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特開2022-118727内視鏡処置補助具用ストッパ、及びそれを用いた内視鏡処置補助具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118727
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】内視鏡処置補助具用ストッパ、及びそれを用いた内視鏡処置補助具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/29 20060101AFI20220805BHJP
   A61B 17/122 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
A61B17/29
A61B17/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014495
(22)【出願日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2021015311
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 浩
(72)【発明者】
【氏名】坂尻 雄一朗
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD02
4C160GG28
(57)【要約】
【課題】内視鏡処置補助具の誤った操作を防止することができる内視鏡補助具用ストッパを提供する。
【解決手段】本発明の内視鏡処置補助具用ストッパ100は、外筒シース3に係止されるシース側係止部103と、操作部6に係止される操作側係止部105と、シース側係止部103と操作側係止部105とを接続する接続部107と、を備える。シース側係止部103及び操作側係止部105の少なくとも何れか一方は係止を解除自在に構成されている。シース側係止部103が外筒シース3に係止され、且つ操作側係止部105が操作部6に係止された係止状態において、操作部6が外筒シース3に対して相対的に前進することを阻止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡処置具に係合可能な係合部と、
前記係合部が先端から突出可能に進退できる外筒シースと、
前記係合部の基端に接続され、且つ前記外筒シースの基端から後方へ露出した操作部と、
を備え、
前記操作部を前記外筒シースに対して相対的に後退させることにより、前記係合部の一部を前記外筒シースの中に収容して前記係合部を前記内視鏡処置具に係合させる内視鏡処置補助具に用いられる内視鏡処置補助具用ストッパであって、
前記外筒シースに係止されるシース側係止部と、
前記操作部に係止される操作側係止部と、
前記シース側係止部と前記操作側係止部とを接続する接続部と、
を備え、
前記シース側係止部及び前記操作側係止部の少なくとも何れか一方は係止を解除自在に構成され、
前記シース側係止部が前記外筒シースに係止され、且つ前記操作側係止部が前記操作部に係止された係止状態において、前記操作部が前記外筒シースに対して相対的に前進することを阻止することを特徴とする内視鏡処置補助具用ストッパ。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡処置補助具用ストッパであって、
前記シース側係止部及び前記操作側係止部は、何れも係止を解除自在に構成されていることを特徴とする内視鏡処置補助具用ストッパ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の内視鏡処置補助具用ストッパを備える内視鏡処置補助具であって、
前記外筒シースの基端には、前記外筒シースよりも大径の把持部が設けられ、
前記把持部の外周面には環状溝が形成され、
前記シース側係止部は、前記環状溝に嵌合されて、前記把持部を介して前記外筒シースに係止されていることを特徴とする内視鏡処置補助具。
【請求項4】
請求項3に記載の内視鏡処置補助具であって、
前記シース側係止部には、前記環状溝に嵌合する突出部に加えて、前記把持部の外周面に沿うガタ防止部が設けられていることを特徴とする内視鏡処置補助具。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の内視鏡処置補助具用ストッパであって、
前記接続部は、前記シース側係止部又は前記操作側係止部よりも幅が狭いことを特徴とする内視鏡処置補助具用ストッパ。
【請求項6】
請求項1又は請求項2又は請求項5に記載の内視鏡処置補助具用ストッパであって、
滑り止め部が設けられていることを特徴とする内視鏡処置補助具用ストッパ。
【請求項7】
請求項1又は請求項2又は請求項5又は請求項6に記載の内視鏡処置補助具用ストッパであって、
前記シース側係止部又は前記操作側係止部は、二股形状に構成され、且つ抜止部を備えていることを特徴とする内視鏡処置補助具用ストッパ。
【請求項8】
