(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118600
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】電動補助自転車用システム、及び電動補助自転車用電気デバイス
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20220805BHJP
B62J 43/30 20200101ALI20220805BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J43/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015239
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 裕
(57)【要約】
【課題】電動補助自転車において、駆動ユニット及び電気デバイスの電力供給能力を効率よく利用して、電気デバイスから外部へ電力を供給する。
【解決手段】電動補助自転車用システム100は、バッテリ35の電力により駆動され、補助力を発生させるモータを有する駆動ユニット40と、駆動ユニット40に接続され、駆動ユニット40から電力の供給を受けて動作する電気デバイス1と、を備える。電気デバイス1は、駆動ユニット40から出力された電力を入力する電力入力部16と、電力入力部16から入力された電力の一部を外部へ供給する外部電力出力端子19と、外部電力出力端子19から外部に供給する電力の上限を、駆動ユニット40の供給可能電力に基づいて制御する外部供給電力制御部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動補助自転車用システムであって、
バッテリの電力により駆動され、補助力を発生させるモータを有する駆動ユニットと、
前記駆動ユニットに接続され、前記駆動ユニットから電力の供給を受けて動作する電気デバイスと、を備え、
前記電気デバイスは、
前記駆動ユニットから出力された電力を入力する電力入力部と、
前記電力入力部から入力された電力の一部を外部へ供給する外部電力出力端子と、
前記外部電力出力端子から外部に供給する電力の上限を、前記駆動ユニットの供給可能電力に基づいて制御する外部供給電力制御部と、を有する、電動補助自転車用システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電動補助自転車用システムであって、
前記外部供給電力制御部は、さらに前記電気デバイスの消費電力に基づいて、前記外部に供給する電力の上限を制御する、電動補助自転車用システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電動補助自転車用システムであって、
前記外部供給電力制御部は、さらに予め決められた前記電気デバイスの供給可能電力に基づいて、前記外部に供給する電力の上限を制御する、電動補助自転車用システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動補助自転車用システムであって、
前記電気デバイスは、前記駆動ユニットと通信する駆動ユニット通信部を備え、
前記外部供給電力制御部は、前記駆動ユニット通信部を介して取得した前記駆動ユニットの供給可能電力に基づいて、前記外部に供給可能な電力の上限を制御する、電動補助自転車用システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電動補助自転車用システムであって、
前記外部供給電力制御部は、前記駆動ユニットの供給可能電力に基づいて前記外部電力出力端子から外部へ供給される電力の上限を決定する上限決定部と、前記電力入力部から入力された電力の電圧を変換する変換器と、前記変換器の出力電圧に基づく電圧で前記外部電力出力端子から外部へ電力を供給する電力供給部であって、前記上限決定部で決定された上限を超えない範囲で、外部へ電力を供給する電力供給部とを有する、電動補助自転車用システム。
【請求項6】
電動補助自転車用電気デバイスであって、
バッテリの電力により駆動され、補助力を発生させるモータを有する駆動ユニットから出力された電力を入力する電力入力部と、
前記電力入力部から入力された電力の一部を外部へ供給する外部電力出力端子と、
