(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118840
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】半導体装置および連続読出し方法
(51)【国際特許分類】
G11C 16/26 20060101AFI20220808BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
G11C16/26 110
G11C16/04 170
G11C16/26 100
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015609
(22)【出願日】2021-02-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】須藤 直昭
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 真言
【テーマコード(参考)】
5B160
5B225
【Fターム(参考)】
5B160CA14
5B160CA15
5B225BA01
5B225BA20
5B225CA04
5B225CA25
5B225DA03
5B225DA04
5B225DA05
5B225DE06
5B225DE08
5B225EA05
5B225EE18
5B225EE19
(57)【要約】
【課題】 従来の連続読出しを改善した半導体装置および連続読出し方法を提供する。
【解決手段】 本発明のフラッシュメモリ100は、NAND型のメモリセルアレイ110_1、110_2と、入出力回路120と、ECC回路130と、コントローラ150と、ワード線選択回路160_1、160_2と、ページバッファ/センス回路170_1、170_2と、列選択回路180_1、180_2とを含む。コントローラ150は、ページの連続読出しを行う場合、メモリセルアレイ110_1から選択ページの前半の1/2ページのアレイ読出しを行い、かつこれとは独立してメモリセルアレイ110_2から選択ページの後半の1/2ページのアレイ読出しを行い、別々に読み出された1/2ページのデータをクロック信号に同期して連続的に出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NAND型フラッシュメモリにおけるページの連続読出し方法であって、
第1のメモリセルアレイから1/2ページの第1のデータを読み出し、読み出した第1のデータを第1の保持回路に保持する第1の読出しステップと、
第1のメモリセルアレイとは個別のタイミングで、第2のメモリセルアレイから1/2ページの第2のデータを読み出し、読み出した第2のデータを第2の保持回路に保持する第2の読出しステップと、
クロック信号に同期して第1のデータを出力する第1の出力ステップと、
前記クロック信号に同期して第1のデータの出力後に第2のデータを連続して出力する第2の出力ステップと、
を含む連続読出し方法。
【請求項2】
連続読出し方法はさらに、第1の保持回路に保持された第1のデータを第3の保持回路に転送する第1の転送ステップと、
第2の保持回路に保持された第2のデータを第4の保持回路に転送する第2の転送ステップとを含み、
第1の転送ステップ後に、第1の読出しステップにより読み出された次のページの1/2ページの第1のデータが第1の保持回路に保持され、
第2の転送ステップ後に、第2の読出しステップにより読み出された次のページの1/2ページの第2のデータが第2の保持回路に保持される、請求項1に記載の連続読出し方法。
【請求項3】
連続読出し方法はさらに、第3の保持回路に保持された第1のデータの誤り検出・訂正を行う第1のECCステップと、
第4の保持回路に保持された第2のデータの誤り検出・訂正を行う第2のECCステップとを含む、請求項2に記載の連続読出し方法。
【請求項4】
第1の出力ステップにより第3の保持回路に保持された第1のデータを出力している間に、第2のECCステップが第4の保持回路に保持された次のページの第2のデータの誤り検出・訂正を行い、
第2の出力ステップにより第4の保持回路に保持された第2のデータを出力している間に、第1のECCステップが第3の保持回路に保持された次のページの第1のデータの誤り検出・訂正を行う、請求項3に記載の連続読出し方法。
【請求項5】
第1の読出しステップは、第1の出力ステップにより第3の保持回路に保持された第1のデータが出力されたことに応答して2ページ先の1/2ページの第1のデータの読出しを行い、第2の読出しステップは、第2の出力ステップにより第4の保持回路に保持された第2のデータが出力されたことに応答して2ページ先の1/2ページの第2のデータの読出しを行う、請求項2ないし4いずれか1つに記載の連続読出し方法。
【請求項6】
第1の出力ステップおよび第2の出力ステップは、複数の外部端子の各々から第1のデータと第2のデータとを交互に連続的に出力する、請求項1に記載の連続読出し方法。
【請求項7】
NAND型フラッシュメモリにおけるページの連続読出し方法であって、
メモリセルアレイから前半の1/2ページのアレイ読出しと後半の1/2ページのアレイ読出しとをそれぞれ独立して行う読出しステップと、
第1のアレイ読出しで読み出された1/2ページの第1のデータを第1の保持回路に保持し、第2のアレイ読出しで読み出された1/2ページの第2のデータを第2の保持回路に保持するステップと、
前記読出しステップと前記保持するステップとを複数のページ読出しで実行し、クロックに同期して第1のデータと第2のデータとを交互に出力するステップと、
を含む連続読出し方法。
【請求項8】
NAND型の第1のメモリセルアレイからデータを読み出す第1のアレイ読出し手段と、
NAND型の第2のメモリセルアレイからデータを読み出す第2のアレイ読出し手段と、
前記第1の読出し手段により読み出されたデータを保持する第1の保持手段と、
前記第2の読出し手段により読み出されたデータを保持する第2の保持手段と、
前記第1および第2の保持手段により保持されたデータをクロック信号に同期して出力可能な出力手段と、
読出し動作を制御する制御手段とを含み、
前記制御手段がページの連続読出しを制御する場合、前記第1のアレイ読出し手段が1/2ページの第1のデータを読出し、前記第2のアレイ読出し手段が1/2ページの第2のデータを読出し、前記出力手段が第1のデータと第2のデータを交互に連続的に出力する半導体装置。
【請求項9】
