(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118766
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】車両所有者変更検知システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/00 20120101AFI20220808BHJP
【FI】
G06Q30/00 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015457
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】大井 政英
(72)【発明者】
【氏名】川崎 浩
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】通信サービスを利用する車両所有者の変更有無を認識可能な車両所有者変更検知システムを提供する。
【解決手段】車両所有者変更検知システム1は、車両20とは別に設けられた携帯端末10及びサーバ30と、車両20に搭載され、サーバ30及び携帯端末10との情報通信が可能な車載情報通信装置21とを用いて車両所有者の変更を検知する。サーバ30は、車載情報通信装置21を介して携帯端末10の現接続端末固有情報を取得する。サーバ30は、車両所有者変更検知システム1の契約者情報及び携帯端末10の端末固有情報を車両20と関連づけて蓄積する情報蓄積部31と、情報処理部32とを有する。情報処理部32は、受信した現接続端末固有情報と、車両20に関連づけられた端末固有情報とを比較し、現接続端末固有情報と端末固有情報とが異なり、かつ、契約者情報に変更がないことを条件として、契約者情報の変更がなされていないと判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両とは別に設けられた携帯端末と、
前記車両とは別に設けられた情報処理装置と、
前記車両に搭載され、前記情報処理装置との間、及び不特定多数の前記携帯端末との間において情報通信可能な車載情報通信装置と、を用いて車両所有者の変更を検知する車両所有者変更検知システムであって、
前記車載情報通信装置は、
前記車両の車室内において通信可能に接続された前記携帯端末に固有の端末固有情報を現接続端末固有情報として取得すると共に、取得した前記現接続端末固有情報を前記情報処理装置に向けて送信可能であり、
前記情報処理装置は、
前記車両所有者として前記車両所有者変更検知システムの利用契約を行っている利用契約者を特定するための契約者情報、及び前記利用契約者に紐付けられた前記携帯端末に係る前記端末固有情報を前記車両と関連づけて蓄積する情報蓄積部と、
情報処理部と、
を有し、
前記情報処理部は、
前記車載情報通信装置から受信した前記現接続端末固有情報と、受信した前記現接続端末固有情報の発信元である前記車載情報通信装置が搭載された前記車両に関連づけられた前記端末固有情報とを比較し、前記現接続端末固有情報と前記端末固有情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約者情報の変更がなされていないと判定すること、を特徴とする車両所有者変更検知システム。
【請求項2】
前記車両に搭載され、前記車両を運転する運転者の情報を現運転者識別情報として取得する運転者識別情報取得部を有し、
前記車載情報通信装置は、前記運転者識別情報取得部により取得した前記現運転者識別情報を前記情報処理装置に向けて送信可能であり、
前記情報蓄積部は、前記車両所有者に係る運転者情報を前記車両と関連づけて車両所有者識別情報として蓄積可能であり、
前記情報処理部は、
前記現運転者識別情報と前記車両所有者識別情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約者情報の変更がなされていないと判定すること、を特徴とする請求項1に記載の車両所有者変更検知システム。
【請求項3】
前記車両に搭載され、前記車両を運転する運転者における前記車両の使用状態を現運転者使用情報として取得する車両使用情報取得部を有し、
前記車載情報通信装置は、前記車両使用情報取得部により取得した前記現運転者使用情報を前記情報処理装置に向けて送信可能であり、
前記情報蓄積部は、前記車両所有者に係る過去の前記車両の使用状態を車両所有者使用情報として蓄積可能であり、
前記情報処理部は、
