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特開2022-118813適格性評価装置および適格性評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118813
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】適格性評価装置および適格性評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
G01N35/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015562
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】赤井 祐美
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GA14
2G058GE08
(57)【要約】
【課題】 複数の分析システムの運転時適格性評価を効率的に行うことが可能な適格性評価装置および適格性評価方法を提供する。
【解決手段】 適格性評価装置100は、分析装置20により構成される複数の分析システムの運転時適格性評価を行うための複数のシステムテストの選択を受け付け可能に構成される受付部102と、受付部102により受け付けられた複数のシステムテストによる評価内容を複数の評価情報として取得する取得部103と、取得された複数の評価情報に基づいて、複数のシステムテストの実行前に行われるべき事前準備の内容を提示する提示部16と、複数のシステムテストのための事前準備の完了後に、複数のシステムテストが実行されるように分析装置20を制御する実行制御部106と、実行制御部106による複数のシステムテストの結果を出力する出力部108,109とを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置の運転時適格性評価を行う適格性評価装置であって、
前記分析装置により構成される複数の分析システムの運転時適格性評価を行うための複数のシステムテストの選択を受け付け可能に構成される受付部と、
前記受付部により受け付けられた前記複数のシステムテストによる評価内容を複数の評価情報として取得する取得部と、
前記取得された複数の評価情報に基づいて、前記複数のシステムテストの実行前に行われるべき事前準備の内容を提示する提示部と、
前記複数のシステムテストのための前記事前準備の完了後に、前記複数のシステムテストが実行されるように前記分析装置を制御する実行制御部と、
前記実行制御部による前記複数のシステムテストの結果を出力する出力部とを備えた、適格性評価装置。
【請求項2】
前記事前準備の内容は、前記複数のシステムテストにおける評価条件の確認、前記複数のシステムテストに対応して前記分析装置において行われるべき準備作業および前記複数のシステムテストの実行に用いられる一または複数の実行ファイルの確認または変更のうち少なくとも1つを含む、請求項1記載の適格性評価装置。
【請求項3】
前記提示部は、前記複数のシステムテストのための前記事前準備の内容を示す画像を提示する、請求項2記載の適格性評価装置。
【請求項4】
前記分析装置は、分離カラムおよび複数の検出器を含み、
前記複数の分析システムの各々は、前記複数の検出器のいずれかを含み、
前記準備作業は、一または複数の抵抗管を準備すること、および前記分離カラムおよび各抵抗管を前記複数の検出器のいずれかに選択的に接続可能にすることを含み、
前記実行制御部は、各システムテストの内容に応じて、前記分離カラムまたは各抵抗管のいずれかが前記複数の検出器のいずれかに選択的に接続されるように前記分析装置を制御する、請求項2または3記載の適格性評価装置。
【請求項5】
前記実行制御部は、前記複数のシステムテストが時間的に並列または直列に実行されるように前記分析装置を制御する、請求項1~4のいずれか一項に記載の適格性評価装置。
【請求項6】
前記実行制御部は、少なくとも1つのシステムテストの結果の合否に関わらず他のシステムテストが実行されるように前記分析装置を制御する、請求項5に記載の適格性評価装置。
【請求項7】
前記実行制御部は、少なくとも1つのシステムテストの結果が合格でない場合、前記少なくとも1つのシステムテストが再度実行されるように前記分析装置を制御する、請求項5または6記載の適格性評価装置。
【請求項8】
前記実行制御部は、前記事前準備の完了後に、前記複数のシステムテストが時間的に直列または並列に実行されるように前記分析装置を制御する、請求項1~7のいずれか一項に記載の適格性評価装置。
【請求項9】
分析装置の運転時適格性評価を行う適格性評価方法であって、
前記分析装置により構成される複数の分析システムの運転時適格性評価を行うための複数のシステムテストの選択を受け付けるステップと、
前記受け付けられた前記複数のシステムテストによる評価内容を複数の評価情報として取得するステップと、
前記取得された複数の評価情報に基づいて、前記複数のシステムテストの実行前に行われるべき事前準備の内容を提示するステップと、
前記複数のシステムテストのための前記事前準備の完了後に、前記複数のシステムテストが実行されるように前記分析装置を制御するステップと、
前記実行された前記複数のシステムテストの結果を出力するステップとを含む、適格性評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適格性評価装置および適格性評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、分析装置が据え付けられた後に、フィールドエンジニア(以下、点検作業者と呼ぶ。)により分析装置が正常に動作するか否かを確認する適格性評価試験が行われる。適格性評価試験は、バリデーションと呼ばれる。適格性評価試験の一部を自動化する種々の装置が提案されている。例えば、特許文献1には、分析装置のバリデーションを自動的に実行する分析装置バリデーション装置が記載されている。また、特許文献2には、分析システムを構成するコンポーネントの動作適格性判定を自動化する適格性自動判定システムが記載される。さらに、特許文献3には、分析制御ソフトウェアの検証を行うバリデーション装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-29282号公報
【特許文献2】国際公開2020/065804号公報
