(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118694
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B64D 41/00 20060101AFI20220805BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220805BHJP
B64C 29/00 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
B64D41/00
B64D27/24
B64C29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171977
(22)【出願日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0014484
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朴 成 翼
(57)【要約】
【課題】バッテリーSOC(State of Charge)をいつも一定水準以上に維持できる垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム及び方法を提供する。
【解決手段】本発明の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システムは、垂直離着陸飛行体のローターに動力伝達可能に連結されるローター駆動用モーターと、ローター駆動用モーターに電源供給可能に連結されるバッテリーと、バッテリーに充放電可能に連結される発電機と、発電機に動力伝達可能に連結されるエンジンと、バッテリーの充電のためにエンジン及び発電機の駆動を制御するとともに垂直離着陸飛行体の離着陸待機可否を決定する制御装置と、を含んで構成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直離着陸飛行体のローターに動力伝達可能に連結されるローター駆動用モーターと、
前記ローター駆動用モーターに電源供給可能に連結されるバッテリーと、
前記バッテリーに充放電可能に連結される発電機と、
前記発電機に動力伝達可能に連結されるエンジンと、
前記バッテリーの充電のために前記エンジン及び発電機の駆動を制御するとともに前記垂直離着陸飛行体の離着陸待機可否を決定する制御装置と、
を含むことを特徴とする垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
モーター要求パワー及び垂直離着陸飛行体の現在飛行段階情報を提供する飛行制御器と、
バッテリーSOC情報、バッテリー放電限界値情報及びバッテリー充電限界値情報を提供するバッテリー制御器と、
触媒加熱要請信号、酸素センサー診断要請信号及び現在エンジンRPM情報を提供するエンジン制御器と、
発電機トルク限界値及び発電機RPM情報を提供する発電機制御器と、
前記飛行制御器、バッテリー制御器、エンジン制御器及び発電機制御器から提供された情報に基づき、エンジン及び発電機の駆動を制御し、垂直離着陸飛行体の離陸許可又は離陸待機を決定するか着陸許可又は着陸待機を決定するメイン制御器と、
を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項3】
前記メイン制御器は、
エンジン駆動モードを、エンジン停止、エンジンパッシブラン、エンジンアイドル、エンジン部分負荷、及びエンジンフル負荷のいずれか一つに決定するエンジン駆動モード決定部と、
バッテリー充電のためのエンジンの目標トルク及びエンジンの目標RPMを演算するエンジン駆動量演算部と、
エンジンに対する燃料噴射許可、エンジントルク指令、触媒加熱許容、及びエンジン自己診断許容を決定するエンジン要求トルク決定部と、
発電機トルク指令を決定する発電機要求トルク決定部と、
垂直離着陸飛行体の離陸待機又は着陸待機を決定する離着陸待機要請部と、
を含んでなることを特徴とする請求項2に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項4】
前記エンジン駆動モード決定部は、
モーター要求パワーが一定水準以上であればエンジン出力でバッテリー充電を補助することができるように前記エンジン駆動モードをエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定することを特徴とする請求項3に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項5】
前記エンジン駆動モード決定部は、
バッテリーSOCが基準値以下であるかバッテリー放電限界値が基準値以下であると判定されれば、エンジン駆動による発電機の駆動でバッテリーを充電することができるように前記エンジン駆動モードをエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定することを特徴とする請求項3に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項6】
前記エンジン駆動モード決定部は、
触媒加熱要請信号がある場合、離陸の前に触媒を一定温度以上に加熱するように前記エンジン駆動モードをエンジンアイドルに決定することを特徴とする請求項3に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項7】
前記エンジン駆動モード決定部は、
エンジン自己診断のための酸素センサー診断要請信号がある場合、前記エンジン駆動モードをエンジンパッシブランに決定することを特徴とする請求項3に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項8】
前記エンジン要求トルク決定部は、
