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特開2022-118732培養した有機体を培養容器の間で移送するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118732
(43)【公開日】2022-08-15
(54)【発明の名称】培養した有機体を培養容器の間で移送するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220805BHJP
   C12M 1/24 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
C12M1/00 G
C12M1/24
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085212
(22)【出願日】2022-05-25
(62)【分割の表示】P 2018097075の分割
【原出願日】2018-05-21
(31)【優先権主張番号】62/509,719
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/692,520
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518178464
【氏名又は名称】豐蠅生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】曹家綱
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB11
4B029DG10
4B029GA02
4B029GB01
4B029GB02
4B029HA09
4B029HA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】培養した有機体を培養容器の間で移送するシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】移送システムは、第1または、第2の経路に沿って少なくとも1つの培養容器100を搬送する運搬システム、及び、第1と第2の運搬システムとの間に配設した交換ユニットを含む。培養容器は、少なくとも1つの開口103が、取り外し可能なカバー104で閉鎖されている管102を含み、カバーは、対象有機体が消費可能な物質を保持するレセプタクル106を含み、レセプタクルは、カバーを管上に据え付けた際に管の内部に封入されている。交換ユニットは、第1と第2の培養容器の間で第1のカバー及び第2のカバーを入れ替えるように動作可能であり、第1のカバーが第2の管上に据え付けられ、第2のカバーが第1の管上に据え付けられる。更に、培養した対象有機体を移送システムにより移送する方法も記載されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送システムであって、
第1の経路に沿って少なくとも1つの第1の培養容器を搬送する第1の運搬システムであって、前記第1の培養容器は、少なくとも1つの開口が、取り外し可能な第1のカバーで閉鎖されている第1の管を含み、前記第1のカバーは、対象有機体が消費可能な物質を保持する第1のレセプタクルを含み、前記第1のレセプタクルは、前記第1のカバーを前記第1の管上に据え付けた際に前記第1の管の内部に封入されている、第1の運搬システム、
第2の経路に沿って少なくとも1つの第2の培養容器を搬送する第2の運搬システムであって、前記第2の培養容器は、少なくとも1つの開口が、取り外し可能な第2のカバーで閉鎖されている第2の管を含み、前記第2のカバーは、対象有機体が消費可能な物質を保持する第2のレセプタクルを含み、前記第2のレセプタクルは、前記第2のカバーを前記第2の管上に据え付けた際に前記第2の管の内部に封入されている、第2の運搬システム、及び、
前記第1の運搬システムと前記第2の運搬システムとの間に配設した交換ユニット、を備え、
前記交換ユニットは、前記第1の培養容器と前記第2の培養容器との間で前記第1のカバー及び前記第2のカバーを入れ替えるように動作可能であり、
前記第1のカバーが前記第2の管上に据え付けられ、前記第2のカバーが前記第1の管上に据え付けられる、
移送システム。
【請求項2】
前記交換ユニットは、前記第1のカバー及び前記第2のカバーを移動させる一方で前記第1の管及び前記第2の管を固定したままにすることによって、又は前記第1の管及び前記第2の管を移動させる一方で前記第1のカバー及び前記第2のカバーを固定したままにすることによって、前記第1の管及び前記第2の管に対して前記第1のカバー及び前記第2のカバーを入れ替える、請求項1に記載の移送システム。
【請求項3】
前記交換ユニットは、前記第1の管及び前記第2の管に対して前記第1のカバー及び前記第2のカバーを交換するように動作可能な回転部を含む、請求項1又は2に記載の移送システム。
【請求項4】
前記交換ユニットは、前記回転部の枢動軸に対し2つの直径方向に反対側の位置で、前記回転部と接続した2つのアームを更に含み、前記2つのアームのそれぞれは、1つのカバーを1つの管に対して分離又は据え付けるように動作可能であり、前記回転部及び前記2つのアームは、前記第1のカバー及び前記第2のカバーを移動させる一方で前記第1の管及び前記第2の管を固定したままにするように回転可能である、請求項3に記載の移送システム。
【請求項5】
前記2つのアームのそれぞれは、1つのカバーを、前記カバー上に設けた把持部分で保持するように構成されている、請求項4に記載の移送システム。
【請求項6】
前記交換ユニットは、前記回転部の上に延在する2つのアームを更に含み、前記2つのアームのそれぞれは、1つのカバーを1つの管に対して分離又は据え付けるように動作可能であり、前記回転部は、前記第1の管及び前記第2の管を移動させる一方で前記第1のカバー及び前記第2のカバーを前記2つのアームによって固定したままにするように回転可能である、請求項3に記載の移送システム。
【請求項7】
前記交換ユニットの上流に、前記第1の運搬システムに隣接して配設した麻酔ユニットを更に備え、前記麻酔ユニットは、前記第1の培養容器の内部に封入した対象有機体に麻酔をかけるように動作可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項8】
前記麻酔ユニットは、前記第1のカバーとは反対側の前記第1の管の端部を通して麻酔物質を前記第1の培養容器に送出するように動作可能である、請求項7に記載の移送システム。
【請求項9】
前記第2の経路に隣接して配設した読取りユニット、及び前記第1の経路に隣接して配設した印刷ユニットを更に備え、前記読取りユニットは、前記第2の管上に据え付けた前記第1のカバー上のコードを読み取るように動作可能であり、前記印刷ユニットは、前記第1のカバー上で読み取ったコードに従って、前記第1の管上に据え付けた前記第2のカバー上の識別コードを印刷するように動作可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項10】
前記第1の運搬システムは、第1の回転プラットフォーム、前記第1の管及び前記第1のカバーから構成される前記第1の培養容器を前記第1の回転プラットフォームに送出する第1の容器供給部、並びに第1の容器排出部を含み、前記第1の回転プラットフォームは、前記第1の管を受け入れる少なくとも1つの第1のスロットを含み、前記第1の回転プラットフォームは、前記交換ユニットを通して前記第1の容器供給部から前記第1のスロット内に受け入れた前記第1の管を、前記第1の容器排出部に運搬するように動作可能であり、前記第2の運搬システムは、第2の回転プラットフォーム、前記第2の管及び前記第2のカバーから構成される前記第2の培養容器を前記第2の回転プラットフォームに送出する第2の容器供給部、並びに第2の容器排出部を含み、前記第2の回転プラットフォームは、前記第2の管を受け入れる少なくとも1つの第2のスロットを含み、前記第2の回転プラットフォームは、前記交換ユニットを通して前記第2の容器供給部から前記第2のスロット内に受け入れた前記第2の管を、前記第2の容器排出部に運搬するように動作可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項11】
前記第1の容器供給部及び前記第1の容器排出部のいずれかは、傾斜路又は運搬ベルトを含む、請求項10に記載の移送システム。
【請求項12】
前記第1の運搬システム及び前記第2の運搬システムはそれぞれ、前記第1の培養容器及び前記第2の培養容器を、前記第1のカバー及び前記第2のカバーのそれぞれが前記第1の管及び前記第2の管の上部にある状態で前記交換ユニットに向けて運ぶように動作可能である、請求項1から11のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項13】
気密室を更に含み、前記交換ユニットは、前記気密室の内部に配設され、前記第1の運搬システム及び前記第2の運搬システムはそれぞれ、前記第1の培養容器及び前記第2の培養容器を前記気密室内内に運搬するように動作可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項14】
培養した対象有機体を、移送システムを通して移送する方法であって、