【特許文献3】国際公開2020/044517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、運転時適格性評価を自動的に行った後に報告書を作成するソフトウェアが開発されている。このようなソフトウェアを用いる場合には、評価に用いる各種溶液および標準試料の準備、および実行ファイルの選択等の事前準備作業が必要となる。点検作業者は、運転時適格性評価のソフトウェアを実行させる前に、事前準備作業を実施する必要がある。
【0005】
1台の分析装置に複数の検出器が取り付けられ、複数の分析システムが構成される場合がある。このような複数の分析システムの運転時適格性評価を上記のソフトウェア等を用いて行う場合に、各分析システムの運転時適格性評価前に点検作業者が事前準備作業を行うこととなるので、例えば、夜間に複数の分析システムの運転時適格性評価を自動的に行うことが難しい。それにより、複数の分析システムについての運転時適格性評価の全体の効率が低下する。
【0006】
本発明の目的は、複数の分析システムの運転時適格性評価を効率的に行うことが可能な適格性評価装置および適格性評価方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る適格性評価装置は、分析装置の運転時適格性評価を行う適格性評価装置であって、分析装置により構成される複数の分析システムの運転時適格性評価を行うための複数のシステムテストの選択を受け付け可能に構成される受付部と、受付部により受け付けられた複数のシステムテストによる評価内容を複数の評価情報として取得する取得部と、取得された複数の評価情報に基づいて、複数のシステムテストの実行前に行われるべき事前準備の内容を提示する提示部と、複数のシステムテストのための事前準備の完了後に、複数のシステムテストが実行されるように分析装置を制御する実行制御部と、実行制御部による複数のシステムテストの結果を出力する出力部とを備える。
【0008】
他の態様に係る適格性評価方法は、分析装置の運転時適格性評価を行う適格性評価方法であって、分析装置により構成される複数の分析システムの運転時適格性評価を行うための複数のシステムテストの選択を受け付けるステップと、受け付けられた複数のシステムテストによる評価内容を複数の評価情報として取得するステップと、取得された複数の評価情報に基づいて、複数のシステムテストの実行前に行われるべき事前準備の内容を提示するステップと、複数のシステムテストのための事前準備の完了後に、複数のシステムテストが実行されるように分析装置を制御するステップと、実行された複数のシステムテストの結果を出力するステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の分析システムの運転時適格性評価を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態に係る分析装置の構成を示す図である。
図2図1の分析制御装置の構成を示す図である。
図3】適格性評価装置により表示部に表示される複数の操作画面の一例を示す図である。
図4】適格性評価装置により表示部に表示される複数の操作画面の一例を示す図である。
図5】適格性評価装置により表示部に表示される複数の操作画面の一例を示す図である。
図6】適格性評価装置により表示部に表示される複数の操作画面の一例を示す図である。
図7】適格性評価装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図8図2の適格性評価装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図9図2の適格性評価装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図10図2の適格性評価装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】第1および第2のシストムテストの直列実行を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る適格性評価装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(1)分析装置および分析制御装置の構成
図1は、一実施の形態に係る分析装置の構成を示す図である。本実施の形態において、分析装置20は、液体クロマトグラフである。分析装置20は、ポンプPM1,PM2、試料導入部SI、切替弁SW1、分離カラムCL、第1の抵抗管R1、第2の抵抗管R2、カラムオーブンCO、切替弁SW2、検出器DAおよび検出器DBを備える。
【0013】
ポンプPM1,PM2は、移動相容器VE1,VE2に収容される移動相を試料導入部SIに導く。試料導入部SIは、導かれた移動相内に試料を導入する。試料導入部SIは、例えばオートサンプラである。本実施の形態では、切替弁SW1は、1つの液体入口および3つの液体出口を有する。試料導入部SIは、切替弁SW1の液体入口に移動相および試料を供給する。
【0014】
分離カラムCLは、移動相内の試料を成分ごとに分離する。第1および第2の抵抗管R1,R2は、検出器DAの運転時適格性評価時に用いられる。本例では、第1および第2の抵抗管R1,R2は、分離カラムCLに並列に切替弁SW1と切替弁SW2との間に取り付け可能に構成される。点検作業者は、検出器DAの運転時適格性評価時に、第1および第2の抵抗管R1,R2を切替弁SW1および切替弁SW2に取り付ける。分離カラムCL、第1の抵抗管R1および第2の抵抗管R2は、カラムオーブンCO内に収容される。
【0015】
切替弁SW1の3つの液体出口には、それぞれ分離カラムCL、第1の抵抗管R1および第2の抵抗管R2に液体を導く3つの配管が接続される。切替弁SW1は、試料導入部SIから供給される移動相および試料を3つの配管のうちいずれかに選択的に導入するように切り替え可能に構成される。
【0016】
本実施の形態では、切替弁SW1は、3つの液体入口および2つの液体出口を有する。切替弁SW2の3つの液体入口には、それぞれ分離カラムCL、第1の抵抗管R1および第2の抵抗管R2から導出された液体を導く3つの配管が接続される。切替弁SW2の2つの液体出口には、それぞれ検出器DAおよび検出器DBに液体を導く2つの配管が接続される。切替弁SW2は、分離カラムCL、第1の抵抗管R1または第2の抵抗管R2により導かれた移動相および試料を検出器DAまたは検出器DBに選択的に導入するように切り替え可能に構成される。
【0017】