エンジン駆動モードがエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定されれば、現在エンジンRPMと連動して、エンジンに対する燃料噴射許可を決定する信号と、エンジンのトルク及びRPMがエンジンの目標トルク及びRPMに到逹すると同時に発電機トルク限界値未満に調節されるようにするエンジントルク指令とをエンジン制御器に伝送するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項9】
前記エンジン要求トルク決定部は、
エンジン駆動モードがエンジンアイドルに決定されれば、現在エンジンRPMと連動して、エンジンに対する燃料噴射許可を決定した信号及び触媒加熱許容信号をエンジン制御器に伝送するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項10】
前記エンジン要求トルク決定部は、
エンジン駆動モードがエンジンパッシブランに決定されれば、現在エンジンRPMと連動して、エンジン自己診断許容信号をエンジン制御器に伝送するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項11】
前記離着陸待機要請部は、
バッテリーSOCが基準値以下であるか、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、エンジンアイドル状態で触媒加熱が遂行されていれば、飛行制御器に離陸待機信号を伝送するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項12】
前記離着陸待機要請部は、
バッテリーSOCが基準値以下であるか、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、エンジンRPMが基準値以下でありながら燃料噴射がない状態であれば、飛行制御器に着陸待機信号を伝送するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム。
【請求項13】
垂直離着陸飛行体の現在飛行段階を判定する段階と、
判定された飛行段階によってエンジン駆動モード決定段階、エンジン駆動量演算段階、エンジン要求トルク決定段階、及び発電機要求トルク決定段階を順に遂行してエンジンを駆動する段階と、
前記エンジン駆動によって発電機を駆動し、発電機の発電電力でバッテリーを充電する段階と、
を含むことを特徴とする垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法。
【請求項14】
判定された飛行段階によってエンジン駆動モードがエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定されば、エンジンの目標トルク及びエンジンの目標RPMを演算し、エンジンに対する燃料噴射許可及びエンジントルク指令が決定されれば、エンジン駆動によって発電機を駆動して発電機の発電電力でバッテリーを充電させることを特徴とする請求項13に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法。
【請求項15】
前記現在飛行段階が離陸準備段階に判定されれば、前記エンジン駆動モード決定段階、エンジン駆動量演算段階、エンジン要求トルク決定段階、及び発電機要求トルク決定段階を順に遂行し、離陸待機可否を判定する段階を遂行することを特徴とする請求項13に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法。
【請求項16】
前記エンジン駆動モード決定段階で触媒加熱要請信号がある場合、エンジン駆動モードをエンジンアイドルに決定し、離陸の前に触媒を一定温度以上に加熱することを特徴とする請求項15に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法。
【請求項17】
前記離陸待機可否を判定する段階で、
バッテリーSOCが基準値以下であるか、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、触媒加熱がずっと遂行されていれば、垂直離着陸飛行体を離陸待機状態に維持するようにメイン制御器から飛行制御器に離陸待機要請信号を伝送することを特徴とする請求項15に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法。
【請求項18】
前記現在飛行段階がクルージング段階又は離陸待機段階に判定されるとともにエンジン自己診断のための酸素センサー診断要請信号がある場合、エンジン駆動モードをエンジンパッシブランに決定し、酸素センサーの検出信号を分析するエンジン自己診断を遂行することを特徴とする請求項13に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法。
【請求項19】
前記現在飛行段階が目的地に近接したクルージング段階に判定されれば、前記エンジン駆動モード決定段階、エンジン駆動量演算段階、エンジン要求トルク決定段階、及び発電機要求トルク決定段階を順に遂行し、着陸待機可否を判定する段階を遂行することを特徴とする請求項13に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法。
【請求項20】
前記着陸待機可否を判定する段階で、
バッテリーSOCが基準値以下であるか、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、エンジンRPMが基準値以下であるか、燃料が噴射されない状態に判断されれば、垂直離着陸飛行体を着陸待機状態に維持するようにメイン制御器から飛行制御器に着陸待機要請信号を伝送することを特徴とする請求項19に記載の垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム及び方法に関し、より詳しくは、垂直離着陸飛行体の各飛行段階においてバッテリーSOCをいつも一定水準以上に管理できる、すなわちバッテリー残量を一定水準以上に維持できる垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、未来型交通及び運送システムのためのアーバンエアモビリティ(Urban Air Mobility、UAM)として、ローター又はプロペラを用いた垂直離着陸(Vertical Take-Off and Landing、VTOL)飛行体が注目されている。
