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特開2022-118608リサイクル有価物のマテリアル化のトレース方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118608
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】リサイクル有価物のマテリアル化のトレース方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/28 20120101AFI20220805BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220805BHJP
   G16Y 20/00 20200101ALI20220805BHJP
【FI】
G06Q50/28
G06Q50/10
G16Y20/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015253
(22)【出願日】2021-02-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】515294983
【氏名又は名称】日中ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【弁理士】
【氏名又は名称】影山 剛士
(72)【発明者】
【氏名】王 雪舟
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L049CC52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】顧客から回収した電子機器をトレースし、顧客に対して貨物のレアメタル化に至る工程を共有する方法を実現するリサイクル有価物のマテリアル化のトレース方法を提供する。
【解決手段】サーバ端末の処理部によって実行される、顧客電子機器のレアメタル化をトレースする方法を提供する方法であって、サーバ端末の処理部は、倉庫に設置されたカメラにより撮像された、顧客から回収した機器を保管する電子機器の第1の動画像情報を取得し、第1の動画像情報を、顧客に関連する案件情報と関連付け、関連付けた第1の動画像情報と案件情報とを、顧客に関連づけられる顧客端末に送信する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ端末の処理部によって実行される、顧客電子機器のレアメタル化をトレースする方法を提供する方法であって、
前記サーバ端末の処理部は、倉庫に設置されたカメラにより撮像された、顧客から回収した機器を保管する電子機器の第1の動画像情報を取得し、
前記第1の動画像情報を、前記顧客に関連する案件情報と関連付け、
前記関連付けた前記第1の動画像情報と前記案件情報とを、前記顧客に関連づけられる顧客端末に送信することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記電子機器を前記倉庫まで配送する配送車両に設置されたカメラにより撮像された、前記電子機器の第2の動画像情報を取得し、
前記取得した第2の動画像情報を、前記案件情報と関連付け、
前記関連付けた前記第2の動画像情報と前記案件情報とを、前記顧客に関連づけられる顧客端末に送信することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記倉庫の位置情報を取得し、
前記倉庫の位置情報を、前記案件情報と関連付け、
前記倉庫の位置情報を、前記顧客端末に送信することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記倉庫内に前記電子機器が保管される位置に関連する保管情報を取得し、
前記保管情報を、前記案件情報と関連付け、
前記保管情報を、前記顧客端末に送信することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電子機器の加工状況を示す進捗情報を取得し、
前記加工状況を示す進捗状況を示す進捗情報を、前記顧客情報と関連付け、
前記進捗情報を、前記顧客端末に送信することを特徴とする、請求項1に記載の方法。



















【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客電子機器等のリサイクル有価物のマテリアル化のトレース方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レアメタルの抽出業者が、スマートフォンやパソコン等を販売する携帯キャリアや家電量販店等の顧客から電子機器を貨物(または、リサイクル有価物)として回収し、機器を部品に分解し、部品からレアメタルを抽出する事業が普及している。
【0003】