検出器DAおよび検出器DBは、切替弁SW2を通して導入された試料の成分を検出する。図1の分析装置20では、検出器DAを用いた第1の分析システムおよび検出器DBを用いた第2の分析システムが構成される。検出器DA,DBは、例えば、紫外可視光検出器、フォトダイオードアレイ検出器、蛍光検出器、電気伝導度検出器、示差屈折率検出器および蒸発光散乱検出器等である。本実施の形態では、検出器DAはフォトダイオードアレイ検出器であり、検出器DBは蛍光検出器である。
【0018】
ここで、第1および第2の分析システムの運転時適格性評価を行うためのテストをシステムテストと呼ぶ。本実施の形態では、システムテストは、例えば、吸光度直線性テスト、グラジエント濃度テスト、注入直線性テスト、キャリーオーバテスト、および再現性テスト等のうち一または複数のテストを含む。吸光度直線性テストは、検出器DA,DBに導入された試料の濃度と信号強度とが比例することを確認するためのテストである。グラジエント濃度テストは、溶離液の組成の最適性を確認するためのテストである。注入直線性テストとは、試料導入部SIから導入された試料の量と検出器DA,DBにおける信号強度とが比例することを確認するテストである。キャリーオーバテストとは、キャリーオーバ値を検出するためのテストである。再現性テストとは、試料の分析結果の再現性を確認するためのテストである。
【0019】
本実施の形態において、検出器DAを含む第1の分析システムの運転時適格性評価を行うシステムテストの1つを第1のシステムテストと呼び、検出器DBを含む第2の分析システムの運転時適格性評価を行うシステムテストの1つを第2のシステムテストと呼ぶ。
【0020】
分析制御装置10は、ポンプPM1,PM2、試料導入部SI、切替弁SW1、カラムオーブンCO、切替弁SW2、検出器DAおよび検出器DBの動作を制御する。分析制御装置10は、運転時適格性評価を自動的に行うための後述する適格性評価装置100を含む。
【0021】
図2は、図1の分析制御装置10の構成を示す図である。分析制御装置10は、CPU(中央演算処理装置)11、RAM(ランダムアクセスメモリ)12、ROM(リードオンリメモリ)13、記憶部14、操作部15、表示部16および入出力I/F(インターフェイス)17により構成される。CPU11、RAM12、ROM13、記憶部14、操作部15、表示部16および入出力I/F17はバス18に接続される。CPU11、RAM12およびROM13が適格性評価装置100を構成する。
【0022】
RAM12は、CPU11の作業領域として用いられる。ROM13にはシステムプログラムが記憶される。記憶部14は、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体を含む。記憶部14には、分析制御プログラムが記憶されている。CPU11が記憶部14等に記憶された分析制御プログラムをRAM12上で実行することにより、分析装置20の制御が行われる。また、記憶部14には、適格性評価プログラムが記憶されている。なお、適格性評価プログラムは、記憶部14とは異なる記憶媒体に記憶されていてもよい。CPU11が記憶部14等に記憶された適格性評価プログラムをRAM12上で実行する。それにより、入出力I/F17を通して分析制御装置10により図1の分析装置20の運転時適格性評価が行われる。
【0023】
操作部15は、キーボード、マウスまたはタッチパネル等の入力デバイスである。表示部16は、液晶表示装置等の表示デバイスである。点検作業者は、操作部15を用いて適格性評価装置100に各種指示を行うことができる。表示部16は、適格性評価装置100による運転時適格性評価のための各種画面等を表示する。入出力I/F17は、分析装置20にCPU11または操作部15からの各種指令を出力するとともに分析装置20から各種データをCPU11に入力する。
【0024】
(2)システムテストの事前準備
図3図6は、適格性評価装置100により表示部16に表示される複数の操作画面の一例を示す図である。図3には、連続実行選択画面120が示される。図3に示すように、連続実行選択画面120は、選択ボタン121,122、複数の選択欄123、選択ボタン124,125、並列実行可否表示部127,128および完了ボタン129を含む。
【0025】
選択ボタン121,122は、複数のシステムテストを連続的に実行するか否かを選択するために操作される。点検作業者が選択ボタン121を指定した場合には、複数のシステムテストが連続的に実行される。点検作業者が選択ボタン122を指定した場合には、単一のシステムテストが実行される。本例では、選択ボタン121が選択されている。
【0026】
点検作業者は、1または複数の選択欄123により実行対象となるシステムテストを選択することができる。本例では、2つの選択欄123により第1のシステムテストおよび第2のシステムテストが選択されている。実行対象テストの選択時には、例えば、各選択欄123には、プルダウンメニューにより選択可能なシステムテストが表示される。
【0027】
選択ボタン124,125は、選択ボタン121が選択された場合のみ選択可能になる。選択ボタン124,125は、複数のシステムテストの並列実行または直列実行を選択するために操作される。並列実行とは、複数のシステムテストを時間的に並列に実行することをいう。直列実行とは、複数のシステムテストを時間的に直列に実行することをいう。並列実行可否表示部127,128は、並列実行が可能か否かを表示する。並列実行可否表示部127が点灯している場合には、並列実行が可能である。並列実行可否表示部128が点灯している場合には、並列実行は不可能である。本例では、第1のシステムテストおよび第2のシステムテストの並列実行が不可能であることが表示される。この場合、点検作業者は、選択ボタン125のみを選択することが可能である。
【0028】
並列実行可否表示部127が点灯している場合には、点灯作業者は、選択ボタン124,125のうちいずれも選択することができる。なお、選択欄123により選択された複数のシステムテストに基づいて、選択ボタン124,125のいずれか一方が自動的に選択されてもよい。
【0029】
選択ボタン125が選択された場合、図1の分析装置20において移動相および試料が検出器DAまたは検出器DBのいずれかに導かれるように切替弁SW2が順に切り替えられる。それにより、第1および第2のシステムテストが順に行われる。一方、選択ボタン124が選択された場合には、図1の分析装置20において移動相および試料が検出器DAおよび検出器DBに同時に導かれるように切替弁SW2が切り替えられる。この状態で、第1および第2のシステムテストが同時に行われる。
【0030】
