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  • 特開-パイプ保持具 図1
  • 特開-パイプ保持具 図2
  • 特開-パイプ保持具 図3
  • 特開-パイプ保持具 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118889
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】パイプ保持具
(51)【国際特許分類】
   E21B 19/02 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
E21B19/02
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015700
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】518379751
【氏名又は名称】吉田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100131657
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 律次
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英樹
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AB02
2D129BA18
2D129EC36
(57)【要約】
【課題】 井戸や地中などの穴から、パイプを引き上げる際または引き下ろす際に、簡便な操作で、パイプを保持することができ、作業に要する手間とコストを軽減することのできるパイプ保持具を提供すること。
【解決手段】 本発明のパイプ保持具100はパイプ9を穴から引き上げる際または引き下ろす際に、当該パイプ9を保持するためのものである。当該パイプ保持具100は、少なくともパイプ保持部1と操作用把持部2で構成され、パイプ保持部1は第1係止部11と第2係止部12を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプを穴から引き上げる際又は引き下ろす際に、当該パイプを保持するためのパイプ保持具であって、
間に前記パイプを挿入可能な第1係止部と第2係止部を有するパイプ保持部と、
前記第1係止部と前記第2係止部の間に前記パイプが挟持されるように、挿入された前記パイプに対する前記パイプ保持具の角度を操作するための操作用把持部と、
を具備することを特徴とするパイプ保持具。
【請求項2】
前記第1係止部と前記第2係止部のいずれか一方又は両方に滑り止め部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のパイプ保持具。
【請求項3】
前記パイプ保持部は、前記第1係止部と前記第2係止部の間に挟持されたパイプとの隙間の大きさを調節する調節部を具備することを特徴とする請求項1又は2記載のパイプ保持具。
【請求項4】
前記第1係止部および前記第2係止部のいずれか一方又は両方と前記把持部を着脱するための着脱部を具備することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のパイプ保持具。
【請求項5】
前記パイプ保持部は、前記パイプを挿入するための挿入部を側面に有する筒状に形成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のパイプ保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプを穴から引き上げる際又は引き下ろす際に用いるパイプ保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
井戸は、長年使用すると、配管に劣化や損傷が生じ、パイプの洗浄・修理・交換等の作業が必要となる。従来、これらの作業に伴うパイプの引き上げや引き下ろしは、作業者がパイプを手で直接掴んで行っている。
【0003】
しかしながら、例えば、深井戸用ポンプ装置で用いられるパイプは、通常、長さが数m~数十mに達し、重さが数十kgに及び、手作業で行うとパイプを落下させないためには相当の握力を要し、そのため深井戸のパイプの引き上げや引き下ろしには、数人の人手を要するという問題があった。また、パイプを井戸に落下させてしまうと再び引き上げることは困難であるため、パイプを落下させないように慎重且つ一気に作業を行わなければならないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば、巻上機を用いてパイプを引き上げ、所定の高さ位置において固定板でパイプを挟み込んで固定する、という作業を繰り返して、段階的にパイプの引き上げを行う方法がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-199395
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の方法は、パイプを所定の高さ位置で固定するために、ハンドルの操作により固定板を前後に移動させてパイプを挟み込む必要があり、非常に手間がかかるものであった。また、パイプを巻上機で引き上げ可能にするための保持部材をパイプに装着しなければならず、これも手間がかかるものであった。
【0007】
そこで本発明は、井戸や地中などの穴から、パイプを引き上げる際または引き下ろす際に、簡便な操作で、パイプを保持することができ、作業に要する手間とコストを軽減することのできるパイプ保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパイプ保持具は、パイプを穴から引き上げる際又は引き下ろす際に、当該パイプを保持するためのものであって、間に前記パイプを挿入可能な第1係止部と第2係止部を有するパイプ保持部と、前記第1係止部と前記第2係止部の間に前記パイプが挟持されるように、挿入された前記パイプに対する前記パイプ保持具の角度を操作するための操作用把持部と、を具備することを特徴とする。