例えば、特許文献1において、電子機器や部品にRFIDチップを装着し、リーダにより情報を読み取ることで、サーバにおいてレアメタル情報を管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-116640号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レアメタル抽出のために回収されたはずの顧客から回収した電子機器や部品が、分解、抽出工程に入る前に転売されてしまう、という課題が生じており、特許文献1の技術によってそのような課題を解決することは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、顧客から回収した電子機器またはそれを梱包する貨物をトレースし、顧客に対して電子機器のレアメタル化に至る工程を共有する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における、サーバ端末の処理部によって実行される、顧客電子機器のレアメタル化をトレースする方法を提供する方法であって、前記サーバ端末の処理部は、倉庫に設置されたカメラにより撮像された、顧客から回収した機器を保管する電子機器の第1の動画像情報を取得し、前記第1の動画像情報を、前記顧客に関連する案件情報と関連付け、
前記関連付けた前記第1の動画像情報と前記案件情報とを、前記顧客に関連づけられる顧客端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、顧客から回収した電子機器またはそれを梱包する貨物をトレースし、顧客に対して電子機器のレアメタル化に至る工程を共有する方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る、顧客電子機器のレアメタル化の各工程を説明する図である。
図2】顧客電子機器のレアメタル化をトレースするシステム1の構成図である。
図3図1のサーバ端末100を示す機能ブロック構成図である。
図4図1の顧客端末200を示す機能ブロック構成図である。
図5】サーバ100に格納される顧客情報の一例を示す図である。
図6】サーバ100に格納される案件情報の一例を示す図である。
図7】サーバ100に格納される保管情報の一例を示す図である。
図8】本発明の第一実施形態に係る、顧客の電子機器のレアメタル化のトレース方法を示すフローチャートの一例である。
図9】本発明の第一実施形態に係る、顧客の電子機器のレアメタル化のトレース方法のうち、加工工程を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本発明の必須の構成要素であるとは限らない。
【0011】
図1は、本発明の第一実施形態に係る、顧客から回収された電子機器のレアメタル化の各工程を説明する図である。
【0012】
まず、レアメタル再生業者は、携帯キャリア業者及び家電量販店(以下、総称して「顧客」という)から廃棄される、スマートフォン、パソコン及び周辺機器等の電子機器を回収する。ここで、再生業者は、回収に先駆けて顧客の所在する場所に下見を実施する。再生業者は、下見のうえ、回収する電子機器(例えば、サーバ、伝送機器、ノートPC、光ケーブル等)を特定し、回収を行う配送車両(例えば、トラック、ワゴン車等)の種類及び段ボールへの事前梱包の要否を決定する。下見に際して、例えば、回収業者が持参したIoTデバイスに対し、ハードディスク等に格納されたデータの取り込みを行うこともできる。また、回収に際して、電子機器の引取の荷姿の配車(例えば、トラック、ワゴン車及び/またはワゴン車)を決定し、配車をシステム上で管理する。ここで、配車の車両番号、ドライバー、配車時間等をシステムで管理することもできる。
【0013】
回収された電子機器は貨物として、顧客が指定する指定倉庫までトラック等の配送車両によって配送される。トラックにはGPSが備えられ、貨物の配送状況が位置情報によってトレースされる。また、トラックには、カメラが備えられ、対象の貨物を収納するに貨物が撮像される。
【0014】
指定倉庫まで配送された荷物は、指定倉庫内の所定のフロアの保管場所に保管され、管理される。倉庫には複数のカメラが備えられ、各々のカメラは、各保管場所に保管される荷物を撮像する。
【0015】
指定倉庫で管理される貨物は、加工場に配送され、加工における各工程(分解、取り出し、異物除去)の進捗がトレースできるよう、例えば、分解の作業台、メッシュパレット(分解、仕訳後の箱)及び電子機器本体の全てまたはいずれかにIoTデバイス(例えば、センサ)が備えられる。
【0016】
加工工程を終えた電子機器は、各ロットに仕分けされ、トラック等の配送車両によって指定先に出荷される。上記同様、トラックにはGPSが備えられ、貨物の配送状況が位置情報によってトレースされる。また、トラックには、カメラが備えられ、対象の貨物を収納するに貨物が撮像される。
【0017】
すべての工程は、顧客貨物または電子機器がどの工程にあるか、また、どの場所にあるかを顧客が確認できるよう、位置情報として後述のサーバ端末100において管理され、全部または一部の工程において、貨物がしかるべき場所で適切に管理されているか、を顧客が確認できるよう、カメラにより撮像され、撮像された動画像もまたサーバ端末100において管理される。
【0018】
図2は、顧客電子機器のレアメタル化をトレースするシステム1の構成図である。
【0019】