点検作業者が完了ボタン129を操作すると、図4に示す評価条件確認画面130が表示部16に表示される。図4に示すように、評価条件確認画面130は、第1の確認ウィンドウ131、第2の確認ウィンドウ132、前に戻るボタン133および次に進むボタン134を含む。第1および第2の確認ウィンドウ131,132には、第1および第2のシステムテストのそれぞれの評価条件が表示される。
【0031】
本例の第1のシステムテストの評価条件では、検出器として“検出器DA”が表示される。ポンプPM1,PM2の送液モードとして、“高圧グラジエント”が表示される。検出器内のフローセルとして“標準セル”が表示される。本例において、分析装置20においては、ミキサーが用いられないので、試料導入部SIのミキサー容量は、“なし”として表示される。吸光度直線性テスト、グラジエント濃度テストおよび注入直線性テストの標準溶液(標準試料)として“カフェイン”が表示される。
【0032】
本例の第2のシステムテストの評価条件では、検出器として“検出器DB”が表示される。ポンプPM1,PM2の送液モードとして“高圧グラジエント”が表示される。検出器内のフローセルとして“標準セル”が表示される。試料導入部SIのミキサー容量は、“なし”として表示される。吸光度直線性テストおよび注入直線性テストの標準溶液として“カフェイン”が表示される。
【0033】
点検作業者は、第1および第2の確認ウィンドウ131,132の表示に従って、図1の分析装置20の評価条件を確認する。評価条件の確認が終了すると、点検作業者は、次に進むボタン134を操作する。なお、図3の連続実行選択画面120において選択された事項を変更する場合、前に戻るボタン133を操作する。前に戻るボタン133が操作されると表示部16には、再度、図3の連続実行選択画面120が表示される。
【0034】
点検作業者が次に進むボタン134を操作すると、図5に示す実行ファイル選択画面140が表示部16に表示される。図5に示すように、実行ファイル選択画面140は、第1のファイル選択ウィンドウ141、第2のファイル選択ウィンドウ142、前に戻るボタン143および次に進むボタン144を含む。
【0035】
ここで、実行ファイルについて説明する。本例において、実行ファイルはバッチファイルである。バッチファイルは、複数の命令を含むテキストファイルである。本実施の形態では、各実行ファイルは、システムテストを実行するために用いられる。例えば、吸光度直線性テストを実行するために、実行ファイルB1~B3が用意されている。また、再現性テストを実行するために、実行ファイルB4が用意されている。さらに、注入直線性テストを実行するために、実行ファイルB5が用意されている。
【0036】
第1および第2のファイル選択ウィンドウ141,142には、一または複数の実行ファイルを選択するための複数の選択欄141a,142aが表示される。図3の実行対象テストとして第1および第2のシステムテストが選択されると、第1および第2のシステムテストの実行に用いられる実行ファイルが自動的に選択される。点検作業者は、第1および第2のファイル選択ウィンドウ141,142内の所望の実行ファイルに対応する選択欄142a,142bを操作することにより第1および第2のシステムテストに用いられる実行ファイルを変更することができる。
【0037】
本例の第1のシステムテストにおいては、吸光度直線性テストの実行ファイルB1,B2、再現性テストの実行ファイルB4および注入直線性テストの実行ファイルB5が選択されている。本例の第2のシステムテストにおいては、吸光度直線性テストの実行ファイルB3および注入直線性テストの実行ファイルB5が選択されている。
【0038】
第1および第2のファイル選択ウィンドウ141,142内の実行ファイルの確認または変更が終了すると、点検作業者は、次に進むボタン144を操作する。なお、図4の評価条件確認画面130において、前に戻るボタン143が操作されると、表示部16には、再度、図4の評価条件確認画面130が表示される。
【0039】
点検作業者が次に進むボタン144を操作すると、図6に示す事前準備手順画面150が表示部16に表示される。図6に示すように、事前準備手順画面150は、第1の準備手順ウィンドウ151、第2の準備手順ウィンドウ152、前に戻るボタン153および実行ボタン154を含む。
【0040】
第1および第2の準備手順ウィンドウ151,152には、第1および第2のシステムテストの前に点検作業者が行うべき準備手順が表示される。準備手順は、移動相の準備、抵抗管の準備、流路の準備および試料の準備等を含む。点検作業者は、第1および第2の準備手順ウィンドウ151,152に表示された準備手順に従って、図1の分析装置20の第1および第2のシステムテストの準備を行う。
【0041】
本例の第1の準備手順ウィンドウ151には、第1のシステムテストの準備手順として、移動相M1,M2およびリンス液RIを調製すること、図1抵抗管R1,R2を接続すること、移動相M1,M2およびリンス液RIをセットした後、検出器DAを含む流路に残存する液体をリンス液でパージしてリンス液を移動相で置換すること、および試料を準備することが表示されている。試料の準備としては、異なる濃度の直線性標準溶液が収容される複数のバイアルV1,V2,V3を試料導入部SIに準備することが表示されている。
【0042】
本例の第2の準備手順ウィンドウ152には、第2のシステムテストの準備手順として、リンス液による検出器DBを含む流路をリンス液でパージしてリンス液を移動相で置換すること、および試料を準備することが表示されている。試料の準備としては、異なる濃度の直線性標準溶液が収容される複数のバイアルV11,V12,V13を試料導入部SIに準備することが表示されている。
【0043】
点検作業者は、第1および第2の準備手順ウィンドウ151,152に表示された準備手順に従って第1および第2のシステムテストの事前準備を行う。第1および第2のシステムテストの事前準備が終了すると、点検作業者は、実行ボタン154を操作する。それにより、第1および第2のシステムテストの連続テストが開始される。なお、図6の事前準備手順画面150において、前に戻るボタン153が操作されると、表示部16には、再度、図5の実行ファイル選択画面140が表示される。
【0044】
(3)適格性評価装置100の機能的な構成
