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特開2022-118883柱梁接合構造の施工方法及び接合部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118883
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】柱梁接合構造の施工方法及び接合部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20220808BHJP
   E04B 1/30 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
E04B1/58 505Q
E04B1/30 E
E04B1/30 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015680
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】佐川 隆之
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AB01
2E125AB13
2E125AC15
2E125AC16
2E125BA02
(57)【要約】
【課題】コンクリートの打設作業を容易に行うことができる柱梁接合構造の施工方法及び接合部材を提供する。
【解決手段】柱梁接合構造の施工方法は、下側鋼管11aを鉛直方向に延びるように設置する下側鋼管設置工程と、鉛直方向に延びる複数の接合鉄筋32と、複数の接合鉄筋32の鉛直方向の中間の外側を囲繞するように配置されたふさぎ鋼管31と、ふさぎ鋼管31の内部に充填された接合コンクリート部33と、ふさぎ鋼管31に接合された接合梁34と、を有する接合部材3を、ふさぎ鋼管31を下側鋼管11aの上側に同軸に配置する接合部材設置工程と、ふさぎ鋼管31の上側に同軸に上側鋼管11bを設置する上側鋼管設置工程と、下側鋼管11aの上部に下側鋼管11aの板厚を貫通するように形成された打設孔51からコンクリートを打設する下側鋼管コンクリート打設工程と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート充填鋼管造の柱と鉄骨造の梁との柱梁接合構造の施工方法であって、
下側鋼管を鉛直方向に延びるように設置する下側鋼管設置工程と、
鉛直方向に延びる複数の接合鉄筋と、該複数の接合鉄筋の鉛直方向の中間の外側を囲繞するように配置されたふさぎ鋼管と、該ふさぎ鋼管の内部に充填された接合コンクリート部と、前記ふさぎ鋼管に接合された接合梁と、を有する接合部材を、前記ふさぎ鋼管を前記下側鋼管の上側に同軸に配置する接合部材設置工程と、
前記ふさぎ鋼管の上側に同軸に上側鋼管を設置する上側鋼管設置工程と、
前記下側鋼管の上部に該下側鋼管の板厚を貫通するように形成された打設孔からコンクリートを打設する下側鋼管コンクリート打設工程と、を備える柱梁接合構造の施工方法。
【請求項2】
筒状に形成された打設管の一端部を前記打設孔に接続し、前記打設管の他端部が上方を向くように設置する打設管設置工程を備える請求項1に記載の柱梁接合構造の施工方法。
【請求項3】
前記下側鋼管の上部に該下側鋼管の板厚を貫通するように形成された作業孔にバイブレータを挿入して、前記下側鋼管に打設されたコンクリートに振動を与えて締固めるコンクリート締固め工程を備える請求項1または2に記載の柱梁接合構造の施工方法。
【請求項4】
筒状に形成された作業管の一端部を前記作業孔に接続し、前記作業管の他端部が上方を向くように設置する作業管設置工程を備える請求項3に記載の柱梁接合構造の施工方法。
【請求項5】
前記作業管の他端部から前記下側鋼管に打設されたコンクリートを確認するコンクリート確認工程を備える請求項4に記載の柱梁接合構造の施工方法。
【請求項6】
コンクリート充填鋼管造の柱と鉄骨造の梁との柱梁接合構造に設置される接合部材であって、
鉛直方向に延びる複数の接合鉄筋と、
該複数の接合鉄筋の鉛直方向の中間の外側を囲繞するように配置されたふさぎ鋼管と、
該ふさぎ鋼管の内部に充填された接合コンクリート部と、