本システム1は、顧客から電子機器等を回収しレアメタルに再生する事業者により管理され、電子機器のレアメタル化の進捗を管理するサーバ端末100と、電子機器等を廃棄し、レアメタル化を上記事業者に委託し、管理された貨物または電子機器に関する情報を受信する顧客端末200A、200Bで構成される。以下、説明の便宜のため、顧客端末200A、200Bを総称して、顧客端末200として説明する。
【0020】
ここで、電子機器は、スマートフォン、パソコン及び周辺機器を含むものとするが、これらに限定されず、レアメタル化のため廃棄及び回収対象となる機器類が含まれ得る。
【0021】
サーバ端末100と顧客端末200は各々、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0022】
サーバ端末100は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。本実施形態においては、説明の便宜上サーバ端末として1台を例示しているが、これに限定されず、複数台であってもよい。
【0023】
顧客端末200は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォンや携帯電話、PDA等により構成しても良い。
【0024】
本実施形態では、システム1は、サーバ端末100及び顧客端末200を有し、顧客が顧客端末200を利用して、サーバ端末100に対する操作を行う構成として説明するが、サーバ端末100がスタンドアローンで構成され、サーバ端末自身に、各顧客が直接操作を行う機能を備えても良い。
【0025】
また、本システム構成において、サーバ端末100は、ネットワークNWを介して、電子機器の貨物を配送、出荷する配送車両300、及び電子機器を保管する倉庫400に各々備えられた端末、センサ、GPS等と通信を行うことができる。
【0026】
図3は、図1のサーバ端末100の機能ブロック構成図である。サーバ端末100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0027】
通信部110は、ネットワークNWを介して顧客端末200と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0028】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、顧客に関連する各種データを格納する、顧客情報格納部121、及び顧客がレアメタル再生業者に対してレアメタル化を依頼する対象であって、廃棄対象となる電子機器毎に案件として管理される案件情報を格納する案件情報格納部122を有する。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120またはサーバ端末100外に構築されていてもよい。
【0029】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、顧客端末200、配送車両300及び倉庫400等から情報を受け付ける情報受付部131、顧客に関連する各種データを参照し、処理する顧客情報処理部132、案件に関連する各種データを参照し、処理する案件情報処理部133、また、情報を送信または出力を行う出力処理部を有する。この情報受付部131、顧客情報処理部132、案件情報処理部133、及び出力処理部134は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるサーバ端末100により実行される。
【0030】
情報受付部131は、サーバ端末100が提供し、顧客端末200において、ウェブブラウザまたはアプリケーションを介して表示される画面等のユーザインターフェースを介して、ユーザが、(テキストを入力したり、アイコンを押下する等して)所定の要求を行ったとき、顧客端末200から通信部110を介して情報を受付ける。また、情報受付部131は、顧客貨物を配送する配送車両300及び貨物に含まれる電子機器を保管する倉庫400等からGPSに基づく位置情報、動画情報及び/または進捗情報を受信したりする。また、図示しない加工場からも位置情報、動画情報及び/または進捗情報を受信することもできる。
【0031】
顧客情報処理部132は、顧客に関連する情報を顧客情報格納部121に格納したり、格納された顧客情報を参照する処理を行う。
【0032】
案件情報処理部133は、案件に関連する情報を設計図情報格納部122に格納したり、格納された設計図情報を参照する処理を行う。
【0033】
出力処理部134は、顧客端末200に情報に関連する情報等を表示させるため、顧客端末200に対し必要な情報を送信する処理を行う。この際、出力処理部134は、記憶部120に格納された画像及びテキストデータを素材として、所定のレイアウト規則に基づいて、各種画像及びテキストをユーザインターフェースの所定の領域に配置することで、顧客端末200のインターフェースに表示されるために必要な画面情報を生成することができる。この画面情報生成処理は、GPU(Graphics Processing Unit)によって実行することもできる。
【0034】
図4は、図1の顧客端末200を示す機能ブロック構成図である。顧客端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
