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特開2022-118798パネル押圧装置、パネル押圧装置セット、および、パネル押圧方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118798
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】パネル押圧装置、パネル押圧装置セット、および、パネル押圧方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/18 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
E04G21/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015530
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】永木 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】高田 潤祐
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174AA03
2E174BA01
2E174DA10
2E174DA14
2E174DA34
2E174DA38
2E174DA63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】取付対象物から偏心した位置においてパネルを押圧可能なパネル押圧装置、パネル押圧装置セット、および、パネル押圧方法を提供する。
【解決手段】パネル押圧装置は、第1開口OP1から第2開口OP2まで第1方向DR1に延在する第1貫通孔部Hを有し、取付対象物に取り付けられる取付具2と、パネルを押圧可能な押圧具6とを具備する。押圧具は、基端部61および先端部66を有し、第1貫通孔部Hに挿入される軸部材と、軸部材60の先端部66に連結され、パネルを押圧可能な押圧部70とを備える。押圧部70は、取付対象物の中心面から偏心した位置においてパネルを押圧可能である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口から第2開口まで第1方向に延在する第1貫通孔部を有し、取付対象物に取り付けられる取付具と、
パネルを押圧可能な押圧具と
を具備し、
前記押圧具は、
基端部および先端部を有し、前記第1貫通孔部に挿入される軸部材と、
前記軸部材の前記先端部に連結され、前記パネルを押圧可能な押圧部と
を備え、
前記押圧部は、前記取付対象物の中心面から偏心した位置において前記パネルを押圧可能である
パネル押圧装置。
【請求項2】
前記取付具に対する前記軸部材の配置を、前記軸部材の前記先端部が前記第1開口から突出し、前記軸部材の前記基端部が前記第2開口から突出した第1配置と、前記軸部材の前記基端部が前記第1開口から突出し、前記軸部材の前記先端部が前記第2開口から突出した第2配置との間で変更可能である
請求項1に記載のパネル押圧装置。
【請求項3】
前記押圧具は、前記取付具に対して着脱可能な保持部材を備え、
前記保持部材は、前記軸部材の前記先端部が前記第1方向に平行な方向に沿って進退可能なように前記軸部材を保持する
請求項2に記載のパネル押圧装置。
【請求項4】
前記保持部材は、前記軸部材と螺合し、
前記保持部材は、前記保持部材が前記第1貫通孔部に対して相対回転するのを防止する回転規制部を有する
請求項3に記載のパネル押圧装置。
【請求項5】
前記取付具は、
前記取付対象物を押圧する第1押圧面を有する第1把持部材と、
前記取付対象物を押圧する第2押圧面を有する第2把持部材と、
前記第2押圧面を前記第1押圧面に向かう方向に相対移動させる第1操作部と
を備える
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパネル押圧装置。
【請求項6】
前記第2押圧面から前記第1押圧面に向かう方向を第3方向と定義し、前記第3方向とは反対の方向を第4方向と定義するとき、前記第1貫通孔部の中心軸は、前記第1押圧面よりも前記第3方向側に配置されるか、あるいは、前記第2押圧面よりも前記第4方向側に配置される
請求項5に記載のパネル押圧装置。
【請求項7】
前記第1押圧面と前記第2押圧面との間の間隔を段階形式で調整する第1調整機構と、
前記第1押圧面と前記第2押圧面との間の間隔を連続形式で調整する第2調整機構と
を備える
請求項5または6に記載のパネル押圧装置。
【請求項8】
前記押圧具は、前記軸部材を前記取付具に対して前記第1方向に平行な方向に相対移動させる第2操作部を備え、
前記第2操作部は、操作工具と係合可能な係合部を備え、
前記第2操作部は、前記軸部材から取り外し可能な交換部品である
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のパネル押圧装置。
【請求項9】
前記押圧部は、前記軸部材の中心軸に対して傾動可能なように、前記軸部材に取り付けられている
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のパネル押圧装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のパネル押圧装置と、
第2パネル押圧装置と
を具備し、
前記第2パネル押圧装置は、
前記取付対象物に取り付け可能な第2取付具と、
第2パネルを押圧可能な第2押圧具と
を備え、
前記パネル押圧装置の前記押圧部は、前記取付対象物の前記中心面から第5方向に偏心した位置において前記パネルを押圧可能であり、
前記第2パネル押圧装置の前記第2押圧具は、前記取付対象物の前記中心面から前記第5方向とは反対の第6方向に偏心した位置において前記第2パネルを押圧可能である
パネル押圧装置セット。
【請求項11】
パネル押圧装置を用いて実行されるパネル押圧方法であって、
前記パネル押圧装置は、
第1開口から第2開口まで第1方向に延在する第1貫通孔部を有する取付具と、
パネルを押圧可能な押圧具と
を具備し、
前記押圧具は、
基端部および先端部を有し、前記先端部が前記第1開口から突出し、前記基端部が前記第2開口から突出した第1配置と、前記基端部が前記第1開口から突出し、前記先端部が前記第2開口から突出した第2配置との間で配置変更可能な軸部材と、
前記軸部材の前記先端部に連結され、前記パネルを押圧可能な押圧部と
を備え、
前記パネル押圧方法は、
前記パネル押圧装置を取付対象物に取り付ける取付工程と、
前記押圧部を前記パネルに向けて移動させることにより、前記パネルを押圧する第1押圧工程と
を具備する
パネル押圧方法。
【請求項12】
少なくとも1つのパネル押圧装置を用いて実行されるパネル押圧方法であって、
前記パネル押圧装置は、
第1開口から第2開口まで第1方向に延在する第1貫通孔部を有する取付具と、
パネルを押圧可能な押圧具と
を具備し、
前記押圧具は、
基端部および先端部を有し、前記第1貫通孔部に挿入される軸部材と、
前記軸部材の前記先端部に連結され、前記パネルを押圧可能な押圧部と
を備え、
前記パネル押圧方法は、
前記パネル押圧装置の前記取付具を取付対象物に取り付ける取付工程と、
前記パネル押圧装置の前記軸部材の前記先端部に連結された前記押圧部を第1パネルに向けて移動させることにより、前記取付対象物の中心面から第5方向に偏心した位置において前記第1パネルを押圧する第1押圧工程と、
前記パネル押圧装置の前記取付具を前記取付対象物から取り外す取外工程と、
前記パネル押圧装置の前記取付具、あるいは、第2パネル押圧装置の第2取付具を、前記取付対象物または前記取付対象物とは別の取付対象物に取り付ける第2取付工程と、
前記押圧部または前記第2パネル押圧装置の第2押圧具を第2パネルに向けて移動させることにより、前記取付対象物の中心面または前記別の取付対象物の中心面から前記第5方向とは反対の第6方向に偏心した位置において前記第2パネルを押圧する第2押圧工程と
を具備する
パネル押圧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル押圧装置、パネル押圧装置セット、および、パネル押圧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パネルを押圧するパネル押圧装置が知られている。例えば、パネル押圧装置がパネルを押圧することにより、当該パネルと他のパネルとの間の隙間が減少する。こうして、他のパネルに対する当該パネルの位置および姿勢が、所望の位置および姿勢となる。また、パネル押圧装置がパネルを押圧することにより、当該パネルと他のパネルとの間の密着性が向上する。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、パネル密着用治具が開示されている。特許文献1に記載のパネル密着用治具は、ベース部と、ベース部に対して移動可能な固定用ジャッキ部と、第2パネルの端面を第1パネルに向けて押圧する押圧用ジャッキ部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3162511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、取付対象物から偏心した位置においてパネルを押圧可能なパネル押圧装置、パネル押圧装置セット、および、パネル押圧方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す、パネル押圧装置、パネル押圧装置セット、および、パネル押圧方法に関する。
【0007】
(1)第1開口から第2開口まで第1方向に延在する第1貫通孔部を有し、取付対象物に取り付けられる取付具と、
パネルを押圧可能な押圧具と
を具備し、
前記押圧具は、
基端部および先端部を有し、前記第1貫通孔部に挿入される軸部材と、
前記軸部材の前記先端部に連結され、前記パネルを押圧可能な押圧部と
を備え、
前記押圧部は、前記取付対象物の中心面から偏心した位置において前記パネルを押圧可能である
パネル押圧装置。
(2)前記取付具に対する前記軸部材の配置を、前記軸部材の前記先端部が前記第1開口から突出し、前記軸部材の前記基端部が前記第2開口から突出した第1配置と、前記軸部材の前記基端部が前記第1開口から突出し、前記軸部材の前記先端部が前記第2開口から突出した第2配置との間で変更可能である
上記(1)に記載のパネル押圧装置。
(3)前記押圧具は、前記取付具に対して着脱可能な保持部材を備え、
前記保持部材は、前記軸部材の前記先端部が前記第1方向に平行な方向に沿って進退可能なように前記軸部材を保持する
上記(2)に記載のパネル押圧装置。
(4)前記保持部材は、前記軸部材と螺合し、
前記保持部材は、前記保持部材が前記第1貫通孔部に対して相対回転するのを防止する回転規制部を有する
上記(3)に記載のパネル押圧装置。
(5)前記取付具は、
前記取付対象物を押圧する第1押圧面を有する第1把持部材と、
前記取付対象物を押圧する第2押圧面を有する第2把持部材と、
前記第2押圧面を前記第1押圧面に向かう方向に相対移動させる第1操作部と
を備える
上記(1)乃至(4)のいずれか一つに記載のパネル押圧装置。
(6)前記第2押圧面から前記第1押圧面に向かう方向を第3方向と定義し、前記第3方向とは反対の方向を第4方向と定義するとき、前記第1貫通孔部の中心軸は、前記第1押圧面よりも前記第3方向側に配置されるか、あるいは、前記第2押圧面よりも前記第4方向側に配置される
上記(5)に記載のパネル押圧装置。
(7)前記第1押圧面と前記第2押圧面との間の間隔を段階形式で調整する第1調整機構と、