請求項1又は請求項2又は請求項5~7に記載の内視鏡処置補助具用ストッパであって、
前記シース側係止部又は前記操作側係止部は、先端に向かって次第に厚さが厚くなるように構成されていることを特徴とする内視鏡処置補助具用ストッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡処置補助具に用いられる内視鏡処置補助具用ストッパ、及びそれを用いた内視鏡処置補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外筒シースと、外筒シースに挿通された内筒シースと、内筒シース内に配設され先端部が内筒シースから突出する線状部材と、内筒シースを外筒シースに対して相対的に進退自在とする操作部とを備え、線状部材は、内筒シースから突出する先端部に環状部を備える内視鏡処置補助具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この内視鏡処置補助具は、内視鏡用クリップ装置を線状部材の先端部に備えられた環状部に挿通し、操作部を操作して環状部の大きさを絞る(窄ませる)ことにより内視鏡用クリップ装置に装着される。内視鏡用クリップ装置は、病変部を把持した後に内視鏡から分離される。
【0004】
この内視鏡処置補助具は、環状部により内視鏡用クリップ装置に装着されているので、内視鏡用クリップ装置が内視鏡から分離されたときには、操作部により内筒シース及び線状部材を基端側に牽引することができる。或いは、操作部により内筒シースに対して外筒シースを相対的に前進させて、内視鏡用クリップ装置に当接し、内視鏡用クリップ装置を先端側に押し込むことができる。
【0005】
この結果、この内視鏡処置補助具によれば、内視鏡下における視野を確保することができる一方、病変部を固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-153254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来は、内視鏡処置補助具の操作部を誤って操作してしまうと、内視鏡処置具が内視鏡処置補助具の先端から脱落してしまう虞があるため、慎重に利用する必要があった。
本発明は、以上の点に鑑み、内視鏡処置補助具の誤った操作を防止することができる内視鏡補助具用ストッパ、及びそれを用いた内視鏡処置補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]上記目的を達成するため、本発明の内視鏡処置補助具用ストッパは、
内視鏡処置具に係合可能な係合部と、
前記係合部が先端から突出可能に進退できる外筒シースと、
前記係合部の基端に接続され、且つ前記外筒シースの基端から後方へ露出した操作部と、
を備え、
前記操作部を前記外筒シースに対して相対的に後退させることにより、前記係合部の一部を前記外筒シースの中に収容して前記係合部を前記内視鏡処置具に係合させる内視鏡処置補助具に用いられる内視鏡処置補助具用ストッパであって、
前記外筒シースに係止されるシース側係止部と、
前記操作部に係止される操作側係止部と、
前記シース側係止部と前記操作側係止部とを接続する接続部と、
を備え、
前記シース側係止部及び前記操作側係止部の少なくとも何れか一方は係止を解除自在に構成され、
前記シース側係止部が前記外筒シースに係止され、且つ前記操作側係止部が前記操作部に係止された係止状態において、前記操作部が前記外筒シースに対して相対的に前進することを阻止することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、操作部を外筒シースに対して相対的に後退させることにより、係合部の一部を外筒シースの中に収容して係合部を内視鏡処置具に係合させた内視鏡処置補助具に、内視鏡処置補助具用ストッパを取り付けて、シース側係止部が外筒シースに係止され、且つ操作側係止部が操作部に係止された係止状態とすることにより、内視鏡処置補助具の係合部を内視鏡処置具に係合させた状態を維持させることができる。
【0010】
これにより、意図せずに操作部が外筒シースに対して相対的に前進することを内視鏡処置補助具用ストッパが阻止し、内視鏡処置具と内視鏡処置補助具の係合部との係合が意図せずに解除されることを防止することができる。
【0011】
[2]また、本発明の内視鏡処置補助具用ストッパの前記シース側係止部及び前記操作側係止部は、何れも係止を解除自在に構成することもできる。
【0012】
本発明によれば、シース側係止部及び操作側係止部がいずれも係止を解除自在に構成されているため、内視鏡処置補助具の設計変更を行うことなく既存の内視鏡処置補助具にも用いることができる。
【0013】
[3]また、本発明の内視鏡処置補助具においては、
前記外筒シースの基端には、前記外筒シースよりも大径の把持部が設けられ、
前記把持部の外周面には環状溝が形成され、