前記外部電力出力端子から外部に供給する電力の上限を、前記駆動ユニットの供給可能電力に基づいて制御する外部供給電力制御部と、を有する、電動補助自転車用電気デバイス。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電動補助自転車用システムを備えた電動補助自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動補助自転車用のシステム及び電気デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自転車のハンドルに、サイクルコンピュータ等の電子機器が取り付けられるケースが増えている。例えば、特開2005-138827号公報には、自転車のハンドルバーに様々な電子制御部品を取り付けられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、電動補助自転車に搭載されるバッテリから、サイクルコンピュータ等の外部の電子機器へ電力を供給可能とする構成を検討した。電力供給をするための配線をバッテリに新たに追加すると、配線の取り回しが煩雑になる。そこで、既に存在する電力経路を利用することが好ましい。発明者は、バッテリから電力の供給を受けている電気デバイスから外部に給電する構成を検討した。具体的には、電動補助自転車のバッテリの電力は、モータを有する駆動ユニットに供給される。駆動ユニットから電気デバイス(例えば、補助の状態を示す表示装置又は補助に関する操作装置等)に電力が供給される。この構成において、駆動ユニットから、電力を供給される電気デバイスを経由し、外部の電子機器に電力が供給される。
【0005】
検討において、発明者は、駆動ユニットと電気デバイスの組み合わせとして、様々な組み合わせを想定した。この場合、駆動ユニット及び電気デバイスの供給可能な電力量は、駆動ユニットと電気デバイスの組み合わせによって変化する。この場合に、組み合わせによっては、駆動ユニット及び電気デバイスの供給可能な電力量を最大に活用できない場合があることがわかった。
【0006】
そこで、本願は、電動補助自転車において、駆動ユニット及び電気デバイスの電力供給能力を効率よく利用して、電気デバイスから外部へ電力を供給できる、電動補助自転車用システム及び電気デバイスを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態における電動補助自転車用システムは、バッテリの電力により駆動され、補助力を発生させるモータを有する駆動ユニットと、前記駆動ユニットに接続され、前記駆動ユニットから電力の供給を受けて動作する電気デバイスと、を備える。前記電気デバイスは、前記駆動ユニットから出力された電力を入力する電力入力部と、前記電力入力部から入力された電力の一部を外部へ供給する外部電力出力端子と、前記外部電力出力端子から外部に供給する電力の上限を、前記駆動ユニットの供給可能電力に基づいて制御する外部供給電力制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電動補助自転車において、駆動ユニット及び電気デバイスの電力供給能力を効率よく利用して、電気デバイスから外部へ電力を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態における電動補助自転車を示す左側面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における電動補助自転車用システムの概要を示す図である。
【
図3】
図3は、電動補助自転車用システムの構成例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す電気デバイスの構成例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、制御装置の情報通知処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、電気デバイスの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明者は、バッテリ、駆動ユニット、及び電気デバイスを有する電動補助自転車用システムにおいて、電気デバイスから外部へ電力を供給する構成を検討した。外部への電力供給は、駆動ユニット及び電気デバイスの主たる機能ではない。駆動ユニット及び電気デバイスは、外部への電力供給の他にも要求される機能がある。駆動ユニット及び電気デバイスは、様々な要求に応じて、多様な形態が想定される。すなわち、駆動ユニット及び電気デバイスは、使用目的に応じて、複数の種類(機種)が想定される。駆動ユニット及び電気デバイスは、その種類により、電力供給能力が異なる。例えば、省スペースを要求される駆動ユニットは、電力供給能力が小さい。
【0011】
発明者は、電気デバイスの機能と、駆動ユニットの特性を自由に組み合わせることができるシステムが好ましいと考えた。電気デバイスと駆動ユニットの機種の自由な組み合わせを可能にすることで、車両のバリエーションを増やすことができる。電気デバイスと駆動ユニットの機種の様々な組み合わせを可能にした場合、電気デバイスと駆動ユニットの電力供給能力は、常に整合するとは限らない。組み合わせによっては、駆動ユニット及び電気デバイスのいずれかの電力供給能力の上限を超えた電力を、外部へ供給してしまうことが予想される。これを回避するために、最も電力供給能力が低い組み合わせに合わせて、外部供給電力を設定すると、電力供給能力を十分に活用できない場合がある。
【0012】