前記第1の保持手段は、前記第1のアレイ読出し手段によって読み出された第1のデータを保持する第1のラッチと、第1のラッチから転送された第1のデータを保持する第2のラッチとを含み、第1のラッチから第2のラッチへの第1のデータの転送後に、前記第1のアレイ読出し手段により読み出された次のページの1/2ページの第1のデータが第1のラッチに保持され、
前記第2の保持手段は、前記第2のアレイ読出し手段によって読み出された第2のデータを保持する第1のラッチと、第1のラッチから転送された第2のデータを保持する第2のラッチとを含み、第1のラッチから第2のラッチへの第2のデータの転送後に、前記第2のアレイ読出し手段により読み出された次のページの1/2ページの第2のデータが第1のラッチに保持される、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
半導体装置はさらに、データの誤り検出・訂正を行う誤り検出・訂正手段を含み、
前記誤り検出・訂正手段は、前記第1の保持手段および前記第2の保持手段の第2のラッチに保持された第1のデータまたは第2のデータの誤り検出・訂正を行う、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記出力手段により前記第1の保持手段の第2のラッチに保持された第1のデータを出力している間に、前記誤り検出・訂正手段が前記第2の保持手段の第2のラッチに保持された次のページの第2のデータの誤り検出・訂正を行い、
前記出力手段により前記第2の保持手段の第2のラッチに保持された第2のデータを出力している間に、前記誤り検出・訂正手段が前記第1の保持手段の第2のラッチに保持された次のページの第1のデータの誤り検出・訂正を行う、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1のアレイ読出し手段は、前記出力手段により前記第1の保持手段の第2のラッチに保持された第1のデータが出力されたことに応答して2ページ先の1/2ページの第1のデータの読出しを行い、前記第2のアレイ読出し手段は、前記出力手段により前記第2の保持手段の第2のラッチに保持された第2のデータが出力されたことに応答して2ページ先の1/2ページの第2のデータの読出しを行う、請求項8ないし11いずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1のメモリアレイおよび前記第2のメモリアレイは、同一のチップ上に形成される、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項14】
半導体装置は、少なくとも2つのチップを含み、前記第1のメモリアレイおよび前記第2のメモリアレイは、それぞれ異なるチップ上に形成される、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記出力手段は、複数の外部端子の各々から第1のデータと第2のデータとを交互に連続的に出力する、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項16】
NAND型フラッシュメモリの読出し方法であって、
コマンドを受け取るステップと、
前記コマンドに基づき通常のページ読出しか複数ページの連続読出しかを判別するステップと、
通常のページ読出しと判別された場合、第1および第2のメモリセルアレイを同時にアクセスし、第1および第2のメモリセルアレイから1ページ分のデータを読出し、読み出したデータを第1および第2の保持回路に保持するステップと、
複数ページの連続読出しと判別された場合、第1および第2のメモリセルアレイを個別にアクセスし、第1のメモリセルアレイから1/2ページ分の第1のデータを読み出し、読み出した第1のデータを第1の保持回路に保持し、第2のメモリセルアレイから残りの1/2ページ分の第2のデータを読み出し、読み出した第2のデータを第2の保持回路に保持するステップとを有する、読出し方法。
【請求項17】
NAND型の第1および第2のメモリセルアレイと、
第1および第2のメモリセルアレイから読み出されたデータを保持する第1および第2の保持手段と、
前記第1および第2の保持手段により保持されたデータを出力する出力手段と、
第1および第2のメモリセルアレイの読出し動作を制御する制御手段とを含み、
前記制御手段は、受け取ったコマンドに基づき通常のページ読出しか複数ページの連続読出しかを判別し、通常のページ読出しと判別した場合、第1および第2のメモリセルアレイから1ページ分のデータを同時に読出し、読み出したデータを第1および第2の保持手段に保持させ、複数ページの連続読出しと判別された場合、第1のメモリセルアレイから1/2ページ分の第1のデータを読み出し、読み出した第1のデータを第1の保持手段に保持させ、その後、第2のメモリセルアレイから残りの1/2ページ分の第2のデータを読み出し、読み出した第2のデータを第2の保持手段に保持させる、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特にNAND型フラッシュメモリ等の連続読出しに関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型のフラッシュメモリには、外部からのコマンドに応答して複数のページを連続で読み出す連続読出し機能(バースト読出し機能)が搭載されているものがある。ページバッファ/センス回路は、例えば2つのラッチを含み、連続読出し動作が行われるとき、一方のラッチにアレイから読み出されたデータを保持する間に、他方のラッチに保持されたデータの出力を可能にしている(例えば、特許文献1、2、3等)。特許文献4は、連続読出しのさらなる高速化を図る読出し方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5323170号公報
【特許文献2】特許5667143号公報
【特許文献3】米国特許出願US2014/0104947A1
【特許文献4】特許6744950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に、従来のオンチップECC機能を搭載したNAND型フラッシュメモリの概略構成を示す。フラッシュメモリは、NANDストリングを含むメモリセルアレイ10と、ページバッファ/センス回路20と、データ転送回路30、32と、誤り検出訂正回路(以下、ECC回路)40と、入出力回路50とを含む。ページバッファ/センス回路20は、読出しデータやプログラムすべき入力データを保持する2つのラッチL1、L2(1つのラッチは、例えば4KB)を含み、ラッチL1、L2は、それぞれ第1のキャッシュC0と第2のキャッシュC1(1つのキャッシュは、例えば2KB)とを含む。
