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特開2022-118726冷凍装置の地域制御を可能とするシステム、方法、および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118726
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】冷凍装置の地域制御を可能とするシステム、方法、および装置
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/25 20180101AFI20220805BHJP
   G05B 13/02 20060101ALI20220805BHJP
   F25C 1/12 20060101ALI20220805BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
F25C1/25 303A
G05B13/02 E
F25C1/25 303C
F25C1/12 301Z
F25B1/00 361A
F25B1/00 381D
【審査請求】未請求
【請求項の数】49
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022014335
(22)【出願日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】63/144,665
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】522044777
【氏名又は名称】トゥルー マニュファクチャリング カンパニー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】True Manufacturing Company, Inc.
【住所又は居所原語表記】2001 E Terra Lane, O’Fallon, MO 63366 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナット, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】フレンド, ジョン
【テーマコード(参考)】
5H004
【Fターム(参考)】
5H004GA25
5H004GA34
5H004HA01
5H004HB01
5H004KC48
5H004KC50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】地理的領域に分散した複数の装置を管理するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】資産管理サーバ105は、地理的領域に分散した装置103の位置を特定し、特定地域内の装置に対して、ローカル制御パラメータを変更して事象に対処するための命令を出す。また、資産管理サーバ105、装置103から動作データを受けてそれを利用し、動作データ中の局地的な異常に基づいて局地的事象が生じたタイミングを特定する。冷凍装置103は、地理的領域における装置の位置を特定可能とするためのGPS受信機を具備する。さらに、冷凍装置103は、一次および二次動作モードを備える。二次動作モードは、随時生じ得る局地的事象に対処し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地理的領域に分散した複数の冷凍装置を管理する方法であって、
クライアントサーバネットワーク上で各前記冷凍装置と遠隔資産管理サーバとの間の接続を確立する工程と、
前記資産管理サーバによって、前記地理的領域の特定地域で事象が生じたことを特定する工程と、
前記資産管理サーバによって、前記地理的領域の前記特定地域内に位置する前記複数の冷凍装置の部分集合を特定する工程と、
前記資産管理サーバによって、前記クライアントサーバネットワークを介して前記部分集合の各前記冷凍装置に制御パラメータ変更命令を送る工程と、
を備え、
前記制御パラメータ変更命令は、前記部分集合の各前記冷凍装置のローカル制御器に、各前記冷凍装置の制御パラメータを変更させるように構成される、方法。
【請求項2】
前記制御パラメータ変更命令は、各前記ローカル制御器に、各前記冷凍装置の動作モードを変更させるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御パラメータ変更命令は、各前記制御器を、通常モードから(i)安全モードおよび(ii)高効率モードの一方へ変更させるように構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の冷凍装置は、製氷機であり、
前記制御パラメータ変更命令は、各前記制御器を、通常製氷モードから、前記ローカル制御器が前記製氷機により多くの水を除去させる安全製氷モードへ変更させるように構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記事象が生じたことを特定する工程は、前記特定地域における気象事象の指標を受けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記事象が生じたことを特定する工程は、前記特定地域における公共注意報の指標を受けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記資産管理サーバによって、前記複数の冷凍装置の各々から動作データを受ける工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価する工程をさらに備え、
前記事象が生じたことを特定する工程は、前記特定地域における前記動作データの局所的変化を認識することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記資産管理サーバによって、前記地理的領域の前記特定地域内に位置する前記複数の冷凍装置の前記部分集合を特定する工程は、(i)メモリに格納された登録位置と、(ii)ネットワーク由来の位置推定と、(iii)前記クライアントサーバネットワークを介して前記冷凍装置から前記資産管理サーバに送られるGPSデータとの少なくとも1つに基づいて、各前記冷凍装置の位置を特定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記制御パラメータ変更命令は、各前記ローカル制御器を、通常動作モードから、前記ローカル制御器がより少ないエネルギー消費で前記冷凍装置を操作する高効率モードへ変更させるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
地理的領域に分散した複数の冷凍装置を管理する方法であって、
クライアントサーバネットワーク上で各前記冷凍装置と遠隔資産管理サーバとの間の接続を確立する工程と、
前記資産管理サーバに対応付けられたメモリに、前記地理的領域内の各前記冷凍装置の位置を格納する工程と、
前記資産管理サーバにおいて前記複数の冷凍装置から動作データを受ける工程と、
前記地理的領域内の前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価して、前記地理的領域の地域で局地的事象が生じたか否かを判定する工程と、
を備える、方法。
【請求項12】
前記冷凍装置は、製氷機であり、
前記動作データは、氷バッチ生成サイクルのステップを完了する時間を示す時間パラメータを含み、
前記地理的領域の地域内の前記製氷機の部分集合における前記氷バッチ生成サイクルの前記ステップの完了時間の変化に基づいて、局地的事象が生じたことを特定する工程をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記動作データは、各前記冷凍装置によって消費されるエネルギー量を示すエネルギー消費パラメータを含み、
前記地理的領域の地域内の前記冷凍装置の部分集合におけるエネルギー消費量の変化に基づいて、局地的事象が生じたことを特定する工程をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記資産管理サーバにおいて前記複数の冷凍装置から動作データを受ける工程は、前記複数の冷凍装置の各々からパラメータ値を定期的に受けることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価する工程は、前記制御パラメータ値を時系列として記憶することと、前記時系列に基づいて前記局地的事象が生じたか否かを判定することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記時系列に基づいて局地的事象が生じたか否かを判定することは、前記時系列の移動平均を定期的に計算することと、前記移動平均が前記制御パラメータ値の通常範囲を外れるタイミングを特定することと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記時系列の長期平均に基づいて、前記制御パラメータ値の前記通常範囲を決定する工程をさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記地理的領域における各前記冷凍装置の特定された位置に基づいて、前記複数の冷凍装置の各々を、前記地理的領域における複数の所定地域の1つに対応付ける工程をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価する工程は、対象の前記所定地域の各々において前記冷凍装置からの前記動作データをグループ化することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価する工程は、各前記所定地域に対応する前記グループ化された動作データのパラメータが所定の閾値パラメータを超えているか否かを判定することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記地理的領域内の前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価して、前記地理的領域の地域で局地的事象が生じたか否かを判定する工程は、ホットスポット領域であって、前記ホットスポット領域内における前記複数の冷凍装置の部分集合からの前記動作データの1つ以上の制御パラメータ値が、前記局地的なホットスポットの外部の他の前記複数の冷凍装置の前記1つ以上の制御パラメータ値と一致しないホットスポット領域を特定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
地理的領域内の複数の冷凍装置と連携する遠隔資産管理サーバに接続するように構成される冷凍装置であって、
前記冷凍装置を選択的に制御するように構成されるローカル制御器と、
前記ローカル制御器に接続され、前記冷凍装置の地理的配置の特定に利用可能なGPS位置信号を前記ローカル制御器に提供するように構成されるGPS受信機と、
前記ローカル制御器と前記遠隔資産管理サーバとの間の通信を提供するように構成されたネットワークインタフェースと、
を備え、
前記ローカル制御器は、前記ネットワークインタフェースを介して、前記遠隔資産管理サーバに前記GPS位置信号に関する情報を送るように構成され、
前記ローカル制御器は、前記遠隔資産管理サーバから、前記ネットワークインタフェースを介して、前記GPS位置信号に関する前記情報に基づいて前記地理的領域の特定地域内の冷凍装置に送られる制御パラメータ変更命令を受けるように構成され、
前記ローカル制御器は、前記制御パラメータ変更命令を受けて、前記ローカル制御器が前記冷凍装置を制御するための制御パラメータを変更するように構成される、冷凍装置。
【請求項23】
前記ローカル制御器は、前記冷凍装置を、一次動作モードおよび二次動作モードにおいて選択的に操作するように構成される、請求項22に記載の冷凍装置。
【請求項24】
前記装置制御器は、前記制御パラメータ変更命令を受けて、前記一次動作モードでの前記冷凍装置の操作から、前記二次動作モードでの前記冷凍装置の操作へ切り替わるように構成される、請求項23に記載の冷凍装置。