前記シース側係止部は、前記環状溝に嵌合されて、前記把持部を介して前記外筒シースに係止されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、操作部を外筒シースに対して相対的に後退させることにより、係合部の一部を外筒シースの中に収容して係合部を内視鏡処置具に係合させた内視鏡処置補助具に、内視鏡処置補助具用ストッパを取り付けて、シース側係止部が外筒シースに係止され、且つ操作側係止部が操作部に係止された係止状態とすることにより、内視鏡処置補助具の係合部を内視鏡処置具に係合させた状態を維持させることができる。
【0015】
これにより、意図せずに操作部が外筒シースに対して相対的に前進することを内視鏡処置補助具用ストッパが阻止し、内視鏡処置具と内視鏡処置補助具の係合部との係合が意図せずに解除されることを防止することができる。
【0016】
[4]また、本発明においては、前記シース側係止部には、前記環状溝に嵌合する突出部に加えて、前記把持部の外周面に沿うガタ防止部が設けられていることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、シース側係止部が把持部の外周面に沿うガタ防止部を有しているため、内視鏡処置補助具用ストッパが内視鏡処置補助具に対してガタつくことを防止することができる。
【0018】
[5]また、本発明の内視鏡処置補助具用ストッパにおいては、前記接続部は、前記シース側係止部又は前記操作側係止部よりも幅が狭く構成されていてもよい。
【0019】
[6]また、本発明においては、滑り止め部が設けられていてもよい。
【0020】
[7]また、本発明においては、前記シース側係止部又は前記操作側係止部は、二股形状に構成され、且つ抜止部を備えていてもよい。
【0021】
[8]また、本発明においては、前記シース側係止部又は前記操作側係止部は、先端に向かって次第に厚さが厚くなるように構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、発明の第1実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパを示す説明図である。
図2図2は、本実施形態の内視鏡処置補助具を一部断面で示す説明図である。
図3図3は、内視鏡処置補助具の他の実施形態を示す説明図である。
図4図4は、本実施形態の内視鏡処置補助具の使用方法を示す説明図である。
図5図5は、本実施形態の内視鏡処置具の使用方法を示す説明図である。
図6図6は、本実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパを示す説明図である。
図7図7は、本実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパのシース側係止部と、内視鏡処置補助具の把持部との嵌合状態を示す説明図である。
図8図8は、発明の第2実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパを示す説明図である。
図9図9は、発明の第3実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパを示す説明図である。
図10図10は、発明の第4実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパを示す説明図である。
図11図11は、第4実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパの操作側係止部と内視鏡処置補助具の操作部との係合状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図を参照して、発明の第1実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパを説明する。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパを備える内視鏡処置補助具1は、中空円筒状の把持部2を基端側に有する外筒シース3と、外筒シース3に挿通された内筒シース4と、内筒シース4内に配設された線状部材5と、把持部2の内面に沿って摺動自在とされた操作部6とを備えている。
【0025】
把持部2は、外筒シース3よりも大径であり、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等により形成されており、外筒シース3は、例えばポリエチレン樹脂等の剛性を備える材料からなるチューブにより形成されている。
【0026】
内筒シース4は、例えばテトラフルオロエチレン樹脂等の外筒シース3に対し摺動性に優れる材料により形成されており、内部にポリアミド樹脂等からなる線状部材5を一体的に備えている。内筒シース4及び線状部材5の基端側は把持部2内で操作手段である操作部6の先端側に接続されている。また、線状部材5は内筒シース4から突出する先端部に環状部7を備えている。
【0027】
操作部6は、例えばABS樹脂等からなり、円柱状体からなり先端側が把持部2内に配設される摺動部6aと、把持部2の外部で摺動部6aの基端側に接続され全体としてT字状を形成するレバー部6bとを備える。摺動部6aは把持部2の内周面との間にシリコーンゴム製のOリング6cを備えている。
