(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118742
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】止水弁
(51)【国際特許分類】
F16K 3/00 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
F16K3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015396
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139516
【弁理士】
【氏名又は名称】藤浪 一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 嘉之
【テーマコード(参考)】
3H053
【Fターム(参考)】
3H053AA25
3H053AA26
3H053DA02
(57)【要約】
【課題】設置スペースを小さくすることができるとともに、修復やメンテナンスを容易に行うことができる止水弁を提供する。
【解決手段】両端に管Mが接続される接続部12,12を備えた弁箱2と、弁箱2内の流路11を開閉する屈曲可能な弁体3と、流路11の外部において、弁体3を流路11と平行に収納する弁体収納部4と、弁箱2に設けられ、弁体収納部4と流路11とを連通する連通孔13と、弁箱2に設けられ、弁体収納部4の弁体3を水平方向から垂直方向に屈曲させ、連通孔13を介して流路11に案内するガイド部14と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に管が接続される接続部を備えた弁箱と、
前記弁箱内の流路を開閉する屈曲可能な弁体と、
前記流路の外部において、前記弁体を前記流路と平行に収納する弁体収納部と、
前記弁箱に設けられ、前記弁体収納部と前記流路とを連通する連通孔と、
前記弁箱に設けられ、前記弁体収納部の前記弁体を水平方向から垂直方向に屈曲させ、前記連通孔を介して前記流路に案内するガイド部と、を備えることを特徴とする止水弁。
【請求項2】
前記弁体収納部と前記流路との間で前記弁体を移動させる操作部と、
前記弁体収納部に並設され、前記操作部を前記流路と平行に収納する操作部収納部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の止水弁。
【請求項3】
前記弁体は、
当該弁体の移動方向に対して直交する方向に延設された複数の剛性部材と複数の可撓性部材とを交互に連結して構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の止水弁。
【請求項4】
前記連通孔に、前記流路の水が前記弁体収納部へ浸入するのを防ぐ薄肉部を備え、
前記弁体は、当該弁体の移動に伴って、当該弁体の先端で前記薄肉部を破壊しつつ前記流路を閉鎖することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の止水弁。
【請求項5】
前記弁体収納部に、前記弁体を前記連通孔及び前記ガイド部に案内する挿通ガイドを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の止水弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は止水弁に関する。
【背景技術】
【0002】
水が流れる流路を開閉する弁として、仕切弁(特許文献1)やバタフライ弁(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-76928号公報
【特許文献2】特開2016-94993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仕切弁は、弁体が流路(管路)に残らないので、管路の修復、清掃などのメンテナンスを容易に行うことができるが、弁体を収納するスペースが流路と直交する方向に必要となり、設置スペースが大きくなるという問題がある。
【0005】
一方、バタフライ弁は、弁箱と管路が一体となるため、設置スペースを小さくすることができるが、弁体が流路(管路)に残るため、管路の修復、清掃などのメンテナンスが困難となるという問題がある。
【0006】