前記ふさぎ鋼管に接合された接合梁と、を備える接合部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱梁接合構造の施工方法及び接合部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、鋼管の内部に接合鉄筋(主筋)及びコンクリートが充填されたコンクリート充填鋼管柱と、コンクリート充填鋼管柱の上下に配置された鉄骨造の梁との接合構造が知られている。
【0003】
下記の特許文献1では、コンクリート充填鋼管柱の内部に、補強鉄筋体が配置されたものが提案されている。補強鉄筋体は、鉛直方向に延び周方向に沿って間隔を有して配置された複数の鉛直補強筋と、複数の鉛直補強筋を束ねるように鉛直方向に間隔を有して複数配置された平面視円形をなすせん断補強筋(円形補強鉄筋)と、を有している。火災時に鋼管が高温になり、鋼管による拘束効果が激減した場合も、補強鉄筋体によって、柱のせん断伝達性能及びび軸力伝達性能を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-131770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、柱梁接合部(仕口部)の上側から下側の柱の鋼管内及びふさぎ板内にコンクリートを打設する際に、仕口部に鉄骨梁及び接合鉄筋が存在するため、コンクリート打設作業の効率が著しく低下し、時間がかかるという問題点がある。また,下側の柱の鋼管内及びふさぎ板内を同時に打設するため、特にふさぎ板内のコンクリート充填作業の作業難易度が高くなることが多い。仕口部の上側からコンクリートを打設する際には、接合鉄筋は結束線等による簡易な固定のみであるため、打設作業時に接合鉄筋が所定の位置からずれてしまった場合は、接合鉄筋を所定の位置に戻す後作業が発生し、作業手間がかかっている。
【0006】
また、柱高さが大きい場合は、コンクリートホースなどを使用する必要があるが、通常サイズの打設作業用ホースは仕口部の直交する梁のフランジどうしの隙間等を通らないことが多く、打設作業用ホースの直径を小さくする必要が生じる。そのため、コンクリートの打設作業の効率が著しく低下するか、あるいはコンクリートの打設自体が困難になるという問題点がある。
【0007】
また、下側の柱の鋼管内にコンクリートを打設する際には、仕口部の上面から打設作業を行う必要があるため、上側の柱鋼管建方作業は下側のコンクリート打設作業後に行うこととなり、工程選択の自由度が低くなるという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コンクリートの打設作業を容易に行うことができる柱梁接合構造の施工方法及び接合部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る柱梁接合構造の施工方法は、コンクリート充填鋼管造の柱と鉄骨造の梁との柱梁接合構造の施工方法であって、下側鋼管を鉛直方向に延びるように設置する下側鋼管設置工程と、鉛直方向に延びる複数の接合鉄筋と、該複数の接合鉄筋の鉛直方向の中間の外側を囲繞するように配置されたふさぎ鋼管と、該ふさぎ鋼管の内部に充填された接合コンクリート部と、前記ふさぎ鋼管に接合された接合梁と、を有する接合部材を、前記ふさぎ鋼管を前記下側鋼管の上側に同軸に配置する接合部材設置工程と、前記ふさぎ鋼管の上側に同軸に上側鋼管を設置する上側鋼管設置工程と、前記下側鋼管の上部に該下側鋼管の板厚を貫通するように形成された打設孔からコンクリートを打設する下側鋼管コンクリート打設工程と、を備える。
【0010】
このように構成された柱梁接合構造の施工方法では、接合部材設置工程で、ふさぎ鋼管の内部に接合コンクリート部が充填された接合部材を下側鋼管の上側に設置する。下側鋼管コンクリート打設工程では、下側鋼管の内部にコンクリートを打設し、ふさぎ鋼管の内部には既にコンクリートが充填されているため充填する必要がない。よって、コンクリートの打設作業を容易に行うことができる。
【0011】
また、本発明に係る柱梁接合構造の施工方法は、筒状に形成された打設管の一端部を前記打設孔に接続し、前記打設管の他端部が上方を向くように設置する打設管設置工程を備えていてもよい。
【0012】