対象有機体を封入する第1の培養容器を供給することであって、前記第1の培養容器は、2つの開口を2つの端部に有する第1の管、前記第1の管の前記2つの開口の一方を閉鎖する第1のカバー、並びに前記第1の管の前記2つの開口のもう一方を閉鎖する第1の通気栓を含み、前記第1のカバーは、有機体が消費可能な物質及び前記有機体の新たな世代を保持する第1のレセプタクルを含み、前記第1のレセプタクルは、前記第1の管の内部に封入されている、供給すること、
清潔な第2の培養容器を供給することであって、前記第2の培養容器は、2つの開口を2つの端部に有する第2の管、前記第2の管の前記2つの開口の一方を閉鎖する第2のカバー、並びに前記第2の管の前記2つの開口のもう一方を閉鎖する第2の通気栓を含み、前記第2のカバーは、前記有機体が消費可能な物質を保持する第2のレセプタクルを含み、前記第2のレセプタクルは、前記第2の管の内部に封入されている、供給すること、並びに、
前記第1のカバーが前記第2の管上に据え付けられ、前記第2のカバーが前記第1の管上に据え付けられるように、前記第1の培養容器と前記第2の培養容器との間で前記第1のカバー及び前記第2のカバーを入れ替えること、を含む、
方法。
【請求項15】
前記第1の管及び前記第2の管に対して前記第1のカバー及び前記第2のカバーを入れ替える前記ステップは、前記第1のカバー及び前記第2のカバーを移動させる一方で前記第1の管及び前記第2の管を固定したままにすることを含むか、又は前記第1の管及び前記第2の管を移動させる一方で前記第1のカバー及び前記第2のカバーを固定したままにすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の培養容器と前記第2の培養容器との間で前記第1のカバー及び前記第2のカバーを入れ替える前記ステップの前に、前記第1の培養容器の内部の前記対象有機体に麻酔をかけることを更に備える、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の培養容器の内部の前記対象有機体に麻酔をかける前記ステップは、前記第1のカバーとは反対側の前記第1の管の端部を通して麻酔物質を前記第1の培養容器に送出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の管上に据え付けた前記第1のカバー上のコードを読み取ること、及び、前記第1のカバー上で読み取った前記コードに従って、前記第1の管上に据え付けた前記第2のカバー上の識別コードを印刷すること、を更に含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養した有機体を培養容器の間で移送するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キイロショウジョウバエ(ミバエとしても公知)等のショウジョウバエ種は、遺伝子研究において広範に使用されており、生物学研究では一般的なモデル有機体である。ミバエの培養は、通常、バイアル又はボトル内で行われる。
長期間の間ミバエの貯蔵物を維持するために、ミバエの培養物は、周期的に新たなバイアル又はボトルに移送する必要がある。この移送工程は、数千の貯蔵物が関与する大規模な培養の場合、達成が困難である場合があり、各バイアル又はボトル内で培養した有機体は、汚染物質を混入させずに清潔な新しいバイアル又はボトルに移送しなければならず、そうでない場合には、培養した貯蔵物を変質させるおそれがある。
【0003】
いくつかの既存の装置は、この移送工程を促進するために、ロボット・アームを使用する場合がある。例えば、ミバエの培養物を1つのバイアルから新たなバイアルに移送する場合、移送工程は、ミバエを気絶させること、2つのバイアルを開放すること、ロボット・アームを使用して、それぞれの開口が互いに近くで接触するように2つのバイアルを配置すること、及びミバエを現在のバイアルから新たなバイアルに移送することを含む。
この手法は、例えば、汚染物質を混入させずに、又はバイアルの外側にミバエを落とさずにミバエを移送できるようにバイアルを適切に配置するために時間がかかり、高度な制御を必要とすることがあり、そうでない場合には、次に処理するバイアルを汚染するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、移送工程をより効率的に達成し、少なくとも上記の問題に対処するか又はこれらの問題を改善することができる設計が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、培養した有機体を培養容器の間で移送するシステム及び方法を記載する。
【0006】
実施形態によれば、本明細書に記載の移送システムは、第1の運搬システム、第2の運搬システム及び交換ユニットを含む。
第1の運搬システムは、第1の経路に沿って少なくとも1つの第1の培養容器を搬送することができ、第1の培養容器は、少なくとも1つの開口が、取り外し可能な第1のカバーで閉鎖されている第1の管を含み、第1のカバーは、対象有機体が消費可能な物質を保持する第1のレセプタクルを含み、第1のレセプタクルは、第1のカバーを第1の管上に据え付けた際に第1の管の内部に封入されている。第2の運搬システムは、第2の経路に沿って少なくとも1つの第2の培養容器を搬送することができ、第2の培養容器は、少なくとも1つの開口が、取り外し可能な第2のカバーで閉鎖されている第2の管を含み、第2のカバーは、対象有機体が消費可能な物質を保持する第2のレセプタクルを含み、第2のレセプタクルは、第2のカバーを第2の管上に据え付けた際に第2の管の内部に封入されている。交換ユニットは、第1の運搬システムと第2の運搬システムとの間に配設され、第1の培養容器と第2の培養容器との間で第1のカバー及び第2のカバーを入れ替えるように動作可能であり、第1のカバーが第2の管上に据え付けられ、第2のカバーが第1の管上に据え付けられるようにする。
【0007】
更に、本出願は、培養した対象有機体を、移送システムを通して移送する方法を提供する。
方法は、対象有機体を封入する第1の培養容器を供給すること、及び清潔な第2の培養容器を供給することを含む。第1の培養容器は、2つの開口を2つの端部に有する第1の管、第1の管の2つの開口の一方を閉鎖する第1のカバー、第1の管の2つの開口のもう一方を閉鎖する第1の通気栓を含み、第1のカバーは、有機体が消費可能な物質及び有機体の新たな世代を保持する第1のレセプタクルを含み、第1のレセプタクルは、第1の管の内部に封入されている。第2の培養容器は、2つの開口を2つの端部に有する第2の管、第2の管の2つの開口の一方を閉鎖する第2のカバー、第2の管の2つの開口のもう一方を閉鎖する第2の通気栓を含み、第2のカバーは、有機体が消費可能な物質及び有機体の新たな世代を保持する第2のレセプタクルを含み、第2のレセプタクルは、第2の管の内部に封入されている。方法は、第1のカバーが第2の管上に据え付けられ、第2のカバーが第1の管上に据え付けられるように、第1の培養容器と第2の培養容器との間で第1のカバー及び第2のカバーを入れ替えることを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】培養容器の一実施形態を示す側面図である。
図2図1に示す培養容器の分解図である。
図3図1に示す培養容器のカバーを示す側面図である。
図4】培養容器の変形構造を示す概略図である。
図5】培養容器の別の変形構造を示す側面図である。
図6】対象有機体の集団を培養し、維持するための、図1に示す培養容器の例示的使用を示す概略図である。
図7】培養容器の別の変形構造を示す概略斜視図である。
図8】対象有機体の集団を培養し、維持するための、図7に示す培養容器の例示的使用を示す概略図である。
図9】自動移送システムを示す簡略図であり、自動移送システムは、培養した対象有機体を複数の培養容器の間で移送するように動作可能である。
図10A】一実施形態を示す概略図であり、移送システムに最初に供給する、対象有機体を封入する培養容器は、図1に示すものと同様の構造を有する。
図10B】一実施形態を示す概略図であり、移送システムに最初に供給する清潔な培養容器は、図1に示すものと同様の構造を有する。
図11A】一実施形態を示す概略図であり、移送システムに最初に供給する、対象有機体を封入する培養容器は、図7に示すものと同様の構造を有する。
図11B】一実施形態を示す概略図であり、移送システムに最初に供給する清潔な培養容器は、図7に示すものと同様の構造を有する。
図12図9に示す移送システムの第1の運搬システムに設けた回転プラットフォームの一実施形態を示す概略斜視図である。
図13図9に示す移送システムに設けた受入れトレイを示す斜視図である。
図14図9に示す移送システムの第2の運搬システムに設けた回転プラットフォームの一実施形態を示す概略斜視図である。
図15図9に示す移送システムに設けた別の受入れトレイを示す斜視図である。
図16図9に示す移送システムに設けた麻酔ユニットの例示的構造を示す概略斜視図である。
図17図9に示す移送システムに設けた麻酔ユニットの変形例を示す概略斜視図である。
図18図9に示す移送システムに設けた交換ユニットを示す概略斜視図である。
図19図9に示す移送システムに設けた封止ユニットの構造の一例を示す概略図である。
図20図9に示す移送システムに設けた印刷ユニットを示す概略斜視図である。
