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特開2022-118711情報処理システム、情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118711
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/213 20140101AFI20220805BHJP
   A63F 13/655 20140101ALI20220805BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20220805BHJP
【FI】
A63F13/213
A63F13/655
A63F13/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011040
(22)【出願日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2021015133
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000233778
【氏名又は名称】任天堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130269
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 盛規
(72)【発明者】
【氏名】秋房 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 一輝
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 侑哉
(72)【発明者】
【氏名】栗林 晋
(72)【発明者】
【氏名】内田 大貴
(57)【要約】
【課題】指示された色を撮影するゲームの難易度を適切に調整する。
【解決手段】情報処理システムは、複数のユーザにより行われるゲームの第1シーンにおいて、当該複数のユーザに対し、撮影手段により画像を撮影することを指示する画像または音声を出力装置に出力する。その後、複数のユーザの各々が撮影した撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得し、取得した色情報に基づき、指示色を決定する。指示色を決定後、第1シーンの後の第2シーンにおいて、複数のユーザに対し、決定した指示色に対応する対象を撮影することを指示する画像または音声を出力装置に出力する。そして、第2シーンにおいて取得された撮影画像が指示色に近い色であるほど当該撮影画像に高い評価を与える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザにより行われるゲームの第1シーンにおいて、当該複数のユーザに対し、撮影手段により画像を撮影することを指示する画像または音声を出力装置に出力する第1指示手段と、
前記複数のユーザの各々が撮影した撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得する色情報取得手段と、
前記色情報に基づき、指示色を決定する指示色決定手段と、
前記第1シーンの後の第2シーンにおいて、前記複数のユーザに対し、前記指示色に対応する対象を撮影することを指示する画像または音声を前記出力装置に出力する第2指示手段と、
前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像が前記指示色に近い色であるほど当該撮影画像に高い評価を与える評価手段を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記評価手段は、前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像の特定の位置または特定の範囲内の色が前記指示色に近い色であるほど前記撮影画像に高い評価を与える、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記評価手段は、前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像の特定の範囲に含まれる各ピクセルと前記指示色との色差の平均値が小さいほど、当該撮影画像に高い評価を与える、請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記指示色決定手段は、前記第1シーンにおいて取得された前記撮影画像の少なくともいずれか1つに含まれる色、または当該含まれる色に近い色を、前記指示色として決定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記指示色決定手段は、前記第1シーンにおいて取得された前記複数のユーザの前記撮影画像の各々に含まれる色の出現頻度を合計したものに基づく確率により、前記指示色を決定する、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記指示色決定手段は、前記第1シーンにおいて取得された前記複数のユーザの前記撮影画像の各々に含まれる色を、互いに近い色でまとめたうえで、前記出現頻度を合計したものに基づく確率により、前記指示色を決定する、請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記指示色決定手段は、無彩色ではない前記指示色を決定する、請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第1指示手段は、前記第1シーンにおいて、前記複数のユーザに対し、所定の色に対応する対象を撮影させることを指示する画像または音声を前記出力装置に出力する、請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記評価手段は、前記第1シーンにおいて取得された前記撮影画像が前記所定の色に近い色であったか否かを、前記第2シーンにおける前記評価に影響させない、請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記色情報取得手段は、前記複数のユーザの各々が複数枚撮影した前記撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