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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118683
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】保冷剤外し装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 3/00 20060101AFI20220805BHJP
【FI】
F25D3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072363
(22)【出願日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2021014799
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】515012804
【氏名又は名称】サンナイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】長屋 俊司
【テーマコード(参考)】
3L044
【Fターム(参考)】
3L044AA04
3L044BA02
3L044CA11
3L044DC04
3L044KA04
(57)【要約】
【課題】取り扱いが困難な凍結保冷剤を人手に頼らずにコンテナから取り出しやすい状態にすることができる保冷剤外し装置を提供すること。
【解決手段】本発明の保冷剤外し装置61は、凍結保冷剤11入りのコンテナ21から凍結保冷剤11を外す装置である。保冷剤外し装置61は、コンテナ保持部材63と保冷剤押圧部材64とを備える。コンテナ保持部材63はコンテナ21を保持する。保冷剤押圧部材64は、コンテナ保持部材63でコンテナ21を保持した状態で、コンテナ21に設けられた孔部30を介して凍結保冷剤11を突くことにより、コンテナ21に付着した凍結保冷剤11を外すためのものである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結保冷剤入りのコンテナから前記凍結保冷剤を外す保冷剤外し装置であって、
前記コンテナを保持するコンテナ保持部材と、
前記コンテナ保持部材で前記コンテナを保持した状態で、前記コンテナに設けられた孔部を介して前記凍結保冷剤を突くことにより、前記コンテナに付着した前記凍結保冷剤を外す保冷剤押圧部材と
を備えることを特徴とする保冷剤外し装置。
【請求項2】
前記保冷剤外し装置は、前記保冷剤押圧部材を、前記孔部の内壁面に接触させずに前記コンテナ内に挿入することを特徴とする請求項1に記載の保冷剤外し装置。
【請求項3】
前記保冷剤押圧部材は、前記孔部の幅よりも薄い金属片であることを特徴とする請求項1または2に記載の保冷剤外し装置。
【請求項4】
前記保冷剤外し装置は、複数の前記保冷剤押圧部材を、同時に前記コンテナ内に挿入することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の保冷剤外し装置。
【請求項5】
前記保冷剤押圧部材は、前記コンテナの底面に付着している前記凍結保冷剤を、前記コンテナの底部に設けられた前記孔部を介して下から上に向けて突くことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保冷剤外し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結保冷剤入りのコンテナから凍結保冷剤を外す保冷剤外し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、生鮮食料品や冷凍品などの商品の輸送には、保冷剤が用いられている。このような保冷剤は、例えばコンテナに入れられた状態で、冷凍庫内にて凍結される(例えば、特許文献1,2参照)。そして、凍結した保冷剤は、人手によって商品が入った宅配箱内に入れられて出荷されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-32124号公報(図1図5等)
【特許文献2】実用新案第2585816号公報(段落[0003]、図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、凍結した保冷剤は膨張して変形し、コンテナから外れにくくなっている。この場合、コンテナをハンマーで叩くなどしなければ、コンテナから保冷剤を外すことは困難である。しかも、ハンマーから加わる物理的な衝撃により、コンテナが破損するおそれもある。また、保冷剤は、凍結した状態で扱われるために非常に冷たいが、溶けを防止するために、作業者は、非常に寒い環境下で作業を行わなければならない。さらに、保冷剤は、凍結時の変形によって形がばらついたり、中の保冷液が偏った状態で凍結することによって重量バランスがばらついたりするため、取り扱いが非常に困難なワークである。
【0005】
なお、現状では、凍結保冷剤を扱う作業を人手に頼っているが、作業が大変であるうえ、作業時間や人件費もかかってしまうという問題がある。そこで、取り扱いが困難な凍結保冷剤を素早くコンテナから取りだす装置が求められているが、現時点では、このような装置は存在していない。また、近年、宅配等が増える傾向にあるため、上記の作業を素早く行いたいという社会的ニーズが高まっている。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、取り扱いが困難な凍結保冷剤を人手に頼らずにコンテナから取り出しやすい状態にすることができる保冷剤外し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、凍結保冷剤入りのコンテナから前記凍結保冷剤を外す保冷剤外し装置であって、前記コンテナを保持するコンテナ保持部材と、前記コンテナ保持部材で前記コンテナを保持した状態で、前記コンテナに設けられた孔部を介して前記凍結保冷剤を突くことにより、前記コンテナに付着した前記凍結保冷剤を外す保冷剤押圧部材とを備えることを特徴とする保冷剤外し装置をその要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に記載の発明によれば、保冷剤外し装置が備える保冷剤押圧部材によって凍結保冷剤を突くことにより、コンテナに付着した凍結保冷剤が自動的に外される。