【0028】
線状部材5は図3Aに示すように単一の円形状の環状部7を備えるものであってもよく、図3Bに示すように、基端側に設けられた円形状の第1の環状部7aと、先端側に設けられ第1の環状部7aより小径の円形状の第2の環状部7bとを備え、第2の環状部7bが基端側で第1の環状部7aの先端側に連通しているものであってもよい。
【0029】
また、線状部材5は図3Cに示すようにその先端部が後方に結び付けられ、結び目5aから先が環状部7となっていてもよい。この場合、結び目5aは線状部材5の長さ方向に沿って摺動自在であればどのような結び方になっていてもよい。本実施形態においては、環状部7が内視鏡処置補助具1の係合部に相当する。
【0030】
次に、本実施形態の内視鏡処置補助具1の使用方法について説明する。
【0031】
図4に示すように、内視鏡処置補助具1を使用するときには、まず、環状部7をクリップ装置11に装着する。クリップ装置11は、内視鏡の鉗子チャンネル(図示せず)に挿通される挿通部(図示せず)の先端に接続され、外筒管12と、外筒管12の先端に設けられたクリップ本体13とを備えている。本実施形態では、クリップ装置11が内視鏡処置具に相当する。
【0032】
クリップ本体13は、例えば板バネからなり、互いに離間する方向に付勢されている1対のアーム部14a,14bと、アーム部14a,14bの先端部に設けられた把持部15a,15bと、を備えている。アーム部14a,14bは基端側で連結されており、図4Aに仮想線示するように外筒管12を先端側に移動させることにより、アーム部14a,14bが互いに近接する方向に移動され、把持部15a,15bの間に病変部等を把持する。
【0033】
図3Aに示す単一の円形状からなる環状部7をクリップ装置11に装着する際には、まず、図4Aに示すように、アーム部14a,14bの一方、例えばアーム部14aを環状部7に挿通する。次いで、レバー部6bを引くことにより、図4Bに示すように、内筒シース4及び線状部材5に対して外筒シース3を相対的に前進させてアーム部14aに当接させる一方、外筒シース3の先端部を収納部として該収納部に内筒シース4及び環状部7を収納することにより、環状部7を窄ませてアーム部14aに固定して装着する。
【0034】
本実施形態の内視鏡処置補助具1では、環状部7をクリップ装置11に装着する操作を内視鏡を体腔内に挿入する前に体外で行うことができるが、内視鏡の把持鉗子で内視鏡処置補助具1を把持して体腔内に挿入し、又は、内視鏡の先端に装着されたカバー部材に環状部7を係合させてから体腔内に挿入して、内視鏡的に患部近傍まで案内した後、環状部7をクリップ装置11に装着することもできる。
【0035】
また、環状部7をクリップ装置11に装着する操作を内視鏡を体腔内に挿入する前に体外で行った場合には、クリップ装置11及びクリップ装置11に装着された環状部7を含む線状部材5を内視鏡用フード内に収容した状態で体腔内に挿入し、患部近傍まで案内することが好ましい。このようにすることにより、クリップ装置11により不用意に体腔内の組織等を傷つけることを防止することができる。
【0036】
次に、図5Aに示すように、クリップ装置11に環状部7が装着された内視鏡処置補助具1を内視鏡Eと一緒に、例えば食道等の消化管内に挿通し、病変部L近傍に案内する。消化管は、概ね、体腔側から順に粘膜、粘膜下層、筋層の3層からなり、病変部Lは粘膜にある。
【0037】
病変部Lを切除する際には、まず、病変部Lの周囲にマーキングを施し、次いで粘膜下層に対して局注を行うことにより病変部Lをポリープ状に盛り上げる。そして、内視鏡Eの鉗子チャンネルに備えられた高周波ナイフK等により、マーキングに沿って病変部Lの周囲の粘膜を切開する。図5Aは、病変部Lの周囲の粘膜が切開された状態を示す。
【0038】
次いで、高周波ナイフKにより病変部Lの下部の粘膜下層を切開することにより病変部Lを粘膜下層から剥離するが、剥離の進行に伴って病変部Lの可動性が増大し、内視鏡E下における視野が狭まり、特に剥離する部分の視界が妨げられるようになる。そこで、クリップ装置11を病変部Lに接近させ、次いで外筒管12を先端側に移動させることにより、図5Bに示すように、アーム部14a,14bの把持部15a,15bの間に病変部Lを把持させる。クリップ装置11に病変部Lを把持させたならば、次に、クリップ装置11を内視鏡Eから分離する。クリップ装置11の内視鏡Eからの分離は、例えば、クリップ装置11の基端部と前記挿通部との間に脆弱部を設けておき、該挿通部を基端側に引いて該脆弱部を破断させることにより行うことができる。
【0039】
内視鏡Eから分離されたクリップ装置11は、アーム部14aに装着された環状部7により、内視鏡処置補助具1により操作することができるようになる。そこで、図5Cに示すように内視鏡処置補助具1を操作して、病変部Lを内視鏡Eから離間する方向に牽引することにより、内視鏡Eの視野を確保することができる一方、病変部Lを固定することができるので、高周波ナイフKによる粘膜下層の切開を容易に行うことができる。
【0040】