前記現車両使用情報と前記車両所有者使用情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約情報の変更がなされていないと判定すること、を特徴とする請求項1又は2に記載の車両所有者変更検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両所有者変更検知システムに関する。さらに詳しくは、車両に提供される通信サービス(コネクトサービス)を利用する車両所有者の契約情報の変更を検知する検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットに接続可能なコネクティッドカーと称する車両が知られている。上述したコネクティッドカーを利用した技術として、集合住宅の複数の利用者が車両を共用するための車両共用システムが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明に係る車両共用システムでは、各利用者の個人情報、車両の予約状況、利用登録情報等の情報が車両管理サーバに登録されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近では、コネクティッドカーは、車両の販売者等の各種のサービスに利用されている。具体的には、車両の販売者等が、コネクティッドカー(インターネット)を介して、所有者の運転履歴や個人情報を取得し、取得した情報に基づき、各種のサービスを提供することに利用されている。
【0005】
しかしながら、上述したコネクティッドカーにおいては、所有者が車両を売却した場合、車両に関連づけられた通信サービス(コネクトサービスとも称する)の解約が失念されることがあった。かかる場合は、前所有者の契約情報が残されたまま新規所有者が前記通信サービスを利用する問題がある。また、かかる問題は、新車購入時に発生するものではないため、利用者の変更を販売者側で把握することも困難である。また、前所有者の個人情報が新所有者に漏洩する問題や、所有者情報が、適切に管理されない結果、販売者等が所有者のニーズに基づく適切なサービスを提供できない問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、通信サービスを利用する車両所有者の変更有無を認識することが可能な車両所有者変更検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の車両所有者変更検知システムは、車両とは別に設けられた携帯端末と、前記車両とは別に設けられた情報処理装置と、前記車両に搭載され、前記情報処理装置との間、及び不特定多数の前記携帯端末との間において情報通信可能な車載情報通信装置と、を用いて車両所有者の変更を検知する車両所有者変更検知システムであって、前記車載情報通信装置は、前記車両の車室内において通信可能に接続された前記携帯端末に固有の端末固有情報を現接続端末固有情報として取得すると共に、取得した前記現接続端末固有情報を前記情報処理装置に向けて送信可能であり、前記情報処理装置は、前記車両所有者として前記車両所有者変更検知システムの利用契約を行っている利用契約者を特定するための契約者情報、及び前記利用契約者に紐付けられた前記携帯端末に係る前記端末固有情報を前記車両と関連づけて蓄積する情報蓄積部と、情報処理部と、を有し、前記情報処理部は、前記車載情報通信装置から受信した前記現接続端末固有情報と、受信した前記現接続端末固有情報の発信元である前記車載情報通信装置が搭載された前記車両に関連づけられた前記端末固有情報とを比較し、前記現接続端末固有情報と前記端末固有情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約者情報の変更がなされていないと判定すること、を特徴とするものである。
【0008】
上述した車両所有者変更検知システムは、車室内で使用される携帯端末から固有の端末固有情報を現接続端末固有情報として取得できる。取得した現接続端末固有情報は、前記車両に関連づけられた端末固有情報と比較され、前記現接続端末固有情報と前記端末固有情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約者情報の変更がなされていないと判定される。すなわち、車両と関連づけされた携帯端末に基づいて、現在の車両使用者が、車両の所有者と一致するか否かを判断することができる。これにより、車両の所有者の契約者情報が、正しく変更されているか否かを判断することができる。また、前所有者の個人情報等が、新所有者に漏洩することを抑制できる。
【0009】
(2)上述した本発明の車両所有者変更検知システムは、前記車両に搭載され、前記車両を運転する運転者の情報を現運転者識別情報として取得する運転者識別情報取得部を有し、前記車載情報通信装置は、前記運転者識別情報取得部により取得した前記現運転者識別情報を前記情報処理装置に向けて送信可能であり、前記情報蓄積部は、前記車両所有者に係る運転者情報を前記車両と関連づけて車両所有者識別情報として蓄積可能であり、前記情報処理部は、前記現運転者識別情報と前記車両所有者識別情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約者情報の変更がなされていないと判定すると良い。