図7は、適格性評価装置100の機能的な構成を示すブロック図である。適格性評価装置100は、表示制御部101、システムテスト選択部102、報告書ファイル取得部103、メタ情報抽出部104、実行ファイル取得部105、テスト実行制御部106、合否判定部107、報告書ファイル作成部108および逸脱報告書ファイル作成部109を含む。適格性評価装置100の構成要素(101~109)は、図2のCPU11が記憶部14に記憶される適格性評価プログラムを実行することにより実現される。なお、適格性評価装置100の構成要素(101~109)の一部または全てが電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0045】
表示制御部101は、図3図6の操作画面を表示部16に表示させる。また、表示制御部101は、図3図6の操作画面において選択されるべき選択ボタンが選択されたか否かおよび操作されるべきボタンが操作されたか否かを判定する。システムテスト選択部102は、点検作業者による操作部15の操作に基づいて予め用意された複数のシステムテストから一または複数のシステムテストを選択する。図3の例では、システムテスト選択部102は、図3の連続実行選択画面120の選択欄123で選択された第1および第2のシステムテストを選択する。
【0046】
記憶部14には、複数のシステムテストに対応する複数の報告書ファイルが記憶されるとともに複数の実行ファイルが記憶される。報告書ファイル取得部103は、システムテスト選択部102により選択された一または複数のシステムテストに対応する一または複数の報告書ファイルを記憶部14から取得する。各報告書ファイルは、対応するシステムテストの結果を示す未記録の報告書領域およびメタ情報を含む。メタ情報は、対応するシステムテストにおける評価内容、使用すべき実行ファイルおよび準備手順等の評価情報を含む。評価内容は、評価項目、評価手順、評価条件値および基準値等を含む。図3の例では、報告書ファイル取得部103は、第1および第2のシステムテストに対応する報告書ファイルを取得する。
【0047】
メタ情報抽出部104は、報告書ファイル取得部103により取得された一または複数の報告書ファイルに含まれるメタ情報を抽出する。図3の例では、第1および第2のシステムテストに対応するメタ情報をそれぞれ抽出する。実行ファイル取得部105は、メタ情報抽出部104により抽出されたメタ情報に基づいて、システムテスト選択部102により選択された一または複数のシステムテストにおいて用いられるべき実行ファイルを記憶部14から取得する。図5の例では、実行ファイル取得部105は、実行ファイル選択画面140において選択された第1および第2のシステムテストにおいて用いられるべき実行ファイルを取得する。
【0048】
テスト実行制御部106は、実行ファイル取得部105により取得された一または複数の実行ファイルおよびメタ情報抽出部104により抽出されたメタ情報に基づいて、システムテスト選択部102により選択された一または複数のシステムテストが実行させるように分析装置20を制御する。合否判定部107は、分析装置20の検出器DA,DBの出力信号により生成されるクロマトグラムから第1および第2のシステムテストの結果の合否を判定する。
【0049】
報告書ファイル作成部108は、第1および第2のシステムテストの結果が合否判定部107により合格であると判定された場合、報告書ファイル取得部103により取得された報告書ファイルの未記入の報告書領域に結果を記録する。それにより、報告書ファイルが作成される。逸脱報告書ファイル作成部109は、第1および第2のシステムテストが合否判定部107により不合格であると判定された場合、後述する逸脱報告書ファイルを作成する。
【0050】
(4)適格性評価装置100の動作
図8~10は、図2の適格性評価装置100の動作の一例を示すフローチャートである。まず、図8に示すように、表示制御部101は、表示部16に図3の連続実行選択画面120を表示させる(ステップS1)。システムテスト選択部102は、使用者による操作部15の操作に基づいて1または複数のシステムテストを選択する。続いて、システムテスト選択部102は、連続実行選択画面120における選択が完了したか否かを判定する(ステップS2)。この場合、システムテスト選択部102は、図3の完了ボタン129が操作された否かに基づいて選択が完了したか否かを判定する。システムテスト選択部102は、連続実行選択画面120における選択が完了していない場合、ステップS1の判定を繰り返す。
【0051】
連続実行選択画面120における選択が完了した場合、報告書ファイル取得部103は、システムテスト選択部102により選択された一または複数のシステムテストに対応する一または複数の報告書ファイルを記憶部14から取得する(ステップS3)。図3の例では、報告書ファイル取得部103は、第1および第2のシステムテストにそれぞれ対応する第1および第2の報告書ファイルを取得する。なお、記憶部14が第1および第2のシステムテストのための1つの報告書ファイルを記憶している場合には、報告書ファイル取得部103は、その報告書ファイルを取得してもよい。
【0052】
メタ情報抽出部104は、報告書ファイル取得部103により取得された一または複数の報告書ファイルに含まれるメタ情報を抽出する(ステップS4)。図3の例では、メタ情報抽出部104は、第1および第2の報告書ファイルに含まれる第1および第2のメタ情報を抽出する。
【0053】
表示制御部101は、メタ情報抽出部104により抽出されたメタ情報に基づいて表示部16に図4の評価条件確認画面130を表示させる(ステップS5)。図4の例では、評価条件確認画面130が第1および第2の確認ウィンドウ131,132を含む。
【0054】
表示制御部101は、評価条件確認画面130に表示された評価内容の確認が完了したか否かを判定する(ステップS6)。この場合、表示制御部101は、図4の次に進むボタン134が操作されたか否かに基づいて評価内容の確認が完了したか否かを判定する。表示制御部101は、評価条件確認画面130に表示された評価内容の確認が完了していない場合、ステップS5の判定を繰り返す。
【0055】
評価条件確認画面130に表示された評価内容の確認が完了した場合、表示制御部101は、図5の実行ファイル選択画面140を表示部16に表示させる(ステップS7)。図5の例では、実行ファイル選択画面140が第1および第2のファイル選択ウィンドウ141,142を含む。点検作業者は、実行ファイル選択画面140に表示された複数の実行ファイルを確認または変更する。表示制御部101は、実行ファイル選択画面140の確認または変更が完了したか否かを判定する(ステップS8)。この場合、表示制御部101は、図5の次に進むボタン144が操作されたか否かに基づいて実行ファイル選択画面140の確認または変更が完了したか否かを判定する。実行ファイル選択画面140の確認または変更が完了していない場合、表示制御部101は、ステップS7の判定を繰り返す。
