IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリエンタル白石株式会社の特許一覧

特開2022-118591刃口境界部判定システム及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118591
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】刃口境界部判定システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E02D 23/04 20060101AFI20220805BHJP
   E02D 23/08 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
E02D23/04 Z
E02D23/08 F
E02D23/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015210
(22)【出願日】2021-02-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100198214
【弁理士】
【氏名又は名称】眞榮城 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】亀井 聡
(57)【要約】
【課題】低コストで定量的に刃口境界部を判定する刃口境界部判定システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】刃口境界部判定システムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から、前記刃口境界部を含める対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された点群データから、互いに隣接する2以上の点群データの距離情報の差分値を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された差分値が基準値以上を示す互いに隣接する2以上の前記点群データの組み合わせからなるエッジ点群データを抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出したエッジ点群データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第1判定手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から、前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された点群データから、互いに隣接する2以上の点群データの距離情報の差分値を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された差分値が基準値以上を示す互いに隣接する2以上の前記点群データの組み合わせからなるエッジ点群データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出したエッジ点群データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第1判定手段とを備えること
を特徴とする刃口境界部判定システム。
【請求項2】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、
前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の2次元平面上に含まれる2以上の平面座標データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された平面座標データからなる近似直線と、前記平面座標データとの距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第2判定手段とを備えること
を特徴とする刃口境界部判定システム。
【請求項3】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、
前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記刃口部を示す2以上の前記座標データを含む2次元平面上の平面座標データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された平面座標データと、前記刃口部を示す2以上の前記平面座標データを含む直線との距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第3判定手段とを備えること
を特徴とする刃口境界部判定システム。
【請求項4】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、
前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記距離情報を示す方向と垂直な2次元平面上に含まれる平面座標データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された平面座標データが前記2次元平面上の1直線に全て含まれるときの平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定手段とを備えること
を特徴とする刃口境界部判定システム。
【請求項5】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、
前記ニューマチックケーソンの設計情報に基づいて取得された前記3次元空間上の前記刃口部の内周面を示す方程式を満たす座標の集合からなる数学モデルと、前記変換手段により座標変換された座標データとの位置関係に基づいて、前記刃口境界部を判定する第5判定手段とを備えること
を特徴とする刃口境界部判定システム。
【請求項6】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得すると共に、前記各点群データと対応する画素で構成される対象物の画像を撮像する取得手段と、
前記取得手段により撮像された画像から、前記刃口部の輝度に応じた画素を抽出し、抽出した前記画素に対応する前記点群データをさらに抽出する色抽出手段と、
前記色抽出手段により抽出された点群データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定手段とを備えること
を特徴とする刃口境界部判定システム。
【請求項7】
前記刃口境界部に基づいて、前記作業室内の堀り残し土の幅を演算する演算手段とをさらに備えること
を特徴とする請求項1~6の何れか1項記載の刃口境界部判定システム。
【請求項8】
前記取得手段は、取得した点群データから、前記センサの位置と前記ニューマチックケーソンの設計情報とに基づいて、前記刃口境界部を示す点群データを含む刃口境界範囲点群データを取得すること
を特徴とする請求項1~7の何れか1項記載の刃口境界部判定システム。
【請求項9】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から、前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された点群データから、互いに隣接する2以上の点群データの距離情報の差分値を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された差分値が基準値以上を示す互いに隣接する2以上の前記点群データの組み合わせからなるエッジ点群データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出したエッジ点群データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第1判定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする刃口境界部判定プログラム。
【請求項10】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、
前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の2次元平面上に含まれる2以上の平面座標データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された平面座標データからなる近似直線と、前記平面座標データとの距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第2判定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする刃口境界部判定プログラム。
【請求項11】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、
前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記刃口部を示す2以上の前記座標データを含む2次元平面上の平面座標データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された平面座標データと、前記刃口部を示す2以上の前記平面座標データを含む直線との距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第3判定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする刃口境界部判定プログラム。
【請求項12】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、
前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記距離情報を示す方向と垂直な2次元平面上に含まれる平面座標データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された平面座標データが前記2次元平面上の1直線に全て含まれるときの平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする刃口境界部判定プログラム。
【請求項13】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、
前記ニューマチックケーソンの設計情報に基づいて取得された前記3次元空間上の前記刃口部の内周面を示す方程式を満たす座標の集合からなる数学モデルと、前記変換ステップにより座標変換された座標データとの位置関係に基づいて、前記刃口境界部を判定する第5判定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする刃口境界部判定プログラム。
【請求項14】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得すると共に、前記各点群データと対応する画素で構成される対象物の画像を撮像する取得ステップと、
前記取得ステップにより撮像された画像から、前記刃口部の輝度に応じた画素を抽出し、抽出した前記画素に対応する前記点群データをさらに抽出する色抽出ステップと、