また、内視鏡処置補助具1は、剛性を備える外筒シース3がクリップ装置11のアーム部14aに当接されているので、図5Dに示すように、必要に応じて外筒シース3ごと先端側に移動させ、クリップ装置11を先端側に押し込むことにより、病変部Lを内視鏡Eの先端から体腔の奥側に移動させることも可能である。
【0041】
この後、病変部Lの下部の粘膜下層の切開が完了し、病変部Lが剥離されたならば、内視鏡処置補助具1を操作することにより剥離された病変部Lを体外に取り出して回収することができる。
【0042】
尚、本実施形態では、クリップ装置11に環状部7が装着された内視鏡処置補助具1を内視鏡Eと一緒に食道等の消化管内に挿通する際に環状部7を窄ませるようにしているが、このようにすると内筒シース4が内視鏡Eの先端部と干渉することがある。そこで、環状部7を窄ませることなく、内視鏡処置補助具1を内視鏡Eと一緒に食道等の消化管内に挿通し、病変部L近傍に案内したのち、環状部7を窄ませるようにしてもよい。
【0043】
また、図5Bに示すようにクリップ装置11を内視鏡Eから分離した後、上述のように、内視鏡の把持鉗子で内視鏡処置補助具1を把持して体腔内に挿入し、内視鏡的に患部近傍まで案内した後、環状部7をクリップ装置11に装着する際には、アーム部14aに環状部7を装着する代わりに、内視鏡Eから分離されたクリップ装置11の基端部に装着するようにしてもよい。環状部7をクリップ装置11の基端部に装着する操作は、環状部7をアーム部14aに装着する場合と同様にして行うことができる。
【0044】
次に、第1実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパについて説明する。図1に示すように、内視鏡処置補助具用ストッパ100は、外筒シース3に係止されるシース側係止部103と、操作部6に係止される操作側係止部105と、シース側係止部103と操作側係止部105とを接続する接続部107と、を備えている。
【0045】
シース側係止部103は円形の貫通孔で構成されて外筒シース3の把持部2に係止され、操作側係止部105は操作部6との係止を解除自在となるように二股のフォーク形状に構成されている。本実施形態においては、操作側係止部105が操作部6に係止された係止状態において、操作部6が外筒シース3に対して相対的に前進することを阻止された状態となる。
【0046】
把持部2の外周面には環状溝2aが形成されている。シース側係止部103は、この環状溝2aに嵌合されて、把持部2を介して外筒シース3に係止されている。シース側係止部103には、環状溝2aに嵌合するために径方向内側へ環状に突出した突出部103aに加えて、把持部2の外周面に沿うように延びる環状のガタ防止部が設けられている。
【0047】
本実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパ100によれば、操作部6を外筒シース3に対して相対的に後退させることにより、環状部7(係合部)の一部を外筒シース3の中に収容して環状部7(係合部)をクリップ装置11(内視鏡処置具)に係合させた内視鏡処置補助具1に、内視鏡処置補助具用ストッパ100を設け、シース側係止部103が把持部2を介して外筒シース3に係止され、且つ操作側係止部105が操作部6に係止された係止状態とすることにより、内視鏡処置補助具1の環状部7(係合部)をクリップ装置11(内視鏡処置具)に係合させた状態を維持させることができる。
【0048】
これにより、意図せずに操作部6が外筒シース3に対して相対的に前進することを内視鏡処置補助具用ストッパ100が阻止し、クリップ装置11(内視鏡処置具)と内視鏡処置補助具1の環状部7(係合部)との係合が意図せずに解除されることを防止することができる。
【0049】
また、本実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパ100によれば、シース側係止部103が把持部2の外周面に沿うガタ防止部103bを有しているため、図7Aの領域Xに示すように、ガタ防止部103bの内周面が把持部2の外周面と面接触することにより、しっかりと抑えられ、内視鏡処置補助具用ストッパ100が内視鏡処置補助具に対してガタつくことを防止することができる。
【0050】
図7Bは比較例としてガタ防止部を設けなかった場合を示している。図7Bの領域Yに示すように、シース側係止部103が把持部2の環状溝2aの外縁と点接触してガタが発生してしまう。なお、本発明の内視鏡処置補助具用ストッパは、ガタ防止部を設けなくてもよく、これによっても、クリップ装置(内視鏡処置具)と内視鏡処置補助具の環状部(係合部)との係合が意図せずに解除されることを防止することができるという作用効果を得ることができる。
【0051】
なお、第1実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパ100では、操作側係止部105のみが操作部6との係止を解除自在に二股のフォーク形状に構成され、シース側係止部103の把持部2との係止は解除不能に構成されたものを説明した。
【0052】