【0056】
実行ファイル選択画面140の確認または変更が完了した場合、実行ファイル取得部105は、実行ファイル選択画面140において選択されている一または複数の実行ファイルを記憶部14から取得する(ステップS9)。
【0057】
その後、表示制御部101は、図6の事前準備手順画面150を表示部16に表示させる(ステップS10)。図6の例では、事前準備手順画面150が第1および第2の準備手順ウィンドウ151,152を含む。点検作業者は、事前準備手順画面150に表示された準備手順に従って一または複数のシステムテストの事前準備を行う。図6の例では、点検作業者は、第1の準備手順ウィンドウ151の表示内容に従って第1のシステムテストの事前準備を行うとともに、第2の準備手順ウィンドウ152の表示内容に従って第2のシステムテストの事前準備を行う。表示制御部101は、事前準備手順画面150の表示内容に基づいて事前準備が完了したか否かを判定する(ステップS11)。この場合、表示制御部101は、図6の実行ボタン154が操作されたか否かに基づいて事前準備が完了したか否かを判定する。事前準備が完了していない場合、表示制御部101は、ステップS10の判定を繰り返す。
【0058】
実行ファイル選択画面140に表示された事前準備手順に従って分析装置20の準備が完了した場合、テスト実行制御部106、合否判定部107、報告書ファイル作成部108および逸脱報告書ファイル作成部109は一または複数のシステムテストが実行されるように分析装置20を制御する(ステップS12)。図3図6の例では、第1および第2のシステムテストが実行される。
【0059】
図9および図10は、第1および第2のシステムテストの直列実行の動作を示す。本例では、第1のシステムテストは、テストAおよびテストBの両方またはテストBのみを含む。テストAにおいては、図1の第2の抵抗管R2が用いられる。テストBにおいては、図1の第1の抵抗管R1が用いられる。第2のシステムテストにおいては、図1の第1の抵抗管R1が用いられる。
【0060】
まず、テスト実行制御部106は、第1のシステムテストを開始する(図9のステップS21)。第1のシステムテストの開始時に、テスト実行制御部106は、図1の検出器DAが第1の抵抗管R1に接続されるように切替弁SW2を切り替える。
【0061】
テスト実行制御部106は、第1のシステムテストがテストAを含むか否かを判定する(ステップS22)。第1のシステムテストがテストAを含まない場合、テスト実行制御部106は、後述するステップS27に進む。第1のシステムテストがテストAを含む場合、テスト実行制御部106は、第2の抵抗管R2が試料導入部SIおよび検出器DAに接続されるように切替弁SW1,SW2を切り替える(ステップS23)。この状態で、テスト実行制御部106は、テストAが実行されるように分析装置20を制御する(ステップS24)。合否判定部107は、テストAの結果が合格であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0062】
テストAの結果が合格でない場合、逸脱報告書ファイル作成部109は、第1のシステムテストの逸脱処理を行う(ステップS31)。システムテストの逸脱処理は、テストAの結果が不合格であることを示す逸脱報告書ファイルの作成を含む。逸脱報告書ファイル作成部109は、逸脱報告書ファイルを記憶部14に記憶させる。テスト実行制御部106は、第1のシステムテストの再実行可能か否かを判定する(ステップS32)。第1のシステムテストの再実行が可能である場合、テスト実行制御部106は、復帰処理を行った後にステップS21に戻る。それにより、テストAが再度実行させる。
【0063】
ここで、復帰処理の一例について説明する。例えば、テストAにより生成されたクロマトグラム内にスパイク状のノイズ信号が現れた場合、テストAの結果が不合格となる。スパイク状のノイズ信号は、配管内の気泡に起因するものと判定される。そのため、第1のシステムテストが再実行可能であると判定される。この場合、復帰処理として、ポンプPM1,PM2の供給圧力が上昇された状態で配管内に移動相が供給される。それにより、配管内の気泡が取り除かれる。ステップS32において第1のシステムテストの再実行が不可能である場合、後述するステップS41に進む。
【0064】
ステップS25においてテストAの結果が合格である場合、テスト実行制御部106は、第2の抵抗管R2が試料導入部SIおよび検出器DAに接続されるように切替弁SW1,SW2を切り替える(ステップS26)。この状態で、テスト実行制御部106は、テストBが実行されるように分析装置20を制御する(ステップS27)。合否判定部107は、テストBの結果が合格であるか否かを判定する(ステップS28)。テストBの結果が合格でない場合、テスト実行制御部106は、ステップS31に進む。この場合、テストBの結果が不合格であることを示す逸脱報告書ファイルを作成し、その逸脱報告書ファイルを記憶部14に記憶させる。
【0065】
テストBの結果が合格である場合、報告書ファイル作成部108は、報告書ファイルに第1のシステムテストの結果を記録する(ステップS29)。この場合、報告書ファイルに第1のシステムテストの結果が合格であることが記録される。
【0066】
テスト実行制御部106は、第2のシステムテストを開始する(図10のステップS41)。この場合、ステップS26により第1の抵抗管R1が試料導入部SIに接続されている。第2のシステムテストの開始時に、テスト実行制御部106は、検出器DBが第1の抵抗管R1に接続されるように切替弁SW2を切り替える。この状態で、テスト実行制御部106は、第2のシステムテストが実行されるように分析装置20を制御する。
【0067】
合否判定部107は、第2のシステムテストの結果が合格であるか否かを判定する(ステップS42)。第2のシステムテストの結果が合格でない場合、逸脱報告書ファイル作成部109は、第2のシステムテストの逸脱処理を行う(ステップS51)。第2のシステムテストの逸脱処理は、第2のシステムテストの結果が不合格であることを示す逸脱報告書ファイルの作成を含む。逸脱報告書ファイル作成部109は、逸脱報告書ファイルを記憶部14に記憶させる。テスト実行制御部106は、第2のシステムテストの再実行可能が否かを判定する(ステップS52)。第2のシステムテストの再実行が可能である場合、テスト実行制御部106は、上記の復帰処理を行った後にステップS41に戻る。
【0068】