図21】自動移送システム上で実行可能な方法ステップのフローチャートである。
図22A図10Aに示す最初の培養容器に対し適用した移送方法に従ってカバーを交換した後の培養容器を示す概略図である。
図22B図10Bに示す最初の培養容器に対し適用した移送方法に従ってカバーを交換した後の培養容器を示す概略図である。
図23A図11Aに示す最初の培養容器に対し適用した移送方法に従ってカバーを交換した後の培養容器を示す概略図である。
図23B図11Bに示す最初の培養容器に対し適用した移送方法に従ってカバーを交換した後の培養容器を示す概略図である。
図24A図22Aに示す培養容器を示す概略図であり、培養容器は、カバーに結合した封止膜を更に有する。
図24B図22Bに示す培養容器を示す概略図であり、培養容器は、カバーに結合した封止膜を更に有する。
図25】自動移送システムの一変形構造を示す概略平面図であり、自動移送システムは、培養した対象有機体を複数の培養容器の間で移送するように動作可能である。
図26図25に示す移送システムに設けた交換ユニットの構造の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で説明する実施形態では、培養容器、並びに培養容器内で成長させた対象有機体の移送を促進することができるシステム及び方法を提供する。図1は、培養容器100の一実施形態の側面図であり、図2は、培養容器100の分解図であり、図3は、培養容器100のカバー104を示す側面図である。
図1図3を参照する。培養容器100は、対象有機体の集団を培養し、維持するために使用することができる。培養容器100の内部で成長させ、維持することができる有機体の例は、限定はしないが、ミバエ等のショウジョウバエ種、又は実験モデルとして使用し得るあらゆる他の昆虫を含むことができる。培養容器100は、管102及び取り外し可能なカバー104を含むことができる。管102は、あらゆる適切な形状を有することができる。管102の形状の例は、限定はしないが、(図示のような)全体が円筒の形状、円錐台形状、角柱形状等を含むことができる。管102は、中空内部、並びに2つの開口103及び105を有し、2つの開口103及び105はそれぞれ、管102の中空内部と連通する2つの端部にある。培養容器100の内部に封入した対象有機体の観察を容易にするために、管102は、透明なガラス又はプラスチック等の透明材料から作製することができる。
【0010】
カバー104は、管102の開口103に据え付け、開口103から取り外すことが可能である。カバー104は、レセプタクル106及び入口ポート108を含むことができる。レセプタクル106は、カバー104の内側に、管102に面して配設することができ、栄養素、薬物等、対象有機体が消費可能な物質を保持するように構成することができる。構造の一例によれば、レセプタクル106は、基部表面110及び周囲壁112を含むことができ、基部表面110及び周囲壁112は、消費可能物質を受けるのに適した空洞114の境界を少なくとも部分的に定めるように互いに接続されている。カバー104を管102の開口103上に据え付け、閉鎖すると、レセプタクル106は、管102の内部に封入され、周囲壁112は、基部表面110から管102のもう一方の開口105に向けて突出する。
【0011】
カバー104を管102の開口103上に据え付け、閉鎖した際、入口ポート108は、管102の中空内部と連通する。流体物質は、カバー104を管102上に据え付けたまま、入口ポート108を通して培養容器100内に流すことができる。構造の一例によれば、管102の外側に対向するカバー104の外側は、側壁118を有する受入れ空洞116を含むことができ、入口ポート108は、カバー104を通して延在し、受入れ空洞116の側壁118上で開口し、カバー104の内側上のレセプタクル106の側で開口する。
例えば、入口ポート108は、図1及び図3に示すように、レセプタクル106の側に開口108Aを有することができる。これにより、入口ポート108は、受入れ空洞116と連通することができる。受入れ空洞116は、拡張したサイズを有することができ、流体物質を受入れ空洞116に流し、次に、入口ポート108を通して培養容器100の内部に入れることを促進するようにする。培養容器100の内部の入口ポート108及び/又は入口ポート108の開口108Aは、培養容器100の内部で培養した対象有機体が入口ポート108を通じて逃げないように十分に小さいものとすることができる。
【0012】
図1図3を参照する。カバー104は、受入れ空洞116に隣接して配設した1つ又は複数の封止受入れ表面を更に含むことができる。構造の一例によれば、2つの封止受入れ表面120及び122は、カバー104上に設けることができる。封止受入れ表面120及び122は、全体的に、互いに平行に、受入れ空洞116の外周囲に延在することができる。例えば、封止受入れ表面120及び122は、受入れ空洞116の側壁118から異なる高さで突出する突縁部分上に画定することができる。
一実施形態によれば、封止受入れ表面120及び122のそれぞれは、円環形状を有することができる。しかし、封止受入れ表面120及び122に対してあらゆる適切な形状を適用することができる。使用に際して、封止受入れ表面120及び122のそれぞれは、封止膜の結合を受け入れ、受入れ空洞116を閉鎖し、流体が、カバー104の入口ポート108を通して管102の中空内部に通らないようにすることができる。
【0013】
あらゆる適切な技法を、カバー104を管102に取り付けるために適用することができる。一実施形態によれば、カバー104は、カバー104と管102との間の締り嵌めによって管102に取り付けることができる。
例えば、図1及び図3を参照する。カバー104は、結合部分124を含むことができ、カバー104を据え付けて開口103を閉鎖すると、結合部分124は、管102の側壁表面と摩擦接触状態にすることができる。結合部分124は、例示的に、開口103に隣接する管102の内側表面領域と摩擦接触状態で開口103に挿入することができる。管102に対するカバー104の据付け及び取外しを容易にするために、カバー104と管102との間の摩擦接触は、カバー104の結合部分124上に設けた先細形状部で達成することができる。
【0014】
図4は、一変形構造を示す概略図である。カバー104は、カバー104と管102との間のねじ係合によって管102に取り付けることができる。
図4を参照する。カバー104は、ねじ部分128を有する結合部分126を含むことができ、管102は、開口103周りに延在する別のねじ部分130を有することができる。ねじ部分128及び130は、互いに係合してカバー104を管102に取り付けることができる。
【0015】
図1及び図4を参照する。カバー104を管102に据え付けたときに、管102の内側側壁表面とレセプタクル106との間に間隙Gがある場合があり、間隙Gは、レセプタクル106の高さ部に沿ってレセプタクル106の端部縁106Aまで延在する。管102及びレセプタクル106は、(特にレセプタクル106の端部縁106Aにおける)間隙Gが十分に小さく、培養した有機体が間隙G内を通らないように寸法決定することができる。
【0016】
図5は、一変形構成を示す側面図であり、管102’は、カバー104のレセプタクル106に隣接して先細部分102A’を有することができる。間隙Gは、先細部分102A’の内側側壁とレセプタクル106との間に画定することができる。先細部分102A’のために、間隙Gは、レセプタクル106の端部縁106Aに向かって次第に低減させることができる。このようにして、間隙Gは、端部縁106Aで最小であり、培養した有機体が通らないようにすることができる。
【0017】
図1図5を参照する。カバー104は、把持部分132を更に含むことができ、カバー104を管102に取り付けた際、把持部分132は、管102の外側表面から側方に突出することができる。把持部分132は、カバー104の外周に沿って連続的に延在することができるか、又はカバー104の周縁に局所的に突出することができる。把持部分132は、カバー104を管102に据え付け、管102から取り外すために、カバー104を握るのを容易にすることができる。
【0018】
再度図1及び図2を参照する。培養容器100は、通気栓136を更に含むことができ、通気栓136は、管102の開口105を閉鎖するために着脱可能に据え付けることができる。通気栓136は、培養した対象有機体が、管102の開口105を通して培養容器100から逃げないようにすることができる一方で、培養有機体が呼吸するために空気を通すことが可能である。
通気栓136は、通気性材料を含むことができる。通気栓136の材料の例は、限定はしないが、綿、通気性繊維、多孔性又は穿孔材料等を含むことができる。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によれば、本明細書に記載の培養容器100は、細長い形状を有する培養バイアルとして実施することができる。例えば、管102は、約5cmから約20cmの間の長さを有することができる。
管102は、例示的に、約0.5cmから約6cmの間の半径を更に有することができる。カバー104は、約1cmから約10cmの間の高さを有することができる。更に、カバー104は、約0.5cmから約6cmの間の半径を有することができる。
【0020】
