(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118861
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】口栓カッター
(51)【国際特許分類】
B67B 7/18 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
B67B7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015641
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】391053917
【氏名又は名称】株式会社オビツ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】豊泉 和男
【テーマコード(参考)】
3E081
【Fターム(参考)】
3E081AA09
3E081AB06
3E081AC02
3E081AC04
3E081BB29
3E081CC12
3E081CC50
3E081DD01
3E081EE21
3E081FF04
(57)【要約】
【課題】キャップ付きの口栓を紙パックから短時間で安全に切除することができ紙パックの効率的なリサイクルを図るとともに、非力な人でも容易にキャップの開封作業が行える口栓カッターを実現する。
【解決手段】本発明のキャップ付き紙パック9の口栓9aを取り除く紙パック用の口栓カッター1は、前端側には、口栓9aを挿入可能な口栓挿入口2aと、口栓挿入口2aの外周縁に備えられる複数個のカッター刃6と、カッター刃6を覆う蓋部4が着脱自在に備えられを設け、後端側には、口栓9aを密封しているキャップ9cを収容可能なキャップ収容領域Kと、当該キャップ収容領域Kの前方に備えられ、摩擦抵抗によってキャップ外周に密着されるキャップオープナー7を設けている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ付き紙パックの口栓を取り除く紙パック用の口栓カッターであって、
前端側には、前記口栓を挿入可能な口栓挿入口と、前記口栓挿入口の外周縁に備えられる複数個のカッター刃と、
前記カッター刃を覆う蓋部が着脱自在に備えられ、
後端側には、前記口栓を密封しているキャップを収容可能なキャップ収容領域と、
前記キャップ収容領域の前方に備えられ、摩擦抵抗によってキャップ外周に密着されるキャップオープナーが設けられていることを特徴とする紙パック用の口栓カッター。
【請求項2】
前記キャップオープナーは、後端側の中心に設けた小径の開栓穴と、前記開栓穴を中心として前記開栓穴から放射状に設けた複数本のスリットと、で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の紙パック用の口栓カッター。
【請求項3】
キャップ付き紙パックの口栓を取り除く紙パック用の口栓カッターであって、
前記口栓を挿入可能な口栓挿入口を内径側に備え、前後端を開放した円筒状の第一部材と、
前記第一部材の外径側に外嵌合され、前後端を開放した円筒状の第二部材と、
前記第二部材の外径側に外嵌合され、前記第二部材の前端側よりも前端側を低く形成して段差状部を設けてなる円筒状の第三部材と、
前記第一部材と前記第二部材との間に固定され、前記第一部材の前端側と前記第二部材の前端側の間から先端を突出して備えられる複数個のカッター刃と、
前記段差状部を介して嵌合され、前記カッター刃を覆う蓋部と、を含み、
前記第三部材の後端側には、前記第一部材の後端側の開放領域と前記第二部材の後端側の開放領域を含めて、前記口栓を密封しているキャップを収容可能なキャップ収容領域と、前記キャップ収容領域の外方に備えられ、摩擦抵抗によって前記キャップ収容領域に収容されたキャップの外周に密着されるキャップオープナーと、で構成されていることを特徴とする紙パック用の口栓カッター。
【請求項4】
キャップ付き紙パックの口栓を取り除く紙パック用の口栓カッターであって、
前記口栓を挿入可能な口栓挿入口を内径側に備え、前後端を開放した円筒状の第一部材と、
前記第一部材の外径側に外嵌合され、前記第一部材の前端側よりも前端側を低く形成して段差状部を設けるとともに前後端を開放した円筒状の第二部材と、
前記第二部材の外径側に外嵌合され、前記第一部材の外径面との間に円筒状のスペースを形成する円筒状の第三部材と、
前記第一部材に固定され、前記第一部材の前端側から先端を突出して備えられる複数個のカッター刃と、
前記スペース内に収容される弾性部材と、
前記スペースに後端側が摺動可能に収容され、前記弾性部材によって常時押し上げられる方向に付勢されることで前記カッター刃を覆う蓋部と、を含み、
前記蓋部は、弾性部材の弾性に抗して押し下げられることにより、前記カッター刃を突出可能なカッター刃突出領域を備えており、
前記第三部材の後端側には、前記第一部材の後端側の開放領域と前記第二部材の後端側の開放領域を含めて、前記口栓を密封しているキャップを収容可能なキャップ収容領域と、前記キャップ収容領域の外方に備えられ、摩擦抵抗によって前記キャップ収容領域に収容されたキャップの外周に密着されるキャップオープナーと、で構成されていることを特徴とする紙パック用の口栓カッター。
【請求項5】
前記キャップオープナーは、中心に設けた小径の開栓穴と、前記開栓穴を中心として前記開栓穴から放射状に設けた複数本のスリットと、で構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の紙パック用の口栓カッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ付き紙パックの口栓を紙パックから取り除く口栓カッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャップ付き紙パックは、紙パック本体の上面に、注ぎ口となるプラスチック製の口栓が突状に一体に取り付け固定されており、口栓は不正開封防止機能(タンパーエビデンス機能)を備えたキャップでしっかりと密封されている。
この種のキャップ付き紙パックは、使用済み後、リサイクルとして出す際に、キャップと注ぎ口を紙パック本体から取外し、キャップと注ぎ口は「プラスチック」ゴミとして、紙パック本体は「リサイクル」ゴミとして、分離・分別することが地域で求められている場合がある。