前記色抽出ステップにより抽出された点群データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする刃口境界部判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃口部を下端部に備えたニューマチックケーソンにおける作業室内の前記刃口部と前記刃口部周辺の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁や建物の基礎、シールドトンネルの発進立坑などの地下構造物を構築する工法として、ニューマチックケーソン工法が知られている。ニューマチックケーソン工法は、ケーソンの本体下部に作業室を設け、その中に圧縮空気を送って高気圧状態にし、掘削作業が行なわれている。この高気圧作業室は、高気圧状態であるため、作業者が立ち入ることができる時間が制限されている。このためニューマチックケーソン工法において、水中や高気圧下の工事においては、作業効率の向上や作業環境の安全性の観点から、地上からの遠隔操作によって施工を行なう無人化施工が採用されている。また、このような無人化施工では、高気圧作業室内に設けられた監視カメラによって撮影された高気圧作業室内の作業状況の画像を、高気圧作業室から離れた陸上の安全な遠隔作業室に設置されたモニタに表示し、オペレータがこの画面を見ながら掘削機等の作業機械を遠隔操作し、施工を行なっている。
【0003】
また、ニューマチックケーソン工法は、有底筒状に形成され筒底の下部に地盤掘削用の作業室を備えたニューマチックケーソンを地盤上に配置し、このケーソンの周壁内側の地盤及び周壁下端の刃口部の下方地盤を掘削しつつ、その自重により又は荷重を加える等して、ケーソンを所定の深さまで徐々に沈下させて設置し、地盤中に基礎や地下構造物等を構築する工法である。この種の工法におけるケーソンの沈設方法では、ケーソンを沈下させる力である沈下力とこの沈下力に抵抗する力である地盤等からの沈下抵抗力とがバランスしている状態では、ケーソンは沈下することなく静止している。この沈下抵抗力は、主に、ケーソンの周壁の外面に作用する周面摩擦力と、ケーソンの刃口部の内周面に作用する地盤からの反力とからなる。詳しくは、刃口部の内周面は刃口部先端から上方に向かうほどケーソンの中心軸側に近づくように傾斜したテーパー状に形成されており、この傾斜した内周面に接する地盤である堀り残し土からの反力が作用している。そして、ケーソンの沈設方法では、例えば、ケーソンがその刃口部を地盤内に貫入させて静止した状態で、刃口部の内周面の下方地盤の一部をケーソンの内側から掘削することにより、ケーソンに作用する地盤からの反力を適度に低減させる。その結果、沈下抵抗力が沈下力より低くなり、ケーソンが沈下し始める。このことから、この種のケーソンの沈設方法において、ケーソンの刃口部に接する堀り残し土の形状を把握することは、ケーソン沈下の施工管理上重要な事項である。
【0004】
また、ケーソンの刃口部に接する堀り残し土の形状を把握するための情報として、刃口部の内周面における露出領域と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口部境界判定装置、及び、これを利用したケーソン沈設方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1の開示技術によれば、刃口境界部の画像の画素毎に所定の波長帯域における光の強度分布に基づいて、反射光についての強度分布のモデルデータを用いて刃口境界部が判定される。これにより、ケーソンの沈設の際に、刃口境界部を判定した判定結果の情報を常時取得できるため、判定結果の情報により、刃口部の地盤への貫入状況をリアルタイムに把握することができ、ひいては、ケーソン沈下の施工管理をより確実且つ安全に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-218740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1では、刃口境界部の判定のために、予め刃口部の内周面からの反射光についての強度分布のモデルデータを予め生成しておく必要がある。この反射光についての強度分布は、ケーソンの作業室内の状況、特に刃口境界部付近での地盤の形状や、土砂の量によって多様に変化するため、モデルデータを用いて、刃口境界部を判定する場合、モデルデータの生成のために大量のデータが必要となる。そのため、モデルデータの生成に多大なコストと時間を要することが懸念される。このため、予め生成されたモデルデータを必要とせず、低コストで定量的に刃口境界部を判定する方法が必要となる。
【0008】
そこで本発明は、上述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、低コストで定量的に刃口境界部を判定する刃口境界部判定システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る刃口境界部判定システムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から、前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された点群データから、互いに隣接する2以上の点群データの距離情報の差分値を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された差分値が基準値以上を示す互いに隣接する2以上の前記点群データの組み合わせからなるエッジ点群データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出したエッジ点群データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第1判定手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る刃口境界部判定システムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の2次元平面上に含まれる2以上の平面座標データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された平面座標データからなる近似直線と、前記平面座標データとの距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第2判定手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る刃口境界部判定システムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記刃口部を示す2以上の前記座標データを含む2次元平面上の平面座標データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された平面座標データと、前記刃口部を示す2以上の前記平面座標データを含む直線との距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第3判定手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る刃口境界部判定システムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記距離情報を示す方向と垂直な2次元平面上に含まれる平面座標データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された平面座標データが前記2次元平面上の1直線に全て含まれるときの平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る刃口境界部判定システムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、前記ニューマチックケーソンの設計情報に基づいて取得された前記3次元空間上の前記刃口部の内周面を示す方程式を満たす座標の集合からなる数学モデルと、前記変換手段により座標変換された座標データとの位置関係に基づいて、前記刃口境界部を判定する第5判定手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第6発明に係る刃口境界部判定システムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得すると共に、前記各点群データと対応する画素で構成される対象物の画像を撮像する取得手段と、前記取得手段により撮像された画像から、前記刃口部の輝度に応じた画素を抽出し、抽出した前記画素に対応する前記点群データをさらに抽出する色抽出手段と、前記色抽出手段により抽出された点群データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
第7発明に係る刃口境界部判定システムは、第1発明~第6発明の何れかにおいて、前記刃口境界部に基づいて、前記作業室内の堀り残し土の幅を演算する演算手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0016】
第8発明に係る刃口境界部判定システムは、第1発明~第7発明の何れかにおいて、前記取得手段は、取得した点群データから、前記センサの位置と前記ニューマチックケーソンの設計情報とに基づいて、前記刃口境界部を示す点群データを含む刃口境界範囲点群データを取得することを特徴とする。
【0017】
第9発明に係る刃口境界部判定プログラムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から、前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された点群データから、互いに隣接する2以上の点群データの距離情報の差分値を検出する検出ステップと、前記検出ステップにより検出された差分値が基準値以上を示す互いに隣接する2以上の前記点群データの組み合わせからなるエッジ点群データを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出したエッジ点群データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第1判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0018】
第10発明に係る刃口境界部判定プログラムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の2次元平面上に含まれる2以上の平面座標データを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出された平面座標データからなる近似直線と、前記平面座標データとの距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第2判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0019】
第11発明に係る刃口境界部判定プログラムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記刃口部を示す2以上の前記座標データを含む2次元平面上の平面座標データを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出された平面座標データと、前記刃口部を示す2以上の前記平面座標データを含む直線との距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第3判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0020】