【0010】
上述した車両所有者変更検知システムは、運転者識別情報取得部により、車両を運転している運転者の固有の情報(例えば、顔の形状)を現運転者識別情報として取得することができる。ここで、運転者識別情報取得部は、例えば、ドライブレコーダー等の画像撮影が可能な各種のものを利用することができる。取得された現運転者識別情報と、情報蓄積部に蓄積された車両所有者識別情報とは、情報処理部において比較され、前記現運転者識別情報と前記車両所有者識別情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約者情報の変更がなされていないと判定される。すなわち、顔等の運転者固有の識別情報に基づいて、契約者情報の変更がなされていないと判定することができる。これにより、前所有者と現所有者との違いをより確実に把握することができ、車両所有者の変更を精度良く検知することができる。なお、運転者識別情報取得部は、顔の撮影に代えて、あるいは、顔の撮影と共に、運転者の容姿を撮影するものや、指紋や光彩等の情報を取得するものとしても良い。
【0011】
(3)上述した本発明の車両所有者変更検知システムは、前記車両に搭載され、前記車両を運転する運転者における前記車両の使用状態を現運転者使用情報として取得する車両使用情報取得部を有し、前記車載情報通信装置は、前記車両使用情報取得部により取得した前記現運転者使用情報を前記情報処理装置に向けて送信可能であり、前記情報蓄積部は、前記車両所有者に係る過去の前記車両の使用状態を車両所有者使用情報として蓄積可能であり、前記情報処理部は、前記現車両使用情報と前記車両所有者使用情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約情報の変更がなされていないと判定すると良い。
【0012】
上述した車両所有者変更検知システムは、車両使用情報取得部により、車両を運転している運転者の車両使用状態に関する情報(例えば、ブレーキやアクセルの踏み加減、ハンドル操作)を現運転者使用情報として取得することができる。ここで、運転者使用情報取得部は、例えば、車載されているイベントデータレコーダー(EDR)等を利用することができる。取得された現運転者使用情報と、情報蓄積部に蓄積された車両所有者使用情報とは、情報処理部において比較され、前記現運転者使用情報と前記車両所有者使用情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約者情報の変更がなされていないと判定される。すなわち、運転者固有の車両使用情報に基づいて、契約者情報の変更がなされていないと判定することができる。これにより、前所有者と現所有者との違いをより確実に把握することができ、車両所有者の変更を精度良く検知することができる。
【0013】
(4)上述した本発明の車両所有者変更検知システムは、前記契約者情報が変更されていないと判定されたことを条件として、前記車両所有者に前記契約者情報の変更を促す通知が行われると良い。
【0014】
かかる構成によれば、車両の過去の所有者(前所有者)が、契約者情報の変更や解約を失念していた場合でも、車両の前所有者に契約者情報の変更や解約が必要であることを気づかせることができる。これにより、所有者の個人情報等が漏洩することを抑制できる。
【0015】
(5)上述した本発明の車両所有者変更検知システムは、前記情報処理装置が、サーバとして提供されると良い。
【0016】
かかる構成によれば、情報処理装置をサーバとして、車両所有者変更検知システムを統括して管理することができる。そのため、販売者等の車両の販売情報を介さずに、車両所有者の変更を検知することができる。これにより、例えば、中古車販売のようにディーラーを介さずに車両が新所有者に移転した場合でも、所有者の変更を検知することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通信サービスを利用する車両所有者の変更有無を認識することが可能な車両所有者変更検知システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る車両所有者変更検知システムの一実施形態を表す構成図である。
【
図2】本発明に係る車両所有者変更検知システムのイメージ図である。
【
図3】本発明に係る車両所有者変更検知システムにおける所有者の登録に関する動作フロー図である。
【
図4】本発明に係る車両所有者変更検知システムの一実施形態を表す動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る車両所有者変更検知システム1の一実施形態について、
図1及び
図2を参照しながら以下に詳細を説明する。本実施形態では、情報処理装置30として、サーバが用いられる場合を例として説明する。
【0020】