そこで、発明者は、駆動ユニットから電力の供給を受けて動作する電気デバイスにおいて、外部へ供給する電力を、駆動ユニットの供給可能電力に基づいて制御する構成に想到した。これにより、電力供給能力の異なる様々な駆動ユニット及び電気デバイスの組み合わせの場合に、電力供給能力を効率よく利用して、電気デバイスから外部へ電力を供給できる。下記実施形態は、この知見に基づくものである。
【0013】
本発明の実施形態における電動補助自転車用システムは、バッテリの電力により駆動され、補助力を発生させるモータを有する駆動ユニットと、前記駆動ユニットに接続され、前記駆動ユニットから電力の供給を受けて動作する電気デバイスと、を備える。前記電気デバイスは、前記駆動ユニットから出力された電力を入力する電力入力部と、前記電力入力部から入力された電力の一部を外部へ供給する外部電力出力端子と、前記外部電力出力端子から外部に供給する電力の上限を、前記駆動ユニットの供給可能電力に基づいて制御する外部供給電力制御部と、を有する。
【0014】
上記構成によれば、電気デバイスにおいて、電力の供給元である駆動ユニットの供給可能電力に基づいて、外部に供給する電力の上限が制御される。これにより、電力供給能力の異なる駆動ユニットのいずれが電気デバイスに接続された場合でも、駆動ユニットの供給可能電力に応じて、外部に供給する電力の上限を変えることができる。その結果、駆動ユニット及び電気デバイスの電力供給能力を効率よく利用して、電気デバイスから外部へ電力を供給できる。
【0015】
前記外部供給電力制御部は、さらに前記電気デバイスの消費電力に基づいて、前記外部に供給する電力の上限を制御するよう構成されてもよい。これにより、駆動ユニットの供給可能電力及び電気デバイスの消費電力の双方に応じて、外部供給電力の上限を適切に制御することができる。
【0016】
前記外部供給電力制御部は、さらに予め決められた前記電気デバイスの供給可能電力に基づいて、前記外部に供給する電力の上限を制御するよう構成されてもよい。これにより、駆動ユニットの供給可能電力及び予め設定された電気デバイスの供給可能電力の双方に応じて、外部供給電力の上限を適切に制御することができる。
【0017】
外部供給電力制御部は、駆動ユニットの供給可能電力に基づく電力と、予め設定された電気デバイスの供給可能電力のうち、低い方の電力を、外部電力出力端子から外部に供給する電力の上限としてもよい。
【0018】
外部供給電力制御部は、駆動ユニットの供給可能電力から電気デバイスの消費電力を差し引いた電力を、外部電力出力端子から外部に供給する電力の上限としてもよい。ここで、上記電力の上限の決定に用いられる消費電力の値は、例えば、電気デバイスの動作状態に応じて決定されてもよい。例えば、電気デバイスにおいて検出された電流及び/又は電圧に基づき消費電力の値が決定されてもよい。或いは、電気デバイスの動作に応じて、消費電力の値が切り替わってもよい。なお、消費電力の値は、伝送経路で発生する電力の損失を考慮した値であってもよい。損失の値は、例えば、電気デバイスに予め記録されていてもよいし、駆動ユニットから通信で取得してもよいし、又は、電気デバイスの動作に応じて決定されてもよい。
【0019】
前記外部供給電力制御部は、少なくとも、駆動ユニットの供給可能電力、電気デバイスに予め設定された供給可能電力、及び、電気デバイスの消費電力の3つの要素に基づいて、前記外部に供給する電力の上限を制御してもよい。
【0020】
一例として、前記外部供給電力制御部は、駆動ユニットの供給可能電力から電気デバイスの消費電力を差し引いた電力と、予め決められた電気デバイスの供給可能電力のうち、低い方の電力を、外部電力出力端子から外部に供給する電力の上限としてもよい。
【0021】
外部供給電力制御部は、例えば、少なくとも駆動ユニットの供給可能電力に応じて、外部電力出力端子から外部に供給する電力の上限を決定する上限決定部と、上限決定部で決定された上限を超えない範囲で、外部電力出力端子から外部に電力を供給する電力供給部とを含んでもよい。
【0022】
前記電気デバイスは、前記駆動ユニットと通信する駆動ユニット通信部を備えてもよい。前記外部供給電力制御部は、前記駆動ユニット通信部を介して取得した前記駆動ユニットの供給可能電力に基づいて、前記外部に供給可能な電力の上限を制御することができる。通信により、駆動ユニットの供給可能な電力に関する新しい情報を取得しやすくなる。そのため、駆動ユニットの供給可能電力に応じて、外部供給電力の上限を、より適切に設定することができる。
なお、駆動ユニットの供給可能電力の情報の取得は通信に限られない。例えば、駆動ユニットの供給可能電力は、電気デバイスを駆動ユニットに接続した時の初期設定等により、駆動ユニットの供給可能電力を示す情報を電気デバイスに記録されてもよい。
【0023】
前記外部供給電力制御部は、前記駆動ユニットの供給可能電力に基づいて前記外部電力出力端子から外部へ供給される電力の上限を決定する上限決定部と、前記電力入力部から入力された電力の電圧を変換する変換器と、前記変換器の出力電圧に基づく電圧で前記外部電力出力端子から外部へ電力を供給する電力供給部であって、前記上限決定部で決定された上限を超えない範囲で、外部へ電力を供給する電力供給部とを有してもよい。これにより、簡単な構成で、駆動ユニット及び電気デバイスの電力供給能力を効率よく利用して、電気デバイスから外部へ電力を供給できる。