【0035】
通信部210は、ネットワークNWを介してサーバ端末100と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0036】
表示操作部220は、ユーザが指示を入力し、制御部240からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザインターフェースであり、顧客端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、顧客端末200がスマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である顧客端末200により実行される。
【0037】
記憶部230は、各種制御処理や制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部230は、サーバ端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0038】
制御部240は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、顧客端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0039】
なお、サーバ端末100に表示操作部の機能を備える構成としても良く、この場合、顧客端末200を備えない構成としても良い。
【0040】
図5は、サーバ100に格納される顧客情報の一例を示す図である。
【0041】
図5に示す顧客情報1000は、サーバ端末100を管理するレアメタル再生事業者に廃棄する電子機器を引き渡し、レアメタル再生を依頼する、携帯キャリア事業者や家電量販店等の、顧客端末200に関連する顧客に関連する情報等を格納する。図5において、説明の便宜上、一顧客(顧客ID「10001」で識別される顧客)の例を示すが、複数の顧客の情報を格納することができる。顧客に関連する各種データとして、顧客の会社情報に関するデータ、顧客がレアメタル再生のためにレアメタル再生事業者に引き渡す電子機器に基づいた案件に関連する案件データを含むことができる。案件データは後述する案件情報と紐づけができる。
【0042】
図6は、サーバ100に格納される案件情報の一例を示す図である。
【0043】
図6に示す案件情報2000は、顧客がレアメタル再生のためにレアメタル再生事業者に引き渡す電子機器に基づいた案件に関連する案件情報等を格納する。案件は、顧客から回収される一または複数の電子機器を梱包する貨物に対応し、回収から加工後の出荷までの進捗を管理するために付与されるものである。図6において、説明の便宜上、一案件(案件ID「20001」で識別される案件)の例を示すが、複数の案件に関連する情報を格納することができる。案件に関連する各種データとして、例えば、案件に紐づけられる電子機器に関連するデータ(例えば、電子機器の名称、種類、電子機器の識別子(案件情報の枝番として管理される識別子(例えば、001、002等))を含むことができる。また、案件データ2000は、電子機器の保管、加工、出荷等のレアメタル化における工程における作業進捗を管理する進捗データ、電子機器の位置情報を示す位置情報データ、電子機器の保管先の倉庫及び倉庫における電子機器の保管場所を示す保管情報データ、また、配送車両300または倉庫400に備えられたカメラにより撮像された、電子機器の動画像に関連する動画データとを含むことができる。
【0044】
図7は、サーバ100に格納される保管情報の一例を示す図である。
【0045】
図7に示す保管情報は、上記案件情報に格納された保管情報データに対応する。保管情報は、電子機器の保管先の倉庫及び倉庫における電子機器等の保管場所を示す。保管情報として、例えば、電子機器を保管する倉庫を識別する識別子(例えば、「5001」、「5002」等)に対し、倉庫のフロア(1F、2F、3F、4F等のフロア)及び各フロアの保管場所(A、B、C、D、E、F等の保管セクション)を紐づけて、電子機器の保管場所を管理することができる。
【0046】
図8は、本発明の第一実施形態に係る、顧客の電子機器のレアメタル化のトレース方法を示すフローチャートの一例である。
【0047】
ここで、本システム1を利用するために、顧客は、顧客端末200のウェブブラウザまたは(アプリケーションをインストールする場合は)アプリケーション等を利用してサーバ端末100にアクセスする。ウェブサイトまたはアプリケーション等を介してユーザインターフェース上に所定の画面が表示され、図8に示すステップS101へ進む。
【0048】