前記第1押圧面と前記第2押圧面との間の間隔を連続形式で調整する第2調整機構と
を備える
上記(5)または(6)に記載のパネル押圧装置。
(8)前記押圧具は、前記軸部材を前記取付具に対して前記第1方向に平行な方向に相対移動させる第2操作部を備え、
前記第2操作部は、操作工具と係合可能な係合部を備え、
前記第2操作部は、前記軸部材から取り外し可能な交換部品である
上記(1)乃至(7)のいずれか一つに記載のパネル押圧装置。
(9)前記押圧部は、前記軸部材の中心軸に対して傾動可能なように、前記軸部材に取り付けられている
上記(1)乃至(8)のいずれか一つに記載のパネル押圧装置。
(10)上記(1)乃至(9)のいずれか一つに記載のパネル押圧装置と、
第2パネル押圧装置と
を具備し、
前記第2パネル押圧装置は、
前記取付対象物に取り付け可能な第2取付具と、
第2パネルを押圧可能な第2押圧具と
を備え、
前記パネル押圧装置の前記押圧部は、前記取付対象物の前記中心面から第5方向に偏心した位置において前記パネルを押圧可能であり、
前記第2パネル押圧装置の前記第2押圧具は、前記取付対象物の前記中心面から前記第5方向とは反対の第6方向に偏心した位置において前記第2パネルを押圧可能である
パネル押圧装置セット。
(11)パネル押圧装置を用いて実行されるパネル押圧方法であって、
前記パネル押圧装置は、
第1開口から第2開口まで第1方向に延在する第1貫通孔部を有する取付具と、
パネルを押圧可能な押圧具と
を具備し、
前記押圧具は、
基端部および先端部を有し、前記先端部が前記第1開口から突出し、前記基端部が前記第2開口から突出した第1配置と、前記基端部が前記第1開口から突出し、前記先端部が前記第2開口から突出した第2配置との間で配置変更可能な軸部材と、
前記軸部材の前記先端部に連結され、前記パネルを押圧可能な押圧部と
を備え、
前記パネル押圧方法は、
前記パネル押圧装置を取付対象物に取り付ける取付工程と、
前記押圧部を前記パネルに向けて移動させることにより、前記パネルを押圧する第1押圧工程と
を具備する
パネル押圧方法。
(12)少なくとも1つのパネル押圧装置を用いて実行されるパネル押圧方法であって、
前記パネル押圧装置は、
第1開口から第2開口まで第1方向に延在する第1貫通孔部を有する取付具と、
パネルを押圧可能な押圧具と
を具備し、
前記押圧具は、
基端部および先端部を有し、前記第1貫通孔部に挿入される軸部材と、
前記軸部材の前記先端部に連結され、前記パネルを押圧可能な押圧部と
を備え、
前記パネル押圧方法は、
前記パネル押圧装置の前記取付具を取付対象物に取り付ける取付工程と、
前記パネル押圧装置の前記軸部材の前記先端部に連結された前記押圧部を第1パネルに向けて移動させることにより、前記取付対象物の中心面から第5方向に偏心した位置において前記第1パネルを押圧する第1押圧工程と、
前記パネル押圧装置の前記取付具を前記取付対象物から取り外す取外工程と、
前記パネル押圧装置の前記取付具、あるいは、第2パネル押圧装置の第2取付具を、前記取付対象物または前記取付対象物とは別の取付対象物に取り付ける第2取付工程と、
前記押圧部または前記第2パネル押圧装置の第2押圧具を第2パネルに向けて移動させることにより、前記取付対象物の中心面または前記別の取付対象物の中心面から前記第5方向とは反対の第6方向に偏心した位置において前記第2パネルを押圧する第2押圧工程と
を具備する
パネル押圧方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、取付対象物から偏心した位置においてパネルを押圧可能なパネル押圧装置、パネル押圧装置セット、および、パネル押圧方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態におけるパネル押圧装置の第1の使用態様を模式的に示す図である。
図2図2は、第1の実施形態におけるパネル押圧装置の第2の使用態様を模式的に示す図である。
図3図3は、パネル押圧装置の押圧具によって押圧される位置を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施形態におけるパネル押圧装置を模式的に示す図である。
図5図5は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略正面図である。
図6図6は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略2面図である。
図7図7は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略平面図である。
図8図8は、第2の実施形態の第1変形例におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略平面図である。
図9図9は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略側面図である。
図10図10は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略側面図である。
図11図11は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略側面図である。
図12図12は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略平面図である。
図13図13は、第2の実施形態の第2変形例におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略平面図である。
図14図14は、押圧部の一例を模式的に示す概略背面図である。
図15図15は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略正面図である。
図16図16は、第2の実施形態の第3変形例におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略2面図である。
図17図17は、第2の実施形態の第4変形例におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略平面図である。
図18図18は、第2の実施形態の第5変形例におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略平面図である。
図19図19は、図18におけるA-A矢視断面図である。
図20図20は、第2の実施形態の第6変形例におけるパネル押圧装置を模式的に示す概略平面図である。
図21図21は、図20におけるB-B矢視断面図である。
図22図22は、第1把持部材の一例を模式的に示す概略断面図である。
図23図23は、種々の取付対象物に、パネル押圧装置を迅速に取り付け可能な様子を模式的に示す図である。
図24図24は、実施形態におけるパネル押圧方法の一例を示すフローチャートである。
図25図25は、実施形態におけるパネル押圧方法の一工程を実行中の様子を模式的に示す図である。
図26図26は、実施形態におけるパネル押圧方法の他の一工程を実行中の様子を模式的に示す図である。
図27図27は、第3の実施形態におけるパネル押圧装置セットを模式的に示す概略正面図である。
図28図28は、パネル押圧装置が、取付対象物に取り付けられた状態を模式的に示す概略正面図である。
図29図29は、第2パネル押圧装置が、取付対象物に取り付けられた状態を模式的に示す概略正面図である。
図30図30は、第1押圧面と第2押圧面との間の間隔を段階形式で調整する第1調整機構の更なる変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施形態におけるパネル押圧装置1、パネル押圧装置セット10、および、パネル押圧方法について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0011】
(第1の実施形態)
図1乃至図4を参照して、第1の実施形態におけるパネル押圧装置1Aについて説明する。図1は、第1の実施形態におけるパネル押圧装置1Aの第1の使用態様を模式的に示す図である。図2は、第1の実施形態におけるパネル押圧装置1Aの第2の使用態様を模式的に示す図である。図3は、パネル押圧装置の押圧具によって押圧される位置を説明するための図である。図4は、第1の実施形態におけるパネル押圧装置1Aを模式的に示す図である。なお、図4は、押圧具6が、取付具2に取り付けられる前の状態を示す。
【0012】
図1に記載の例では、パネル押圧装置1Aは、支柱等の取付対象物Eに取り付けられる取付具2と、パネルPを押圧可能な押圧具6とを備える。
【0013】
取付具2は、任意の方法で、取付対象物Eに取り付けられる。取付具2は、第1開口OP1から第2開口OP2まで第1方向DR1に延在する第1貫通孔部Hを有する。図1に記載の例では、第1開口OP1は、取付具2の第1面2aに形成され、第2開口OP2は、取付具2の第2面2bに形成されている。第2面2bは、第1面2aとは反対側の面である。なお、本明細書において、第1方向DR1とは、取付具2の第1開口OP1から取付具2の第2開口OP2に向かう方向を意味し、第2方向DR2とは、取付具2の第2開口OP2から取付具2の第1開口OP1に向かう方向(換言すれば、第1方向DR1とは反対の方向)を意味する。
【0014】
押圧具6は、軸部材60と、押圧部70とを備える。
【0015】
軸部材60は、第1貫通孔部Hに挿入される。図1に記載の例では、軸部材60は、基端部61と、先端部66とを有する。
【0016】
押圧部70は、軸部材60の先端部66に連結される。押圧部70は、パネルPを押圧可能な部分である。図1に記載の例では、押圧部70と軸部材60とが一体的に形成されている。代替的に、押圧部70と軸部材60とが別々に形成され、押圧部70が軸部材60に取り付けられていてもよい。
【0017】
図1に記載の例では、押圧具6が、取付具2に対して第2方向DR2に相対移動することにより、押圧部70が、第1パネルP1を押圧する。こうして、第1パネルP1が第3パネルP3に向けて押圧され、第1パネルP1と第3パネルP3とが密着する。図1に記載の例では、第1パネルP1は、第3パネルP3と係合可能な係合部Fを有する。押圧部70が第1パネルP1を押圧すると、第1パネルP1の係合部Fが、第3パネルP3に押し込まれる。
【0018】
第1の実施形態におけるパネル押圧装置1Aでは、取付具2に対する軸部材60の配置を、第1配置(図1を参照。)と、第2配置(図2を参照。)との間で変更可能である。
【0019】
図1に例示されるように、取付具2に対する軸部材60の配置が第1配置であるとき、軸部材60の先端部66は第1開口OP1から突出し、軸部材60の基端部61は第2開口OP2から突出する。この場合、第1開口OP1から突出する先端部66に連結された押圧部70により、第1パネルP1が押圧される。図1に記載の例では、第1開口OP1は、取付具2の中心よりも左側に配置されている。よって、押圧部70は、取付対象物Eの中心面CPから第5方向DR5(例えば、左方向)に偏心した位置において第1パネルP1を押圧可能である。より具体的には、押圧部70は、取付対象物Eに対して相対的に左側に配置された第1パネルP1を押圧可能である。
【0020】
図2に例示されるように、取付具2に対する軸部材60の配置が第2配置であるとき、軸部材60の基端部61は第1開口OP1から突出し、軸部材60の先端部66は第2開口OP2から突出する。この場合、第2開口OP2から突出する先端部66に連結された押圧部70により、第2パネルP2が押圧される。図2に記載の例では、第2開口OP2は、取付具2の中心よりも右側に配置されている。よって、押圧部70は、取付対象物Eの中心面CPから第5方向DR5とは反対の第6方向DR6(例えば、右方向)に偏心した位置において第2パネルP2を押圧可能である。より具体的には、押圧部70は、取付対象物Eに対して相対的に右側に配置された第2パネルP2を押圧可能である。