【0024】
本発明の実施形態における電動補助自転車用電気デバイスは、バッテリの電力により駆動され、補助力を発生させるモータを有する駆動ユニットから出力された電力を入力する電力入力部と、前記電力入力部から入力された電力の一部を外部へ供給する外部電力出力端子と、前記外部電力出力端子から外部に供給する電力の上限を、前記駆動ユニットの供給可能電力に基づいて制御する外部供給電力制御部と、を有する。
【0025】
電気デバイスは、電動補助自転車に取り付けられ、電動補助自転車の機能の一部となる。電気デバイスは、例えば、表示装置、操作装置、無線通信装置、又は、ライト(灯火器)等であってもよい。表示装置は、例えば、電動補助自転車の状態を表示し、且つ、電動補助自転車の電動補助に関する操作入力を受け付ける装置であってもよい。
【0026】
上記の電動補助自転車用システムを備えた電動補助自転車も、本発明の実施形態に含まれる。この電動補助自転車は、ペダルの踏力を検出するトルクセンサと、踏力を補助する補助力を発生させるモータと、踏力に応じてモータの補助力を制御する制御装置と、モータに電力を供給するバッテリを備えてもよい。駆動ユニットは、少なくともモータ及び制御装置を含む。制御装置は、バッテリから供給された電力の一部を電気デバイスへ供給する。また、制御装置は、駆動ユニットとの通信を行う通信部を有してもよい。制御装置の通信部は、駆動ユニットの供給可能電力に関する情報を電気デバイスへ通知する。
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態による電動補助自転車について説明する。図中、同一又は相当部分には、同一符号を付して、その部材についての説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。なお、以下の説明において、電動補助自転車の前後、左右、上下は、乗員が、サドル(シート28)に着座し且つハンドル23を握った状態を基準とした前後、左右、及び上下を意味する。電動補助自転車の前後、左右、及び上下の各方向は、電動補助自転車の車体すなわち車体フレームの前後、左右及び上下の各方向と同じである。また、電動補助自転車の進行方向は、電動補助自転車の前後方向と同じである。以下の実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0028】
<電動補助自転車の全体構成例>
図1は、本実施形態における電動補助自転車10を示す左側面図である。
図1における符号F、B、U、Dは、それぞれ前、後、上、下を表す。
【0029】
図1に示すように、電動補助自転車10は、車体フレーム51を有する。車体フレーム51は、前後方向に延びている。車体フレーム51の前部にヘッドパイプ51aが設けられる。ヘッドパイプ51aは、操舵軸24を回転可能に支持する。操舵軸24の上部にはステム25を介してハンドル23が取り付けられる。操舵軸24の下部は、前輪21を回転可能に支持するフロントフォーク26が取り付けられる。
【0030】
ハンドル23の周辺に、電気デバイス1が取り付けられる。電気デバイス1は、電動補助自転車10の状態の表示、及び、電動補助自転車10に対する操作入力をするデバイスである。電気デバイス1は、ハンドル23、ステム25、操舵軸24、又は、車体フレーム51に取り付けられる。これにより、電気デバイス1は、乗員から視認可能であり、且つ、操作可能な位置に取り付けられる。
【0031】
ハンドル23の周辺には、外部機器80が、着脱可能に取り付けられる。外部機器80は、ハンドル23、ステム25、操舵軸24又は車体フレーム51に取り付け可能である。外部機器80は、電気機器である。外部機器80は、特に限定されないが、例えば、サイクルコンピュータ等のコンピュータを有する機器であってもよい。
【0032】
電動補助自転車10は、前照灯27を有する。
図1の例では、前照灯27は、ハンドル23に取り付けられるが、フロントフォーク26等、ハンドル23以外の場所に取り付けられてもよい。
【0033】
フロントフォーク26には、前輪21の回転を検出する車速センサ(スピードセンサ)61が設けられている。車速センサ61は、例えば、前輪21とともに回転する被検出素子と、車体フレーム51に対して固定され、被検出素子の回転を検出する検出素子を有する。検出素子は、機械的、磁気的又は光学的に被検出素子を検出する。なお、車速センサ61は、前輪21に限らず、例えば、後輪22、モータ41、クランク軸32、伝達ギヤ、チェーン等、電動補助自転車10の進行に伴って回転する回転体の回転を検出するものであってもよい。また、電動補助自転車10は、車速センサの他に、車両の状態を検出するセンサを備えてもよい。電動補助自転車10は、例えば、角速度センサ(ジャイロセンサ)、又は、加速度センサ等を備えてもよい。
【0034】
車体フレーム51には、シート28が取り付けられる。シート28の後方において、後輪22が、車体フレーム51の後部に回転可能に支持される。車体フレーム51には、クランク軸32が回転可能に支持される。クランク軸32には、クランクアーム31及びペダル33が取り付けられる。電動補助自転車10は、クランク軸32の回転を後輪22へ伝達する伝達機構を備える。