【0005】
図2に、特許文献4に開示された、複数ページの連続読出しを行うときのタイミングチャートを示す。最初に、ページ0のアレイ読出しが行われ、ページ0のデータがラッチL1の第1および第2のキャッシュC0、C1に保持される(P0C0、P0C1)。次に、ラッチL1の第1および第2のキャッシュC0、C1のデータがラッチL2の第1および第2のキャッシュC0、C1に転送され、第1および第2のキャッシュC0、C1のデータがECC回路40において、ECCデコードの演算が行われ、誤りが検出された場合には、ラッチL2の第1、第2のキャッシュC0、C1のデータが訂正される。
【0006】
連続読出しでは、行アドレスカウンタが自動的にインクリメントされ、次のページ1の読出しが行われ、読み出されたデータがラッチL1の第1および第2のキャッシュC0、C1に転送される。この間、ラッチL2の第1のキャッシュC0のデータが入出力回路50へ転送され、入出力回路50に保持されたデータは、外部から供給される外部クロック信号ExCLKに同期して出力される。次に、ラッチL2の第2のキャッシュC1のデータが入出力回路50から外部クロック信号ExCLKに同期して出力され、この間、ラッチL1の第1のキャッシュC0のデータがラッチL2に転送され、かつECC回路40によりECC処理が行われる。
【0007】
ラッチL1の第2のキャッシュC1のデータがラッチL2に転送され、ラッチL2の第1のキャッシュC0のデータが入出力回路50から出力される間に、第2のラッチL2の第2のキャッシュC1のデータがECC処理され、次いで、ラッチL2の第2のキャッシュC1のデータが入出力回路50から出力される間に、次のページ2がアレイから読み出され、ラッチL1の第1および第2のキャッシュC0、C1に転送され、かつ第1のキャッシュC0のデータがラッチL2に転送され、ECC処理される。
【0008】
ラッチL1、L2を利用した連続読出しは、ページP2のアレイ読出しから実質的に開始される。ページP2のアレイ読出しの開始タイミングは、ラッチL1からラッチL2にページP1のデータの転送が終了した時点ではなく、それよりも早いラッチL1の第1のキャッシュC0のページP1のデータをラッチL2に転送する時点である。ページP2のアレイ読出しのタイミングを早めたとしても、実際にはアレイ読出しのためには一定の時間がかかるので、アレイから読み出されたページP2のデータをラッチL1に転送する時点で、連続読出しの高速化のために高速周波数の外部クロック信号ExCLKが用いられれば、ラッチL1からラッチL2へのページP1のデータ転送は既に完了されていることになる。
【0009】
アレイ読出し時間tARRAYは、アレイ読出しの開始タイミングとアレイ読出しの終了タイミングにより規定される。ページP2のアレイ読出しの終了タイミングは、次のページP3のアレイ読出しの開始タイミングであり、ページP2、P3、P4…のページが連続して読み出されるとき、アレイ読出し時間tARRAYも同様に連続する。
【0010】
ここで、アレイの読出しは、決められたタイミングにより内部クロック信号を用いて動作され、他方、データ出力は、内部クロック信号とは非同期の外部クロック信号ExCLKにより動作される。
図2に示す連続読出しの制約は、数式(1)で表される。 tARRAYおよびtECCは、一定の時間であり、tDOUTは、外部クロック信号ExCLKの周波数によって規定される。
tARRAY<tDOUT(1ページ)、
tECC<tDOUT(1/2ページ) …(1)
【0011】
つまり、1ページのデータを出力する時間tDOUTがアレイ読出し時間tARRAYよりも大きいこと、1/2ページのデータを出力する時間tDOUTがECC処理の時間tECCよりも大きいことの制約を満足すれば、
図2に示すような連続読出しの高速化を図ることができる。
図2には、ページP1の第1のキャッシュC0のデータをラッチL1からラッチL2に転送を開始する時点から次のページP2の第1のキャッシュC0のデータをラッチL1からラッチL2に転送を開始する時点までのページP2のアレイ読出し時間tARRAYよりも、ページP0の第2のキャッシュのデータを出力する時間とページP1の第1のキャッシュのデータを出力する時間の合計である出力時間tDOUTが大きいこと、ラッチL2の第1のキャッシュのデータをECC処理する時間tECCよりも、ラッチL2の第2のキャッシュのデータを出力する時間tDOUTが大きいことが例示されている。
【0012】
しかし、アレイ読出しの開始タイミングを変更することで、別のタイミングの制約が生じる。もし、ユーザーが周波数の遅い外部クロック信号ExCLKを使用した場合、アレイから読み出したデータをラッチL1に転送する時点で、ラッチL1は、外部クロック信号ExCLKの遅い周波数のために前のページのデータを保持していると、ラッチL1の前のページのデータがアレイ読出しの次のページデータによって破壊されてしまう。
【0013】
数式(2)は、このようなデータ破壊が生じさせないための制約を示している。
tDOUT(1/2ページ)<tARRAY …(2)、
数式(1)、(2)から数式(3)が導かれる。
tARRAY<tDOUT<tARRAY×2 …(3)
【0014】
数式(3)で規定する最小周波数よりも低い周波数の外部クロック信号ExCLKの使用を可能にするため、従来のフラッシュメモリは、ステータスレジスタを用意し、ステータスレジスタに設定した値により、
図2に示すような高速の連続読出し、あるいはラッチL1に保持されたデータがラッチL2に転送された後にアレイ読出しを行う通常の連続読出しの切替えを行う。
図3にステータスレジスタの一例を示す。設定値「1」は、高速周波数の外部クロック信号ExCLKの使用に対応し、連続読出しにおいて
図2に示すタイミングでアレイ読出しが開始され、設定値「0」は、低速周波数の外部クロック信号ExCLKの使用に対応し、連続読出しにおいて通常のタイミングでアレイ読出しが開始される。ステータスレジスタの設定値は、外部から書換え可能であり、ユーザーは、外部からの書換えコマンドおよびステータスレジスタのアドレス「XXh」を入力し、ステータスレジスタの設定値を変更することができる。
【0015】
このような従来のフラッシュメモリは、外部クロック信号ExCLKの周波数を最大化することで連続読出しの高速化を図ることができる反面、外部クロック信号ExCLKの周波数の最小値に制約があり、そのような低速周波数の使用を可能にするためには、ステータスレジスタや、アレイ読出しの開始タイミングを切替えるための回路が必要となる。さらに、ユーザーがステータスレジスタに動作の設定をしなければならず煩雑である。