【請求項25】
製氷機であって、
冷凍プレートと、
前記冷凍プレートを冷却するように構成された冷凍システムと、
水を保持するように構成されたサンプと、
前記冷凍プレートで氷が形成されかつ凍らなかった水が前記冷凍プレートから前記サンプ内へ流れるように、前記サンプに水を供給し、前記サンプから水を除去し、かつ前記サンプから前記冷凍プレートに水を分配するように構成される水システムと、
連続した氷バッチを作るための連続した氷バッチ生成サイクルを実行するように前記水システムを制御するように構成される制御器と、
を備え、
前記制御器は、前記製氷機を、通常動作モードおよび二次動作モードにおいて選択的に操作するように構成され、
前記二次動作モードは、
前記制御器が、前記水システムに、前記通常モードよりも多くの水を前記サンプから除去させる安全動作モードと、
前記制御器が、(i)前記冷凍システムの圧縮機を前記通常動作モードよりも低速で動作させるように、(ii)前記冷凍システムのファンを前記通常動作モードよりも低速で動作させるように、(iii)前記水システムのポンプモータを前記通常動作モードよりも低速で動作させるように、および/または(iv)前記通常動作モードよりも前記サンプから除去する水を少なくするように構成される高効率動作モードと、
からなる二次動作モード群から選択される、製氷機。
【請求項26】
前記二次動作モードは、前記安全動作モードを含み、
前記通常氷生成モードにおいて、前記制御器は、定期的に、前記サンプ内の水位が通常除去水位に達するまで前記サンプから水を除去するように構成され、
前記安全氷生成モードにおいて、前記制御器は、定期的に、前記サンプ内の水位が前記通常除去水位よりも低い安全除去水位に達するまで前記サンプから水を除去するように構成される、請求項25に記載の製氷機。
【請求項27】
前記安全除去水位で、前記サンプは、実質的に水が入ってない状態になる、請求項26に記載の製氷機。
【請求項28】
前記二次動作モードは、前記安全動作モードを含み、
前記通常氷生成モードと比較して、前記制御器は、前記安全氷生成モードにおいて、より頻繁に前記サンプから水を除去するように構成される、請求項25に記載の製氷機。
【請求項29】
前記制御器と遠隔資産管理サーバとの間の通信を提供するように構成されるネットワークインタフェースをさらに備え、
前記ネットワークインタフェースは、前記遠隔資産管理サーバに、地理的領域における前記製氷機の位置に関する情報を提供するように構成される、請求項25に記載の製氷機。
【請求項30】
前記ネットワークインタフェースは、前記遠隔資産管理サーバから前記制御器へ、前記製氷機の前記位置に関する前記情報に基づく制御パラメータ変更命令を渡すように構成される、請求項19に記載の製氷機。
【請求項31】
前記制御器は、前記ネットワークインタフェースから前記制御パラメータ変更命令を受けるように構成され、
前記制御器は、前記制御パラメータ変更命令を受けて、前記通常制御パラメータから前記二次制御パラメータに切り替わるように構成される、請求項30に記載の製氷機。
【請求項32】
地理的領域に分散した複数の冷凍装置を管理するための資産管理サーバであって、
演算装置と、
演算装置で実行可能な指令を記憶するメモリと、
を備え、
前記演算装置は、前記演算装置で実行可能な指令を実行することで、
クライアントサーバネットワーク上で各冷凍装置との接続を確立し、
前記地理的領域の特定地域で事象が生じたことを特定し、
前記地理的領域の前記特定地域内に位置する前記複数の冷凍装置の部分集合を特定し、
前記冷凍装置の前記部分集合の各々に、前記クライアントサーバネットワークを介して制御パラメータ変更命令を送るように構成され、
前記制御パラメータ変更命令は、前記冷凍装置の前記部分集合の各々のローカル制御器に、各前記冷凍装置の制御パラメータを変更させるように構成される、資産管理サーバ。
【請求項33】
前記制御パラメータ変更命令は、各前記ローカル制御器に、各前記冷凍装置の動作モードを変更させるように構成される、請求項32に記載の資産管理サーバ。
【請求項34】
前記制御パラメータ変更命令は、各前記制御器を、通常モードから(i)安全モードおよび(ii)高効率モードの一方へ変更させるように構成される、請求項33に記載の資産管理サーバ。
【請求項35】
前記複数の冷凍装置は、製氷機であり、
前記制御パラメータ変更命令は、各前記制御器を、通常製氷モードから、前記ローカル制御器が前記製氷機により多くの水を除去させる安全製氷モードへ変更させるように構成される、請求項33に記載の資産管理サーバ。
【請求項36】
前記演算装置で実行可能な指令により、前記演算装置は、さらに、前記複数の冷凍装置の各々からの動作データを受けるように構成される、請求項32に記載の資産管理サーバ。
【請求項37】
前記演算装置で実行可能な指令により、前記演算装置は、さらに、前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価して、前記特定地域における前記動作データの局所的変化を認識することで前記事象が生じたことを特定するように構成される、請求項36に記載の資産管理サーバ。
【請求項38】
前記制御パラメータ変更命令は、各前記ローカル制御器を、通常動作モードから、前記ローカル制御器がより少ないエネルギー消費で前記冷凍装置を操作する高効率モードへ変更させるように構成される、請求項32に記載の資産管理サーバ。
【請求項39】
地理的領域に分散した複数の冷凍装置を管理するための資産管理サーバであって、
演算装置と、
演算装置で実行可能な指令を記憶するメモリと、
を備え、
前記演算装置は、前記演算装置で実行可能な指令を実行することで、
クライアントサーバネットワーク上で各冷凍装置と遠隔資産管理サーバとの間の接続を確立し、
前記地理的領域内の各前記冷凍装置の位置を前記メモリに格納し、
前記資産管理サーバにおいて前記複数の冷凍装置から動作データを受け、
前記地理的領域内の前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価して、前記地理的領域の地域で局地的事象が生じたか否かを判定するように構成される、資産管理サーバ。
【請求項40】
前記冷凍装置は、製氷機であり、
前記動作データは、氷バッチ生成サイクルのステップを完了する時間を示す時間パラメータを含み、
前記演算装置で実行可能な指令により、前記演算装置は、さらに、前記地理的領域の地域内の前記製氷機の部分集合における前記氷バッチ生成サイクルの前記ステップの完了時間の変化に基づいて、局地的事象が生じたことを特定するように構成される、請求項39に記載の資産管理サーバ。
【請求項41】
前記動作データは、各前記冷凍装置によって消費されるエネルギー量を示すエネルギー消費パラメータを含み、
前記演算装置で実行可能な指令により、前記演算装置は、さらに、前記地理的領域の地域内の前記冷凍装置の部分集合におけるエネルギー消費量の変化に基づいて、局地的事象が生じたことを特定するように構成される、請求項39に記載の資産管理サーバ。
【請求項42】
前記複数の冷凍装置から動作データを受けることは、前記複数の冷凍装置の各々からパラメータ値を定期的に受けることを含む、請求項39に記載の資産管理サーバ。
【請求項43】
前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価することは、前記制御パラメータ値を時系列として記憶することと、前記時系列に基づいて局地的事象が生じたか否かを判定することと、を含む、請求項42に記載の資産管理サーバ。
【請求項44】
前記時系列に基づいて局地的事象が生じたか否かを判定することは、前記時系列の移動平均を定期的に計算することと、前記移動平均が前記制御パラメータ値の通常範囲を外れるタイミングを特定することと、を含む、請求項43に記載の資産管理サーバ。
【請求項45】
前記演算装置で実行可能な指令により、前記演算装置は、さらに、前記時系列の長期平均に基づいて、前記制御パラメータ値の前記通常範囲を決定するように構成される、請求項44に記載の資産管理サーバ。
【請求項46】
前記演算装置で実行可能な指令により、前記演算装置は、さらに、前記地理的領域における各前記冷凍装置の特定された位置に基づいて、前記複数の冷凍装置の各々を、前記地理的領域における複数の所定地域の1つに対応付けるように構成される、請求項39に記載の資産管理サーバ。
【請求項47】
前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価することは、対象の前記所定地域の各々において前記冷凍装置からの前記動作データをグループ化することを含む、請求項46に記載の資産管理サーバ。
【請求項48】
前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価することは、各前記所定地域に対応する前記グループ化された動作データのパラメータが所定の閾値パラメータを超えているか否かを判定することを含む、請求項47に記載の資産管理サーバ。
【請求項49】
前記複数の冷凍装置の各々からの前記動作データを評価することは、ホットスポット領域であって、前記ホットスポット領域内における前記複数の冷凍装置の部分集合からの前記動作データの1つ以上の制御パラメータ値が、前記局地的なホットスポットの外部の他の前記複数の冷凍装置の前記1つ以上の制御パラメータ値と一致しないホットスポット領域を特定することを含む、請求項39に記載の資産管理サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月2日に出願した、「冷凍装置の地域制御を可能とするシステム、方法、および装置」と題した米国特許仮出願第63/144,665号の利益を主張するものであり、この米国特許仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、地理的領域に分散した複数の装置を管理するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
業務用および家庭用の冷蔵庫、冷凍庫、および製氷機などの冷凍装置を含む装置が、広く使用されている。多くの現代の装置は、インターネットに接続可能である。ネットワーク接続装置が知られているが、業界では、ネットワーク接続がもたらす可能性の全ては認識されていない。
【発明の概要】
【0004】
ある局面において、地理的領域に分散した複数の冷凍装置を管理する方法は、クライアントサーバネットワーク上で各冷凍装置と遠隔資産管理サーバとの間の接続を確立する工程を備える。資産管理サーバは、地理的領域の特定地域で事象が生じたことを特定する。資産管理サーバは、地理的領域の特定地域内に位置する複数の冷凍装置の部分集合を特定する。資産管理サーバは、クライアントサーバネットワークを介して部分集合の各冷凍装置に制御パラメータ変更命令を送る。制御パラメータ変更命令は、部分集合の各冷凍装置のローカル制御器に、各冷凍装置の制御パラメータを変更させるように構成される。
【0005】
別の局面において、地理的領域に分散した複数の冷凍装置を管理する方法は、クライアントサーバネットワーク上で各冷凍装置と遠隔資産管理サーバとの間の接続を確立する工程を備える。資産管理サーバに対応付けられたメモリに、地理的領域内の各冷凍装置の位置が格納される。資産管理サーバにおいて、複数の冷凍装置から動作データが受けられる。地理的領域内の複数の冷凍装置の各々からの動作データが評価され、地理的領域の地域で局地的事象が生じたか否かが判定される。
【0006】
別の局面において、地理的領域内の複数の冷凍装置と連携する遠隔資産管理サーバに接続するように構成される冷凍装置は、冷凍装置を選択的に制御するように構成されるローカル制御器を備える。冷凍装置の地理的配置の特定に利用可能なGPS位置信号をローカル制御器に提供するように構成されるGPS受信機が、ローカル制御器に接続される。ネットワークインタフェースは、ローカル制御器と遠隔資産管理サーバとの間の通信を提供するように構成される。ローカル制御器は、ネットワークインタフェースを介して、遠隔資産管理サーバにGPS位置信号に関する情報を送るように構成される。ローカル制御器は、遠隔資産管理サーバから、ネットワークインタフェースを介して、GPS位置信号に関する情報に基づいて地理的領域の特定地域内の冷凍装置に送られる制御パラメータ変更命令を受けるように構成される。ローカル制御器は、制御パラメータ変更命令を受けて、ローカル制御器が冷凍装置を制御するための制御パラメータを変更するように構成される。