このような課題を踏まえ、本発明は、設置スペースを小さくすることができるとともに、修復やメンテナンスを容易に行うことができる止水弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、両端に管が接続される接続部を備えた弁箱と、前記弁箱内の流路を開閉する屈曲可能な弁体と、前記流路の外部において、前記弁体を前記流路と平行に収納する弁体収納部と、前記弁箱に設けられ、前記弁体収納部と前記流路とに連通する連通孔と、前記弁箱に設けられ、前記弁体収納部の前記弁体を水平方向から垂直方向に屈曲させ、前記連通孔を介して前記流路に案内するガイド部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、弁体を弁箱の流路と平行に収納する弁体収納部を設けたことにより、弁箱の流路と直交する方向の設置スペースを小さくすることができる。これにより、土被りが小さい管路にも対応することができる。また、弁体を流路の外部に設けられた弁体収納部に収納するため、弁体が流路に残らない。これにより、弁体や流路(管路)の修復、清掃などのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0009】
また、前記弁体収納部と前記流路との間で前記弁体を移動させる操作部と、前記弁体収納部に並設され、前記操作部を前記流路と平行に収納する操作部収納部と、を備えることが好ましい。
【0010】
本発明によれば、弁体の開閉を容易に行うことができる。また、弁箱の流路と直交する方向の操作部収納部の設置スペースを小さくすることができる。
【0011】
また、前記弁体は、当該弁体の移動方向に対して直交する方向に延設された複数の剛性部材と複数の可撓性部材とを交互に連結して構成されていることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、屈曲可能な弁体を容易に形成することができる。
【0013】
また、前記連通孔に、前記流路の水が前記弁体収納部へ浸入するのを防ぐ薄肉部を備え、前記弁体は、当該弁体の移動に伴って、当該弁体の先端で前記薄肉部を破壊しつつ前記流路を閉鎖することが好ましい。
【0014】
本発明によれば、薄肉部によって流路の水が弁体収納部へ浸入しないため、弁体収納部に収納された弁体の劣化や可動部分の固着等を防ぐことができる。また、薄肉部は弁体の移動に伴って破壊されるため、弁体の移動の妨げにならない。
【0015】
また、前記弁体収納部に、前記弁体を前記連通孔及び前記ガイド部に案内する挿通ガイドを備えていることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、弁体をガイド部にスムーズに案内することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、設置スペースを小さくすることができるとともに、修復やメンテナンスを容易に行うことができる止水弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る止水弁を示す側断面図である。
【
図6】弁体を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は連結部材を示す拡大平面図であり、(d)は連結部材を示す分解側面図である。
【
図7】第一実施形態に係る止水弁の閉弁状態を示す側断面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII矢視断面図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る止水弁を示す側断面図である。
【
図10】本発明の第三実施形態に係る止水弁において、弁体等を設置する前の状態を示す側断面図である。
【
図12】第三実施形態に係る止水弁において、弁体等を設置した状態を示す側断面図である。
【
図14】第三実施形態に係る止水弁の閉弁状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る止水弁の実施形態について図面を参照しながら詳述する。
図1に示すように、本実施形態に係る止水弁1は、管M,Mの間に連結され、流通する水の流れを止める弁である。以下の説明において、「上下」、「左右」、「前後」は
図1,2の矢印に従う。なお、これらの方向は、説明の便宜上用いるものであって、本実施形態の設置方向を限定するものではない。
【0020】
止水弁1は、弁箱2と、弁体3と、弁体収納部4と、操作部5と、操作部収納部6と、を備えている。弁箱2は、内部に水が流通する流路11を備えた筒状部材である。流路11は断面円形の中空部になっている。止水弁1を流れる水は、
図1の矢印P方向(前側から後側)に向けて流通する。弁箱2の前後方向の両端には、周方向に亘って外側に張り出す円形の接続部(フランジ部)12,12が形成されている。接続部12は、管Mの接続部(フランジ部)に接続される部位である。なお、本実施形態ではフランジ部を設けたが、フランジ部を省略して差込継手としてもよい。
【0021】
弁箱2は、後記する弁体3の形状(本実施形態では矩形)に合わせて断面矩形状となっている。なお、円形の弁体を用いる場合は、その形状に合わせて弁箱2の下部2Bを円弧状としてもよい。弁箱2の上部2Aには、左右方向に亘って開口する連通孔13が形成されている。連通孔13は、弁体3が移動する際に出入りする開口である。連通孔13は、弁体3が移動可能な大きさ、形状になっている。