図1に示すように、垂直離着陸飛行体100はローター又はプロペラを用いて垂直離着陸及び飛行が可能な飛行体であり、基本的に、乗客の搭乗のための機体部110と、機体部110の両側に形成された翼部120と、翼部120の外側端部に回転可能に装着され、実質的な揚力を発生させるプロペラタイプのローター130などから構成される。また、垂直離着陸飛行体の飛行駆動のためのパワートレインとしては、
図2に示すように、エンジン20の出力軸がローター130に直結される内燃機関タイプを適用するか、
図3に示すように、ローター駆動用モーター10の出力軸がローター130に直結され、バッテリー40がモーター10に電源供給可能に連結された電動タイプを適用することができる。
【0003】
このような垂直離着陸飛行体の全飛行過程は、
図1に示すように、(1)離陸準備(prepare take-off)段階、(2)一定高さまで垂直上昇する垂直離陸(take-off)段階、(3)水平飛行準備のために一時停止するホバリング(hovering)段階、(4)水平飛行のための高度に移動するトランジション(transition)段階、(5)水平飛行のための速度に加速する加速(acceleration)段階、(6)目的地まで一定速度で巡航飛行するクルージング(cruising)段階、(7)目的地に近接して着陸のために減速する減速(deceleration)段階、(8)垂直着陸のための高度に移動するトランジション(transition)段階、(9)垂直着陸準備のために一時停止するホバリング(hovering)段階、(10)目的地に垂直下降する垂直着陸(landing)段階、(11)目的地に対する垂直着陸完了(landing complete)段階などの順に遂行される。
【0004】
概して、飛行体の全飛行過程で、垂直離陸(take-off)段階、垂直着陸(landing)段階、ホバリング(hovering)段階、及びトランジション(transition)段階で飛行駆動のためのエンジン又はモーターのパワーが最も大きく要求される。特に、電動タイプのパワートレインが搭載された垂直離着陸飛行体の場合、バッテリーSOC(State of Charge)が十分な離陸(take-off)段階ではバッテリー電力を使うモーターの出力可用パワーが高いが、バッテリーが持続的に放電されるクルージング段階の後に着陸(landing)しなければならない段階でバッテリーSOCが足りなく、結局モーターの出力不足が発生して飛行体の飛行制御に悪影響を及ぶことがある。したがって、飛行体の全飛行過程中にバッテリーSOCを一定水準以上に維持させるために、飛行体に搭載するバッテリーの量を増やすことができるが、これは飛行体の重量増加及びコスト上昇などをもたらす問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、垂直離着陸飛行体のパワートレインとして、ローター駆動用モーターの出力軸がローターに直結され、バッテリーがローター駆動用モーターに電源供給可能に連結され、エンジン及び発電機がバッテリーに充放電可能に連結されたハイブリッドタイプを適用し、垂直離着陸飛行体の各飛行段階でのモーター要求パワー、バッテリーSOCなどによってエンジン及び発電機の駆動を制御し、バッテリーSOCをいつも一定水準以上に管理することができる垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システムは、垂直離着陸飛行体のローターに動力伝達可能に連結されるローター駆動用モーターと、前記ローター駆動用モーターに電源供給可能に連結されるバッテリーと、前記バッテリーに充放電可能に連結される発電機と、前記発電機に動力伝達可能に連結されるエンジンと、前記バッテリーの充電のために前記エンジン及び発電機の駆動を制御するとともに前記垂直離着陸飛行体の離着陸待機可否を決定する制御装置と、を含むことを特徴とする。
【0008】
前記制御装置は、モーター要求パワー及び垂直離着陸飛行体の現在飛行段階情報を提供する飛行制御器と、バッテリーSOC情報、バッテリー放電限界値情報及びバッテリー充電限界値情報を提供するバッテリー制御器と、触媒加熱要請信号、酸素センサー診断要請信号及び現在エンジンRPM情報を提供するエンジン制御器と、発電機トルク限界値及び発電機RPM情報を提供する発電機制御器と、前記飛行制御器、バッテリー制御器、エンジン制御器及び発電機制御器から提供された情報に基づき、エンジン及び発電機の駆動を制御し、垂直離着陸飛行体の離陸許可又は離陸待機を決定するか着陸許可又は着陸待機を決定するメイン制御器と、を含んでなることを特徴とする。
【0009】
前記メイン制御器は、エンジン駆動モードを、エンジン停止、エンジンパッシブラン、エンジンアイドル、エンジン部分負荷、及びエンジンフル負荷のいずれか一つに決定するエンジン駆動モード決定部と、バッテリー充電のためのエンジンの目標トルク及びエンジンの目標RPMを演算するエンジン駆動量演算部と、エンジンに対する燃料噴射許可、エンジントルク指令、触媒加熱許容、及びエンジン自己診断許容を決定するエンジン要求トルク決定部と、発電機トルク指令を決定する発電機要求トルク決定部と、垂直離着陸飛行体の離陸待機又は着陸待機を決定する離着陸待機要請部と、を含んでなることを特徴とする。
【0010】
前記エンジン駆動モード決定部は、モーター要求パワーが一定水準以上であればエンジン出力でバッテリー充電を補助することができるように前記エンジン駆動モードをエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定することを特徴とする。
【0011】
前記エンジン駆動モード決定部は、バッテリーSOCが基準値以下であるかバッテリー放電限界値が基準値以下であると判定されれば、エンジン駆動による発電機の駆動でバッテリーを充電することができるように前記エンジン駆動モードをエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定することを特徴とする。