【0007】
別の局面において、製氷機は、冷凍プレートを備える。冷凍システムは、冷凍プレートを冷却するように構成される。サンプは、水を保持するように構成される。水システムは、冷凍プレートで氷が形成されかつ凍らなかった水が冷凍プレートからサンプ内へ流れるように、サンプに水を供給し、サンプから水を除去し、かつサンプから冷凍プレートに水を分配するように構成される。制御器は、連続した氷バッチを作るための連続した氷バッチ生成サイクルを実行するように水システムを制御するように構成される。制御器は、製氷機を、通常動作モードおよび二次動作モードにおいて選択的に操作するように構成される。二次動作モードは、制御器が、水システムに、通常モードよりも多くの水をサンプから除去させる安全動作モードと、制御器が、(i)冷凍システムの圧縮機を通常動作モードよりも低速で動作させるように、(ii)冷凍システムのファンを通常動作モードよりも低速で動作させるように、(iii)水システムのポンプモータを通常動作モードよりも低速で動作させるように、および/または(iv)通常動作モードよりもサンプから除去する水を少なくするように構成される高効率動作モードと、からなる二次動作モード群から選択される。
【0008】
別の局面において、地理的領域に分散した複数の冷凍装置を管理するための資産管理サーバは、演算装置を備える。メモリは、演算装置で実行可能な指令を記憶する。演算装置は、演算装置で実行可能な指令を実行することで、クライアントサーバネットワーク上で各冷凍装置との接続を確立し、地理的領域の特定地域で事象が生じたことを特定し、地理的領域の特定地域内に位置する複数の冷凍装置の部分集合を特定し、冷凍装置の部分集合の各々に、クライアントサーバネットワークを介して制御パラメータ変更命令を送るように構成される。制御パラメータ変更命令は、冷凍装置の部分集合の各々のローカル制御器に、各冷凍装置の制御パラメータを変更させるように構成される。
【0009】
別の局面において、地理的領域に分散した複数の冷凍装置を管理するための資産管理サーバは、演算装置を備える。メモリは、演算装置で実行可能な指令を記憶する。演算装置は、演算装置で実行可能な指令を実行することで、クライアントサーバネットワーク上で各冷凍装置と遠隔資産管理サーバとの間の接続を確立し、地理的領域内の各冷凍装置の位置をメモリに格納し、資産管理サーバにおいて複数の冷凍装置から動作データを受け、地理的領域内の複数の冷凍装置の各々からの動作データを評価して、地理的領域の地域で局地的事象が生じたか否かを判定するように構成される。
【0010】
その他の局面は、以下において、部分的に明らかになると共に部分的に示されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、地理的領域に分散した複数の装置を管理するための資産管理システムの概略ブロック図である。
図2図2は、図1の資産管理システムと共に使用可能な製氷機の概略図である。
図3図3は、図2の製氷機の制御システムの概略ブロック図である。
図4図4は、図2の製氷機のサンプの概略図である。
図5図5は、装置の地域制御のための資産管理システムの使用方法の工程を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、装置の地域制御のための資産管理システムの別の使用方法の工程および判定点を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、装置の地域制御のための資産管理システムの別の使用方法の工程および判定点を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
各図を通して、同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0013】
本願発明者は、地理的立地が異なる冷凍装置、料理装置、清掃装置、および水利用装置などの装置に対して、外部事象が局地的な影響を及ぼし得ることを認識した。そのため、例えば、干ばつや洪水などの局地的な気象事象が、地域の給水の困難さに影響することがあり、ひいては製氷機、食洗機、洗濯機、給湯器、浄水器、軟水器などの水利用装置が機能する態様に影響し得る。同様に、熱波や寒波が、周囲の動作温度や電力網から利用可能な電気エネルギーに影響し得る。このことは、業務用および家庭用の冷蔵庫、冷凍庫、および製氷機、料理装置、清掃装置など、あらゆるタイプの電気装置の動作に強く影響し得る。森林火災、噴火、砂塵嵐などのその他の事象が、特定の地理的立地の大気質に影響し得る。特定の状況下では、大気質の変化を考慮して装置の動作態様を変更することが望ましいかも知れない。発明者は、ネットワーク接続された冷凍装置への現代的な移行により、これらの局地的な外部事象の影響を考慮した冷凍装置の地域制御を実現する機会が生まれたことを認識した。また、発明者は、ネットワーク接続装置への移行やIoTネットワークの広がりにより、地理的条件による装置の性能変化を特定する機会が生じることや、これらのトレンドに基づいて、データで観測されるものを扱う地域制御を実現する機会が生じることを認識した。
【0014】
図1では、冷凍装置を管理するための例示的なシステム(広くは、装置を管理するためのシステム)が、参照番号101で示されている。システムは、地理的領域Aに分散した複数の冷凍装置103(それぞれ、広くは装置)を備える。図示の実施形態では、地理的領域Aは、アメリカ合衆国として示されている。ただし、システムは、本開示の範囲を逸脱することなく、その他の地理的領域(世界規模の地理的領域を含む。)に分散した複数の装置に対して使用され得る。
【0015】
クライアントサーバネットワーク107(例えば、インターネット)は、各冷凍装置103を資産管理サーバ105に接続する。資産管理サーバ105は、各冷凍装置103の領域A内における位置を特定するように構成される。例えば、資産管理サーバ105は、(i)資産管理サーバがアクセス可能なメモリ109に格納された登録済みの位置、(ii)ネットワーク由来の位置推定、または(iii)冷凍装置103によってクライアントサーバネットワークを介して資産管理サーバに送られるGPSデータに基づいて、地理的な位置を特定してもよい。図示の資産管理サーバ105は、ネットワーク107でサーバに接続された全ての冷凍装置103、ネットワークでサーバに接続された複数の冷凍装置の任意の部分集合、および/または命令でアドレス指定された任意の単一の装置に選択的に命令を送るように構成される。詳しくは後述するように、特定の命令は、装置103のローカル制御パラメータを変更し、それにより当該装置の動作態様を調節するように構成される。また、冷凍装置103は、資産管理サーバ105に動作データを送るように構成されており、資産管理サーバはそれをメモリ109に格納する。このように、ネットワーク107によって、資産管理サーバ105と装置103との間の相互作用が促進されることがわかる。詳しくは後述するように、地理的領域の特定地域Rに影響する局地的な事象が生じると、資産管理サーバ105は、当該特定地域の内部にどの装置103が存在するかを特定し、特定した装置群に対して当該事象に応じて制御パラメータを変更するための命令を送ってもよい。また、図示の資産管理サーバ105は、地理的領域A内の各装置103からの動作データを評価し、地理的領域の地域内で局地的な事象が生じたか否かを判定するように構成される。
【0016】
「資産管理サーバ」は、資産管理アプリ(例えば、SaaSアプリ)を実行可能でありかつクライアントサーバネットワーク107を介して冷凍装置103と通信可能な、単独配置の専用サーバシステムまたは分散型の計算処理リソース(例えば、クラウドベースのシステム)であってもよいことが理解されるだろう。特定の実施形態では、冷凍装置103は、資産管理サーバ105に登録されることで、ネットワーク接続された資産管理システム101に所属する。登録プロセスまたはその他任意の適当な方法を通じて、資産管理サーバ105は、各装置103のアドレス情報をメモリ109に格納することができ、それにより特定の装置に命令を出したり、動作データを受けた際にその発信源がどの装置なのか特定したりすることができる。ある場合には、装置103が資産管理サーバ105に登録される際、その装置の操作者は、装置103が使用されている場所の指標をサーバに提供し、サーバは、当該場所の指標をメモリ109に格納する。例えば、資産管理システムへの装置の登録は、装置が存在する住所の入力、または装置の位置に対応する標準的な地図座標の入力を必要としてもよい。リアルタイムまたは自己検証の位置データ(後述)の発信源が利用できない場合、資産管理サーバは、この登録された位置を、地理ベース制御や局地事象判定のために、装置の推定位置として使用してもよい。
【0017】
例示的な実施形態では、各冷凍装置103は業務用の製氷機である。製氷機は、水質の急な変化などの局地的な事象に特に影響されやすい。ここに示す業務用の製氷機の例示的な実施形態は、2021年1月13日に出願され、「製氷機」と題された米国特許出願第17/147,965号により全面的に記載されており、この米国特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。システム101は、業務用の冷蔵庫、業務用の冷凍庫、および家庭用の冷凍装置などの他のタイプの冷凍装置を備え得ることが理解されるであろう。(後述の冷蔵庫や冷凍庫の地域制御に関する記述を参照されたい。)概して、本開示における「冷凍装置」は、装置に関連する特定の領域を冷却するように構成された冷凍システム(例えば、蒸気圧縮システム、熱電システム、および/またはその他の適当な冷凍システム)を含む。製氷機103の場合、各冷凍システムは、水が集まって冷やされて固まり、捕集可能な氷になる氷生成装置を冷却するように構成される。多くの別タイプの冷凍装置の場合、冷凍システムは、リーチインケース、ディスプレイケース、引出し、ウォークインクローゼットなどの内部空間といった、区画された保管領域を冷却するだろう。また、本開示における冷凍装置は、冷凍装置を操作し、および/または装置の種々の構成要素から動作データを受けるためのローカル制御器を備える。
【0018】
本開示では、冷凍装置を伴う資産管理システム101の使用について特に説明しているが、装置の地域制御のために資産管理システムを使用する原理は、本開示の範囲を逸脱することなく、他のタイプの装置(例えば、台所装置、料理装置、清掃装置(例えば、殺菌装置)、水利用装置、および医療装置)にも適用可能である。本開示に含まれる他の装置は、典型的には、1つ以上の装置機能を実行する1つ以上の電子制御可能な部品と、1つ以上の態様の装置がどのように動作しているかをリアルタイムで示す信号を出力する1つ以上の要素と、当該制御可能な部品を操作し、および/または装置の信号出力要素からの動作データを受けるローカル制御器とを有する電子ローカル制御システムを備える。また、本開示に含まれる装置は、典型的には、装置が資産管理システムネットワークに接続して遠隔資産管理サーバと通信するのを可能とするネットワークインタフェースまたはポート(例えば、セルラー式データアンテナまたはWi-Fiアンテナ)を備える。
多くの場合において、本開示に含まれる装置(例えば、冷凍装置)のローカル制御システムは、当該装置を少なくとも第1および第2動作モードにおいて選択的に動作させるように構成される。例えば、ローカル制御器は、装置を、通常動作モード(例えば、フル能力モードもしくは一次動作モード)または高効率動作モード(例えば、高エネルギー効率モードもしくは節水モードなどの省資源モード)において選択的に動作させてもよい。特定のローカル制御器は、通常動作モードと、冷凍装置の動作を装置や使用者の調子に有害となり得る諸条件に適合させる安全モードとの各々において、装置を選択的に動作させてもよい。高効率動作モードおよび安全動作モードの各々は、広くは装置の二次動作モードと考えらえる。他の選択可能な動作モード(例えば、他の二次動作モード)も、本開示の範囲において考えられる。一次動作モードと二次動作モードとの切替えの実施態様として、様々なものが本開示の範囲に含まれる。例えば、1つ以上の実施形態において、ローカル制御器は、動作モードを規定するレジスタを含むローカルメモリから制御パラメータにアクセス可能である。別の例として、メモリは、装置の一次および二次動作モードの各々に対応するバイナリレジスタを有してもよい。例示的な実施形態において、資産管理サーバは、当該レジストやその他のレジスタに装置の制御パラメータに対応する新値を書き込むための「制御パラメータ変更命令」を装置に送ってもよい。