【0021】
第1の実施形態では、取付具2に対する押圧具6の配置を変更可能なパネル押圧装置1A、より具体的には、取付具2に対する軸部材60の配置を、第1配置と第2配置との間で変更可能なパネル押圧装置1Aが提供される。
【0022】
従来のパネル押圧装置では、正面視で、パネルPのうち支柱と重なる部分(図3において、一点鎖線の円で囲まれる部分)が押圧される。この場合、支柱と重なる領域に第1パネルP1が配置されていると、当該支柱に取り付けられたパネル押圧装置を用いて、支柱と重なる領域にある第2パネルP2を強力に押圧することが困難である。先行して配置された第1パネルP1が、次に配置される第2パネルP2の押圧の妨げとなるからである。
【0023】
これに対し、第1の実施形態におけるパネル押圧装置1Aでは、取付具2に対する押圧具6の配置を変更可能である。換言すれば、パネル押圧装置1Aの押圧部70によって押圧される位置を変更可能である。より具体的には、図3における矢印AR3で示される位置で、第1パネルP1を押圧することができ、図3における矢印AR4で示される位置で、第2パネルP2を押圧することができる。よって、図3に例示されるように、支柱と重なる領域に、2つのパネルが配置される場合であっても、2つのパネルの各々を強力に押圧することができる。
【0024】
続いて、図1乃至図4を参照して、第1の実施形態、あるいは、後述の第2の実施形態において、採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0025】
図4に記載の例では、軸部材60を第1開口OP1から第1貫通孔部Hに挿入することと、軸部材60を第2開口OP2から第1貫通孔部Hに挿入することとを選択的に実行可能である(矢印AR1および矢印AR2を参照。)。
【0026】
図4の矢印AR1に示されるように、軸部材60を第1開口OP1から第1貫通孔部Hに挿入すると、取付具2に対する軸部材60の配置は、上述の第1配置(より具体的には、軸部材60の基端部61が第2開口OP2から第1方向DR1に突出し、押圧部70が連結される先端部66が第1開口OP1から第2方向DR2に突出する配置)となる。
【0027】
他方、図4の矢印AR2に示されるように、軸部材60を第2開口OP2から第1貫通孔部Hに挿入すると、取付具2に対する軸部材60の配置は、上述の第2配置(より具体的には、軸部材60の基端部61が第1開口OP1から第2方向DR2に突出し、押圧部70が連結される先端部66が第2開口OP2から第1方向DR1に突出する配置)となる。
【0028】
図4に例示されるように、軸部材60を第1開口OP1から第1貫通孔部Hに挿入することと、軸部材60を第2開口OP2から第1貫通孔部Hに挿入することとを選択的に実行可能である場合、取付具2に対する軸部材60の配置を、第1配置と第2配置との間で容易に変更することができる。また、軸部材60の先端部66に押圧部70が連結された状態で、軸部材60を第1開口OP1から第1貫通孔部Hに挿入することが可能となり、軸部材60の先端部66に押圧部70が連結された状態で、軸部材60を第2開口OP2から第1貫通孔部Hに挿入することが可能となる。
【0029】
なお、軸部材60が第1貫通孔部Hに挿入されてから、軸部材60に押圧部70が連結されるような場合には、軸部材60は、第1開口OP1および第2開口OP2のうちの一方のみから第1貫通孔部Hに挿入可能であってもよい。
【0030】
図1および図2に記載の例では、取付具2の中心に対する第1貫通孔部Hの配置を変更するために、取付対象物Eに対する取付具2の取付姿勢を、第1姿勢と第2姿勢との間で変更可能である。第2姿勢は、第1姿勢から180度反転された姿勢である。
【0031】
図1および図2に記載の例では、取付具2は、取付具2の姿勢を示す姿勢指示部材18を有する。例えば、姿勢指示部材18が取付具2の上側にあることは、取付具2の取付姿勢が第1姿勢であることを示し、姿勢指示部材18が取付具2の下側にあることは、取付具2の取付姿勢が第2姿勢であることを示す。なお、姿勢指示部材18は、省略されてもよい。
【0032】
(第2の実施形態)
図5乃至図23を参照して、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bについて説明する。図5は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略正面図である。なお、図5は、押圧具6が、取付具2に取り付けられる前の状態を示す。図6は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略2面図である。なお、図6において、上側には、概略平面図が記載され、下側には、概略正面図が記載されている。図7は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略平面図である。図8は、第2の実施形態の第1変形例におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略平面図である。図9は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略側面図である。なお、図9は、押圧具6が、取付具2に取り付けられる前の状態を示す。図10および図11は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略側面図である。なお、図10における軸部材60の配置は第1配置であり、図11における軸部材60の配置は第2配置である。図12は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略平面図である。図13は、第2の実施形態の第2変形例におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略平面図である。図14は、押圧部70の一例を模式的に示す概略背面図である。図15は、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略正面図である。図16は、第2の実施形態の第3変形例におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略2面図である。なお、図16において、上側には、概略平面図が記載され、下側には、概略正面図が記載されている。図17は、第2の実施形態の第4変形例におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略平面図である。図18は、第2の実施形態の第5変形例におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略平面図である。図19は、図18におけるA-A矢視断面図である。図20は、第2の実施形態の第6変形例におけるパネル押圧装置1Bを模式的に示す概略平面図である。図21は、図20におけるB-B矢視断面図である。図22は、第1把持部材20の一例を模式的に示す概略断面図である。図23は、種々の取付対象物Eに、パネル押圧装置1を迅速に取り付け可能な様子を模式的に示す図である。
【0033】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0034】
図5に例示されるように、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bは、(1)第1開口OP1から第2開口OP2まで第1方向DR1に延在する第1貫通孔部Hを有し、取付対象物に取り付けられる取付具2と、(2)パネルを押圧可能な押圧具6と、を具備する。(3)押圧具6は、基端部61および先端部66を有し、第1貫通孔部Hに挿入される軸部材60と、軸部材60の先端部66に連結され、パネルを押圧可能な押圧部70と、を備える。(4)押圧部70は、取付対象物の中心面から偏心した位置においてパネルを押圧可能である。
【0035】
よって、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0036】
図5に例示されるように、パネル押圧装置1Bにおいて、取付具2に対する軸部材60の配置を、軸部材60の先端部66が第1開口OP1から突出し、軸部材60の基端部61が第2開口OP2から突出した第1配置と、軸部材60の基端部61が第1開口OP1から突出し、軸部材60の先端部66が第2開口OP2から突出した第2配置との間で変更可能であってもよい。
【0037】
図6に記載の例では、取付具2は、第1把持部材20と、第2把持部材30と、第1操作部36とを有する。取付具2が、第1把持部材20および第2把持部材30を有する場合、支柱等の取付対象物を、第1把持部材20と、第2把持部材30とによって挟持することが可能である。こうして、取付具2を、取付対象物に強力に固定することができる。
【0038】
第1把持部材20は、取付対象物を押圧する第1押圧面23aを有する。第1把持部材20は、1つの部品によって構成されていてもよく、複数の部品のアセンブリによって構成されていてもよい。
【0039】
第2把持部材30は、取付対象物を押圧する第2押圧面33aを有する。第2把持部材30は、1つの部品によって構成されていてもよく、複数の部品のアセンブリによって構成されていてもよい。第2把持部材30の第2押圧面33aは、第1把持部材20の第1押圧面23aに向かって移動可能である。
【0040】
第1操作部36は、第2押圧面33aを第1押圧面23aに向かう方向に相対移動させる。図7に記載の例では、第1操作部36が、第1回転方向R1に操作されることにより、第2押圧面33aが第1押圧面23aに近づく方向に移動する。こうして、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が縮小し、支柱等の取付対象物を、第1押圧面23aと、第2押圧面33aとによって挟持することができる。
【0041】
他方、図7に記載の例では、第1操作部36が、第1回転方向R1とは反対の第2回転方向R2に操作されることにより、第2押圧面33aが第1押圧面23aから離れる方向に移動する。こうして、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が拡大し、支柱等の取付対象物から、取付具2を取り外すことができる。
【0042】
図7に記載の例では、第1操作部36は、取付具2の姿勢を示す姿勢指示部材18として機能する。例えば、正面視で、第1操作部36が取付具2の左側にあるとき、取付具2の姿勢は第1姿勢である。また、正面視で、第1操作部36が取付具2の右側にあるとき、取付具2の姿勢は第2姿勢である。あるいは、図23において破線で示されるように、パネル押圧装置1が、パネルを横方向に押圧する場合には、正面視で、第1操作部36が取付具2の下側にあるとき、取付具2の姿勢は第1姿勢である。また、正面視で、第1操作部36が取付具2の上側にあるとき、取付具2の姿勢は第2姿勢である。
【0043】
図7に記載の例では、第2把持部材30は、ベース部31と、ベース部31に対して相対移動可能な移動部32とを備える。移動部32には、第2押圧面33aが配置されている。図7に記載の例では、第1操作部36が操作されることにより、ベース部31に対して移動部32が相対移動する。こうして、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が変化する。
