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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118652
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220805BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015333
(22)【出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】内田 佳祐
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083GA09
5F083GA10
5F083JA02
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA19
5F083KA01
5F083LA21
5F083PR05
5F083PR21
5F101BA45
5F101BB05
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD32
5F101BD34
5F101BH02
5F101BH15
(57)【要約】
【目的】3次元NAND型フラッシュメモリ装置のワード線となる導電層に生じるボイドを低減可能な半導体装置を提供する。
【構成】実施形態の半導体装置は、複数の導電層10と、複数のチャネルボディ21と、メモリ膜20と、を備える。複数の導電層10は、互いに離間して積層され、その積層方向と交差する第1方向に延びる板状を有し、前記第1方向に延びる両側面の一方が他方よりも表面粗さが大きくなるように形成される。複数のチャネルボディ21は、半導体を含み、前記積層方向に前記複数の導電層を貫通する。メモリ膜20は、電荷蓄積膜を含み、前記複数のチャネルボディのそれぞれと前記複数の導電層との間を前記積層方向に延びる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して積層され、その積層方向と交差する第1方向に延びる板状を有し、前記第1方向に延びる両側面の一方が他方よりも表面粗さが大きくなるように形成された複数の導電層と、
前記積層方向に前記複数の導電層を貫通する、半導体を含む複数のチャネルボディと、
前記複数のチャネルボディのそれぞれと前記複数の導電層との間を前記積層方向に延び、電荷蓄積膜を含むメモリ膜と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数の導電層は、ボイドレスに形成されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の導電層の各導電層と交互に積層され、隣接する導電層と直接接触するように配置される複数の絶縁層をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記メモリ膜は、前記電荷蓄積膜と前記複数の導電層との間を前記積層方向に延びるブロック絶縁膜をさらに含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数のチャネルボディは、千鳥格子状に配置され、
前記複数の導電層の前記一方の各側面は、前記複数のチャネルボディの前記第1方向に沿った配置ピッチの2倍の周期で凹凸を繰り返すことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、特に、半導体記憶装置の開発において、大容量化、低コスト化等を達成すべく、メモリセルの微細化が進められている。例えば、メモリセルを3次元的に配置した3次元NAND型フラッシュメモリ装置の開発が進められている。3次元NAND型フラッシュメモリ装置では、絶縁層を介して積層されたワード線層に、ワード線層面に垂直な方向(いわゆる積層方向)にメモリセルを繋げたNANDストリングが形成される。これにより、2次元状にメモリセルを配置する場合に比べて高集積化を達成している。3次元NAND型フラッシュメモリ装置において、絶縁層で挟まれた空間にワード線となる導電層を埋め込む場合に導電層内にボイド(空隙)が形成されてしまう場合があるといった問題がある。ボイドが形成されてしまうことによりワード線の抵抗が劣化してしまう。これにより歩留まりが劣化してしまう。そのため、ワード線となる導電層の埋め込み性の改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-009904号公報