例示的な実施形態において、製氷機103は、ネットワークを介した伝達のための番号付けされたレジスタを有し、それらはグループ分けされていてもよい。例示的な実施形態において、製氷機は、番号付けされたレジスタに保持されたデータを送信するための、サーコムソケットモデムなどのモデムを備える。「RAW_DATA」。表2および表3に示すように、各レジスタ番号は、製氷機の異なるパラメータに対応している。許容可能な実施形態において、一群のレジスタ値は、製氷機103から読み出されて、次のJSONフォーマットでサーバ105へ送信される。{"data":{message":"RAW_DATA","msgSeq":"1"},"class":"IceMachine","object":"Modem","RSRP":number,"RSRQ":number,"TAC":"string","CellID":"number","RSSI":int,"MCC":int,"MNC":int}。データは、Modbusプロトコルを用いてASCIIモードで送信される。ASCIIモードでは、メッセージは、コロン(:)文字(ASCII文字コードの16進数で3A)で始まり、「CRLF」(ASCII文字コードの16進数で0D0A)で終わる。生じ得るJSONエラーを回避するため、0x0Dおよび0x0Aの16進データは、ペイロードメッセージでは使用されない。
【0019】
次に、図2を参照して、資産管理システム101において使用可能な製氷機103の例示的な実施形態について簡潔に説明する。本開示に含まれる製氷機は、広くは、水から氷を作る氷生成装置と、氷生成装置に水を導くための水システムと、氷生成装置に存在する液体の水の少なくとも一部が凍って氷になる温度まで氷生成装置を冷却するように構成された冷凍システムとを備えてもよい。図示の実施形態では、製氷機は、氷生成装置を構成する概ね縦向きの冷凍プレート110を有する一種のバッチ式製氷機である。ナゲット式製氷機や縦型スプレー製氷機などの他の種類の製氷機も、本開示の範囲に含まれ得る。ナゲット式製氷機において典型的な氷生成装置は、オーガ内に配置された冷却シリンダであり、縦型スプレー製氷機において典型的な氷生成装置は、下方に開口する製氷型を有する横向きの冷凍プレートである。
【0020】
製氷機103の冷凍システムは、圧縮機112と、排熱用熱交換器114と、冷媒の温度および圧力を下げるための冷媒膨張装置118と、冷凍プレート110の背面に沿った蒸発器120と、ホットガス弁124とを備える。圧縮機112は、定速圧縮機または広範囲の動作制御性を提供する可変速圧縮機であってもよい。図示のように、排熱熱交換器114は、圧縮機112から吐出された圧縮冷媒を凝縮させるための凝縮器を備えてもよい。別の実施形態、例えば超臨界の排熱を伴う二酸化炭素冷媒を用いる冷凍システムでは、排熱熱交換器は、冷媒を凝縮させることなく冷媒から熱を奪うことが可能である。ホットガス弁124は、氷が所望の厚みに達した場合に、圧縮機114からの温かい冷媒を蒸発器120に直接的に導いて、冷凍プレート110から角氷を取り除くか取り出すかするために、選択的に開かれる。
【0021】
冷媒膨張装置118は、キャピラリチューブ、サーモスタット膨張弁、または電子膨張弁など、任意の適当なタイプのものであってもよい。特定の実施形態では、冷媒膨張装置118がサーモスタット弁または電子膨張弁で構成され、製氷機110は、冷媒膨張装置118を制御するために蒸発器120の出口に配置された温度センサ126を備えてもよい。別の実施形態では、冷媒膨張装置118が電子膨張弁で構成され、製氷機110は、当該分野で公知の態様で冷媒膨張装置118を制御するために蒸発器120の出口に配置された圧力センサ(図示せず)を備えてもよい。凝縮器の冷却にガス状冷却媒体(例えば、空気)を用いる特定の実施形態では、当該ガス状冷却媒体を凝縮器114に吹き流すための凝縮器ファン115が設けられてもよい。凝縮器ファン115は、定速ファンまたは広範囲の制御性を提供する可変速ファンであってもよい。圧縮機112は、冷媒ラインを介して、凝縮器114、膨張装置118、蒸発器120、およびホットガス弁124にある形態の冷媒を循環させる。
【0022】
図2に示すように、図示の製氷機10の水システムは、サンプ130と、水ポンプ132と、水ライン134(広くは、流路)と、水位センサ136とを備える。水ポンプ132は、定速ポンプまたは広範囲の制御性を提供する可変速ポンプであってもよい。製氷機103の水システムは、さらに、水源(例えば、都市用水設備)からの水でサンプ130を満たすための給水ライン138および入水弁140を備える。図示の水システムは、さらに、サンプ130から水を排出するための排水ライン142(排水流路または排出ラインともいう。)と、これに設けられた排水弁144(例えば、パージ弁、排水弁、広くはパージ装置)とを備える。サンプ130は、冷凍プレートから落ちる水を捕捉するために冷凍プレート110の下方に配置されてもよく、これにより冷凍プレートから落ちる比較的冷たい水が水ポンプ132によって再循環され得る。水ライン134は、冷凍プレートの上の水分配器146に水ポンプ132を流体的に接続する。氷バッチ生成サイクル中、ポンプ132は、水ライン134および分配器146を介して水を汲み上げるように構成される。分配器は、当該分配器146に与えられた水を冷凍プレート110の表面に満遍なく分配するように構成され、それにより冷凍プレートに沿って水が下方に流れ、凍らなかった水は冷凍プレートの底部からサンプ130内へ流れ落ちる。
【0023】
例示的な実施形態では、水位センサ136は、遠隔気圧センサ148を備える。しかしながら、フロートセンサ、音響センサ、または電気導通センサなど任意のタイプの水位センサが製氷機103において使用されてもよい。図示の水位センサ136は、当該センサをサンプ130に結合するように構成された継ぎ手150を備える。継ぎ手150は、気送管152に流体的に接続される。気送管152は、継ぎ手150と気圧センサ148とを流体的に接続する。サンプ130内の水は、継ぎ手150内の空気を捕捉し、サンプ内の水位に伴って変化する量によって当該空気を圧縮する。よって、サンプ130内の水位は、気圧センサ148が検出する圧力を用いて求めることができる。遠隔気圧センサを備える水位センサの例示的な実施形態のさらなる詳細については、米国特許出願公開第2016/0054043号明細書に開示されており、当該明細書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
図2および図3に示すように、製氷機103は、制御器160(例えば、「ローカル制御器」または「装置制御器」)を備える。制御器160は、製氷機103の動作を制御するための、例えば冷凍システムおよび水システムの少なくとも一方を制御するための少なくとも1つの演算装置162を備える。制御器160の演算装置162は、当該演算装置に処理を実行させるための命令を示すコードを記憶する非一時的な演算装置読み取り可能媒体を備えてもよい。演算装置162は、例えば、1つ以上の特定機能を実現するように、または1つ以上の特定の装置やアプリを使用可能にするように設計された、市販のマイクロプロセッサ、エーシック(ASIC)、または組合せASICであってもよい。特定の実施形態では、制御器160は、アナログもしくはデジタル回路、または複数回路の組合せであってもよい。また、制御器160は、制御器が読み出し可能な形式でデータを記憶する1つ以上のメモリ要素164(図3)を備えてもよい。制御器160は、1つ以上のメモリ要素にデータを格納し、またはこれからデータを読み出してもよい。
【0025】
図3に示すように、様々な実施形態において、制御器160は、製氷機103の様々な構成要素と通信し、および/または当該構成要素を制御するための入出力(I/O)要素を備えてもよい。特定の実施形態では、例えば、制御器160は、例えば1つ以上の指示、信号、メッセージ、命令、データ、および/または任意の他の情報などの入力を、水位センサ136から、氷の回収時期を特定するための回収センサ166から、電力源(図示せず)から、製氷機103の下の貯蔵所(図示せず)における氷位を検出するための氷位センサ140から、および/または、圧力変換器、温度センサ、音響センサなどを含む種々のセンサやスイッチから受け取ってもよい。様々な実施形態では、それらの入力やメモリ要素164に格納された所定の制御指令に基づいて、制御器160は、圧縮機112、凝縮器ファン115、冷媒膨張装置118、ホットガス弁124、入水弁140、排水弁144、および/または水ポンプ132などの制御可能な出力要素に制御信号を送ることにより、製氷機103を制御する。そのような制御信号は、そのような要素に対する1つ以上の指示、信号、メッセージ、命令、データ、および/または任意の他の情報を含んでもよい。図示の実施形態では、製氷機103(広くは、冷凍装置。さらに広くは、装置)は、ローカル制御器160に接続され、装置の地理的な位置を特定するためのGPS位置信号を制御器に提供するGPS受信機168を備える。
【0026】
図示の制御器160は、製氷機103を、通常動作モード、安全動作モード、高効率動作モード、およびロックモードを含む複数の異なる動作モードで選択的に制御するように構成される。「安全モード」および「安全動作モード」の語は、本開示において、通常動作モードと比較して、冷凍装置、そのユーザ、または公に対して害を及ぼしにくいと思われる動作モードに対して使用される。「高効率モード」および「高効率動作モード」の語は、本開示において、通常動作モードと比較して、装置のエネルギーや他の資源(例えば、水、燃料など)の消費量を少なくする動作モードに対して使用される。後述するように、「ロックモード」では、装置の1つ以上の態様(例えば、製氷機103の場合の氷生成のような主要な態様)の使用が完全に阻止される。ネットワーク上の製氷機の選択的ロックモード動作が組み込まれた製氷機および資産管理システムの例示的な実施形態が、2021年2月2日に出願され、「リース装置を管理するためのシステムおよび方法」と題された米国特許出願第63/144,781号に記載されており、この米国特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0027】
図示の実施形態では、制御器160は、通常動作モード、安全動作モード、高効率動作モード、ロックモード、および/またはスタンバイモードから選択したモードで製氷機をローカル制御するための所定のソフトウェアまたは回路を有する。例えば、メモリ164が各動作モードのためのレジスタを備え、制御器160は、現在アクティブなレジスタの動作モードのための予めプログラムされた指令にしたがって製氷機103を制御する。あるいは、資産管理サーバ105は、特定の制御パラメータを変更することで装置の動作モードを効率的に変更するための制御パラメータ変更命令を製氷機103に送ることにより、二次動作モードを遠隔で規定および実施してもよい。換言すると、資産管理システム101は、製氷機103がローカル制御システム内に構成された所定のローカル動作モードを欠く場合でも、動作モードを切り替えることが可能である。
【0028】
図2に戻り、通常動作モード、安全動作モード、および高効率動作モードにおいて、制御器160は、概して、連続した氷バッチ生成サイクルを実行するように構成される。各氷バッチ生成サイクルは、氷を固めるステップ(凍結ステップ)と、氷を回収するステップ(回収ステップ)と、サンプ130を充填するステップ(充填ステップ)とを備える。少なくとも一部の氷バッチ生成サイクルは、1回分の氷が形成された後でサンプが再充填される前にサンプ130から硬水を除去するステップ(除去ステップ)を備える。