このような取り決めがなされている地域の場合、紙パック本体と一体になっている注ぎ口である口部分を、紙パック本体から切除する必要があった。
しかし、紙パック本体から口栓を切除するにあたり、ハサミやカッター等を使用するには手間が掛かるといった問題があった。
このため、従来技術として、特許文献1に示す口栓切除具が提案されている。
特許文献1に開示の口栓切除具は、口栓の注ぎ口部分に挿入される突状の口栓挿入部口と、口栓挿入部の外周に備えられ、口栓挿入部を中心軸として回転作動させることにより、口栓の固定部分の外周部に沿って切除可能な先端に刃を備えた切断部と、を含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の技術の紙パック用の口栓切除具では、刃がむき出しになっていて、指を切ったりして手を怪我するというおそれがあった。
【0005】
さらに、このような紙パック用の口栓を密封しているキャップは、従来技術で説明しとおり、不正開封防止機能(タンパーエビデンス機能)を備えてしっかりと口栓部分に取り付けられているため、タンパー部分を引きちぎって開封する必要がある。
しかし、非力な老人などにあっては容易にキャップの開封作業が行い得ず、開封作業に時間と労力を要する場合があった。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、容易且つ短時間に口栓を紙パック本体から切除し、かつ、安全に口栓切除作業することができるキャップ付き紙パック用の口栓カッターを実現するものである。また、前記課題と併せて容易にキャップの開封作業がなし得るものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、このような従来の構成の有していた問題を解決しようとするものであり、本発明のキャップ付き紙パックの口栓を取り除く紙パック用の口栓カッターは、
前端側には、前記口栓を挿入可能な口栓挿入口と、前記口栓挿入口の外周縁に備えられる複数個のカッター刃と、
前記カッター刃を覆う蓋部が着脱自在に備えられ、
後端側には、前記口栓を密封しているキャップを収容可能なキャップ収容領域と、
前記キャップ収容領域の前方に備えられ、摩擦抵抗によってキャップ外周に密着されるキャップオープナーが設けられていることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記キャップオープナーは、後端側の中心に設けた小径の開栓穴と、前記開栓穴を中心として前記開栓穴から放射状に設けた複数本のスリットと、で構成されていることを特徴とする。
第3の発明のキャップ付き紙パックの口栓を取り除く紙パック用の口栓カッターは、
前記口栓を挿入可能な口栓挿入口を内径側に備え、前後端を開放した円筒状の第一部材(内部材)と、
前記第一部材の外径側に外嵌合され、前後端を開放した円筒状の第二部材(中部材)と、
前記第二部材の外径側に外嵌合され、前記第二部材の前端側よりも前端側を低く形成して段差状部を設けてなる円筒状の第三部材(外部材)と、
前記第一部材と前記第二部材との間に固定され、前記第一部材の前端側と前記第二部材の前端側の間から先端を突出して備えられる複数個のカッター刃と、
前記段差状部を介して嵌合され、前記カッター刃を覆う蓋部と、を含み、
前記第三部材(外部材)の後端側には、前記第一部材の後端側の開放領域と前記第二部材の後端側の開放領域を含めて、前記口栓を密封しているキャップを収容可能なキャップ収容領域と、前記キャップ収容領域の外方に備えられ、摩擦抵抗によって前記キャップ収容領域に収容されたキャップの外周に密着されるキャップオープナーと、で構成されていることを特徴とする。
第4の発明のキャップ付き紙パックの口栓を取り除く紙パック用の口栓カッターは、
前記口栓を挿入可能な口栓挿入口を内径側に備え、前後端を開放した円筒状の第一部材(内部材)と、
前記第一部材の外径側に外嵌合され、前記第一部材の前端側よりも前端側を低く形成して段差状部を設けるとともに前後端を開放した円筒状の第二部材(中部材)と、
前記第二部材の外径側に外嵌合され、前記第一部材の外径面との間に円筒状のスペースを形成する円筒状の第三部材(外部材)と、
前記第一部材に固定され、前記第一部材の前端側から先端を突出して備えられる複数個のカッター刃と、
前記スペース内に収容される弾性部材と、
前記スペースに後端側が摺動可能に収容され、前記弾性部材によって常時押し上げられる方向に付勢されることで前記カッター刃を覆う蓋部と、を含み、
前記蓋部は、弾性部材の弾性に抗して押し下げられることにより、前記カッター刃を突出可能なカッター刃突出領域を備えており、
前記第三部材(外部材)の後端側には、前記第一部材の後端側の開放領域と前記第二部材の後端側の開放領域を含めて、前記口栓を密封しているキャップを収容可能なキャップ収容領域と、前記キャップ収容領域の外方に備えられ、摩擦抵抗によって前記キャップ収容領域に収容されたキャップの外周に密着されるキャップオープナーと、で構成されていることを特徴とする。
第5の発明の請求項3又は4の発明において、前記キャップオープナーは、中心に設けた小径の開栓穴と、前記開栓穴を中心として前記開栓穴から放射状に設けた複数本のスリットと、で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易且つ短時間に口栓を紙パック本体から切除し、かつ、安全に口栓切除作業することができるとともに、併せて容易にキャップの開封作業がなし得るキャップ付き紙パック用の口栓カッターを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施の形態に係る紙パック用の口栓カッターの
図2のA-Aで切った断面を示す断面図である。
【
図2】(a)は、本発明の第一実施形態に係る紙パック用の口栓カッターの蓋部を除いた前端側平面図で、(b)は、本発明の第一実施形態に係る紙パック用の口栓カッターの後端側底面図である。
【
図3】(a)は、本発明の第一実施形態に係る紙パック用のキャップオープナーにキャップを挿入しようとする使用前の口栓カッターの断面図で、(b)は、本発明の第一実施形態に係る紙パック用のキャップオープナーにキャップを挿入したときの使用状態の断面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る紙パック用の口栓カッターの分解図である。