まず、ステップS101の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、顧客端末200から、案件依頼の要求を受信する。案件として、上記説明した通り、顧客は、サーバ端末100を運営するレアメタル再生事業者に対し、一または複数の電子機器の廃棄及び電子機器のレアメタル化を依頼する。ステップS102の処理として、サーバ端末100の制御部130の顧客情報処理部132は、案件を依頼した顧客に関する顧客情報を生成し、また、制御部130の案件情報処理部132は、電子機器及び電子機器を梱包した貨物について、回収から加工後の出荷までの進捗を管理するために案件IDを付与し、機器データを含む案件情報を生成する。案件IDとして、例えば、案件のマスタID「2001」に対し、電子機器毎に「001」、「002」というように、案件に紐づけて複数の電子機器について案件IDを生成することができる。サーバ端末100の制御部130の顧客情報処理部131及び案件情報処理部132は、顧客情報及び案件情報を、記憶部120の顧客情報格納部121及び案件情報格納部122に各々格納する。案件依頼に際して、情報受付部121は、顧客端末200から回収の指定を受け付けることができる。具体的には、回収の指定として、トラックまたはワゴン車等の車による回収、段ボールの指定(段ボールのサイズ等の種類の指定を含む)等が挙げられる。ここで、再生業者は、案件を受け付け、回収に先駆けて顧客の所在する場所に下見を実施することもできる。再生業者は、下見のうえ、回収する電子機器(例えば、サーバ、伝送機器、ノートPC、光ケーブル等)を特定し、回収を行う配送車両(例えば、トラック、ワゴン車等)の種類及び段ボールへの事前梱包の要否を決定する。下見に際して、例えば、回収業者が持参したIoTデバイスに対し、ハードディスク等に格納されたデータの取り込みを行うこともできる。また、回収に際して、電子機器の引取の荷姿の配車(例えば、トラック、ワゴン車及び/またはワゴン車)を決定し、配車をシステム上で管理する。ここで、配車の車両番号、ドライバー、配車時間等をシステムで管理することもできる。サーバ端末100は、顧客端末200に対し、案件情報として、回収する電子機器の名称、数、回収日時、配車情報(配車車両の名称もしくは種類及び段ボールの有無、配車車両に積荷する電子機器の名称等)等を送信することができる。
【0049】
続いて、ステップS103の処理として、サーバ端末100の制御部130の案件情報処理部133は、配送業者端末に顧客から回収した電子機器の貨物の倉庫への配送依頼を行う。ここで、また、ステップS104の処理として、案件情報処理部133は、記憶部120の案件情報格納部122に、案件の進捗データを生成し、進捗を「配送中」のステータスとして更新し、進捗データとして案件情報格納部122に格納する。
【0050】
続いて、ステップS105の処理として、情報受付部131は、配送車両300に備えられたGPSを介して電子機器を梱包した貨物の位置情報を受信する。また、ステップS106の処理として、配送車両の荷台に備えられたカメラにより撮像された貨物の動画情報を受信する。ここで、情報受付部131は、配送車両から直接ではなく、配送車両300の位置情報及び動画情報を管理する(図示しない)配送業者端末から位置情報または動画情報を受信することもできる。ここで、情報受付部131は、動画情報を、録画形式で受信することもできるし、または、ストリーミングデータとして逐次受信することもできる。案件情報処理部133は、記憶部120の案件情報格納部122に、受信した位置情報及び動画情報を各々位置情報データ及び動画データとして格納する。続いて、ステップS107の処理として、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に顧客貨物の位置情報及び動画情報を送信する。顧客は、顧客端末200において、貨物の位置情報を、地図表示アプリケーションを介して表示される地図上の位置を通じて確認できたり、テキスト情報として今貨物がどの地域または配送ポイントを通過しているか確認することができる。また、顧客は、顧客端末200に表示される動画表示アプリケーションを介して表示される貨物の動画を(ストリーミング形式または録画形式で)確認することができる。
【0051】
続いて、ステップS108の処理として、情報受付部131は、配送車両が指定倉庫に到着した旨の進捗情報及び指定倉庫における電子機器の保管先を示す情報を倉庫端末400から受信する。ステップS109の処理として、案件情報処理部133は、進捗を「保管中」のステータスとして更新し、進捗データとして案件情報格納部122に格納する。また、案件情報処理部133は、保管情報データを生成し、記憶部120の案件情報格納部122に、顧客貨物が倉庫に保管された旨及び電子機器の保管先を示す情報を更新のうえ格納する。保管情報として、例えば、倉庫IDのマスタID「5001」に対し、フロア番号「1F」及び保管場所(セクション)「A」というように、生成することができる。続いて、ステップS110の処理として、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に進捗情報を送信する。具体的に、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に顧客貨物が指定倉庫に保管中の旨及び保管情報を送信する。顧客は、顧客端末200において、指定倉庫における電子機器の保管場所に関する情報を確認することができる。また、ステップS111の処理として、情報受付部131は、倉庫内に備えられたカメラにより電子機器の保管場所及び電子機器を撮像した動画情報を受信する。ここで、情報受付部131は、倉庫に備えられたGPSその他倉庫の位置情報を受信することもできる。ここで、案件情報処理部133は、記憶部120の案件情報格納部122に、受信した動画情報を動画データ(位置情報を受信した場合は位置情報データ)として格納する。続いて、ステップS112の処理として、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に電子機器の動画情報を送信する。顧客は、顧客端末200に表示される動画表示アプリケーションを介して表示される電子機器の動画を(ストリーミング形式または録画形式で)確認することができる。