【0044】
図7に記載の例では、移動部32は、第2押圧面33aを有する第2押圧部33と、軸部34とを有する。軸部34は、ベース部31と螺合している。より具体的には、ベース部31は、雌ネジ部31sを有し、軸部34は、当該雌ネジ部31sに螺合する雄ネジ部34sを有する。
【0045】
第2押圧面33aから第1押圧面23aに向かう方向を第3方向DR3と定義し、第3方向DR3とは反対の方向を第4方向DR4と定義する。図7に記載の例では、第3方向DR3および第4方向DR4は、第1方向DR1(換言すれば、第1貫通孔部Hの延在方向)と垂直な方向である。
【0046】
図7に記載の例では、第1貫通孔部Hの中心軸AX1は、第2押圧面33aよりも第4方向DR4側に配置されている。代替的に、図8に例示されるように、第1貫通孔部Hの中心軸AX1は、第1押圧面23aよりも第3方向DR3側に配置されていてもよい。より具体的には、図7に示されるように、第1貫通孔部Hを、第2把持部材30のベース部31に設けるのに代えて、図8に示されるように、第1貫通孔部Hを、第1把持部材20に設けてもよい。
【0047】
第1貫通孔部Hの中心軸AX1が、第1押圧面23aよりも第3方向DR3側(図8を参照。)に配置されるか、あるいは、第2押圧面33aよりも第4方向DR4側(図7を参照。)に配置される場合、取付具2を反転させたときに、取付具2の中心に対する第1貫通孔部Hの位置が大きく変更される。換言すれば、図3において、矢印AR3で示される位置と矢印AR4で示される位置との間の間隔が大きくなる。よって、先行して配置された第1パネルP1と干渉しない位置に、パネル押圧装置1Bの押圧具6を配置することがより容易となる。
【0048】
なお、押圧部70による押圧位置を、取付対象物(例えば、支柱)の中心面から偏心させる観点からは、少なくとも、第1押圧面23aと第2押圧面33aとから等距離にある面PL(図7あるいは図8を参照。)に対して、第1貫通孔部Hの中心軸AX1の位置が偏心していればよい。
【0049】
ただし、図7あるいは図8に記載の例では、第1押圧面23aと第2押圧面33aとから等距離にある面PLは、第2押圧面33aが第1押圧面23aに向かって移動するにつれて変化する点に留意する必要がある。
【0050】
このため、実用的な観点から、支柱等の取付対象物の幅が、100mm程度、あるいは、50mm程度である場合を想定する(このような想定は、常識的な想定である。)。この場合、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の距離Lが100mmである状態において(あるいは、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の距離Lが50mmである状態において)、第1押圧面23aと第2押圧面33aとから等距離にある面PLに対して、第1貫通孔部Hの中心軸AX1の位置が偏心していればよい。
【0051】
図7あるいは図8に記載の例では、押圧部70(より具体的には、後述の第1板部71)も、第1押圧面23aと第2押圧面33aとから等距離にある面PLから偏心している。
【0052】
続いて、図5乃至図23を参照して、第2の実施形態、あるいは、既述の第1の実施形態において、採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0053】
(保持部材80)
図9に記載の例では、押圧具6は、軸部材60を保持する保持部材80を備える、保持部材80は、取付具2に対して着脱可能である。保持部材80が取付具2に取り付けられると、軸部材60は、保持部材80介して、取付具2によって支持される。
【0054】
図10に記載の例では、保持部材80は、第1貫通孔部H内に配置される筒部81を有する。軸部材60は、筒部81の内面によって保持される。この場合、取付具2が、保持部材80を介して、軸部材60を支持する構造がシンプルとなる。
【0055】
図10に記載の例では、第1貫通孔部Hの中心軸AX1と、軸部材60の中心軸AXとが一致し、軸部材60の中心軸AXと、筒部81の中心軸とが一致している。換言すれば、筒部81は、軸部材60および第1貫通孔部Hと同心的に配置されている。
【0056】
図9に記載の例では、軸部材60を、取付具2の第1貫通孔部Hに挿入し(矢印AR5を参照。)、その後、ピン部材11を、保持部材80に係合させることにより、保持部材80が取付具2に取り付けられる。図9に記載の例では、保持部材80は、凹部80a(より具体的には、環状の凹部)を有し、ピン部材11の先端11aが、当該凹部80aと係合する。図9に記載の例では、凹部80aは、保持部材80の筒部81の外周面に形成されている。
【0057】
図9に記載の例では、取付具2は、ピン部材11と、ピン部材11の軸部が挿入されるピン穴12hとを有する。
【0058】
図9に記載の例では、ピン部材11は、ピン穴12hと螺合している。より具体的には、ピン部材11は、雄ネジ部11sを有し、ピン穴12hは、当該雄ネジ部11sと螺合する雌ネジ部12sを有する。ピン部材11は、作業者によって操作可能な操作部13と連結されていることが好ましい。
【0059】
図9に記載の例では、操作部13を第1操作方向に操作することにより、ピン部材11の先端11aを第1貫通孔部H内に突出させることができる。こうして、ピン部材11と、第1貫通孔部Hに挿入された保持部材80とを係合させることができる。
【0060】
図10に記載の例では、操作部13を第2操作方向に操作することにより、ピン部材11の先端11aを第1貫通孔部H内から退避させることができる。こうして、ピン部材11と、第1貫通孔部Hに挿入された保持部材80との間の係合が解除される。
【0061】
代替的に、ピン部材11は、第1貫通孔部Hに向かう方向に付勢された状態で、取付具2に配置されていてもよい。この場合、ピン穴12hの延長線上に保持部材80の凹部80aが配置されると、自動的に、ピン部材11の先端11aが保持部材80の凹部80aと係合する。
【0062】
図10に記載の例では、保持部材80は、軸部材60の先端部66が第1方向DR1に平行な方向に沿って進退可能なように軸部材60を保持する。より具体的には、軸部材60の先端部66は、保持部材80から離れる方向に進出可能であり、軸部材60の先端部66は、保持部材80に向かう方向に退避可能である。
【0063】
軸部材60の先端部66を保持部材80から離れる方向に進出させることにより、軸部材60の先端部66に連結された押圧部70は、パネルPを押圧する。また、軸部材60の先端部66を保持部材80に向かう方向に退避させることにより、押圧部70は、パネルPから離間する。
【0064】
図9に記載の例では、軸部材60は、保持部材80と螺合している。より具体的には、保持部材80は、雌ネジ部80sを有し、軸部材60は、当該雌ネジ部80sに螺合する雄ネジ部60sを有する。この場合、軸部材60が保持部材80に対して相対回転されることにより、軸部材60の先端部66が第1方向DR1に平行な方向に移動する。
【0065】
図10に記載の例では、保持部材80は、保持部材80が第1貫通孔部Hに対して相対回転するのを防止する回転規制部Qを有する。図10に記載の例では、保持部材80の回転規制部Qが、取付具2の外表面に配置された回転規制面2tと接触することにより、第1貫通孔部Hに対する保持部材80の相対回転が防止される。保持部材80の相対回転が防止されることにより、軸部材60が中心軸AXまわりを回転するときに、保持部材80が、軸部材60と一緒に共回りすることが防止される。
【0066】
回転規制部Qの具体的な構成としては、第1貫通孔部Hに対する保持部材80の相対回転を防止することが可能な限りにおいて、任意の構成を採用することができる。例えば、回転規制部Qは、ピン部材11の先端11aと係合可能なピン穴であってもよい。この場合、ピン部材11の先端11aが、保持部材80のピン穴と係合することにより、第1貫通孔部Hに対する保持部材80の相対回転が防止される。代替的に、あるいは、付加的に、回転規制部Qは、保持部材80に形成されたキー溝あるいは凸部であってもよい。この場合、取付具2に形成された凸部(あるいは、キー溝)と、保持部材80に形成されたキー溝(あるいは、凸部)との係合により、第1貫通孔部Hに対する保持部材80の相対回転が防止される。代替的、あるいは、付加的に、回転規制部Qは、保持部材80の非円形の外周面であってもよい。この場合、第1貫通孔部Hの非円形の内周面(例えば、多角形形状の内周面)が、保持部材80の非円形の外周面(例えば、多角形形状の外周面)と係合することにより、第1貫通孔部Hに対する保持部材80の相対回転が防止される。
【0067】
(第2操作部69)
図5に記載の例では、押圧具6は、軸部材60を取付具2(あるいは、保持部材80)に対して第1方向DR1に平行な方向に相対移動させる第2操作部69を備える。第2操作部69は、軸部材60の基端部61に連結されている。
【0068】
第2操作部69は、第1開口OP1、第1貫通孔部H、および、第2開口OP2の全てを通過可能な大きさに設定されていることが好ましい。この場合、軸部材60の基端部61に第2操作部69が連結された状態で、第2操作部69および基端部61を、第1開口OP1、第1貫通孔部H、第2開口OP2を順番に通過させて、軸部材60を第1貫通孔部Hに挿入することができる。また、軸部材60の基端部61に第2操作部69が連結された状態で、第2操作部69および基端部61を、第2開口OP2、第1貫通孔部H、第1開口OP1を順番に通過させて、軸部材60を第1貫通孔部Hに挿入することができる。
【0069】
図10に記載の例では、第2操作部69を、第1操作方向R3に操作することにより、軸部材60の先端部66に連結された押圧部70が、取付具2(あるいは、保持部材80)から離れる方向に移動する。他方、第2操作部69を、第2操作方向R4に操作することにより、軸部材60の先端部66に連結された押圧部70が、取付具2(あるいは、保持部材80)に向かう方向に移動する。
【0070】
図10に例示されるように、軸部材60の先端部66から基端部61に向かう方向と、取付具2の第1面2aから第2面2bに向かう方向(すなわち、第1方向DR1)とが一致するように、保持部材80が取付具2に取り付けられる場合を想定する。この場合、第2操作部69を第1操作方向R3(例えば、軸部材60の基端部61から先端部66に向かう方向に見たときの時計回り)に操作することにより、軸部材60の先端部66に連結された押圧部70が、保持部材80から離れる方向に移動する。
【0071】
図11に例示されるように、図10に例示される方向とは反対方向に、保持部材80が取付具2に取り付けられる場合を想定する。より具体的には、図11に記載の例では、軸部材60の基端部61から先端部66に向かう方向と、取付具2の第1面2aから第2面2bに向かう方向(すなわち、第1方向DR1)とが一致するように、保持部材80が取付具2に取り付けられている。この場合、第2操作部69を第1操作方向R3(例えば、軸部材60の基端部61から先端部66に向かう方向に見たときの時計回り)に操作することにより、軸部材60の先端部66に連結された押圧部70が、保持部材80から離れる方向に移動する。
【0072】
図10および図11、並びに、上記の記載から把握されるように、図10に示される配置で保持部材80を取付具2に取り付ける場合でも、図11に示される配置で保持部材80を取付具2に取り付け場合でも、押圧部70を保持部材80から離れる方向に移動させるための第2操作部69の操作方向は同じである(図10および図11に記載の例では、操作方向は時計回りである)。このように操作方向が統一されている場合には、パネル押圧装置1Bの取り扱いが容易となる。