第12発明に係る刃口境界部判定プログラムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記距離情報を示す方向と垂直な2次元平面上に含まれる平面座標データを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出された平面座標データが前記2次元平面上の1直線に全て含まれるときの平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0021】
第13発明に係る刃口境界部判定プログラムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、前記ニューマチックケーソンの設計情報に基づいて取得された前記3次元空間上の前記刃口部の内周面を示す方程式を満たす座標の集合からなる数学モデルと、前記変換ステップにより座標変換された座標データとの位置関係に基づいて、前記刃口境界部を判定する第5判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0022】
第14発明に係る刃口境界部判定プログラムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得すると共に、前記各点群データと対応する画素で構成される対象物の画像を撮像する取得ステップと、前記取得ステップにより撮像された画像から、前記刃口部の輝度に応じた画素を抽出し、抽出した前記画素に対応する前記点群データをさらに抽出する色抽出ステップと、前記色抽出ステップにより抽出された点群データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
第1発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、距離情報の差分値が基準値以上を示す互いに隣接する2以上の点群データの組み合わせからなるエッジ点群データに基づいて、刃口境界部を判定する。これによって、モデルデータを用いることなく、刃口境界部を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部を判定することができる。
【0024】
第2発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、抽出手段により抽出された平面座標データからなる近似直線と、平面座標データとの距離の誤差を算出し、誤差が基準値以上となる平面座標データに基づいて、刃口境界部を判定する。これによって、モデルデータを用いることなく、刃口境界部を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部を判定することができる。
【0025】
第3発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、抽出手段により抽出された平面座標データと、刃口部を示す2以上の平面座標データを含む直線との距離の誤差を算出し、誤差が基準値以上となる座標データに基づいて、刃口境界部を判定する。これによって、モデルデータを用いることなく、刃口境界部を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部を判定することができる。
【0026】
第4発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、抽出手段により抽出された平面座標データが2次元平面上の1直線に全て含まれるときの平面座標データに基づいて、刃口境界部を判定する。これによって、モデルデータを用いることなく、刃口境界部を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部を判定することができる。
【0027】
第5発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、ニューマチックケーソンの設計情報に基づいて取得された3次元空間上の刃口部の内周を示す方程式を満たす座標の集合からなる数学モデルと、変換手段により座標変換された座標データとの位置関係に基づいて、刃口境界部を判定する。これによって、取得が容易なモデルデータを用いて、刃口境界部を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部を判定することができる。
【0028】
第6発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、色抽出手段により抽出された点群データに基づいて、刃口境界部を判定する。これによって、モデルデータを用いることなく、刃口境界部を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部を判定することができる。
【0029】
第7発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、刃口境界部に基づいて、作業室内の堀り残し土の幅を演算する。これによって、モデルデータを用いることなく、刃口境界部を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部を判定した上で、掘り残し土の幅を演算することが可能となる。このため、低コストで定量的に掘り残し土の幅を演算することで、ケーソンに係る沈下抵抗力を低コストで定量的に予測することができ、作業の効率化ができる。
【0030】
第8発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、取得した点群データから、センサの位置とニューマチックケーソンの設計情報とに基づいて、刃口境界部を示す点群データを含む刃口境界範囲点群データを取得する。刃口境界部を判定するのに不要な点群データを取り除くことができ、刃口境界部の判定の高速化とさらなる低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、ニューマチックケーソン工法の主要設備を示す縦断面図である。
図2図2は、刃口部を示す縦断面図である。
図3図3は、本発明に係る作業機の一例である掘削機の側面図である。
図4図4は、掘削機における制御系統を示すブロック図である。
図5図5は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第1実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図6図6は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第1実施形態の動作についてのフローチャートである。
図7図7は、刃口境界範囲点群データの抽出方法の一例を示す図である。
図8図8は、エッジ点群データの抽出方法の一例を示す図である。
図9図9は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第2実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図10図10は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第2実施形態の動作についてのフローチャートである。
図11図11は、第2実施形態における平面座標データの抽出方法の一例を示す図である。
図12図12は、平面座標データからなる近似直線の一例を示す図である。
図13図13は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第3実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図14図14は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第3実施形態の動作についてのフローチャートである。
図15図15は、第3実施形態における平面座標データの抽出方法の一例を示す図である。
図16図16は、平面座標データを含む直線の一例を示す図である。
図17図17は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第4実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図18図18は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第4実施形態の動作についてのフローチャートである。
図19図19は、第4実施形態における平面座標データの抽出方法の一例を示す図である。
図20図20は、平面座標データが2次元平面上の1直線に全て含まれるときの平面座標データの一例を示す図である。
図21図21は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第5実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図22図22は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第5実施形態の動作についてのフローチャートである。
図23図23は、数学モデルの一例を示す図である。
図24図24は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第6実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図25図25は、本発明を適用した刃口境界部判定システムの第6実施形態の動作についてのフローチャートである。
図26図26は、色点群データの抽出方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明に係る作業機の一例である掘削機が用いられるニューマチックケーソン工法の主要設備の一例を示す図である。図1では、ケーソン1の構築途中の状態が示されている。詳しくは、ケーソン1のうちの大半が地盤G内に沈下して静止している状態が示されている。ニューマチックケーソン工法は、掘削設備E1、艤装設備E2、排土設備E3、送気設備E4及び予備・安全設備E5を用いて、鉄筋コンクリート製のケーソン1を地中に沈下させていくことにより、地下構造物を構築するように構成されている。
【0033】
掘削設備E1は、例えば、掘削機100(以下、ケーソンショベル100という)と、土砂自動積込装置11と、地上遠隔操作室13とを備える。ケーソンショベル100は、ケーソン1の底部に設けられた刃口部7の内側に設けられる作業室2内に設置される。土砂自動積込装置11は、ケーソンショベル100により掘削された土砂を円筒状のアースバケット31に積み込む。地上遠隔操作室13は、ケーソンショベル100の作動を地上から遠隔操作する遠隔操作装置12を備える。
【0034】