しかも、凍結保冷剤を突く際の物理的な衝撃がコンテナに加わったとしても、保冷剤外し装置が備えるコンテナ保持部材により、コンテナは動かないように保持される。これにより、凍結保冷剤がコンテナから確実に外されるため、取り扱いが困難な凍結保冷剤を、人手に頼らずにコンテナから取り出しやすい状態にすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記保冷剤外し装置は、前記保冷剤押圧部材を、前記孔部の内壁面に接触させずに前記コンテナ内に挿入することをその要旨とする。
【0010】
従って、請求項2に記載の発明では、保冷剤押圧部材をコンテナ内に挿入する際において、保冷剤押圧部材と孔部の内壁面との接触、即ち、保冷剤押圧部材とコンテナとの接触が回避される。その結果、保冷剤押圧部材からコンテナに対して物理的な衝撃が加わりにくくなるため、物理的な衝撃に起因するコンテナの破損を防止することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記保冷剤押圧部材は、前記孔部の幅よりも薄い金属片であることをその要旨とする。
【0012】
従って、請求項3に記載の発明では、保冷剤押圧部材が孔部の幅よりも薄い金属片であるため、保冷剤押圧部材と孔部の内壁面(コンテナ)との接触をより確実に回避することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記保冷剤外し装置は、複数の前記保冷剤押圧部材を、同時に前記コンテナ内に挿入することをその要旨とする。
【0014】
従って、請求項4に記載の発明では、複数の保冷剤押圧部材によって複数の凍結保冷剤を同時に突くことができるため、凍結保冷剤を外す作業にかかる時間を短縮することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記保冷剤押圧部材は、前記コンテナの底面に付着している前記凍結保冷剤を、前記コンテナの底部に設けられた前記孔部を介して下から上に向けて突くことをその要旨とする。
【0016】
従って、請求項5に記載の発明では、保冷剤押圧部材によって凍結保冷剤を下から上に向けて突くことにより、コンテナの底面に付着している凍結保冷剤が確実に外される。これにより、コンテナの底面に付着しているために取り出しが困難な凍結保冷剤を、人手に頼らずにコンテナから取り出しやすい状態にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上詳述したように、請求項1~5に記載の発明によると、取り扱いが困難な凍結保冷剤を人手に頼らずにコンテナから取り出しやすい状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態の保冷剤全自動供給システムを示す説明図。
図2】段バラシ移載装置を示す概略側面図。
図3】(a)は、把持手段によってコンテナ(実コンテナ)を挟んだ状態を示す概略平面図、(b)は、把持手段によってコンテナ(実コンテナ)を挟んだ状態を示す概略側面図。
図4】(a)は、保冷剤外し装置を示す概略側面図、(b)は、保冷剤押圧部材の配置態様を示す平面図。
図5】(a)は、コンテナから凍結保冷剤を外す前の状態を示す断面図、(b)は、コンテナから凍結保冷剤を外すときの状態を示す断面図。
図6】(a)は、コンテナから凍結保冷剤を外す前の状態を示す断面図、(b)は、コンテナを示す裏面図。
図7】コンテナから凍結保冷剤を外すときの状態を示す断面図。
図8】保冷剤整列搬送装置を示す側面図。
図9】反転部及び保冷剤排出部を示す側面図。
図10】整列搬送部を示す概略断面図。
図11】保冷剤ライン間移送装置及び保冷剤全自動投入装置等を示す概略平面図。
図12】保冷剤ライン間移送装置を始端側から見たときの状態を示す側面図。
図13】保冷シート全自動投入装置を示す概略断面図。
図14】保冷シート全自動投入装置による保冷シートの投入方法を示す概略断面図。
図15】保冷剤全自動投入装置を示す概略断面図。
図16】(a)は、凍結保冷剤と下縁支持部材との位置関係を示す概略平面図、(b)は、凍結保冷剤が投入された宅配箱を示す概略平面図。
図17】保冷剤全自動投入装置による凍結保冷剤の投入方法を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を保冷剤全自動供給システムに具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1に示されるように、本実施形態の保冷剤全自動供給システム1は、凍結保冷剤11入りのコンテナ21から取り出した凍結保冷剤11を宅配箱31に投入するシステムである。保冷剤全自動供給システム1は、工場の保冷剤整列ラインL1、宅配箱供給ラインL2及び空コンテナ排出ラインL3等に適用される。また、保冷剤全自動供給システム1は、段バラシ移載装置41、空台車全自動段積装置51、保冷剤外し装置61、保冷剤整列搬送装置70、保冷剤ライン間移送装置101、保冷シート全自動投入装置121、保冷剤全自動投入装置111及び空コンテナ段積装置131を備えている。
【0021】