【0012】
前記エンジン駆動モード決定部は、触媒加熱要請信号がある場合、離陸の前に触媒を一定温度以上に加熱するように前記エンジン駆動モードをエンジンアイドルに決定することを特徴とする。
【0013】
前記エンジン駆動モード決定部は、エンジン自己診断のための酸素センサー診断要請信号がある場合、前記エンジン駆動モードをエンジンパッシブランに決定することを特徴とする。
【0014】
前記エンジン要求トルク決定部は、エンジン駆動モードがエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定されれば、現在エンジンRPMと連動して、エンジンに対する燃料噴射許可を決定する信号と、エンジンのトルク及びRPMがエンジンの目標トルク及びRPMに到逹すると同時に発電機トルク限界値未満に調節されるようにするエンジントルク指令とをエンジン制御器に伝送するように構成されることを特徴とする。
【0015】
前記エンジン要求トルク決定部は、エンジン駆動モードがエンジンアイドルに決定されれば、現在エンジンRPMと連動して、エンジンに対する燃料噴射許可を決定した信号及び触媒加熱許容信号をエンジン制御器に伝送するように構成されることを特徴とする。
【0016】
前記エンジン要求トルク決定部は、エンジン駆動モードがエンジンパッシブランに決定されれば、現在エンジンRPMと連動して、エンジン自己診断許容信号をエンジン制御器に伝送するように構成されることを特徴とする。
【0017】
前記離着陸待機要請部は、バッテリーSOCが基準値以下であるか、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、エンジンアイドル状態で触媒加熱が遂行されていれば、飛行制御器に離陸待機信号を伝送するように構成されることを特徴とする。
【0018】
前記離着陸待機要請部は、バッテリーSOCが基準値以下であるか、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、エンジンRPMが基準値以下でありながら燃料噴射がない状態であれば、飛行制御器に着陸待機信号を伝送するように構成されることを特徴とする。
【0019】
本発明による垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法は、垂直離着陸飛行体の現在飛行段階を判定する段階と、判定された飛行段階によってエンジン駆動モード決定段階、エンジン駆動量演算段階、エンジン要求トルク決定段階、及び発電機要求トルク決定段階を順に遂行してエンジンを駆動する段階と、前記エンジン駆動によって発電機を駆動し、発電機の発電電力でバッテリーを充電する段階と、を含むことを特徴とする。
【0020】
判定された飛行段階によってエンジン駆動モードがエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定されば、エンジンの目標トルク及びエンジンの目標RPMを演算し、エンジンに対する燃料噴射許可及びエンジントルク指令が決定されれば、エンジン駆動によって発電機を駆動して発電機の発電電力でバッテリーを充電させることを特徴とする。
【0021】
前記現在飛行段階が離陸準備段階に判定されれば、前記エンジン駆動モード決定段階、エンジン駆動量演算段階、エンジン要求トルク決定段階、及び発電機要求トルク決定段階を順に遂行し、離陸待機可否を判定する段階を遂行することを特徴とする。
【0022】
前記エンジン駆動モード決定段階で触媒加熱要請信号がある場合、エンジン駆動モードをエンジンアイドルに決定し、離陸の前に触媒を一定温度以上に加熱することを特徴とする。
【0023】
前記離陸待機可否を判定する段階で、バッテリーSOCが基準値以下であるか、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、触媒加熱がずっと遂行されていれば、垂直離着陸飛行体を離陸待機状態に維持するようにメイン制御器から飛行制御器に離陸待機要請信号を伝送することを特徴とする。
【0024】
前記現在飛行段階がクルージング段階又は離陸待機段階に判定されるとともにエンジン自己診断のための酸素センサー診断要請信号がある場合、エンジン駆動モードをエンジンパッシブランに決定し、酸素センサーの検出信号を分析するエンジン自己診断を遂行することを特徴とする。
【0025】
前記現在飛行段階が目的地に近接したクルージング段階に判定されれば、前記エンジン駆動モード決定段階、エンジン駆動量演算段階、エンジン要求トルク決定段階、及び発電機要求トルク決定段階を順に遂行し、着陸待機可否を判定する段階を遂行することを特徴とする。
【0026】
前記着陸待機可否を判定する段階で、バッテリーSOCが基準値以下であるか、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、エンジンRPMが基準値以下であるか、燃料が噴射されない状態に判断されれば、垂直離着陸飛行体を着陸待機状態に維持するようにメイン制御器から飛行制御器に着陸待機要請信号を伝送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、次のような効果を奏する。
第一に、垂直離着陸飛行体の各飛行段階でバッテリーSOCをいつも一定水準以上に管理することができ、これによりバッテリーSOC不足現象及びモーター出力不足現象を防止し、垂直離着陸飛行体が安定的に飛行することができる。
第二に、離陸の前に触媒加熱によって排出ガスを低減することができる。
第三に、酸素センサー診断要請によるエンジン自己診断が可能な利点がある。
第四に、エンジン及び発電機の駆動によるバッテリーの充電が可能であり、バッテリー搭載容量を減らすことができ、別途の外部充電器連結部品などを排除してコスト低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】アーバンエアモビリティのための垂直離着陸飛行体及びその飛行段階を示す概略図である。
【
図2】垂直離着陸飛行体に適用される内燃機関タイプパワートレインを示す概略図である。
【