第2のシステムテストの結果が合格である場合、報告書ファイル作成部108は、報告書ファイルに第2のシステムテストの結果を記録する(ステップS43)。この場合、報告書ファイルに第2のシステムテストの結果が合格であることが記録される。報告書ファイル作成部108は、報告書ファイルを記憶部14に記憶させる。
【0069】
ステップS52において第2のシステムテストの再実行が不可能である場合、テスト実行制御部106は第2のシステムテストを終了する。
【0070】
(5)実施の形態の効果
上記実施の形態に係る適格性評価装置によれば、表示部16には、複数のシステムテストについての評価条件確認画面130(図4)、実行ファイル選択画面140(図5)および事前準備手順画面150(図6)が表示される。点検作業者は、表示部16により表示された図4図6の操作画面の内容に従って複数のシステムテストの事前準備を複数のシステムテストの連続実行前に一度で行うことができる。そのため、点検作業者は、一のシステムテストの実行後に他のシステムテストのための事前準備を行う必要がない。そのため、例えば、夜間または休日のように点検作業者が不在のときでも、複数のシステムテストを実行することができる。それにより、複数のシステムテストを連続的かつ自動的に実行することができる。その結果、複数の分析システムの運転時適格性評価を効率的に行うことが可能となる。
【0071】
さらに、複数のシステムテストの事前準備の内容(図4図6)が表示されるので、点検作業者は、事前準備の内容を視覚的に認識することができる。その結果、点検作業者の負担が軽減される。
【0072】
また、複数のシステムテストに使用される分離カラムCLまたは抵抗管R1,R2が自動的に検出器DAおよび検出器DBのいずれかに自動的かつ選択的に接続される。それにより、点検作業者は、複数のシステムテストの一方の実行後に他方のシステムテストのために分離カラムCLまたは各抵抗管R1,R2のいずれかを接続する作業を行う必要がない。したがって、点検作業者が不在のときでも、分離カラムCLまたは各抵抗管R1,R2の切り替えが必要な複数のシステムテストを自動的に実行することが可能となる。
【0073】
さらに、複数のシステムテストのうち、一のシステムテストの結果が不合格である場合でも、他のシステムテストが継続される。それにより、複数のシステムテストがより効率的に実行される。
【0074】
また、複数のシステムテストのうち、一のシステムテストの結果が不合格である場合に、不合格のシステムテストが自動的に再度実行されるので、点検作業者が不合格のシステムテストを再度実行する必要がない。それにより、点検作業者の作業を必要とすることなく、複数のシステムテストの結果が合格になるように複数のシステムテストが自動的に実行される。その結果、複数の分析システムの運転時適格性評価をより効率的に行うことが可能となる。
【0075】
また、複数のシステムテストは、時間的に並列または直列に実行可能に制御されるので、複数のシステムテストの内容に応じて複数のシステムテストに要する全体の時間を削減することが可能になる。
【0076】
(6)他の実施の形態
(a)図9および図10の例では、複数のシステムテストの連続実行として、第1および第2のシステムテストは、直列実行されるが、複数のシステムの連続実行として、第1および第2のシステムテストが並列実行されてもよい。図11は、第1および第2のシストムテストの直列実行を示すフローチャートである。図11に示すように、直列実行では、第1のシステムテスト(ステップS61)および第2のシステムテスト(ステップS62)が時間的に並列に実行される。
【0077】
この場合、第1のシステムテストおよび第2のシステムテストのうち一方のシステムテストの結果が合格でない場合でも、他方のシステムテストが継続される。また、全てのシステムテストの終了後にシステムテストの不合格に対する確認が行われる。本例では、複数のシステムテストの全体の実行時間が短縮される。
【0078】
(b)上記実施の形態において、複数の報告書ファイルおよび複数の実行ファイルが記憶部14に記憶されるが、複数の報告書ファイルおよび複数の実行ファイルが外部のサーバまたはインターネット上のサーバ等に記憶されていてもよい。この場合、報告書ファイル取得部103は、外部のサーバまたはインターネット上のサーバ等から報告書ファイルを取得する。実行ファイル取得部105は、外部のサーバまたはインターネット上のサーバ等から実行ファイルを取得する。
【0079】
(c)上記実施の形態において、分析装置20は、液体クロマトグラフであるが、分析装置20は超臨界流体クロマトグラフまたはイオンクロマトグラフ等の他のクロマトグラフであってもよく、質量分析装置等の他の分析装置であってもよい。
【0080】
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、システムテスト選択部102が受付部の例であり、報告書ファイル取得部103が取得部の例であり、表示部16が提示部の例であり、テスト実行制御部106が実行制御部の例である。また、報告書ファイル作成部108および逸脱報告書ファイル作成部109が出力部の例であり、評価条件確認画面130、実行ファイル選択画面140および事前準備手順画面150が事前準備の内容を示す画像の例である。
【0081】
(8)態様
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0082】
(第1項) 一態様に係る適格性評価装置は、
分析装置の運転時適格性評価を行う適格性評価装置であって、
分析装置により構成される複数の分析システムの運転時適格性評価を行うための複数のシステムテストの選択を受け付け可能に構成される受付部と、
受付部により受け付けられた複数のシステムテストによる評価内容を複数の評価情報として取得する取得部と、
取得された複数の評価情報に基づいて、複数のシステムテストの実行前に行われるべき事前準備の内容を提示する提示部と、
複数のシステムテストのための事前準備の完了後に、複数のシステムテストが実行されるように分析装置を制御する実行制御部と、
実行制御部による複数のシステムテストの結果を出力する出力部とを備えてもよい。
【0083】
一態様に係る適格性評価装置によれば、取得部により取得された複数の評価情報に基づく事前準備の内容が提示部により提示される。点検作業者は、提示部により提示された事前準備の内容に従って複数のシステムテストのための事前準備を複数のシステムテストの実行前に一度で行うことができる。そのため、点検作業者は、各システムテストの実行後に他のシステムテストのための事前準備を行う必要がない。それにより、複数のシステムテストを連続的かつ自動的に実行することができる。その結果、複数の分析システムの運転時適格性評価を効率的に行うことが可能となる。