図2図3に示されるように、段バラシ移載装置41は、コンテナ搬送台車141上に段積みされた状態の凍結保冷剤11入りのコンテナ21(実コンテナ)を段バラシして、保冷剤外し装置61のコンベア62上に載置する装置である。なお、本実施形態のコンテナ搬送台車141は実コンテナ台車(ドーリー台車)である。また、段バラシ移載装置41は、把持手段42、水平移動用アクチュエータ43、上下移動用アクチュエータ44及び制御装置(図示略)を備えている。把持手段42は、コンテナ21を側方及び前方から把持するようになっている。具体的に言うと、把持手段42は、コンテナ21の持ち手孔28(図3(b)参照)に自身を引っ掛けた状態でコンテナ21を持ち上げるようになっている。これにより、コンテナ21が1段ずつかつ2個ずつ把持される(図3(a),(b)参照)。また、把持手段42は、上方からコンテナ21の上面21aのコーナー部C1(図3(a)参照)を押圧することにより、コンテナ21の傾きを防止するようになっている。
【0022】
図1に示されるように、空台車全自動段積装置51は、コンテナ21の段バラシにより空になったコンテナ搬送台車141の車輪142(図2参照)の向きを整えつつコンテナ搬送台車141を段積みする装置である。空台車全自動段積装置51は、コンテナ搬送台車141を持ち上げた状態で、持ち上げたコンテナ搬送台車141の下側に次のコンテナ搬送台車141を配置し、この状態で持ち上げたコンテナ搬送台車141を下ろすことにより、コンテナ搬送台車141を段積みするようになっている。
【0023】
図4図7に示されるように、保冷剤外し装置61は、凍結保冷剤11入りのコンテナ21から凍結保冷剤11を外す装置である。コンテナ21は、底部22と4つの側壁23,24,25,26とによって構成され、上部に開口部27を有する箱状をなしている。そして、各側壁23~26のうちの対向する2つの側壁23,25には、持ち手孔28(図3(b)参照)がそれぞれ設けられている。さらに、コンテナ21の底部22には、矩形状をなす複数の孔部30が設けられている。各孔部30は、底部22の裏面22aの面方向に沿って縦横に配置されている(図6(b)参照)。また、コンテナ21の底面21bには、複数の仕切壁29(図3(a),図5参照)が突設されている。各仕切壁29は、コンテナ21の搬送方向F2(図4(a),図5参照)とは直交する方向(図5では奥行方向)に延びている。そして、隣接する仕切壁29により、凍結保冷剤11の下端部分が挟み込まれて位置決めされる。さらに、隣接する仕切壁29間には、8つの孔部80が配置されている。
【0024】
図4図7に示されるように、保冷剤外し装置61は、段バラシ移載装置41によって載置された2個のコンテナ21を搬送する2列のコンベア62を有している。さらに、保冷剤外し装置61は、一対のコンテナ保持部材63を備えている。両コンテナ保持部材63は、コンテナ21の搬送方向F2(図4(a)参照)に沿って離間して配置され、コンテナ21の搬送方向F2と直交する方向に延びる断面矩形状の棒状部材である。両コンテナ保持部材63は、それぞれのコンテナ保持部材63の下面63aがコンテナ21の上面21aに接触することにより、コンテナ21を浮かないように保持するようになっている。さらに、保冷剤外し装置61は、両コンテナ保持部材63の下方位置にてコンテナ21を固定するコンテナ固定手段60(図4(a)参照)を備えている。
【0025】
また、保冷剤外し装置61は、複数の保冷剤押圧部材64と、制御装置(図示略)とを備えている。各保冷剤押圧部材64は、コンテナ21の底部22に設けられた孔部30の幅A1(図5図6(b)参照)よりも薄い金属片である。また、図6図7に示されるように、保冷剤押圧部材64は、同保冷剤押圧部材64の両側部から上方に突出する一対の押圧片65を有している。両押圧片65は矩形状をなしており、押圧片65の幅B1は、孔部30の長さA2よりも小さくなっている。
【0026】
そして、各保冷剤押圧部材64は、矩形板状をなす押圧部材保持台66に取り付けられている。詳述すると、図4(b)に示されるように、各保冷剤押圧部材64は、押圧部材保持台66の上流側面66a及び下流側面66bと平行に配置されている。そして、押圧部材保持台66の両側部には、それぞれ10枚の保冷剤押圧部材64が、搬送方向F2に沿って離間して配置されている。なお、押圧部材保持台66の上面66cからの各保冷剤押圧部材64の突出量は、互いに等しくなっている。また、押圧部材保持台66は、コンベア62ごとに1つずつ設けられており、コンベア62ごとに設けられたアクチュエータ67によって上下動するようになっている。なお、各保冷剤押圧部材64は、通常時において、コンベア62の搬送面62aよりも下方に退避しており、凍結保冷剤11を外す際に、搬送面62aの上方に突出する。
【0027】
図8図10に示されるように、保冷剤整列搬送装置70は、反転部71、保冷剤排出部81及び整列搬送部91を有している。反転部71は、コンテナ21からの凍結保冷剤11の落下を保冷剤出庫シャッター73によって規制した状態で、コンテナ21を上下反転(180°反転)させるようになっている。具体的に言うと、反転部71は、本体72、保冷剤出庫シャッター73、反転機構74、昇降装置75及び制御装置(図示略)を備えている。本体72は、保冷剤外し装置61から搬出されてきたコンテナ21を保持する機能を有している。保冷剤出庫シャッター73は、本体72に対して開閉可能に取り付けられており、コンテナ21の開口部27を閉じる機能を有している。反転機構74は、モータ76の回転軸76aを中心として、本体72を上下反転させる機能を有している。また、昇降装置75は、上下反転した本体72を上下動させる機能を有している。そして、反転部71の制御装置は、本体72の動きを制御するようになっている。さらに、保冷剤出庫シャッター73の一端部には、コンテナ21からの凍結保冷剤11の急激な落下を防止するための落下防止板77が設けられている。また、保冷剤整列搬送装置70は、空になったコンテナ21(空コンテナ)を自動的に空コンテナ排出ラインL3(図1参照)に排出する空コンテナ高速排出機構(図示略)を備えている。このようにすれば、コンテナ21(空コンテナ)を手動で空コンテナ排出ラインL3に排出する場合よりも作業が楽になる。
【0028】
図8に示されるように、保冷剤排出部81は、凍結保冷剤11の外し及びコンテナ21の反転が完了した状態で、保冷剤出庫シャッター73を徐々に開放するのに伴ってコンテナ21の開口部27を徐々に開くことにより、複数の凍結保冷剤11を排出させる。その結果、各凍結保冷剤11は、保冷剤整列ラインL1上にてもたれ重なるような状態で載置される。