図3】垂直離着陸飛行体に適用される電動タイプパワートレインを示す概略図である。
【
図4】本発明による垂直離着陸飛行体に適用されるハイブリッドタイプパワートレインを示す概略図である。
【
図5】本発明による垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システムのための制御装置を示す構成図である。
【
図6】本発明による垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法を示すフローチャートである。
【
図7】本発明による垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法を示すフローチャートである。
【
図8】本発明による垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法を示すフローチャートである。
【
図9】本発明による垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施例を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図4は、本発明による垂直離着陸飛行体に適用されるハイブリッドタイプパワートレインを示す概略図である。
図4に示すように、本発明による垂直離着陸飛行体のパワートレインは、ローター駆動用モーター10の出力軸がローター130に動力伝達可能に直結され、バッテリー40がローター駆動用モーター10に電源供給可能に連結され、互いに直列で連結されたエンジン20及び発電機30がバッテリー40に充放電可能に連結されたハイブリッドタイプを適用する。より詳細には、発電機30がバッテリー40に充放電可能に連結され、エンジン20が発電機30に動力伝達可能に連結される。 よって、ローター駆動用モーター10がバッテリー40から電力を受けて駆動されれば、ローター駆動用モーター10の出力軸と連結されたローター130が回転駆動することにより、垂直離着陸飛行体の全飛行過程を遂行することができ、またエンジン20及び発電機30の駆動によってバッテリー40の充電を遂行することができる。
【0030】
ここで、ハイブリッドタイプのパワートレインが適用された垂直離着陸飛行体の全飛行過程も、
図1に基づいて前述したように、(1)離陸準備(prepare take-off)段階、(2)一定高さまで垂直上昇する垂直離陸(take-off)段階、(3)水平飛行準備のために一時停止するホバリング(hovering)段階、(4)水平飛行のための高度に移動するトランジション(transition)段階、(5)水平飛行のための速度に加速する加速(acceleration)段階、(6)目的地まで一定速度で巡航飛行するクルージング(cruising)段階、(7)目的地に近接して着陸のために減速する減速(deceleration)段階、(8)垂直着陸のための高度に移動するトランジション(transition)段階、(9)垂直着陸準備のために一時停止するホバリング(hovering)段階、(10)目的地に垂直下降する垂直着陸(landing)段階、(11)目的地に対する垂直着陸完了(landing complete)段階などの順に遂行することができる。
【0031】
また、本発明はこのような垂直離着陸飛行体の全飛行過程で、モーター要求パワー、バッテリーSOCなどによってエンジン20の駆動による発電機30の発電電力でバッテリー40を充電することにより、バッテリーSOCをいつも一定水準以上に管理することができるようにした点に主眼点がある。このために、本発明のパワートレイン制御システムは、モーター要求パワー、バッテリーSOCなどによってエンジン及び発電機の駆動を制御するための制御装置200を含む。
【0032】
図5は、本発明による垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御システムのための制御装置の構成図である。
図5に示すように、制御装置200は、最上位制御器であるメイン制御器210、飛行制御器220、バッテリー制御器230、エンジン制御器240、発電機制御器250などを含んでなる。あるいは一つに統合された統合型制御器を適用してもよい。飛行制御器220はローター駆動用モーター10及び飛行過程などを制御するためのものであり、モーター要求パワー(ローター駆動用モーターの要求パワー)及び前述した垂直離着陸飛行体の全飛行過程を示す(1)~(11)段階の一つである現在飛行段階情報をメイン制御器210に提供し、メイン制御器210から離陸待機又は着陸待機の指令を受けるように構成される。
【0033】
バッテリー制御器230は、バッテリーSOC情報を初めとして、バッテリー放電限界値(DchLmt)及びバッテリー充電限界値(ChgLmt)情報をメイン制御器210に提供するように構成される。エンジン制御器240は、エンジンの排気ガス浄化のための触媒(Catalyst)の温度が基準値以下の場合、触媒加熱(Catalyst Heating、CH)要請信号、エンジン自己診断のための酸素センサー診断要請信号、現在エンジンRPM情報などをメイン制御器210に提供し、メイン制御器210からエンジン燃料噴射許可信号、エンジントルク指令、エンジンの排気ガス浄化のための触媒(Catalyst)加熱許可信号、エンジン自己診断許容信号などを受けるように構成される。
【0034】
発電機制御器250は、発電機トルク限界値(Lmt)及び発電機RPM情報をメイン制御器210に提供し、メイン制御器210から発電機トルク指令を受けるように構成される。メイン制御器210は、飛行制御器220、バッテリー制御器230、エンジン制御器240及び発電機制御器250からそれぞれ提供された情報に基づき、エンジン及び発電機の駆動を制御し、離陸許可又は離陸待機を決定するか着陸許可又は着陸待機を決定するように構成される。このために、メイン制御器210は、エンジン駆動モード決定部211、エンジン駆動量演算部212、エンジン要求トルク決定部213、発電機要求トルク決定部214、離着陸待機要請部215などから構成できる。
【0035】