【0029】
通常動作モードの例示的な実施形態について、通常動作モードとは異なる安全動作モード、高効率動作モード、およびロックモードの例示的な実施形態の態様を特定する前に、簡潔に説明する。凍結ステップにおいて、冷凍システムは、冷凍プレート110を冷却するように動作される。同時に、ポンプ132は、サンプ130から水ライン134および分配器146を介して水を循環させる。分配器146は、冷凍プレート110の頂部に沿って水を分配する。冷凍プレート110の表面を水が流れ落ちる際、いくらかの水が凍って氷になり、冷凍プレート上に氷片が形成されて徐々に分厚くなっていく。凍らなかった水は、冷凍プレート110から流れ落ちてサンプ130内に戻る。
【0030】
氷が回収に適した厚みに達すると、制御器160は、凍結ステップから氷回収ステップに切り替わる。ポンプ132はオフ状態にされ、高温の冷媒ガスを蒸発器120に流すためにホットガス弁124が開かれる。ホットガスにより冷凍プレート110が加熱され、氷が溶ける。溶けかけの氷は冷凍プレートから落ちて下方の氷貯蔵所(図示せず)に入る。ホットガス弁124は、回収センサ166が示すように、冷凍プレートから氷が落ちた後に閉じられる。
【0031】
さらなる氷バッチ生成サイクルが始まる前に、サンプ130を再充填する必要がある。図4に示すように、凍結ステップの終了時、サンプは、製氷機が各氷バッチ生成サイクルになる製氷水位IMLよりも低い循環終了水位ECLを有する。よって、次の凍結ステップが始まる前に、制御器160は、サンプ130に新しい水が供給されるように入水弁140を開く。制御器160は、水位センサ136から制御器に対してサンプ130内の水位が製氷水位IMLに達したことが伝えられると、入水弁140を閉じる。
【0032】
上述したように、各凍結ステップの完了後において、サンプ内の冷水は、製氷水位IMLから循環終了水位ECLまで低下する。エネルギー効率の観点から、循環終了水位ECLにおいてサンプ130内に比較的多量の冷水が維持されることが望ましい。そうすれば、サンプ水が冷熱槽として機能し、循環終了水位ECLから製氷水位IMLまでサンプを充填する新しい供給水が冷やされる。各氷バッチ生成サイクルの開始時にサンプ130内の新しい供給水の割合が大きいほどサンプ内の水温が高くなり、凍結ステップ中に氷片を作るためにより多くの冷却エネルギーが必要になることがわかる。しかしながら、少なくとも定期的に、例えば、nサイクル毎に1回ずつあるいはx分毎に1回ずつ、新たな氷生成サイクルの開始前にサンプ130から一部の水を除去することが有益である。このことは、凍結ステップにおいて、冷凍プレート110の表面を水が流れ落ちる際、より純度の高い水が凍るため、カルシウムやその他のミネラルなどの水中不純物が液状の水に残るために有利である。よって、各凍結ステップにおいて、水中の不純物濃度が上昇する。不純物濃度が高くなりすぎると、製氷機のパフォーマンスが急速に損なわれ、ひいては製氷機が動作不能になり得る。よって、図示の製氷機103の通常動作モードでは、nnormal回の氷バッチ生成サイクル毎またはxnormal分毎に、制御器160は、充填ステップの前に、排水弁144を開くことで、循環終了水位ECLから通常モード除去境界水位NPLまで、サンプ130から残された水の一部を除去する除去ステップを実行する。nnormalの値は、1以上であればよい。制御器160は、水位センサ136から制御器に対してサンプ130内の水位が通常モード除去境界水位NPLに達したことが伝えられると、排水弁144を閉じる。排水弁144は、ある適当なタイプの除去機構であるが、他のタイプの除去機構(例えば、能動的な排水ポンプ)も、本開示の範囲を逸脱することなく、上述の除去ステップを実行するために使用可能である。
【0033】
1つ以上の実施形態において、制御器160は、安全動作モード時には通常動作モード時よりも多量の水をサンプ130から除去することを除いて、安全動作モードにおいて、上述の通常動作モードと実質的に同様の態様で、連続した氷バッチ生成サイクルを実行する。特定の実施形態では、制御器160は、安全モード時において、通常モード時よりも高い頻度で除去ステップを実行するように構成されてもよい。そこで、例えば、1つ以上の実施形態において、安全動作モード時、制御器160は、nsafeがnnormalよりも小さくかつxsafeがxnormalよりも小さいとして、nsafe回の氷バッチ生成サイクル毎またはxsafe分毎に除去ステップを実行するように構成される。特定の実施形態では、通常動作モードで実行される除去ステップと比較して、制御器160は、安全動作モードで実行される各除去ステップにおいて、サンプ130からより多くの水を除去するように構成されてもよい。例えば、安全動作モードでは、各除去ステップにおいて、制御器160は、水位センサ135から制御器に対してサンプ130内の水位が通常モード除去境界NPLよりも低い安全モード除去境界SPLに達したことが伝えられるまで、サンプ130から水を除去するために排水弁144を開くように構成される。例示的な実施形態では、安全モード除去境界SPLは、サンプ130内の水の実質的に全てがサンプから除去または排出され、サンプが実質的に空になった状態に対応する。例示的な実施形態では、安全動作モード時、制御器160は、毎回の氷バッチ生成サイクルにおいて、安全モード除去境界SPLまで水を除去する。毎度の氷バッチ生成サイクルにおいてサンプ130から実質的に全ての水を除去することにより、供給水が非常に高い濃度の硬いカルシウムまたはその他のミネラルを含む場合に、製氷機のパフォーマンスを大きく改善することができる。
【0034】
1つ以上の実施形態において、制御器160は、別の態様で通常動作モードと安全動作モードとの間に差異を設け得ることが考えられる。例えば、凝縮器クリーニング動作を定期的に実行するように製氷機を制御することが知られている。ある実施形態では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0327352号明細書に記載されているように、凝縮器クリーニング動作は、圧縮機を停止することと、凝縮器から塵埃やその他の粒子を取り除くために凝縮器ファンを逆方向に駆動することとを含む。制御器160は、安全動作モード時に、通常動作モード時よりも高い頻度で凝縮器クリーニング動作を実行し得ることが考えられる。例えば、制御器は、通常動作モード時には、mnormal回の氷バッチ生成サイクル毎またはynormal分毎に、安全動作モード時には、msafe回の氷バッチ生成サイクル毎またはysafe分毎に、凝縮器クリーニング動作を実行してもよい。ここで、msafeはmnormalよりも小さく、ysafeはynormalよりも小さい。この文脈において、厳しい水の条件に対処する安全動作モードに代えて、安全動作モードは、劣悪な空気質条件に対処するものであってもよい。同様の趣旨で、製氷機の内部を殺菌するために、オゾン殺菌装置などの自動殺菌装置を使用することが知られている。別の実施形態では、制御器160は、安全動作モード時に、通常動作モード時よりも高い頻度および/または強度で自動殺菌動作を実行してもよい。製氷機を安全動作モードで動作させるさらに別の態様が、本開示の範囲を逸脱することなく実現可能である。また、制御器160は、複数の異なる安全モードにおいて製氷機103を選択的に動作させるように構成されてもよい。例えば、制御器は、通常モードよりも多くの水をサンプから除去する第1安全モードや、第1安全モードよりも多くの水をサンプから除去する第2安全モードなどにおいて、製氷機103を選択的に動作させてもよい。
【0035】
1つ以上の実施形態において、制御器160は、安全動作モード時には通常動作モード時よりも少量の水をサンプ130から除去することを除いて、高効率動作モードにおいて、上述の通常動作モードと実質的に同様の態様で、連続した氷バッチ生成サイクルを実行する。特定の実施形態では、制御器160は、高効率動作モード時において、通常動作モード時よりも低い頻度で除去ステップを実行するように構成されてもよい。そこで、例えば、1つ以上の実施形態では、高効率動作モード時に、制御器160は、neffがnnormalよりも大きくかつxeffがxnormalよりも大きいとして、neff回の氷バッチ生成サイクル毎またはxeff分毎に除去ステップを実行するように構成される。特定の実施形態では、通常動作モード時に実行される除去ステップと比較して、制御器160は、高効率動作モードで実行される各除去ステップにおいて、サンプ130からより少ない水を除去するように構成されてもよい。例えば、高効率動作モードでは、各除去ステップにおいて、制御器160は、水位センサ136から制御器に対してサンプ130内の水位が通常モード除去境界NPLよりも高い高効率モード除去境界HEPLに達したことが伝えられるまで、サンプ130から水を除去するために排水弁144を開くように構成される。上述したように、製氷機から除去する水を少なくすることにより、次の凍結ステップの開始時から冷凍プレート110により冷たい水を供給することで、製氷機が消費する電気エネルギーを節約することが可能となる。また、除去する水を少なくすることにより、同量の氷を作るために製氷機で消費される水を少なくできる。
【0036】
1つ以上の実施形態において、制御器160は、別の態様で通常動作モードと高効率動作モードとの間に差異を設け得ることが考えられる。例えば、可変速の圧縮機112、凝縮器ファン115、および/またはポンプ132が使用される場合、制御器160は、可変速圧縮機、可変速凝縮器ファン、または可変速水ポンプ132の少なくとも1つを、高効率モードにおいて通常動作モードよりも低速で動作させてもよく、それにより電気エネルギーが節約される。また、制御器160は、複数の異なる高効率モードにおいて、例えば、エネルギーまたはその他の資源の消費量が徐々に増加することで通常動作モードとは異なる一連の高効率モードにおいて、製氷機103を選択的に動作させるように構成されてもよい。
【0037】
安全モードおよび高効率モードに対して、ロックモードでは、制御器160は、製氷機103が氷を作るのを完全に阻止するように構成される。例えば、制御器160は、入水弁140を閉鎖位置に保持してもよいし、および/または圧縮機112が動作するのを阻止してもよい。
【0038】
図3に示すように、装置制御システムは、さらに、装置103を、遠隔資産管理サーバ105と通信するためのクライアントサーバネットワーク107に接続するように構成されたネットワークインタフェース170を備える。換言すると、ネットワークインタフェース170は、装置103のローカル制御器160と遠隔資産管理サーバ105との間の通信を提供するように構成される。装置のための資産管理システムにおいて使用される通信アーキテクチャの例示的な実施形態は、米国特許第9,863,694号により詳しく記載されており、この米国特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。図示のネットワークインタフェース170は、セルラー式データ送受信装置またはWi-Fi送受信装置などのワイヤレス送受信装置を備える。別タイプのネットワークインタフェース(例えば、有線のインターネットポートなど)も、本開示の範囲を逸脱することなく使用可能である。ネットワークインタフェース170は、広くは、装置103から資産管理サーバ105へ動作データを渡すと共に、資産管理サーバから装置へ命令を渡すように構成される。図示の実施形態では、ネットワークインタフェース170は、さらに、遠隔資産管理サーバに対して、地理的領域Aにおける製氷機の地理的な位置に関するGPS受信機168からの情報を提供するように構成される。
【0039】
本開示の範囲において、様々なタイプの動作データおよび命令が装置103とサーバ105との間で授受されてもよい。また、任意の所与の資産管理サーバ101における特定の動作データおよび命令は、ネットワーク上の装置のタイプ、装置の制御に用いられる特定の制御手法、ネットワークに関連する動作特性、および、以下の地域制御に関するさらなる議論から理解されるように、資産管理システムが監視および/または対処する局地的な事象のタイプなどの要因に依存することが理解されるだろう。