【0084】
(第2項) 第1項に記載の適格性評価装置において、事前準備の内容は、複数のシステムテストにおける評価条件の確認、複数のシステムテストに対応して分析装置において行われるべき準備作業および複数のシステムテストの実行に用いられる一または複数の実行ファイルの確認または変更のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0085】
第2項に記載の適格性評価装置によれば、複数のシステムテストのために点検作業者により行われるべき作業を一度で行うことができる。点検作業者は、各システムテストの実行後に他のシステムテストのための作業を行う必要がない。
【0086】
(第3項) 第2項に記載の適格性評価装置において、
提示部は、複数のシステムテストのための事前準備の内容を示す画像を提示してもよい。
【0087】
第3項に記載の適格性評価装置によれば、点検作業者は、複数のシステムテストのための事前準備の内容を視覚的に認識することができる。したがって、点検作業者の負担が軽減される。
【0088】
(第4項) 第2項または第3項に記載の適格性評価装置において、
分析装置は、分離カラムおよび複数の検出器を含み、
複数の分析システムの各々は、複数の検出器のいずれかを含み、
準備作業は、一または複数の抵抗管を準備すること、および分離カラムおよび各抵抗管を複数の検出器のいずれかに選択的に接続可能にすることを含み、
実行制御部は、各システムテストの内容に応じて、分離カラムまたは各抵抗管のいずれかが複数の検出器のいずれかに選択的に接続されるように分析装置を制御してもよい。
【0089】
第4項に記載の適格性評価装置によれば、複数のシステムテストの実行の際に提示部により自動的に分離カラムまたは各抵抗管のいずれかが検出器に接続される。それにより、点検作業者は、各システムテストの実行後に他のシステムテストのために分離カラムまたは各抵抗管のいずれかを接続する作業を行う必要がない。それにより、点検作業者の負担が軽減される。
【0090】
(第5項) 第1項~第4項のいずれか一項に記載の適格性評価装置において、実行制御部は、複数のシステムテストが時間的に並列または直列に実行されるように分析装置を制御してもよい。
【0091】
第5項に記載の適格性評価装置によれば、複数のシステムテストの内容に応じて複数のシステムテストに要する全体の時間を削減することが可能となる。
【0092】
(第6項) 第5項に記載の適格性評価装置において、実行制御部は、少なくとも1つのシステムテストの結果の合否に関わらず他のシステムテストが実行されるように分析装置を制御してもよい。
【0093】
第6項に記載の適格性評価装置によれば、少なくとも1つのシステムテストの結果が不合格である場合でも、他のシステムテストが継続される。それにより、複数のシステムテストがより効率的に実行される。
【0094】
(第7項)第5項または第6項に記載の適格性評価装置において、
実行制御部は、少なくとも1つのシステムテストの結果が合格でない場合、少なくとも1つのシステムテストが再度実行されるように分析装置を制御してもよい。
【0095】
第7項に記載の適格性評価装置によれば、少なくとも1つのシステムテストの結果が不合格である場合に、不合格のシステムテストが自動的に再度実行されるので、点検作業者が不合格のシステムテストを再度実行する必要がない。それにより、点検作業者の作業を必要とすることなく、複数のシステムテストの結果が合格になるように複数のシステムテストが自動的に実行される。その結果、複数の分析システムの運転時適格性評価をより効率的に行うことが可能となる。
【0096】
(第8項) 第1項~第7項のいずれか一項に記載の適格性評価装置において、
実行制御部は、事前準備の完了後に、複数のシステムテストが時間的に直列または並列に実行されるように分析装置を制御してもよい。
【0097】
第8項に記載の適格性評価装置によれば、複数のシステムテストの内容に応じて複数のシステムテストを時間的に直列または並列に実行させることが可能となる。その結果、複数の分析システムの運転時適格性評価をより効率的に行うことが可能となる
(第9項) 他の態様に係る適格性評価方法は、
分析装置の運転時適格性評価を行う適格性評価方法であって、
分析装置により構成される複数の分析システムの運転時適格性評価を行うための複数のシステムテストの選択を受け付けるステップと、
受け付けられた複数のシステムテストによる評価内容を複数の評価情報として取得するステップと、
取得された複数の評価情報に基づいて、複数のシステムテストの実行前に行われるべき事前準備の内容を提示するステップと、
複数のシステムテストのための事前準備の完了後に、複数のシステムテストが実行されるように分析装置を制御するステップと、
実行された複数のシステムテストの結果を出力するステップとを含んでもよい。
【0098】
第9項に記載の適格性評価方法によれば、取得部により取得された複数の評価情報に基づく事前準備の内容が提示部により提示される。点検作業者は、提示部により提示された事前準備の内容に従って複数のシステムテストのための事前準備を複数のシステムテストの実行前に一度で行うことができる。そのため、点検作業者は、各システムテストの実行後に他のシステムテストのための事前準備を行う必要がない。それにより、複数のシステムテストを連続的かつ自動的に実行することができる。その結果、複数の分析システムの運転時適格性評価を効率的に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0099】
10…分析制御装置,11…CPU,12…RAM,13…ROM,14…記憶部,15…操作部,16…表示部,17…入出力I/F,18…バス,20…分析装置,100…適格性評価装置,101…表示制御部,102…システムテスト選択部,103…報告書ファイル取得部,104…メタ情報抽出部,105…実行ファイル取得部,106…テスト実行制御部,107…合否判定部,108…報告書ファイル作成部,109…逸脱報告書ファイル作成部,130…評価条件確認画面,140…実行ファイル選択画面,150…事前準備手順画面,CL…分離カラム,CO…カラムオーブン,DA,DB…検出器,PM1,PM2…ポンプ,R1…第1の抵抗管,R2…第2の抵抗管,SI…試料導入部,SW1,SW2…切替弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11