【0016】
また、連続読出しでは、データ出力中にアレイ読出しが行われるため、ある動作のタイミングでIOノイズとアレイ読出しの電流とがオーバーラップすると、大きなピーク電流Iccが発生する。入出力回路50は、例えば、m個のフリップフロップを接続したパラレル/シリアル変換回路を含み、外部クロック信号ExCLKに同期してmビットの並列データをシリアルデータに変換し、これを外部端子から出力する。一方、連続読出しでは、ビット線をプリチャージするために大きな電流が流れ、1ページのサイズが大きくなれば、それだけ大きな電流が消費される。
【0017】
アレイの読出しは、内部クロック発生器で生成された内部クロック信号InCLKに同期して行われるが、この内部クロック信号InCLKは、外部クロック信号ExCLKと非同期である。両クロックのエッジが時間的にオーバーラップまたは接近したとき、クロックに同期した動作により大きなピーク電流Iccが発生する。大きなピーク電流Iccは、内部の供給電圧を一時的に降下させ、あるいはノイズを発生させ、これにより回路の動作が遅延したり、動作が不安定になる。それ故、可能な限りピーク電流Iccを減少させることが望ましい。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決し、従来の連続読出しを改善した半導体装置および連続読出し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係るNAND型フラッシュメモリにおけるページの連続読出し方法は、第1のメモリセルアレイから1/2ページの第1のデータを読み出し、読み出した第1のデータを第1の保持回路に保持する第1の読出しステップと、第1のメモリセルアレイとは個別のタイミングで、第2のメモリセルアレイから1/2ページの第2のデータを読み出し、読み出した第2のデータを第2の保持回路に保持する第2の読出しステップと、クロック信号に同期して第1のデータを出力する第1の出力ステップと、前記クロック信号に同期して第1のデータの出力後に第2のデータを連続して出力する第2の出力ステップとを含む。
【0020】
ある実施態様では、連続読出し方法はさらに、第1の保持回路に保持された第1のデータを第3の保持回路に転送する第1の転送ステップと、第2の保持回路に保持された第2のデータを第4の保持回路に転送する第2の転送ステップとを含み、第1の転送ステップ後に、第1の読出しステップにより読み出された次のページの1/2ページの第1のデータが第1の保持回路に保持され、第2の転送ステップ後に、第2の読出しステップにより読み出された次のページの1/2ページの第2のデータが第2の保持回路に保持される。ある実施態様では、連続読出し方法はさらに、第3の保持回路に保持された第1のデータの誤り検出・訂正を行う第1のECCステップと、第4の保持回路に保持された第2のデータの誤り検出・訂正を行う第2のECCステップとを含む。ある実施態様では、第1の出力ステップにより第3の保持回路に保持された第1のデータを出力している間に、第2のECCステップが第4の保持回路に保持された次のページの第2のデータの誤り検出・訂正を行い、第2の出力ステップにより第4の保持回路に保持された第2のデータを出力している間に、第1のECCステップが第3の保持回路に保持された次のページの第1のデータの誤り検出・訂正を行う。ある実施態様では、第1の読出しステップは、第1の出力ステップにより第3の保持回路に保持された第1のデータが出力されたことに応答して2ページ先の1/2ページの第1のデータの読出しを行い、第2の読出しステップは、第2の出力ステップにより第4の保持回路に保持された第2のデータが出力されたことに応答して2ページ先の1/2ページの第2のデータの読出しを行う。ある実施態様では、第1の出力ステップおよび第2の出力ステップは、複数の外部端子の各々から第1のデータと第2のデータとを交互に連続的に出力する。
【0021】
さらに本発明に係るNAND型フラッシュメモリにおけるページの連続読出し方法は、メモリセルアレイから前半の1/2ページのアレイ読出しと後半の1/2ページのアレイ読出しとをそれぞれ独立して行う読出しステップと、第1のアレイ読出しで読み出された1/2ページの第1のデータを第1の保持回路に保持し、第2のアレイ読出しで読み出された1/2ページの第2のデータを第2の保持回路に保持するステップと、前記読出しステップと前記保持するステップとを複数のページ読出しで実行し、クロックに同期して第1のデータと第2のデータとを交互に出力するステップとを含む。
【0022】
本発明に係る半導体装置は、NAND型の第1のメモリセルアレイからデータを読み出す第1のアレイ読出し手段と、NAND型の第2のメモリセルアレイからデータを読み出す第2のアレイ読出し手段と、前記第1の読出し手段により読み出されたデータを保持する第1の保持手段と、前記第2の読出し手段により読み出されたデータを保持する第2の保持手段と、前記第1および第2の保持手段により保持されたデータをクロック信号に同期して出力可能な出力手段と、読出し動作を制御する制御手段とを含み、前記制御手段がページの連続読出しを制御する場合、前記第1のアレイ読出し手段が1/2ページの第1のデータを読出し、前記第2のアレイ読出し手段が1/2ページの第2のデータを読出し、前記出力手段が第1のデータと第2のデータを交互に連続的に出力する。
【0023】
ある実施態様では、前記第1の保持手段は、前記第1のアレイ読出し手段によって読み出された第1のデータを保持する第1のラッチと、第1のラッチから転送された第1のデータを保持する第2のラッチとを含み、第1のラッチから第2のラッチへの第1のデータの転送後に、前記第1のアレイ読出し手段により読み出された次のページの1/2ページの第1のデータが第1のラッチに保持され、前記第2の保持手段は、前記第2のアレイ読出し手段によって読み出された第2のデータを保持する第1のラッチと、第1のラッチから転送された第2のデータを保持する第2のラッチとを含み、第1のラッチから第2のラッチへの第2のデータの転送後に、前記第2のアレイ読出し手段により読み出された次のページの1/2ページの第2のデータが第1のラッチに保持される。
【0024】