【0029】
図8図10に示されるように、整列搬送部91は、各凍結保冷剤11のもたれ重なり状態を解消しつつ、各凍結保冷剤11を整列させながら搬送する。整列搬送部91は、ベルトコンベア装置92a,92b,92c,92d、複数段のもたれ解消部材93a,93b,93c、ばたつき・はみ出し防止部材94及び制御装置(図示略)を備えている。ベルトコンベア装置92a~92dは、進行方向F1に沿って配列されており、保冷剤整列ラインL1を構成している。また、各ベルトコンベア装置92a~92dのうち、最上流のベルトコンベア装置92aは、各凍結保冷剤11の移載位置を有している。ベルトコンベア装置92aは、正逆方向に駆動することができ、最初に凍結保冷剤11の「転倒姿勢」を自動制御する。つまり、ベルトコンベア装置92aは、搬送の最初に各凍結保冷剤11がもたれかかった状態になるように制御する。
【0030】
各もたれ解消部材93a~93cは、他の凍結保冷剤11上に重なっている凍結保冷剤11に接触して押圧することにより、もたれ重なり状態を解消する部材である。本実施形態の各もたれ解消部材93a~93cは、進行方向F1に揺動可能な振り子構造を有している。この場合、もたれ解消部材93a~93cが揺動することで凍結保冷剤11が引っ掛かりにくくなるため、もたれ解消部材が完全に固定されて動かない構造である場合よりも、凍結保冷剤11のもたれ重なり状態を解消しやすくなる。また、もたれ解消部材93a~93cの動力が不要になるため、整列搬送部91、ひいては保冷剤全自動供給システム1の製作コストを低減できる。また、各もたれ解消部材93a~93cは、移載位置よりも下流側に配置されている。そして、各もたれ解消部材93a~93cは、進行方向F1に沿って複数段配置されており、下流側に行くに従って高さが徐々に低くなっている。このようにすれば、凍結保冷剤11を確実に整列することができる。
【0031】
図10に示されるように、ばたつき・はみ出し防止部材94は、移載位置(ベルトコンベア装置92a)の両脇において、図示しないアクチュエータにより出没可能に設けられている。そして、整列搬送部91の制御装置は、ベルトコンベア装置92a~92d及びばたつき・はみ出し防止部材94の動作を制御するようになっている。
【0032】
また、図1に示されるように、整列搬送部91は、複数本の押さえワイヤ部材95を備えている。押さえワイヤ部材95は、ベルトコンベア装置92dに対して上下動可能に取り付けられている。押さえワイヤ部材95は、凍結保冷剤11の搬送時に、凍結保冷剤11の両端を押さえるようになっている。これにより、凍結保冷剤11のバタツキを防止することができる。さらに、図8に示されるように、整列搬送部91はストッパ機構96を備えている。ストッパ機構96は、ベルトコンベア装置92c,92dの下方から出没可能になっている。また、ストッパ機構96は、所定のタイミングで突出するようになっている。このようにすれば、凍結保冷剤11を確実に整列させることができる。また、凍結保冷剤11をストッパ機構96で止めて、後方の凍結保冷剤11が来るまで待たせることにより、凍結保冷剤11を隙間なく整列させることができる。
【0033】
図11図12に示されるように、保冷剤ライン間移送装置101は、保冷剤整列ラインL1から宅配箱供給ラインL2に向けて凍結保冷剤11を整列状態を保ったまま移送する2列の移送ラインL4を有している。各移送ラインL4には、凍結保冷剤11に係止可能な2つの係止部102を同時に往復動させる移動機構103が設けられている。また、保冷剤ライン間移送装置101は、係止部102を上下動させる上下動アクチュエータ104と、係止部102を水平往復動させる水平アクチュエータ105と、動作を制御する制御装置(図示略)とを備えている。なお、保冷剤ライン間移送装置101の制御装置は、一方の係止部102を凍結保冷剤11の端縁に係止させた状態で搬送方向(宅配箱供給ラインL2側)に搬送させると同時に、もう一方の係止部102を搬送逆方向(保冷剤整列ラインL1側)に搬送させて戻す制御を行う。
【0034】
図13図14に示されるように、保冷シート全自動投入装置121は、宅配箱供給ラインL2によって搬送されてきた宅配箱31に対して、保冷シート122を宅配箱31の上側開口部32から投入する装置である。なお、宅配箱31内には、生鮮食料品や冷凍品などの商品S1が入っており、保冷シート122は、宅配箱31内の商品S1の保冷に用いられる。また、保冷シート全自動投入装置121は、一対の保冷シートマガジン151を備えている。両保冷シートマガジン151は、複数の保冷シート122を積層した状態で保存するためのものである。なお、保冷シート122は、作業者によって保冷シートマガジン151に供給される。
【0035】
図13に示されるように、保冷シート全自動投入装置121は、一対の補正案内部材152を備えている。両補正案内部材152は、保冷シート122の変形(反り)を補正しながら保冷シート122を投入位置T3(図13参照)側に案内するようになっている。なお、本実施形態では、宅配箱供給ラインL2の上流側(図13では右側)に位置する補正案内部材152が、保冷シート122を下流側(図13では左側)に向けて案内し、宅配箱供給ラインL2の下流側に位置する補正案内部材152が、保冷シート122を上流側に向けて案内するようになっている。また、補正案内部材152の基端部分は、側面視で湾曲形状をなしている。
【0036】
さらに、保冷シート全自動投入装置121は、それぞれの保冷シートマガジン151の下方に、第1突き出し部材154及び第2突き出し部材155を有している。第2突き出し部材155は、保冷シートマガジン151の設置面151a上に配置され、第1突き出し部材154は、第2突き出し部材155の上面155a上に配置されている。さらに、第1突き出し部材154の上部には、保冷シート122の端縁に当接する段差面154aが形成されている。なお、両突き出し部材154,155は、補正案内部材152側に移動することにより、補正案内部材152によって案内されている保冷シート122を投入位置T3側に突き出すようになっている。