図1及び
図2に示すように、車両所有者変更検知システム1は、車両20とは別に設けられる携帯端末10と、車両20から別に設けられる情報処理装置30としてのサーバ30等を備えている。また、車両所有者変更検知システム1は、車載情報通信装置21と、運転者識別情報取得部22と、車両使用情報取得部23と、を有し、前記のそれぞれが車両20に搭載されている。また、車両20には、例えば、ナビゲーションシステムから構成されるヘッドユニット(H/Uとも称する)24が搭載されている。
【0021】
携帯端末10は、例えば、スマートフォンやタブレット等で構成されるものであり、車両20を使用する使用者(ユーザ)が車室内で使用するものとされている。携帯端末10は、適宜の通信装置(図示せず)を有しており、車載情報通信装置21及びサーバ30との無線による通信が可能である。前記通信装置は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の通信手段であり、これらを介して車載情報通信装置21と接続することが可能である。また、携帯端末10は、固有の端末固有情報を有しており、車載情報通信装置21との接続の際に車載情報通信装置21に現接続端末固有情報が送信される。
【0022】
車載情報通信装置21は、TCU(テレマティクス・コントロール・ユニット)といった車両専用の通信機から構成されている。車載情報通信装置21は、不特定多数の携帯端末10及び後述するサーバ30との接続が可能であり、携帯端末10及びサーバ30との間において情報通信することが可能である。また、車載情報通信装置21は、運転者識別情報取得部22、車両使用情報取得部23、及びヘッドユニット24とも接続が可能であり、これらの間において情報通信することが可能である。
【0023】
また、車載情報通信装置21は、車両20の車室内において通信可能に接続された携帯端末10に固有の端末固有情報を現接続端末固有情報として取得すると共に、取得した前記現接続端末固有情報をサーバ30に向けて送信可能である。また、車載情報通信装置21は、後述する運転者識別情報取得部22により取得される現運転者識別情報をサーバ30に向けて送信可能である。また、車載情報通信装置21は、後述する車両使用情報取得部23により取得される現運転者使用情報をサーバ30に向けて送信可能である。なお、車載情報通信装置21に代えて、携帯端末10による通信を用いることも可能である。
【0024】
運転者識別情報取得部22は、例えば、ドライブレコーダー等のカメラで構成されており、車両20を運転している運転者の固有の情報(例えば、顔の形状)を画像撮影することができる。運転者識別情報取得部22は、撮影画像を現運転者識別情報として取得し、取得された現運転者識別情報は、車載情報通信装置21を介してサーバ30に送信される。なお、運転者識別情報取得部22は、顔の撮影に代えて、あるいは、顔の撮影と共に、運転者の容姿を撮影するものや、指紋や光彩等の情報を取得するものとしても良い。なお、車両20に運転者識別情報取得部22を設けない構成とすることも可能である。
【0025】
車両使用情報取得部23は、例えば、車載されているイベントデータレコーダー(EDR)等で構成することができる。車両使用情報取得部23は、現在、車両20を運転している運転者の車両使用状態に関する情報(例えば、ブレーキやアクセルの踏み加減、ハンドル操作)を現運転者使用情報として取得することができる。車両使用情報取得部23により取得された現運転者使用情報は、車載情報通信装置21を介して、サーバ30に送信される。なお、車両20に車両使用情報取得部23を設けない構成とすることも可能である。
【0026】
ヘッドユニット24は、例えば、車載されているナビゲーションシステムやディスプレイ等で構成することができる。ヘッドユニット24は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の通信手段を有しており、携帯端末10及び車載情報通信装置21との間において情報通信することが可能である。また、ヘッドユニット24は、音声入力装置を有しており、運転者の発話を音声により入力することができる。ヘッドユニット24は、運転者により入力される音声情報を、車載情報通信装置21を介してサーバ30に送信することができる。また、ヘッドユニット24は、サーバ30から通知される各種の情報(例えば、所有者に対するシステムへの登録の催促、所有者の確認、システムの解約)を表示させることが可能である。なお、車両20にヘッドユニット24を搭載しない構成とすることも可能である。かかる場合は、携帯端末10を利用したり、その他の音声入力装置や表示装置等を用いたりしても良い。
【0027】