【0052】
続いて、ステップS113の処理として、情報受付部131は、倉庫端末400から、電子機器が加工工場に配送された旨の進捗情報を受信する。ここで、情報受付部131は、加工工場が倉庫に併設されている場合は、加工中である旨の進捗情報を受信することもできる。ステップS114の処理として、案件情報処理部133は、進捗を「加工中」のステータスとして更新し、進捗データとして案件情報格納部122に格納する。続いて、ステップS115の処理として、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に「加工中」である旨の進捗情報を送信する。顧客は、顧客端末200において、電子機器が加工中である旨確認することができる。また、ステップS116の処理として、情報受付部131は、加工工場または倉庫内に備えられたカメラにより電子機器の加工場所及び加工中または保管された電子機器を撮像した動画情報を受信する。ここで、情報受付部131は、加工工場または倉庫に備えられたGPSその他倉庫の位置情報を受信することもできる。続いて、ステップS117の処理として、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に顧客端末200に電子機器の動画情報を送信する。顧客は、顧客端末200の動画表示アプリケーションを介して表示される電子機器の動画を(ストリーミング形式または録画形式で)確認することができる。
【0053】
続いて、加工を終え、ロット分けされた電子機器(この時点ではレアメタルを含む部品)について、ステップS118の処理として、情報受付部131は、倉庫端末400から、電子機器が指定先に出荷された旨の進捗情報を受信する。ここで、情報受付部131は、1)レアメタル再生事業者または経産省認可のリサイクル証明(レポート)、2)経産省認可のHDD破壊証明(レポート)、3)情報消去済証明(レポート)、及び4)経産省認可のHDDシリアル番号一覧(レポート)に関する情報を受信することもできる。ステップS119の処理として、案件情報処理部133は、進捗を「出荷済」のステータスとして更新し、進捗データとして案件情報格納部122に格納する。続いて、ステップS120の処理として、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に「出荷済」である旨の進捗情報を送信する。顧客は、顧客端末200において、電子機器が出荷済、回収された電子機器がレアメタル化され全工程が完了済である旨確認することができる。ここで、制御部130の出力処理部134は、上記レポートを顧客端末200に送信、または、レアメタル再生事業者により紙媒体によるレポートを郵送することができる。
【0054】
これにより、顧客は、顧客端末200において、電子機器の回収からレアメタル化に向けた加工及び出荷に至るまでの全工程について、リアルタイムに、かつ、可視化する形で確認することができる。このように、全工程において、顧客が動画情報も含めて自身が廃棄した電子機器をトレース可能とすることを可能とすることで、廃棄品の転売リスクを無くすことが可能となる。
【0055】
図9は、本発明の第一実施形態に係る、顧客の電子機器のレアメタル化のトレース方法のうち、加工工程を示すフローチャートの一例である。
【0056】
図9は、図8における加工工程をさらに具体化して説明するものである。本例においては、倉庫とは異なる場所に加工工場が立地し、加工工場において、電子機器の加工が実施されることを想定している。ここで、倉庫が加工作業場所を提供している場合は、加工工場で実施される処理を倉庫で実施されるものとしてもよい。
【0057】
まず、ステップS201の処理として、情報受付部131は、指定倉庫における電子機器の保管先を示す情報を倉庫端末400から受信する。ステップS202の処理として、案件情報処理部133は、進捗を「保管中」のステータスとして更新し、進捗データとして案件情報格納部122に格納する。また、案件情報処理部133は、保管情報データを生成し、記憶部120の案件情報格納部122に、顧客貨物が倉庫に保管された旨及び電子機器の保管先を示す情報を更新のうえ格納する。続いて、ステップS203の処理として、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に電子機器の保管情報を送信する。
【0058】