【0040】
「動作パラメータ」は、とりわけ、装置のパフォーマンスの1つ以上の側面を示す測定値または検出値と、設定値や制限値などの制御設定のための値とを含んでもよい。製氷機103から資産管理システムへ送られ得る動作パラメータの例示的な実施形態を、下の表1に示す。表2は、潜在的な動作パラメータの小さなサンプルのみを含む。
【0041】
【表1】
上の表において、レジスタ番号の列は、レジスタの番号を含み、これは装置に対する特定の要求に応じて変化する。定義の列は、レジスタに格納される動作データのタイプを定義する。次元の列は、動作データの測定単位を与える。Read/Writeの列は、資産管理サーバが、レジスタから値を読み出すか(「R」)、レジスタに値を書き込むか(「W」)、またはレジスタの値を読み書きするか(「R/W」)を示す。
【0042】
図示の実施形態では、制御器160は、資産管理サーバ105に対し、ネットワークインタフェース170およびネットワーク107を介して、ローカル制御システムによって測定された値を定期的に送るように構成される。当該測定値は、1つ以上の検出温度(例えば、空気の温度、1つ以上の蒸発器120の温度(例えば、先の氷バッチ生成サイクルの凍結ステップにおける蒸発器出口の冷媒の最高温度、先の氷バッチ生成サイクルの凍結ステップにおける所定の時点での蒸発器出口の冷媒の温度、先の氷バッチ生成サイクルの凍結ステップにおける蒸発器出口の冷媒の最低温度、先の氷バッチ生成サイクルの回収ステップにおける蒸発器出口の冷媒の最高温度)、サンプ130内の水の温度、および/または水入口における供給水の温度)、1つ以上の検出冷媒圧力(例えば、圧縮機112の高圧側における検出冷媒圧力(例えば、先の氷バッチ生成サイクルの凍結ステップにおける最大高圧側圧力、先の氷バッチ生成サイクルの凍結ステップにおける所定の時点での高圧側圧力、先の氷バッチ生成サイクルの凍結ステップにおける最小高圧側圧力、先の氷バッチ生成サイクルの回収ステップにおける最大高圧側圧力)または圧縮機の低圧側における検出冷媒圧力(例えば、先の氷バッチ生成サイクルの凍結ステップにおける最大低圧側圧力、先の氷バッチ生成サイクルの凍結ステップにおける所定の時点での低圧側圧力、先の氷バッチ生成サイクルの凍結ステップにおける最小低圧側圧力、先の氷バッチ生成サイクルの回収ステップにおける最大低圧側圧力))、測定される実行時間(例えば、直前の日、週、および/または月における実行時間の長さ)、測定される水使用(例えば、直前の日、週、および/または月に消費された水の量)、測定されるエネルギー使用(例えば、直前の日、週、および/または月に消費されたエネルギーの量)、測定される氷生成(例えば、直前の日、週、および/または月に生成された氷の量)、測定される凍結ステップ期間(例えば、先の完了した氷バッチ生成サイクルの凍結ステップの実行に要した時間の長さ、先の所定回数(例えば、5回)の凍結サイクルの各々の実行に要した時間の長さ、先の所定回数(例えば、5回)の凍結サイクルの各々の実行に要した時間の長さの平均値)、測定される回収ステップ期間(例えば、先の完了した氷バッチ生成サイクルの回収ステップの実行に要した時間の長さ、先の所定回数(例えば、5回)の回収サイクルの各々の実行に要した時間の長さ、先の所定回数(例えば、5回)の回収サイクルの各々の実行に要した時間の長さの平均値)を含む。また、制御器は、資産管理サーバ105に対し、ネットワークインタフェース170およびネットワーク107を介して、現在の動作モード設定、現在の設定値、および任意の警告のステータス(例えば、異常を示す警告がアクティブかどうか)など、特定の制御設定およびステータスの指標を定期的に送るように構成される。装置は、特定の時間間隔をおいて、または動作値が変わる任意のタイミングで、遠隔サーバに対して動作データを「定期的に」送信または公開してもよい。特定の実施形態では、装置は、特定のタイミングで動作データを公開するが、変化したパラメータ値のみを公開する。1つ以上の実施形態において、装置は、警告表示を直ちに公開してもよく、その他の全ての動作データを所定の時間間隔スケジュールに沿って公開してもよい。
【0043】
また、ローカル制御器160は、資産管理サーバ105から、クライアントサーバネットワーク107およびネットワークインタフェース170を介して、様々な命令を受けてもよい。1つ以上の実施形態において、ネットワークインタフェース170は、遠隔資産管理サーバ105から制御器160へ「制御パラメータ変更命令」を渡すように構成され、その制御パラメータ変更命令に応じて、制御器は、それによって制御器が装置103に氷生成などの装置機能を発揮させる1つ以上の制御パラメータを変更するように構成される。制御パラメータ変更命令は、本開示の範囲において、様々なタイプの制御パラメータを変更するために利用されてもよい。例えば、1つ以上の実施形態において、制御パラメータ変更命令は、制御器160に、特定の設定値または制限制御値、例えば、水位、氷の厚み、温度設定値、警告リミットなどを変更させるものであってもよい。特定の実施形態では、制御パラメータ変更命令は、制御器に、装置103の動作モードを変更させるように構成される(例えば、一次動作モードから二次動作モード、またはその逆)。したがって、所定の群の動作モードのためのローカル制御設定を製氷機103が記憶する特定の実施形態では、制御パラメータ変更命令は、制御器160に、メモリ109内のレジスタに装置103の最新の動作モードを設定するための新値を書き込ませる。別の実施形態において、制御パラメータ変更命令は、制御器160に、メモリ109に記憶された設定値や制限値などの1つ以上の所定の制御設定を変更することで動作モードを変更させてもよい。下の表2は、資産管理サーバから送られる動作パラメータ変更命令によって上書き可能な制御パラメータのサンプルをリストにした例示的な実施形態である。
【表2】
【0044】
図1に戻り、地理的領域Aに分散した製氷機103のための資産管理システム101を使用する例示的な方法について、以下、簡潔に説明する。上述したように、まず、各製氷機103と資産管理サーバ105との間で、例えば登録システムを用いて、接続が確立される。資産管理サーバ105は、典型的には、当該接続がなされた時点で、各製氷機103の位置をメモリ109に格納する。そのために、GPS受信機168を備える製氷機103において、接続の確立後、制御器160は、遠隔資産管理サーバに対し、ネットワークインタフェース170およびネットワーク107を介して、GPS位置信号に関する情報を送る。GPS位置情報が利用できない場合、資産管理サーバ105は、ネットワーク由来位置推定などの別の自己認証方法を利用して製氷機の位置を入手してもよい。そこで、例えば、ネットワークインタフェース170がセルラーネットワーク送受信装置を備える場合、資産管理サーバ105は、セルラーネットワーク三角測量を使用して、製氷機からサーバに送られる信号に含まれるネットワークデータに基づいて製氷機103の位置を推定してもよい。また、ネットワークインタフェースがWi-Fi送受信装置を備える場合、資産管理サーバは、様々な市販のWi-Fi測位システムを任意に使用して、製氷機からサーバに送られる信号に含まれるネットワークデータに基づいて製氷機103の位置を推定してもよい。製氷機の位置の自己認証が的確に確立できない場合、サーバは、装置登録において提供されるアドレスを使用して製氷機103の位置を特定してもよい。
【0045】
装置の位置を特定するために使用される方法によらず、1つ以上の実施形態において、サーバは、メモリ109に標準フォーマットで当該位置を格納する。例えば、メモリ109は、公知の地理座標系または投影座標系の特定座標にしたがって、二次元座標の形式で各位置を記憶してもよい。ある場合には、元の位置ソースデータ(上述)を標準フォーマットに変換する必要があるかも知れない。アドレスデータなどの非標準位置データを標準フォーマットに変換するための市販のツールは多数存在しており、それらツールのうち任意のものが、本開示の範囲を逸脱することなく利用可能である。好適には、メモリ109内で使用される標準位置フォーマットは、市販の地理情報システム(GIS)で認識されるフォーマットである。これにより、装置103に対する位置データを、GISソフトウェア内のレイヤとして利用可能なポイントマップとして扱うことができる。よって、装置位置データは、GISデータの別レイヤと組み合わせられてもよい。明らかなように、資産管理サーバ105は、メモリ109内に格納された装置位置データを、資産管理システム101の地理的領域A内の地方自治区、公益事業区、部族の土地、都市、国、州、および省などの様々な所定の地域を記述するGISデータと組み合わせて使用することが考えられる。このようなタイプのGISデータの情報源の一例は、米国政府のパブリックドメインで入手可能な地形地図符号化照合(TIGER)シェープファイルデータである。地理的領域内の様々な地域の形状や位置を規定するその他のGISデータ源も知られている。装置位置データを地域シェープファイルデータに重ねることにより、資産管理サーバ105は、所与の対象地域内にどの装置が位置しているかを特定することができる。
【0046】
図5において、装置103の地域制御のために資産管理システム101を使用する例示的な方法は、概して、参照番号210で示されている。サーバ105と装置103との間の接続を確立して装置の位置の指標をメモリ109内に格納した後、資産管理サーバは、地理的領域の特定地域Rで事象が生じたことを特定してもよい(ステップ212)。ステップ212でなされる事象特定は、特定地域Rにおける気象事象の指標を受け取ることを含んでもよい(開始点211A)。例えば、サーバ105は、局地的な気象事象が特定地域で生じたことを示す洪水警報、干ばつ警報、またはその他の気象警報の気象サービスから指標を受け取ってもよい。あるいは、開始点211Bに示すように、事象特定ステップ212は、サーバ105が、特定地域Rに影響する公共の注意報の指標を受け取ることから進行してもよい。例えば、サーバ105は、煮沸命令などの水に関する注意報が所与の地理的領域で発効していること、地域的なエネルギーや水の使用規則が変更されること、所与の地理的領域で電力または水の不足が存在することなどの指標を受け取ってもよい。また、211Cに示すように、事象特定ステップ212は、特定地域Rにおけるパフォーマンスの大きな局所的変化の指標に応答するものであってもよい。
【0047】
ステップ212で事象が生じたことを特定した後、資産管理サーバ105は、次にステップ214で、対象地域の地理的な境界を特定する。概して、ステップ214は、対象区域の外縁または周縁の地理的境界を特定することを含む。典型的には、問題となる地理的領域の説明的な表示が、ステップ212において事象が生じたとサーバ105が特定した警報または通知に含まれる。上述したように、サーバ105は、既知の地理的領域の地理的境界を規定するGISデータにアクセスしてもよい。したがって、1つ以上の実施形態において、ステップ214は、特定地域Rの境界に対応する利用可能なGISデータベースを照会することを含む。特定の実施形態では、管理者は、ステップ212においてシステム101が事象を通知された後に特定地域の境界を規定する役割を担ってもよい。例えば、システム101は、管理者が、影響を受ける地域Rを特定するために地理的領域Aのデジタルマップ上に代表的な境界線を描く表示ツールを使用できるようにするソフトウェアを備えてもよい。資産管理システム101内の装置103のパフォーマンスデータに基づいて事象が特定された場合(開始点211C)、資産管理サーバ105は、ある場合には、パフォーマンスデータの統計解析を用いて対象地域Rの境界を特定してもよい。
【0048】
ステップ212で事象の発生を特定し、かつステップ214で影響を受ける地域の境界を特定した後、ステップ216では、資産管理サーバ105は、どの装置103が特定地域Rに存在しているかを特定する。上述したように、資産管理サーバ105は、資産管理システム101内の各装置103の位置をメモリ109に格納可能である。このデータをステップ214で特定した地理的境界と組み合わせるか比較することにより、資産管理サーバ105は、どの装置103が特定地域Rの境界内に存在するか、またどの装置が特定地域の外部に存在するかを特定し得る。