艤装設備E2は、例えば、マンシャフト21と、マンロック22(エアロック)と、マテリアルシャフト23と、マテリアルロック24(エアロック)とを備える。マンシャフト21は、作業者が作業室2へ出入りするために地上と作業室2とを繋ぐ円筒状の通路であり、例えば、螺旋階段25が設けられている。マンロック22は、マンシャフト21に設けられ地上の大気圧と作業室2内の圧力差を調節する二重扉構造の気密扉である。マテリアルシャフト23は、土砂自動積込装置11により土砂が積み込まれたアースバケット31を地上に運び出すために地上と作業室2とを繋ぐ円筒状の通路である。マテリアルロック24は、マテリアルシャフト23と、材料等を搬出入するためのマテリアルシャフト23に設けられた地上の大気圧と作業室2内の圧力差を調節する二重扉構造の気密扉である。マンロック22およびマテリアルロック24は、作業室2内の気圧が変化することを抑えて作業者やアースバケット31を作業室2へ出入りさせることが可能になるように構成されている。
【0035】
排土設備E3は、例えば、アースバケット31と、キャリア装置32と、土砂ホッパー33とを備える。アースバケット31は、ケーソンショベル100により掘削された土砂が積み込まれる有底円筒状の筒容器である。キャリア装置32は、アースバケット31を、マテリアルシャフト23を介して地上まで引き上げて運び出す装置である。土砂ホッパー33は、アースバケット31及びキャリア装置32により地上に運び出された土砂を一時的に貯めておく設備である。
【0036】
送気設備E4は、例えば、空気圧縮機42と、空気清浄装置43と、送気圧力調整装置44と、自動減圧装置45とを備える。空気圧縮機42は、送気管41及びケーソン1に形成された送気路3を介して作業室2内に圧縮空気を送る装置である。空気清浄装置43は、空気圧縮機42により送り込む圧縮空気を浄化する装置である。送気圧力調整装置44は、作業室2内の気圧が地下水圧と等しくなるように空気圧縮機42から作業室2内へ送る圧縮空気の量(圧力)を調整する装置である。自動減圧装置45は、マンロック22内の気圧を減圧する装置である。
【0037】
予備・安全設備E5は、例えば、非常用空気圧縮機51と、ホスピタルロック53とを備える。非常用空気圧縮機51は、空気圧縮機42の故障又は点検などの時に空気圧縮機42に代わって作業室2内に圧縮空気を送ることが可能な装置である。ホスピタルロック53は、作業室2内で作業を行った作業者が入り、当該作業者の身体を徐々に大気圧に慣らしていくための減圧室である。
【0038】
次に、本発明における刃口部7について、図2を用いて説明する。刃口部7は、ケーソン1の下端部の備えられるものである。刃口部7は、図2に示すように、ケーソン沈下時に地盤8に貫入する部位であり、概ね円筒状に形成されている。刃口部7の内周面71は、刃口部先端72から上方に向かうほどケーソン1の中心側に近づくように傾斜したテーパー状に形成されている。詳しくは、刃口部7の最下端部における内周面71の傾斜角は、その上側の内周面71における上述した傾斜角よりも大きくなるように設定されている。
【0039】
ここで、ケーソン沈設施工の際に、刃口部7は、図2に示すように、掘り残し土80に貫入する。掘り残し土80は、刃口部7に掛かる地盤反力を弱めてケーソン1の沈降を制限する目的で刃口部7近傍に設ける土砂の堀り残しである。掘り残し土80が内周面71に達しているときには内周面71が地盤反力を受けるため、ケーソン1の沈降を抑えることができる。特に軟弱地盤においては、掘り残し土80を大きくすることにより刃口部7が受ける地盤反力を低減させることにより、ケーソン1の沈降を抑えることができる。また、刃口境界部70は、刃口部7の内周面71のうちの作業室2に露出している部分と内周面71のうちの掘り残し土80内に貫入している部分との境界である。刃口境界部70を判定することにより、掘り残し土幅81の算出が可能となる。
【0040】
次に、本発明に係るケーソンショベル100について図3図4を用いて説明する。ケーソンショベル100は、図3に示すように、例えば、走行体110と、ブーム130と、バケットアタッチメント150とを備える。走行体110は、作業室2の天井部に設けられた左右一対の走行レール4に取り付けられ、左右の走行レール4に懸下された状態で走行レール4に沿って走行移動する。ブーム130は、走行体110の旋回フレーム121に上下方向に揺動可能に枢結される。バケットアタッチメント150は、ブーム130の先端部に取り付けられる。
【0041】
走行体110は、走行フレーム111と、旋回フレーム121と、走行ローラ113とを備える。旋回フレーム121は、走行フレーム111の下面側に旋回自在に設けられる。走行ローラ113は、走行フレーム111の上面側前後に、設けられている前後左右の4個のローラである。走行体110は、前後左右の走行ローラ113を回転駆動させて左右の走行レール4に沿って走行移動するように構成されている。
【0042】
ブーム130は、例えば、基端ブーム131と、先端ブーム132と、伸縮シリンダ133と、起伏シリンダ134とを備える。基端ブーム131は、旋回フレーム121に起伏自在又は上下方向に揺動自在に取り付けられる。先端ブーム132は、基端ブーム131に入れ子式に組み合わされ、構成される。伸縮シリンダ133は、基端ブーム131内に設けられている。起伏シリンダ134は、基端ブーム131の左右に2個設けられている。ブーム130は、伸縮シリンダ133を伸縮させると、基端ブーム131に対して先端ブーム132が長手方向に移動し、これによりブーム130が伸縮するように構成されている。2個の起伏シリンダ134の基端部は基端ブーム131の左右側部にそれぞれ回動自在に取り付けられている。
【0043】
バケットアタッチメント150は、ベース部材151と、バケット152と、バケットシリンダ153とを備える。ベース部材151は、先端ブーム132に取り付けられる。バケット152は、ベース部材151の先端部に上下揺動自在に取り付けられる。バケットシリンダ153は、ベース部材151に対してバケット152を上下揺動させるように構成される。
【0044】
コントロールユニット165は、図4に示すように、メインコントローラ165aと、走行体用コントローラ165bと、ブーム・バケット用コントローラ165cとを備える。また、コントロールユニット165は、ケーソンショベル100と、遠隔操作装置12と接続されていてもよい。コントロールユニット165は、遠隔操作装置12に内蔵されていてもよい。メインコントローラ165aは、走行体用コントローラ165bと、ブーム・バケット用コントローラ165cとに接続され、遠隔操作装置12からの操作信号を受けて、その操作信号に応じた駆動制御信号を走行体用コントローラ165bと、ブーム・バケット用コントローラ165cとに出力する。走行体用コントローラ165bは、メインコントローラ165aから出力された駆動制御信号に応じて、走行体110を駆動させるように構成されている。メインコントローラ165aおよび走行体用コントローラ165bは、走行体110の旋回フレーム121に配設されている。ブーム・バケット用コントローラ165cは、メインコントローラ165aから出力された駆動制御信号に応じて、ブーム130及びバケットアタッチメント150を駆動させるように構成されている。ブーム・バケット用コントローラ165cは、ブーム130の基端ブーム131の側部に配設されている。
【0045】
ケーソンショベル100は、図4に示すように、走行体位置センサ201と、旋回角度センサ202と、ブーム起伏角度センサ203と、ブーム伸長量センサ204と、バケット揺動角度センサ205と、外界センサ206とを備える。走行体位置センサ201は、走行体110が走行レール4の何処の位置に位置しているかを検出する。旋回角度センサ202は、走行フレーム111に対する旋回フレーム121の旋回角度を検出する。ブーム起伏角度センサ203は、旋回フレーム121に対するブーム130の起伏角度を検出する。ブーム伸長量センサ204は、ブーム130の伸長量を検出する。バケット揺動角度センサ205は、ブーム130又はバケットアタッチメント150のベース部材151に対するバケット152の揺動角度を検出する。外界センサ206は、走行体110に設けられて作業室2内の掘削地面までの距離、地面の形状などの情報を取得する。また、ケーソンショベル100は、遠隔操作装置12と、コントロールユニット165と通信を行い、各センサ201~206で得たデータを、遠隔操作装置12と、コントロールユニット165とに送信してもよい。
【0046】
走行体位置センサ201は、例えば、走行体110の走行フレーム111に配設されたレーザセンサによって構成される。走行体位置センサ201は、レーザ光を走行レール4の端部又は作業室2の壁部に向けて照射して走行レール4の端部又は作業室2の壁部において反射して戻ってくるまでの時間を測定する。走行体位置センサ201は、この時間に基づいて走行レール4の端部又は作業室2の壁部から走行体110までの距離を検出する。旋回角度センサ202は、例えば、走行体110の旋回フレーム121に配設された光学式のロータリーエンコーダによって構成される。旋回角度センサ202は、走行フレーム111に対する旋回フレーム121の旋回量を電気信号に変換する。旋回角度センサ202は、その信号を演算処理して旋回フレーム121の旋回方向及び位置を含む旋回角度を検出する。なお、走行体位置センサ201及び旋回角度センサ202は一例を説明したもので、走行体110の二次元的な位置を検出する他のセンサ、旋回フレーム121の旋回角度を検出する他のセンサをそれぞれ用いてもよい。
【0047】
ブーム起伏角度センサ203は、例えば、起伏シリンダ134のシリンダボトムの側部に配設されたレーザセンサによって構成される。ブーム起伏角度センサ203は、レーザ光を旋回フレーム121に向けて照射して旋回フレーム121において反射して戻ってくるまでの時間を測定する。ブーム起伏角度センサ203は、この時間に基づいて起伏シリンダ134の伸長量を検出し、その起伏シリンダ134の伸長量に基づいて旋回フレーム121に対するブーム130の起伏角度又は起伏位置を検出する。ブーム起伏角度センサ203も一例を説明したものであり、光学式ロータリーエンコーダ、ポテンショメータなどによりブーム130の起伏角を直接検出する他のセンサを用いてもよい。
【0048】
ブーム伸長量センサ204は、例えば、ブーム130の基端ブーム131に配設されたレーザセンサによって構成される。ブーム伸長量センサ204は、レーザ光を先端ブーム132の先端部に取り付けられたバケットアタッチメント150のベース部材151に向けて照射してベース部材151において反射して戻ってくるまでの時間を測定する。ブーム伸長量センサ204は、この時間に基づいて、ブーム130の伸長量として基端ブーム131に対する先端ブーム132の伸長量を検出する。ブーム伸長量センサ204も一例を説明したものであり、ブーム伸縮と共に伸縮するケーブルの伸長量を直接測定する他のセンサを用いてもよい。
【0049】
バケット揺動角度センサ205は、例えば、バケットシリンダ153の油路に配設された流量センサによって構成される。バケット揺動角度センサ205は、バケットシリンダ153に供給される作動油の流量を検出し、その流量の積分値を算出する。バケット揺動角度センサ205は、この流量積分値に基づいてバケットシリンダ153のピストンロッドの伸長量を求め、そのバケットシリンダ153の伸長量に基づいて、バケットアタッチメント150のベース部材151又はブーム130に対するバケット152の揺動角度又は揺動位置を検出する。バケット揺動角度センサ205も一例を説明したものであり、光学式ロータリーエンコーダ、ポテンショメータなどによりバケット152の揺動角度を直接検出他のセンサや、レーザセンサによりバケットシリンダ153の伸長量を求める他のセンサを用いてもよい。
【0050】
外界センサ206は、例えば、走行体110の旋回フレーム121に配設されたRGB-Dセンサによって構成される。外界センサ206は、掘削地面のRGB画像又はカラー画像、及び距離画像又は点群データを取得し、それらの画像に基づいて掘削地面までの距離情報、掘削地面の形状情報又は刃口境界部70を含む点群データ73を取得する。外界センサ206は、RGB-Dセンサの他の例として、ステレオカメラや超音波距離計、レーザセンサなどを用いてもよい。