しかしながら、発明の内視鏡処置補助具用ストッパはこれに限らず、例えば、図8の発明の第2実施形態に示すように、操作側係止部105が操作部6との係止を解除不能に構成され、シース側係止部103のみが把持部2との係止を解除自在となるように二股のフォーク形状に構成してもよい。
【0053】
又は、例えば、図9の発明の第3実施形態に示すように、シース側係止部103と操作側係止部105との両方が係止を解除自在となるように二股のフォーク形状に構成してもよい。この第3実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパ100によれば、シース側係止部103及び操作側係止部105がいずれも係止を解除自在に構成されており、シース側係止部103は、操作部6の摺動部6aに嵌合させて把持部2の基端縁と係止させるように構成することもできる。これにより、内視鏡処置補助具1に環状溝2aを設ける必要がなくなり、内視鏡処置補助具1の設計変更を行うことなく既存の内視鏡処置補助具1にも用いることができるようになる。
【0054】
図10及び図11を参照して、発明の内視鏡処置補助具用ストッパの第4実施形態を説明する。第4実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパ100では、シース側係止部103及び操作側係止部105の幅よりも接続部107の幅が小さくなっている。シース側係止部103及び操作側係止部105と接続部107とがつながる部分は、シース側係止部103及び操作側係止部105から接続部107に向かって緩やかに幅が小さくなるように構成されている。
【0055】
シース側係止部103及び操作側係止部105と接続部107とがつながる部分の外面には、複数の凸部で構成された滑り止め部109が夫々設けられている。また、シース側係止部103及び操作側係止部105の二股形状部分の摺動部6aと嵌合する部分には、シース側係止部103及び操作側係止部105が摺動部6aから脱落し難いように一対の凸部で構成された抜止部111が設けられている。
【0056】
また、図11に示すように、シース側係止部103及び操作側係止部105は、先端側に向かって厚さが厚くなるように構成されている。かかる構成によれば、接続部が大きく湾曲された状態でシース側係止部103及び操作側係止部105が摺動部6aに嵌合するような状態においても、図11中に点線で示すようにシース側係止部103及び操作側係止部105が外筒シース3の把持部2及び操作部6のレバー部6bに部分的な接触となることを防止し、シース側係止部103及び操作側係止部105を外筒シース3の把持部2及び操作部6のレバー部6bにしっかりと接触させることができる。
【0057】
第4実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパ100によれば、意図せずに操作部6が外筒シース3に対して相対的に前進することを阻止することができ、クリップ装置11(内視鏡処置具)と内視鏡処置補助具1の環状部7(係合部)との係合が意図せずに解除されることを防止することができる。
【0058】
なお、第4実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパ100においては、シース側係止部103及び操作側係止部105の幅よりも接続部107の幅が小さくなっているものを説明したが、発明の内視鏡処置補助具用ストッパはこれに限らず、例えば、シース側係止部103及び操作側係止部105の何れか一方の幅よりも接続部107の幅が小さくなっていてもよい。
【0059】
また、第4実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパ100においては、シース側係止部103及び操作側係止部105のいずれにも、抜止部111が設けられたものを説明したが、発明の内視鏡処置補助具用ストッパはこれに限らず、例えば、抜止部111は、シース側係止部103及び操作側係止部105の何れか一方にのみ設けられていてもよい。
【0060】
また、第4実施形態の内視鏡処置補助具用ストッパ100においては、シース側係止部103及び操作側係止部105のいずれもが、先端側に向かって厚さが厚くなるように構成されているものを説明したが、発明の内視鏡処置補助具用ストッパはこれに限らず、例えば、シース側係止部103及び操作側係止部105の何れか一方だけが先端側に向かって厚さが厚くなるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 内視鏡処置補助具
2 把持部
2a 環状溝
3 外筒シース
4 内筒シース
5 線状部材
6 操作部
6a 摺動部
6b レバー部
7 環状部(係合部)
11 クリップ装置(内視鏡処置具)
100 内視鏡処置補助具用ストッパ
103 シース側係止部
103a 突出部
103b ガタ防止部
105 操作側係止部
107 接続部
109 滑り止め部
111 抜止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11