【0022】
ガイド部14は、
図1及び
図5に示すように、弁箱2の側部2C,2Cの内面に設けられており、弁体3を流路11に案内するとともに弁座となる溝である。ガイド部14は、連通孔13に連通するとともに、弁体3の上部2Aから下部2Bまで上下方向全体に亘って設けられている。ガイド部14の左右方向幅W1及び前後方向幅W2は、弁体3が移動可能な大きさ、形状で形成されている。ガイド部14は、前後方向軸に対して垂直に形成してもよいが、
図1に示すように、本実施形態では、下流側に向かうにつれて後方に傾斜するように形成されている。ガイド部14の傾斜角度は、弁箱2の下部2Bからの開き角度が60~90°の範囲で適宜設定すればよい。
【0023】
弁体3は、弁箱2の流路11を開閉する屈曲可能な部材である。
図6の(a)及び(b)に示すように、弁体3は、本実施形態では、平面視矩形の板状を呈する。弁体3は、
図6の(a)に示すように、剛性部材21(ハッチにて描画)と可撓性部材22(白抜きにて描画)とを交互に連結して構成されている。剛性部材21は、断面矩形であって、左右方向に延設された棒状の部材である。剛性部材21は、剛性の高い材料で部材であればよいが、本実施形態では金属製である。
図6の(c)及び(d)に示すように、隣り合う剛性部材21,21同士は、連結部材23を介して連結されている。連結部材23は、左右方向に亘って複数個設けられている。
【0024】
連結部材23は、一方の剛性部材21に設けられた連結片24と、他方の剛性部材21に設けられた連結片24と、連結ピン25とで構成されている。連結片24は、剛性部材21に固定されており、例えば金属製の板状部材である。連結片24には、前後方向に延設された長孔24aが形成されている。連結ピン25は、円柱状を呈し、長孔24a,24aに挿通されている。連結ピン25は、長孔24a,24a内を前後方向に移動可能に形成されるとともに、連結片24,24が相対回転可能に形成されている。弁体3の前端部(最も前側の部位)に配置された剛性部材21(
図6(a)参照)には、後記する操作軸18が連結されている。
【0025】
可撓性部材22は、隣り合う剛性部材21,21の隙間に配置され、撓みやすい部材で形成されている。可撓性部材22は、例えば、ゴムや柔らかい樹脂で形成することができる。可撓性部材22は、連結部材23が外部に露出しないように、剛性部材21,21の隙間を覆っている。弁体3の後端部(最も後側の部位)は、可撓性部材22で形成されている。つまり、弁体3と弁箱2の下部2B(流路11の底部)とが当接する部位は可撓性部材22となっている。
【0026】
弁体3は、隣り合う剛性部材21,21同士が連結部材23によって回動するように形成されているため、全体として上下方向に屈曲するようになっている。また、連結片24に形成される孔は丸孔でもよいが、本実施形態のように長孔24aとすることで、弁体3が全体的に前後方向に伸縮可能になっている。
【0027】
なお、弁体3は、本実施形態では上記のように形成したが、屈曲可能であればどのような構成であってもよいし、どのような材料を用いてもよい。また、弁体3の表面全体をゴムライニングすることが好ましい。これにより、弁体3の腐食を防ぐことができるとともに、止水性を向上させることができる。また、弁体3の両側部に、例えば、ガイドローラのような摺動部材を設けてもよい。これにより、弁体3をスムーズに移動させることできる。当該摺動部材は、弁体3の後端部の両側部のみに設けるだけでもよい。
【0028】
弁体収納部4は、
図1~4に示すように、弁箱2の上に設けられ、弁体3を収納する部位(中空部)である。弁体収納部4は、流路11の外部において、流路11と平行に弁体3を収納している。弁体収納部4は、前壁4aと、後壁4bと、上壁4cと、側壁4d,4dと、弁箱2の上部2Aとで構成されている。弁体収納部4の前後方向寸法は、弁体3の全開時において、弁体3の後端部(先端)が連通孔13に臨むように形成されている。弁体収納部4の上下方向寸法は、弁体3の板厚よりも若干大きくなっている。
【0029】
操作部5は、流路11と弁体収納部4との間で弁体3を移動させる駆動機構である。操作部5は、例えば、弁体3を前後方向に押し引きすることができるシリンダー等のアクチュエータで構成されている。シリンダーは、例えば、油圧式、空圧式、電気式又は水圧式のものを用いることができる。操作部5と弁体3とは、棒状の操作軸18を介して連結されている。つまり、操作軸18の基端側は操作部5に連結され、先端側は弁体3の前部に連結されている。操作軸18は、弁体収納部4の前壁4aに設けられた封水軸受19に、前後方向に摺動可能に支持されている。なお、封水軸受19に替えて、Oリング等のパッキンとブッシュで操作軸18を支持してもよい。