次に、車載情報通信装置21を介して接続されるサーバ30について、以下に詳細を説明する。サーバ30は、例えば、車両所有者変更検知システム1を管理するホストコンピュータにより構成されている。サーバ30は、情報蓄積部31と、情報処理部32等を有している。サーバ30は、適宜の通信装置(図示せず)を有しており、車両20の車載情報通信装置21及び携帯端末10との無線による通信が可能である。
【0028】
情報蓄積部31は、データベースで構成されている。情報蓄積部31は、車両所有者として車両所有者変更検知システム1の利用契約を行っている利用契約者を特定するための契約者情報、及び前記利用契約者に紐付けられた携帯端末10に係る端末固有情報を車両20と関連づけて蓄積することができる。また、情報蓄積部31は、車両所有者に係る運転者情報を車両20と関連づけて車両所有者識別情報として蓄積可能である。また、情報蓄積部31は、車両所有者に係る過去の車両20の使用状態を車両所有者使用情報として蓄積(登録)可能である。
【0029】
情報処理部32は、情報蓄積部31に蓄積された各種の情報や、所有者等への各種の通知における処理、音声入力情報の解析、画像処理等、車両所有者変更検知システム1に係る各種の情報を処理することができる。
【0030】
情報処理部32は、車載情報通信装置21から受信した現接続端末固有情報と、受信した前記現接続端末固有情報の発信元である車載情報通信装置21が搭載された車両20に関連づけられた端末固有情報とを比較する。また、情報処理部32は、前記比較により、前記現接続端末固有情報と前記端末固有情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約者情報の変更がなされていないと判定することができる。すなわち、車両20と関連づけられた携帯端末10に基づいて、現在車両20を使用している者が、車両20の所有者と一致するか否かを判断することができる。これにより、車両20の所有者の契約者情報が、正しく変更されているか否かを判断することができる。また、前所有者の個人情報等が、新所有者に漏洩することを抑制できる。
【0031】
また、情報処理部32は、前記現運転者識別情報と前記車両所有者識別情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約者情報の変更がなされていないと判定することができる。すなわち、顔等の運転者固有の識別情報に基づいて、契約者情報の変更がなされていないと判定することができる。これにより、前所有者と現所有者との違いをより確実に把握することができ、車両所有者の変更を精度良く検知することができる。
【0032】
また、情報処理部32は、前記現車両使用情報と前記車両所有者使用情報とが異なり、かつ、前記契約者情報に変更がないことを条件として、前記契約情報の変更がなされていないと判定することができる。すなわち、運転者固有の車両使用情報に基づいて、契約者情報の変更がなされていないと判定することができる。これにより、前所有者と現所有者との違いをより確実に把握することができ、車両所有者の変更を精度良く検知することができる。
【0033】
また、情報処理部32は、前記契約者情報が変更されていないと判定されたことを条件として、前記車両所有者に前記契約者情報の変更を促す通知を行うようにすることができる。これにより、車両の所有者が、契約者情報の変更(解約を含む)を失念していた場合でも、車両の所有者に契約者情報の変更が必要であることを気づかせることができる。また、所有者の個人情報等が漏洩することを抑制できる。
【0034】
以上が、本発明の車両所有者変更検知システム1の一実施形態に係る構成であり、続いて、車両所有者変更検知システム1の動作について、
図3~
図5の動作フローに基づいて説明する。本動作フローでは、車両メーカーや販売者等が提供する通信サービス(コネクトサービスとも称する)として、車両所有者変更検知システム1が利用される場合を例として説明する。
【0035】
図3は、車両所有者として車両所有者変更検知システム1の利用契約を行っている利用契約者を特定するための契約者情報、及び前記利用契約者に紐付けられた携帯端末10に係る前記端末固有情報を車両20と関連づけてサーバ30に登録する際のフロー図である。なお、携帯端末10としてスマートフォン10(スマホ10とも称する)が用いられ、運転者識別情報取得部22としてドライブレコーダー22が用いられる場合を例として説明する。
【0036】
まず、車両20を最初に使用する前所有者の車両20の使用が開始される。前所有者による車両使用が開始されると、車両所有者変更検知システム1をアプリケーション(アプリとも称する)として使用する場合(ステップS1)、Wi-Fi接続を使用する場合(ステップS3)、スマホ10と連携させて使用する場合(ステップS6)、ドライブレコーダー22が使用される場合(ステップS12)、音声指令を使用する場合(ステップS15)のそれぞれに分岐される。上記のステップS1におけるアプリは、携帯端末10上で実行されるものとする。
【0037】