ある実施態様では、半導体装置はさらに、データの誤り検出・訂正を行う誤り検出・訂正手段を含み、前記誤り検出・訂正手段は、前記第1の保持手段および前記第2の保持手段の第2のラッチに保持された第1のデータまたは第2のデータの誤り検出・訂正を行う。ある実施態様では、前記出力手段により前記第1の保持手段の第2のラッチに保持された第1のデータを出力している間に、前記誤り検出・訂正手段が前記第2の保持手段の第2のラッチに保持された次のページの第2のデータの誤り検出・訂正を行い、前記出力手段により前記第2の保持手段の第2のラッチに保持された第2のデータを出力している間に、前記誤り検出・訂正手段が前記第1の保持手段の第2のラッチに保持された次のページの第1のデータの誤り検出・訂正を行う。ある実施態様では、前記第1のアレイ読出し手段は、前記出力手段により前記第1の保持手段の第2のラッチに保持された第1のデータが出力されたことに応答して2ページ先の1/2ページの第1のデータの読出しを行い、前記第2のアレイ読出し手段は、前記出力手段により前記第2の保持手段の第2のラッチに保持された第2のデータが出力されたことに応答して2ページ先の1/2ページの第2のデータの読出しを行う。ある実施態様では、前記第1のメモリアレイおよび前記第2のメモリアレイは、同一のチップ上に形成される。ある実施態様では、半導体装置は、少なくとも2つのチップを含み、前記第1のメモリアレイおよび前記第2のメモリアレイは、それぞれ異なるチップ上に形成される。ある実施態様では、前記出力手段は、複数の外部端子の各々から第1のデータと第2のデータとを交互に連続的に出力する。
さらに本発明に係るNAND型フラッシュメモリの読出し方法は、コマンドを受け取るステップと、前記コマンドに基づき通常のページ読出しか複数ページの連続読出しかを判別するステップと、通常のページ読出しと判別された場合、第1および第2のメモリセルアレイを同時にアクセスし、第1および第2のメモリセルアレイから1ページ分のデータを読出し、読み出したデータを第1および第2の保持回路に保持するステップと、複数ページの連続読出しと判別された場合、第1および第2のメモリセルアレイを個別にアクセスし、第1のメモリセルアレイから1/2ページ分の第1のデータを読み出し、読み出した第1のデータを第1の保持回路に保持し、第2のメモリセルアレイから残りの1/2ページ分の第2のデータを読み出し、読み出した第2のデータを第2の保持回路に保持するステップとを有する。
さらに本発明に係る半導体装置は、NAND型の第1および第2のメモリセルアレイと、第1および第2のメモリセルアレイから読み出されたデータを保持する第1および第2の保持手段と、前記第1および第2の保持手段により保持されたデータを出力する出力手段と、第1および第2のメモリセルアレイの読出し動作を制御する制御手段とを含み、前記制御手段は、受け取ったコマンドに基づき通常のページ読出しか複数ページの連続読出しかを判別し、通常のページ読出しと判別した場合、第1および第2のメモリセルアレイから1ページ分のデータを同時に読出し、読み出したデータを第1および第2の保持手段に保持させ、複数ページの連続読出しと判別された場合、第1のメモリセルアレイから1/2ページ分の第1のデータを読み出し、読み出した第1のデータを第1の保持手段に保持させ、その後、第2のメモリセルアレイから残りの1/2ページ分の第2のデータを読み出し、読み出した第2のデータを第2の保持手段に保持させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ページの連続読出しを行う場合、第1のメモリセルアレイからの1/2ページの読出しと第2のメモリセルアレイからの1/2ページの読出しを独立して行うようにしたので、クロック信号の周波数の制約を受けることなくページの連続読出しを行うことができる。さらに1/2ページに分けて読出しを行うことで、アレイ読出しの際のピーク電流を減少させることができ、これにより回路動作の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来のNAND型フラッシュメモリの概略構成を示す図である。
【
図2】従来のNAND型フラッシュメモリにおいて連続読出しを行うときのタイミングチャートである。
【
図4】本発明の実施例に係るNAND型フラッシュメモリの構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施例のNANDストリングの回路構成を示す図である。
【
図6】本実施例のビット線選択回路の構成を示す図である。
【
図7】本実施例のページバッファ/センス回路の構成を示す図である。
【
図8】本実施例に係る連続読出し動作を模式的に説明する図である。
【
図9】本実施例のフラッシュメモリにおいて連続読出し動作を行うときのタイミングチャートである。
【
図10】
図10(A)は、本発明の実施例の変形例に係るフラッシュメモリの構成を示す図、
図10(B)は、その内部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る半導体記憶装置は、例えば、NAND型フラッシュメモリ、あるいはこのようなフラッシュメモリを埋め込むマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ロジック、ASIC、画像や音声を処理するプロセッサ、無線信号等の信号を処理するプロセッサなどである。以下の説明では、NAND型フラッシュメモリを例示する。1つの実施態様では、NAND型フラッシュメモリは、NOR型フラッシュメモリとの互換性を図るため、SPI(Serial Peripheral Interface)を搭載し、外部クロック信号に同期した複数のページの連続読出しが可能である。
【実施例0028】
図4は、本発明の実施例に係るNAND型フラッシュメモリの構成を示す図である。本実施例に係るフラッシュメモリ100は、複数のメモリセルが行列状に配列されたメモリアレイ110_1、110_2と、外部入出力端子に接続され、かつ外部クロック信号ExCLKに応答して読出しデータを外部に出力したり、外部から入力されるデータを取り込む入出力回路120と、プログラムすべきデータや読み出されたデータの誤り検出・訂正を行うECC回路130と、入出力回路120を介してアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ140と、入出力回路120を介して受け取ったコマンドデータや外部端子に印加された制御信号等に基づき各部を制御するコントローラ150と、アドレスレジスタ140からの行アドレス情報Axをデコードし、デコード結果に基づきブロックの選択やワード線の選択等を行うワード線選択回路160_1、160_2と、メモリセルアレイ110_1、110_2から読み出されたデータを保持したり、アレイへプログラムするデータを保持するページバッファ/センス回路170_1、170_2と、アドレスレジスタ140からの列アドレス情報Ayをデコードし、当該デコード結果に基づきページバッファ/センス回路170_1、170_2のビット線等の選択を行う列選択回路180_1、180_2と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な種々の電圧(書込み電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路190とを含んで構成される。