【特許文献2】特開2020-043273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、3次元NAND型フラッシュメモリ装置のワード線となる導電層に生じるボイドを低減可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、複数の導電層と、複数のチャネルボディと、メモリ膜と、を備える。複数の導電層は、互いに離間して積層され、その積層方向と交差する第1方向に延びる板状を有し、前記第1方向に延びる両側面の一方が他方よりも表面粗さが大きくなるように形成される。複数のチャネルボディは、半導体を含み、前記積層方向に前記複数の導電層を貫通する。メモリ膜は、電荷蓄積膜を含み、前記複数のチャネルボディのそれぞれと前記複数の導電層との間を前記積層方向に延びる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
図2】第1の実施形態における各層の導電層の構成の一例を示す上面図である。
図3】第1の実施形態における1つのワード線の一例の拡大上面図である。
図4】第1の実施形態における1つのワード線の他の一例の拡大上面図である。
図5】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図6】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。
図7】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。
図8】第1の実施形態におけるメモリセル領域の構成の一例を示す断面図である。
図9】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。
図10】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。
図11】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。
図12】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。
図13】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。
図14】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。
図15】第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。
図16】第1の実施形態の比較例における積層膜の断面を説明するための図である。
図17】第1の実施形態における積層膜の断面を説明するための図である。
図18】第1の実施形態の比較例における選択ゲートの分断層を配置した積層膜の断面の一例を説明するための図である。
図19】第1の実施形態における選択ゲートの分断層を配置した積層膜の断面の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態では、半導体装置の一例として、3次元NAND型フラッシュメモリ装置について説明する。以下、図面を用いて説明する。なお、各図において、x、y、z方向は、相互に直交し、z方向を上方或いは上層方向、その反対方向を下方或いは下層方向として説明する場合がある。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。図1において、第1の実施形態における半導体装置では、半導体基板200(基板)上に、半導体記憶装置におけるワード線(WL)となる互いに離間して積層された複数の導電層10の各層の導電層10と、隣接する導電層10同士間を絶縁する複数の絶縁層12の各層の絶縁層12とが交互に積層されている。第1の実施形態では、複数の絶縁層12は、複数の導電層10の各導電層10と交互に積層され、隣接する導電層10と直接接触するように配置される。各絶縁層12は、隣接する導電層10との間に、例えば、後述する酸化アルミニウム等のブロック絶縁膜を介在させずに配置される。また、各導電層10は、隣接する絶縁層12との間に、例えば窒化チタン(TiN)等のバリアメタル膜を介在させずに配置される。
【0009】
各層の導電層10は、ワード線コンタクト領域とメモリセル領域とに跨がるように、複数の導電層10の積層方向(z方向)と交差する第1方向(y方向)に延びる板状の層である。図1の例では、各導電層10は紙面奥に向かって板状に延びる場合を示している。また、図1の例では、メモリセル領域について示している。以下、各図において、ワード線コンタクト領域の図示は省略している。図1の例では、半導体基板200上に、まず絶縁層12が配置され、最上層の導電層10上は絶縁膜19で覆われる。各層の導電層10は、板状の導電層10の長手方向である第1方向に直交する方向(x方向)について、開口部150,152(溝)により隣接する導電層10と分離される。図1の例では、開口部150,152が形成された状態が示されているが、かかる開口部150,152には、側壁に絶縁スペーサを有する図示しない導電体が配置されて半導体記憶装置が構成される。或いは、開口部150,152が絶縁体によって埋め込まれても構わない。
【0010】