【
図5】本発明の第一実施の形態に係る紙パック用の口栓カッターの
図6のB-Bで切った断面を示す断面図である。
【
図6】(a)は、本発明の第二実施形態に係る紙パック用の口栓カッターの前端側平面図で、(b)は、本発明の第二実施形態に係る紙パック用の口栓カッターの後端側底面図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る紙パック用の口栓カッターの分解図である。
【
図8】(a)-(d)は、本発明の第二実施形態に係る紙パック用の口栓カッターの突出の規制方法を示す断面図である。
【
図9】(a)-(c)は、本発明の第二実施形態に係る紙パック用の口栓カッターの使用方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のキャップ付きの紙パック用の口栓カッターは、使用済の紙パックをリサイクルできるように、キャップ付き紙パックから樹脂製の注ぎ口の口栓及び口栓部を安全に切除することができる器具である。以下、添付図面に従って実施形態を説明する。
【0011】
[口栓カッターの第一実施形態]
以下、図面を参照しつつ、本発明の第一実施形態について説明する。
本第一実施形態に係る紙パックの口栓カッター(以下、単に「口栓カッター」という。)1を使用する紙パック9は、
図9に示すように、酒類や飲料水用の樹脂(プラスチック)製のキャップ9cと注ぎ口である円筒状の口栓9aが設けられている。この口栓9aは、紙パック9から外側に突出し、紙パッック9の口栓固定部9bに装着されている。
【0012】
このキャップ付き紙パック9の口栓9aを取り除く口栓カッター1は、
図1に示すように、前端側には、口栓9aを挿入可能な口栓挿入口2aと、口栓挿入口2aの外周縁に備えられる複数個のカッター刃6と、カッター刃6を覆う蓋部4が着脱自在に設けられ、後端側には、口栓9aを密封しているキャップ9cを収容可能なキャップ収容領域Kと、キャップ収容領域Kの前方に備えられ、摩擦抵抗によってキャップ9c外周に密着されるキャップオープナー7が設けられている。
【0013】
さらに、口栓カッター1は、
図1から
図4に示すように、口栓9aを挿入可能な口栓挿入口2aを内径側に備え、前後端を開放した円筒状の第一部材(内部材)2と、第一部材(内部材)2の外径側に外嵌合され、前後端を開放した円筒状の第二部材(中部材)3と、第二部材(中部材)3の外径側に外嵌合され、第二部材(中部材)3の前端側よりも前端側を低く形成して段差状部を設けてなる円筒状の第三部材(外部材)5と、第一部材(内部材)2と第二部材(中部材)3との間に固定され、第一部材(内部材)2の前端側と第二部材(中部材)3の前端側の間から先端を突出して備えられる複数個のカッター刃6と、当該段差状部を介して嵌合され、カッター刃6を覆う蓋部4と、を含み、第三部材(外部材)5の後端側には、第一部材(内部材)2の後端側の開放領域と第二部材(中部材)3の後端側の開放領域を含めて、口栓9aを密封しているキャップ9cを収容可能なキャップ収容領域K(筒状の全体空間領域Lを含む)と、キャップ収容領域Kの外方に備えられ、摩擦抵抗によってキャップ収容領域Kに収容されたキャップ9cの外周に密着されるキャップオープナー7と、で構成されている。以下、その構成の個々を詳細に説明する。
【0014】
第一部材(内部材)2は、
図1から
図4に示すように、口栓9aを挿入可能な口栓挿入口2aを内径側に備え、前後端を開放した円筒状である。この第一部材(内部材)2は、口栓カッター1の三層からなる第一部材(内部材)2と第二部材(中部材)3と第三部材(外部材)5の円筒状の内、円筒体の径が最も小さいが、キャップ9cと注ぎ口の口栓9aを挿入し切除できるように口栓9aの外径より大きい径を有している。
【0015】
また、この口栓挿入口2aは、キャップ9cを注ぎ口部に付けたままでも使用することができるようにキャップの長さよりも深い(長い)キャップ収納領域Jが形成されている。さらに、このキャップ収納領域Jは、全体空間領域Lにも通じる筒状になっているためキャップの長さに十分に対応可能である。これにより、キャップ付きのままの紙パック容器であれば、そのキャップの長さだけ口栓挿入口2aに深く挿入することで、口栓カッター1を手動回転するときに安定して口栓9aを切除することができて安全である。
【0016】
なお、口栓挿入口2aは、口栓9aだけでなく、口栓固定部9bまで切除できるように口栓固定部9bの外径より大きい径を有していても本実施形態の範囲内である。本実施形態における第一部材(内部材)2は、内径が略36mm、外径が略40mmとする、樹脂材の中でも固めの塩化ビニールのパイプを素材としているが、三層に組み合わせられる条件を満たせば、これに限定されることはない。
【0017】
第二部材(中部材)3は、
図1~
図4に示すように、第一部材(内部材)2の外径側に外嵌合され、前後端を開放した円筒状の内部材2よりも大径で外部材(外部材)5よりも小径である。この第二部材(中部材)3は、第一部材(内部材)2の外周面と当接し接着剤で嵌合されている。また、外部材(外部材)5の内周面と当接し接着剤で嵌合されているが、外部材(外部材)5の一方のカッター刃6を覆う蓋部4と脱着可能に摺動することから外嵌合される当該当接面は接着剤での嵌合はなされていない。
また、本実施形態における第二部材(中部材)3は、内径が略40mm、外径が略43mと、樹脂材の中でも固めの塩化ビニールのパイプを素材としているが、三層に組み合わせられる条件を満たせば、これに限定されることない。
【0018】
第三部材(外部材)5は、
図1~
図4に示すように、第二部材(中部材)3の外径側に外嵌合され、第二部材(中部材)3の前端側よりも前端側を低く形成して段差状部を設けてなる円筒状中部材(中部材)3よりも大径で、口栓カッター1を把持する機能を有する。この把持機能面から第二部材(中部材)3の前端側よりも前端側を低く形成して段差状部とすることにより、外径及び全体長さは蓋部4よりも長く、また、手の平内に収まるような形態としている。
【0019】
また、第三部材(外部材)5は、
図2(b)に示すように、後述する蓋部4と同じ所定の厚みを有し、第二部材(中部材)3の外周部と外嵌合し、口栓カッター1を把持し回転するときに滑り難くなるように軸方向外面に複数の縦目凹凸部が形成されている。このため素材は、塩化ビニールのパイプではなく、柔らかい触感のする伸縮可能な柔軟性があるゴム材等の樹脂製の弾性部材としている。