【0030】
操作部収納部6は、
図1,2に示すように、弁箱2の上に設けられ、操作部5を収納する部位(中空部)である。操作部収納部6は、弁体収納部4の前側に並設され、流路11と平行に操作部5を収納している。操作部収納部6は、前壁6aと、側壁6b,6bと、上壁6cと、弁体収納部4の前壁4aと、弁箱2の上部2Aとで構成されている。操作部収納部6の上下方向寸法は、操作部5の上下方向寸法よりも若干大きくなっている。上壁6cの高さ位置は、弁体収納部4の上壁4cと同じ高さ位置になっている。
【0031】
<開弁時>
次に、本実施形態に係る止水弁1の動作について説明する。
図1に示すように、開弁時においては、弁体3は弁体収納部4に全て収納された状態になっている。弁体3の後端部は、連通孔13に臨んでいる。操作軸18は、操作部5内に最も収納された状態になっている。流路11は全開状態にあるため、矢印P方向に水が流通している。
【0032】
<閉弁時>
図7,8に示すように、操作部5を駆動させて操作軸18を後進させることで弁体3が後方へ移動するとともに、弁体3がガイド部14,14に案内されて流路11を閉鎖する。つまり、弁体3は、流路11の流通方向から垂直方向に移動して、流路11を閉鎖する。操作軸18が、操作部5に対して最も伸長した時、弁体3の後端部は弁箱2の下部2Bに当接する。これにより、止水弁1を閉弁することができる。
【0033】
<再開弁時>
再度開弁する場合は、操作部5を駆動させて操作軸18を前進させることで弁体3が前方へ移動するとともに、弁体3がガイド部14,14に案内されて流路11が開放される。操作軸18が操作部5に対して最も収縮した時、弁体3の全体が弁体収納部4に収納される。
【0034】
以上説明した本実施形態に係る止水弁1によれば、弁箱2の流路11と平行に弁体3を収納する弁体収納部4を設けたことにより、弁箱2の流路11と直交する方向(上下方向)の設置スペースを小さくすることができる。これにより、土被りが小さい管路にも対応することができる。また、弁体3を流路11の外部に設けられた弁体収納部4に収納するため、弁体3が流路11に残らない。これにより、弁体3や流路11(管路)の修復、清掃などのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0035】
また、アクチュエータで構成された操作部5で弁体3の開閉を行うため、開閉作業を容易に行うことができる。また、操作部収納部6も、流路11と平行に操作部5を収納しているため、弁箱2の流路11と直交する方向(上下方向)の設置スペースを小さくすることができる。
【0036】
また、弁体3は、当該弁体3の移動方向に対して直交する方向に延設された複数の剛性部材21と複数の可撓性部材22とを交互に連結して構成されているため、屈曲可能な弁体3を容易に形成することができる。
【0037】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る止水弁1Aについて説明する。
図9に示すように、止水弁1Aは、弁箱2と、弁体3と、弁体収納部4と、操作部5Aと、操作部収納部6Aと、を備えている。第二実施形態では、操作部5A及び操作部収納部6Aが第一実施形態と相違するため、相違する部分を中心に説明する。
【0038】
操作部5Aは、駆動源(図示省略)と、開閉軸51と、ウォームホイール52と、ウォーム53と、スイベルジョイント54と、を備えている。開閉軸51は、上下方向に延設された軸状部材である。開閉軸51の一端はウォームホイール52に固定され、他端は後記する操作部収納部6Aから外部に露出している。開閉軸51の他端は、回転工具又は回転装置(図示省略)等の駆動源に連結される部位である。
【0039】
ウォームホイール52は、開閉軸51の一端に固定され、ウォーム53に噛合している。ウォーム53は、前後方向に延設されている。ウォーム53には、ウォーム53の回転に伴いウォーム53の延長方向に移動可能なスイベルジョイント(旋回継手)54が取り付けられている。スイベルジョイント54と弁体3とはL字状の操作軸18Aを介して連結されている。
【0040】
操作部収納部6Aは、操作部5Aを収納する部位(中空部)である。操作部収納部6Aは、前壁61と、後壁62と、上壁63と、一対の側壁(図示省略)と、弁箱2の上部2Aとで構成されている。弁体収納部4の後壁4bの上に、操作部収納部6Aの後壁62が設けられている。前壁61から後壁62までの前後方向寸法は、ウォーム53の2倍程度の大きさになっている。
【0041】
第二実施形態に係る止水弁1Aでは、開閉軸51を回転させることにより、弁体3が前後方向に移動し、流路11を開弁又は閉弁することができる。つまり、開閉軸51が回転すると、ウォームホイール52介してウォーム53が軸回りに回転する。ウォーム53の回転に伴い、スイベルジョイント54及び操作軸18Aが前後方向に移動する。これにより、弁体3を前進又は後進させることができる。