車両所有者変更検知システム1をアプリとして使用する場合(ステップS1)は、スマホ10のIMEI(International Mobile Equipment Identity)に関する情報がサーバ30の情報蓄積部31に登録される(ステップS2)。ここで、IMEIとは、携帯端末10の識別番号(端末固有情報とも称する)である。ステップS2における登録により、車両20と端末固有情報とが関連づけされる。すなわち、利用契約者に紐付けられたスマホ10に係る端末固有情報を車両20と関連づけすることができる。続いて、IMEI情報登録に基づき、車両20の所有者情報が、情報蓄積部31に登録される(ステップS19)。これにより、車両20と所有者情報(契約者情報)とが関連づけされる。なお、契約者情報は、車両20を新規に購入した際に販売店等を通じて、サーバ30に登録するようにしても良い。
【0038】
Wi-Fi接続を使用する場合(ステップS3)は、車載情報通信装置21を介して、Wi-Fi情報の送信が行われる(ステップS4)。ここで、Wi-Fi情報とは、例えば、Wi-Fiによる接続履歴である。送信されたWi-Fi情報は、サーバ30に受信される(ステップS5)。サーバ30で受信されたWi-Fi情報は、情報蓄積部31に車両20の所有者情報として登録される(ステップS19)。これにより、車両20と所有者情報(契約者情報)とが関連づけされる。
【0039】
スマホ10と連携させて使用する場合(ステップS6)は、スマホ10が、Bluetooth(登録商標、図示において、BLEとも称する)により、ヘッドユニット24に接続される(ステップS7)。スマホ10が、ヘッドユニット24に接続されると、車載情報通信装置21を介してBLE情報がサーバ30に送信される(ステップS8)。ここで、BLE情報とは、スマホ10の端末固有情報(IMEI情報を含む)である。送信されたBLE情報は、サーバ30に受信される(ステップS9)。サーバ30で受信されたBLE情報は、情報蓄積部31に車両20の所有者情報として登録される(ステップS19)。これにより、車両20と所有者情報(契約者情報)とが関連づけされる。また、アプリを使用したステップS10と同様に、利用契約者に紐付けられたスマホ10に係る端末固有情報を車両20と関連づけすることができる。
【0040】
ドライブレコーダー22が使用される場合は、ドライブレコーダー22により、運転者の顔等の画像撮影が行われる(ステップS12)。撮影画像の画像情報は、車載情報通信装置21を介してサーバ30に送信される(ステップS13)。送信された画像情報は、サーバ30に受信される(ステップS14)。サーバ30で受信された画像情報は、情報蓄積部31に車両20の所有者情報として登録される(ステップS19)。これにより、車両20と所有者情報(契約者情報)とが関連づけされる。
【0041】
音声指令を使用する場合(ステップS15)は、ヘッドユニット25に設けられるマイクを介して運転者による音声入力が行われる(ステップ16)。ヘッドユニット25による音声入力は、例えば、運転者がヘッドユニット25を操作して、音声入力受け付けモードに切り替えた後、運転者が発話することにより行われる。ステップS16により、入力された音声情報は、車載情報通信装置21を介してサーバ30に送信される(ステップS17)。送信された音声情報は、サーバ30に受信される(ステップS18)。サーバ30で受信された音声情報は、情報処理部32で解析され、情報蓄積部31に車両20の所有者情報として登録される(ステップS19)。これにより、車両20と所有者情報(契約者情報)とが関連づけされる。
【0042】
以上が、車両20の所有者情報の登録に係るフローであり、次に、
図4を参照しながら、車両所有者の判定についてのフローを説明する。
【0043】
新所有者(前所有者と同じ場合がある)による車両20の使用が開始されると、まず、車載情報通信装置21においてWi-Fi接続があるか否かが判定される(ステップS30)。ステップS30において、Wi-Fi接続がされていないと判定された場合は、Bluetooth(登録商標)による接続があるか否かの判定が行われる(ステップS34)。
【0044】
ステップS30において、Wi-Fi接続があると判定されると、アプリの使用があるか否かが判定される(ステップS31)。ステップS31において、アプリの使用がないと判定された場合は、上述同様にステップS34に処理が進められる。
【0045】
ステップS31において、アプリの使用が確認された場合は、所有者の判定(ステップS32)に移行し、所有者の判定が行われる(ステップS33)。ステップS33において、所有者と異なっていると判定された場合は、上述同様にステップS34に処理が進められる。ステップS33において、所有者であると判定された場合は、処理を終了させる。すなわち、所有者に変更がない場合は、処理が終了する。
【0046】