【0020】
カッター刃6は、
図4に示すように、第一部材(内部材)2と第二部材(中部材)3との間に固定されており、このカッター刃6の下端の板状部分を収納し固定するための矩形状の溝(切り欠き)2bが略同一寸法で、第一部材(内部材)2の外周面に三か所が形成されている。この溝(切り欠き)2bの深さは、第一部材(内部材)2の回転軸方向と直交する水平方向にカッター刃6の厚みよりもやや薄くして、溝2bからカッター刃が僅かに突出している。このように形成することで、カッター刃6の板状部分を、溝2b(切り欠き)の内面と第二部材(中部材)3の内周面とで押圧して強固に固着させることができる。すなわち、第一部材(内部材)2の外周面溝(切り欠き)2bに備えられたカッター刃6の板状部分が第二部材(中部材)3の内周面に強く押し付けられることでカッター刃6の突出位置を保持することができる。
さらに、カッター刃6の先端が口栓挿入口2aの中央(第一部材(内部材)2の中心軸)に内向いた(傾いた)姿勢となるように略先端部分を折り曲げて形成している。このように形成することで、カッター刃6が紙パック9から口栓9aを削除した後に口栓9aを保持でき、紙パック9内に口栓9aを落とすようなことを避けることができる。また、カッター刃6を収納し固定するための矩形状の溝(切り欠き)2bの上部分を下部分よりもやや浅くなるように形成すること、或いは、第一部材(内部材)2の外周と第二部材(中部材)3の内周を円錐状にすることで、口栓挿入口2aの中央(第一部材(内部材)2の中心軸)に内向いた(傾いた)姿勢となるようにしても良い。なお、紙パック9から口栓9aを単に切除するだけであれば、カッター刃6の略先端部分を傾けるようにする必要がなくなり折り曲げる工程が不要となる。
また、カッター刃6の溝2b(切り欠き)、第一部材(内部材)2の外周面と第二部材(中部材)3の内周面、それぞれに接着剤を塗布して嵌合されることで、カッター刃6が紙パック9を切るときに容易に変形や脱落せず、口栓カッター1を長く使用することができる。
【0021】
また、溝2bを第一部材(内部材)2ではなく第二部材(中部材)3に切り欠いて備えても構わない。このような場合、上記実施形態と同様に、第一部材(内部材)2と第二部材(中部材)3との間に固定され、カッター刃6の下端の板状部分を収納し固定するための矩形状の溝(切り欠き)が略同一寸法で、第二部材(中部材)3の内周面に三か所に形成される。そして、この形成された溝に接着剤が塗布されカッター刃6が装着され固定される。その場合の作用効果は上記と同じである。
【0022】
このように固定されたカッター刃6は、第一部材(内部材)2の前端側と第二部材(中部材)3の前端側の間から先端を突出して複数個が備えられている。本実施形態におけるカッター刃6は、長さ25mm、幅4mm、厚さ0.5mmの板状の鋼材で、上端から7mmの位置まで鋭利な刃を有している。また、カッター刃6は、片刃の断面の左右の形状が違う、すなわち、先端が鋭利な三角形状になって紙パック9に突き刺さることが可能な形状となっている。なお、本実施形態では、片刃としているが、断面の左右の形状が同じである両刃であっても良い。この場合、片刃よりも鋭利な刃となるため紙パック9に突き刺さることがさらに容易となる。
発明者によるモックアップによれば、カッター刃6の上端の長さは、7mmより長くすれば紙パック9が切除し易くなるが負荷が大きくなる、一方、短くすれば紙パック9の切除が難しくなることから、5mm~7mmの望ましいとされる。
【0023】
また、このカッター刃6は、右回転(時計)方向に紙パック9の口栓9aの外周を切除するように刃が形成され、その刃の個数は120度間隔の位置に3個を備えているが、2個以上であればよい。本実施形態で、刃数を3個としたのは、モックアップを何個か作成する過程において、口栓9aを切除するために紙パック9にカッター刃6の突起部分を差し込み、カッター刃6の回転し始めが最も回転力が必要であり、3個の場合がバランス良く最も回し易かったからである。
【0024】
蓋部4は、第三部材(外部材)5の段差状部を介して嵌合され、カッター刃6を覆っている。当該蓋部4は、カッター刃6を用いる場合は外され、カッター刃6を用いない場合は第二部材(中部材)3の上から乗せて押下することにより第三部材(外部材)5の段差状部と羽目合わされ、外嵌合されるが脱着可能となっている。本実施形態における蓋部4は、内径が43mmで、外部材4の外周面には滑り止め用の縦目凹凸が設けられていることからその凹凸の深さは略1mmとし、その部分での外径が略46mmとしているが、これに限定されることはない。また、蓋部4の素材は、ゴム材等の樹脂製の弾性部材で、第三部材(外部材)5と外観的にも統一された形状にしている。これにより、カーター刃6を蓋部4の内部に収納でき、外部から触れることがなくなるため指や手を怪我することなく安全である。
【0025】
このような構成を備えた口栓カッター1を使用する場合、
図9に示すように、第三部材(外部材)5を把持し、第一部材(内部材)2の口栓挿入口2aに紙パック9にキャップ9cを付けたまま或いは外して挿入し(
図9(a)符号Pを参照)、次に、この状態で、カッター刃6が紙パック9に突き刺さるまで第三部材(外部材)5を手で持って強く押圧し、そのまま状態で口栓カッター1を右方向に回転されることにより口栓9aの外周に沿って紙パック9が切除され、(
図9(b)符号Qを参照)、カッター刃6の先端が口栓挿入口2aの口栓挿入口2aの中央(第一部材(内部材)2の中心軸)に内向いた(傾いた)姿勢となるように略先端部分を折り曲げて形成しているので、カッター刃6が口栓9aを保持して紙パック9内に口栓9aを落とすようなことなく、第三部材(外部材)5を持ち上げることで、紙パック9から口栓9aが取り除かれる(
図9(c)符号Rを参照)。なお、紙パック9から口栓9aを単に切除するだけであれば、カッター刃6の略先端部分を傾けるようにする必要がなくなり折り曲げる工程が不要となる。
また、両刃であれば、紙パック9を切除するには右回転(時計)方向、左回転(反時計)方向どちらにでも回転させて良い。
【0026】
カッター刃6の使用終了後は、