【0037】
図13図14に示されるように、保冷シート全自動投入装置121は、補正案内部材152によって案内されてきた保冷シート122を、宅配箱31の上方位置にて水平な姿勢となるように支持する一対の保冷シート支持手段123を有している。各保冷シート支持手段123は、一対の下縁支持部材124と支持部材駆動手段125とを有している。両下縁支持部材124は、保冷シート122の両側下縁を載せて保冷シート122を両側から支持するローラ126群を有している。さらに、支持部材駆動手段125は、両下縁支持部材124を水平方向に移動させる機能を有している。
【0038】
また、各保冷シート支持手段123は、それぞれ4個の押圧部材128を備えている。各押圧部材128は、保冷シート122を下方に押圧して宅配箱31に投入するためのものである。また、4個の押圧部材128は、1枚の保冷シート122の上面122a(図14参照)における離間した4箇所を押圧するようになっている。
【0039】
そして、保冷シート支持手段123の制御装置(図示略)は、支持部材駆動手段125及び押圧部材128の動作を制御する。具体的に言うと、制御装置は、下縁支持部材124による保冷シート122の支持を解除する制御を行う。これにより、保冷シート122は、水平姿勢を維持した状態で落下して宅配箱41内に投入される。なお、本実施形態の保冷シート全自動投入装置121は、1つの宅配箱31に対して保冷シート122を1枚のみ投入している。
【0040】
図15図17に示されるように、保冷剤全自動投入装置111は、宅配箱供給ラインL2によって搬送されてきた宅配箱31に対して、保冷剤整列ラインL1から移送されてきた凍結保冷剤11を宅配箱31の上側開口部32から投入する装置である。なお、保冷剤全自動投入装置111に搬送されてきた時点で、宅配箱31には、商品S1と保冷シート122とが入っている。また、保冷剤全自動投入装置111は、凍結保冷剤11を、宅配箱31の上方位置にて水平な姿勢となるように支持する一対の保冷剤支持手段112を有している。なお、保冷剤支持手段112は、保冷シート全自動投入装置121の保冷シート支持手段123とほぼ同様の構造を有している。さらに、保冷剤全自動投入装置111は、保冷剤支持手段112の下方位置にて宅配箱31を固定する宅配箱固定手段113(図15参照)を備えている。
【0041】
また、各保冷剤支持手段112は、凍結保冷剤11の投入位置T1,T2(図16(a)参照)のそれぞれにおいて、一対の下縁支持部材114と支持部材駆動手段115とを有している。両下縁支持部材114は、凍結保冷剤11の両側下縁を載せて凍結保冷剤11を両側から支持するローラ116群を有している。また、支持部材駆動手段115は、両下縁支持部材114を水平方向に移動させる機能を有している。
【0042】
図15図17に示されるように、各保冷剤支持手段112は、3個のストッパ部材117と8個の押圧部材118とを備えている。各ストッパ部材117は、凍結保冷剤11を投入位置T1,T2(図16(a)参照)にて位置決めするためのものである。各ストッパ部材117は、上下方向に進退し、凍結保冷剤11の外縁部に設けられた凹所12に係脱可能となっている。また、各押圧部材118は、ストッパ部材117によって位置決めされた凍結保冷剤11を下方に押圧して宅配箱31に投入するためのものである。押圧部材118は、1つの凍結保冷剤11の上面13における離間した4箇所を押圧するべく、1つの凍結保冷剤11に対して4個ずつ設けられている(図16(a)参照)。
【0043】
そして、保冷剤支持手段112の制御装置(図示略)は、支持部材駆動手段115、ストッパ部材117及び押圧部材118の動作を制御する。具体的に言うと、制御装置が、下縁支持部材114による凍結保冷剤11の支持を解除する制御を行うことにより、凍結保冷剤11は、水平姿勢を維持した状態で落下して宅配箱31内に投入される。なお、本実施形態の保冷剤全自動投入装置111では、1つの宅配箱31について2個の凍結保冷剤11の同時投入を行っているが、1つの宅配箱31について1個の凍結保冷剤11のみを投入することも可能である。
【0044】
図1に示されるように、空コンテナ段積装置131は、凍結保冷剤11が排出されて空になったコンテナ21(空コンテナ)を折り畳んで段積みする装置であり、空コンテナ排出ラインL3上に設けられている。空コンテナ段積装置131は、凍結保冷剤11が取り出された直後の空になったコンテナ21を折り畳む折り畳み手段132と、折り畳まれたコンテナ21を段積みする段積手段133(具体的には、ロボット等)と、折り畳み手段132及び段積装置133の動作を制御する制御装置(図示略)とを備えている。
【0045】
次に、上記のように構成した保冷剤全自動供給システム1の動作例を説明する。
【0046】
まず、凍結保冷剤11入りのコンテナ21(実コンテナ)を段積みしたコンテナ搬送台車141が段バラシ装置41(図2参照)に搬入されると、段バラシ移載装置41は、コンテナ21を自動的に段バラシして、保冷剤外し装置61のコンベア62上に自動的に載置する。具体的に言うと、まず、段バラシ移載装置41の制御装置は、水平移動用アクチュエータ43及び上下移動用アクチュエータ44に駆動信号を出力し、把持手段42を、最上段にある2個のコンテナ21を挟み込む位置に移動させる制御を行う。次に、制御装置は、把持手段42に駆動信号を出力し、把持手段42をコンテナ21の持ち手孔28に引っ掛ける制御を行う。そして、制御装置は、上下移動用アクチュエータ44に駆動信号を出力し、把持手段42に把持された2個のコンテナ21を上方に移動させる制御を行う。さらに、制御装置は、水平移動用アクチュエータ43に駆動信号を出力し、把持手段42に把持されたコンテナ21をコンベア62上に移動させる制御を行う。この状態において、制御装置が、把持手段42によるコンテナ21の把持を解除させる制御を行うことにより、コンテナ21がコンベア62上に載置される。その後、制御装置による上記の制御を繰り返し行うことにより、コンテナ搬送台車141上に段積みされている残りのコンテナ21が段バラシされる。