【0049】
どの装置が特定地域R内に存在するかを特定した後、ステップ218において、サーバ105は、件の事象に対処するための動作を実行する。図5では、実行される是正措置は、ネットワーク107を介して、特定地域R内の各装置103に制御パラメータ変更命令を送ることを含む。上述したように、制御パラメータ変更命令を受けて、特定地域R内の各製氷機103のローカル制御器105は、それぞれの製氷装置に対する制御パラメータを変更するように構成される。そこで、例えば、1つ以上の実施形態において、制御パラメータ変更命令は、各ローカル制御器に、各冷凍装置の動作モードを変更させるように構成される。例えば、制御パラメータ変更命令は、各制御器を、通常動作モードから、(i)安全動作モード(例えば、ローカル制御器が製氷機により多くの水を除去させる動作モード)と、(ii)高効率モード(例えば、ローカル制御器がより少ないエネルギー消費量で冷凍装置を操作する動作モード)との一方へ変化させるように、またはその逆に変化させるように構成されてもよい。特定の実施形態では、制御パラメータ変更命令は、設定値や制御値などの制御設定を変更するように構成されてもよい。制御パラメータ変更命令を受けて、特定地域R内の各製氷機103のローカル制御器160は、当該命令で特定されたように制御パラメータを変更し、それにより制御器が装置を操作する方法が、件の事象に対応する態様に変更される。
【0050】
方法210を使用する態様のある実際的な例を提供するために、局所的な地域で干ばつによって水の硬度が大幅に上昇した状況を想像されたい。そのような場合、件の地域にある製氷機は、何らの是正措置もなされなければ(例えば、製氷機が、硬い鉱物の溶解レベルがより低い供給水に合わせた制御設定での通常動作を続ければ)、非常に高い故障リスクにさらされるだろう。システム101により、遠方の管理者は、干ばつが生じたことを認識し(ステップ212)、干ばつの影響を受ける地理的領域Rを特定し(ステップ214)、特定された地理的領域内にどの装置が存在するかを特定し(ステップ216)、そして特定された地理的領域内の全ての製氷機に対し、製氷機の動作モードを通常動作モードからより多くの水を除去する安全動作モードへ切り替えるための命令を出す(ステップ218)ことが可能となる。これにより、サンプ水中の硬い鉱物が低いレベルに維持され、製氷機が故障しにくくなる。
【0051】
別の実際的な例を提供するために、州または国が、製氷機の許容可能なエネルギー消費量を、通常動作モードで動作する製氷機103によるエネルギー消費量よりも小さくなるように制限する新しいエネルギー効率規制を公布する状況を想像されたい。そのような場合、当該地域内の全ての製氷機は、何らの是正措置もなされなければ、違反状態になるだろう。システム101により、権限を有する管理者は、規制の変更があったことを認識し(ステップ212)、規制変更の影響を受ける地理的領域Rを特定し(ステップ214)、特定された地理的領域内にどの装置が存在するかを特定し(ステップ216)、そして特定された地理的領域内の全ての製氷機に対し、製氷機の動作モードを通常動作モードから新しい規制に従った量のエネルギーを消費する高効率動作モードへ切り替えるための命令を出す(ステップ218)ことが可能となる。
【0052】
また別の実際的な例では、地域の水道事業者が完全煮沸命令を出す状況を想像されたい。そのような場合、影響を受ける地域において生活用水から作られた氷を消費するのは安全でないだろう。システム101により、権限を有する管理者は、煮沸命令が出されたことを認識し(ステップ212)、煮沸命令の影響を受ける地理的領域Rを特定し(ステップ214)、特定された地理的領域内にどの装置が存在するかを特定し(ステップ216)、そして特定された地理的領域内の全ての製氷機に対し、製氷機の動作モードを通常動作モードから煮沸命令が解除されるまで氷を作るための製氷機の使用が阻止されるロックモードへ切り替えるための命令を出す(ステップ218)ことが可能となる。煮沸命令が解除されると、サーバ105は、製氷機に対し、ロックモードから通常動作モードへ再び切り替わるための第2の制御パラメータ変更命令を出してもよい。
【0053】
さらに別の例では、資産管理システムの管理者は、所与の地域におけるエネルギー使用量を低減するために、地域の公益事業者と提携してもよい。例えば、資産管理システムは、装置のオーナーが、例えば利用可能な電力網の電力が比較的低いか不足する状況など、装置が通常動作モードから高効率動作に切り替えられるべきタイミングを公益事業会社が規定する地域プログラムを選択できるようにしてもよい。そのような場合、地域電力事業者からシステム管理者に通知が届き、それに応じて当該管理者は、特定された地理的領域内の地域プログラムに登録された全ての装置に対し、通常動作モードから高効率モードへ切り替わるための命令を送る。考えられることとして、この種のプログラムは、プログラム内の特定の装置が氷に関する強い要求を受けた場合に、その装置の設備能力を高める自動機構を提供することによりさらに強化されてもよい。例えば、上述したように、資産管理サーバ105は、氷位の情報を含む動作データを製氷機103から受けるように構成される。資産管理サーバ105は、高効率モードへ切り替わった製氷機の1つが高い氷要求があるときに閾値を下回る氷位を有すると特定した場合、その製氷機に対し、氷要求が満たされるまで高効率モードから通常モードへ戻るように一時的に変化するための個別命令を送ってもよい。
【0054】
図示の実施形態の方法210は、製氷機103のローカル制御器160に直接的な命令を出してローカル制御パラメータを変更させることで局地的事象に対処するものであるが、考えられることとして、システム101は、別の態様で局地的事象に応じた動作を行ってもよい。例えば、1つ以上の実施形態において、メモリ109は、資産管理システム101に登録された各装置103の操作者の連絡先情報(例えば、携帯番号やeメールアドレス)を記憶する(例えば、登録プロセスが、操作者に対して当該情報の提供を促してもよい)。ステップ218で制御パラメータ変更命令を送る代わりに、サーバ105は、操作者に対し、その連絡先の登録項目を利用して通知を出してもよい。当該通知は、操作者に対してステップ212で特定された局地的事象の警告を出すものであってもよいし、および/または当該事象に対処するように製氷機を調節するために操作者がとり得る対応を提案するものであってもよい。
【0055】
図6において、資産管理システム101を使用する別の例示的な方法は、概して、参照番号310で示されている。方法310は、それによりシステム101が局地的事象の生じるタイミングを特定でき、例えば上述の方法210を用いて、是正措置をとることができる方法を提供する。まず、サーバ105と装置103との間の接続を確立し、メモリ109に装置の位置の指標を格納した後、ステップ312において、サーバは、メモリに格納された位置に基づいて、地理的領域Aの所定領域により資産管理システム101に登録された装置103をグループ分けする。サーバ105は、既知の地理的領域(例えば、地理的領域A内の地方自治区、公益事業区、部族の土地、都市、国、州、および省)の連続した地理的境界を規定するサードパーティのGISデータにおける所定領域の境界を根拠にしてもよい。所定領域の境界を特定した後、サーバ105は、どの装置103が特定領域R内に存在するかを特定する。上述したように、資産管理サーバ105は、資産管理システム101内の各装置103の位置をメモリ109に格納してもよい。当該データを所定領域の地理的境界と組み合わせるか比較することにより、資産管理サーバ105は、どの装置103が様々な領域の境界内に存在するかを特定し得る。
【0056】
ステップ314において、資産管理サーバ105は、資産管理システム101内の製氷機103から動作データを定期的に受け取る。例えば、上述したように、各製氷機103は、資産管理サーバ105に対し、ネットワークインタフェース170およびネットワーク107を介して、ローカル制御システムにより測定された動作パラメータ値や、特定の制御設定およびステータスの指標を定期的に送るように構成される。ステップ316において、資産管理サーバ105は、製氷機103からの動作データを評価する。より具体的に、資産管理サーバ105は、各所定領域内に配置された全ての製氷機103に対して選択された動作データの現在の値を定期的に平均する。サーバ105は、いずれかの所定領域に対応するデータに大きな変化が見られるタイミングを認識するように構成される。図示の実施形態では、メモリ109が、対象の各パラメータに対するパラメータ閾値を記憶する。判定点318において、サーバ105は、各所定領域に対する平均パラメータ値を対応するパラメータ閾値と比較する。平均値が閾値を超えている場合、サーバ105は、局地的事象が生じているかも知れないと判断し、当該事象に対処するための動作を自動的に実行する(ステップ322)。例えば、1つ以上の実施形態において、サーバ105は、資産管理サーバ105の管理者に対して、潜在的な事象について知らせるための警告を送る(例えば、テキストメッセージまたはeメールメッセージを出す)。これにより、管理者は、領域内の各装置の操作者に通知を出したり、あるいは上述したように当該事象に対応して自動調節するための制御パラメータ変更命令を各装置に送ったりといった、より大きな是正措置をとる前に、当該事象の根拠を評価することができる。別の実施形態では、管理者にまず知らせる代わりに、サーバ105は、事前の承認を求めることなく、各操作者に直接に通知を出したり、あるいは装置に直接に制御パラメータ変更命令を送ったりするように構成されてもよい。
【0057】
図7において、資産管理システム101を使用する別の例示的な方法は、概して、参照番号410で示されている。方法410は、それによりシステム101が局地的事象の生じるタイミングを特定でき、例えば上述の方法210を用いて、是正措置をとることができる別の方法を提供する。まず、サーバ105と装置103との間の接続を確立して装置の位置の指標をメモリ109に格納した後、ステップ412において、サーバは、メモリに格納された位置に基づいて、地理的領域Aの所定領域により資産管理システム101に登録された装置103をグループ分けする。サーバ105は、既知の地理的領域(例えば、地理的領域A内の地方自治区、公益事業区、部族の土地、都市、国、州、および省)の連続した地理的境界を規定するサードパーティのGISデータにおける所定領域の境界を根拠にしてもよい。所定領域の境界を特定した後、サーバ105は、どの装置103が特定領域R内に存在するかを特定する。上述したように、資産管理サーバ105は、資産管理システム101内の各装置103の位置をメモリ109に格納してもよい。当該データを所定領域の地理的境界と組み合わせるか比較することにより、資産管理サーバ105は、どの装置103が様々な領域の境界内に存在するかを特定し得る。
【0058】
ステップ414において、資産管理サーバ105は、資産管理システム101内の製氷機103から動作データを定期的に受け取る。例えば、上述したように、各製氷機103は、資産管理サーバ105に対し、ネットワークインタフェース170およびネットワーク107を介して、ローカル制御システムにより測定された動作パラメータ値や、特定の制御設定およびステータスの指標を定期的に送るように構成される。
【0059】
ステップ416,418,420において、資産管理サーバ105は、製氷機103からの動作データを評価する。より具体的に、ステップ416において、資産管理サーバ105は、制御パラメータ値を時系列として記憶し、ステップ418において、資産管理サーバは、所定領域によって当該時系列をグループ分けする。ステップ420において、資産管理サーバは、グループ分けされた時系列データを分析し、いずれかの所定領域が異常な振舞いを示しているかどうかを判定する。例えば、ある実施形態では、資産管理サーバは、グループ分けされた時系列の対象パラメータの移動平均を計算し、いずれかの移動平均が通常範囲を外れているか否か(例えば、当該パラメータに対する所定の閾値を超えているか)を判定する。特定の実施形態では、通常範囲は、地理的領域Aにおける、あるいは各領域内の時系列の長期平均に基づいて決定されてもよい。各所定領域に対応する時系列データを分析するその他の方法も、本開示の範囲を逸脱することなく適用可能である。例えば、1つ以上の実施形態において、サーバ105は、各所定領域のデータの傾向を特定するための統計的アルゴリズム、例えばマンケンダル傾向検定を使用するように構成されてもよい。