得する、請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記色情報取得手段は、前記複数のユーザの各々が定期的な間隔で複数枚撮影した前記撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得する、請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記指示色決定手段は、前記第1シーンの後に前記第2シーンを繰り返す場合、少なくとも前回の指示色以外の色、または前回の指示色と近い色以外の色を、前記指示色として決定する、請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記指示色決定手段は、前記第1シーンの後に前記第2シーンを繰り返す場合、少なくとも前回までの指示色以外の色、または前回までの指示色と近い色以外の色を、前記指示色として決定する、請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記指示色決定手段は、前回の前記第2シーンで取得した前記撮影画像に含まれる色情報に基づき、前記指示色を決定する、請求項12または13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記第2指示手段は、前記第2シーンにおいて、前記複数のユーザの全員に対し、同じ前記指示色に対応する対象を撮影することを指示する画像または音声を前記出力装置に出力する、請求項1から14のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記複数のユーザは、現実空間において互いに近傍に存在する、請求項1から15のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項17】
複数のユーザにより行われるゲームの第1シーンにおいて、当該複数のユーザに対し、撮影手段により画像を撮影することを指示する画像または音声を出力装置に出力する第1指示手段と、
前記複数のユーザの各々が撮影した撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得する色情報取得手段と、
前記色情報に基づき、指示色を決定する指示色決定手段と、
前記第1シーンの後の第2シーンにおいて、前記複数のユーザに対し、前記指示色に対応する対象を撮影することを指示する画像または音声を前記出力装置に出力する第2指示手段と、
前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像が前記指示色に近い色であるほど当該撮影画像に高い評価を与える評価手段を備える、情報処理装置。
【請求項18】
情報処理装置のコンピュータにおいて実行される情報処理プログラムであって、
前記コンピュータを、
複数のユーザにより行われるゲームの第1シーンにおいて、当該複数のユーザに対し、撮影手段により画像を撮影することを指示する画像または音声を出力装置に出力する第1指示手段と、
前記複数のユーザの各々が撮影した撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得する色情報取得手段と、
前記色情報に基づき、指示色を決定する指示色決定手段と、
前記第1シーンの後の第2シーンにおいて、前記複数のユーザに対し、前記指示色に対応する対象を撮影することを指示する画像または音声を前記出力装置に出力する第2指示手段と、
前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像が前記指示色に近い色であるほど当該撮影画像に高い評価を与える評価手段
として機能させる、情報処理プログラム。
【請求項19】
情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
複数のユーザにより行われるゲームの第1シーンにおいて、当該複数のユーザに対し、撮影手段により画像を撮影することを指示する画像または音声を出力装置に出力するステップと、
前記複数のユーザの各々が撮影した撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得するステップと、
前記色情報に基づき、指示色を決定するステップと、
前記第1シーンの後の第2シーンにおいて、前記複数のユーザに対し、前記指示色に対応する対象を撮影することを指示する画像または音声を前記出力装置に出力するステップと、
前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像が前記指示色に近い色であるほど当該撮影画像に高い評価を与えるステップと
を含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラで撮影された画像を利用するゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラで撮影された画像を利用するゲームが知られている。例えば、特許文献1には、指定された色をプレイヤが撮影するゲームモードが記載されている。このゲームモードでは、プレイヤによって撮影された色が指定された色に近いほど、次のゲームモードにおいて有利な条件が与えられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-111201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のゲームモードのような、指示された色を撮影するゲームにおいて、ゲームの難易度を適切に調整したいというニーズがあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、指示された色を撮影するゲームの難易度を適切に調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る情報処理システムは、複数のユーザにより行われるゲームの第1シーンにおいて、当該複数のユーザに対し、撮影手段により画像を撮影することを指示する画像または音声を出力装置に出力する第1指示手段と、前記複数のユーザの各々が撮影した撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得する色情報取得手段と、前記色情報に基づき、指示色を決定する指示色決定手段と、前記第1シーンの後の第2シーンにおいて、前記複数のユーザに対し、前記指示色に対応する対象を撮影することを指示する画像または音声を前記出力装置に出力する第2指示手段と、前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像が前記指示色に近い色であるほど当該撮影画像に高い評価を与える評価手段を備える。