【0051】
走行体位置センサ201、旋回角度センサ202、ブーム起伏角度センサ203、ブーム伸長量センサ204、バケット揺動角度センサ205及び外界センサ206により検出されたそれぞれの情報は、コントロールユニット165のメインコントローラ165aに送信される。メインコントローラ165aは、走行体位置測定部211と、バケット位置測定部212と、地盤形状測定部213とを備える。
【0052】
走行体位置測定部211は、走行体位置センサ201により検出された走行レール4の端部又は作業室2の壁部から走行体110までの距離情報と、当該走行レール4が作業室2内の何処の位置に設けられた走行レールであるかという情報とを用いて、走行体110が作業室2内のどこに位置しているかを算出する。また、走行レール4が作業室2内の何処の位置に設けられた走行レールであるかという情報は、走行体110が取り付けられた走行レール4の情報であり、走行体110が取り付けられたときに走行体位置測定部211に設定されてもよい。また、走行体位置センサ201による距離情報の検出を周囲複数箇所に対して検出することにより、走行体110の天井内における二次元的な位置又は走行体110の向きを含む位置を検出してもよい。
【0053】
バケット位置測定部212は、旋回角度センサ202により検出された走行フレーム111に対する旋回フレーム121の旋回方向及び位置を含む旋回角度と、ブーム起伏角度センサ203により検出された旋回フレーム121に対するブーム130の起伏角度又は起伏位置と、ブーム伸長量センサ204により検出されたブーム130の伸長量と、バケット揺動角度センサ205により検出されたブーム130に対するバケット152の揺動角度又は揺動位置とを用いて、走行体110の走行フレーム111に対するバケット152の位置を算出する。
【0054】
地盤形状測定部213は、走行体位置測定部211により求められた作業室2内における走行体110の位置と、旋回角度センサ202により検出された走行フレーム111に対する旋回フレーム121の旋回方向および位置を含む旋回角度とを用いて、旋回フレーム121に設けられた外界センサ206の位置と、外界センサ206により距離情報を取得する方向と、外界センサ206により取得した距離情報を用いて、掘削地面の位置とを算出する。また、地盤形状測定部213は、掘り残し土80の形状を算出してもよい。掘り残し土80の形状とは、掘り残し土法面82と形状と、掘り残し土80が内周面71に接する面の水平面での形状との両方を含む。
【0055】
〈第1実施形態〉
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。図5は、本発明の第1実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の全体構成を示すブロック図である。刃口境界部判定システム6は、刃口境界部70を判定する。刃口境界部判定システム6は、上述した外界センサ206と、外界センサ206を備えるケーソンショベル100に接続された遠隔操作装置12を備えている。
【0056】
遠隔操作装置12は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。外界センサ206から入力されたデータに基づいて、遠隔操作装置12は、刃口境界部70を判定してもよい。
【0057】
遠隔操作装置12は、削除部610と、削除部610に接続された検出部611と、検出部611に接続された抽出部612と、抽出部612に接続された第1判定部613と、第1判定部613に接続された演算部614と、を備える。
【0058】
削除部610は、外界センサ206の位置情報と、ケーソン1の設計情報とに基づいて、外界センサ206により取得された外界センサ206から刃口境界部70を含む対象物までの距離情報を示す点群データ73から、刃口境界部70の周辺の点群データである刃口境界範囲点群データ74を抽出する。削除部610は、抽出した刃口境界範囲点群データ74を検出部611に出力する。
【0059】
検出部611は、削除部610から入力された刃口境界範囲点群データ74から、互いに隣接する2以上の点群データの距離情報の差分値を検出する。検出部611は、検出した差分値を抽出部612に出力する。
【0060】
抽出部612は、検出部611から入力された基準値以上の差分値を示す互いに隣接する2以上の点群データの組み合わせからなるエッジ点群データ78を抽出する。抽出部612は、抽出した第1エッジ部を第1判定部83に出力する。
【0061】
第1判定部613は、抽出部612で抽出した第1エッジ部の位置に基づいて、刃口境界部70を判定する。第1判定部613は、判定した刃口境界部70の結果を演算部614に出力する。
【0062】
演算部614は、第1判定部613による刃口境界部70の判定結果に基づいて、刃口部7周辺の堀り残し土幅81を演算する。
【0063】
次に、本発明の第1実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の動作について説明をする。図6に示すようにステップS11において、外界センサ206は、外界センサ206から刃口境界部70を含む対象物までの距離情報を示す点群データ73を取得する。点群データは、3次元空間上の位置情報をもつ点の集まりからなるデータである。位置情報は、位置を判定し得る情報であり、例えば3次元空間上の座標又は距離情報のことを指す。距離情報は、対象までの距離を示す情報である。点群データは、例えば、距離情報を色で示した平面上の点群の集まりからなるデータでもよい。また、点群データは、距離情報を数字で示した平面上の点群の集まりからなるデータでもよい。
【0064】
次に、ステップS12において、削除部610は、図7に示すように、外界センサ206の位置情報と、ケーソン1の設計情報とに基づいて、外界センサ206により取得された点群データ73から、刃口境界部70の周辺の点群データである刃口境界範囲点群データ74を抽出する。外界センサの位置情報は、例えば、走行体位置測定部211により走行レール4のどこに位置するか、又は地盤形状測定部213によって、外界センサ206が地盤8からどれだけ距離があるかを測定してもよい。具体的な刃口境界範囲点群データ74の抽出方法として、例えば、ケーソン1の設計情報に基づいて、刃口部7の長さを判定することが可能である。刃口部7の長さと、地盤形状測定部213により測定した外界センサ206と地盤8との距離との差分から、刃口境界部70と地盤との距離の概算が可能である。この概算結果に基づいて、点群データ73において、刃口境界部70を概算し、その周辺の点群データを含めた点群データを刃口境界範囲点群データ74として抽出する。これによって、刃口境界部70の判定に不要な点群データを削除することが可能となり、判定速度の高速化及び計算の負担の抑制ができる。削除部610は、抽出した刃口境界範囲点群データ74を検出部611に出力する。
【0065】
次に、ステップS13において、検出部611は、削除部610から入力された刃口境界範囲点群データ74から、互いに隣接する2以上の点群データの距離情報の差分値を検出する。例えば、点群データが距離情報を色で示した平面上の点群の集まりからなるデータである場合、上述した色に基づいて、それぞれの点群に距離情報を示す数値を付与する。その後、図8のように、互いに隣接する2以上の点群データの上述した数値の差分値を検出する。点群データの取得対象が滑らかな平面な場合、互いに隣接する点群データの距離情報がほとんど等しくなるため、取得対象が凹凸のある荒い表面である場合に比べて、この差分値の大きさは小さくなる。このことから、上述した差分値の大きさから、取得対象の表面状態の推定が可能となる。検出部611は、検出した差分値を抽出部612に出力する。
【0066】
次に、ステップS14において、抽出部612は、検出部611から入力された差分値から、基準値以上の差分値を示す互いに隣接する2以上の点群データの組み合わせからなるエッジ点群データ78を抽出する。エッジ点群データ78は、刃口境界部70を判定するための2以上の点群データからなるデータである。抽出部612は、図8に示すように、例えば基準値を3に設定した場合、3以上の差分値を示す隣接する2以上の点群データを抽出し、上述した点群データの組み合わせることでエッジ点群データ78を抽出する。これによって、刃口部7の内周面71に比べて、掘り残し土法面82は凹凸が多く荒いため、エッジ点群データ78として、刃口境界部70を含む掘り残し土法面82の点群データの組が抽出される。
【0067】
次に、ステップS15において、第1判定部613は、抽出部612で抽出したエッジ点群データ78に基づいて、刃口境界部70を判定する。第1判定部613は、例えば図8に示すように、エッジ点群データ78に含まれる1以上の点群データの位置情報を刃口境界部70としてもよい。また、1組のエッジ点群データ78に含まれる2以上の点群データを結ぶ線及び上述した2以上の点群データを結ぶ線の垂直二等分線等の2以上の点群データを結ぶ線と交わる直線又は上述した線に囲まれた領域を刃口境界部70としてもよい。エッジ点群データ78は、上述したように刃口境界部70を含む掘り残し土法面82の点群データの組が抽出されるので、例えば、エッジ点群データ78の内、最も外側にある点群データを刃口境界部70としてもよい。
【0068】
次に、ステップS16において、演算部614は、第1判定部613による刃口境界部70に基づいて、刃口部7周辺の堀り残し土幅81を演算する。演算部614は、例えば、地盤形状測定部213で測定した外界センサ206から平坦な地盤までの距離と、刃口境界部70から判定した外界センサ206から刃口境界部70までの距離の差から刃口境界部70から地盤8までの高さHを演算してもよい。また、例えば、高さHと、ケーソン1の設計情報から判定した刃口部7の傾きと、地盤形状測定部213で測定した掘り残し土法面82の傾きとから、掘り残し土幅81を演算してもよい。また、高さHと、掘り残し土幅81とから掘り残し土80の断面の面積を演算し、断面の面積及びケーソン1の設計情報等から、掘り残し土80の体積を演算してもよい。また、掘り残し土80の体積を掘り残し土80の土量としてもよい。これによって、掘り残し土80の土量を演算することが可能となり、掘り残し土80の形状がより詳細に判定することができるため、ケーソン1の沈下抵抗力を精度よく判定することができる。
【0069】
上述したステップS11~16によって、予め生成されたモデルを用いることなく、低コストで定量的に刃口境界部70を判定することが可能となる。
【0070】
〈第2実施形態〉
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。図9は、本発明の第2実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の全体構成を示すブロック図である。刃口境界部判定システム6は、刃口境界部70を判定する。刃口境界部判定システム6は、上述した外界センサ206と、外界センサ206を備えるケーソンショベル100に接続された遠隔操作装置12を備えている。以下、第1実施形態と同様なものの説明は省略する。
【0071】
遠隔操作装置12は、変換部620と、変換部620に接続された座標抽出部621と、座標抽出部621に接続された第2判定部622とを備える。
【0072】