【0035】
クランク軸32の周りには、乗員の踏力を検出するトルクセンサ62が設けられる。トルクセンサ62は、クランク軸32を軸周りに回転させるトルクを検出する。トルクセンサ62は、例えば、磁歪式のような非接触式、又は、弾性体変量検出式のような接触式のトルクセンサを用いることができる。磁歪式トルクセンサは、磁歪効果を有し、クランク軸の回転力を受ける磁歪材と、磁歪材の力による透磁率の変化を検出する検出コイルを有する。
【0036】
車体フレーム51には、バッテリ35及び駆動ユニット40が取り付けられる。バッテリ35は、駆動ユニット40に電力を供給する。バッテリ35は、車体フレーム51に対して着脱可能に構成される。バッテリ35と駆動ユニット40は、ケーブルによって電気的に接続される。
【0037】
駆動ユニット40は、ハウジング43及び、ハウジング43内に収納されたモータ41及び制御装置(
図1では図示略)を有する。モータ41は、乗員の踏力を補助する補助力を発生させる。制御装置は、トルクセンサ62で検出される踏力に応じてモータ41の補助力を制御する。制御装置は、例えば、モータ41を制御するインバータ、モータ41への指令値を計算するMCU(micro controller unit)又はMPU(micro-processing unit)等の演算部を有する。
【0038】
モータ41の回転は、伝達機構によって、後輪22へ伝達される。例えば、モータ41の回転と、クランク軸32の回転を合成する合力機構、及び、合力を後輪へ伝達する合力伝達機構が、伝達機構に含まれる。
【0039】
制御装置は、駆動ユニット40の電力の入出力を制御する。制御装置は、バッテリ35から供給された電力の一部を電気デバイス1へ供給する。電気デバイス1と駆動ユニット40は、ケーブルによって、電気的に接続される。なお、制御装置は、バッテリ35から供給された電力の一部を、他の機器、例えば、前照灯27に供給してもよい。なお、電気デバイス1は、本実施形態のように情報を表示するデバイスに限られない。例えば、前照灯27又はその他の機器が、電気デバイス1として、外部へ電力を提供可能に構成されてもよい。
【0040】
なお、電気デバイス1は、例えば、車速センサ61等の電動補助自転車10が備えるセンサに電気的に接続されてもよい。電気デバイス1とセンサは、ケーブルで接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。なお、電気デバイス1に接続されるケーブルの少なくとも一部は、車体フレーム51の内部を通ってもよい。
【0041】
<システム概要>
図2は、本実施形態における電動補助自転車用システム100の概要を示す図である。
図2に示すように、電動補助自転車用システム100は、駆動ユニット40と電気デバイス1を備える。駆動ユニット40は、バッテリ35から電力の供給を受け、その電力の一部を電気デバイス1へ供給する。電気デバイス1は、駆動ユニット40から電力の供給を受け、その電力の一部を、外部機器80へ供給する。電動補助自転車用システム100は、電動補助自転車における外部給電システムである。
【0042】
このような構成により、乗員が、外部機器80を、視認及び操作をしやすい位置で使う間に、電気デバイス1から外部機器80に電力を供給することができる。また、外部機器80へ電力を供給するための配線の増設は不要である。設備の増設を少なくし、簡単な構成で、外部機器80への電力供給が可能になる。
【0043】
図2に示すようなシステムを構築する場合、駆動ユニット40は、複数の機種A、B、C、・・・のうち1つを採用でき、電気デバイス1は、複数の機種D,E、F、・・・のうち1つを採用できる。すなわち、駆動ユニット40及び電気デバイス1の組み合わせとして、様々な機種の組み合わせが可能である。駆動ユニット40及び電気デバイス1は、外部供給できる最大電力が仕様で決まっており、機種によって、この最大電力は、異なる。そのため、組み合わせによっては、システムの供給可能量の上限を超えて、電力を外部へ供給しようとしてしまう事態が起こり得る。例えば、最大電力が5Wの機種Aの駆動ユニットと、最大電力が7.5Wの機種Dの電気デバイスとを組み合わせると、この事態が起こり得る。すなわち、機種Dの電気デバイスが外部へ7.5Wの電力を供給しようとした場合、機種Aの駆動ユニットからの供給電力(5W)では足りなくなり、システムダウンする可能性がある。
【0044】
このような事態を回避するため、電気デバイス1の外部へ供給可能な最大電力の仕様を、最大電力が最も低い駆動ユニット40に合わせて設定することが考えられる。例えば、
図2の場合、電気デバイス1の全ての機種D、E、Fの外部へ供給可能な最大電力を、最大電力が最も低い機種Bの駆動ユニットに合わせて、いずれも「5W」とする仕様が考えれる。この場合、システム全体の電力供給能力を最大限に生かせない場合が生じる。例えば、機種Cと機種Fの組み合わせであっても、本来、電気デバイス1は、駆動ユニットから7.5Wの電量の供給を受けて、外部へ7.5Wの電力を供給できる能力を有するにも関わらず、仕様により5Wしか供給できないことになる。