【0007】
前記評価手段は、前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像の特定の位置または特定の範囲内の色が前記指示色に近い色であるほど前記撮影画像に高い評価を与えてもよい。
【0008】
前記評価手段は、前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像の特定の範囲に含まれる各ピクセルと前記指示色との色差の平均値が小さいほど、当該撮影画像に高い評価を与えてもよい。
【0009】
前記指示色決定手段は、前記第1シーンにおいて取得された前記撮影画像の少なくともいずれか1つに含まれる色、または当該含まれる色に近い色を、前記指示色として決定してもよい。
【0010】
前記指示色決定手段は、前記第1シーンにおいて取得された前記複数のユーザの前記撮影画像の各々に含まれる色の出現頻度を合計したものに基づく確率により、前記指示色を決定してもよい。
【0011】
前記指示色決定手段は、前記第1シーンにおいて取得された前記複数のユーザの前記撮影画像の各々に含まれる色を、互いに近い色でまとめたうえで、前記出現頻度を合計したものに基づく確率により、前記指示色を決定してもよい。
【0012】
前記指示色決定手段は、無彩色ではない前記指示色を決定してもよい。
【0013】
前記第1指示手段は、前記第1シーンにおいて、前記複数のユーザに対し、所定の色に対応する対象を撮影させることを指示する画像または音声を前記出力装置に出力してもよい。
【0014】
前記評価手段は、前記第1シーンにおいて取得された前記撮影画像が前記所定の色に近い色であったか否かを、前記第2シーンにおける前記評価に影響させなくてもよい。
【0015】
前記色情報取得手段は、前記複数のユーザの各々が複数枚撮影した前記撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得してもよい。
【0016】
前記色情報取得手段は、前記複数のユーザの各々が定期的な間隔で複数枚撮影した前記撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得してもよい。
【0017】
前記指示色決定手段は、前記第1シーンの後に前記第2シーンを繰り返す場合、少なくとも前回の指示色以外の色、または前回の指示色と近い色以外の色を、前記指示色として決定してもよい。
【0018】
前記指示色決定手段は、前記第1シーンの後に前記第2シーンを繰り返す場合、少なくとも前回までの指示色以外の色、または前回までの指示色と近い色以外の色を、前記指示色として決定してもよい。
【0019】
前記指示色決定手段は、前回の前記第2シーンで取得した前記撮影画像に含まれる色情報に基づき、前記指示色を決定してもよい。
【0020】
前記第2指示手段は、前記第2シーンにおいて、前記複数のユーザの全員に対し、同じ前記指示色に対応する対象を撮影することを指示する画像または音声を前記出力装置に出力してもよい。
【0021】
前記複数のユーザは、現実空間において互いに近傍に存在してもよい。
【0022】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、複数のユーザにより行われるゲームの第1シーンにおいて、当該複数のユーザに対し、撮影手段により画像を撮影することを指示する画像または音声を出力装置に出力する第1指示手段と、前記複数のユーザの各々が撮影した撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得する色情報取得手段と、前記色情報に基づき、指示色を決定する指示色決定手段と、前記第1シーンの後の第2シーンにおいて、前記複数のユーザに対し、前記指示色に対応する対象を撮影することを指示する画像または音声を前記出力装置に出力する第2指示手段と、前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像が前記指示色に近い色であるほど当該撮影画像に高い評価を与える評価手段を備える。
【0023】
本発明の一実施形態に係る情報処理プログラムは、情報処理装置のコンピュータにおいて実行される情報処理プログラムであって、前記コンピュータを、複数のユーザにより行われるゲームの第1シーンにおいて、当該複数のユーザに対し、撮影手段により画像を撮影することを指示する画像または音声を出力装置に出力する第1指示手段と、前記複数のユーザの各々が撮影した撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得する色情報取得手段と、前記色情報に基づき、指示色を決定する指示色決定手段と、前記第1シーンの後の第2シーンにおいて、前記複数のユーザに対し、前記指示色に対応する対象を撮影することを指示する画像または音声を前記出力装置に出力する第2指示手段と、前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像が前記指示色に近い色であるほど当該撮影画像に高い評価を与える評価手段として機能させる。
【0024】
本発明の一実施形態に係る情報処理方法は、情報処理装置により実行される情報処理方法であって、複数のユーザにより行われるゲームの第1シーンにおいて、当該複数のユーザに対し、撮影手段により画像を撮影することを指示する画像または音声を出力装置に出力するステップと、前記複数のユーザの各々が撮影した撮影画像から算出された当該撮影画像の色情報を取得するステップと、前記色情報に基づき、指示色を決定するステップと、前記第1シーンの後の第2シーンにおいて、前記複数のユーザに対し、前記指示色に対応する対象を撮影することを指示する画像または音声を前記出力装置に出力するステップと、前記第2シーンにおいて取得された前記撮影画像が前記指示色に近い色であるほど当該撮影画像に高い評価を与えるステップとを含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、指示された色を撮影するゲームの難易度を適切に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】情報処理システムの一例を示す図