【0029】
本実施例のフラッシュメモリ100は、それぞれ独立して動作が可能な2つのメモリセルアレイ110_1、110_2、2つのワード線選択回路160_1、160_2、2つのページバッファ/センス回路170_1、170_2、および2つの列選択回路180_1、180_2を含む。コントローラ150は、ワード線選択回路160_1、160_2、ページバッファ/センス回路170_1、170_2および列選択回路180_1、180_2を介して、メモリセルアレイ110_1、110_2の読出し、プログラム、消去等の動作を個別に制御する。なお、メモリセルアレイ110_1、110_2、ワード線選択回路160_1、160_2、ページバッファ/センス回路170_1、170_2、および列選択回路180_1、180_2の構成は共通であるため、以下の説明では、その一方について説明する。
【0030】
メモリアレイ110_1は、例えば、列方向に配置されたm個のメモリブロックBLK(0)、BLK(1)、・・・、BLK(m-1)を有する。1つのメモリブロックには、複数のメモリセルを直列に接続したNANDストリングNUが複数形成される。1つのNANDストリングNUは、
図5に示すように、直列に接続された複数のメモリセルMCi(i=0、1、・・・、63)と、ビット線側選択トランジスタと、ソース線側選択トランジスタとを含む。ビット線側選択トランジスタのドレインは、対応する1つのグローバルビット線GBLに接続され、ソース線側選択トランジスタのソースは、共通のソース線SLに接続される。メモリセルMCiのコントロールゲートは、ワード線WLiに接続され、ビット線側選択トランジスタおよびソース線側選択トランジスタの各ゲートは、選択ゲート線SGD、SGSにそれぞれ接続される。ワード線選択回路160_1は、行アドレスAxに基づき選択ゲート線SGD、SGSを介してビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタを駆動し、ブロックやワードを選択する。
【0031】
NANDストリングNUは、基板表面上に2次元的に形成されてもよいし、基板表面上に3次元的に形成されてもよい。また、NANDストリングNUは、ビット線側選択トランジスタとメモリセルとの間および/またはソース線側選択トランジスタとメモリセルとの間にダミーセルを含んでもよい。さらにメモリセルは、1ビット(2値データ)を記憶するSLCタイプでもよいし、多ビットを記憶するMLCタイプであってもよい。
【0032】
図6に、ビット線選択回路の構成を示す。同図は、1つの偶数ビット線GBLeと1つの奇数ビット線GBLoによって共有される1つのページバッファ/センス回路170_1と、これに接続されたビット線選択回路200_1とを例示している。
【0033】
ビット線選択回路200_1は、偶数ビット線GBLeを選択するためのトランジスタBLSe、奇数ビット線GBLoを選択するためのトランジスタBLSo、仮想電源VIRPWRを偶数ビット線GBLeに接続するためのトランジスタYBLe、仮想電源VIRPWRを奇数ビット線GBLoに接続するためのトランジスタYBLoを含み、偶数ビット線GBLeとソース線SLとの間にNANDストリングが接続され、奇数ビット線GBLoとソース線SLとの間にNANDストリングが接続される。例えば、読出し動作では、シールド読出しが行われ、偶数ビット線GBLeが選択されるとき、奇数ビット線GBLoが非選択され、奇数ビット線GBLoが選択されるとき、偶数ビット線GBLeが非選択される。非選択のビット線は、仮想電源VIRPWRを介してGNDレベルに接続される。
【0034】
図7に、
図6に示す1つのページバッファ/センス回路170_1の構成を示す。便宜上、トランジスタのゲートに印加する信号がそのトランジスタを表すものとする。ページバッファ/センス回路170_1は、2つのラッチL1、L2を含み、ラッチL1とラッチL2との間には、転送ゲート(トランジスタCACHE)が接続され、転送ゲートをオンすることでラッチL1からラッチL2、あるいはラッチL2からラッチL1への双方向のデータ転送が可能になる。
【0035】
ラッチL1は、一対のクロスカップリングされたインバータを含み、ラッチL1のノードSLR1がトランジスタBLCD1およびトランジスタDTGの共通S/Dに接続され、ノードSLS1が判定回路210に接続される。判定回路210は、例えば、プログラムベリファイや消去ベリファイの合否を判定する。トランジスタDTGは、プログラムベリファイ等において、電圧供給ノードV2からノードSLR1をVddに選択的に充電し、あるいはノードSLR1を選択的にGNDに放電するときに導通される。さらに、ラッチL1は、トランジスタEQによってノードSLR1、SLS1の短絡が可能である。
【0036】
ラッチL1のノードSLR1、SLS1は、それぞれトランジスタCACHEを介してラッチL2のノードSLS2、SLR2に接続される。ラッチL2のノードSLR2がトランジスタBLCD2を介してセンスノードSNSに接続され、ノードSLS2がトランジスタRESET2に接続される。トランジスタRESET2は、ラッチL2をリセットするときに導通される。
【0037】
電圧供給ノードV2とセンスノードSNSとの間には、トランジスタVGおよびトランジスタREGが直列に接続され、トランジスタVGのゲートは、トランジスタDTGのS/Dに接続される。電圧供給ノードV1は、トランジスタBLPREを介してセンスノードSNSに接続される。センスノードSNSとビット線選択回路200のノードBLSとの間には、トランジスタBLCNおよびトランジスタBLCLAMPが直列に接続される。
【0038】
ワード線選択回路160_1および列選択回路180_1は、行アドレスAxおよび列アドレスAyに従いページ内のデータの読出し開始位置を選択したり、あるいは行アドレスAxおよび列アドレスAyを用いることなくページの先頭位置からデータを自動的に読み出す。さらにワード線選択回路160_1および列選択回路180_1は、クロック信号に応答して行アドレスAxおよび列アドレスAyをインクリメントする行アドレスカウンタおよび列アドレスカウンタを含むことができる。