このように構成された柱梁接合構造の施工方法では、下側鋼管の上部に形成された打設孔に打設管を接続して、打設管の上方を向く他端部から下側鋼管の内部にコンクリートを打設する。よって、下側鋼管の上方からコンクリートを打設することができるため、コンクリートの打設の作業性が良い。
【0013】
また、本発明に係る柱梁接合構造の施工方法は、前記下側鋼管の上部に該下側鋼管の板厚を貫通するように形成された作業孔にバイブレータを挿入して、前記下側鋼管に打設されたコンクリートに振動を与えて締固めるコンクリート締固め工程を備えていてもよい。
【0014】
このように構成された柱梁接合構造の施工方法では、下側鋼管に打設されたコンクリートに振動を与えて締固めるバイブレータを、下側鋼管の上部に形成された作業孔から挿入する。よって、コンクリートを打設する打設孔とは別に、バイブレータを挿入する作業孔があるため、コンクリートの締め固めの作業性が良い。
【0015】
また、本発明に係る柱梁接合構造の施工方法は、筒状に形成された作業管の一端部を前記作業孔に接続し、前記作業管の他端部が上方を向くように設置する作業管設置工程を備えていてもよい。
【0016】
このように構成された柱梁接合構造の施工方法では、下側鋼管の上部に形成された作業孔に作業管を接続して、作業管の上方を向く他端部からバイブレータを挿入することができるため、コンクリートの締め固めの作業性が更に良い。
【0017】
また、本発明に係る柱梁接合構造の施工方法は、前記作業管の他端部から前記下側鋼管に打設されたコンクリートを確認するコンクリート確認工程を備えていてもよい。
【0018】
このように構成された柱梁接合構造の施工方法では、コンクリートの締め固めで使用する作業管を使用して、下側鋼管に打設されたコンクリートを確認することができるため、コンクリートを確認するための確認孔を別に設ける必要がない。
【0019】
また、本発明に係る接合部材は、コンクリート充填鋼管造の柱と鉄骨造の梁との柱梁接合構造に設置される接合部材であって、鉛直方向に延びる複数の接合鉄筋と、該複数の接合鉄筋の鉛直方向の中間の外側を囲繞するように配置されたふさぎ鋼管と、該ふさぎ鋼管の内部に充填された接合コンクリート部と、前記ふさぎ鋼管に接合された接合梁と、を備える。
【0020】
このように構成された接合部材では、ふさぎ鋼管の内部に接合コンクリート部が充填された接合部材を下側鋼管の上側に設置して、下側鋼管の内部にコンクリートを打設する。ふさぎ鋼管の内部には既にコンクリートが充填されているため充填する必要がないため、コンクリートの打設作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る柱梁接合構造の施工方法及び接合部材によれば、コンクリートの打設作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る柱梁接合構造を示す鉛直断面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る柱梁接合構造の施工方法を示す図であり、接合部材組立工程を示す。
図4】本発明の一実施形態に係る柱梁接合構造の施工方法を示す図であり、接合部材組立工程を示し、図3の後工程を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る柱梁接合構造の施工方法を示す図であり、下側鋼管設置工程及び接合部材設置工程を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る柱梁接合構造の施工方法を示す図であり、上側鋼管設置工程を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る柱梁接合構造の施工方法を示す図であり、打設管設置工程、作業管設置工程、下側鋼管コンクリート打設工程及びコンクリート締固め工程を示す。
図8】本発明の一実施形態に係る柱梁接合構造の施工方法を示す図であり、コンクリート確認工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る柱梁接合構造の施工方法について、図面を用いて説明する。
まず、柱梁接合構造の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る柱梁接合構造を示す鉛直断面図である。図1に示すように、本実施形態の柱梁接合構造100では、コンクリート充填鋼管造(CFT造)の柱1と鉄骨造(S造)の梁2との接合構造である。本実施形態の柱梁接合構造100は、柱部材1Aと、梁部材2Aと、柱梁接合部材(接合部材)3と、を有している。