図2】情報処理装置1の一例を示すブロック図
図3】揮発性メモリ13のメモリマップの一例を示す図
図4】ゲーム処理の一例を示すフロー図
図5】チュートリアル処理の一例を示すフロー図
図6】撮影処理の一例を示すフロー図
図7】指示色決定処理の一例を示すフロー図
図8】指示色決定処理の一例を示すフロー図
図9】本戦処理の一例を示すフロー図
図10】撮影処理の一例を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0027】
1.実施形態
1-1.構成
本発明の一実施形態に係る情報処理システムについて図面を参照して説明する。
図1は、この情報処理システムの一例を示す図である。同図に示すように、この情報処理システムは、複数の情報処理装置1a、1b、1c、1d(以下、まとめて情報処理装置1とする)を備える。
【0028】
この情報処理システムは、複数の情報処理装置1のユーザにゲームをプレイさせるためのシステムである。ここで言うゲームとは、具体的には、指示された色をプレイヤが撮影するゲームである。このゲームでは、情報処理装置1aがゲームのメイン処理を行い、情報処理装置1b、1c、1dとの間で通信による情報の送受信が行われる。情報処理装置1aにより決定された指示色は情報処理装置1のディスプレイ16に表示される。この指示色を見た各情報処理装置1のユーザは、この指示色に近い色を身の回りで探し、発見した色を情報処理装置1のカメラ20で撮影する。撮影された画像は情報処理装置1において解析され、撮影画像の色と指示色との差を示す色差データが生成される。そして、この色差データに基づいて得点が算出される。その際、算出される得点は、色差が小さいほど高くなる。算出された得点を示す得点データは、情報処理装置1aに送信される。なお、情報処理装置1aにおいて撮影された画像に基づくデータは、情報処理装置1b、1c、1dにおいて撮影された画像に基づくデータとまとめられて同様に処理される。また、このゲームにおいては、情報処理装置1a、1b、1c、1dの各ユーザは現実空間において互いに近傍に存在し、ローカル無線通信などによって互いにデータを送受信する。
【0029】
この色探しゲームの1回の対戦は、チュートリアルと3回の本戦により構成される。このうち、チュートリアルは、ユーザにこのゲームの操作方法を知ってもらうためにプレイされるゲームモードである。このチュートリアルでは、所定の指示色が情報処理装置1のディスプレイ16に表示され、各ユーザはこの指示色に近い色の撮影を試みる。撮影された画像は情報処理装置1において解析され、撮影画像の色と指示色との差を示す色差データが生成される。そして、この色差データに基づいて得点が算出されて、算出された得点を示す得点データが情報処理装置1aに送信される。しかし、ここで算出される得点は、本戦には影響しない。
【0030】
このチュートリアルでは、ユーザの操作に応じて撮影される画像とは別に、所定の周期で複数の画像が撮影される。ここで撮影される複数の画像は、ユーザの周囲の環境を表す画像となる。そして、この撮影された複数の画像に基づいて、ユーザの周囲に存在する色のヒストグラムが作成される。この作成されたヒストグラムのデータは、情報処理装置1aに送信される。このヒストグラムのデータを受信した情報処理装置1aでは、このヒストグラムを基に本戦の指示色が決定される。すなわち、本戦の指示色は、ユーザの周囲に存在する色の度数分布を考慮して決定されることになる。
【0031】
このチュートリアルに続く3回の本戦では、それぞれ、決定された指示色が情報処理装置1のディスプレイ16に表示され、各ユーザはこの指示色に近い色の撮影を試みる。撮影された画像は情報処理装置1において解析され、撮影画像の色と指示色との差を示す色差データが生成される。そして、この色差データに基づいて得点が算出されて、算出された得点を示す得点データが情報処理装置1aに送信される。
【0032】
この色探しゲームの対戦はチーム戦で行われ、3回の本戦の合計得点が高いチームが勝利チームとなる。
以下、この情報処理システムを構成する各装置について説明する。
【0033】
図2は、情報処理装置1の一例を示すブロック図である。同図に示すように、情報処理装置1は、CPU等のプロセッサ11と、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ12と、DRAM等の揮発性メモリ13と、通信回線を介して通信するための通信部15と、液晶ディスプレイ等のディスプレイ16と、スピーカ18と、カメラ20とを備える。
【0034】
図3は、この情報処理装置1が備える揮発性メモリ13のメモリマップの一例を示す図である。同図に示すように、揮発性メモリ13には、ゲームプログラムが不揮発性メモリ12または外部記憶媒体から読み込まれる。このゲームプログラムは、複数の情報処理装置1のユーザに色探しゲームをプレイさせるための情報処理プログラムである。このゲームプログラムは、インターネット等のネットワークや非一時的な記録媒体を介して頒布可能なプログラムである。また、この揮発性メモリ13には、参加ユーザデータ、チームデータ、ヒストグラムデータ、色差データ、指示色データ、個人得点データおよびチーム得点データが記憶される。以下、この揮発性メモリ13に記憶される各データについて説明する。
【0035】
参加ユーザデータは、色探しゲームに参加する各ユーザのユーザIDである。
【0036】
チームデータは、各チームの構成メンバを示すデータである。具体的には、各チームのチームIDと、構成メンバのユーザIDの組により構成される。
【0037】
ヒストグラムデータは、参加ユーザの周囲に存在する色の度数分布を表すヒストグラムのデータ群である。
【0038】
色差データは、参加ユーザによって撮影された画像の色と指示色との差を示すデータである。具体的には、各参加ユーザのユーザIDと、チュートリアルの色差の組により構成される。
【0039】
指示色データは、3回の本戦で使用される指示色を示すデータである。この指示色データにより示される指示色には、1回戦で使用される第1指示色と、2回戦で使用される第2指示色と、3回戦で使用される第3指示色がある。
【0040】