しかし、培養容器100は、バイアル実施形態に限定されず、他の形態を取り得ることは理解されよう。例えば、本明細書に記載の培養容器100は、より大きな集団の対象有機体を成長させる培養ボトルとして実施することもできる。
【0021】
図6は、対象有機体Tの集団を培養し、維持するための、培養容器100の例示的使用を示す概略図である。
有機体Tの例は、限定はしないが、ミバエ又はあらゆる他の対象昆虫を含むことができる。培養容器100内に封入する有機体は、成体形、並びに卵、幼虫及び/又は蛹等の非成体形を含むことができる。培養容器100を使用して、対象有機体Tの集団を培養することができ、カバー104は、管102の開口103を閉鎖し、通気栓136は、カバー104とは反対側の管102の開口105を閉鎖する。カバー104のレセプタクル106は、培養容器100内部で成長させ、封入した対象有機体Tが消費可能な物質138を保持することができる。消費可能物質138は、限定はしないが、栄養素、薬物等を含むことができる。更に、カバー104のレセプタクル106は、対象有機体の新たな世代T’を受けることができ、新たな世代T’には、限定はしないが、卵、幼虫及び/又は蛹等の有機体の非成体形を含むことができる。
例えば、対象有機体の新たな世代T’は、消費可能物質138及び/又はレセプタクル106の壁112に付着させることができる。更に、封止膜140は、2つの封止受入れ表面120及び122の一方(例えば、図示の封止受入れ表面120)に結合し、望ましくない物質又は汚染物質がカバー104の入口ポート108を通して培養容器100内部に導入されないようにすることができる。通気栓136を通して培養容器100に空気を通すことを促進するために、培養容器100は、対象有機体Tを培養する間、カバー104を底にし、通気栓136を上部にした状態で配設することができる。
【0022】
図7は、培養容器100’の別の変形構成を示す概略図である。
図7を参照する。培養容器100‘は、上述の実施形態と同様の構成を有することができ、2つの端部における2つの開口103及び105を有する管102、開口103を閉鎖することができる取り外し可能カバー104’、並びにもう一方の開口105を閉鎖することができる通気栓136を含む。管102は、開口105に近接して設けた内側突縁160を有することができる。管102の開口105を閉鎖する通気栓136は、内側突縁160に接触することができ、これにより、通気栓136を停止し、管102内に過剰に移動しないようにすることができる。
カバー104’は、上述の実施形態と非常に類似しているが、入口ポート108を有さない。より詳細には、カバー104’は、培養する対象有機体が消費可能な物質を保持するレセプタクル106を含むことができる。レセプタクル106は、カバー104’の内側に、管102に面して配設することができ、上述の実施形態のような構造を有することができる。更に、カバー104’は、レセプタクル106及び把持部分132と隣接して接続した絞り部分162を含むことができる。絞り部分162は、把持部分132よりもサイズが細く、絞り部分162の円周表面には、複数の突出リブ164を設けることができる。
構造の一例によれば、レセプタクル106、把持部分132、絞り部分162及びリブ164を含むカバー104’は、一体に単一部品として形成することができる。カバー104’は、リブ164が開口103の縁に接触した状態で管102に部分的に挿入することができ、これにより、絞り部分162及びリブ164は、管102の外側に少なくとも部分的に露出させることができる。リブ164と開口103の縁との接触により、カバー104’が適切な位置で停止して管102の開口103を閉鎖し、更に、カバー104’の据付け及び取外しを促進することを保証することができる。
【0023】
図8は、対象有機体Tの集団を培養し、維持するための、培養容器100’の例示的使用を示す概略図である。
培養容器100’を使用して、対象有機体Tの集団を培養することができ、カバー104’は、管102の開口103を閉鎖し、通気栓136は、カバー104’とは反対側の管102の開口105を閉鎖する。
カバー104’のレセプタクル106は、培養容器100’内部で成長させ、封入した対象有機体Tが消費可能な物質138を保持することができる。更に、カバー104’のレセプタクル106は、対象有機体の新たな世代T’を受けることができ、新たな世代T’には、限定はしないが、卵、幼虫及び/又は蛹等の有機体の非成体形を含むことができる。例えば、対象有機体の新たな世代T’は、消費可能物質138及び/又はレセプタクル106の壁112に付着させることができる。通気栓136を通して培養容器100’に空気を通すことを促進するために、培養容器100’は、対象有機体Tを培養する間、カバー104’を底にし、通気栓136を上部にした状態で配設することができる。
【0024】
上述の培養容器100又は100’内部である時間期間にわたって対象有機体Tを培養する際、有機体の新たな世代T’及び死んだ有機体は、培養容器100又は100’の内部に堆積することがある。したがって、対象有機体Tの培養を継続するために、新たな培養容器への移送が必要となることがある。
【0025】
図9は、自動移送システム200を示す簡略図である。
自動移送システム200は、複数の培養容器100Aと100Bとの間で培養した対象有機体を移送するように動作可能である。培養容器100A及び100Bのそれぞれは、同じ構造を有することができ、既に説明した培養容器100及び100’のいずれかとすることができる。
図10A及び図10Bは、培養容器100A及び100Bが図1に示す培養容器100と同様の構造である一実施形態を示す概略図であり、図10Aは、移送システム200に最初に供給される1つの培養容器100Aの一例を示す概略図であり、図10Bは、移送システム200に最初に供給される1つの培養容器100Bの一例を示す概略図である。
図10Aを参照する。最初に供給される培養容器100Aのそれぞれは、例示的にはミバエ又は他の昆虫とすることができる対象有機体Tの培養物を含む。最初の培養容器100Aは、一方の端部ではカバー104Aで閉鎖され、もう一方の端部では通気栓136で閉鎖されている管102Aを含む。カバー104Aは、既に説明したカバー104と同じ構造を有することができ、入口ポート108、及び培養容器100Aの管102Aの内部に受け入れるレセプタクル106を含むことができる。カバー104Aのレセプタクル106は、対象有機体Tが消費可能な物質138(例えば栄養素、薬物等を含む)、及び対象有機体Tの新たな世代T’を保持することができ、対象有機体Tの新たな世代T’には、卵、幼虫及び/又は蛹等の有機体の非成体形を含むことができる。
【0026】
図10Bを参照する。最初に供給される培養容器100Bのそれぞれは、有機体の培養物を含有しない清潔な培養容器である。同様に、最初の培養容器100Bは、一方の端部ではカバー104Bで閉鎖され、もう一方の端部では通気栓136で閉鎖されている管102Bを含む。
カバー104Bは、既に説明したカバー104と同じ構造を有することができ、入口ポート108、及び培養容器100Bの内部に受け入れるレセプタクル106を含むことができる。カバー104Bのレセプタクル106は、対象有機体が消費可能な物質138を保持することができる。
【0027】
図11A及び図11Bは、移送システム200で処理する培養容器100A及び100Bが、図7に示す培養容器100’と同様の構造である別の実施形態を示す概略図であり、図11Aは、移送システム200に最初に供給される1つの培養容器100Aの一例を示す概略図であり、図11Bは、移送システム200に最初に供給される1つの培養容器100Bの一例を示す概略図である。
図11Aを参照する。最初に供給される培養容器100Aのそれぞれは、例示的にはミバエ又は他の昆虫とすることができる対象有機体Tの培養物を含む。最初の培養容器100Aは、一方の端部ではカバー104Aで閉鎖され、もう一方の端部では通気栓136で閉鎖されている管102Aを含む。
カバー104Aは、図7及び図8を参照して既に説明したカバー104’と同じ構造を有することができ、培養容器100Aの管102Aの内部に受け入れるレセプタクル106を含むことができる。カバー104Aのレセプタクル106は、対象有機体Tが消費可能な物質138(例えば栄養素、薬物等を含む)、及び対象有機体Tの新たな世代T’を保持することができ、対象有機体Tの新たな世代T’には、卵、幼虫及び/又は蛹等の有機体の非成体形を含むことができる。
【0028】
図11Bを参照する。最初に供給される培養容器100Bのそれぞれは、有機体培養物を含有しない清潔な培養容器である。同様に、最初の培養容器100Bは、一方の端部ではカバー104Bで閉鎖され、もう一方の端部では通気栓136で閉鎖されている管102Bを含む。カバー104Bは、既に説明したカバー104’と同じ構造を有することができ、培養容器100Bの内部に受け入れるレセプタクル106を含むことができる。カバー104Bのレセプタクル106は、対象有機体が消費可能な物質138を保持することができる。
【0029】
図9を参照する。自動移送システム200の一実施形態は、2つの運搬システム202及び204、麻酔ユニット206、交換ユニット208、読取りユニット214、印刷ユニット216、並びに2つの検査ユニット218及び220を含むことができる。
【0030】