【0024】
柱部材1Aは、柱梁接合部材3の上側及び下側に配置されている。柱部材1Aは、鋼管11と、柱コンクリート部12と、を有している。鋼管11は、円筒状に形成されている。鋼管11の軸線は、鉛直方向を向いている。柱コンクリート部12は、鋼管11の内部に充填されている。下側の柱部材1Aの鋼管11を下側鋼管11aと称する。上側の柱部材1Aの鋼管11を上側鋼管11bと称する。
【0025】
下側鋼管11aの上部には、下側鋼管11aの板厚を貫通するように打設孔51が形成されている。打設孔51には、筒状に形成された打設管52の一端部52aが接続されている。打設孔51と打設管52とは、連通している。打設管52は、下側鋼管11aの外側且つ上方に延びている。打設管52の他端部52bは、上方を向くように配置されている。打設管52の内部にも、柱コンクリート部12が充填されている。柱コンクリート部12は、打設管52の他端部52bよりもわずかに低い位置まで充填されている。
【0026】
下側鋼管11aの上部には、下側鋼管11aの板厚を貫通するように作業孔56が形成されている。作業孔56には、筒状に形成された作業管57の一端部57aが接続されている。作業孔56と作業管57とは、連通している。作業管57は、下側鋼管11aの外側且つ上方に延びている。作業管57の他端部57bは、上方を向くように配置されている。作業管57の内部にも、柱コンクリート部12が充填されている。柱コンクリート部12は、作業管57の他端部57bよりもわずかに低い位置まで充填されている。
【0027】
梁部材2Aは、柱梁接合部材3の後述する接合梁34の長さ方向の端部に接続されている。梁部材2Aは、平面視十字状に配置されている。梁部材2Aは、H形鋼で構成されている。梁部材2Aは、一対のフランジ21と、ウェブ22と、を有している。一対のフランジ21は、鉛直方向に離間して配置されている。ウェブ22は、一対のフランジ21どうしを連結している。
【0028】
柱梁接合部材3は、ふさぎ鋼管31と、接合鉄筋32と、接合コンクリート部33と、接合梁34と、を備えている。
【0029】
ふさぎ鋼管31は、後述する直交配置された接合梁34の接合ウェブ34bどうしの間に配置される4枚の鋼管板材31aを有している。ふさぎ鋼管31は、4枚の鋼管板材31aによって、略円筒状に形成されている。ふさぎ鋼管31の軸線は、鉛直方向を向いている。ふさぎ鋼管31は、上下の柱部材1Aの鋼管11の間に配置されている。ふさぎ鋼管31の径は、鋼管11の径と略同一である。ふさぎ鋼管31は、鋼管11と同軸上に配置されている。
【0030】
接合鉄筋32は、鉛直方向に延びている。図2は、図1のA-A線断面図である。図2に示すように、ふさぎ鋼管31の内側に、複数の接合鉄筋32が配置されている。複数の接合鉄筋32は、周方向に間隔を有して配置されている。接合鉄筋32は、後述する接合梁34と干渉しない位置に配置されている。
【0031】
図1に示すように、接合鉄筋32のうちふさぎ鋼管31よりも上方に突出する部分を、上側突出鉄筋32aと称する。上側突出鉄筋32aは、上側鋼管11bの内部に配置されている。上側突出鉄筋32aは、上側鋼管11bの内部に充填された柱コンクリート部12に定着している。
【0032】
接合鉄筋32のうちふさぎ鋼管31の内部に配置される部分を、中間鉄筋32bと称する。ふさぎ鋼管31は、接合鉄筋32の鉛直方向の中間である中間鉄筋32bの外側を囲繞するように配置されている。中間鉄筋32bは、後述する接合コンクリート部33に定着している。
【0033】
接合鉄筋32のうちふさぎ鋼管31よりも下方に突出する部分を、下側突出鉄筋32cと称する。下側突出鉄筋32cは、下側鋼管11aの内部に配置されている。下側突出鉄筋32cは、下側鋼管11aの内部に充填された柱コンクリート部12に定着している。
【0034】
接合コンクリート部33は、ふさぎ鋼管31の内部に充填されている。4本の接合梁34が、平面視十字状に直交配置されている。接合梁34は、H形鋼で構成されている。接合梁34は、一対の接合フランジ34aと、接合ウェブ34bと、を有している。一対の接合フランジ34aは、鉛直方向に離間して配置されている。接合ウェブ34bは、一対の接合フランジ34aどうしを連結している。接合ウェブ34bは、ふさぎ鋼管31に接合されている。