また、メモリセル領域内で、複数の導電層10と複数の絶縁層12との積層体を積層方向に貫通する柱状のチャネルボディ21が配置される。チャネルボディ21の材料として、半導体材料が用いられる。そして、メモリセル領域内で、各導電層10と、チャネルボディ21の間に、電荷蓄積膜を含むメモリ膜20が配置される。メモリ膜20は、チャネルボディ21側面全体を取り囲むように、複数の導電層10と複数の絶縁層12との積層体を積層方向に貫通する筒状に配置される。ワード線となる導電層10と、メモリ膜20と、メモリ膜20に囲まれるチャネルボディ21と、の組合せによって、1つのメモリセルを構成する。同じチャネルボディ21とメモリ膜20が貫通する各層の導電層10におけるメモリセルを繋げた複数のメモリセルにより1つのNANDストリングを構成する。また、1層の導電層10には、複数のチャネルボディ21と、各チャネルボディ21を取り囲むメモリ膜20とが配置される。図1の例では、ワード線の幅方向にチャネルボディ21とメモリ膜20とによる4つのメモリセルが並ぶ場合が示されている。
【0011】
各チャネルボディ21の一端は、例えば、積層体より上層で、図示しないそれぞれ別のビット線コンタクト及びビット線に接続される。各チャネルボディ21の他端は、例えば、積層体より下層で、図示しない共通のソース線に接続される。なお、柱状の各チャネルボディ21は、半導体材料を用いて底部を有する筒状の構造が形成され、その内部に絶縁材料を用いたコア部が配置されたものであっても良い。
【0012】
図2は、第1の実施形態における各層の導電層の構成の一例を示す上面図である。図2において、各層の複数の導電層10a,10b,10c,10dは、紙面上方(y方向)に向かって板状に延びる。各層の複数の導電層10a,10b,10c,10dの各々には、複数のチャネルボディ21とメモリ膜20とによる複数のメモリセルが配置される。図2の例では、各導電層10に、複数のチャネルボディ21とメモリ膜20(メモリセル)が千鳥格子状に配置される場合を示している。
第1の実施形態において、互いに離間して積層され、積層方向(z方向)と交差する第1方向(y方向)に延びる板状の複数の導電層10は、第1方向(y方向)に延びる両側面の一方が他方よりも表面粗さが大きくなるように形成される。図2の例では、各層のx方向に並ぶ複数の導電層10a,10b,10c,10dの一方の側面13は、他方の側面11よりも表面粗さが大きくなるように形成される場合を示している。また、各層のx方向に並ぶ複数の導電層10a,10b,10c,10dにおいて、隣接する導電層10同士は、表面粗さが大きい側面13同士、或いは表面粗さが小さい側面11同士が対向するように並ぶ。例えば、ワード線WLaとなる導電層10aとワード線WLbとなる導電層10bでは、表面粗さが大きい側面13同士(側面13a,13b)が対向する。1つ隣の導電層10bとワード線WLcとなる導電層10cでは、表面粗さが小さい側面11同士(側面11b,11c)が対向する。さらに1つ隣の導電層10cとワード線WLdとなる導電層10dでは、表面粗さが大きい側面13同士(側面13c,13d)が対向する。以降、対向する面同士が側面11同士の場合と側面13同士の場合とが交互に繰り返される。
【0013】
図3は、第1の実施形態における1つのワード線の一例の拡大上面図である。図3において、複数のメモリ膜20(及びチャネルボディ21)が千鳥格子に配置された各導電層10の一方の側面13は、複数のメモリ膜20(及びチャネルボディ21)の導電層10が延びる第1方向(y方向)に沿った配置ピッチPの2倍の周期(2P)で凹凸を繰り返す。なお、複数のメモリ膜20(及びチャネルボディ21)の配置の仕方は、千鳥格子に限るものではない。
【0014】
図4は、第1の実施形態における1つのワード線の他の一例の拡大上面図である。図4では、各導電層10に複数のメモリ膜20(及びチャネルボディ21)が正方格子に配置された場合を示している。このように、複数のメモリ膜20(及びチャネルボディ21)が正方格子に配置されても良い。複数のメモリ膜20(及びチャネルボディ21)が正方格子に配置された各導電層10の一方の側面13は、複数のメモリ膜20(及びチャネルボディ21)の導電層10が延びる第1方向(y方向)に沿った配置ピッチPと同様の周期(1P)で凹凸を繰り返す。
【0015】
図5は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の要部工程を示すフローチャート図である。図5において、第1の実施形態における半導体装置の製造方法では、積層膜形成工程(S102)と、メモリ膜形成工程(S104)と、チャネル膜形成工程(S106)と、絶縁膜形成工程(S108)と、溝形成工程(S110)と、導電膜形成工程(S112)と、成長阻害膜形成工程(S114)と、レジストパターン形成工程(S116)と、エッチング工程(S118)と、置換(リプレース)工程(S120)と、エッチング工程(S122)と、いう一連の工程を実施する。
【0016】
図6は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の一部を示す断面図である。図6では、図5の積層膜形成工程(S102)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0017】