【0073】
図7等に例示されるように、第2操作部69は、操作工具(例えば、電動工具)と係合可能な係合部69t(例えば、係合凹部)を備えていてもよい。この場合、操作工具(例えば、電動工具)の使用により、第2操作部69を操作する際の作業効率が向上する。
【0074】
第2操作部69は、軸部材60から取り外し可能な交換部品であることが好ましい。この場合、第2操作部69が繰り返し操作されて、係合部69tが大きく変形した場合(例えば、係合凹部が潰れた場合)、第2操作部69のみ交換すればよい。換言すれば、係合部69tが大きく変形した場合でも、軸部材60を交換する必要がない。軸部材60への第2操作部69の取り付けは、例えば、固定ネジ、固定ピン等の任意の固定手段によって行われる。
【0075】
図11に例示されるように、第2操作部69は、操作工具と係合可能な係合部に加えて、作業者によって把持される環状のグリップ面69sを有していてもよい。この場合、第2操作部69は、操作工具または作業者の手によって選択的に操作される。
【0076】
(押圧部70)
図11に記載の例では、押圧部70は、軸部材60に対して軸部材60の中心軸AXまわりに相対回転可能なように、軸部材60に取り付けられている(矢印AR6を参照。)。押圧部70が軸部材60に対して相対回転可能である場合、次の利点を有する。すなわち、パネルPと押圧部70との間の接触により押圧部70の回転が制限される場合であっても、第2操作部69を操作して、更に軸部材60を回転させることができる。よって、パネルPと押圧部70とが接触した後、更に、押圧部70による押圧力を増加させることができる。
【0077】
図11に記載の例では、押圧部70は、パネルの端面を押圧可能な第1板部71と、パネルの傾動あるいは脱落を抑制する第1規制板72とを有する。軸部材60の基端部61から軸部材60の先端部66に向かう方向を遠位方向DR7と定義するとき、第1規制板72は、第1板部71から遠位方向DR7側に突出する。第1規制板72は、例えば、第1板部71の一部を折り曲げ加工することにより形成される。第1規制板72と第1板部71との間のなす角度α1は、例えば、90度以上180度未満である。
【0078】
図6に記載の例では、押圧部70は、補強板73(より具体的には、第1補強板73aおよび第2補強板73b)を有する。補強板73は、第1板部71を補強する。軸部材60の先端部66から軸部材60の基端部61に向かう方向を近位方向DR8と定義するとき、補強板73(より具体的には、第1補強板73aおよび第2補強板73b)は、第1板部71から近位方向DR8側に突出する。補強板73は、例えば、第1板部71の一部を折り曲げ加工することにより形成される。第1補強板73a(または、第2補強板73b)と第1板部71との間のなす角度α2は、例えば、90度以上180度未満である。
【0079】
図6の上側の図に示されるように、第1板部71と第1規制板72との間の境界線を第1境界線711と定義し、第1板部71と第1補強板73aとの間の境界線を第2境界線712と定義し、第1板部71と第2補強板73bとの間の境界線を第3境界線713と定義する。図6に記載の例では、平面視で、第1境界線711と第2境界線712と第3境界線713とによって、略コ字形状(あるいは、略U字形状)の境界線が形成される。
【0080】
図12に記載の例では、押圧部70は、取付対象物Eとの接触により押圧部70が軸部材60の中心軸AXまわりに回転することを規制する回転規制部74を有する。当該回転規制部74の存在により、平面視における押圧部70の姿勢が、所望の姿勢から大幅に逸脱することが抑制される。図12に記載の例では、回転規制部74は、軸部材60の中心軸AXに対して、第1規制板72が配置される側とは反対側に配置されている。
【0081】
図13に例示されるように、回転規制部74と取付対象物Eとの間の接触をより確実にする観点から、押圧部70は、平面視で、第1規制板72から回転規制部74に向かって拡幅する形状を有することが好ましい。図13に記載の例では、平面視で、補強板73の幅が、回転規制部74に向かうにつれて拡大している。図13に記載の例では、幅が大きい側の補強板73の端面73eが回転規制部74の少なくとも一部として機能する。
【0082】
図14に記載の例では、回転規制部74は、第1補強板の端面73eと、第2補強板の端面73fと、第1板部71の端面71eとを含む。図14に記載の例では、背面視で、第1補強板73a(または、第2補強板73b)と第1板部71との間のなす角度α2は、90度より大きく180度より小さい。
【0083】
図15に記載の例では、押圧部70は、軸部材60の中心軸AXに対して傾動可能なように、軸部材60に取り付けられている。より具体的には、軸部材60の中心軸AXと、押圧部70の押圧面71aとの間のなす角度を角度βと定義するとき、図15に記載の例では、当該角度βを、90度から、90度以外の角度に変更可能である。
【0084】
押圧部70が、軸部材60の中心軸AXに対して傾動可能である場合、押圧すべきパネルPが多少傾いて配置されている場合であっても、押圧部70の押圧面71aをパネルPの端面に面接触させることが可能となる。
【0085】
軸部材60の中心軸AXに対して押圧部70を傾動可能にするために、軸部材60と押圧部70との間に遊びを設けてもよい(より具体的には、軸部材60の外周面と押圧部70の内周面との間に隙間Gを設けてもよい)。代替的に、軸部材60の中心軸AXに対して押圧部70を傾動可能にするために、軸部材60と押圧部70とをボールジョイント等を介して接続してもよい。
【0086】
なお、押圧部を傾動可能にする構成は、第2押圧部33(図6を参照。)において採用されてもよい。換言すれば、第2押圧部33は、軸部34の中心軸に対して傾動可能なように、軸部34に取り付けられていてもよい。
【0087】
(連結シャフト40)
図6に記載の例では、取付具2は、第1把持部材20と第2把持部材30(より具体的には、第2把持部材30のベース部31)とを連結する連結シャフト40を有する。取付具2は、第1連結シャフト40aおよび第2連結シャフト40bを有していてもよい。
【0088】
第1把持部材20と第2把持部材30とを連結シャフト40を介して連結する場合、連結シャフトよりも体積の大きなブロックを介して第1把持部材20と第2把持部材30とを連結する場合と比較して、取付具2全体としての重量を軽量化することができる。
【0089】
(把手部材50)
図6に記載の例では、取付具2は、作業者が把持可能な把手部材50を有する。図6に記載の例では、把手部材50は、貫通孔部50hを有する。把手部材50は、複数の貫通孔部50hを有していてもよい。把手部材50が貫通孔部50hを有することにより、把手部材50が軽量化される。把手部材50は、ゴムあるいは樹脂によって覆われていてもよい。
【0090】
図6に記載の例では、把手部材50は、第1把持部材20と第2把持部材30とに跨るように配置されている。より具体的には、把手部材50の第1端部51が、第2把持部材30のベース部31に連結され、把手部材50の第2端部52が、第1把持部材20の本体部21に連結されている。
【0091】
代替的に、図16に例示されるように、把手部材50は、第2把持部材30(より具体的には、第2把持部材30のベース部31)によって、片持ち支持されていてもよい。図16に記載の例では、把手部材50の第1端部51は、第2把持部材30のベース部31に連結されている。把手部材50の第2端部52は、自由端部である。
【0092】
把手部材50は、落下防止フック等の落下防止具を取り付けるための取付孔53hを有していてもよい。図16に記載の例では、取付孔53hは、把手部材50の第2端部52に形成されている。
【0093】
(第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔を調整する調整機構)
図17に記載の例では、パネル押圧装置1Bは、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔を段階形式で調整する第1調整機構M1を有する。図17に記載の例では、第1調整機構M1は、取付具2に取り付け可能なアタッチメント20Aを有する。
【0094】
図17に記載の例では、アタッチメント20Aは、第1把持部材20の本体部21に取り付け可能である。アタッチメント20Aは、例えば、本体部21に螺合によって取り付けられる。図17に記載の例では、第1把持部材20の本体部21、および、アタッチメント20Aの各々が第1押圧面23aを有する。アタッチメント20Aが取付具2から取り外された状態では、本体部21に設けられた第1押圧面23aが、第1把持部材20の第1押圧面として機能する。他方、アタッチメント20Aが取付具2に取り付けられた状態では、アタッチメント20Aに設けられた第1押圧面23aが、第1把持部材20の第1押圧面として機能する。図17の下側の図において、アタッチメント20Aは、第1把持部材20の一部を構成する。
【0095】
図17に記載の例では、取付具2にアタッチメント20Aを取り付けることにより、第1把持部材20の第1押圧面23aと、第2把持部材30の第2押圧面33aとの間の間隔が段階形式(より具体的には、2段階形式)で調整される。取付具2にアタッチメント20Aが取り付けられると、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が、非連続的に大幅に縮小される。他方、取付具2からアタッチメント20Aが取り外されると、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が、非連続的に大幅に拡大される。
【0096】
図18および図19を参照して、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔を段階形式で調整する第1調整機構M1の第1変形例について説明する。図18に記載の例では、第1調整機構M1は、取付具2に取り付け可能なアタッチメント20Bを有する。
【0097】
第1変形例におけるアタッチメント20Bは、連結シャフト40に取り付け可能である点において、上述のアタッチメント20Aとは異なる。その他の点では、第1変形例におけるアタッチメント20Bは、上述のアタッチメント20Aと同様である。
【0098】
図18に記載の例では、アタッチメント20Bは、第1押圧面23aを有するアタッチメント本体201と、連結シャフト40に取り付けられる係合部材202とを有する。係合部材202は、任意の固定手段によってアタッチメント本体201に固定される。
【0099】
図19に記載の例では、係合部材202は、第1脚部203と、第1脚部203の先端に配置される第1係合部203aとを有する。また、係合部材202は、第2脚部204と、第2脚部204の先端に配置される第2係合部204aとを有する。第1脚部203および第2脚部204は、板ばねとして機能する。
【0100】
アタッチメント20Bを連結シャフト40に取り付けるに際しては、第1に、第1脚部203と第2脚部204とが互いに近づく方向に、第1脚部203および第2脚部204が押圧される。第2に、第1係合部203aが第1連結シャフト40aと対向する位置に配置され、第2係合部204aが第2連結シャフト40bと対向する位置に配置される。第3に、第1脚部203および第2脚部204を押圧する押圧力が弱められる。その結果、板ばねの付勢力によって、第1係合部203aが第1連結シャフト40aと係合し、第2係合部204aが第2連結シャフト40bと係合する。
【0101】