個人得点データは、各参加ユーザの得点を示すデータである。具体的には、各参加ユーザのユーザIDと、3回の本戦の各々の得点の組により構成される。
【0041】
チーム得点データは、各チームの得点を示すデータである。具体的には、各チームのチームIDと、3回の本戦の各々の得点の組により構成される。
【0042】
揮発性メモリ13に読み込まれた上記のゲームプログラムは、プロセッサ11により実行される。その結果、図2に示すように、グループ分け部111、指示色決定部112、第1指示部113、第2指示部114、撮影モード移行指示部115、色情報取得部116、得点情報取得部117、撮影部118、ヒストグラム作成部119、色差算出部120、評価部121および情報送信部122という機能が実現される。
【0043】
グループ分け部111は、参加ユーザを2つのチームに分ける。その際、グループ分け部111は、2つのチームのうち、少なくとも一方が2以上の参加ユーザを含むようにチーム分けを行う。このチーム分けは、情報処理装置1aのユーザの指示に従って行われてもよいし、自動で行われてもよい。
なお、本実施形態では色探しゲームをチーム戦で行うことを想定しているが、この対戦形式はあくまで一例である。別の対戦形式として、1対1で色探しゲームをプレイしてもよい。
【0044】
指示色決定部112は、チュートリアルと3回の本戦で使用される指示色を決定する。
【0045】
第1指示部113は、チュートリアルのシーンにおいて、撮影指示画面をディスプレイ16に表示させる。この撮影指示画面は、指示色決定部112により決定された指示色に近い色を撮影するようユーザに指示するための画面である。
【0046】
第2指示部114は、本戦のシーンにおいて、撮影指示画面をディスプレイ16に表示させる。この撮影指示画面は、指示色決定部112により決定された指示色に近い色を撮影するようユーザに指示するための画面である。
【0047】
撮影モード移行指示部115は、各情報処理装置1に対して撮影モードへの移行を指示する。
【0048】
色情報取得部116は、各情報処理装置1から送信される色情報を取得する。取得される色情報は、具体的には、ヒストグラムデータである。
【0049】
得点情報取得部117は、各情報処理装置1から送信される得点データを取得する。
【0050】
撮影部118は、カメラ20を制御して、被写体の画像を撮影する。
【0051】
ヒストグラム作成部119は、撮影部118により撮影された画像に基づいてヒストグラムを作成する。このヒストグラムは、情報処理装置1のユーザの周囲に存在する色の度数分布を表す。
【0052】
色差算出部120は、撮影部118により撮影された撮影画像と、情報処理装置1aから通知された指示色の色差を算出する。
【0053】
評価部121は、色差算出部120により算出された色差に基づいて得点を算出する。その際、評価部121は、色差が小さいほど高い得点を算出する。言い換えると、参加ユーザによって撮影された画像の色が指示色に近いほど高い得点を算出する。
【0054】
情報送信部122は、ヒストグラム作成部119により作成されたヒストグラムのデータと、評価部121により算出された得点のデータを情報処理装置1aに送信する。
以上が、情報処理装置1についての説明である。
【0055】
1-2.動作
情報処理装置1aにより実行されるゲーム処理について説明する。図4は、このゲーム処理の一例を示すフロー図である。
【0056】
同図に示すゲーム処理は、複数の情報処理装置1のユーザに色探しゲームの1回の対戦をプレイさせるための処理である。このゲーム処理によりプレイ可能になる1回の対戦は、チュートリアルと3回の本戦により構成される。以下、このゲーム処理の各ステップについて説明する。
【0057】
このゲーム処理では、まず、グループ分け部111が、参加ユーザを2つのチームに分ける(ステップSa1)。このチーム分けは、情報処理装置1aのユーザの指示に従って行われてもよいし、自動で行われてもよい。このチーム分けが完了すると、次に、チュートリアル処理が実行される(ステップSa2)。このチュートリアル処理は、色探しゲームの操作方法をユーザに知ってもらうための処理である。図5は、このチュートリアル処理の一例を示すフロー図である。
【0058】
同図に示すチュートリアル処理では、まず、指示色決定部112が、指示色を決定する(ステップSb1)。その際、指示色決定部112は、所定の8色の中から乱択アルゴリズムを用いて1色を選択する。指示色が決定されると、第1指示部113は、決定された指示色に近い色を撮影するようユーザに指示する撮影指示画面をディスプレイ16に表示させる(ステップSb2)。例えばこの撮影指示画面には、指示色で塗られた四角形と、その指示色を撮影する旨のテキストが表示される。
【0059】
撮影指示画面が表示されると、撮影モード移行指示部115は、各情報処理装置1に対して撮影モード移行指示を送信する(ステップSb3)。この撮影モード移行指示には、ステップSb1で決定された指示色を示すデータが含まれる。
【0060】
この撮影モード移行指示を受信した情報処理装置1では、撮影処理が実行される。図6は、この撮影処理の一例を示すフロー図である。
【0061】
同図に示す撮影処理では、まず、撮影部118が、カメラ20を起動して、撮影画面をディスプレイ16に表示させる(ステップSc1)。撮影画面には、カメラ20により撮影される動画と、画像中心部に配置される指示色の円が含まれる。情報処理装置1のユーザは、この撮影画面を見ながら、自身の周囲において指示色に近い色を探す。その探索の間、撮影部118は、所定の周期で(例えば毎秒)、表示中の被写体の静止画を撮影する(ステップSc2)。この静止画の撮影は、ユーザの操作にかかわらず行われ、ユーザによりシャッターボタンが押されるまで継続される。ここで撮影される複数の静止画は、ユーザの周囲の環境を表すものとなる。
【0062】
ヒストグラム作成部119は、ステップSc2で撮影された複数の撮影画像に基づいてヒストグラムを作成する。具体的には、静止画が撮影されるごとに、以下の第1および第2の処理を実行する。まず第1の処理として、撮影された撮影画像の各ピクセルの色を、所定の64色の中で最も近い色に分類する。そして第2の処理として、ピクセルの色が分類された回数を色ごとに累積的にカウントする。ここで作成されるヒストグラムは、ユーザの周囲に存在する色の度数分布を表すものとなる。
【0063】