【0035】
接合フランジ34aの長さ方向の端部には、梁2のフランジ21が接合されている。接合ウェブ34bの長さ方向の端部には、梁2のウェブ22が接合されている。
【0036】
上側の柱1は、上側鋼管11bと、上側突出鉄筋32aと、柱コンクリート部12と、を備えている。下側の柱1は、下側鋼管11aと、下側突出鉄筋32cと、柱コンクリート部12と、を備えている。梁2は、梁部材2Aと、接合梁34と、を備えている。上下の柱1と梁2とは、ふさぎ鋼管31、中間鉄筋32b及び接合コンクリート部33によって接合されている。
【0037】
次に、柱梁接合構造の施工方法について説明する。
接合部材組立工程を行う。
図3に示すように、作業面g上に仮設下側鉄骨41を立設させる。仮設下側鉄骨41は、後工程で配置する柱梁接合部材3の接合梁34が配置される4箇所の下方に配置しておくことが好ましい。4本の接合梁34を直交配置する。直交配置された接合梁34の間を鋼管板材31aで接合して、ふさぎ鋼管31を形成する。
【0038】
図4に示すように、接合梁34上に仮設上側鉄骨42を設置する。例えば、仮設上側鉄骨42を、仮設下側鉄骨41の鉛直上方に配置する。作業面g上であって複数の仮設下側鉄骨41で囲まれた内部に、下側鉄筋支持台43を設置する。複数の仮設上側鉄骨42上に架設するように、上側鉄筋支持台44を設置する。ふさぎ鋼管31の内部に接合鉄筋32を複数配置する。例えば、接合鉄筋32の上端部及び下端部を上側鉄筋支持台44及び下側鉄筋支持台43に上下方向に貫通するように形成された支持孔に挿入して、接合鉄筋32の位置決めをする。ふさぎ鋼管31の下部に型枠(不図示)を設置して、ふさぎ鋼管31の内部にコンクリートを打設して、接合コンクリート部33を形成する。これによって、柱梁接合部材3が完成する。なお、予め製造工場等で接合部材組立工程を行って柱梁接合部材3を製造して建設現場に搬入してもよいし、建設現場で接合部材組立工程を行って柱梁接合部材3を製造してもよい。
【0039】
下側鋼管設置工程を行う。
図5に示すように、設置面h上に、下側鋼管11aが鉛直方向に延びるように、つまり下側鋼管11aの軸線が鉛直方向を向くように下側鋼管11aを設置する。
【0040】
接合部材設置工程を行う。
柱梁接合部材3のふさぎ鋼管31が下側鋼管11aの上側で下側鋼管11aと同軸になるように、柱梁接合部材3を設置する。下側突出鉄筋32cは、下側鋼管11aの内部に配置される。
【0041】
上側鋼管設置工程を行う。
図6に示すように、上側鋼管11bを、ふさぎ鋼管31の上側でふさぎ鋼管31と同軸になるように設置する。上側突出鉄筋32aは、上側鋼管11bの内部に配置される。なお、上側鋼管設置工程は、後述する打設管設置工程、作業管設置工程、下側鋼管コンクリート打設工程、コンクリート締固め工程及びコンクリート確認工程の一部と並行して行ってもよい。
【0042】
打設管設置工程を行う。
図7に示すように、下側鋼管11aの上部に下側鋼管11aの板厚を貫通するように打設孔51を形成する。打設孔51に筒状に形成された打設管52の一端部52aを接続し、打設孔51と打設管52とを連通させる。打設管52の他端部52bは、上方を向くように配置する。なお、打設孔51は、下側鋼管11aの上端部に設けてもよいし、下側鋼管11aの上端部よりも下方の位置に設けてもよい。
【0043】
作業管設置工程を行う。
下側鋼管11aの上部に下側鋼管11aの板厚を貫通するように作業孔56を形成する。作業孔56に筒状に形成された作業管57の一端部57aを接続し、作業孔56と作業管57とを連通させる。作業管57の他端部57bは、上方を向くように配置する。なお、作業孔56は、下側鋼管11aの上端部に設けてもよいし、下側鋼管11aの上端部よりも下方の位置に設けてもよい。作業孔56は、打設孔51よりも高い位置に形成されていることが好ましい。
【0044】
下側鋼管コンクリート打設工程を行う。
打設用ホース53を打設管52の他端部52bから挿入して打設孔51を通して、下側鋼管11aの内部に配置する。打設用ホース53にコンクリート54を流し込み、下側鋼管11aの内部にコンクリート54を打設する。このコンクリート54は、下側鋼管11aの内部に柱コンクリート部12となる。