【0045】
本実施形態の電動補助自転車用システム100は、電気デバイスと駆動ユニットの機種の自由な組み合わせが可能である。また、本実施形態の電動補助自転車用システム100は、供給できる最大電力が異なる複数の機種の組み合わせに応じて、外部へ電力供給能力を効率良く生かしながらも、能力を超えた電力の供給は避けることができる電力供給システムである。これを可能にするため、電動補助自転車用システム100は、電気デバイス1において、駆動ユニット40の供給可能な最大電力を基に、電気デバイス1から外部に供給する電力の上限(すなわち、供給可能な最大電力)を制御する構成を有する。
【0046】
<システム構成例>
図3は、電動補助自転車用システム100の構成例を示す機能ブロック図である。
図3に示す例では、駆動ユニット40は、モータ41及び制御装置42を含む。制御装置42は、バッテリ35から供給される電力の一部をモータ41に供給し、他の一部を電気デバイス1に供給するよう構成される。
【0047】
制御装置42は、例えば、MCUと変換器を含む構成とすることができる。MCUは、各種制御のための演算を実行する。変換器は、バッテリ35の電圧を、モータ41に供給する電圧、及び、外部へ供給する電圧等に変換する。
【0048】
制御装置42は、モータ41に供給する電力及び外部へ供給する電力を制御する。制御装置42は、駆動ユニット40が外部すなわち電気デバイス1へ供給可能な電力の上限(最大電力)を決定する。この外部へ供給可能な最大電力は、例えば、予め決められた値であってもよいし、電動補助自転車10の状態に応じて決定されてもよい。
【0049】
制御装置42は、駆動ユニット40におけるバッテリ35から供給された電力の使用状況に基づいて、電気デバイス1へ供給可能な最大電力を決定してもよい。制御装置42のMCUは、モータ41及び外部供給分に対して、電流の割り振りをすることができる。例えば、MCUは、モータ41に割り振る電流を、バッテリ35が出せる最大電流から、モータ41以外が消費する電流を差し引いた範囲で決めることができる。
【0050】
制御装置42は、電気デバイス1と情報の送受信を行う通信部を有してもよい。制御装置42は、通信部を介して、電気デバイス1に対して、駆動ユニット40が供給可能な電力の上限(最大電力)を通知する。制御装置42は、所定周期又は最大電力が更新されたタイミングで、電気デバイス1へ、駆動ユニット40が供給可能な最大電力を通知してもよい。或いは、制御装置42は、電気デバイス1から要求を受けた場合に、供給可能な最大電力を通知してもよい。
【0051】
電気デバイス1は、制御装置42との通信により、駆動ユニット40が供給可能な最大電力を示す情報を取得する。電気デバイス1は、制御装置42から取得した、駆動ユニット40が供給可能な最大電力に基づいて、電気デバイス1から外部へ供給可能な電力の上限(最大電力)を制御する。
【0052】
図3に示す例では、制御装置42は、前照灯27を制御する。例えば、制御装置42は、電気デバイス1から前照灯27をオン/オフの操作の情報を受信し、この情報にしたがって、前照灯27のオン/オフを制御することができる。
【0053】
なお、制御装置42は、通信部を介して、電気デバイス1に、表示させる情報を送信してもよい。また、制御装置42は、通信部を介して、電気デバイス1から、乗員が入力した操作に関する情報を受信してもよい。通信部は、例えば、MCU、その他の回路で構成することができる。また、制御装置42は、電気デバイス1以外に、バッテリ35、センサ、その他の車載機器と通信可能であってもよい。
【0054】
図4は、
図3に示す電気デバイス1の構成例を示す機能ブロック図である。
図4に示す例では、電気デバイス1は、MCU11(通信部12、上限決定部13含む)、操作部14、表示部15、電力入力部16、変換器17、電力供給部18、及び外部電力出力端子19を有する。上限決定部13、変換器17及び電力供給部18は、外部供給電力制御部の一例である。
図4において破線の矢印は電力の流れを示す。
【0055】
通信部12は、駆動ユニット40と通信を行う。通信部12は、駆動ユニット40の制御装置42とデータの送受信を行う。上限決定部13は、通信部12を介して受信した、駆動ユニット40の供給可能な最大電力の情報を基に、電気デバイス1が外部へ供給可能な電力の上限(最大電力)を決定する。
【0056】
電力入力部16は、駆動ユニット40から出力された電力を入力する部分である。電力入力部16は、駆動ユニット40からの電力を受け付けるインタフェースである。電力入力部16は、例えば、電力の入力端子である。
【0057】
外部電力出力端子19は、外部機器80が接続可能な電源ポートを有する。外部電力出力端子19は、これに限られないが、例えば、USBポートとすることができる。
【0058】