ユーザが探索の結果、指示色に近い色を発見し、発見した色を表示させた状態でシャッターボタンを押すと、撮影部118は、表示中の被写体の静止画を撮影する(ステップSc3)。色差算出部120は、この撮影された撮影画像と、情報処理装置1aから通知された指示色の色差を算出する(ステップSc4)。具体的には、まず、撮影画像を構成するピクセルのうち、指示色の円内に位置する複数のピクセルを特定する。次に、特定した各ピクセルと、情報処理装置1aから通知された指示色の色差を、CIEDE2000色差式を用いて算出する。最後に、算出した各色差の平均値を算出する。この算出された平均値を、本実施形態では、撮影画像の色と指示色の色差として扱う。
【0064】
色差が算出されると、評価部121は、算出された色差を基に得点を算出する(ステップSc5)。その際、評価部121は、色差が小さいほど高い得点を算出する。
【0065】
得点が算出されると、情報送信部122は、ステップSc4で作成されたヒストグラムのデータと、ステップSc5で算出された得点のデータを情報処理装置1aに送信する(ステップSc6)。
以上が、撮影処理についての説明である。
【0066】
この撮影処理が各情報処理装置1で実行される結果、各情報処理装置1から情報処理装置1aに対してヒストグラムデータと得点データが送信される。送信されたデータのうち、ヒストグラムデータは、情報処理装置1aの色情報取得部116により取得され、得点データは、情報処理装置1aの得点情報取得部117により取得される(図5のステップSb4)。得点情報取得部117は、取得した各得点を示す採点結果画面を情報処理装置1のディスプレイ16に表示させる(ステップSb5)。各ユーザはこの採点結果画面を見ることで、各ユーザの得点を知ることができる。
以上が、チュートリアル処理についての説明である。
【0067】
以上説明したチュートリアル処理が実行されることで、各ユーザは色探しゲームの操作方法を習得することができる。加えて、情報処理装置1aは、各ユーザの周囲に存在する色の度数分布を表すヒストグラムを取得することができる。
【0068】
このチュートリアル処理が終了すると、次に、指示色決定処理が実行される(図4のステップSa3)。この指示色決定処理は、チュートリアルに続く3回の本戦で使用される指示色を決定するための処理である。図7および図8は、この指示色決定処理の一例を示すフロー図である。
【0069】
同図に示す指示色決定処理では、まず、指示色決定部112が、各情報処理装置1から通知されたヒストグラムを合計する(ステップSd1)。具体的には、各情報処理装置1から通知されたヒストグラムの度数を色ごとに合計し、ユーザ全体について色の度数分布を表すヒストグラムを作成する。ここでヒストグラムを合計することで、特定のユーザが有利になってしまう事態を回避することができる。ヒストグラムを作成すると、次に指示色決定部112は、作成したヒストグラムにおいて、無彩色と、自然界に存在しなさそうな所定の色の度数を「0」にする(ステップSd2)。これは、無彩色等を指示色の候補から除外するためである。ヒストグラムの更新後、次に指示色決定部112は、更新したヒストグラムから、重みを付けてランダムに色を選択するか否かを判定する(ステップSd3)。この判定では、90%の確率で「YES」の判定が下される。この判定の結果、重みを付けてランダムに色を選択すると判定した場合には(ステップSd3のYES)、指示色決定部112は、更新したヒストグラムから重み付き乱択アルゴリズムを用いて1色を選択する(ステップSd4)。具体的には、更新したヒストグラムにおいて度数が高い色ほど高い確率で選択する。色の選択が完了すると、次に指示色決定部112は、選択した色のRGB値を微量変更する(ステップSd5)。これは、指示色のバリエーションを増やすためである。RGB値を変更後、次に指示色決定部112は、RGB値を変更した色のデータを、第1指示色を表すデータとして揮発性メモリ13に格納する(ステップSd6)。この第1指示色データの格納後、次に指示色決定部112は、選択した色とこれに近い色の度数を、更新したヒストグラムにおいて「0」にする(ステップSd7)。これは、すでに選択した色等を第2指示色と第3指示色の候補から除外するためである。
【0070】
上記のステップSd3において、重みを付けてランダムに色を選択すると判定しなかった場合には(ステップSd3のNO)、指示色決定部112は、更新したヒストグラムから乱択アルゴリズムを用いて1色を選択する(ステップSd8)。そして、その選択した色について、上述したステップSd5からSd7を実行する。
【0071】
第1指示色を決定後、次に指示色決定部112は、ステップSd7で更新したヒストグラムから、重みを付けてランダムに色を選択するか否かを判定する(ステップSd9)。この判定では、40%の確率で「YES」の判定が下される。この判定の結果、重みを付けてランダムに色を選択すると判定した場合には(ステップSd9のYES)、指示色決定部112は、更新したヒストグラムから重み付き乱択アルゴリズムを用いて1色を選択する(ステップSd10)。具体的には、更新したヒストグラムにおいて度数が高い色ほど高い確率で選択する。色の選択が完了すると、次に指示色決定部112は、選択した色のRGB値を微量変更する(ステップSd11)。RGB値を変更後、次に指示色決定部112は、RGB値を変更した色のデータを、第2指示色を表すデータとして揮発性メモリ13に格納する(ステップSd12)。この第2指示色データの格納後、次に指示色決定部112は、選択した色とこれに近い色の度数を、更新したヒストグラムにおいて「0」にする(ステップSd13)。
【0072】
上記のステップSd9において、重みを付けてランダムに色を選択すると判定しなかった場合には(ステップSd9のNO)、指示色決定部112は、更新したヒストグラムから乱択アルゴリズムを用いて1色を選択する(ステップSd14)。そして、その選択した色について、上述したステップSd11からSd13を実行する。
【0073】
第2指示色を決定後、次に指示色決定部112は、ステップSd13で更新したヒストグラムから、重みを付けてランダムに色を選択するか否かを判定する(ステップSd15)。この判定では、10%の確率で「YES」の判定が下される。この判定の結果、重みを付けてランダムに色を選択すると判定した場合には(ステップSd15のYES)、指示色決定部112は、更新したヒストグラムから重み付き乱択アルゴリズムを用いて1色を選択する(ステップSd16)。具体的には、更新したヒストグラムにおいて度数が高い色ほど高い確率で選択する。色の選択が完了すると、次に指示色決定部112は、選択した色のRGB値を微量変更する(ステップSd17)。RGB値を変更後、次に指示色決定部112は、RGB値を変更した色のデータを、第3指示色を表すデータとして揮発性メモリ13に格納する(ステップSd18)。