【0047】
なお、コンテナ21の段バラシにより空になったコンテナ搬送台車141は、空台車全自動段積装置51(図1参照)に搬入される。このとき、空台車全自動段積装置51の制御装置(図示略)は、コンテナ搬送台車141を自動的に持ち上げる制御を行う。そして、持ち上げたコンテナ搬送台車141の下側に次のコンテナ搬送台車141が配置されると、制御装置は、持ち上げたコンテナ搬送台車141を下ろす制御を行う。その後、次のコンテナ搬送台車141が空台車全自動段積装置51に搬入される度に、既に空台車全自動段積装置51にあるコンテナ搬送台車141を持ち上げて下ろす作業を繰り返し行うことにより、複数段のコンテナ搬送台車141が自動的に段積みされる。そして、コンテナ搬送台車141の段積みが完了すると、制御装置は、段積状態のコンテナ搬送台車141を自動的に排出させる制御を行う。
【0048】
また、上記した2つのコンベア62上のコンテナ21からは、保冷剤外し装置61(図4参照)によって凍結保冷剤11が自動的に外される。具体的に言うと、保冷剤外し装置61が備える複数の保冷剤押圧部材64は、通常時において、コンベア62の搬送面62aよりも下方に退避している(図5(a),図6(a)参照)。このため、コンテナ21の搬送時に保冷剤押圧部材64が邪魔になることはない。
【0049】
そして、保冷剤外し装置61の制御装置(図示略)は、凍結保冷剤11を外す際に、コンテナ固定装置60(図4(a)参照)に駆動信号を出力し、一対のコンテナ保持部材63の下方位置にてコンテナ21を固定する制御を行う。次に、制御装置は、各コンベア62にそれぞれ設けられているアクチュエータ67に駆動信号を出力し、コンテナ21の底面21bに付着している凍結保冷剤11を、各保冷剤押圧部材64の押圧片65で突く制御を行う。このとき、各押圧片65は、下から上に向けて上昇し、コンテナ21の底部22に設けられた複数の孔部30を挿通する(図5(b),図7参照)。詳述すると、本実施形態のコンテナ21内には、10枚の凍結保冷剤11からなる2列の凍結保冷剤11群が収容されている。また、それぞれの凍結保冷剤11は、4つの孔部30の上方に配置されている(図6(a),(b)参照)。
【0050】
そして、保冷剤押圧部材64の一対の押圧片56は、4つの孔部30のうち、内側の2つの孔部30を挿通し、コンテナ21内に挿入される(図7参照)。このとき、制御装置は、複数の保冷剤押圧部材64(押圧片65)で同時に複数の凍結保冷剤11を突く制御を行う。なお、制御装置は、凍結保冷剤11を突く制御を1回のみ行ってもよいし、複数回行ってもよい。その結果、各凍結保冷剤11のそれぞれが、一対の押圧片56によって下から上に向けて突かれるため、コンテナ21の底面21bに付着した凍結保冷剤11が外される。また、両押圧片56は、凍結保冷剤11の下縁部の中央部付近において、凍結保冷剤11の下縁部中央に設けられた凹所12の両側を突くため、凍結保冷剤11を確実に突くことができる。さらに、押圧片56は、孔部30の内壁面に接触することなく、孔部30を介してコンテナ21内に挿入される。このため、コンテナ21自体に物理的衝撃を与えることなく、凍結保冷剤11を突く作業を行うことができる。また、押圧片56は、凍結保冷剤11の上端がコンテナ21の上面21aから突出しない程度に、凍結保冷剤11を突く作業を行う。このため、各凍結保冷剤11がコンテナ21の底面21bから外れたときでも、各凍結保冷剤11は整列状態を維持する。さらに、凍結保冷剤11を突く作業は、コンテナ21の上方にあるコンテナ保持部材63でコンテナ21を保持した状態で行われるため、凍結保冷剤11を下から上に突くのに伴ってコンテナ21が上方に移動することも防止される。その後、コンテナ21は、保冷剤整列搬送装置70の反転部71に自動的に搬入される(図9参照)。
【0051】
反転部71にコンテナ21が搬入されると、反転部71の制御装置は、保冷剤出庫シャッター73に駆動信号を出力し、コンテナ21の開口部27が開いていれば、保冷剤出庫シャッター73によって開口部27を閉じる制御を行っておく。次に、制御装置は、反転機構74のモータ76に駆動信号を出力し、モータ76の回転軸76aを中心として、反転部71の本体72及びコンテナ21を上下反転させる制御を行う(図8参照)。さらに、制御装置は、昇降装置75に駆動信号を出力し、上下反転した本体72及びコンテナ21を下方に移動させる制御を行う。このようにすれば、コンテナ21の開口部27が整列搬送部91のベルトコンベア装置92aの上面に近付くため、複数の凍結保冷剤11を整列させやすくなる。また、反転部71の回転時において、本体72とベルトコンベア装置92aとの干渉を防ぐことができる。
【0052】
そして、制御装置は、保冷剤出庫シャッター73に駆動信号を出力し、閉じている保冷剤出庫シャッター73を徐々に開放させる制御を行う(図8参照)。これに伴い、コンテナ21の開口部27が徐々に開き、複数の凍結保冷剤11がベルトコンベア装置92a上に排出される。
【0053】
次に、整列搬送部91の制御装置は、ベルトコンベア装置92aに駆動信号を出力し、ベルトコンベア装置92a上の凍結保冷剤11を進行方向F1とは逆方向に移動させる制御を行う。その結果、各凍結保冷剤11は、ベルトコンベア装置92a上にてもたれ重なるような状態で載置される(図8参照)。その後、整列搬送部91の制御装置は、ベルトコンベア装置92a~92dに駆動信号を出力し、ベルトコンベア装置92a~92d上の凍結保冷剤11を進行方向F1に移動させる制御を行う。そして、各凍結保冷剤11が複数段のもたれ解消部材93a~93cを通過するのに伴い、各凍結保冷剤11のもたれ重なり状態が解消され、各凍結保冷剤11が整列しながら搬送される。
【0054】