【0039】
ページバッファ/センス回路170_1のラッチL2に保持されたデータを出力するとき、ラッチL2に保持されたデータの中からnビットのデータが列選択回路180_1によって選択される。選択されたnビットのデータは、ノードSLS2、SLR2の差動データとしてn個の差動センスアンプに入力され、n個の差動センスアンプは、センスしたnビットのデータをnビット幅の内部データバスに出力する。
【0040】
nビット幅の内部データバスから出力されるデータは、転送回路を介してECC回路130または入出力回路120に選択的に供給される。ECC回路130は、内部データバスを介して供給されたデータの誤り検出・訂正を行う。入出力回路120は、例えば、複数のフリップフロップを直接に接続したパラレル/シリアル変換回路を含み、パラレル/シリアル変換回路は、外部クロック信号ExCLKに同期して、内部データバスから並列に入力されたデータを直列に変換し、変換したデータを外部端子に供給する。外部端子は、例えば、×1、×2、×4、×8であることができる。
【0041】
フラッシュメモリの読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択ワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、選択ゲート線SGD、SGSに正の電圧(例えば4.5V)を印加し、ビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタをオンし、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム動作では、選択ワード線に高電圧のプログラム電圧Vpgm(15~20V)を印加し、非選択のワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線側選択トランジスタをオンさせ、ソース線側選択トランジスタをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線に供給する。消去動作では、ブロック内の選択ワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0042】
フラッシュメモリ100の通常の読出し動作、プログラム動作および消去動作では、コントローラ150は、2つのメモリセルアレイ110_1、110_2があたかも1つのメモリセルアレイであるかのようにその動作を制御する。例えば、フラッシュメモリ100がホストコンピュータから通常のページ読出しコマンドおよびアドレスを受け取ると、当該コマンドがコントローラ150によって判別され、コントローラ150の制御下において、ワード線選択回路160_1、160_2は、行アドレスAxに基づきメモリセルアレイ110_1、110_2の同一行のワード線を同時に選択する。つまり、メモリセルアレイ110_1におけるワード線の選択は、1/2ページ分のデータの読出しに対応し、メモリセルアレイ110_2におけるワード線の選択は、1/2ページ分のデータの読出しに対応し、結果として、ワード線選択回路160_1、160_2によるワード線の選択は、1ページ分のデータの読出しに対応する。
【0043】
読出し動作が行われるとき、先ず、ページバッファ/センス回路170_1、170_2の電圧供給ノードV1からトランジスタBLPREを介して選択ビット線(例えば、偶数ビット線)がプリチャージされる。次に、メモリセルアレイ110_1、110_2のワード線が選択され、選択メモリセルの記憶状態に応じて選択ビット線の電圧が放電される。次に、センスノードSNSに生じる電位がラッチL1に転送され、こうして、アレイ読出しが終了する。
【0044】
次に、本実施例によるフラッシュメモリの連続読出し動作について説明する。連続読出し動作では、通常のページ読出しと異なり、コントローラ150は、メモリセルアレイ110_1とメモリセルアレイ110_2のアレイ読出しのタイミングを個別に制御する。
【0045】
コントローラ150は、入出力回路120を介して連続読出しコマンドおよびアドレスを受け取ると、当該コマンドが判別され、開始ページから終了ページまで複数のページの連続読出しを制御する。連続読出しは、コマンドによって終了するか、あるいは指定されたページの読出しが行われたときに終了する。
【0046】
図8は、本実施例の連続読出しの動作を説明するための模式図である。従来のフラッシュメモリの連続読出しでは、
図1に示すように、メモリセルアレイから1ページ分のデータを一括して読み出し、読み出したデータをラッチL1の第1および第2のキャッシュC0、C1に同時に転送したが、本実施例のフラッシュメモリ100の連続読出しでは、メモリセルアレイ110_1、110_2から個別のタイミングで1/2ページ分のデータを読み出し、読み出したデータをラッチL1の第1および第2のキャッシュC0、C1に個別のタイミングで転送する。
【0047】
具体的には、メモリセルアレイ110_1からあるページの前半の1/2ページ分のデータが読み出され、この読み出されたデータがラッチL1の第1のキャッシュC0に転送され、そこに保持される。メモリアレイ110_1の読出し後に、メモリセルアレイ110_2からあるページの後半の1/2ページの読出しが行われ、この読み出されたデータがラッチL1の第2のキャッシュC1に転送され、そこに保持される。
【0048】
次に、ラッチL1の第1および第2のキャッシュC0、C1に保持されたデータは、ラッチL2の第1および第2のキャッシュC0、C1に転送され、そこに保持される。ラッチL2の第1のキャッシュC0に保持されたデータは、転送回路220_1によってECC回路130に転送され、そこでデータの誤り検出・訂正が行われ、その後、転送回路220_1によって入出力回路120に転送され、そこで外部クロックExCLKに同期して出力される。ECC回路130による処理が行われている期間中、次のページの前半の1/2ページ分のデータが読み出され、このデータがラッチL1の第1のキャッシュC0に保持される。
【0049】
ラッチL2のデータが入出力回路120に転送されることに応答して、ラッチL1の第1のキャッシュC0のデータがラッチL2の第1のキャッシュC0に転送され、かつメモリセルアレイ110_1から次のページ(出力されたページから2ページ先)の前半の1/2ページ分のデータが読出され、このデータがラッチL1の第1のキャッシュC0に転送される。