変換部620は、外界センサ206により取得された点群データ73を3次元空間上の座標データ75に座標変換する。変換部620は、座標変換した座標データ75を座標抽出部621に出力する。
【0073】
座標抽出部621は、変換部620から入力された座標データ75から、3次元空間上の2次元平面701上に含まれる座標データを平面座標データとして抽出する。座標抽出部621は、平面座標データを第2判定部622に出力する。
【0074】
第2判定部622は、座標抽出部621から入力された平面座標データからなる近似直線76と、平面座標データとの距離の誤差である第1誤差を算出し、誤差が基準値以上となる平面座標データに基づいて、刃口境界部70を判定する。
【0075】
次に、本発明の第2実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の動作について説明をする。図10に示すようにステップS21において、ステップS11と同様に外界センサ206は、点群データ73を取得する。
【0076】
次に、ステップS22において、変換部620は、外界センサ206により取得された点群データ73を3次元空間上の座標データ75に座標変換する。また、変換部620は、DEM(Digital Elevation Model)等の地表面の地形のデジタル表現を座標データ75としてもよい。変換部620は、座標変換した座標データ75を座標抽出部621に出力する。
【0077】
次に、ステップS23において、座標抽出部621は、変換部620から入力された座標データ75から、3次元空間上の2次元平面701上に含まれる座標データ75を平面座標データとして抽出する。座標抽出部621は、例えば図11に示すように、作業室2の天井と平行なxy面を2次元平面90aとして、2次元平面90aに含まれる座標データ75を平面座標データとして抽出する。また、座標抽出部621は、2次元平面90aとして、例えばxz面、又はyz面と平行な平面を選択してもよい。また、座標抽出部621は、複数の2次元平面90a上に含まれる座標データ75を各2次元平面90aに1組の平面座標データとして抽出してもよい。この場合上述した複数の2次元平面90aは平行であることが好ましいが、この限りではない。座標抽出部621は、平面座標データを第2判定部622に出力する。
【0078】
次に、ステップS24において、第2判定部622は、座標抽出部621から入力された平面座標データの近似直線91aを算出する。第2判定部622は、例えば、図12に示すように、xy面に平行な2次元平面90aに含まれる座標データ75を平面座標データとして、平面座標データに近似を行い、近似直線91aを算出する。さらにステップS24において、近似直線91aと平面座標データとの最小二乗法などで算出した距離を第1誤差として算出する。さらにステップS24において、誤差が基準値以上となる座標データ75に基づいて、刃口境界部70を判定する。第1誤差は、平面座標データが表す表面が荒いと大きくなり、表面が滑らかであると小さくなるため、内周面71を示す平面座標データとの距離の誤差と比べると、掘り残し土法面82を示す平面座標データとの距離の誤差は大きくなる。このことから、誤差の大きさが基準値を超えた場所の座標データ75が刃口境界部70であると判定することができる。
【0079】
上述したステップS21~24によって、予め生成されたモデルを用いることなく、低コストで定量的に刃口境界部70を判定することが可能となる。
【0080】
〈第3実施形態〉
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照しながら説明する。図13は、本発明の第3実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の全体構成を示すブロック図である。刃口境界部判定システム6は、刃口境界部70を判定する。刃口境界部判定システム6は、上述した外界センサ206と、外界センサ206を備えるケーソンショベル100に接続された遠隔操作装置12を備えている。また、第3実施形態は、平面座標データを用いた刃口境界部70の判定方法が第2実施形態と異なる。以下、第1実施形態及び第2実施形態と同様なものの説明は省略する。
【0081】
遠隔操作装置12は、変換部630と、変換部630に接続された座標抽出部631と、座標抽出部631に接続された第3判定部632とを備える。
【0082】
第3判定部632は、座標抽出部631から入力された平面座標データと、刃口部7を示す2以上の平面座標データを含む直線91bとの距離の誤差である第2誤差を算出し、誤差が基準値以上となる平面座標データに基づいて、刃口境界部70を判定する。
【0083】
次に、本発明の第3実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の動作について説明をする。図14に示すようにステップS31において、ステップS11と同様に外界センサ206は、点群データ73を取得する。
【0084】
次に、ステップS32において、変換部630は、外界センサ206により取得された点群データ73を3次元空間上の座標データ75に座標変換する。また、変換部630は、DEM(Digital Elevation Model)等の地表面の地形のデジタル表現を座標データ75としてもよい。変換部630は、座標変換した座標データ75を座標抽出部631に出力する。
【0085】
次に、ステップS33において、座標抽出部631は、変換部630から入力された座標データ75から、3次元空間上の刃口部7を示す2以上の座標データ75を含む2次元平面90b上に含まれる座標データ75を平面座標データとして抽出する。座標抽出部631は、例えば図15に示すように、作業室2の高さ方向をz方向としたときのxz面に平行な2次元平面90bに含まれる座標データ75を平面座標データとして抽出するのが好ましいがこの限りではない。また、座標抽出部631は、複数の2次元平面90b上に含まれる座標データ75を各2次元平面90bに1組の平面座標データとして抽出してもよい。この場合上述した複数の2次元平面90bは平行であることが好ましいが、この限りではない。座標抽出部631は、平面座標データを第3判定部632に出力する。
【0086】
次に、ステップS34において、第3判定部632は、座標抽出部631から入力された刃口部7を示す2以上の平面座標データを2以上含む直線91bを算出する。第3判定部632は、例えば、図16に示すように、xz面に平行な2次元平面に含まれる座標データ75を平面座標データとして、刃口部7を示す平面座標データを2以上含む直線91bを算出する。また、かかる場合、xz面に平行な2次元平面91bに含まれる座標データ75を平面座標データの中で、z方向の成分が最も大きな平面座標データから順に2以上の平面座標データを抽出し、抽出した平面座標データを含む直線91bを決定してもよい。さらにステップS34において、直線91bと平面座標データとの距離を第2誤差として算出する。さらにステップS34において、第2誤差が基準値以上となる座標データ75に基づいて、刃口境界部70を判定する。第2誤差は、平面座標データが、内周面71を示す場合、第2誤差が小さくなり、掘り残し土法面82を示す場合、第2誤差が大きくなる。このことから、第2誤差の大きさが基準値を超えた場所の座標データ75が刃口境界部70であると判定することができる。
【0087】
上述したステップS31~34によって、予め生成されたモデルを用いることなく、低コストで定量的に刃口境界部70を判定することが可能となる。
【0088】
〈第4実施形態〉
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照しながら説明する。図17は、本発明の第3実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の全体構成を示すブロック図である。刃口境界部判定システム6は、刃口境界部70を判定する。刃口境界部判定システム6は、上述した外界センサ206と、外界センサ206を備えるケーソンショベル100に接続された遠隔操作装置12を備えている。以下、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態と同様なものの説明は省略する。
【0089】
遠隔操作装置12は、外界センサ206に接続される変換部640と、変換部640に接続される座標抽出部641と、座標抽出部641に接続される第4判定部642を備える。
【0090】
第4判定部642は、座標抽出部641により抽出された平面座標データが2次元平面90c上の1直線91cに全て含まれるときの平面座標データに基づいて、刃口境界部70を判定する。
【0091】
次に、本発明の第4実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の動作について説明をする。図18に示すようにステップS41において、ステップS11と同様に外界センサ206は、点群データ73を取得する。
次に、ステップS42において、変換部640は、外界センサ206により取得された点群データ73を3次元空間上の座標データ75に座標変換する。また、変換部630は、DEM(Digital Elevation Model)等の地表面の地形のデジタル表現を座標データ75としてもよい。変換部640は、座標変換した座標データ75を座標抽出部641に出力する。
【0092】
次に、ステップS43において、座標抽出部641は、変換部640から入力された座標データ75から、3次元空間上の距離情報を示す方向と垂直な2次元平面90d上に含まれる座標データ75を平面座標データとして抽出する。座標抽出部641は、例えば図19に示すように、距離情報を示す方向をx方向としたときのyz面に平行な2次元平面90dに含まれる座標データ75を平面座標データとして抽出する。また、座標抽出部641は、複数の2次元平面90d上に含まれる座標データ75を各2次元平面90dに1組の平面座標データとして抽出してもよい。この場合上述した複数の2次元平面90dは平行であることが好ましいが、この限りではない。座標抽出部641は、平面座標データを第4判定部642に出力する。
【0093】
次に、ステップS44において、座標抽出部641により抽出された平面座標データが2次元平面90c上の1直線91cに全て含まれるときの平面座標データに基づいて、刃口境界部70を判定する。距離情報は、刃口境界部70に近くなるにつれ、大きくなり、離れるにつれ、小さくなる。このため、図20に示すように、刃口境界部70から離れた位置を示す平面座標データは、不連続な2直線91cとなる。これに対して、刃口境界部70を示す平面座標データは連続した一つの直線91cとなる。このことから、平面座標データが1直線となる平面座標データに基づいて、刃口境界部70を判定することが可能となる。
【0094】
上述したステップS41~44によって、予め生成されたモデルを用いることなく、低コストで定量的に刃口境界部70を判定することが可能となる。
【0095】
〈第5実施形態〉
以下、本発明の第5実施形態について図面を参照しながら説明する。図21は、本発明の第5実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の全体構成を示すブロック図である。刃口境界部判定システム6は、刃口境界部70を判定する。刃口境界部判定システム6は、上述した外界センサ206と、外界センサ206を備えるケーソンショベル100に接続された遠隔操作装置12を備えている。以下、第1実施形態及び第2実施形態と同様なものの説明は省略する。
【0096】
遠隔操作装置12は、変換部650と、変換部630に接続された第5判定部651とを備える。
【0097】