図18に記載の例では、取付具2(より具体的には、連結シャフト40)にアタッチメント20Bを取り付けることにより、第1把持部材20の第1押圧面23aと、第2把持部材30の第2押圧面33aとの間の間隔が段階形式(より具体的には、2段階形式)で調整される。取付具2(より具体的には、連結シャフト40)にアタッチメント20Bが取り付けられると、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が、非連続的に大幅に縮小される。他方、取付具2(より具体的には、連結シャフト40)からアタッチメント20Bが取り外されると、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が、非連続的に大幅に拡大される。
【0102】
図20乃至図22を参照して、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔を段階形式で調整する第1調整機構M1の第3変形例について説明する。図20に記載の例では、パネル押圧装置1Bは、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔を段階形式で調整する第1調整機構M1を有する。図20に記載の例では、第1把持部材20は、連結シャフト40に沿ってスライド移動可能である。
【0103】
図20に記載の例では、連結シャフト40は、第1位置決め部45、および、第2位置決め部46を有する。図20に記載の例では、第1把持部材20を、第1位置決め部45、および、第2位置決め部46のいずれかに選択的に位置決めすることができる。
【0104】
図20に記載の例では、第1位置決め部45は、第1把持部材20のピン部材25と係合可能な第1凹部45a(より具体的には、環状の第1凹部)を有する。ピン部材25が第1凹部45aと係合することにより、第1把持部材20が第1位置決め部45に位置決めされる。
【0105】
図20に記載の例では、第2位置決め部46は、第1把持部材20のピン部材25と係合可能な第2凹部46a(より具体的には、環状の第2凹部)を有する。ピン部材25が第2凹部46aと係合することにより、第1把持部材20が第2位置決め部46に位置決めされる。
【0106】
図20に記載の例では、第1把持部材20は、第1把持部材20が第1位置決め部45に位置決めされた第1状態と、第1把持部材20が第2位置決め部46に位置決めされた第2状態との間で状態変更可能である。第1把持部材20の状態が、第1状態と第2状態との間で状態変更されることにより、第1把持部材20の第1押圧面23aと第2把持部材30の第2押圧面33aとの間の間隔が段階形式(より具体的には、2段階形式)で調整される。第1状態から第2状態に変更されると、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が大幅に縮小される。他方、第2状態から第1状態に変更されると、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が大幅に拡大される。
【0107】
第1状態から第2状態への変更は次のような手順で実行される。第1に、ピン部材25が第1位置決め部45(より具体的には、第1凹部45a)から離れる方向に移動される。第2に、第1把持部材20が、第1位置決め部45から第2位置決め部46に向けて、連結シャフト40に沿ってスライド移動される。第3に、ピン部材25が、第2位置決め部46(より具体的には、第2凹部46a)に係合される。
【0108】
図21に記載の例では、第1把持部材20は、本体部21と、第1ピン部材25aと、第2ピン部材25bとを備える。
【0109】
本体部21は、第1スライド孔部211aと、第1スライド孔部211aと連通する第1ピン案内孔212aとを有する。第1スライド孔部211aには、第1連結シャフト40aが挿入され、第1ピン案内孔212aには、第1ピン部材25aが挿入される。第1把持部材20は、第1ピン部材25aを、第1スライド孔部211aに向けて付勢する第1付勢部材26aを有していてもよい。
【0110】
本体部21は、第2スライド孔部211bと、第2スライド孔部211bと連通する第2ピン案内孔212bとを有する。第2スライド孔部211bには、第2連結シャフト40bが挿入され、第2ピン案内孔212bには、第2ピン部材25bが挿入される。第1把持部材20は、第2ピン部材25bを、第2スライド孔部211bに向けて付勢する第2付勢部材26bを有していてもよい。
【0111】
図21に記載の例では、第1ピン部材25aと第2ピン部材25bとが、連結部材27を介して連結されている。この場合、図22に例示されるように、連結部材27が第1連結シャフト40aおよび第2連結シャフト40bから離れる方向に移動されると、第1ピン部材25aと第1連結シャフト40aとの間の係合が解除され、第2ピン部材25bと第2連結シャフト40bとの間の係合が解除される。こうして、第1把持部材20が、連結シャフト40に対してスライド移動可能となる。
【0112】
図17図18、あるいは、図20に記載の例では、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が2段階形式で調整される。第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔は、3段階形式、4段階形式、あるいは、5段階以上の形式で調整されてもよい。
【0113】
図17図18、あるいは、図20に記載の例では、パネル押圧装置1Bは、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔を連続形式で調整する第2調整機構M2を有する。
【0114】
図17図18、あるいは、図20に記載の例では、第2調整機構M2は、ネジ形式の調整機構である。より具体的には、第2調整機構M2は、第2押圧面33aを有する第2押圧部33と、第2押圧部33に連結される軸部34と、軸部34に螺合するベース部31と、ベース部31に対して軸部34を回転させる第1操作部36とを有する。
【0115】
代替的に、第2調整機構M2は、シリンダに対してピストンを移動させる形式の調整機構であってもよいし、レバーを用いてプランジャを移動させる形式の調整機構であってもよいし、その他の形式の調整機構であってもよい。
【0116】
パネル押圧装置1Bが、第1調整機構M1を備える場合、取付対象物のサイズに合わせて、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔を粗調整することができる。第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が予め粗調整されることにより、パネル押圧装置1Bを迅速に取付対象物に取り付けることができる。例えば、図23に例示されるように、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が拡大状態に粗調整されていることにより、相対的に太い支柱E1等に、パネル押圧装置1Bを迅速に取り付けることができる。また、図23に例示されるように、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が縮小状態に粗調整されていることにより、相対的に細い横桟E2等に、パネル押圧装置1Bを迅速に取り付けることができる。
【0117】
パネル押圧装置1Bが、第2調整機構M2を備える場合、取付対象物Eを、第1押圧面23aおよび第2押圧面33aによって強力に挟むことができる。
【0118】
また、パネル押圧装置1Bが、第1調整機構M1および第2調整機構M2を備える場合、トレードオフの関係にある「迅速な取り付け」と、「強力な取り付け」とを両立させることができる。
【0119】
(パネル押圧方法)
続いて、図1乃至図26を参照して、実施形態におけるパネル押圧方法について説明する。図24は、実施形態におけるパネル押圧方法の一例を示すフローチャートである。図25は、実施形態におけるパネル押圧方法の一工程を実行中の様子を模式的に示す図である。図26は、実施形態におけるパネル押圧方法の他の一工程を実行中の様子を模式的に示す図である。
【0120】
実施形態におけるパネル押圧方法において使用されるパネル押圧装置1は、第1の実施形態におけるパネル押圧装置1Aであってもよいし、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bであってもよいし、その他のパネル押圧装置であってもよい。
【0121】
パネル押圧方法において使用されるパネル押圧装置1は、第1開口OP1から第2開口OP2まで第1方向DR1に延在する第1貫通孔部Hを有する取付具2と、パネルPを押圧可能な押圧具6と、を具備する。押圧具6は、基端部61および先端部66を有する軸部材60と、軸部材60の先端部66に連結される押圧部70と、を備える。
【0122】
軸部材60の配置は、(1)先端部66が第1開口OP1から突出し、基端部61が第2開口OP2から突出した第1配置(図1または図10を参照。)と、(2)基端部61が第1開口OP1から突出し、先端部66が第2開口OP2から突出した第2配置(図2または図11を参照。)との間で変更可能であってもよい。付加的に、図4、または、図5に例示されるように、軸部材60は、第1開口OP1から第1貫通孔部Hに挿入可能、かつ、第2開口OP2から第1貫通孔部Hに挿入可能であってもよい。
【0123】
第1ステップST1において、パネル押圧装置1が組み立てられる。第1ステップST1は、組立工程である。組立工程は、取付具2の第1開口OP1または取付具2の第2開口OP2のうちの一方から、取付具2の第1貫通孔部Hに、押圧具6の軸部材60を挿入することにより実行される(図4または図5における矢印AR1または矢印AR2を参照。)。
【0124】
組立工程は、軸部材60を進退可能に保持する保持部材80を第1貫通孔部Hに挿入することを含んでいてもよい(図5における矢印AR1または矢印AR2を参照。)。また、組立工程は、保持部材80(例えば、保持部材80の凹部80a)と、取付具2(例えば、取付具2のピン部材11)とを係合させることを含んでいてもよい。
【0125】
組立工程は、取付具2に対する軸部材60の配置を、上述の第2配置(例えば、図2または図11を参照。)から、上述の第1配置(例えば、図1または図10を参照。)に変更することを含んでいてもよい。
【0126】
なお、パネル押圧装置1が組み立てられた状態で販売されている場合、あるいは、パネル押圧装置1が事前に組み立てられている場合等には、第1ステップST1(組立工程)は、省略される。
【0127】
第2ステップST2において、パネル押圧装置1が取付対象物Eに取り付けられる。第2ステップST2は、取付工程である。取付工程は、パネル押圧装置1の取付具2を取付対象物Eに取り付けることにより実行される(図1または図25を参照。)。
【0128】
図25に記載の例では、取付具2は、第1押圧面23aを有する第1把持部材20と、第2押圧面33aを有する第2把持部材30とを備える。この場合、取付工程は、第2押圧面33aを第1押圧面23aに向かう方向に相対移動させることを含んでいてもよい。当該相対移動によって、取付対象物Eが、第1押圧面23aおよび第2押圧面33aによって挟持される。なお、第2押圧面33aを第1押圧面23aに向かう方向に相対移動させることは、第1操作部36を操作して、第2把持部材30のベース部31に対して、第2把持部材30の移動部32を移動させることにより実行されてもよい。
【0129】