変換器17は、電力入力部16から入力された電力の電圧を変換し、MCU11、操作部14、表示部15、及び電力供給部18に分配する。変換器17は、MCU11向けの電圧と、電力供給部18向けの電圧を異ならせることができる。電力供給部18向けの電圧は、外部へ供給する電圧の基となる電圧である。
【0059】
電力供給部18は、変換器17の出力電圧に基づく電圧で、外部電力出力端子19から外部へ電力を供給する。電力供給部18は、上限決定部13で決定された上限を超えない範囲で、外部へ電力を供給する。すなわち、電力供給部18は、MCU11から指示された最大電力量の範囲で外部機器に給電する。電力供給部18は、例えば、外部電力出力端子19から出力する電圧を一定とし、電流が増加して、電力が上限に達すると電圧を下げるよう動作してもよい。電力供給部18は、例えば、電力供給ICで構成することができる。電力供給ICは、例えば、抵抗値等により、電力の上限を設定することができる。
【0060】
図4に示す例では、駆動ユニット40から供給される電力は、電気デバイス1において、MCU11、操作部14、及び表示部15向けとは別系統で、外部供給用(外部機器80向け)の電源ラインが用意される。その電源ラインには、電力供給部18がある。電力供給部18は、外部機器80への電力供給を制御する。この構成により、外部へ供給する電力の上限の制御を、効率よく実現できる。
【0061】
操作部14は、乗員からの電動補助自転車10の電力を使う機能に関する操作を受け付ける。操作部14は、例えば、電動補助自転車10の駆動ユニット40の電源のオン/オフ、前照灯27のオン/オフ、モータ41によるアシストのレベルの指定、又は、走行モードの指定等の操作を受け付けることができる。操作部14は、例えば、ボタン、スイッチ、タッチパネル等の入力手段を有してもよい。又は、操作部14は、電気デバイス1に接続されたスイッチユニットを介して、操作を受け付けてもよい。MCU11は、操作部14で行われた操作内容を、通信部12を介して、制御装置42に伝える。
【0062】
表示部15は、乗員に対して、電動補助自転車10の状態に関する情報を表示する。MCU11は、制御装置42から通信で取得したデータに基づき、表示部15に、表示指示をする。表示部15は、例えば、ディスプレイ、又はランプ等の表示手段を有してもよい。
【0063】
MCU11の上限決定部13は、制御装置42から通信で取得した駆動ユニット40の供給可能な電力の上限(最大電力)を少なくとも用いて、電気デバイス1の外部供給可能な電力の上限(最大電力)を決定する。これにより、電気デバイス1の供給電力の上限が、駆動ユニットの供給電力の上限を超えないよう制御される。
【0064】
また、上限決定部13は、駆動ユニット40の供給可能な電力の上限に加えて、予め決められた電気デバイス1で供給可能な電力の上限(最大電力)の値を用いて、電気デバイス1の外部供給可能な電力の上限(最大電力)を決定することができる。予め決められた電気デバイス1の供給可能電力は、例えば、仕様で決められた値等であり、予めMCUに記録される。これにより、電気デバイス1の供給電力の上限が、予め決められた上限を超えないように制御される。
【0065】
また、上限決定部13は、駆動ユニット40の供給可能な電力の上限に加えて、電気デバイス1で消費する電力の値をさらに用いて、電気デバイス1の外部供給可能な電力の上限(最大電力)を決定することができる。MCU11は、電気デバイス1の消費電力を監視することができる。例えば、MCU11は、電気デバイス1の負荷で検出される電流及び/又は電圧に基づき消費電力を取得することができる。これにより、電気デバイス1の供給電力の上限が、駆動ユニットの供給電力の上限から消費電力を差し引いた値を超えないように制御される。なお、電気デバイス1の供給電力の上限は、駆動ユニットの供給電力の上限から消費電力及び経路で発生する損失を差し引いた値を超えない値であってもよい。損失は、例えば、電気デバイス1に予め記録された値であってもよい。或いは、MCU11は、電気デバイス1の負荷で検出される電流及び/又は電圧に基づき損失を決定してもよい。
【0066】
このように、上限決定部13は、駆動ユニット40の供給可能な電力の上限に加えて、予め決められた電気デバイス1で供給可能な電力、及び電気デバイス1の消費電力の少なくとも1つを用いて、上限を決定してもよい。これらを全て用いることで、上限決定部13は、駆動ユニット40が電気デバイス1へ供給可能な最大電力、及び、電気デバイス1で許容される外部へ供給可能な最大電力のうち、低い方の電力値を、電気デバイス1から外部機器80へ供給する電力の上限として決定することができる。
【0067】
なお、電気デバイス1の構成は、
図4に示す例に限られない。電気デバイス1は、駆動ユニット40から入力された電力を外部へ供給する機能以外に、本来の機能を有する。
図4の例では、操作部14及び表示部15が、電気デバイス1の本来の機能を実現する機能部の一例である。電気デバイス1の本来の機能の機能部として、この他に、例えば、外部との無線通信を行う無線通信装置、ライト、又は、サイクルコンピュータ等が挙げられる。
【0068】