そして、凍結保冷剤11が保冷剤整列ラインL1の終端にある保冷剤ライン間移送装置101に到達すると、保冷剤ライン間移送装置101は、保冷剤整列ラインL1から宅配箱供給ラインL2に向けて凍結保冷剤11を自動的に移送する(図11参照)。具体的に言うと、保冷剤ライン間移送装置101の制御装置は、一方の係止部102を上下動させる上下動アクチュエータ104に駆動信号を出力し、その係止部102を下方に移動させて凍結保冷剤11の端縁に係止させる制御を行う(図12参照)。次に、制御装置は、一方の係止部102を水平往復動させる水平アクチュエータ105に駆動信号を出力し、その係止部102を凍結保冷剤11の端縁に係止させた状態で搬送方向に搬送させる制御を行う。それと同時に、制御装置は、もう一方の係止部102を水平往復動させる水平アクチュエータ105に駆動信号を出力し、その係止部102を搬送逆方向に搬送させて戻す制御を行う。その後、係止部102で凍結保冷剤11を搬送方向に搬送させる作業と、係止部102を搬送逆方向に搬送させて戻す作業とを繰り返し行うことにより、凍結保冷剤11が整列状態を保ったまま搬送される。
【0055】
なお、宅配箱供給ラインL2によって搬送されてきた宅配箱31には、凍結保冷剤11が投入される前に、保冷シート全自動投入装置121によって保冷シート122が投入される。そこで、保冷シート全自動投入装置121の制御装置は、まず、それぞれの保冷シート支持手段123において、一対の下縁支持部材124が互いに近接した初期状態で予め待機させる制御を行う。
【0056】
次に、制御装置は、それぞれの保冷シートマガジン151の下方において、第1突き出し部材154を補正案内部材152側に移動させる制御を行う。その結果、第1突き出し部材154の段差面154aが、保冷シートマガジン151の最下層にある保冷シート122の後端縁に当接し、保冷シート122が補正案内部材152側に押圧される。そして、第1突き出し部材154に押圧された保冷シート122は、補正案内部材152に沿って斜め下方に案内される。このとき、保冷シート122の上面122a(図14参照)における中央部が補正案内部材152によって上方から押さえられることにより、保冷シート122の反り(変形)は徐々に補正されていく。そして、保冷シート122全体が第1突き出し部材154の下方に到達すると、制御装置は、第1突き出し部材154を停止させる制御を行うとともに、第2突き出し部材155を補正案内部材152側に移動させる制御を行う。これにより、第2突き出し部材155の先端面155bが、保冷シート122の後端縁に当接し、保冷シート122が投入位置T3(図13参照)側に押圧される。そして、保冷シート122が投入位置T3に搬入される際に、保冷シート122の両端部が一対の下縁支持部材124に支持されるため、保冷シート122の反りはさらに補正される。なお、第2突き出し部材155は、先端面155bが固定部材156(図13参照)に当接することによって停止する。
【0057】
そして、保冷シート122全体が投入位置T3に到達すると、保冷シート122は、一対の下縁支持部材124により、宅配箱供給ラインL2によって搬送されてきた宅配箱31の上方位置において、水平な姿勢となるように支持される(図14の実線部分を参照)。
【0058】
次に、保冷シート全自動投入装置121の制御装置は、一対の下縁支持部材124を互いに離間させる制御を行うとともに、複数の押圧部材128を下方に進出させて保冷シート122を下方に押圧する制御を行う(図14の点線部分を参照)。その結果、保冷シート122が、水平姿勢を維持した状態で落下して宅配箱31内に投入され、宅配箱31内の商品S1を覆うように商品S1上に載置される。
【0059】
その後、保冷シート122が投入された宅配箱31は、宅配箱供給ラインL2によって保冷剤全自動投入装置111に搬送される。そして、宅配箱31には、保冷剤全自動投入装置111によって凍結保冷剤11が投入される。そこで、保冷剤全自動投入装置111の制御装置は、一対の下縁支持部材114を互いに接近させる制御を行うとともに、ストッパ部材117を下方に進出させる制御を行う(図17参照)。その結果、凍結保冷剤11は、一対の下縁支持部材114により、宅配箱供給ラインL2によって搬送されてきた宅配箱31の上方位置において、水平な姿勢となるように支持される(図17参照)。また、ストッパ部材117が凍結保冷剤11の凹所12に係合するため、凍結保冷剤11が位置ずれしにくくなる。
【0060】
次に、制御装置は、一対の下縁支持部材114を互いに離間させる制御を行うとともに、複数の押圧部材118を下方に進出させて凍結保冷剤11を下方に押圧する制御を行う(図17参照)。その結果、凍結保冷剤11が各押圧部材118によって確実に押圧されるため、凍結保冷剤11は、水平姿勢を維持した状態で落下して宅配箱31内に投入され、宅配箱31内の商品S1及び保冷シート122を覆うようにして上側開口部32に形成された段差部33の底面上に載置される。
【0061】
また、保冷剤整列搬送装置70によって凍結保冷剤11が排出されて空になったコンテナ21(空コンテナ)は、空コンテナ排出ラインL3上の空コンテナ段積装置131に搬送される(図1参照)。具体的には、コンテナ21が空コンテナ段積装置131の折り畳み手段132に搬送されてくると、空コンテナ段積装置131の制御装置は、空になったコンテナ21を折り畳む制御を行う。その後、折り畳まれたコンテナ21は、ロボット等からなる段積手段133によって段積みされる。
【0062】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0063】
(1)本実施形態の保冷剤全自動供給システム1では、保冷剤外し装置61が備える保冷剤押圧部材64で凍結保冷剤11を突くことにより、コンテナ21に付着した凍結保冷剤11が自動的に外される。しかも、凍結保冷剤11を突く際の物理的な衝撃がコンテナ21に加わったとしても、保冷剤外し装置61が備えるコンテナ保持部材63により、コンテナ21は浮き上がることなく保持される。これにより、凍結保冷剤11がコンテナ21から確実に外されるため、取り扱いが困難な凍結保冷剤11を、人手に頼らずにコンテナ21から取り出しやすい状態にすることができる。また、保冷剤外し装置61は、熱を加えることなく凍結保冷剤11を外す装置であるため、凍結保冷剤11が熱で溶けてしまうこともない。