エンジン駆動モード決定部211は、飛行制御器220から提供されたモーター要求パワー及び現在飛行段階情報、バッテリー制御器230から提供されたバッテリーSOC及びバッテリー放電限界値(DchLmt)情報、エンジン制御器240から提供された触媒加熱(CH)要請信号、及び酸素センサー診断要請信号などに基づき、エンジン駆動モードを、エンジン停止(engine stop)、発電機駆動によってエンジンが回転するようにするエンジンパッシブラン(engine passive run)、エンジンアイドル(engine idle)、エンジン部分負荷(engine part load)、及びエンジンフル負荷(engine full load)の一つに決定するように構成される。
【0036】
例えば、エンジン駆動モード決定部211でエンジン駆動モードを決定するとき、現在飛行段階でモーター要求パワーが一定水準以上であると判定されれば、バッテリー放電量が増加する点に鑑みてエンジン出力がバッテリー充電を補助できるように、エンジン駆動モードを、エンジンラムダ(理論空燃比)<1でエンジンが駆動されるときに最大エンジントルクが出力されるエンジン部分負荷、又はエンジンが生成することができる最大トルクを出力するエンジンフル負荷に決定することができる。
【0037】
もしくは、エンジン駆動モード決定部211でエンジン駆動モードを決定するとき、バッテリーSOCが基準値以下であるか又はバッテリー放電限界値が基準値以下であると判定されれば、エンジン駆動による発電機の駆動によってバッテリーを充電することができるように、エンジン駆動モードをエンジン部分負荷及びエンジンフル負荷の一つに決定することができる。もしくは、エンジン駆動モード決定部211でエンジン駆動モードを決定するとき、触媒加熱(CH)要請信号がある場合、離陸の前に触媒を一定温度以上に加熱するようにエンジン駆動モードをエンジンアイドルに決定することができる。もしくは、エンジン駆動モード決定部211でエンジン駆動モードを決定するとき、エンジン自己診断のための酸素センサー診断要請信号がある場合、エンジン駆動モードをエンジンパッシブランに決定し、現在エンジンRPMと連動してエンジン自己診断許容信号をエンジン制御器240に伝送する。
【0038】
エンジン駆動量演算部212はバッテリー充電のためのエンジン駆動量を演算するためのものであり、エンジン駆動モード決定部211で決定されたエンジン駆動モード、飛行制御器220から提供されたモーター要求パワー情報、バッテリー制御器230から提供されたバッテリーSOCを含むバッテリー充電限界値(ChgLmt)及びバッテリー放電限界値(DchLmt)情報、発電機制御器250から提供された発電機トルク限界値(Lmt)情報などに基づき、バッテリー充電のためのエンジンの目標トルク及びエンジンの目標RPMを演算するように構成される。
【0039】
例えば、モーター要求パワーがバッテリー放電量を増加させる一定水準以上であるか、バッテリーSOCが基準値以下であるか、バッテリー放電限界値が基準値以下であり、エンジン駆動モードがエンジンアイドル、エンジン部分負荷、及びエンジンフル負荷の一つに決定された場合、エンジン駆動量演算部212は、発電機の駆動によってバッテリーを充電できるように、発電機を駆動させるためのエンジンの目標トルク及びエンジンの目標RPMを演算する。
【0040】
エンジン要求トルク決定部213は、エンジン駆動モード決定部211で決定されたエンジン駆動モード、エンジン駆動量演算部212で演算されたエンジンの目標トルク及びRPM情報、エンジン制御器240から提供された現在エンジンRPM情報、発電機制御器250から提供された発電機トルク限界値(Lmt)情報などに基づき、エンジンに対する燃料噴射許可、エンジントルク指令、触媒加熱(Catalyst Heating、CH)許容、エンジン自己診断許容などを決定するように構成される。
【0041】
例えば、エンジン要求トルク決定部213は、エンジン駆動モードがエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定されれば、現在エンジンRPM(例えば、50~900RPM)と連動し、エンジンに対する燃料噴射許可を決定した信号をエンジン制御器240に伝送し、またエンジントルク及びRPMがエンジンの目標トルク及びRPMに到逹するとともに発電機トルク限界値未満に調節されるようにするエンジントルク指令をエンジン制御器240に伝送する。
もしくは、エンジン要求トルク決定部213は、エンジン駆動モードがエンジンアイドルに決定されれば、現在エンジンRPM(例えば、50~900RPM)と連動し、エンジンに対する燃料噴射許可を決定する信号をエンジン制御器240に伝送するとともに、触媒加熱(Catalyst Heating、CH)許容信号をエンジン制御器240に伝送する。
【0042】
もしくは、エンジン要求トルク決定部213は、エンジン駆動モードがエンジンパッシブランに決定されれば、現在エンジンRPM(例えば、50~900RPM)と連動し、エンジン自己診断許容信号をエンジン制御器240に伝送する。発電機要求トルク決定部214は、エンジン要求トルク決定部213で決定されたエンジントルク指令情報、エンジン駆動量演算部212で演算されたエンジンの目標トルク及びRPM情報、発電機制御器250から提供された発電機RPM情報などに基づき、発電機トルク指令を決定し、決定された発電機トルク指令を発電機制御器250に伝送するように構成される。
【0043】
離着陸待機要請部215は、バッテリーSOCが基準値以下であるか、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、エンジンアイドル状態で触媒が加熱されていれば、飛行制御器220に離陸待機信号を伝送し、またバッテリーSOCが基準値以下であるか、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、エンジンRPMが基準値以下であるとともに燃料噴射がない状態であれば、飛行制御器220に着陸待機信号を伝送するように構成される。
【0044】