図6において、積層膜形成工程(S102)として、まず、半導体基板200上に、例えば、原子層気相成長(atomic layer deposition:ALD、あるいは、atomic layer chemical vapor deposition:ALCVD)法若しくは化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法を用いて、絶縁層12と犠牲膜層30とを交互に積層する。図6の例では、まず、半導体基板200上に絶縁層12を形成した後、犠牲膜層30と絶縁層12とを交互に積層する場合を示している。かかる工程により、複数の犠牲膜層30の各層の犠牲膜層30と、複数の絶縁層12の各層の絶縁層12とが交互に積層された積層膜(積層体)が形成される。犠牲膜層30に用いる犠牲膜として、例えば、シリコン窒化膜(SiN膜)を用いると好適である。また、絶縁層12に用いる絶縁膜として、例えば、シリコン酸化膜(SiO膜)を用いると好適である。また、半導体基板200として、例えば、直径300ミリのシリコンウェハが用いられる。なお、犠牲膜層30と絶縁層12とが交互に積層される半導体基板上或いは半導体基板内には、図示しないその他の絶縁膜、配線、コンタクト及び/或いはトランジスタ等の半導体素子が形成されていても構わない。
【0018】
図7は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。図7では、図5のメモリ膜形成工程(S104)と、チャネル膜形成工程(S106)と、を示している。それ以降の工程は後述する。
【0019】
図7において、メモリ膜形成工程(S104)として、まず、積層膜の最上層の例えば犠牲膜層30上から積層膜を貫通する例えば断面円形の複数の開口部(メモリホール)を形成する。
【0020】
具体的には、図示していないレジスト塗布工程、露光工程等のリソグラフィ工程を経て犠牲膜層30の上にレジスト膜が形成された状態に対し、露出した犠牲膜層30とその下層に位置する犠牲膜層30と絶縁層12との積層膜を異方性エッチング法により除去することで、犠牲膜層30の表面に対し、略垂直にメモリホールを形成することができる。例えば、一例として、反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)法によりメモリホールを形成すればよい。なお、第1の実施形態では、犠牲膜層30と絶縁層12とのうち、犠牲膜層30が露出面になるように積層体を形成しているが、これに限るものではない。絶縁層12が露出面になるように積層体を形成しても好適である。
【0021】
そして、形成された各メモリホール内にそれぞれメモリ膜20を形成する。
【0022】
図8は、第1の実施形態におけるメモリセル領域の構成の一例を示す断面図である。図8では、犠牲膜層30が導電層10に置換された後の状態を示している。メモリ膜20は、ブロック絶縁膜28と、電荷蓄積膜26と、トンネル絶縁膜24と、を有する。言い換えれば、メモリ膜20は、電荷蓄積膜26と複数の導電層10との間に、積層方向に延びるように配置されたブロック絶縁膜28を有する。以下、具体的に、内部工程を説明する。
【0023】
ブロック膜形成工程として、例えば、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、各メモリホールの側壁面に沿ってブロック絶縁膜28を形成する。ブロック絶縁膜28は、電荷蓄積膜26と導電層10との間に電荷が流れることを抑制する膜である。ブロック絶縁膜28の材料として、例えば、酸化アルミニウム(Al)、或いはSiO膜を用いると好適である。これにより、メモリ膜20の一部として、メモリホールの側壁面に沿って筒状に配置されたブロック絶縁膜28が形成できる。
【0024】
次に、電荷蓄積膜形成工程として、例えば、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、各メモリホール内のブロック絶縁膜28の側壁面に沿って電荷蓄積膜26を形成する。電荷蓄積膜26は、電荷を蓄積することが出来る材料を含む膜である。電荷蓄積膜26の材料として、例えば、SiNを用いると好適である。これにより、メモリ膜20の一部として、ブロック絶縁膜28の内側壁面に沿って筒状に配置された電荷蓄積膜26が形成できる。
【0025】
次に、トンネル絶縁膜形成工程として、例えば、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、各メモリホール内の電荷蓄積膜26の側壁面に沿ってトンネル絶縁膜24を形成する。トンネル絶縁膜24は、絶縁性であるが、所定の電圧の印加により電流を流す絶縁膜である。トンネル絶縁膜24の材料として、例えば、SiOを用いると好適である。これにより、メモリ膜20の一部として、電荷蓄積膜26の内側壁面に沿って筒状に配置されたトンネル絶縁膜24が形成できる。
【0026】