【0050】
メモリセルアレイ110_2の読出しは、メモリセルアレイ110_1の読出しと同様に行われる。コントローラ150は、ラッチL2の第1のキャッシュC0のデータが外部クロックExCLKに同期して出力された後、ラッチL2の第2のキャッシュC1のデータが外部クロックExCLKに同期して連続的に出力されるように、メモリセルアレイ110_2のアレイ読出しのタイミングを制御する。
【0051】
図9は、本実施例による連続読出し動作の具体的なタイミングチャートである。図中の破線で示す領域は、ラッチL1、L2が解放された状態を表す。つまり、上書きしてもデータの破壊にはならない。
【0052】
ページP0、P1の読出しは、通常のページ読出しと同様であり、ページP0、P1は、メモリセルアレイ110_1、110_2から同じタイミングで読み出される。連続読み出しは、ページP2から開始される。ラッチL2の第1のキャッシュC0に保持されたページP0のデータの出力(入出力回路120)が終了すると、これに応答して、ラッチL1の第1のキャッシュC0のページP1のデータがラッチL2の第1のキャッシュC0に転送され、かつ、メモリセルアレイ110_1からページP2の前半の1/2ページ分のデータが読み出され、これがラッチL1の第1のキャッシュC0に転送され、そこに保持される。ラッチL1からラッチL2へのデータ転送時間は、アレイ読出しに要する時間よりも比べて非常に短いので、アレイ読出しのデータをラッチL1に転送する時点でラッチL1は解放されている。
【0053】
次に、ラッチL2の第2のキャッシュC1に保持されたページP0のデータの出力中に、ラッチL2の第1のキャッシュC0に保持されたページP1のデータのECC処理が行われる。ラッチL2の第2のキャッシュC1に保持されたページP0のデータの出力が終了すると、これに応答して、ラッチL1の第2のキャッシュC1のページP1のデータがラッチL2の第2のキャッシュC1に転送され、かつ、メモリセルアレイ110_2からページP2の後半の1/2ページ分のデータが読み出され、これがラッチL1の第2のキャッシュC1に転送され、そこに保持される。以後、同様にしてページの連続読出しが行われる。
【0054】
連続読出しを行う制約として、数式(4)を満足する必要がある。
tECC(1/2ページ)<tDout(1/2ページ) …(4)
tDoutは、外部クロック信号ExCLKの周波数によって決定される。tECCを小さくするために、ECC回路130が複数のECC回路を備え、複数のECC回路によりデータの誤り検出・訂正を並列で行うようにしてもよい。
【0055】
このように本実施例の連続読出しでは、メモリセルアレイ110_1、110_2から1/2ページのデータを個別のタイミングで読み出すことで、ラッチL2の第1のキャッシュC0のデータの出力後にメモリセルアレイ110_1から読み出した1/2ページのデータがラッチL1の第1のキャッシュC0へ転送され、ラッチL2の第2のキャッシュC1のデータの出力後にメモリセルアレイ110_2から読み出した1/2ページのデータがラッチL1の第2のキャッシュC1へ転送され、これにより、従来の連続読出し動作において外部クロック信号ExCLKの周波数が遅くなることによりラッチL1に保持したデータがメモリセルアレイから読み出されたデータによって破壊されるという事態を回避し、外部クロック信号ExCLKの周波数の制約を受けることなくページの連続読出しを行うことができる。また、従来のようにステータスレジスタを用意し、ユーザーがアレイ読出しのタイミングの切替え設定を行う必要もなくなる。
【0056】
さらに本実施例の連続読出しでは、アレイ読出し時のピーク電流を減少させることができる。つまり、従来のアレイ読出しでは、1ページ分のビット線をプリチャージするため大きなピーク電流が生じするが、本実施例では、メモリセルアレイ110_1、110_2を別々のタイミングで動作させて1/2ページ分のビット線にプリチャージを行うためピーク電流を小さくすることができる。これにより、チップ内部の供給電圧を安定化させ回路動作の信頼性を向上させることができる。
【0057】
次に、本発明の実施例の変形例について説明する。先の実施例では、メモリセルアレイ110_1、110_2の動作が機能的に分離されるように両アレイが同一のチップ上に形成されたが、本変形例では、
図10(A)に示すように、フラッシュメモリ100Bは、2つのメモリセルアレイを物理的に分離するように2つのチップ300_1、300_2を含む。2つのチップ300_1、300_2は、積層されてもよいし、並列に配置されてもよい。チップ310_1に形成された複数の入出力用の内部パッド310_1は、内部配線320を介して対応する入出力用の外部端子330に電気的に接続され、同様に、チップ310_2に形成された複数の入出力用の内部パッド310_2は、内部配線320を介して対応する入出力用の外部端子330に電気的に接続される。
【0058】
図10(B)は、各チップの内部構成を示すブロック図である。チップ300_1は、複数のNANDストリングが形成されたメモリセルアレイ340_1、ワード線選択回路やページバッファ/センス回路等が形成された周辺回路350_1、チップ300_1の動作を制御するコントローラ360_1、内部パッド310_1に接続された入出力回路370_1を含む。もう1つのチップ300_2は、チップ300_1と同一の構成を有する。
【0059】
チップ300_1、300_2は、外部端子330を介してホストコンピュータ380に接続される。ホストコンピュータ380から出力されるコマンド(読出し、プログラム、消去等)、アドレス等は、外部端子330を介してチップ300_1、300_2に共通に入力される。ホストコンピュータ380から連続読出しのコマンドおよびアドレスが入力されると、コントローラ360_1、360_2は、
図9に示すタイミングチャートに従うように、それぞれのチップ310_1、310_2において連続読出しの制御を行う。コントローラ360_1は、前半の1/2ページの読出しを行い、読み出したデータを入出力回路370_1を介して外部端子330から出力させ、コントローラ360_2は、後半の1/2ページの読出しを行い、読み出したデータを入出力回路370_2を介して外部端子330から出力させる。こうして、外部端子330から複数ページの連続読出しされたデータが出力される。
【0060】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。