運搬システム202は、搬送経路P1を画定することができ、搬送経路P1に沿って、培養容器100Aを処理のために運搬することができる。一実施形態によれば、運搬システム202は、容器供給部222、回転プラットフォーム224及び容器排出部226を含むことができる。
容器供給部222は、傾斜路又は運搬ベルトを含むことができ、培養容器100Aを一列に搬送することができる。容器供給部222は、最初に供給される各培養容器100Aを、カバー104Aが管102Aの上部にある状態で回転プラットフォーム224に送出することができる。
【0031】
一実装形態によれば、培養容器100Aは、各培養容器100Aのカバー104Aが培養容器100Aの管102Aの上部にあるように手作業で配置することができる。別の実装形態によれば、機械装置を運搬システム202の前に設け、各培養容器100Aのカバー104Aが管102Aの上部にあるように培養容器100Aを裏返すことができる。例えば、培養容器100Aは、最初に、支持枠上に置くことができ、裏返しユニット201(例えばロボット・アームを含む)は、支持枠及び支持枠上に置いた培養容器100Aを裏返すように設けることができ、各培養容器100Aのカバー104Aが管102Aの上部にあるようにする。
【0032】
図9図10A及び図11Aに関連して、図12は、回転プラットフォーム224を示す概略斜視図である。
図9図10A図11A及び図12を参照する。回転プラットフォーム224は、固定基部228、及び固定基部228と枢動接続した回転板230を含むことができる。固定基部228は、回転板230の周囲に延在する側壁232を含むことができ、開口234を有し、開口234を通して、培養容器を回転プラットフォーム224に載せる及び/又は回転プラットフォーム224から降ろす。
回転板230は、円に沿って互いに離間して配設した複数のスロット236を有することができる。スロット236は、1つの培養容器100A、特に培養容器100Aの管102Aを受け入れるように成形、サイズ決定することができる。各培養容器100Aの管102Aは、開口234を通して回転板230の1つのスロット236に載せることができ、次に、回転板230は、回転し、スロット236内に置いた管102Aを搬送経路P1の弓形部分に沿って、容器供給部222から交換ユニット208を通して容器排出部226まで運搬することができる。
【0033】
容器排出部226は、傾斜路又は運搬ベルトを含むことができる。容器排出部226は、搬送経路P1に沿った交換ユニット208の下流に配設し、処理済み培養容器100A’を回転プラットフォーム224から受入れトレイ240に向けて運搬することができる。
【0034】
図13は、受入れトレイ240を示す斜視図である。
トレイ240は、処理済み培養容器100A’を受け入れるらせん軌道241を含むことができる。処理済み培養容器100A’は、受入れトレイ240の開口241Aを通して進むように押され、一時的な貯蔵のためのらせん軌道241に入る。らせん軌道241の形状は、容器排出部226からの処理済み培養容器100A’の排出を容易にすることができる。
【0035】
図9を再度参照する。運搬システム204は、搬送経路P2を画定することができ、搬送経路P2に沿って、培養容器100Bを処理のために運搬することができる。一実施形態によれば、運搬システム204は、運搬システム202と構造が同様であってもよく、容器供給部242、回転プラットフォーム244及び容器排出部246を含むことができる。容器供給部242は、傾斜路又は運搬ベルトを含むことができ、培養容器100Bを一列に搬送することができる。容器供給部242は、各培養容器100Bを、カバー104Bが管102Bの上部にある状態で回転プラットフォーム244に送出することができる。
【0036】
図9図10B及び図11Bに関連して、図14は、回転プラットフォーム244を示す概略斜視図である。
図9図10B図11B及び図14を参照する。回転プラットフォーム244は、固定基部248、及び固定基部248と枢動接続した回転板250を含むことができる。固定基部248は、回転板250の周囲に延在する側壁252を含むことができ、開口254を有し、開口234を通して、培養容器を回転プラットフォーム244に載せる及び/又は回転プラットフォーム224から降ろす。
回転板250は、円に沿って互いに離間して配設した複数のスロット256を有することができる。スロット256は、1つの培養容器100B、特に培養容器100Bの管102Bを受け入れるように成形、サイズ決定することができる。各培養容器100Bの管102Bは、開口254を通して回転板250の1つのスロット256に載せることができ、次に、回転板250は、回転し、スロット256内に置いた管102Bを搬送経路P2の弓形部分に沿って、容器供給部242から交換ユニット208を通して容器排出部246まで運搬することができる。
【0037】
図9を参照する。容器排出部246は、傾斜路又は運搬ベルトを含むことができる。容器排出部246は、搬送経路P2に沿った交換ユニット208の下流に配設し、処理済み培養容器100B’を回転プラットフォーム244から受入れトレイ258に向けて運搬することができる。
【0038】
図15は、受入れトレイ258を示す斜視図である。
トレイ258は、受入れトレイ240と同様であってもよく、処理済み培養容器100B’を受け入れるらせん軌道259を含むことができる。処理済み培養容器100B’は、受入れトレイ258の開口259Aを通して進むように押され、一時的な貯蔵のためのらせん軌道259に入る。らせん軌道259の形状は、容器排出部246からの処理済み培養容器100B’の排出を容易にすることができる。
【0039】
図9を参照する。麻酔ユニット206は、運搬システム202に隣接して、交換ユニット208の上流に搬送経路P1に沿って配設することができる。麻酔ユニット206は、各培養容器100A内部に封入した対象有機体Tに麻酔をかけるように動作可能である。より具体的には、麻酔ユニット206は、供給する培養容器100Aが図10Aに示す構造を有する場合、カバー104A上に設けた入口ポート108を通して、又は供給する培養容器100Aが図11Aに示す構造を有する場合、通気栓136を通して、各培養容器100A内に麻酔物質を送出することができる。次に、大部分は成体形である、麻酔済み有機体の一部分は、例えば重力作用によって、通気栓136に落とすことができる。
【0040】
図9に関連して、図16は、麻酔ユニット206の一部分を示す概略斜視図である。麻酔ユニット206は、図10Aに示すカバー104Aを通して培養容器100Aに麻酔物質を導入するように構成されている。
図9図10A及び図16を参照する。一実施形態によれば、麻酔ユニット206は、固定支持枠260、並びに互いに接続したノズル262及び導管264を含むことができる。麻酔物質、例えば二酸化炭素は、導管264に沿ってノズル262に流すことができる。ノズル262は、下方に向けることができ、上方及び下方への移動のために、固定枠260に可動接続することができる。ノズル262は、培養容器100Aに隣接する下側位置まで下方に移動させ、カバー104Aを通して培養容器100Aの内部に入れる麻酔物質の送出を促進し、上方位置に上方移動させ、培養容器100Aを置き換えるために通路を空けることができる。
【0041】
図10Aに示す実施形態を参照する。麻酔ユニット206で処理した培養容器100Aは、封止膜150を有することができ、封止膜150は、カバー104A(例えばカバー104Aの封止受入れ表面120)に結合され、流体が入口ポート108を通して培養容器100Aの中空内部に通らないようにする。一実施形態によれば、麻酔ユニット206のノズル262は、麻酔物質を培養容器100Aに送出する前に封止膜150を突き刺すように構成した形状部を更に含むことができる。
【0042】
図9に関連して、図17は、麻酔ユニット206の一部分を示す概略斜視図であり、麻酔ユニット206は、図11Aに示す通気栓136を通して培養容器100Aに麻酔物質を導入するように構成されている。図17に示す麻酔ユニット206は、図16に示す麻酔ユニットと非常に類似しており、固定支持枠260、並びに互いに接続したノズル262及び導管264を含む。
図17に示す実施形態では、ノズル262は、上方に向けることができ、上方及び下方への移動のために、固定枠260に可動接続することができる。より詳細には、ノズル262は、培養容器100Aに隣接する上側位置まで上方に移動させ、通気栓136を通して培養容器100Aの内部に入れる麻酔物質の送出を促進し、下方位置に下方移動させ、培養容器100Aを置き換えるために通路を空けることができる。
【0043】
実装形態の一例によれば、麻酔ユニット206は、図9に示すように、回転プラットフォーム224に隣接して配設することができる。麻酔物質を培養容器100Aに導入した後、回転プラットフォーム224は、培養容器100Aを麻酔ユニット206から離し、交換ユニット208に向けて運搬することができる。
【0044】
図9に関連して、図18は、交換ユニット208の一実施形態を示す概略斜視図である。
図9及び図18を参照する。交換ユニット208は、搬送経路P1に沿って、2つの運搬システム202と204との間で、麻酔ユニット206の下流に配設することができ、2つの運搬システム202及び204はそれぞれ、カバー104A及び104Bがそれぞれ管102A及び102Bの上部にある状態で、培養容器100A及び104Bを交換ユニット208に向けて運ぶ。