第5判定部651は、ニューマチックケーソンの設計情報に基づいて取得された3次元空間上の刃口部7の内周面71を示す方程式を満たす座標の集合からなる数学モデルと、変換部650により座標変換された座標データ75との位置関係に基づいて、刃口境界部70を判定する。
【0098】
次に、本発明の第5実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の動作について説明をする。図22に示すようにステップS51において、ステップS11と同様に外界センサ206は、点群データ73を取得する。
【0099】
次に、ステップS52において、変換部650は、外界センサ206により取得された点群データ73を3次元空間上の座標データ75に座標変換する。また、変換部650は、DEM(Digital Elevation Model)等の地表面の地形のデジタル表現を座標データ75としてもよい。変換部650は、座標変換した座標データ75を第5判定部631に出力する。
【0100】
次に、ステップS53において、第5判定部652は、ニューマチックケーソンの設計情報に基づいて取得された3次元空間上の刃口部7の内周面71を示す方程式を満たす座標の集合からなる数学モデルと、変換部650により座標変換された座標データ75との位置関係に基づいて、刃口境界部70を判定する。数学モデルは、例えば図23に示すように、作業室2の高さ方向をz方向、作業室2の天井と平行な面がxy面とした3次元空間上の刃口部7の内周面71を示す方程式を満たす座標の集合からなる。かかる場合、刃口部7の内周面71は、刃口部の内周面71を示す平面71a、平面71b、平面71c及び平面71dからなる面であってもよい。また、作業室2の天井を示す平面を加えてもよい。これらの平面は式1で表される。
【数1】
各平面を示す式1に座標データ75を代入することで、式1の左辺の値が0よりも大きくなるか小さくなるかによって、座標データ75と、数学モデルとの位置関係を判断することができる。
【0101】
ステップS53において、第5判定部652は、式1により判断した位置関係が、例えば上述した数学モデルの外側又は数学モデルと重なる位置関係にある座標データ75を除外することで、上述した数学モデルの内側にある座標データ75、つまりは作業室2内の掘り残し土80を含む地盤8を示す座標データ75を抽出することが可能となる。かかる場合、抽出した作業室2内の掘り残し土80を含む地盤8を示す座標データ75の外周に位置する座標データ75が刃口境界部70を示す座標データ75であることが判断できる。
【0102】
また、ステップS53において、式1により判断した位置関係が、例えば数学モデルと重なる位置関係にある座標データ75を抽出してもよい。かかる場合、抽出した座標データ75の外周に位置する座標データ75が刃口境界部70を示す座標データ75であることが判断できる。
【0103】
上述したステップS51~53により、取得が容易なモデルデータを用いて、刃口境界部70を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部70を判定することができる。
【0104】
〈第6実施形態〉
以下、本発明の第6実施形態について図面を参照しながら説明する。図24は、本発明の第6実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の全体構成を示すブロック図である。刃口境界部判定システム6は、刃口境界部70を判定する。刃口境界部判定システム6は、上述した外界センサ206と、外界センサ206を備えるケーソンショベル100に接続された遠隔操作装置12を備えている。以下、第1実施形態と同様なものの説明は省略する。
【0105】
遠隔操作装置124は、色抽出部660と、色抽出部660に接続された第6判定部661とを備える。
【0106】
色抽出部660は、外界カメラ206により撮像された画像から、刃口部7の輝度に応じた画素を抽出し、抽出した画素に対応する点群データを色点群データとして抽出する。色抽出部660は、抽出した色点群データを第6判定部661に出力する。
【0107】
第6判定部661は、色抽出部660により抽出された色点群データに基づいて、刃口境界部70を判定する。
【0108】
次に、本発明の第6実施形態を適用した刃口境界部判定システム6の動作について説明をする。図17に示すようにステップS61において、ステップS11と同様に外界センサ206は、点群データ73を取得する。また、ステップS61において、外界センサ206は、刃口部7の内周面71を作業室2内の何れとも異なる色に着色し、上述した点群データ73の取得と同時に画像を撮像してもよい。このとき、例えばRGB-Dセンサを用いることで、点群データ73を取得したときのRGB-Dセンサの位置やRGB-Dセンサの角度や方向と、同じRGB-Dセンサの位置やRGB-Dセンサの角度や方向を用いて、画像を同時に撮像することが可能となる。これによって、点群データ73の各点群データと、上述した画像内の各画素が対応し、各点群データと各画素が同一の対象物を示すものとなる。外界センサ206は、取得した点群データ73及び撮像した画像を色抽出部660に出力する。
【0109】
次に、ステップS62において、色抽出部660は、図18のように、撮像された画像から、刃口部7の輝度に応じた画素を抽出し、抽出した画素に対応する点群データを色点群データとして抽出する。例えば、画像内の内周面71に着色した色と同一の色を抜き出し、抜き出した画像の位置と同じ位置に当たる点群データ73を、色点群データとして抽出する。これによって、色点群データは刃口部7の内周面71の点群データとすることができる。色抽出部660は、抽出した色点群データを第6判定部661に出力する。
【0110】
次に、ステップS63において、色抽出部660により抽出された色点群データに基づいて、刃口境界部70を判定する。例えば、色点群データは、内周面71の点群データを示すので、色点群データの外周の点群データを刃口境界部70の点群データとして、上述した点群データの位置から、刃口境界部70を判定してもよい。
【0111】
上述したステップS61~63によって、予め生成されたモデルを用いることなく、低コストで定量的に刃口境界部70を判定することが可能となる。
【0112】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
1 ケーソン
2 作業室
3 送気路
4 走行レール
6 刃口境界部判定システム
7 刃口部
8 地盤
11 土砂自動積込装置
12 遠隔操作装置
13 地上遠隔操作室
21 マンシャフト
22 マンロック
23 マテリアルシャフト
24 マテリアルロック
25 螺旋階段
31 アースバケット
32 キャリア装置
33 土砂ホッパー
41 送気管
42 空気圧縮機
43 空気清浄装置
44 送気圧力調整装置
45 自動減圧装置
51 非常用空気圧縮機
53 ホスピタルロック
70 刃口境界部
71 内周面
72 刃口部先端
73 外界センサから刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データ
74 刃口境界範囲点群データ
75 座標データ
76 横関数
77 縦関数
78 エッジ点群データ
80 掘り残し土
81 掘り残し土幅
82 掘り残し土法面
90 2次元平面
91 直線
100 ケーソンショベル
110 走行体
111 走行フレーム
113 走行ローラ
121 旋回フレーム
130 ブーム
131 基端ブーム
132 先端ブーム
133 伸縮シリンダ
134 起伏シリンダ
150 バケットアタッチメント
151 ベース部材
152 バケット
153 バケットシリンダ
165 コントロールユニット
165a メインコントローラ
165b 走行体用コントローラ
165c ブーム・バケット用コントローラ
201 走行体位置センサ
202 旋回角度センサ
203 ブーム起伏角度センサ
204 ブーム伸長量センサ
205 バケット揺動角度センサ
206 外界センサ
211 走行体位置測定部
212 バケット位置測定部
213 地盤形状測定部
610 削除部
611 検出部
612 抽出部
613 第1判定部
614 演算部
620 変換部
621 点群抽出部
622 第2判定部
620 変換部
621 座標抽出部
622 第2判定部
630 変換部
631 座標抽出部
632 第3判定部
640 変換部
641 座標抽出部
642 第4判定部
650 変換部
651 第5判定部
660 色抽出部
661 第6判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2021-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、
前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の2次元平面上に含まれる2以上の平面座標データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された平面座標データからなる最小二乗法により算出した近似直線と、前記平面座標データとの距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記堀り残し土を示す平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第2判定手段とを備えること
を特徴とする刃口境界部判定システム。
【請求項2】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、
前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記刃口部を示す2以上の前記座標データを含む2次元平面上の平面座標データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された平面座標データと、前記刃口部を示す2以上の前記平面座標データを含む直線との距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記堀り残し土を示す平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第3判定手段とを備えること
を特徴とする刃口境界部判定システム。
【請求項3】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、
前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記距離情報を示す方向と垂直な2次元平面上に含まれる平面座標データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された平面座標データが前記2次元平面上の1直線に全て含まれるときの前記刃口部を示す平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定手段とを備えること
を特徴とする刃口境界部判定システム。
【請求項4】
前記刃口境界部に基づいて、前記作業室内の堀り残し土の幅を演算する演算手段とをさらに備えること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の刃口境界部判定システム。
【請求項5】
前記取得手段は、取得した点群データから、前記センサの位置と前記ニューマチックケーソンの設計情報とに基づいて、前記刃口境界部を示す点群データを含む刃口境界範囲点群データを取得すること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の刃口境界部判定システム。