【0060】
判定点422で示すように、時系列の分析が動作パラメータデータの局地的な異常を示す場合、サーバ105は、当該領域で事象が生じているかも知れないと判定し、当該事象に対処するための動作を自動的に実行する(ステップ424)。例えば、1つ以上の実施形態において、サーバ105は、管理者に対して、潜在的な事象について知らせるための警告を送る(例えば、テキストメッセージまたはeメールメッセージを出す)。これにより、管理者は、領域内の各装置の操作者に通知を出したり、あるいは上述したように当該事象に対応して自動調節するための制御パラメータ変更命令を各装置に送ったりといった、より大きな是正措置をとる前に、当該事象の根拠を評価することができる。別の実施形態では、管理者にまず知らせる代わりに、サーバ105は、事前の承認を求めることなく、各操作者に直接に通知を出したり、あるいは装置に直接に制御パラメータ変更命令を送ったりするように構成されてもよい。
【0061】
方法310および410のある実際的な例において、サーバ105は、地理的領域の所定領域内の製氷機の部分集合における氷バッチ生成サイクルのステップを完了するタイミングにおける変化に基づいて、局地的事象が生じたことを特定してもよい。局地的な当該パラメータの異常な変化は、影響を受ける領域に偏在する水質の大きな変化の指標となり得る。よって、事前の管理者承認の有無によらず、システム101は、特定領域内の製氷機(かつそれら影響を受ける製氷機のみ)を安全動作モードに切り替えることにより、水の硬度の上昇のおそれに対処するための動作を実行してもよい。
【0062】
方法310,410の別の実際的な例では、サーバは、地理的領域Aの所定領域の1つにおける製氷機の部分集合によって消費されるエネルギー量の大きな変動に基づいて、局地的事象が生じたことを特定してもよい。特定領域に集中した当該パラメータの異常な変化は、大気質、大気温度、または水質の変化を示し得るものであり、それらは特定領域内の製氷機(かつそれら影響を受ける製氷機のみ)を安全動作モードに切り替えることより、あるいは影響を受ける製氷機の別の関係する制御パラメータを変更することにより対処されてもよい。
【0063】
装置103からサーバ105へ送られた動作データを評価する別の方法が、本開示の範囲を逸脱することなく利用可能である。例えば、1つ以上の実施形態において、特に統計的に有意な数の装置が地理的領域Aにおいて資産管理システム101に登録されている場合、サーバ105は、その領域内の冷凍装置のクラスターからの動作データの1つ以上の制御パラメータ値が、局地的なホットスポットの外部の冷凍装置の同じ値と一致しないホットスポット領域を特定するように構成されてもよい。このタイプの時空間ホットスポット分析では、特定領域Rは、予め定められず、都市、国、公益事業区などの場所に対する既存の地理的境界に限定されない。むしろ、サーバ105は、動作データ源の位置に関する既知の情報と組み合わせて動作パラメータデータを利用し、ホットスポット地域の地理的境界を自動的に決定するように構成される。地理的に分布した源からの時系列データに基づいて地理的ホットスポットを特定するための1つのツールは、ESRIから入手可能な、ArcGIS Proソフトウェアの時空間ホットスポット分析ツールである。これらのタイプの高度なGISツールは、時空間の値のクラスタリングにおける傾向を特定するための他の状況で使用される。ArcGISの時空間ホットスポット分析ツールは、xz平面が二次元空間を表しかつ鉛直y軸が時間を表す三次元座標系に概念的に配置された時空間ビンに位置データを対応付けることにより、時空間キューブを生成する。時空間データは、異常事象が起こっている時空間キューブ内のクラスター化された地域を特定するために、Getis-Ord Gi*アルゴリズムなどの時空間統計アルゴリズムを用いて評価される。よって、システムは、動作データをより一層動的に分析して、異常事象と、異常動作データがクラスター化された地域Rの空間的境界との両方を特定することができる。
【0064】
上述したように、本開示は、製氷機のための資産管理システムに限定されない。別タイプの冷凍装置、料理装置、清掃装置、および水利用装置が、上述した方法やシステムを用いて地理的基準で制御および監視されてもよい。冷凍装置の例には、医療用冷凍庫や自立型の業務用冷蔵庫が含まれる。
【0065】
この点について示す追加的な例を提供するために、装置の性能を維持するために凝縮器の堆積物を定期的にクリーニングする凝縮器クリーニングシステム(例えば、凝縮器ファン逆転システム)を利用する冷蔵庫や冷凍庫が知られている。空気質が大きく変化する局地的事象が生じる場合、資産管理サーバは、影響を受ける領域R内の冷蔵庫や冷凍庫の制御パラメータを変更するために方法210を実行して、装置が凝縮器クリーニング動作を行う頻度および/または強度を増大させてもよい。例えば、特定の冷蔵庫または冷凍庫において、より高い頻度またはより高い強度での凝縮器クリーニング制御を規定する二次安全動作モードが予め設定されていてもよい。この場合、資産管理システムは、当該冷蔵庫および冷凍庫を通常動作モードから安全動作モードに切り替える制御パラメータ変更命令を出すことで、当該領域の局地的事象に対処してもよい。同様に、局地的なエネルギー規制の変更や電力不足が存在する場合、資産管理サーバは、冷蔵庫または冷凍庫のエネルギー消費に影響する1つ以上の制御パラメータを変更するために方法210を実行してもよい。例えば、資産管理サーバは、影響を受ける領域内の装置の任意の可変速圧縮機またはファンの速度を低める制御パラメータ変更命令を出してもよい。さらに、資産管理サーバは、急速水位低下モードなどのエネルギー消費量がより高い機能を禁止する制御パラメータ変更命令を出してもよい。特定の冷蔵庫または冷凍庫において、速度設定を低めるか、および/または装置の高エネルギー消費機能を禁止する二次高効率動作モードが予め設定されていてもよい。この場合、資産管理システムは、当該冷蔵庫および冷凍庫を通常動作モードから高効率動作モードに切り替える制御パラメータ変更命令を出すことで、当該領域の局地的事象に対処してもよい。冷蔵庫や冷凍庫からの動作データを、方法310,410を使用して地理的基準で集めて評価し、それにより局地的事象を特定してこれに対処することも考えられる。例えば、動作データが局地的な冷却速度の増大を示す場合、資産管理システムは、その原因(例えば、凝縮器が汚れるスピードの増大)を特定してこれに対処するための動作を実行してもよい。
【0066】
当業者に自明のように、本明細書で開示する実施形態の態様は、システム、方法、コンピュータプログラム製品、またはそれらの任意の組合せとして実施されてもよい。したがって、本開示の実施形態は、全体的にハードウェアの実施形態、全体的にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施形態の形態をとってもよく、それらは全て本明細書において「回路」、「モジュール」、または「システム」として言及され得る。また、本開示の態様は、任意の有形媒体に実装され、当該媒体に組み入れられるコンピュータで利用可能なプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品の形態をとってもよい。
【0067】
本開示の態様は、コンピュータまたは演算装置で実行される、プログラムモジュールなどのコンピュータまたは演算装置で実行可能な指令の一般的な文脈で説明され得る。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行したり特定の抽象データ型を実装したりするためのルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。また、本開示の態様は、通信ネットワークを介してつながった複数の遠隔演算装置によってタスクが実行される分散型の計算処理環境で実施されてもよい。分散型の計算処理環境では、プログラムモジュールは、メモリ記憶装置を含むローカルおよび遠隔のコンピュータ記憶媒体の両方に配されてもよい。
【0068】
コンピュータで利用可能または読み取り可能な1つ以上の媒体の任意の組合せが使用されてもよい。コンピュータで利用可能または読み取り可能な媒体は、例えば、電気的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外の、または半導体のシステム、機器、装置、または伝播媒体であってもよいが、これらに限られるものではない。コンピュータで読み取り可能な媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)は、次のものを含む。すなわち、1つ以上の配線を有する電気的接続、携帯式のコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯式のコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CDROM)、光記憶装置、インターネットやイントラネットを補助するような伝送媒体、または磁気記憶装置が含まれる。なお、コンピュータで利用可能または読み取り可能な媒体は、プログラムが印刷される紙またはその他の適当な媒体であってもよく、当該プログラムは、例えば当該紙またはその他の媒体の光学スキャンを通じて電気的に取り込まれ、必要に応じて適当な態様でコンパイル、解釈、または処理され、そしてコンピュータメモリに記憶されてもよい。本明細書の文脈において、コンピュータで利用可能または読み取り可能な媒体は、指令実行システム、機器、または装置による使用または連携のためのプログラムを含むかあるいは記憶する任意の媒体であってもよい。
【0069】
本開示の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、1つ以上のプログラミング言語を任意に組み合わせて記述されてもよい。1つ以上のプログラミング言語は、Java、Smalltalk、C++、C#などのオブジェクト指向プログラミング言語や、C言語または類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含むが、これらに限られるものではない。プログラムコードは、スタンドアロン型のソフトウェアパッケージとして、携帯型電子装置で全体的に実行されてもよいし、携帯型電子装置や冷凍装置で部分的に実行されてもよいし、携帯型電子装置や遠隔コンピュータで部分的に実行されてもよいし、または遠隔コンピュータもしくはサーバで全体的に実行されてもよい。後者の場合、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)や広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介して携帯型電子装置に接続されてもよいし、(例えば、インターネットサービスプロバイダを利用したインターネットを介して)外部のコンピュータに接続されてもよい。
【0070】
本発明またはその好ましい実施形態の要素を導入する場合、「a」、「an」、「the」、および「said」の冠詞は、当該要素が1つ以上存在することを意味する。「備える」、「含む」、および「有する」の語は、包括的であって、挙げられた要素以外の追加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0071】
上記より、本発明のいくつかの目的が達成されると共に、他の有利な結果が得られることがわかるだろう。
【0072】
本発明の範囲を逸脱することなく上述の物や方法に様々な変更が加えられてもよく、上述した全ての事柄は、説明のためのものであって、限定的な意味に解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】