その後、電子機器が倉庫から加工工場に配送され、加工工場が電子機器を受領すると、ステップS204の処理として、情報受付部131は、電子機器の受領の旨及び電子機器の加工作業の着手の旨進捗を示す情報を(図示しない)加工工場端末から受信する。ステップS205の処理として、案件情報処理部133は、進捗を「加工開始」のステータスとして更新し、進捗データとして案件情報格納部122に格納する。続いて、ステップS206の処理として、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に電子機器の進捗情報を送信する。
【0059】
続いて、加工工場において、電子機器が部品に分解されることに着手され、または、完了すると、ステップS207の処理として、情報受付部131は、電子機器の分解着手または完了の旨進捗を示す情報を(図示しない)加工工場端末から受信する。ステップS208の処理として、案件情報処理部133は、進捗を「分解着手」または「分解完了」のステータスとして更新し、進捗データとして案件情報格納部122に格納する。続いて、ステップS209の処理として、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に電子機器の進捗情報を送信する。
【0060】
続いて、加工工場において、部品に分解された電子機器からレアメタルを含む部品が取り出されることに着手され、または、完了すると、ステップS210の処理として、情報受付部131は、電子機器の分解着手または完了の旨進捗を示す情報を(図示しない)加工工場端末から受信する。ステップS211の処理として、案件情報処理部133は、進捗を「取り出し着手」または「取り出し完了」のステータスとして更新し、進捗データとして案件情報格納部122に格納する。続いて、ステップS212の処理として、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に電子機器の進捗情報を送信する。
【0061】
続いて、加工工場において、レアメタルを含む部品が取り出され、部品から異物を除去されることに着手され、または、完了すると、ステップS213の処理として、情報受付部131は、電子機器の異物除去着手または完了の旨進捗を示す情報を(図示しない)加工工場端末から受信する。ステップS214の処理として、案件情報処理部133は、進捗を「異物除去着手」または「異物除去完了」のステータスとして更新し、進捗データとして案件情報格納部122に格納する。続いて、ステップS215の処理として、制御部130の出力処理部134は、顧客端末200に電子機器の進捗情報を送信する。
【0062】
なお、図8に示した通り、サーバ端末100は、電子機器の加工工程においても、加工工場に備えられたカメラにより撮像された電子機器の保管場所及び/または電子機器の加工状況に関する動画情報を受信し、顧客端末200に対して送信することができる。また、加工工場において、例えば、電子機器を分解(仕分け)する作業台、分解(仕分け)後に部品を一時保管するメッシュパレット(箱)、及び電子機器本体にGPSまたはRFID等のセンサを設置することで、サーバ端末100は、電子機器の位置情報を受信し、位置情報についても顧客端末200に送信することができる。
【0063】
これにより、顧客は、顧客端末200において、電子機器の加工状況をリアルタイムに、かつ、可視化する形で確認することができる。
【0064】
以上、発明に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 システム 100 サーバ端末、110 通信部、120 記憶部、130 制御部、200 顧客端末、300 配送車両、400 倉庫端末、NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ端末の処理部によって実行される、顧客から回収された電子機器のレアメタル化をトレースする方法を提供する方法であって、
前記サーバ端末の処理部は、倉庫に設置されたカメラにより撮像された、前記倉庫に保管された前記電子機器の第1の動画像情報を取得し、
前記第1の動画像情報を、前記顧客に関連する案件情報と関連付け、
前記関連付けた前記第1の動画像情報と前記案件情報とを、前記顧客に関連づけられる顧客端末に送信し、
前記電子機器を前記倉庫まで配送する配送車両に設置されたカメラにより撮像された、前記電子機器の第2の動画像情報を取得し、
前記取得した第2の動画像情報を、前記案件情報と関連付け、
前記関連付けた前記第2の動画像情報と前記案件情報とを、前記顧客に関連づけられる顧客端末に送信することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記倉庫の位置情報を取得し、
前記倉庫の位置情報を、前記案件情報と関連付け、
前記倉庫の位置情報を、前記顧客端末に送信することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記倉庫内に前記電子機器が保管される位置に関連する保管情報を取得し、
前記保管情報を、前記案件情報と関連付け、
前記保管情報を、前記顧客端末に送信することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電子機器の加工状況を示す進捗情報を取得し、
前記加工状況を示す進捗状況を示す進捗情報を、前記案件情報と関連付け、
前記進捗情報を、前記顧客端末に送信することを特徴とする、請求項1に記載の方法。