【0064】
(2)本実施形態の保冷剤押圧部材64は、押圧片65の厚さが孔部30の幅A1よりも薄く、かつ押圧片65の幅B1が孔部30の長さA2よりも小さいため、押圧片65と孔部30の内壁面との接触、即ち、押圧片65とコンテナ21との接触が確実に回避される。その結果、押圧片65からコンテナ21に対して物理的な衝撃が加わりにくくなるため、物理的な衝撃に起因するコンテナ21の破損を防止することができる。
【0065】
(3)本実施形態の保冷剤押圧部材64は、凍結保冷剤11を突くだけで、凍結保冷剤11をコンテナ21から外すことができる。よって、凍結保冷剤11を外すに際して、取り扱いが困難な凍結保冷剤11を把持して引っ張るなどの作業を行わなくても済む。
【0066】
(4)本実施形態では、保冷剤押圧部材64が備える一対の押圧片56が、凍結保冷剤11の下縁部における離間した2箇所を下から上に向けて突くようになっている。この場合、コンテナ21から外された凍結保冷剤11は、2つの押圧片56によって支持されるため、コンテナ21の搬送方向F2とは直交する方向(図6(a),図7では横方向)への凍結保冷剤11の傾きが防止される。しかも、コンテナ21内の凍結保冷剤11は、隣接する仕切壁29に挟み込まれることによって位置決めされるため、搬送方向F2(図5では横方向)への凍結保冷剤11の傾きが防止される。以上のことから、隣接する凍結保冷剤11同士の接触を防止することができ、接触に起因する凍結保冷剤11の破損を防止することができる。
【0067】
また、本実施形態では、隣接する仕切壁29によって凍結保冷剤11が挟み込まれ、隣接する仕切壁29の間に8つの孔部30が配置されるため、押圧片56を孔部30に挿入すれば、押圧片56で確実に凍結保冷剤11を突くことができる。よって、凍結保冷剤11を外す作業の作業効率が高くなる。
【0068】
なお、上記実施形態を以下のように変更してもよい。
【0069】
・上記実施形態のコンテナ保持部材63は棒状部材であったが、棒状とは別形状(例えば板状)の部材であってもよい。また、コンテナ保持部材は、別の位置(待機位置)からコンテナ21の上方位置に移動してきて、コンテナ21の上面21aを押さえるものであってもよい。
【0070】
・上記実施形態の保冷剤押圧部材64は、金属材料からなる板状物であったが、板状とは別形状(例えば棒状)の部材であってもよい。
【0071】
・上記実施形態の保冷剤外し装置61では、2つのアクチュエータ67を同時に駆動させることにより、それぞれの保冷剤押圧部材64を同時に出没させていた。しかし、全ての保冷剤押圧部材64を1つの共通の押圧部材保持台に設け、1つのアクチュエータによって各保冷剤押圧部材64を同時に出没させるようにしてもよい。逆に、保冷剤押圧部材64(または押圧片65)ごとに押圧部材保持台及びアクチュエータを設け、各アクチュエータを同時に駆動させることにより、それぞれの保冷剤押圧部材64(または押圧片65)を同時に出没させるようにしてもよい。
【0072】
・上記実施形態の保冷剤外し装置61は2列のコンベア62を有し、コンベア62ごとに押圧部材保持台66やアクチュエータ67等を有していたが、保冷剤外し装置61は、コンベア62(及び押圧部材保持台66、アクチュエータ67等)を1列のみ有していてもよいし、3列以上有していてもよい。なお、コンベア62を多くすれば、複数のコンテナ21から凍結保冷剤11を外す作業を同時に行えるため、作業効率が高くなる。一方、コンベア62を少なくすると、保冷剤外し装置61の製作コストを低減できるとともに、保冷剤外し装置61の小型化を図ることができる。なお、アクチュエータ67は、例えば、モータやボールネジ等の電動アクチュエータであってもよいし、エアシリンダであってもよい。
【0073】
・上記実施形態の保冷剤外し装置61において、保冷剤押圧部材64(及び押圧片65)は、凍結保冷剤11を、コンテナ21の底部22に設けられた孔部30を介して下から上に向けて突くものであったが、この構成に限定されるものではない。例えば、保冷剤押圧部材64は、凍結保冷剤11を、コンテナ21の側壁23~26に設けられた孔部(例えば、持ち手孔28等)を介して側方から突くものであってもよい。また、保冷剤押圧部材64は、反転部71によってコンテナ21を上下反転(180°反転)させた後の状態で、凍結保冷剤11を、孔部30を介して上から下に向けて突くものであってもよい。
【0074】
・上記実施形態の保冷剤外し装置61は、コンベア62に設けられていたが、コンベア62に設けられていなくてもよいし、保冷剤全自動供給システム1の一部を構成していなくてもよい。
【0075】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0076】
(1)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記保冷剤押圧部材は、通常時において、前記保冷剤外し装置のコンベアの搬送面よりも下方に退避しており、前記凍結保冷剤を外す際に、前記搬送面の上方に突出することを特徴とする保冷剤外し装置。この構成によれば、コンテナの搬送時に保冷剤押圧部材が邪魔にならなくて済む。
【0077】
(2)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記コンテナ保持部材は、前記コンテナの上面に接触することにより、前記コンテナを浮かないように保持することを特徴とする保冷剤外し装置。
【符号の説明】
【0078】
11…凍結保冷剤
21…コンテナ
21b…コンテナの底面
22…コンテナの底部
30…孔部
61…保冷剤外し装置
63…コンテナ保持部材
64…保冷剤押圧部材
A1…孔部の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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