【0042】
第二実施形態の止水弁1Aによれば、開閉軸51の回転を弁体3の平行移動に変換する変換機構を備えているため、弁体3を容易に開閉することができる。また、ウォームギヤを用いることで操作部5Aを簡易に構成することができる。また、操作部収納部6Aによれば、流路11と平行に操作部5Aを収納するため、操作部収納部6Aの上下方向寸法を極力抑え、設置スペースを小さくすることができる。なお、本実施形態ではウォームギヤで操作部5Aを構成したが、例えば、ラックアンドピニオンで構成してもよい。
【0043】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る止水弁1Bについて説明する。
図10に示すように、止水弁1Bは、薄肉部70を設ける点と、通常時は弁体3等を設置しない点で前記した実施形態と相違する。第三実施形態では、他の実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0044】
図10及び
図11に示すように、止水弁1Bは、弁箱2の連通孔13に薄肉部70を設けている。薄肉部70は、薄板状の樹脂、金属又は膜で形成されており、連通孔13を塞いでいる。これにより、流路11の水は弁体収納部4B側には流出しないようになっている。一方、薄肉部70は、弁体3等を設置し、弁体3を流路11側に移動させる際、弁体3の後端部によって薄肉部70が破壊される。つまり、薄肉部70は、止水機能を備えつつ、弁体3の移動に伴って破壊される部材である。なお、薄肉部70が容易に破壊されるように、弁体3の後端部(先端)にカッター部を設けてもよい。
【0045】
弁体収納部4Bは、止水板N、後壁4bと、上壁4cと、側壁4d,4dと、弁箱2の上部2Aとで構成されている。止水板Nは、弁体収納部4B内に水が入らないように弁体収納部4Bの前側を覆う板状部材である。止水板Nは、上壁4c及び側壁4d,4dに対して着脱自在に設置されている。
【0046】
止水弁1Bにおいて、閉弁する場合、
図12~14に示すように、止水板N(
図10参照)を取り外し、弁体収納部4Bに弁体3、封水装置71及び挿通ガイド72を設置する。弁体3は、第一実施形態と同じ部材である。弁体3の操作軸18は、第一実施形態のようにアクチュエータで構成された操作部5を設けてもよいし、手動で操作軸18を前進又は後進させてもよい。
【0047】
封水装置71は、弁体収納部4Bの前側を止水するとともに、操作軸18を摺動可能に支持する装置である。挿通ガイド72は、弁体収納部4B内において、連通孔13の後側に設けられた部材である。挿通ガイド72は、弁体3を流路11側に移動させる際に、弁体3の先端を薄肉部70側に案内するガイドである。挿通ガイド72は、例えば、左右方向に延設された円柱状部材とすることができる。挿通ガイド72は、弁体3の後端部(先端)を薄肉部70側に案内可能な形状であれば、他の形状であってもよい。
【0048】
図12,14に示すように、止水弁1Bを閉弁する場合、操作軸18を後進させて弁体3を連通孔13及び薄肉部70に押し入れていく。この時、弁体3の先端によって薄肉部70が破壊され、弁体3が連通孔13を介してガイド部14に沿って流路11側に案内される。これにより、止水弁1Bを閉弁することができる。
【0049】
止水弁1Bにおいて、開弁する場合は、第一実施形態と同じ要領で行うことができる。なお、弁体3の開閉作業を終えたら、弁体3、封水装置71及び挿通ガイド72は設置したままとしてもよいし、弁体3等を弁体収納部4Bから取り出し、止水板Nを再度取り付けてもよい。
【0050】
第三実施形態に係る止水弁1Bによれば、通常時は、弁体収納部4Bに弁体3、操作部5等を設置しないため、弁体3及び操作部5等の劣化や可動部分の固着等を防ぐことができる。また、薄肉部70を設けることで、水が流路11の外部に漏れるのを防ぐことができる。また、薄肉部70は、弁体3の移動に伴って破壊されるため、閉弁時において弁体3の移動の妨げにならない。
【0051】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、薄肉部70は、第一実施形態及び第二実施形態で設置してもよい。これにより、通常時に弁体収納部4に水が浸入しないため、弁体3の劣化等を防ぐことができる。また、第一実施形態及び第二実施形態においても、操作軸18を前進又は後進させる場合は手動で行ってもよいし、他の装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 止水弁
2 弁箱
3 弁体
4 弁体収納部
5 操作部
6 操作部収納部
11 流路
12 接続部(フランジ部)
13 連通孔
14 ガイド部
21 剛性部材
22 可撓性部材
23 連結部材
70 薄肉部
72 挿通ガイド