【請求項6】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、
前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の2次元平面上に含まれる2以上の平面座標データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された平面座標データからなる最小二乗法により算出した近似直線と、前記平面座標データとの距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記堀り残し土を示す平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第2判定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする刃口境界部判定プログラム。
【請求項7】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、
前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記刃口部を示す2以上の前記座標データを含む2次元平面上の平面座標データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された平面座標データと、前記刃口部を示す2以上の前記平面座標データを含む直線との距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記堀り残し土を示す平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第3判定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする刃口境界部判定プログラム。
【請求項8】
ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、
前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、
前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記距離情報を示す方向と垂直な2次元平面上に含まれる平面座標データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された平面座標データが前記2次元平面上の1直線に全て含まれるときの前記刃口部を示す平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする刃口境界部判定プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
発明に係る刃口境界部判定システムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の2次元平面上に含まれる2以上の平面座標データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された平面座標データからなる最小二乗法により算出した近似直線と、前記平面座標データとの距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記堀り残し土を示す平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第2判定手段とを備えることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
発明に係る刃口境界部判定システムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記刃口部を示す2以上の前記座標データを含む2次元平面上の平面座標データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された平面座標データと、前記刃口部を示す2以上の前記平面座標データを含む直線との距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記堀り残し土を示す座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第3判定手段とを備えることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
発明に係る刃口境界部判定システムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定システムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換手段と、前記変換手段により座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記距離情報を示す方向と垂直な2次元平面上に含まれる平面座標データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された平面座標データが前記2次元平面上の1直線に全て含まれるときの前記刃口部を示す平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定手段とを備えることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
発明に係る刃口境界部判定システムは、第1発明~第発明の何れかにおいて、前記刃口境界部に基づいて、前記作業室内の堀り残し土の幅を演算する演算手段とをさらに備えることを特徴とする。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
発明に係る刃口境界部判定システムは、第1発明~第発明の何れかにおいて、前記取得手段は、取得した点群データから、前記センサの位置と前記ニューマチックケーソンの設計情報とに基づいて、前記刃口境界部を示す点群データを含む刃口境界範囲点群データを取得することを特徴とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
発明に係る刃口境界部判定プログラムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の2次元平面上に含まれる2以上の平面座標データを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出された平面座標データからなる最小二乗法により算出した近似直線と、前記平面座標データとの距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記堀り残し土を示す平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第2判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
発明に係る刃口境界部判定プログラムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記刃口部を示す2以上の前記座標データを含む2次元平面上の平面座標データを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出された平面座標データと、前記刃口部を示す2以上の前記平面座標データを含む直線との距離の誤差を算出し、前記誤差が基準値以上となる前記堀り残し土を示す座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第3判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
発明に係る刃口境界部判定プログラムは、ニューマチックケーソンの下端部に設けられた刃口部と作業室内の堀り残し土との境界である刃口境界部を判定する刃口境界部判定プログラムにおいて、前記作業室内にあるセンサの位置から前記刃口境界部を含む対象物までの距離情報を示す点群データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された点群データを3次元空間上の座標データに座標変換する変換ステップと、前記変換ステップにより座標変換された座標データから、前記3次元空間上の前記距離情報を示す方向と垂直な2次元平面上に含まれる平面座標データを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出された平面座標データが前記2次元平面上の1直線に全て含まれるときの前記刃口部を示す平面座標データに基づいて、前記刃口境界部を判定する第4判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、抽出手段により抽出された平面座標データからなる最小二乗法により算出した近似直線と、平面座標データとの距離の誤差を算出し、誤差が基準値以上となる堀り残し土を示す平面座標データに基づいて、刃口境界部を判定する。これによって、モデルデータを用いることなく、刃口境界部を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部を判定することができる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、抽出手段により抽出された平面座標データと、刃口部を示す2以上の平面座標データを含む直線との距離の誤差を算出し、誤差が基準値以上となる堀り残し土を示す座標データに基づいて、刃口境界部を判定する。これによって、モデルデータを用いることなく、刃口境界部を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部を判定することができる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、抽出手段により抽出された平面座標データが2次元平面上の1直線に全て含まれるときの前記刃口部を示す平面座標データに基づいて、刃口境界部を判定する。これによって、モデルデータを用いることなく、刃口境界部を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部を判定することができる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、刃口境界部に基づいて、作業室内の堀り残し土の幅を演算する。これによって、モデルデータを用いることなく、刃口境界部を判定することが可能となり、低コストで定量的に刃口境界部を判定した上で、掘り残し土の幅を演算することが可能となる。このため、低コストで定量的に掘り残し土の幅を演算することで、ケーソンに係る沈下抵抗力を低コストで定量的に予測することができ、作業の効率化ができる。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
発明によれば、本発明の刃口境界部判定システムは、取得した点群データから、センサの位置とニューマチックケーソンの設計情報とに基づいて、刃口境界部を示す点群データを含む刃口境界範囲点群データを取得する。刃口境界部を判定するのに不要な点群データを取り除くことができ、刃口境界部の判定の高速化とさらなる低コスト化を実現することができる。