交換ユニット208は、2つの培養容器100Aと100Bとの間でカバー104A及び104Bを入れ替えるように動作可能であり、培養容器100Aの管102Aに最初に取り付けたカバー104Aが、最初に供給される培養容器100Bの管102Bに取り付けられるようになり、培養容器100Bの管102Bに最初に取り付けたカバー104Bが、最初に供給される培養容器100Aの管102Aに取り付けられるようにする。より具体的には、交換ユニット208は、2つの管102A及び102Bから2つのカバー104A及び102Bをそれぞれ分離し、2つのカバー104A及び104Bを2つの管102A及び102Bに対して交換し、カバー104Aを管102Bに取り付け、カバー104Bを管102Aに取り付けるように動作可能とすることができる。
【0045】
一実施形態によれば、交換ユニット208は、回転部266及び2つのアーム268を含むことができる。回転部266は、例示的に、支持ステム270、及び互いに固定接続した横向きバー272を含むことができる。支持ステム270は、枢動軸R周りに回転可能とすることができ、横向きバー272は、枢動軸Rに実質的に直交して延在することができる。
2つのアーム268は、回転部266の枢動軸Rに対し2つの直径方向に反対側の位置で、回転部266の横向きバー272に取り付けることができる。2つのアーム268はそれぞれ、2つのカバー104A及び104Bを、その把持部分132で握り、保持するように構成することができる。2つのアーム268のそれぞれは、1つの管102A又は102Bに対して1つのカバー104A又は104Bを分離又は取り付けるように動作可能であり、回転部266は、2つのカバー104A及び104Bを2つの管102A及び102Bに対して交換するように回転可能である。
【0046】
実装形態の一例によれば、枢動軸R周りの回転に加えて、回転部266及び2つのアーム268は、更に、枢動軸Rに沿って同時に摺動可能とすることができる。回転部266及び2つのアーム268はそれぞれ、枢動軸Rに沿って上方に摺動し、管102A及び102Bに対してカバー104A及び104Bを分離し、枢動軸R周りに回転させ、2つの管102A及び102Bに対して2つのカバー104A及び104Bを移動、交換することができ、2つの管102A及び102Bはそれぞれ、回転プラットフォーム224及び244上に固定されたままであり、次に、下方に摺動し、カバー104Aを管102Bに取り付け、カバー104Bを管102Aにそれぞれ取り付ける。
【0047】
図9を再度参照する。交換ユニット208で2つのカバー104A及び104Bを交換した後、各培養容器100Aは、カバー104Bを管102Aに取り付けたものから構成される培養容器100A’になり、各培養容器100Bは、カバー104Aを管102Bに取り付けたものから構成される培養容器100B’になる。培養容器100A’は、更なる下流の処理のために、運搬システム202によって搬送経路P1に沿って更に搬送することができる一方で、培養容器100B’は、更なる下流の処理のために、運搬システム204によって搬送経路P2に沿って更に搬送することができる。
【0048】
図9を参照する。移送システム200に最初に供給される培養容器100A及び100Bのそれぞれのカバー104A及び104Bは、図10A及び図10Bに示すような構造を有し、移送システム200は、2つの封止ユニット210及び212を更に含むことができる。
封止ユニット210は、搬送経路P1に沿って交換ユニット208の下流に、回転プラットフォーム224に隣接して配設することができ、封止ユニット212は、搬送経路P2に沿って交換ユニット208の下流に、回転プラットフォーム244に隣接して配設することができる。封止ユニット210は、管102Aに取り付けたカバー104B(例えばカバー104Bの封止受入れ表面120)上に封止膜を結合することができ、封止ユニット212は、管102Bに取り付けたカバー104A(例えばカバー104Aの封止受入れ表面122)上に別の封止膜を結合することができる。
【0049】
図9に関連して、図19は、封止ユニット210及び212のそれぞれに対する構造の一例を示す概略図である。
封止ユニット210及び212のそれぞれは、送りドラム274、巻取りドラム276及び加熱器278を含むことができる。封止膜279のロールは、送りドラム274の周りに巻き付け、巻取りドラム276と接続することができる。巻取りドラム276を回転させて封止膜279を送りドラム274から巻き出すことができ、加熱器278は、カバー104A又は104Bの封止受入れ表面120又は122上に封止部を熱結合するように動作することができる。
【0050】
図9を再度参照する。読取りユニット214は、交換ユニット208の下流に、搬送経路P2に隣接して配設することができる。読取りユニット214の例は、走査デバイスを含むことができる。読取りユニット214は、培養容器100B’の管102Bに取り付けたカバー104A上の識別コードを読み取ることができる。読取りユニット214によって取得した識別コードは、管102A及びカバー104Aから構成される培養容器100A内で最初に飼育した対象有機体Tに関する情報を含むことができる。
【0051】
印刷ユニット216は、交換ユニット208の下流に、搬送経路P1に隣接して配設することができる。印刷ユニット216は、読取りユニット214によってカバー104A上で読み取ったコードに従って、培養容器100A’の管102Aに取り付けたカバー104B上の識別コードを印刷することができる。識別コードは、対象有機体Tに関する記述、移送日及び他の有用な情報等の情報を含むことができる。このようにして、培養した対象有機体Tの一連の移送を適切に追跡することができる。
【0052】
図9に関連して、図20は、印刷ユニット216を示す概略斜視図である。
印刷ユニット216は、画面280及び印刷ガン282を含むことができる。画面280は、印刷ユニット216に関する様々な情報又は設定を表示することができる。印刷ユニット216は、読取りユニット214によって読み取った、管102Bに取り付けたカバー104A上のコードに対応するデータを受信することができ、管102Aに取り付けたカバー104B上の対応する識別コードを、印刷ガン282を介して印刷することができる。
【0053】
図9を再度参照する。検査ユニット218及び220は、走査デバイスを含むことができる。検査ユニット218は、印刷ユニット216の下流に、搬送経路P1に沿って、回転プラットフォーム224に隣接して、例えば容器排出部226の前に配設することができる。検査ユニット220は、読取りユニット214の下流に、搬送経路P2に沿って、回転プラットフォーム244に隣接して、例えば容器排出部246の前に配設することができる。
検査ユニット218及び220はそれぞれ、管102Aに取り付けたカバー104B上の情報、及び管102Bに取り付けたカバー104A上の情報を読み取り、容器排出部226及び246を介して受入れトレイ240及び258に向けて培養容器100A’及び100B’を排出する前にこれらの情報が一致していることを検証することができる。
【0054】
自動移送システム200において、2つの培養容器100Aと100Bとの間のカバー104A及び104Bの交換は、密閉環境内で実施することができ、汚染物質が培養容器内に導入されないようにする。
図9を参照する。密閉環境は、例示的に、気密室284によって設けることができ、気密室284は、運搬システム202及び204(回転プラットフォーム224及び244を含む)、麻酔ユニット206、交換ユニット208、封止ユニット210及び212、読取りユニット214、並びに検査ユニット218及び220を少なくとも部分的に封入することができる。気密室284は、容器排出部226、容器供給部222、容器供給部242及び容器排出部246がそれぞれ通過する複数の開口284A、284B、284C及び284Dを含むことができる。このようにして、運搬システム202及び204はそれぞれ、気密室284から出し入れして培養容器を運搬することができる。気密室284は、外側環境の圧力よりも高い内圧を維持し、気密室284に汚染物質が導入されないようにすることができる。
【0055】
図9図20に関連して、図21は、培養容器100Aから培養容器100Bに対象有機体Tを移送する自動移送システム200によって実行可能な方法ステップのフローチャートである。
培養容器100A及び100Bは、図10A及び図10Bに示すか、又は図11A及び図11Bに示すようなものとすることができる。最初のステップ302では、対象有機体Tを封入する培養容器100Aを運搬システム202上に供給することができる。対象有機体Tの例は、限定はしないが、ミバエ又は他の昆虫を含むことができる。各培養容器100A内に封入する対象有機体Tは、成体形、並びに卵、幼虫及び/又は蛹等の非成体形を含むことができる。
全ての培養容器100Aは、同じ構造を有することができ、図10A又は図11Aに示すものとすることができる。したがって、各培養容器100Aは、管102A、管102Aの開口103を閉鎖するカバー104A、及び管102Aの開口105を閉鎖する通気栓136を含むことができる。カバー104Aのレセプタクル106は、管102Aの内部に封入され、対象有機体Tのための消費可能物質138、及び有機体の新たな世代T’を保持し、有機体の新たな世代T’には、限定はしないが、卵、幼虫及び/又は蛹等の有機体の非成体形を含むことができる。培養容器100Aは、カバー104Aが管102Aの上部にある状態で運搬システム202上に設けることができる。