図1に示すように、蓋部4を第二部材(中部材)3に外嵌合され、第三部材(外部材)5と当接され一体化されることで、カッター刃6が覆われ蓋部4内に収納される。このような構成により、容易且つ短時間に口栓を紙パックから切除し、かつ、安全に使用することができるキャップ付き紙パック用の口栓カッターを実現することができ、エコリサイクルに貢献できる。
【0027】
次に、本実施形態の紙パック用の口栓カッター1は、キャップ9cを開栓するキャップオープナー7の構成をも有する。すなわち、本キャップオープナー7は、
図1~
図4に示すように、第三部材(外部材)5の後端側には、第一部材(内部材)2の後端側の開放領域と第二部材(中部材)3の後端側の開放領域を含めて、口栓9aを密封しているキャップ9cを収容可能なキャップ収容領域Kと、キャップ収容領域Kの外方に備えられ、摩擦抵抗によってキャップ収容領域Kに収容されたキャップの外周に密着される。
【0028】
このようなキャップオープナー7は、キャップ付き紙パック9のキャップ9cを開栓するとき、キャップの外周面には滑り止め用の縦目凹凸が設けられているものの、従来技術で説明したとおり、不正開封防止機能(タンパーエビデンス機能)を備えてしっかりと口栓部分に取り付けられているため、非力な老人などにあっては容易にキャップ9cの開封作業が行い得ず、開封作業に時間と労力を要する場合があった。また、牛乳紙パックと酒類紙パックの飲料商品によってキャップ9cの外径(大きさ)が相違していることから、これら紙パック用商品の外径に合ったキャップオープナー7が必要といった問題を一つの口栓カッター1で解決するものである。
【0029】
また、キャップオープナー7は、
図2(b)に示すように、紙パック用の口栓カッター1の第三部材(外部材)5の後端側底面に、紙パック9のキャップ9cの開栓を補助するために設けられ、後端側の中心に設けた小径の開栓穴7aと、開栓穴7aを中心として開栓穴7aから放射状に設けた複数本のスリット7bと、で構成されている。このようなスリット7bは5本で、それぞれの長さは、本実施形態では略10mmとしている。
【0030】
キャップオープナー7を紙パック用に挿入する使用前の口栓カッターの断面図を
図3(a)に、また、キャップオープナー7にキャップ9cをキャップ収納領域Kに挿入した使用状態の断面図を
図3(b)に示す。このキャップオープナー7の使い方は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、スリット7bの放射状中央位置からキャップ収納領域Kにキャップ9cを同心円軸上に挿入し(符号R参照。)、さらに、キャップ9cとスリット7bの樹脂部が当接するまで押圧し、キャップ収納領域Kにキャップ9cを挿入保持しながら第三部材(外部材)5を把持したまま左方向(反時計廻り、符号S参照)に回転することでキャップ9cが摩擦抵抗により供回りさせて開栓することができる。また、スリット7bの外端のスリット端7cは、キャップ9cが挿入され押圧されたときに第三部材(外部材)5の底面が裂けるのを防ぐために形成されている。また、キャップ収納領域Kから全体空間領域Lまで筒状の連続した空間となっているので、キャップ9cがより長い場合であっても開栓可能である。
【0031】
なお、上記のキャップオープナー7において、放射状のスリット7bが形成されている形態を説明したが、樹脂部材により、すり鉢状のような傾斜のある凹面に形成することで、外径の異なるキャップに適応できるようにしても良い。
【0032】
[口栓カッターの第二実施形態]
第二実施形態における口栓カッター10は、
図5~
図8に示すように、口栓9aを挿入可能な口栓挿入口20aを内径側に備え、前後端を開放した円筒状の第一部材(内部材)20と、第一部材(内部材)20の外径側に外嵌合され、第一部材(内部材)20の前端側よりも前端側を低く形成して段差状部を設けるとともに前後端を開放した円筒状の第二部材(中部材)40と、第二部材(中部材)40の外径側に外嵌合され、第一部材(内部材)20の外径面との間に円筒状のスペースWを形成する円筒状の第三部材(外部材)50と、第一部材(内部材)20に固定され、第一部材(内部材)20の前端側から先端を突出して備えられる複数個のカッター刃6と、スペースW内に収容される弾性部材(スプリング)8と、スペースWに後端側が摺動可能に収容され、弾性部材(スプリング)8によって常時押し上げられる方向に付勢されることでカッター刃6を覆う蓋部30と、を含み、蓋部30は、弾性部材(スプリング)8の弾性に抗して押し下げられることにより、カッター刃6を突出可能なカッター刃突出領域31を備えており、第三部材(外部材)50の後端側には、第一部材(内部材)20の後端側の開放領域と第二部材(中部材)40の後端側の開放領域を含めて、口栓9aを密封しているキャップ9cを収容可能なキャップ収容領域K(筒状の全体空間領域Lを含む)と、キャップ収容領域Kの外方に備えられ、摩擦抵抗によってキャップ収容領域に収容されたキャップ9cの外周に密着されるキャップオープナー70と、で構成されている。以下、構成について詳細に説明する。
【0033】
すなわち、第二実施形態の口栓カッター10は、第一実施形態の口栓カッター1と同様に、径が異なる円筒の部材を同心円軸上に三層の第一部材(内部材)20、第二部材(中部材)40、第三部材(外部材)50とで構成され、第三部材(外部材)50が同様な外観形態としている点では共通しているが、第一実施形態の蓋部4に相当する蓋部30にはカッター刃6が突出する凹状に窪んだカッター刃突出領域31が切り欠かれている点、蓋部30と第二部材(中部材)40の間であるスペースWに弾性部材(スプリング)8を備えている点、カッター刃6が第一部材(内部材)20と一体化されている点などで相違している。
【0034】
このように、第一実施形態と違った特徴として、弾性部材(スプリング)8で第二部材(中部材)40を付勢されて、通常時にはカッター刃6が突出しないように規制しているが、口栓カッター10のカッター刃6を使用するときには、この規制を外すことにより第二部材(中部材)40と第三部材(外部材)50の間を摺接することにより、蓋部30に設けられた所定のカッター刃突出領域31からカッター刃6が突出することにある。
このような構成にすることにより、第一実施形態での蓋部4は別部材のために、使用後の蓋部4紛失や、蓋部4をはめ忘れてカッター刃6が突出していることで怪我をすることなど考えられるが、本第二実施形態の口栓カッター10により解消することができる。