【0074】
上記のステップSd15において、重みを付けてランダムに色を選択すると判定しなかった場合には(ステップSd15のNO)、指示色決定部112は、更新したヒストグラムから乱択アルゴリズムを用いて1色を選択する(ステップSd19)。そして、その選択した色について、上述したステップSd17およびSd18を実行する。
以上が、指示色決定処理についての説明である。
【0075】
以上説明した指示色決定処理が実行されることで、本戦で使用される指示色が決定される。その際、指示色は、ヒストグラムから重み付き乱択アルゴリズムを用いて決定される。その際に使用されるヒストグラムは、各ユーザの周囲の色の度数分布を表すものである。そのため、決定される指示色は、ユーザの周囲に存在する確率が高い色となる。
【0076】
加えて、上記の指示色決定処理では、本戦の回数を重ねるごとに、重み付き乱択アルゴリズムが用いられる確率が低下する。ここで、重み付き乱択アルゴリズムの使用確率の低下は、決定される指示色が、ユーザの周囲に存在する色またはこれに近い色となる確率が低下することを意味する。そのため、上記の指示色決定処理が実行されることで、本戦の回数を重ねるごとにゲームの難易度が向上する。
【0077】
この指示色決定処理が終了すると、次に、本戦処理が実行される(図4のステップSa4)。図9は、この本戦処理の一例を示すフロー図である。
【0078】
同図に示す本戦処理では、まず、指示色決定部112が、実行中の本戦処理の回数に応じた指示色を特定する(ステップSe1)。具体的には、本戦の1回戦では第1指示色を、2回戦では第2指示色を、3回戦では第3指示色を特定する。指示色が特定されると、第2指示部114は、特定された指示色に近い色を撮影するようユーザに指示する撮影指示画面をディスプレイ16に表示させる(ステップSe2)。この撮影指示画面の一例は、前述の通りである。この撮影指示画面を見たユーザは、指示色を知ることができる。
【0079】
撮影指示画面が表示されると、撮影モード移行指示部115は、各情報処理装置1に対して撮影モード移行指示を送信する(ステップSe3)。この撮影モード移行指示には、ステップSe1で特定された指示色を示すデータが含まれる。
【0080】
この撮影モード移行指示を受信した情報処理装置1では、撮影処理が実行される。図10は、この撮影処理の一例を示すフロー図である。
【0081】
同図に示す撮影処理では、まず、撮影部118が、カメラ20を起動して、撮影画面をディスプレイ16に表示させる(ステップSf1)。この撮影画面の一例は、前述の通りである。情報処理装置1のユーザは、この撮影画面を見ながら、自身の周囲において指示色に近い色を探す。そして、指示色に近い色を発見すると、発見した色を表示させた状態でシャッターボタンを押す。その結果、撮影部118は、表示中の被写体の静止画を撮影する(ステップSf2)。
【0082】
画像の撮影が終了すると、色差算出部120は、その撮影画像と、情報処理装置1aから通知された指示色の色差を算出する(ステップSf3)。具体的には、まず、撮影画像を構成するピクセルのうち、指示色の円内に位置する複数のピクセルを特定する。次に、特定した各ピクセルと、情報処理装置1aから通知された指示色の色差を、CIEDE2000色差式を用いて算出する。最後に、算出した各色差の平均値を算出する。この算出された平均値を、本実施形態では、撮影画像の色と指示色の色差として扱う。
【0083】
色差が算出されると、評価部121は、算出された色差を基に得点を算出する(ステップSf4)。その際、評価部121は、色差が小さいほど高い得点を算出する。
【0084】
得点が算出されると、情報送信部122は、算出された得点のデータを情報処理装置1aに送信する(ステップSf5)。
以上が、撮影処理についての説明である。
【0085】
この撮影処理が各情報処理装置1で実行される結果、各情報処理装置1から情報処理装置1aに対して得点データが送信される。送信された得点データは、情報処理装置1aの得点情報取得部117により取得される(図9のステップSe4)。得点情報取得部117は、取得した得点データを、その得点データの送信元のユーザIDと対応付けて揮発性メモリ13に記録する。各ユーザの得点を記録すると、次に得点情報取得部117は、チームごとの得点を算出する(ステップSe5)。そして、算出した得点をチームIDと対応付けて揮発性メモリ13に記録する。各チームの得点を算出すると、次に得点情報取得部117は、算出した各ユーザの得点と各チームの得点を示す採点結果画面をディスプレイ16に表示させる(ステップSe6)各ユーザはこの採点結果画面を見ることで、各ユーザの得点と各チームの合計得点を知ることができる。
以上が、本戦処理についての説明である。
【0086】
以上説明した本戦処理は、合計3回実行される。本戦処理が3回実行されると(図4のステップSa5のYES)、得点情報取得部117は、合計3回の本戦の得点をチームごとに合計し、合計得点が高いチームを勝利チームと判定する(ステップSa6)。そして、勝利チームを示す対戦結果画面をディスプレイ16に表示させる。各ユーザはこの対戦結果画面を見ることで、勝利チームを知ることができる。
以上が、ゲーム処理についての説明である。
【0087】
2.変形例
上記の実施形態は、以下に説明するように変形してもよい。なお、以下に説明する変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0088】
2-1.変形例1
情報処理装置1の一部又は全部の機能は、サーバ装置により実現されてもよい。すなわち、ゲーム処理システム内の機能の配置は、当該システムの提供者の都合に応じて適宜変更されてよい。
【0089】
2-2.変形例2
上記のゲーム処理では、色探しゲームがチーム戦で行われているが、色探しゲームは個人戦で行われてもよい。
【0090】
2-3.変形例3
上記の実施形態では、色探しゲームの1回の対戦で本戦が3回行われているが、本戦の回数は3回未満であっても4回以上であってもよい。
【0091】
2-4.変形例4