図17図18、または、図20に例示されるように、パネル押圧装置1が第1調整機構M1を有する場合には、第2ステップST2の実行前に、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が段階形式で調整されてもよい。図17または図18に記載の例では、第1把持部材20の本体部21にアタッチメント(20A、20B)を取り付けること、あるいは、第1把持部材20の本体部21からアタッチメント(20A、20B)を取り外すことにより、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が調整される。他方、図20に記載の例では、第1把持部材20が、連結シャフト40の第1位置決め部45または第2位置決め部46に位置決めされることにより、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が調整される。
【0130】
第3ステップST3において、パネル押圧装置1の押圧具6によって、第1パネルP1の端部PE1(図25に記載の例では、上側の端部)が押圧される。第3ステップST3は、第1押圧工程である。第1押圧工程は、軸部材60の先端部66に連結された押圧部70を第1パネルP1の端部PE1に向けて移動させることにより実行される(図1または図25を参照。)。
【0131】
押圧具6を第1パネルP1の端部PE1に向けて移動させることは、例えば、図25に例示されるように、第2操作部69を第1操作方向R3に操作することにより実行されてもよい。図25に記載の例では、第3ステップST3(第1押圧工程)において、押圧部70は、取付対象物Eの中心面CPから第5方向DR5(例えば、左方向)に偏心した位置において第1パネルP1を押圧する。
【0132】
第4ステップST4において、押圧具6による第1パネルP1の押圧が解除される。第4ステップST4は、押圧解除工程である。押圧解除工程は、押圧具6の押圧部70を第1パネルP1の端部PE1から離間させることにより実行される。押圧部70を第1パネルP1の端部PE1から離間させることは、例えば、図25に例示されるように、第2操作部69を第2操作方向R4に操作することにより実行されてもよい。
【0133】
第5ステップST5において、パネル押圧装置1が取付対象物Eから取り外される。第5ステップST5は、取外工程である。取外工程は、パネル押圧装置1の取付具2を取付対象物Eから取り外すことにより実行される。
【0134】
第6ステップST6において、取付具2に対する押圧具6(より具体的には、軸部材60)の配置が変更される。第6ステップST6は、配置変更工程、あるいは、再組立工程である。
【0135】
配置変更工程(あるいは、再組立工程)は、取付具2に対する軸部材60の配置を、上述の第1配置(例えば、図1または図10を参照。)から、上述の第2配置(例えば、図2または図11を参照。)に変更することを含むことが好ましい。
【0136】
第7ステップST7において、パネル押圧装置1が取付対象物Eに取り付けられる。第7ステップST7は、第2取付工程である。第2取付工程は、取付具2を取付対象物Eに取り付けることにより実行される(図2または図26を参照。)。
【0137】
第2取付工程における、取付具2の取付対象物への取り付けは、取付具2の姿勢が第1取付工程における取付具2の姿勢から反転された状態で実行されることが好ましい。なお、当該姿勢の反転は、例えば、取付具2を水平軸まわりに180度回転させることにより実行される。
【0138】
図2および図26に記載の例では、第2取付工程においてパネル押圧装置1が取り付けられる取付対象物Eは、第1取付工程においてパネル押圧装置1が取り付けられる取付対象物Eと同一である。代替的に、第2取付工程においてパネル押圧装置1が取り付けられる取付対象物は、第1取付工程においてパネル押圧装置1が取り付けられる取付対象物Eとは異なっていてもよい。
【0139】
第8ステップST8において、パネル押圧装置1の押圧具6によって、第2パネルP2の端部PE2(図26に記載の例では、上側の端部)が押圧される。第8ステップST8は、第2押圧工程である。第2押圧工程は、軸部材60の先端部66に連結された押圧部70を第2パネルP2の端部PE2に向けて移動させることにより実行される(図2または図26を参照。)。第8ステップST8(第2押圧工程)において、押圧部70は、取付対象物Eの中心面CP(または取付対象物Eとは別の取付対象物の中心面)から第5方向DR5とは反対の第6方向DR6(例えば、右方向)に偏心した位置において第2パネルP2を押圧する。
【0140】
第9ステップST9において、押圧具6による第2パネルP2の押圧が解除される。第9ステップST9は、第2の押圧解除工程である。第2の押圧解除工程は、押圧具6の押圧部70を第2パネルP2の端部PE2から離間させることにより実行される。
【0141】
第10ステップST10において、パネル押圧装置1が取付対象物から取り外される。第10ステップST10は、第2取外工程である。第2取外工程は、取付具2を取付対象物から取り外すことにより実行される。
【0142】
実施形態におけるパネル押圧方法では、取付対象物Eを基準とした押圧位置を変更可能である。よって、取付対象物Eに対するパネルPの配置等を考慮して、パネルPの押圧位置を選択すること、より具体的には、上述の第1配置または上述の第2配置を選択することができる。
【0143】
例えば、先行して配置された第1パネルP1に干渉しないように上述の第1配置または上述の第2配置を選択して、パネル押圧装置1を取付対象物Eに取り付けることができる。
【0144】
(第3の実施形態)
図27乃至図29を参照して、第3の実施形態におけるパネル押圧装置1C、パネル押圧装置セット10、および、パネル押圧方法について説明する。図27は、第3の実施形態におけるパネル押圧装置セット10を模式的に示す概略正面図である。図28は、パネル押圧装置1Cが、取付対象物Eに取り付けられた状態を模式的に示す概略正面図である。図29は、第2パネル押圧装置1Dが、取付対象物Eに取り付けられた状態を模式的に示す概略正面図である。
【0145】
第3の実施形態は、パネル押圧装置1Cと、第2パネル押圧装置1Dとを用いてパネル(P1、P2)の押圧が実行される点で、第1の実施形態あるいは第2の実施形態とは異なる。第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0146】
(パネル押圧装置1C)
図27に例示されるように、第3の実施形態におけるパネル押圧装置1Cは、(1)第1開口OP1から第2開口OP2まで第1方向DR1に延在する第1貫通孔部Hを有し、取付対象物に取り付けられる取付具2と、(2)パネルを押圧可能な押圧具6と、を具備する。(3)押圧具6は、基端部61および先端部66を有し、第1貫通孔部Hに挿入される軸部材60と、軸部材60の先端部66に連結され、パネルを押圧可能な押圧部70と、を備える。(4)押圧部70は、取付対象物の中心面から偏心した位置においてパネルを押圧可能である。
【0147】
図28に記載の例では、パネル押圧装置1Cの押圧部70は、取付対象物Eの中心面CPから第5方向DR5(例えば、左方向)に偏心した位置においてパネルPを押圧可能である。図28に記載の例では、取付具2の第1押圧面23aから取付具2の第2押圧面33aに向かう方向が第5方向DR5に対応する。図28に記載の例では、第1貫通孔部Hの中心軸AX1は、第2押圧面33aよりも第5方向DR5側に配置されている。このため、図28に記載の例では、パネル押圧装置1Cの押圧部70は、取付対象物Eの中心面CPから第5方向DR5に偏心した位置においてパネルPを押圧可能である。
【0148】
第3の実施形態におけるパネル押圧装置1Cは、第1の実施形態におけるパネル押圧装置1A、あるいは、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bと同一であってもよいし、これらのパネル押圧装置(1A、1B)とは異なっていてもよい。第3の実施形態におけるパネル押圧装置1Cにおいて、押圧具6は、取付具2に取り外し可能に固定されていてもよいし、取付具2に取り外し不能に固定されていてもよい。
【0149】
(第2パネル押圧装置1D)
図29に例示されるように、第2パネル押圧装置1Dは、取付対象物Eに取り付け可能な第2取付具102と、第2パネルP2を押圧可能な第2押圧具106とを具備する。
【0150】
図29に記載の例では、第2パネル押圧装置1Dの第2押圧具106は、取付対象物Eの中心面CPから第5方向DR5とは反対の第6方向DR6(例えば、右方向)に偏心した位置において第2パネルP2を押圧可能である。図29に記載の例では、第2取付具102の第1押圧面123aから第2取付具102の第2押圧面133aに向かう方向が第6方向DR6に対応する。
【0151】
図29に記載の例では、第2取付具102に、第2押圧具106の軸部材160が挿入される第2貫通孔部H2が形成されている。また、第2貫通孔部H2の中心軸は、第2押圧面133aよりも第6方向DR6側に配置されている。このため、図29に記載の例では、第2パネル押圧装置1Dの第2押圧具106は、取付対象物Eの中心面CPから第6方向DR6に偏心した位置において第2パネルP2を押圧可能である。
【0152】
第3の実施形態における第2パネル押圧装置1Dは、第1の実施形態におけるパネル押圧装置1A、あるいは、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bと同一であってもよいし、これらのパネル押圧装置(1A、1B)とは異なっていてもよい。第3の実施形態における第2パネル押圧装置1Dにおいて、第2押圧具106は、第2取付具102に取り外し可能に固定されていてもよいし、第2取付具102に取り外し不能に固定されていてもよい。
【0153】
図27に記載の例では、第2取付具102は、第1押圧面123aを有する第1把持部材120と、第2押圧面133aを有する第2把持部材130とを備える。また、第2取付具102は、第2押圧面133aを第1押圧面123aに向かう方向に相対移動させる第1操作部136を有する。第2取付具102は、第1把持部材120と第2把持部材130とを連結する連結シャフト140(より具体的には、第1連結シャフト140aおよび第2連結シャフト140b)を有していてもよい。また、第2取付具102は、貫通孔部150hおよび/または取付孔153hを有する把手部材150を有していてもよい。
【0154】
図27に記載の例では、第2押圧具106は、第2貫通孔部H2に挿入される軸部材160と、軸部材160の先端部166に連結され、第2パネルを押圧可能な押圧部170とを有する。また、第2押圧具106は、軸部材160を第2取付具102に対して第1方向DR1に平行な方向に相対移動させる第2操作部169を備える。第2操作部169は、軸部材160の基端部161に連結されている。
【0155】
第3の実施形態におけるパネル押圧装置セット10は、パネル押圧装置1Cと、第2パネル押圧装置1Dとを含む。このため、パネル押圧装置1C、および、第2パネル押圧装置1Dを携行する作業者は、取付対象物Eに対するパネルPの配置等を考慮して、パネル押圧装置1C、および、第2パネル押圧装置1Dのうちのいずれかを選択すること、換言すれば、パネルの押圧位置を選択することができる。
【0156】
(第3の実施形態におけるパネル押圧方法)
続いて、図27乃至図29を参照して、第3の実施形態におけるパネル押圧方法について説明する。
【0157】
第3の実施形態におけるパネル押圧方法において使用されるパネル押圧装置1Cは、第1の実施形態におけるパネル押圧装置1Aであってもよいし、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bであってもよいし、その他のパネル押圧装置であってもよい。また、第3の実施形態におけるパネル押圧方法において使用される第2パネル押圧装置1Dは、第1の実施形態におけるパネル押圧装置1Aであってもよいし、第2の実施形態におけるパネル押圧装置1Bであってもよいし、その他のパネル押圧装置であってもよい。