ここで、前述した構成による垂直離着陸飛行体のパワートレイン制御方法について説明すれば次のようである。本発明の制御方法は、垂直離着陸飛行体の現在飛行段階を判定する段階と、判定された飛行段階によってエンジン駆動モード決定段階、エンジン駆動量演算段階、エンジン要求トルク決定段階、及び発電機要求トルク決定段階を順に遂行してエンジンを駆動する段階と、エンジン駆動によって発電機を駆動し、発電機の発電電力をバッテリーに充電させる段階とからなることができる。
【0045】
図6は、本発明による垂直離着陸飛行体の離陸待機状態でのパワートレイン制御方法を示すフローチャートである。まず、垂直離着陸飛行体の現在飛行段階を判断し、現在飛行段階を離陸準備状態に判定することができる。例えば、飛行制御器220から前述した垂直離着陸飛行体の全飛行過程を示す(1)~(11)段階の一つである現在飛行段階情報をメイン制御器210に提供すれば、メイン制御器210で現在飛行段階を前述した(1)段階である離陸準備(prepare take-off)に判定することができる。
【0046】
現在飛行段階が離陸準備段階に判定されれば(S101)、メイン制御器210で、エンジン駆動モード決定段階(S102)、エンジン駆動量演算段階(S103)、エンジン要求トルク決定段階(S104)、及び発電機要求トルク決定段階(S105)を順に遂行する。また、離陸待機可否判定のために、メイン制御器210でバッテリーSOCを基準値(A)と比較する段階(S106)、バッテリー放電限界値(DchLmt)を基準値(B)と比較する段階(S107)、及び触媒加熱(CH)完了可否を判断する段階(S108)を順に遂行する。よって、段階S106での比較結果、バッテリーSOCが基準値以下であるか、段階S107での比較結果、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、S108段階での判断結果、触媒加熱がずっと遂行されていれば、メイン制御器210の離着陸待機要請部215から飛行制御器220に離陸待機要請信号を伝送することにより(S109)、バッテリーSOCが最大に充電されるとともに触媒加熱が完了するまで垂直離着陸飛行体はずっと離陸待機状態に維持される。
【0047】
ここで、触媒加熱可否は、触媒の温度が基準値未満であればエンジンアイドル状態で触媒加熱がずっと遂行されていると判断し、一方触媒の温度が基準値以上であれば触媒加熱が完了したと判断することができる。
一方、エンジン駆動モード決定段階(S102)でエンジン駆動モードを、バッテリー充電を補助することができるエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定し、エンジン駆動量演算段階(S103)でバッテリー充電のためのエンジンの目標トルク及びエンジンの目標RPMを演算し、エンジン要求トルク決定段階(S104)でエンジンに対する燃料噴射許可及びエンジントルク指令を決定するなどの過程によってエンジンをバッテリー充電のためにずっと駆動することができる。
【0048】
よって、エンジン駆動によって発電機を駆動し、発電機の発電電力でバッテリーを充電することにより、バッテリーSOCを最大値まで充電することができる。また、エンジン駆動モード決定段階(S102)でエンジン駆動モードを決定するとき、触媒加熱(CH)要請信号がある場合、離陸の前に触媒を一定温度以上に加熱するようにエンジン駆動モードをエンジンアイドルに決定し、触媒の温度が基準値以上になれば、触媒加熱が完了したと判断することができる。したがって、バッテリーSOCが基準値を超え、バッテリー放電限界値が基準値を超え、触媒加熱が完了したと判断されれば、メイン制御器210から飛行制御器220に離陸許可信号を伝送し(S110)、垂直離着陸飛行体が離陸段階に進む。
【0049】
図7は、本発明による垂直離着陸飛行体の垂直離陸段階から加速段階までのパワートレイン制御方法を示すフローチャートである。垂直離着陸飛行体の全飛行過程で、(2)一定高さまで垂直上昇する垂直離陸(take-off)段階から(3)水平飛行準備のために一時停止するホバリング(hovering)段階、(4)水平飛行のための高度に移動するトランジション(transition)段階、及び(5)水平飛行のための速度に加速する加速(acceleration)段階までバッテリー電源を用いるローター駆動用モーターの出力が最も大きく要求されるので、エンジン出力でバッテリーの充電をずっと補助するようにする。
【0050】
このために、現在飛行段階がこのように(2)~(5)段階に判定されれば(S201)、メイン制御器210で、エンジン駆動モード決定段階(S202)、エンジン駆動量演算段階(S203)、エンジン要求トルク決定段階(S204)、及び発電機要求トルク決定段階(S205)を再び遂行する。よって、エンジン駆動モード決定段階(S202)でエンジン駆動モードを、バッテリー充電を補助することができるエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定し、エンジン駆動量演算段階(S203)でバッテリー充電のためのエンジンの目標トルク及びエンジンの目標RPMを演算して、エンジン要求トルク決定段階(S204)でエンジンに対する燃料噴射許可及びエンジントルク指令を決定するなどの過程により、エンジンがバッテリー充電のためにずっと駆動することができ、これによりエンジン駆動によって発電機が駆動して発電機の発電電力でバッテリーを充電することにより、バッテリーSOCを基準値以上にずっと維持することができる。
【0051】
一方、垂直離着陸飛行体の全飛行過程で、(6)目的地まで一定速度で巡航飛行するクルージング(cruising)段階では固定翼の揚力によってモーター要求パワーが大きくないので、エンジン自己診断を遂行することができ、離陸待機段階でもエンジン自己診断を遂行することができる。このために、エンジン制御器240からエンジン自己診断のための酸素センサー診断要請信号がメイン制御器210に提供されれば、メイン制御器210のエンジン駆動モード決定部211でエンジン駆動モードを発電機の駆動によってエンジンが回転するようにしたエンジンパッシブラン(engine passive run)に決定する。よって、バッテリー電力が発電機に供給されて発電機が駆動されれば、発電機駆動によってエンジンは点火しない状態でエンジンが回転する状態になり、エンジン燃焼室に新気のみ提供することができる状態になる。