【0056】
ステップ304において、清潔な培養容器100Bを運搬システム204上に供給することができる。全ての培養容器100Bは、同じ構造を有することができ、図10B又は図11Bに示すものとすることができる。最初に供給する清潔な培養容器100Bは、培養有機体を封入していない滅菌容器とすることができる。
各培養容器100Bは、管102B、管102Bの開口103を閉鎖するカバー104B、及び管102Bの開口105を閉鎖する通気栓136を含むことができる。カバー104Bのレセプタクル106は、管102Bの内部に封入され、対象有機物Tのための消費可能物質138を保持することができる。培養容器100Bは、カバー104Bが管102Bの上部にある状態で運搬システム204上に供給することができる。
【0057】
ステップ306において、麻酔ユニット206は、カバー104A上に設けた入口ポート108を通して、又は通気栓136を通して、麻酔物質(例えば二酸化炭素)を送出することによって、各培養容器100Aの内部に封入した対象有機体Tに麻酔をかけることができる。例えば、図10Aに示すように、カバー104Aが入口ポート108を備える一実施形態では、麻酔ユニット206のノズル262は、カバー104A上の封止膜150を突き刺し、次に、入口ポート108を通して培養容器100Aの内部に麻酔物質を送出することができる。
図11Aに示すように、カバー104Aが入口ポート108を有さない一実施形態では、麻酔ユニット206のノズル262は、カバー104Aの反対側の管102Aの端部で通気栓136を通して管102Aを貫通することができ、次に、培養容器100Aの内部に麻酔物質を送出することができる。麻酔ユニット206は、培養容器100Aを気密室284内に運搬した後、回転プラットフォーム224に隣接する位置で各培養容器100A内に麻酔物質を送出することができる。したがって、特に成体形である、麻酔済み有機体Tの一部分は、例えば重力作用によって、通気栓136に落とすことができる。一方、有機体Tの新たな世代T’を含む有機体Tの一部分は、カバー104Aのレセプタクル106内に留めることができる。
【0058】
次のステップ308において、麻酔済み有機体Tの一部分が管102Aの内部に留まっている間、交換ユニット208は、2つの培養容器100Aと100Bとの間でカバー104A及び104Bを入れ替えることができ、カバー104Aが管102Bに取り付けられ、カバー104Bが管102Aに取り付けられるようにする。有機体Tの一部分、特に有機体Tの新たな世代T’は、これにより、管102B及びカバー104Aから構成される新たな培養容器に移送することができる。
【0059】
ステップ308は、2つの培養容器100A及び100Bを、2つのカバー104A及び104Bのそれぞれが2つの管102A及び102Bの上部にある状態で配置する間に実施することができる。
例えば、図9及び図18を参照する。運搬システム202の回転プラットフォーム224は、1つの培養容器100Aを麻酔ユニット206から交換ユニット208に運搬するように回転することができ、運搬システム204の回転プラットフォーム244は、1つの培養容器100Bを交換ユニット208に運搬するように回転することができる。2つの管102A及び102Bは、概して、回転プラットフォーム224及び244上で固定されたままである一方で、交換ユニット208の回転部266及び2つのアーム268は、この場合、枢動軸Rに沿って下方に摺動することができ、2つのアーム268がそれぞれ、カバー104A及び104Bを握ることができるようにする。2つのアーム268はそれぞれ、カバー104A及び104Bを、その把持部分132で握るか、又はその絞り部分162で握ることができる(図11A及び図11Bにより良好に示す)。
次に、交換ユニット208の回転部266及び2つのアーム268は、上方に摺動することができ、カバー104A及び104Bをそれぞれ管102A及び102Bから分離し、枢動軸R周りに回転し、2つの管102A及び102Bに対して2つのカバー104A及び104Bを動かし、交換し、それぞれを下方に摺動し、それぞれ、管102Bをカバー104Aで閉鎖し、管102Aをカバー104Bで閉鎖する。最後に、上方に摺動し、カバー104A及び104Bを解放し、通路を空け、更なる処理のために管102A及び102Bが下流に進行することができる。交換ユニット208での処理後、運搬システム202によって運んだ培養容器100Aは、互いに接続した管102A及びカバー104Bから構成される培養容器100A’になり、運搬システム204によって運んだ培養容器100Bは、互いに接続した管102B及びカバー104Aから構成される培養容器100B’になる。
【0060】
図22A及び図22Bは、それぞれ、図10A及び図10Bに示す最初の培養容器100A及び100Bに本明細書に記載の移送方法を適用した際に得られる培養容器100A’及び培養容器100B’を示す概略図である。
図22Aを参照する。培養容器100A’において、対象有機体T(大部分は対象有機体Tの成体形)は、通気栓136上で気絶したままにすることができ、カバー104Bのレセプタクル106内に保持した消費可能物質138は、引き続き、培養容器100A’の内部の対象有機体Tを培養するために使用することができる。
図23Bを参照する。培養容器100B’において、カバー104Aのレセプタクル106は、対象有機体の新たな世代T’を保持することができ、新たな世代T’には、限定はしないが、卵、幼虫及び/又は蛹等の有機体の非成体形を含むことができる。更に、カバー104A上の封止膜150は、破損しているものとして示され、これは、カバー104Aを管102Aに取り付けたときに、麻酔ユニット206で麻酔物質を培養容器100Aに導入したことによる。
【0061】
図23A及び図23Bは、それぞれ、図11A及び図11Bに示す最初の培養容器100A及び100Bに本明細書に記載の移送方法を適用した際に得られる培養容器100A’及び培養容器100B’をそれぞれ示す概略図である。
図23Aを参照する。培養容器100A’において、対象有機体T(大部分は対象有機体Tの成体形)は、通気栓136上で気絶したままにすることができ、カバー104Bのレセプタクル106内に保持した消費可能物質138は、引き続き、培養容器100A’の内部の対象有機体Tを培養するために使用することができる。
図23Bを参照する。培養容器100B’において、カバー104Aのレセプタクル106は、対象有機体の新たな世代T’を保持することができ、新たな世代T’には、卵、幼虫及び/又は蛹等の有機体の非成体形を含むことができる。
【0062】
図21を再度参照する。ステップ310において、回転プラットフォーム244は、交換ユニット208の下流に、読取りユニット214まで培養容器100B’を運搬することができ、読取りユニット214は、管102Bに取り付けたカバー104A上の識別コードを読み取ることができる。
【0063】
ステップ312において、回転プラットフォーム224は、印刷ユニット216に培養容器100A’を更に運搬することができ、印刷ユニット216は、ステップ310においてカバー104A上で読み取ったコードに従って、管102Aに取り付けたカバー104B上の識別コードを印刷することができる。実装形態の一例によれば、印刷されるカバー104B上の識別コードは、カバー104A上のものと同様とすることができる。いくつかの実施形態によれば、印刷されるカバー104B上の識別コードは、対象有機体Tに関する記述、移送日及び他の有用な情報等の情報を含むことができる。このようにして、培養した対象有機体Tを適切に識別することができ、その一連の移送を適切に追跡することができる。
【0064】
培養容器100A’及び100B’が図22A及び図22Bに示されるようなものである場合、方法は、封止ユニット212で、管102B上のカバー104Aに封止膜150を結合し、封止ユニット210で、管102A上のカバー104Bに封止膜150を結合することを更に含むことができる。例えば、封止ユニット210は、カバー104Bの封止受入れ表面120に封止膜150を結合することができ、封止ユニット212は、カバー104Aの封止受入れ表面122に封止膜150を結合することができる(カバー104Aのもう一方の封止受入れ表面は、別の封止膜150で既に結合されている場合がある)。
カバー104Bを管102Aの上に置いたものから構成される培養容器100A’、及びカバー104Bの封止受入れ表面120に結合した封止膜150は、例示的に図24Aに示す。カバー104Aを管102Bの上に置いたものから構成される培養容器100B’、及びカバー104Aの封止受入れ表面122に結合した封止膜150は、例示的に図24Bに示す。
【0065】
図21を参照する。ステップ314において、培養容器100A’及び100B’をそれぞれ受入れトレイ240及び258に排出する前に、検査ユニット218及び220はそれぞれ、培養容器100A’及び100B’のカバー104B及び104A上の識別コードを読み取り、これらが一致していることを検証することができる。