また、電気デバイス1の本来の機能部と、外部電力供給機能とが、常に両方とも機能していなくてもよい。例えば、電気デバイス1の本来の機能が停止し、外部電力供給が機能することを許容するように、電気デバイス1が構成されてもよい。
【0069】
また、
図4の例では、外部供給電力制御部が、上限決定部13、変換器17及び電力供給部18により構成される。外部供給電力制御部は、この構成に限られない。例えば、変換器は、電力分配器で構成されてもよい。また、電気デバイス1が駆動ユニット40の供給可能な電力の上限を示す情報を取得する構成は、必ずしも駆動ユニット40との通信に限られない。例えば、電気デバイス1は、乗員からの入力、又は駆動ユニット40の他の端末との通信により、駆動ユニット40の供給可能な電力の上限を示す情報を取得してもよい。
【0070】
<動作例>
図5は、制御装置42の電気デバイス1への情報通知処理の一例を示すフローチャートである。
図5では、S1において、駆動ユニット40の制御装置42は、バッテリ35の状態を確認する。制御装置42は、例えば、バッテリ35との通信により、バッテリ35の状態を示す情報を取得する。
【0071】
S2において、制御装置42は、バッテリ35が正常か否かを判断する。正常の場合は、制御装置42は、駆動ユニット40において予め決められた供給可能な最大電力(最大出力可能電力)を、電気デバイス1へ通知する値として決定する(S3)。予め決められた供給可能な最大電力は、例えば、仕様等で定められた値であり、制御装置42に予め記録される。
【0072】
バッテリ35が異常と判断した場合(S2でNO)、制御装置42は、通知する供給可能な最大電力の値を0に決定する(S4)。制御装置42は、S3又はS4で決定した値を、電気デバイス1へ供給可能な最大電力の値として、電気デバイス1へ送信する(S5)。
【0073】
図5に示す処理は、周期的に実行される。これにより、制御装置42から、駆動ユニット40が供給可能な電力の上限(最大電力)を、周期的に電気デバイス1へ通知することができる。これにより、通知される供給可能な最大電力は、バッテリ35の状態(正常又は異常)によって、動的に変化する。電気デバイス1は、バッテリ35の状態に応じた適切な最大電力の情報を得ることができる。
【0074】
なお、バッテリ35に対する確認結果は、S2の正常/異常に限られず、他の状態が確認されてもよい。また、通知する供給可能な最大電力の値は、
図5に示す例に限られず、他の値がとられても良い。また、S1のバッテリ状態確認に加えて、又は代えて、他の電力に関する状態の確認が実行されてもよい。また、一定周期でなく、バッテリその他電力に関連する状態が変化した時に、
図5に示す通知処理が実行されてもよい。
【0075】
図6は、電気デバイス1における外部へ供給可能な電力の上限を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
図6では、S11において、電気デバイス1のMCU11は、制御装置42からデータを受信したか否かを判断する。データ未受信の場合、外部へ供給可能な電力の上限(最大電力)を0と決定する。すなわち、外部への電力の供給を禁止とする。
【0076】
S11で受信済みの場合、MCU11は、A-C>Bか否かを判断する(S12)。ここで、Aは、駆動ユニット40の供給可能な最大電力である。Bは、予め決められた電気デバイス1が供給可能な最大電力の値である。Cは、電気デバイス1の消費電力である。S12でNOの場合、外部へ供給可能な電力の上限を、A-Cの値に決定する(S14)。S12でYESの場合、外部へ供給可能な電力の上限を、Bの値に決定する(S15)。これにより、駆動ユニット40が電気デバイス1へ供給可能な最大電力、及び、電気デバイス1で許容される外部へ供給可能な最大電力のうち、低い方の電力値が、電気デバイス1から外部へ供給する電力の上限として決定される。
【0077】
MCU11は、S13~S15のいずれかで決定された供給可能な最大電力の値を、電力供給部18に設定する(S16)。電力供給部18は、設定された値を上限として、電力を外部に供給する。以上の処理により、電気デバイス1では、駆動ユニット40が供給可能な電力、電気デバイス1が供給可能な電力、及び電気デバイス1が消費する電力に応じて、外部へ供給する電力の上限を適切に切り替えることができる。これにより、駆動ユニット40及び電気デバイス1の機種の組み合わせに応じて、外部への電力供給能力を最大限に生かしながらも、能力を超えた電力の供給は避けることができる。
【0078】
電気デバイス1は、
図6に示すような外部へ供給可能な電力の上限を決定する処理を、例えば、所定周期で実行してもよい。或いは、駆動ユニット40と接続された時、駆動ユニット40の供給可能な電力の上限が更新された時、又は、電気デバイス1の消費電力の変化が検出された時、等に、上記上限を決定するが実行されてもよい。
【0079】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1:電気デバイス、10:電動補助自転車、13:上限決定部、16:電力入力部、17:変換器、18:電力供給部、19:外部電力出力端子、駆動ユニット40、80:外部機器