次に、チャネル膜形成工程(S106)として、例えば、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、各メモリホール内のトンネル絶縁膜24の内側壁面に沿って柱状にチャネルボディ21となるチャネル膜を形成する。チャネル膜の材料として、半導体材料が用いられる。例えば不純物がドーピングされたシリコン(Si)を用いると好適である。これにより、トンネル絶縁膜24の内側壁面全周に沿って柱状にチャネルボディ21が形成できる。
【0027】
図9は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。図9では、図5の絶縁膜形成工程(S108)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0028】
図9において、絶縁膜形成工程(S108)として、例えば、ALD法、ALCVD法、或いはCVD法を用いて、メモリ膜20とチャネルボディ21が形成された積層体上に絶縁膜19を形成する。絶縁膜19の材料として、例えば、SiOを用いると好適である。
【0029】
図10は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。図10では、図5の溝形成工程(S110)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0030】
図10において、溝形成工程(S110)として、各層に複数のワード線を形成するべくワード線同士の間を分離するための複数の開口部150,152(溝)を形成する。複数の開口部150,152は、ワード線が延びる第1方向(y方向)にワード線と並行して延びる溝となる。そして、2つの開口部150,152間の幅が、ワード線が延びる第1方向(y方向)と直交する方向(x方向)の各ワード線の幅となる。ここでは、開口部150と開口部152が交互に繰り返し形成される。但し、各開口部150,152は、同じ幅の溝で構わない。
【0031】
具体的には、図示していないレジスト塗布工程、露光工程等のリソグラフィ工程を経て絶縁膜19上にレジスト膜が形成された状態に対し、露出した絶縁膜19とその下層に位置する犠牲膜層30と絶縁層12との積層膜を異方性エッチング法により除去することで、絶縁膜19の表面に対し、略垂直に開口溝を形成することができる。例えば、一例として、反応性イオンエッチング法により複数の開口部150,152を形成すればよい。
【0032】
図11は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。図11では、図5の導電膜形成工程(S112)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0033】
図11において、導電膜形成工程(S112)として、少なくとも複数の開口部150,152の側壁にワード線として用いる材料と同じ材料を用いた導電膜32を形成する。導電膜32の材料として、例えば、タングステン(W)を用いる。具体的には、例えば、CVD法を用いて、絶縁膜19上と、複数の開口部150,152の側壁及び底面上とに導電膜32を形成する。
【0034】
図12は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。図12では、図5の成長阻害膜形成工程(S114)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0035】
図12において、成長阻害膜形成工程(S114)として、少なくとも複数の開口部150,152の側壁に、後述する置換(リプレース)工程(S120)時に導電膜32の成長を阻害する成長阻害膜34を形成する。成長阻害膜34の材料として、例えば、SiOを用いる。具体的には、例えば、CVD法を用いて、複数の開口部150,152の側壁及び底面を含む導電膜32上に成長阻害膜34を形成する。成長阻害膜34は、後に除去するので除去時間の短縮の観点から複数の開口部150,152を完全に埋め込まないように膜厚を調整すると好適である。
【0036】
図13は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。図13では、図5のレジストパターン形成工程(S116)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0037】
図13において、レジストパターン形成工程(S116)として、まず、複数の開口部150,152上方が覆われるように、成長阻害膜34上にレジスト膜を形成する。そして、交互に並ぶ開口部150,152のうち、開口部152上が覆われたまま、開口部150が露出するように、レジストパターン36を形成する。言い換えれば、x方向に連続して並ぶ複数の溝(開口部150,152)を1つ置きに覆うようにレジストパターン36を形成する。
【0038】