情報処理装置1は、撮影指示画面を情報処理装置1のディスプレイ16に表示させることに加えてまたは代えて、指示色に近い色を撮影するようユーザに指示する音声メッセージを、情報処理装置1のスピーカ18から出力させてもよい。
【0092】
2-5.変形例5
上記の撮影処理のステップSc2(図6参照)では、所定の周期で複数の静止画が撮影されているが、ここで撮影される静止画の枚数は必ずしも複数に限られず、1枚であってもよい。
【0093】
2-6.変形例6
上記の撮影処理では、ヒストグラム作成部119は、所定の周期で撮影された複数の静止画に基づいてヒストグラムを作成している(図6のステップSc2参照)。しかし、これに代えて、ヒストグラム作成部119は、ユーザがシャッターボタンを押すことで撮影される静止画(ステップSc3参照)に基づいてヒストグラムを作成するようにしてもよい。その場合、同処理のステップSc2は省略されてよい。
【0094】
2-7.変形例7
上記の撮影処理では、情報処理装置1(情報処理装置1a、1b、1c、1d)においてヒストグラムが作成されている(図6のステップSc2参照)。しかし、これに代えて、情報処理装置1aにおいてのみヒストグラムを作成するようにしてもよい。その場合、情報処理装置1b、1c、1dは、ユーザがシャッターボタンを押すことで撮影される静止画(ステップSc3参照)のデータを情報処理装置1aに対して送信する。情報処理装置1aは、この静止画のデータに基づいてヒストグラムを作成する。
【0095】
2-8.変形例8
上記の撮影処理では、色差算出部120は、撮影画像を構成するピクセルのうち、画像中心部の所定の円内に位置するピクセルを特定し、特定したピクセルに基づいて色差を算出している(図6のステップSc4および図10のステップSf3参照)。しかし、これに代えて、色差算出部120は、画像中心部の円内以外の所定の範囲内に位置するピクセルを特定するようにしてもよい。または、色差算出部120は、撮影画像内の所定の位置に存在するピクセルを1つ特定し、そのピクセルの色と指示色の色差を算出するようにしてもよい。ここで算出される色差は、撮像画像の色と指示色の色差として扱われる。
【0096】
2-9.変形例9
上記の撮影処理では、色差算出部120は、撮影画像を構成する各ピクセルと指示色の色差を算出し、算出した各色差の平均値を算出している。ここで各色差の平均値を算出している理由は、情報処理装置1間の解像度の違いを無視するためである。しかし、これに代えて、色差算出部120は、算出した各色差の分散または合計値を算出するようにしてもよい。ここで算出される分散または合計値は、撮像画像の色と指示色の色差として扱われる。
【0097】
2-10.変形例10
上記の指示色決定処理では、指示色決定部112は、ヒストグラムから乱択アルゴリズムを用いて指示色を決定している(図7のステップSd4、Sd8等参照)。その際、指示色決定部112は、ヒストグラムにおいて上位10色の中から乱択アルゴリズムを用いて指示色を選択するようにしてもよい。このように指示色の候補を上位10色に絞ることで、ゲームの難易度をより確実に下げることができる。
【0098】
また別の選択方法として、指示色決定部112は、ヒストグラムにおいて下位10色の中から乱択アルゴリズムを用いて指示色を選択するようにしてもよい。このように指示色の候補を下位10色に絞ることで、ゲームの難易度を上げることができる。
【0099】
さらに別の選択方法として、指示色決定部112は、ヒストグラムにおいてその度数が所定の閾値以上である色の中から、乱択アルゴリズムを用いて指示色を選択するようにしてもよい。ここで言う、その度数が所定の閾値以上である色とは、言い換えると、ユーザにより撮影された画像において所定の閾値以上の面積を占める色のことである。このように指示色の候補をその度数が閾値以上である色に絞ることで、ゲームの難易度をより確実に下げることができる。
【0100】
2-11.変形例11
上記の指示色決定処理では、3回の本戦の指示色が互いに重複しないように処理が行われているが(図7のステップSd7およびSd13参照)、この処理は必須ではない。すなわち、2回以上の本戦において指示色が互いに重複してもよい。
【0101】
2-12.変形例12
上記のゲーム処理では、チュートリアル処理で取得されるヒストグラムデータに基づいて3回の本戦の指示色が決定されている。しかし、これに代えて、3回の本戦のうち、2回戦と3回戦の指示色を、それぞれ1回戦で取得するヒストグラムデータと2回戦で取得するヒストグラムデータに基づいて決定するようにしてもよい。その場合、1回戦と2回戦の撮影処理でも情報処理装置1においてヒストグラムが作成されることになる。加えて、1回戦の本戦処理の前に実行される指示色決定処理では、ステップSd1からSd6のみが実行され、2回戦と3回戦の本戦処理の前にも指示色決定処理のステップSd1からSd6が実行されることになる。
【0102】
2-13.変形例13
上記の指示色決定処理において、ヒストグラムから選択した色のRGB値を微量変更する処理は、省略してもよい。
【0103】
2-14.変形例14
上記の撮影処理では、情報処理装置1は、指示色に近い色を撮影するようユーザに指示を行っている(図5のステップSb2および図9のステップSe2参照)。しかし、この指示方法はあくまで一例である。この指示方法に代えて、指示色に直接言及しない方法で撮影を指示するようにしてもよい。例えば、「リンゴを想起させる物体を撮影しよう!」といった指示を行ってもよい。また別の例として、指示色そのものを撮影するよう指示してもよい。例えば、「赤色を撮影しよう!」といった指示を行ってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…情報処理装置、11…プロセッサ、12…不揮発性メモリ、13…揮発性メモリ、15…通信部、16…ディスプレイ、18…スピーカ、20…カメラ、111…グループ分け部、112…指示色決定部、113…第1指示部、114…第2指示部、115…撮影モード移行指示部、116…色情報取得部、117…得点情報取得部、118…撮影部、119…ヒストグラム作成部、120…色差算出部、121…評価部、122…情報送信部
図1
図2
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図7
図8
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図10