ステップS34において、BLE接続されていると判定された場合は、所有者の判定(ステップS35)に移行し、所有者の判定が行われる(ステップS36)。ステップS36において、所有者であると判定された場合は、処理を終了させる。ステップS36において、所有者とは異なっていると判定された場合は、ステップS37に処理が進められる。
【0047】
ステップS37においては、撮影画像か否かの判定(条件1)と、音声入力があるか否かの判定(条件2)とが判定される。ステップS37において、撮影画像がある(条件1を満たす)場合は、運転者識別情報取得部22により取得された撮影画像がサーバ30に送信され(ステップS38)、サーバ30において、撮影画像が受信される(ステップS39)。
【0048】
ステップS37において、音声入力がある(条件2を満たす)と判定された場合は、ヘッドユニット24を介して入力された音声情報が、サーバ30に送信され(ステップS42)、サーバ30において、音声情報が受信される(ステップS43)。
【0049】
ステップS37において、条件1及び条件2のいずれも満たさない場合は、車両使用情報による所有者判定に処理を移行する(ステップS46)。
【0050】
ステップS39が実行されると、ステップS40の所有者判定に移行し、所有者であるか否かの判定が行われる(ステップS41)。ステップS41において、所有者であると判定された場合は、処理を終了させる。すなわち、所有者に変更がない場合は、処理が終了する。ステップS41において、所有者と異なっていると判定された場合は、ステップS46の所有者判定に処理が移行する。
【0051】
ステップS43において音声情報が受信されると、所有者判定の処理に移行し(ステップS44)、所有者であるか否かの判定が行われる(ステップS45)。ステップS45において、所有者であると判定された場合は、処理を終了させる。すなわち、所有者に変更がない場合は、処理が終了する。ステップS45において、所有者と異なっていると判定された場合は、ステップS46の所有者判定に処理が移行する。
【0052】
ステップS46に処理が移行すると、所有者であるか否かの判定が行われる(ステップS47)。ステップS47において、所有者であると判定された場合は、処理を終了させる。すなわち、所有者に変更がない場合は、処理が終了する。ステップS47において、所有者と異なっていると判定された場合は、所有者変更に係る処理に移行する。
【0053】
以上が、車両所有者変更検知システム1における車両所有者の判定に係るフローであり、次に、前記ステップS47に続く、所有者変更に係る処理フローについて、
図5を参照しながら説明する。
【0054】
まず、所有者情報確認要求が、サーバ30からヘッドユニット24に送信される(ステップS60)。ヘッドユニット24では、所有者情報入力要求が、新所有者に向けて通知される(ステップS61)。ここで、所有者情報入力要求の通知は、ヘッドユニット24に画面表示される。なお、所有者情報入力要求の通知は、新所有者が携帯するスマホ10に対して行うようにしても良い。
【0055】
新所有者は、所有者情報入力要求の通知を受け、ヘッドユニット24に対して、所有者情報の入力を行う(ステップS62)。入力情報(所有者情報)は、ヘッドユニット24からサーバ30に向けて送信される(ステップS63)。
【0056】
サーバ30は、送信された入力情報を受信する(ステップS64)。ステップS64が完了すると、入力情報判定の処理に移行する(ステップS65)。ステップS65に処理が移行すると、所有者であるか否かが判定される(ステップS66)。
【0057】
ステップS66において、所有者であると判定された場合は、処理を終了させる。また、ステップS66において、所有者と異なっていると判定された場合は、登録催促の通知がサーバ30から新所有者が携帯するスマホ10に向けて送信される(ステップS67)。新所有者のスマホ10において、登録催促が受信される(ステップS68)。
【0058】
続いて、所有者の確認及び前所有者に対しての解約催促が、サーバ30から前所有者の携帯端末10等に行われる(ステップS69)。ここで、サーバ30から前所有者への通知は、情報蓄積部31に蓄積された契約者情報に基づいて行うことができる。サーバ30からの通知は、例えば、契約者情報として登録される契約者の電話番号やメールアドレスなどの連絡先に対して行えば良い。送信された確認や解約催促の通知は、前所有者の携帯端末10等で受信される(ステップS70)。ステップS69の処理が完了すると、処理が終了する。以上が、本発明に係る車両所有者変更検知システム1の動作フローの一実施形態である。
【0059】