【0045】
コンクリート締固め工程を行う。
バイブレータ58を作業管57の他端部57bから挿入して作業孔56を通して、下側鋼管11aの内部に配置する。下側鋼管11aに打設されたコンクリート54(柱コンクリート部12)に振動を与えて締固める。
【0046】
コンクリート確認工程を行う。
図8に示すように、下側鋼管11aの内部に打設されたコンクリート54(柱コンクリート部12)が状態や量等を、作業管57の他端部57bから確認する。コンクリート54(柱コンクリート部12)が下側鋼管11aの上端部まで打設されていることが好ましい。
【0047】
このように構成された柱梁接合構造の施工方法では、接合部材設置工程で、ふさぎ鋼管31の内部に接合コンクリート部33が充填された柱梁接合部材3を下側鋼管11aの上側に設置する。下側鋼管コンクリート打設工程では、下側鋼管11aの内部にコンクリート54(柱コンクリート部12)を打設し、ふさぎ鋼管31の内部には既にコンクリート(接合コンクリート部33)が充填されているため充填する必要がない。よって、コンクリートの打設作業を容易に行うことができる。
【0048】
また、下側鋼管11aの上部に形成された打設孔51に打設管52を接続して、打設管52の上方を向く他端部52bから下側鋼管11aの内部にコンクリート54(柱コンクリート部12)を打設する。よって、下側鋼管11aの上方からコンクリートを打設することができるため、コンクリートの打設の作業性が良い。
【0049】
また、下側鋼管11aに打設されたコンクリート54(柱コンクリート部12)に振動を与えて締固めるバイブレータ58を、下側鋼管11aの上部に形成された作業孔56から挿入する。よって、コンクリート54(柱コンクリート部12)を打設する打設孔51とは別に、バイブレータ58を挿入する作業孔56があるため、コンクリートの締め固めの作業性が良い。
【0050】
また、下側鋼管11aの上部に形成された作業孔56に作業管57を接続して、作業管57の上方を向く他端部57bからバイブレータ58を挿入することができるため、コンクリートの締め固めの作業性が更に良い。
【0051】
また、コンクリートの締め固めで使用する作業管57を使用して、下側鋼管11aに打設されたコンクリート54(柱コンクリート部12)を確認することができるため、コンクリート54(柱コンクリート部12)を確認するための確認孔を別に設ける必要がない。
【0052】
また、接合部材組立工程では、接合鉄筋32の上端部を上側鉄筋支持台44で支持し、接合鉄筋32の下端部を下側鉄筋支持台43で支持する。よって、接合鉄筋32の配置位置の精度を高めることができる。これによって、下側鋼管コンクリート打設工程時に、接合鉄筋32を所定の位置に戻す必要なく作業手間を減らすことができる。
【0053】
また、下側鋼管コンクリート打設工程前に上側鋼管設置工程を行うことができるため、工程選択の自由度を高めることができる。
【0054】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0055】
例えば、上記に示す実施形態では、下側鋼管11aの打設孔51に打設管52が接続され、打設管52からコンクリートを充填しているが、本発明はこれに限られない。打設管52が無くて打設孔51からコンクリートを充填してもよい。
【0056】
また、上記に示す実施形態では、下側鋼管11aの作業孔56に作業管57が接続され、作業管57からバイブレータ58を挿入しているが、本発明はこれに限られない。作業管57が無くて作業孔56からバイブレータ58を挿入してもよいし、打設孔51や打設管52等からバイブレータ58を挿入してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…柱
1A…柱部材
2…梁
2A…梁部材
11…鋼管
11a…下側鋼管
11b…上側鋼管
12…柱コンクリート部
31…ふさぎ鋼管
32…接合鉄筋
33…接合コンクリート部
34…接合梁
51…打設孔
52…打設管
52a…一端部
52b…他端部
56…作業孔
57…作業管
57a…一端部
57b…他端部
58…バイブレータ
100…柱梁接合構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8