識別コードが一致していない場合、適切な修正ステップを取ることができる。例えば、移送システム200は、移送工程を停止し、更なる検証及び/又は修正を要求する警告信号を発行することができる。代替的に、不履行の培養容器100A’及び/又は100B’は、更なる検証及び/又は修正のために自動的に立ち退かせることができる。
【0066】
培養容器100A’及び100B’が検査ユニット218及び220を通過した後、ステップ316において、運搬システム202及び204はそれぞれ、培養容器100A’及び100B’を運搬して気密室284から出し、それぞれを受入れトレイ240及び258上に排出することができる。これにより、対象有機体Tの新たな世代T’は、培養容器100B’内で成長させ、維持することができる一方で、培養容器100A’は、予備の在庫品として保持することができる。培養容器100A’及び100B’は、各培養容器100A’及び100B’のカバー104を底にして対象有機体Tを培養するために裏返すことができる。
【0067】
図25は、自動移送システム200’の一変形構造を示す概略平面図である。自動移送システム200’は、培養容器100Aと100Bとの間で培養した対象有機体を移送することができる。既に説明したように、自動移送システム200’は、2つの運搬システム202’及び204’、麻酔ユニット206、交換ユニット208’、読取りユニット214、印刷ユニット216、並びに検査ユニット218を含むことができる。
【0068】
前の実施形態と同様に、運搬システム202’は、搬送経路P1’を画定することができ、搬送経路P1’に沿って、処理のために培養容器100Aを一列に運搬することができ、運搬システム204’は、搬送経路P2’を画定することができ、搬送経路P2’に沿って、処理のために培養容器100Bを一列に運搬することができる。
2つの搬送経路P1’及びP2’は、実質的に線形で、互いに平行であり、運搬システム202’及び204’のそれぞれは、1つ又は複数の運搬ベルトを含むことができる。2つの運搬システム202’及び204’はそれぞれ、培養容器100A及び100Bを、カバー104A及び104Bのそれぞれが管102A及び102Bの上部にある状態で運ぶことができる。
【0069】
培養容器100A及び100Bを処理に適切な向きで配置するために、移送システム200’は、運搬システム202’及び204’の上流に配設した裏返しユニット201を更に含むことができる。裏返しユニット201は、より多量の培養容器100A及び100Bを受け入れることができる空間を有することができる。裏返しユニット201は、培養容器100A及び100Bを180度回転させることができ、カバー104A及び104Bがそれぞれ、管102A及び102Bの上部にあるようにする。
【0070】
既に説明したように、麻酔ユニット206は、運搬システム202’に隣接して、交換ユニット208’の上流に配設することができる。麻酔ユニット206は、麻酔物質を各培養容器100Aに送出し、培養容器100Aに封入した対象有機体に麻酔をかけるように動作可能である。麻酔ユニット206は、例示的に、図16又は図17に示すものと同様の構造を有することができる。
【0071】
交換ユニット208’は、搬送経路P1’に沿って麻酔ユニット206の下流に配設される。交換ユニット208’は、2つの運搬システム202’と204’との間に配置することができ、2つの運搬システム202’及び204’はそれぞれ、カバー104A及び104Bがそれぞれ管102A及び102Bの上部にある状態で、培養容器100A及び104Bを交換ユニット208’に向けて運ぶ。既に説明したように、交換ユニット208は、2つの培養容器100Aと100Bとの間でカバー104A及び104Bを入れ替えるように動作可能であり、培養容器100Aの管102Bに最初に取り付けられたカバー104Aが、最初に供給される培養容器100Bの管102Bに取り付けられるようになり、培養容器100Bの管102Bに最初に取り付けたカバー104Bが、最初に供給される培養容器100Aの管102Aに取り付けられるようにする。
【0072】
図25に関連して、図26は、交換ユニット208’の構造を示す概略図である。
図25及び図26を参照する。交換ユニット208’は、回転部266’、及び回転部266’の上に延在する2つのアーム268’を含むことができる。回転部266’は、回転円板であってもよい。運搬システム202’及び204’はそれぞれ、培養容器100A及び100Bが回転部266’上に配置されるまでこれらを搬送することができ、回転部266’は、培養容器100A及び100Bの管102A及び102Bが底面にあるように支持をもたらすことができる。2つのアーム268’は、垂直に移動可能であり、それぞれ、2つのカバー104A及び104Bを、その把持部分132で保持するように構成することができる。
2つのアーム268’のそれぞれは、1つの管102A又は102Bに対して1つのカバー104A又は104Bを分離又は取り付けるように動作可能であり、回転部266’は、2つの管102A及び102Bを移動させる一方で、2つのカバー104A及び104Bを2つのアーム268’によって固定して保つように回転可能である。これにより、交換ユニット208’は、2つの管102A及び102Bに対して2つのカバー104A及び104Bを交換することができる。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、交換ユニット208’は、エアカーテン269’を更に含むことができ、エアカーテン269’は、空気又は汚染物質が、2つのカバー104A及び104Bを2つの管102A及び102Bに対して交換するために培養容器100A及び100Bを配置している空間内に移動しないように動作可能である。このことは、カバー104Bを管102Aに取り付けたものから構成される培養容器100A’、及びカバー104Aを管102Bに取り付けたものから構成される培養容器100B’に対する汚染を防止することができる。
【0074】
図25を参照する。読取りユニット214は、交換ユニット208’の下流に、搬送経路P2’に隣接して配設することができる。読取りユニット214は、培養容器100B’の管102Bに取り付けたカバー104A上の識別コードを読み取ることができる。
【0075】
印刷ユニット216は、交換ユニット208の下流に、搬送経路P1’に隣接して配設することができる。印刷ユニット216は、読取りユニット214によってカバー104A上で読み取った識別コードに従って、培養容器100A’の管102Aに取り付けたカバー104B上の識別コードを印刷することができる。検査ユニット218は、搬送経路P1’に沿って印刷ユニット216の下流に配設することができ、印刷ユニット216によって印刷したカバー104B上の識別コードが正確かどうかを検証することができる。
【0076】
図25を参照する。移送システム200’は、2つの封止ユニット210及び212を更に含むことができる。2つの封止ユニット210及び212は、移送システム200’によって処理した培養容器100A及び100Bが図10A及び図10Bに示す構造を有する場合に組み込むことができる。
2つの封止ユニット210及び212はそれぞれ、交換ユニット208’の下流で、搬送経路P1’及びP2’に沿って運搬システム202’及び204’に隣接して配設することができ、例えば、封止ユニット210及び212は、交換ユニット208’と印刷ユニット216との間に配設することができる。既に説明したように、封止ユニット210は、管102A上のカバー104Bに封止膜を結合することができ、封止ユニット212は、管102B上のカバー104Aに別の封止膜を結合することができる。
【0077】
図25を参照する。移送システム200’は、裏返しユニット219を更に含むことができ、裏返しユニット219は、裏返しユニット201とは反対側の、運搬システム202’及び204’のそれぞれの端部に隣接して配設されている。裏返しユニット219は、培養容器100A’及び100B’を180度回転させることができ、カバー104B及び104Aがそれぞれ、管102A及び102Bの底部にあるようにする。
【0078】
既に説明した移送システム200のように、移送システム200’は、図21のフローチャートに示した、培養容器の間で対象有機体を移送する方法ステップを実施するように構成することができる。
【0079】
本明細書に記載の培養容器、システム及び方法の利点は、多量に保管している対象有機体を効率的に培養し、移送する機能を含む。本明細書に記載のシステム及び方法は、有機体自体を移送するのではなく、対象有機体の新たな世代を保持することができる培養容器のカバーを移送するものであり、移送作業を大幅に促進することができる。
【0080】
構造及び方法の実現形態は、特定の実施形態の背景において説明しているにすぎない。これらの実施形態は、例示的であり、限定的ではないことを意味する。多くの変形、修正、付加及び改良が可能である。したがって、複数の例を、単一の例として本明細書に記載の構成要素に提供することができる。例示的な構成において個別構成要素として提示した構造及び機能は、構造又は構成要素の組合せとして実装することができる。これら及び他の変形、修正、付加及び改良は、以下の特許請求の範囲内に入ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26