また、第一部材(内部材)20と第二部材(中部材)40の当接面及び第二部材(中部材)40と第三部材(外部材)50の摺接面を除いた当接面が接着剤で嵌合されている。以下、本第二実施形態の構成について、詳細に説明をする。
【0035】
第一部材(内部材)20は、
図5~
図8に示すように、口栓9aを挿入可能な口栓挿入口20aを内径側に備え(
図7上は口栓挿入口32を示す。)前後端を開放した円筒状である。すなわち、金属板を手動又は機械を用いて円筒状に丸めて、中部材30の内周面に沿って挿入してセットされる。この金属板の長さは、
図7の中心線から第一部材(内部材)20の内周との距離の半径を「r」とすると、計算式の円周2πr(πは円周率)より短めとされる。これにより、第二部材(中部材)40の内周面よりも細く丸めて円筒状にして挿入し易くでき、金属材の反発力で第二部材(中部材)40に密接される(
図7の第一部材(内部材)20を参照)。
これにより、第一部材(内部材)20の内周に隙間間隔ができるものの中部材の内周面に沿って挿入する際にスムーズに挿入でき組立ができる。
本実施形態における半径rは略20mmで、隙間を考慮した金属板の長さは略124mmとしているが、三層に組み合わせられる条件を満たせば、これに限定されることはない。また、金属板は、市販の溶接性の良いSGCC(溶融亜鉛メッキ鋼板)が加工のしやすさに加えてステンレス系材料に比べると安価であるため、コストを抑えつつ高品質・高精度に仕上げるために用いている。
【0036】
また、
図5及び
図7に示すように、第一部材(内部材)20に固定され、第一部材(内部材)20の前端側から先端を突出して備えられる複数個のカッター刃6が備えられている。具体的には、第一部材(内部材)20は、金属板を円筒状とし、円筒状の上端において120度間隔で3個のカッター刃6を溶接にて接着している。
【0037】
カッター刃6を備える手段には次の3つが想定される。先ず、1つ目は、本実施形態の
図7で示すように、第一部材(内部材)20とは、別の部材としてカッター刃6を金属溶接する手段である。これによると溶接の工程と別部材としての点数が増えるが口栓カッター10の組立が容易である。
2つ目は、第一部材(内部材)20にカッター刃6の突出を規制するスライド用の溝を切り欠き加工する際に、同時にカッター刃6の先端を三角形状にプレス加工する手段である。これによると部材点数が減るが、カッター刃の矛先の部分を鋭利に研ぐ加工が必要となる。
3つ目は、第一実施形態の
図1及び
図4と同じく、第一部材(内部材)20と第二部材(中部材)40との間にてカッター刃6を挟持する手段である。これによると、金属板を用いないので組立が容易であるが部材点数が増えることになる。
【0038】
なお、いずれの手段であっても、口栓9aの外周を囲繞するように同心円軸の筒状に形成され、外周部の先端に所定間隔で取り付けられた複数のカッター刃6により、右回転(時計)方向に紙パック9を切除するように切り刃が形成される構成であれば良い。なお、両刃であれば、紙パック9を切除するには右回転(時計)方向、左回転(反時計)方向どちらにでも回転させて良い。
さらにカッター刃6の先端を口栓挿入口20aの中央(第一部材(内部材)2の中心軸)に内向いた(傾いた)姿勢となるように略先端部分を折り曲げて形成している。このように形成することで、カッター刃6が紙パック9から口栓9aを削除した後に口栓9aを保持でき、紙パック9内に口栓9aを落とすようなことを避けることができる。なお、紙パック9から口栓9aを単に切除するだけであれば、カッター刃6の略先端部分を傾けるようにする必要がなくなり折り曲げる工程が不要となる。
【0039】
また、第一実施形態と同様に、カッター刃6の個数は3個としているが2個以上であればよい。紙パック9を切除する際に、刃数が3個の場合が紙パック9にカッター刃6を差し込んで回転し始めが最も回転力が必要であるところバランス良く回し易いからである。
【0040】
第二部材(中部材)40は、
図5に示すように、第一部材(内部材)20の外径側に外嵌合され、第一部材(内部材)20の前端側よりも前端側を低く形成して段差状部を設けるとともに前後端を開放した円筒状である。
【0041】
第三部材(外部材)50は、
図5に示すように、第二部材(中部材)40の外径側に外嵌合され、第一部材(内部材)20の外径面との間に円筒状のスペースWを形成する円筒状である。この第三部材(外部材)50は、第一実施形態と同じく、把持機能を有し、
図6及び
図7に示すように、口栓カッター10を把持し回転するときに滑り難くなるように軸方向外面に複数の縦目凹凸部が形成された円筒状である。蓋部30と第三部材(外部材)50の当接し摺動する面には接着剤が塗布されていないが、第三部材(外部材)50の内周面と下方(他方)の第二部材(中部材)40の外周面とは接着剤より接着され嵌合されることにより、カッター刃6を回転させるときに空回りしないようにしている。
【0042】
また、本実施形態における第三部材(外部材)50は、内径が43mmで、第三部材(外部材)50の外周面には滑り止め用の縦目凹凸が設けられていることからその凹凸の深さは略1mmとし、その部分での外径が略46mmとしている。本第三部材(外部材)50の素材は、伸縮可能な柔軟性があるゴム材等の樹脂製の弾性部材である。
【0043】
弾性部材(スプリング)8は、
図5に示すように、スペースW内に収容されて、当該スペースWに後端側が摺動可能に収容されており、常時押し上げられる方向(
図5では上方向)にカッター刃6を覆う蓋部30を付勢している。これにより、カッター刃6が蓋部30の内部に収まっている。
本実施形態の弾性部材(スプリング)8は、
図7に示すように、外径が44mm、内径が38mmの3巻としているが、第一部材(内部材)20の外径面との間に円筒状のスペースWを形成する円筒状スペースWに収容される条件を満たせば、これに限定されることない。また、この弾性部材(スプリング)8は、3巻の伸び縮みの長さ(幅)は、組み込み時の使用前が19mmで、組み込み後の使用時で縮んだときは12mmとなる。なお、金属製のスプリングに限定されず、ゴム材などの他の伸縮可能な弾性部材でも良い。
【0044】
蓋部30は、弾性部材(スプリング)8の弾性に抗して押し下げられることにより、カッター刃6を突出可能なカッター刃突出領域31を備えている。本実施形態の蓋部30は径20mmとしている。
【0045】
口栓挿入口20a(