【0158】
第1ステップST1において、パネル押圧装置1Cが組み立てられる。第1ステップST1は、組立工程である。組立工程は、取付具2の第1貫通孔部Hに、押圧具6の軸部材60を挿入することにより実行される。なお、パネル押圧装置1Cが組み立てられた状態で販売されている場合、あるいは、パネル押圧装置1Cが事前に組み立てられている場合等には、第1ステップST1(組立工程)は、省略される。
【0159】
第2ステップST2において、パネル押圧装置1Cが取付対象物Eに取り付けられる。第2ステップST2は、取付工程である。取付工程は、パネル押圧装置1Cの取付具2を取付対象物Eに取り付けることにより実行される(図28を参照。)。なお、パネル押圧装置1Cが第1調整機構M1を有する場合には、第2ステップST2の実行前に、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が段階形式で調整されてもよい。
【0160】
第2ステップST2は、図24図25等を参照して説明された上述の第2ステップST2と同様であるため、第2ステップST2についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0161】
第3ステップST3において、パネル押圧装置1Cの押圧具6によって、第1パネルP1の端部PE1が押圧される。第3ステップST3は、第1押圧工程である。第1押圧工程は、軸部材60の先端部66に連結された押圧部70を第1パネルP1の端部PE1に向けて移動させることにより実行される(図28を参照。)。図28に記載の例では、第3ステップST3(第1押圧工程)において、押圧部70は、取付対象物Eの中心面CPから第5方向DR5に偏心した位置において第1パネルP1を押圧する。
【0162】
第4ステップST4において、押圧具6による第1パネルP1の押圧が解除される。第4ステップST4は、押圧解除工程である。押圧解除工程は、押圧具6の押圧部70を第1パネルP1の端部PE1から離間させることにより実行される。
【0163】
第5ステップST5において、パネル押圧装置1Cが取付対象物Eから取り外される。第5ステップST5は、取外工程である。取外工程は、パネル押圧装置1Cの取付具2を取付対象物Eから取り外すことにより実行される。
【0164】
第6ステップST6Aにおいて、パネル押圧装置1Cとは別の第2パネル押圧装置1Dが準備される。第6ステップST6Aは、例えば、作業者が、第2パネル押圧装置1Dを手に持つことを含んでいてもよい。
【0165】
第7ステップST7において、第2パネル押圧装置1Dが取付対象物Eに取り付けられる。第7ステップST7は、第2取付工程である。第2取付工程は、第2取付具102を取付対象物Eに取り付けることにより実行される(図29を参照。)。
【0166】
図29に記載の例では、第2取付工程において第2パネル押圧装置1Dが取り付けられる取付対象物Eは、第1取付工程においてパネル押圧装置1Cが取り付けられる取付対象物Eと同一である。代替的に、第2取付工程において第2パネル押圧装置1Dが取り付けられる取付対象物は、第1取付工程においてパネル押圧装置1Cが取り付けられる取付対象物Eとは異なっていてもよい。
【0167】
第8ステップST8において、第2パネル押圧装置1Dの第2押圧具106によって、第2パネルP2の端部PE2が押圧される。第8ステップST8は、第2押圧工程である。第2押圧工程は、軸部材160の先端部166に連結された押圧部170を第2パネルP2の端部PE2に向けて移動させることにより実行される(図29を参照。)。第8ステップST8(第2押圧工程)において、押圧部170は、取付対象物Eの中心面CP(または、取付対象物Eとは別の取付対象物)から第5方向DR5とは反対の第6方向DR6に偏心した位置において第2パネルP2を押圧する。
【0168】
第9ステップST9において、第2押圧具106による第2パネルP2の押圧が解除される。第9ステップST9は、第2の押圧解除工程である。第2の押圧解除工程は、第2押圧具106の押圧部170を第2パネルP2の端部PE2から離間させることにより実行される。
【0169】
第10ステップST10において、第2パネル押圧装置1Dが取付対象物E(または、取付対象物Eとは別の取付対象物)から取り外される。第10ステップST10は、第2取外工程である。第2取外工程は、取付具2を取付対象物E(または、取付対象物Eとは別の取付対象物)から取り外すことにより実行される。
【0170】
第3実施形態におけるパネル押圧方法では、取付対象物Eを基準とした押圧位置を変更可能である。よって、取付対象物Eに対するパネルPの配置等を考慮して、パネルPの押圧位置を選択すること、より具体的には、上述のパネル押圧装置1Cまたは第2パネル押圧装置1Dを選択することができる。
【0171】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態または他の変形例に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態または各変形例において任意の構成要素を省略することも可能である。
【0172】
例えば、図30に例示されるように、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔を段階形式で調整する第1調整機構M1は、ストッパ281と、ストッパ281を操作する操作部材283とを備えていてもよい。
【0173】
図30を参照して、パネル押圧装置1が有する第1調整機構M1の一例について説明する。図30に記載の例では、第1把持部材20は、連結シャフト40に沿ってスライド移動可能である。図30に記載の例では、第1把持部材20は、第1把持部材20が第1位置決め部45に位置決めされた第1状態と、第1把持部材20が第2位置決め部46に位置決めされた第2状態との間で状態変更可能である。
【0174】
図30に記載の例では、連結シャフト40は、第1位置決め部45、および、第2位置決め部46を有する。連結シャフト40は、図20を参照して説明された連結シャフト40と同様の構成を備えていてもよい。
【0175】
図30に記載の例では、第1把持部材20は、第1スライド孔部211aおよび/または第2スライド孔部211bを有する本体部21と、ストッパ281(例えば、板状のストッパ)と、ストッパ281に連結された操作部材283とを備える。
【0176】
本体部21は、操作部材283の軸部283aを案内する案内孔218を有する。第1把持部材20は、ストッパ281を連結シャフト40に向かう方向に付勢する付勢部材29を有していてもよい。図30に記載の例では、付勢部材29は、操作部材283と第1把持部材20の本体部21との間に配置されている。
【0177】
図30(a)に記載の例において、操作部材283の操作部283b(より具体的には、操作部材283の頭部)が、第1把持部材20の本体部21に向けて押圧されると、ストッパ281と第1連結シャフト40aとの間の係合が解除され、ストッパ281と第2連結シャフト40bとの間の係合が解除される(図30(b)を参照。)。こうして、第1把持部材20が、連結シャフト40に対してスライド移動可能となる。
【0178】
図30に記載の例において、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔の変更は、例えば、次のような手順で実行される。第1に、操作部材283が付勢部材29の付勢力に抗して押圧されることにより、ストッパ281が第1位置決め部45(より具体的には、第1凹部45a)から離れる方向に移動される(図30(b)を参照。)。第2に、第1把持部材20が、第1位置決め部45から第2位置決め部46に向けて、連結シャフト40に沿ってスライド移動される(図30(c)を参照。)。第3に、付勢部材29の付勢力によって、ストッパ281が、第2位置決め部46(より具体的には、第2凹部46a)に係合される。
【0179】
図30に記載の例では、第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔が2段階形式で調整される。第1押圧面23aと第2押圧面33aとの間の間隔は、3段階形式、4段階形式、あるいは、5段階以上の形式で調整されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0180】
本発明のパネル押圧装置、パネル押圧装置セット、または、パネル押圧方法を用いると、取付対象物から偏心した位置においてパネルを押圧可能である。よって、取付対象物に対するパネルの配置等を考慮して、押圧位置を選択することができる。したがって、パネル押圧装置あるいはパネル押圧装置セットを用いて作業を行う業者、および、パネル押圧装置を製造する製造業者にとって有用である。
【符号の説明】
【0181】
1、1A、1B、1C…パネル押圧装置、1D…第2パネル押圧装置、2…取付具、2a…第1面、2b…第2面、2t…回転規制面、6…押圧具、10…パネル押圧装置セット、11…ピン部材、11a…先端、11s…雄ネジ部、12h…ピン穴、12s…雌ネジ部、13…操作部、18…姿勢指示部材、20…第1把持部材、20A、20B…アタッチメント、21…本体部、23a…第1押圧面、25…ピン部材、25a…第1ピン部材、25b…第2ピン部材、26a…第1付勢部材、26b…第2付勢部材、27…連結部材、29…付勢部材、30…第2把持部材、31…ベース部、31s…雌ネジ部、32…移動部、33…第2押圧部、33a…第2押圧面、34…軸部、34s…雄ネジ部、36…第1操作部、40…連結シャフト、40a…第1連結シャフト、40b…第2連結シャフト、45…第1位置決め部、45a…第1凹部、46…第2位置決め部、46a…第2凹部、50…把手部材、50h…貫通孔部、51…第1端部、52…第2端部、53h…取付孔、60…軸部材、60s…雄ネジ部、61…基端部、66…先端部、69…第2操作部、69s…グリップ面、69t…係合部、70…押圧部、71…第1板部、71a…押圧面、71e…端面、72…第1規制板、73…補強板、73a…第1補強板、73b…第2補強板、73e、73f…端面、74…回転規制部、80…保持部材、80a…凹部、80s…雌ネジ部、81…筒部、102…第2取付具、106…第2押圧具、120…第1把持部材、123a…第1押圧面、130…第2把持部材、133a…第2押圧面、136…第1操作部、140…連結シャフト、140a…第1連結シャフト、140b…第2連結シャフト、150…把手部材、150h…貫通孔部、153h…取付孔、160…軸部材、161…基端部、166…先端部、169…第2操作部、170…押圧部、201…アタッチメント本体、202…係合部材、203…第1脚部、203a…第1係合部、204…第2脚部、204a…第2係合部、211a…第1スライド孔部、211b…第2スライド孔部、212a…第1ピン案内孔、212b…第2ピン案内孔、218…案内孔、281…ストッパ、283…操作部材、283a…軸部、283b…操作部、711…第1境界線、712…第2境界線、713…第3境界線、E…取付対象物、E1…支柱、E2…横桟、F…係合部、G…隙間、H…第1貫通孔部、H2…第2貫通孔部、M1…第1調整機構、M2…第2調整機構、OP1…第1開口、OP2…第2開口、P…パネル、P1…第1パネル、P2…第2パネル、P3…第3パネル、PE1、PE2…端部、Q…回転規制部
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