具体的には、図示していないレジスト塗布工程を経て、開口部152がラインパターンの略中心位置に、そして開口部150がスペースパターンの略中心位置になるように、1:1のラインアンドスペースパターンをレジスト膜に露光するリソグラフィ工程によりレジストパターン36を形成する。
【0039】
図14は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。図14では、図5のエッチング工程(S118)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0040】
図14において、エッチング工程(S118)として、レジストパターン36をマスクにして、露出された成長阻害膜34をエッチングにより除去し、これにより露出された導電膜32をエッチングにより除去する。その結果、図14に示すように、隣接する開口部150,152のうち、開口部150では積層された各層の犠牲膜層30を側壁に露出させることができる一方で、隣接する開口部152では側壁に導電膜32の壁を残し、導電膜32を成長阻害膜34で覆った状態にできる。残ったレジストパターン36は、導電膜32をエッチングにより除去した後にアッシングにより除去すればよい。或いはレジストパターン36を残したままでも構わない。或いは導電膜32をエッチングする際に一緒に除去されても構わない。
【0041】
図15は、第1の実施形態における半導体装置の製造方法の工程の他の一部を示す断面図である。図15では、図5の置換(リプレース)工程(S120)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0042】
図15において、置換(リプレース)工程(S120)として、積層された犠牲膜層30を導電層10に置換する。具体的には、以下のように実施する。まず、ウェットエッチング法(例えばホットリン酸処理)により、置換用溝となる開口部150を介して、各層の犠牲膜層30をエッチングにより除去する。これにより、各層の絶縁層12間に空間が形成される。メモリセル領域では、各層の絶縁層12と交差して積層方向に延びるメモリ膜20とチャネルボディ21とが支持部材(ピラー)となって、崩れないように各層の絶縁層12を支持することができる。
【0043】
そして、CVD法を用いて、置換用溝となる開口部150を介して、CVD法を用いて、かかる各層の絶縁層12間の空間内にワード線となる導電性材料を埋め込み、導電層10を形成する。第1の実施形態では導電層10と絶縁層12間にバリアメタル膜を配置せずに隣接する導電層10と絶縁層12を接触させる。また、導電層10の導電性材料として、Wを用いると好適である。
【0044】
図16は、第1の実施形態の比較例における積層膜の断面を説明するための図である。図16(a)では、開口部150,152の両方を置換用溝として導電性材料を埋め込んだ積層断面の一例を示している。比較例では、W膜が存在しない状態から絶縁層12上にW膜を成長させることで導電層10を形成する。或いは、W膜が存在しない状態から図示しないバリアメタル膜上にW膜を成長させることでW膜の導電層10を形成する。その結果、図16(a)に示すように、導電層10内にボイド17が形成されてしまう場合がある。例えば、図16(b)に示すように、メモリ膜20同士の間の領域にボイド17が形成され易い。
具体的には、メモリホールの加工特性に起因して、メモリ膜20及びチャネルボディ21により構成される柱状の構造は上層側では太く、下層側では細くなる傾向がある。これにより、犠牲膜層30が除去された状態では、図16(c)に示すように上層側ではメモリ膜20同士間の距離が短い。そのため、隣接する2層の絶縁層12間の距離よりもメモリ膜20同士間の距離が短くなる。その結果、空間全体が導電性材料で完全に埋め込まれる前にメモリ膜20同士間が導電性材料で繋がりボイドを残したまま閉塞してしまう。また、図16(d)に示すように下層側ではメモリ膜20同士間の隙間が長い。そのため、隣接する2層の絶縁層12間の距離よりもメモリ膜20同士間の距離が長くなる。その結果、空間全体が導電性材料で完全に埋め込まれる前に隣接する2層の絶縁層12間が導電性材料で繋がりボイドを残したまま閉塞してしまう。
【0045】
図17は、第1の実施形態における積層膜の断面を説明するための図である。図17(a)では、交互に形成された開口部150,152のうち開口部152の側壁に導電膜32の壁を配置した状態で、開口部150を置換用溝として導電性材料を埋め込んだ積層断面の一例を示している。図17(b)は、導電層の成長の仕方を示す1つの導電層面の上面図である。図17(a)及び図17(b)に示すように、第1の実施形態では、ワード線の幅方向の両端のうち一方端に導電膜32の壁を配置している。
【0046】
ここで、比較例のように絶縁層12上にW膜を成長させる場合、膜付きが悪いためインキュベーションタイムが長くなる。これに対して、第1の実施形態では、同じW膜の導電膜32上にW膜を成長させるので、比較例のような絶縁層12上にW膜を成長させる場合に比べて、インキュベーションタイムを短くできる。これにより、第1の実施形態では、一方端の導電膜32を起点にして他端側の開口部150側に向かう方向に導電層10となるW膜を選択成長させることができる。その結果、図17(c)に示すように、各層の複数の導電層10をボイドレスに形成できる。