上述したように本発明に係る車両所有者変更検知システム1では、車両所有者の変更を検知することに加えて、新所有者に対して契約者情報の変更を促したり、前所有者に対して、契約者情報の確認や契約の解約を促したりすることができる。そのため、車両20の前所有者が、契約者情報の変更や解約を失念していた場合でも、車両20の前所有者に契約者情報の変更が必要であることを気づかせることができる。これにより、前所有者の個人情報等が漏洩することを抑制できる。また、中古車販売のように、前所有者における通信サービスの契約情報をサービスの提供側で把握できない場合であっても、車両所有者変更検知システム1を利用することで、所有者の判定を行うことができる。これにより、前所有者に対して契約情報変更や解約が必要であることを通知することができる。また、新所有者に対して新規の登録を促すことができる。
【0060】
以上が、本発明に係る車両所有者変更検知システム1の実施形態であるが、本発明の車両所有者変更検知システム1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を行うことができる。
【0061】
本実施形態では、車両20とは別に設けられた携帯端末10として車両所有者が携帯するスマートフォンやタブレットを例示したが、携帯端末10は、スマートフォンやタブレットだけではなく、例えば、ウエアラブル端末等の各種の通信機器を用いることができる。また、車載情報通信装置21やヘッドユニット24と、携帯端末10との間の通信はBluetooth(登録商標)やWi-Fiによるものだけではなく、各種の通信手段を用いることができる。
【0062】
また、本実施形態では、情報処理装置30としてサーバ30が用いられる場合を例示したが、サーバ30だけではなく、各種の端末装置を用いるようにしても良い。また、情報処理装置30は、車両20とは別の各種の場所に設置することができる。例えば、自動車製造会社が管理するサーバやディーラーが管理するサーバや端末装置に配置しても良い。
【0063】
また、本実施形態では、車載情報通信装置21を介してサーバ30との間での情報通信を行うようにしたが、車載情報通信装置21を介さずに車両所有者等が携帯する携帯端末10を利用して、サーバ30との間の情報通信を行うようにしても良い。また、車載情報通信装置21は、送信と受信とがそれぞれ異なる通信装置が用いられるものでも良い。
【0064】
また、本実施形態では、車両20にヘッドユニット24が搭載された構成を例示したが、車両20にヘッドユニット24を搭載しない構成とすることも可能である。かかる場合は、携帯端末10を利用したり、その他の音声入力装置や表示装置等を用いたりしても良い。
【0065】
また、本実施形態では、携帯端末10に固有の端末固有情報(識別番号)を取得するようにしているが、携帯端末10を特定できるものであれば、各種の端末固有情報を使用することができる。例えば、携帯端末10との接続履歴によるものとすることもできる。また、契約者情報は、契約者に係る各種の情報(例えば、住所、電話番号、メールアドレス)を対象とすることができる。
【0066】
また、運転者識別情報取得部22は、ドライブレコーダー(カメラ)や音声入力装置を用いる場合を例示したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各種の認識装置を用いることができる。例えば、指紋認証や光彩認証が可能な認識装置を用いても良い。また、本実施形態では、画像情報や音声入力情報がサーバ30の情報処理部32により解析されるようにしているが、これらの解析は、携帯端末10やヘッドユニット24で行うようにしても良い。また、車両所有者変更検知システム1は、運転者識別情報取得部22を備えない構成としても良い。
【0067】
また、車両使用情報取得部23は、イベントデータレコーダー(EDR)だけではなく、車両使用情報を取得可能な各種の装置を用いることができる。また、車両使用情報として取得される情報は、ブレーキやアクセルの踏み加減、ハンドル操作によるものだけではなく、各種の情報を対象とすることができる。例えば、残燃料、燃費、車両の各種支援装置の動作状況等を利用することも可能である。また、車両所有者変更検知システム1は、車両使用情報取得部23を設けない構成とすることも可能である。
【0068】
以上が、本発明に係る車両所有者変更検知システム1の各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の車両所有者変更検知システムは、各種のコネクティッドカーに利用することができる。また、本発明の車両所有者変更検知システムは、車両メーカー、ディーラー等の販売店等における通信サービス(コネクトサービス)等の各種のサービス提供に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 :車両所有者変更検知システム
10 :携帯端末(スマホ)
20 :車両
21 :車載情報通信装置
22 :運転者識別情報取得部
23 :車両使用情報取得部
24 :ヘッドユニット(H/U)
30 :情報処理装置(サーバ)
31 :情報蓄積部
32 :情報処理部