図7では口栓挿入口32で示す。)は、蓋部30の上面に口栓固定部9bの外径よりも大きい円空状でキャップ9cの注ぎ口部分が挿入可能にくり抜かれ、その内周面の円周部分にカッター刃突出領域31が凹状に窪ませ(切り欠き)形成されている。
この口栓挿入口20aは、キャップを注ぎ口部に付けたままでも使用することができるようにキャップ9cの長さよりも深い(長い)キャップ収納領域J(筒状の全体空間領域Lを含む)としている。さらに、このキャップ収納領域Jは、全体空間領域Lにも通じる筒状になっているためキャップの長さに十分に対応可能である。これにより、キャップ付きのままの紙パック容器であれば、そのキャップ9cの長さだけ口栓挿入口20a(
図7では口栓挿入口32で示す。)に深く挿入することで、口栓カッター10を手動回転するときに安定して口栓9aを切除することができて安全である。
【0046】
カッター刃突出領域31は、蓋部30の上面全体にカッター刃6の数だけ形成されている。また、その形状は、カッター刃6の肉厚と幅よりも大きく形成されている。本実施形態では、径方向に凹の幅が略5mm、深さが略4mmの矩形状としているが、カッター刃6の形状に応じて変更でき、この数値に限定されるものではない。
また、蓋部30の上面全体に形成されるカッター刃6の突出(出現)する手段として、本実施形態では、製造工程の簡略化から凹状に窪んだ切り欠きを形成しているが、矩形状の突出穴であっても構わない。
【0047】
また、このカッター刃6は、片刃の断面の左右の形状が違う、すなわち、先端が鋭利な三角形状になって紙パック9に突き刺さることが可能な形状となっており、第三部材(外部材)50を把持して右回転(時計廻り)方向に360度回転すれば口栓9aを円形状に切り抜かれ削除できる(
図9参照)。このとき、カッター刃6の先端が口栓挿入口20aの中央(第一部材(内部材)2の中心軸)に内向いた(傾いた)姿勢となるように略先端部分を折り曲げて形成しているので、カッター刃6が口栓9aを保持でき、紙パック9内に口栓9aを落とすようなことを避けることができる。なお、紙パック9から口栓9aを単に切除するだけであれば、カッター刃6の略先端部分を傾けるようにする必要がなくなり折り曲げる工程が不要となる。
また、本実施形態では、片刃としているが、断面の左右の形状が同じである両刃であっても良い。この場合、片刃よりも鋭利な刃となるため紙パック9に突き刺さることがさらに容易となる。
【0048】
次に、弾性部材(スプリング)8の付勢を抑え、蓋部30が第一部材(内部材)20の外周面を摺動され、蓋部30の上面の凹状に窪んだ切り欠かれたカッター刃突出領域31からカッター刃6が突出可能とされるカッター刃規制部21について説明をする。
蓋部30が口栓カッター10の使用時において、手動にて押圧されて下がることにより鋭利なカッター刃6が突出(出現)するために、
図7、
図8に示すように、第一部材(内部材)20に、カッター刃6の突出を規制する複数の略2mmの縦形状のスライド溝21aと、金属製の径1mmのピンの突起部(規制用ピン)22で構成されるカッター刃規制部21が設けられている。
【0049】
スライド溝21aは、第一部材(内部材)20にプレス加工により切り欠きされる。そして、金属板の外周面が円筒状になるように丸くすぼめられた後に第二部材(中部材)40内に挿入され、スライド溝21aと突起部(規制用ピン)22の位置を合わせされる。本実施形態では、突起部(規制用ピン)22は金属製ピンとしているが、樹脂製ピン或いは金属ネジでも強固な突起物であれば良い。
【0050】
次に、
図8(a)~(d)で用いて、カッター規制部21のスライド溝21aと突起部(規制用ピン)22の機能を説明する。
図8(a)は、使用されていない状態図で、弾性部材(スプリング)8が蓋部30を上方向に付勢している。このときは、スライド溝21aの最上部の位置に突起部(規制用ピン)22が留まっていて、蓋部30は変位せずカッター刃6が収納されている。
【0051】
図8(b)~(c)は、使用しようと準備する状態図である。先ず、
図8(b)において、蓋部30を上方から押圧すると(図面の符号Xで示す。)、スライド溝21aを突起部(規制用ピン)22が下方に変位する。
【0052】
さらに、
図8(c)において、蓋部30を上方から押圧したま(スライド溝21aを突起部(規制用ピン)22が下方に移動後)、蓋部30を時計方向に右回転する(図面の符号Yで示す。)ことにより、スライド溝21aを突起部(規制用ピン)22が同方向に移動される。この変位によりカッター刃突出部31からカッター刃6が突出(出現)する位置決めされる。
【0053】
図8(d)において、蓋部30を時計方向に右回転後、さらに、蓋部30を上方から押圧することにより(図面の符号Zで示す。)、スライド溝21aを突起部(規制用ピン)22が図面上下方向に移動され、カッター刃突出部31からカッター刃6が突出(出現)する。
この状態は、きり欠き31からカッター刃6が突出(出現)する状態は、
図9(b)のように、口栓カッター10を紙パック9に押圧して当接させ、口栓9aを削除する手順に相当する。したがって、口栓カッター10の上下は、
図8と
図9では説明が上下方向で逆になる。
【0054】
使用終了後は、上記の操作手順を
図8(d)、(c)(b)と逆にスライド溝21aの中を突起部(規制用ピン)22が移動されることにより、
図8(a)の状態となりカッター刃6が収納される。
【0055】
また、この口栓挿入口20a(
図7では口栓挿入口32で示す。)は、キャップ9cを注ぎ口部に付けたままでも使用することができるようにキャップ長さよりも深い(長い)形状に形成されている。これにより、キャップ付きのままの紙パック容器であれば、そのキャップ9cの長さだけ口栓挿入口20a(
図7では口栓挿入口32で示す。)に深く挿入することで、口栓カッター10を手動回転するときに安定して口栓9aを切除することができて安全である。
【0056】
以上の説明のとおり、カッター刃6を使用しないときは、弾性部材(スプリング)8の拡張力(反発力)によって蓋部30が押し上げられ、カッター刃6が外部に飛び出さないように付勢しているので突出せず、また、カッター刃6を使用するときは、蓋部30を上方から押圧し、かつ、カッター刃突出部31からカッター刃6が出現すように位置決めしなければ、単に蓋部30を押圧しただけではカッター刃6はカッター刃突出部31から突出するとはない段階的な構成としている。