【0047】
そして、エッチング工程(S122)として、開口部152内に残った成長阻害膜34と導電膜32とを順にエッチングにより除去する。ここで、置換(リプレース)工程(S120)においてW膜の成長が開口部150内まで進行した場合に、開口部150の側壁において複数の導電層10間の短絡を生じさせないように、開口部150内の余剰のW膜が同時に除去されても良い。その結果、図1に示す断面を有する半導体装置を形成できる。
【0048】
また、第1の実施形態では、図2に示すように、置換(リプレース)工程(S120)において導電膜32が配置されていた開口部152側では、ワード線となる導電層10の幅方向の側面が略平面の状態となり、開放端となっていた開口部150側では、ワード線の幅方向の側面に凹凸が形成される。よって、上述したように、ワード線の両側面の一方が他方よりも表面粗さが大きくなるように形成される。なお、開口部150内まで成長した余剰のW膜がエッチングされる場合であっても、開口部150側の側面の凹凸は、小さくなることはあっても完全には消失せずに残存する。また、図2に示すように、各層に並ぶ複数のワード線では、表面粗さが大きい側面13同士が隣接すると共に、表面粗さが小さい側面11同士が隣接するように形成される。言い換えれば、表面粗さが大きい側面13と表面粗さが小さい側面11の配置位置が交互に入れ替わるように配列された複数のワード線が各層に配置される。
【0049】
ここで、積層された複数の導電層10のうちの上層側の導電層は、NANDストリングのドレイン側の選択ゲートとして使用されることがある。そして、ドレイン側の選択ゲートとして使用される導電層10は、隣接する開口部150,152間で、幅方向(x方向)に2つ以上の導電層10に分断される場合がある。かかる場合、導電層10を幅方向(x方向)に2つ以上の領域に分断するための分断層SHEが、ドレイン側の選択ゲートとして使用する上層側の導電層10を貫通するように形成される。
【0050】
図18は、第1の実施形態の比較例における選択ゲートの分断層を配置した積層膜の断面の一例を説明するための図である。図19は、第1の実施形態における選択ゲートの分断層を配置した積層膜の断面の一例を説明するための図である。図18及び図19の例では、上層側の2層の導電層10を選択ゲートとして用いる場合を示している。例えば、図18及び図19において、選択ゲートとして使用する上層側の導電層10以外の各導電層10を、x方向に並ぶ8つのメモリ膜20が貫通している。そして、上層側の導電層10をx方向に4つずつのメモリ膜20を有する2つの選択ゲートに分断している。
開口部150,152の両方を置換用溝として用いて導電性材料を埋め込む比較例では、置換(リプレース)工程(S120)よりも先に分断層37が形成される。そして、図18に示すように、置換(リプレース)工程(S120)では、分断層37の両側の開口部150,152を介して犠牲膜層の除去とW膜の成膜が行われる。これに対して、第1の実施形態では、開口部150,152のうち、開口部152側に導電膜32による壁が形成されているので、置換(リプレース)工程(S120)よりも先に分断層37を形成してしまうと、分断層37と導電膜32との間の領域は閉じた領域になってしまうので犠牲膜層からW膜への置換が困難となる。そのため、第1の実施形態では、図19に示すように、置換(リプレース)工程(S120)よりも後に分断層37を形成する。これにより、隣接する開口部150,152間の導電層10を2つの選択ゲートに分断できる。分断層37の材料として、例えば、SiOを用いる。
【0051】
以上のように第1の実施形態によれば、3次元NAND型フラッシュメモリ装置のワード線となる導電層に生じるボイドを低減或いは回避できる。
【0052】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0053】
また、各膜の膜厚や、開口部のサイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
【0054】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置及びその製造方法は、本発明の範囲に包含される。
【0055】
また、説明の簡便化のために、半導体産業で通常用いられる手法、例えば、フォトリソグラフィプロセス、処理前後のクリーニング等は省略しているが、それらの手法が含まれ得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
10 導電層、11,13 側面、12 絶縁層、20 メモリ膜、21 チャネルボディ、24 トンネル絶縁膜、26 電荷蓄積膜、28 ブロック絶縁膜、32 導電膜、150,152 開口部
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