置における電界効果トランジスタTRNおよび電界効果トランジスタTRPの適用例について説明する。電界効果トランジスタTRNおよび電界効果トランジスタTRPは、例えばセンスアンプ26に適用可能である。
【0106】
半導体記憶装置の一つとして、1つのメモリセルに複数ビットのデータを記憶する多値メモリが知られている。1つのメモリセルに複数ビットのデータを記憶するためには、読み出し動作時に非選択セルのメモリトランジスタMTのゲートに印加される電圧よりも低い電圧範囲において、メモリトランジスタMTの複数の閾値電圧(Vth)の分布を形成する。
図15は、多値メモリの閾値電圧分布の例を示す模式図である。横軸は、閾値電圧を表し、縦軸は、メモリセルの数(セル数)を表す。
【0107】
多値メモリでは、データのビット数を増やすために高い書き込み電圧を必要とする。また、多値メモリでは、メモリセルの微細化に伴い、各閾値電圧の分布幅が広がり誤書き込み等の問題が発生する。そこで、複数の閾値電圧分布をマイナス側にシフトさせることにより、各閾値電圧分布を広げる場合であっても誤書き込みを抑制でき、また。閾値電圧分布の数を増やしてデータのビット数を増やすことができる。
図16は、多値メモリのシフトさせた閾値電圧分布の例を示す模式図である。横軸は、閾値電圧を表し、縦軸は、メモリセルの数(セル数)を表す。
【0108】
複数の閾値電圧分布をマイナス側にシフトさせる場合、例えばセンスアンプ26の電界効果トランジスタTRNが形成される半導体基板200のp型ウェル領域202pに負電圧を印加する必要がある。このため、p型ディープウェル領域203およびn型ディープウェル領域204を用いてトリプルウェル構造を形成してp型ウェル領域202pに負電圧である電圧VPwellを印加する。また、導電体205を介してn型ディープウェル領域204に電圧VDNwellを供給する。これにより、例えばp型ウェル領域202pに電圧VPwellを印加した際に、同一基板上におけるトリプルウェル構造以外の他の素子領域のウェル領域に電圧VPwellが印加されることを抑制できる。また、p型ディープウェル領域203は、電圧VDNwellがトリプルウェル構造内の領域に影響を及ぼすことを抑制するために設けられる。
【0109】
しかしながら、p型ディープウェル領域203およびn型ディープウェル領域204を用いてトリプルウェル構造を形成する場合、表面200aにn型ディープウェル領域204へのコンタクトを形成する必要がある。n型ディープウェル領域204へのコンタクトの形成方法は、例えば表面200aからリンやヒ素等の不純物を注入する方法が考えられるが、この場合、p型ディープウェル領域203を介してn型ディープウェル領域204へのコンタクトを形成する必要があるため、コンタクトの接続抵抗が大きい。
【0110】
これに対し、導電体205および絶縁体206を用いてn型ディープウェル領域204へのコンタクトを形成することにより、導電体205とp型ディープウェル領域203とを物理的に分離させつつ導電体205をn型ディープウェル領域204に接続できるため、コンタクトの接続抵抗を小さくできる。よって、高い信頼性を有する半導体装置を提供できる。
【0111】
また、p型ディープウェル領域203およびn型ディープウェル領域204の形成のために不純物を注入する際、マスクを用いるが、表面200aのマスクに隣接する領域では、マスクの側面において不純物イオンが反射して当該隣接領域に注入される。上記隣接領域は、表面200aの他の領域よりも不純物濃度が高い。よって、電界効果トランジスタは、上記隣接領域を避けて形成されることが好ましい。このため、例えば表面200aからリンやヒ素等の不純物を注入してn型ディープウェル領域204へのコンタクトを形成する場合、上記隣接領域を避けてコンタクトを形成する必要があり、周辺回路の形成領域を大きく設計する必要がある。
【0112】
これに対し、導電体205および絶縁体206を用いてn型ディープウェル領域204へのコンタクトを形成することにより、導電体205と上記隣接領域とを物理的に分離させつつ導電体205をn型ディープウェル領域204に接続できる。よって、例えば上記隣接領域に導電体205を形成することにより周辺回路の形成領域を小さく設計できる。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1…配線基板、1a…表面、1b…表面、1c…外部接続端子、1d…ボンディングパッド、2…チップ積層体、2a…メモリチップ、2b…接続パッド、3…ボンディングワイヤ、4…絶縁樹脂層、20…メモリセルアレイ、21…コマンドレジスタ、22…アドレスレジスタ、23…シーケンサ、24…ドライバ、25…ローデコーダ、26…センスアンプ、200…半導体基板、200a…表面、200b…表面、201…半導体領域、202n…n型ウェル領域、202p…p型ウェル領域、203…p型ディープウェル領域、204…n型ディープウェル領域、205…導電体、206…絶縁体、207…素子分離体、208a…不純物領域、208b…不純物領域、209a…ゲート絶縁膜、209b…ゲート絶縁膜、210a…ゲート電極、210b…ゲート電極、211a…絶縁膜、211b…絶縁膜、212a…絶縁層、212b…絶縁層、213a…コンタクトプラグ、13b…コンタクトプラグ、219p…p型半導体領域、221…導電層、222…導電層、223…導電層、224…導電層、225…導電層、231…導電層、232…導電層、233…導電層、234…導電層、241…導電層、242…絶縁層、251…ブロック絶縁膜、252…電荷蓄積膜、253…トンネル絶縁膜、254…半導体層、255…コア絶縁層、256…キャップ層、261…接続パッド、262…接続パッド、300…基板。