したがって、口栓カッター10の蓋部30を押圧してカッター刃6の位置決めを経る操作をすることにより規制解除することとしているので指や手などの身体に触れて怪我することがなく安全である。
【0057】
また、他の実施形態として、
図8(a)~(d)の手順の内、スライド溝21aの形状を
図8(a)と(b)の逆L字状とすることにより、上記手順を簡略化することができる。具体的には、口栓カッター10の蓋部30を上方から押圧するとカッター刃6が突出(出現)変位させ(
図8(a)参照。)、次に、カッター刃6が突出(出現)変位させたままの状態でスライド溝21aと突起部(規制用ピン)22を移動回転させカッター刃6を保持する。
【0058】
使用終了後は、上記の操作手順を
図8(d)、(c)(b)と逆にスライド溝21a中を突起部(規制用ピン)22が移動されることにより、
図8(a)の状態となりカッター刃6が収納される。このような構成にすることにより、第一実施形態での蓋部4は別部材のために使用後のはめ忘れや、その蓋部4を外したままではカッター刃6が突出していることで怪我をする場合も考えられるが、本発明により解消することができる。
【0059】
また、図には示してないが、第一部材(内部材)20の下方にカッター刃6を位置決めし固定するための複数の穴が設けることができる。この複数の穴には、第二部材(中部材)40に設けられた複数の突起部(位置決め用ピン)が挿入される。すなわち、カッター刃6を備えた金属板の外周面を円筒状になるように丸められた後、第二部材(中部材)40内に挿入され、当該穴と突起部(位置決め用ピン)の位置が合わせられ嵌合される。
【0060】
このような口栓カッター10を使用する場合、
図9に示すように、口栓挿入口20aにキャップ9cを付けたまま或いは口栓9aを挿入し(
図9(a)符号Pを参照)、蓋部30を紙パック9の外面に当接させる。この状態で、カッター刃6が凹状に窪んだカッター刃突出部31から出て紙パック9に突き刺さるまで強く押圧し、その状態で口栓カッター10を右方向に回転することにより(
図9(a)符号Qを参照)、口栓9aの外周部に沿って切除され、紙パック9から切り離される(
図9(a)符号Rを参照)。
紙パックから口栓9aが切除されると、カッター刃6は、カッター刃突出領域31の出現位置から蓋部30の内部側に戻り収納される。
【0061】
このように上記した口栓カッター10によれば、口栓カッター10を紙パックに押圧し回転動作するだけで、安全に口栓9aを紙パック9から切除することができ、また、カッター刃6の先端が口栓挿入口20aの中央(第一部材(内部材)2の中心軸)に内向いた(傾いた)姿勢となるように略先端部分を折り曲げて形成しているので、カッター刃6が口栓9aを保持でき、紙パック9内に口栓9aを落とすようなことを避けることができ、エコリサイクルに要する作業の効率化を図ることができる。なお、紙パック9から口栓9aを単に切除するだけであれば、カッター刃6の略先端部分を傾けるようにする必要がなくなり折り曲げる工程が不要となる。
【0062】
本実施形態の紙パック用の口栓カッター10は、キャップオープナー70の機能を有する。キャップオープナー70は、
図5~
図8に示すように、第三部材(外部材)50の後端側には、第一部材(内部材)20の後端側の開放領域と第二部材(中部材)30の後端側の開放領域を含めて、口栓9aを密封しているキャップ9cを収容可能なキャップ収容領域Kと、キャップ収容領域Kの外方に備えられ、摩擦抵抗によってキャップ収容領域Kに収容されたキャップ9cの外周に密着される。
【0063】
本キャップオープナー70は、キャップ付き紙パック9のキャップを開栓するとき、キャップ9cの外周面には滑り止め用の縦目凹凸が設けられているものの従来技術で説明したとおり、不正開封防止機能(タンパーエビデンス機能)を備えてしっかりと口栓部分に取り付けられているため、非力な老人などにあっては容易にキャップの開封作業が行い得ず、開封作業に時間と労力を要する場合があった。また、牛乳紙パックと酒類紙パックの飲料商品によってキャップの外径(大きさ)が相違していることから、これら全商品に合ったキャップオープナー7が必要といった問題を一つの口栓カッター10で解決するものである。
【0064】
キャップオープナー70は、
図5及び
図6(b)に示すように、紙パック用の口栓カッター10の第三部材(外部材)50の後端側底面に、紙パック9のキャップ9cの開栓を補助するために設けられている。また、キャップオープナー70は、後端側の中心に設けた小径の開栓穴70aと、開栓穴70aを中心として開栓穴70aから放射状に設けた複数本のスリット70bと、で構成されている。このようなスリット70bは5本で、それぞれの長さは、本実施形態では略10mmとしている。
【0065】
このキャップオープナー70の使い方は、第一実施形態の
図3を用いてした説明と同じく、スリット70bにキャップ9cを挿入し、キャップ9cとスリット70bの樹脂部が当接するように押圧しながら第三部材(外部材)50を把持しつつ左方向(反時計廻り)に回転することでキャップ9cが摩擦抵抗により供回りさせて開栓することができる。また、スリット70bの外端のスリット端70cは、キャップ9cが挿入され押圧されたときに第三部材(外部材)50の底面が裂けるのを防ぐために形成されている。また、キャップ収納領域Kから全体空間領域Lまで筒状の連続した空間となっているので、キャップ9cが長い場合にも開栓が適応可能である。
【0066】
なお、上記のキャップオープナー70において、放射状のスリット70bが形成されている形態を説明したが、樹脂部材により、すり鉢状のような傾斜のある凹面に形成することで、外径の異なるキャップに適応できるようにしても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 、10 口栓カッター
2 、20 第一部材(内部材)
2a、20a(32) 口栓挿入口
21 カッター刃規制部
21a スライド溝(カッター刃規制部)
22 突起部(規制用ピン)
3、40 第二部材(中部材)
4、30 蓋部
31 カッター刃突出部
5、50 第三部材(外部材)
6 カッター刃
7 、70 キャップオープナー
7a、70a 開栓穴
7b、70b スリット
7c、70c スリット端
8 弾性部材(スプリング)
9 紙用パック
9a 口栓
9b 口栓固定部
9c キャップ
J、K キャップ収容領域
L 全体空間領域