【0052】
したがって、エンジンの所定位置に装着された酸素センサーでエンジンに流入する新気量を検出してメイン制御器210に伝送すれば、メイン制御器210で酸素センサーの検出信号を分析してリーンであるか又はリッチであるかを判定し、リッチ判定の場合はエンジン点検が必要であるという警告灯の点灯過程を遂行することができる。
【0053】
図8は、本発明による垂直離着陸飛行体のクルーズ飛行段階でのパワートレイン制御方法を示すフローチャートである。垂直離着陸飛行体の全飛行過程で、(6)目的地まで一定速度で巡航飛行するクルージング(cruising)段階で固定翼の揚力により、モーター要求パワーが大きくないとしても、垂直離着陸飛行体がクルージング(cruising)段階で目的地に近接すればバッテリーSOCを基準値以上に維持するためにエンジン出力を用いてバッテリーを充電するようにする。
【0054】
このために、現在飛行段階がこのようにクルージング段階である(6)段階に判定されれば(S301)、すなわち目的地に近接したクルージング段階に判定されれば、メイン制御器210で、エンジン駆動モード決定段階(S302)、エンジン駆動量演算段階(S303)、エンジン要求トルク決定段階(S304)、及び発電機要求トルク決定段階(S305)を再び遂行する。
また、着陸待機可否判定のために、メイン制御器210で、バッテリーSOCを基準値(C)と比較する段階(S306)、バッテリー放電限界値(DchLmt)を基準値(D)と比較する段階(S307)、及びエンジンRPMを基準値(E)と比較するとともに燃料噴射可否を判断する段階(S308)を順に遂行する。
【0055】
よって、段階S306での比較結果、バッテリーSOCが基準値以下であるか、段階S307での比較結果、バッテリー放電限界値が基準値以下であるか、S308段階での比較及び判断結果、エンジンRPMが基準値(E)以下であるか燃料が噴射されない状態に判断されれば、メイン制御器210の離着陸待機要請部215から飛行制御器220に着陸待機要請信号を伝送し(S309)、垂直離着陸飛行体はずっと着陸待機状態に維持される。
【0056】
ここで、エンジン駆動モード決定段階(S302)でエンジン駆動モードを、バッテリー充電を補助することができるエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定し、エンジン駆動量演算段階(S303)でバッテリー充電のためのエンジンの目標トルク及びエンジンの目標RPMを演算し、エンジン要求トルク決定段階(S304)でエンジンに対する燃料噴射許可及びエンジントルク指令を決定するなどの過程により、エンジンがバッテリー充電のためにずっと駆動することができる。よって、エンジン駆動によって発電機が駆動して発電機の発電電力をバッテリーに充電することにより、バッテリーSOCを最大値まで充電することができる。したがって、バッテリーSOCが基準値を超え、バッテリー放電限界値が基準値を超え、バッテリー充電のためのエンジンRPMが基準値(E)を超えるとともに燃料が噴射される状態に判断されれば、メイン制御器210から飛行制御器220に着陸許可信号を伝送し(S310)、垂直離着陸飛行体が着陸段階に進むことができる。
【0057】
図9は、本発明による垂直離着陸飛行体の減速段階から垂直着陸完了段階までのパワートレイン制御方法を示すフローチャートである。垂直離着陸飛行体の全飛行過程で、(7)目的地に近接して着陸のために減速する減速(deceleration)段階から(8)垂直着陸のための高度に移動するトランジション(transition)段階、(9)垂直着陸準備のために一時停止するホバリング(hovering)段階、(10)目的地に垂直下降する垂直着陸(landing)段階、及び(11)目的地に対する垂直着陸完了(landing complete)段階までもバッテリー電源を用いるローター駆動用モーターの出力が最も大きく要求されるので、エンジン出力でバッテリー充電をずっと補助するようにする。
【0058】
このために、現在飛行段階がこのように(7)~(11)段階に判定されれば(S401)、メイン制御器210で、エンジン駆動モード決定段階(S402)、エンジン駆動量演算段階(S403)、エンジン要求トルク決定段階(S404)、及び発電機要求トルク決定段階(S405)を再び遂行する。
よって、エンジン駆動モード決定段階(S402)でエンジン駆動モードを、バッテリー充電を補助することができるエンジン部分負荷又はエンジンフル負荷に決定し、エンジン駆動量演算段階(S403)でバッテリー充電のためのエンジンの目標トルク及びエンジンの目標RPMを演算し、エンジン要求トルク決定段階(S404)でエンジンに対する燃料噴射許可及びエンジントルク指令を決定するなどの過程により、エンジンがバッテリー充電のためにずっと駆動することができ、これによりエンジン駆動によって発電機が駆動して発電機の発電電力でバッテリーを充電することにより、バッテリーSOCを基準値以上にずっと維持することができる。
【0059】
以上で説明したように、本発明によれば、アーバンエアモビリティのための垂直離着陸飛行体の各飛行段階でバッテリーSOCをいつも一定水準以上に管理することができるので、垂直離着陸飛行体が安定的に飛行することができ、離陸の前に触媒加熱によって排出ガスを低減することができ、酸素センサー診断要請によるエンジン自己診断が可能な利点を備えることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 モーター
20 エンジン
30 発電機
40 バッテリー
100 飛行体
110 機体部
120 翼部
130 ローター
200 制御装置
210 メイン制御器
211 エンジン駆動モード判断部
212 エンジン駆動量演算部
213 エンジン要求トルク決定部
214 発電機要求トルク決定部
215 離着陸待機要請部
220 飛行制御器
230 バッテリー制御器
240 エンジン制御器
250 発電機制御器