【0009】
この場合、前記第1係止部と前記第2係止部のいずれか一方又は両方に滑り止め部が形成されている方が好ましい。
【0010】
また、前記パイプ保持部は、前記第1係止部と前記第2係止部の間に挟持されたパイプとの隙間の大きさを調節する調節部を具備していてもよい。
【0011】
また、前記第1係止部および前記第2係止部のいずれか一方又は両方と前記把持部を着脱するための着脱部を具備していてもよい。
【0012】
また、前記パイプ保持部は、前記パイプを挿入するための挿入部を側面に有する筒状に形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパイプ保持具を用いると、握力をそれほど必要とせずに、鉛直方向と反対の方向に力を加えやすいため、簡単にパイプを保持できる。したがって、大掛かりな装置を使用せずに簡便な操作で、パイプを所定の高さ位置に穴から引き上げる又は引き下ろすことができ、作業に要するコストと手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のパイプ保持具を示す斜視図である。
図2】本発明のパイプ保持具の着脱部を示す斜視図である。
図3】本発明のパイプ保持具の滑り止め部を示す斜視図である。
図4】本発明のパイプ保持具の使用態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態を、図1図4を用いて詳細に説明する。
【0016】
本発明のパイプ保持具100は、図1に示すように、パイプ9を穴から引き上げる際又は引き下ろす際に、当該パイプ9を保持するためのものである。当該パイプ保持具100は、少なくともパイプ保持部1と操作用把持部2で構成される。
【0017】
パイプ保持部1は、第1係止部11と第2係止部12を有する。第1係止部11と第2係止部12は、パイプ9を保持する際にパイプ9をそれぞれ係止し、挟持する部分である。また、第1係止部11と第2係止部12の間には、パイプ9を挿入可能な挿入部15を有する。パイプ保持部1の形状は、第1係止部11と第2係止部12の間にパイプ9を挿入可能であればどのような形状でも良いが、例えば図1に示すように、パイプ9の直径を超える大きさの空間を内部に有する筒状で、当該筒の側面に、筒内へパイプ9を挿入するための挿入部15が形成されたものを用いることができる。なお、図1においては第1係止部11と第2係止部12が一体に形成されているが、これに限られるものではなく、第1係止部11と第2係止部12が別体として形成されていてもよい。
【0018】
筒の軸方向に対して垂直な断面形状は特に限定されるものではなく、例えば、円状、楕円状、四角形状等の任意の形状を用いることができる。また、筒の断面の外縁と内縁の形状は異なっていてもよく、外縁が円状で内縁が四角形状のものや、外縁が四角形状で内縁が円状のもの等を用いることも可能である。図1では、筒の断面の外縁および内縁の形が円状である場合のパイプ保持部1を示す。この場合、パイプ保持部1の内径は、保持されるパイプ9の内径より2~8mm、更に好ましくは5mm~6mm程度大きく形成すればよい。
【0019】
また、挿入部15の形状は、第1係止部11と第2係止部12の間にパイプ9を挿入できればどのような形状でもよいが、例えば図1に示すように、パイプ9の直径を超える幅のスリット状のものを用いることができる。例えば、呼び径25の塩化ビニル製パイプ(VP25)は、外径が約32mmである。この場合、スリット幅を33mmとすればよい。また、呼び径30の塩化ビニル製パイプ(VP30)は、外径が約38mmである。この場合、スリット幅を39mmとすればよい。
【0020】
また、挿入部15は、第1係止部11と第2係止部12の間にパイプ9を保持した際に、パイプ9が抜け落ち難い位置に配置する方が好ましい。例えば、図1に示すように、筒状のパイプ保持部1の側面に垂直に操作用把持部2が形成される場合には、挿入部15は、筒状のパイプ保持部1の側面であって、操作用把持部2と直行する方向に形成される方がよい。
【0021】
次に、パイプ保持部1の具体的な実施例を説明する。例えば、呼び径25の塩化ビニル製パイプ(VP25)は、外径が約32mmである。この場合、パイプ保持部1の内径を38mm、外径を44mmに形成することができる。また、呼び径30の塩化ビニル製パイプ(VP30)は、外径が約38mmである。この場合、パイプ保持部1の内径を43mm、外径を57mmに形成することができる。なお、このようなパイプ保持部1としては、一般に流通している円筒状のパイプに挿入部15を形成して簡単に作製することができる。
【0022】
操作用把持部2は、第1係止部11と第2係止部12の間にパイプ9が挟持されるように、挿入されたパイプ9に対するパイプ保持具の角度を操作するためのものである。具体的には、操作用把持部2には、第1係止部11および第2係止部12が所定位置に固定されている。そして、操作用把持部2の操作により、第1係止部11と第2係止部12の間に挿入されたパイプ9に対して第1係止部11および第2係止部12の位置を回転させることにより、第1係止部11と第2係止部12がそれぞれパイプ9に当接し当該パイプ9を挟持する。また、操作用把持部2の操作によって、挟持されたパイプ9に対する第1係止部11および第2係止部12の位置を逆方向に回転させることにより、パイプ9が第1係止部11と第2係止部12から外れる。
【0023】
操作用把持部2は、第1係止部11と第2係止部12の位置関係を操作できればどのようなものでもよいが、好ましくは、パイプ保持部1でパイプ9を保持する際に、少なくとも鉛直方向と平行でない部分を有する形状が好ましい。例えば、図1に示すように、パイプ保持部1にパイプ9を挿入した際に、当該パイプ9に対して垂直方向に伸びる筒状又は柱状のものを用いることができる。これにより、握力をそれほど使わずに、パイプの重量を手のひらで受けることができる。また、操作用把持部2の表面に、手で握り易いように凹凸を設けてもよい。また、図1に示すように、操作用把持部2のパイプ保持部1と対向する側の端部に、手から滑り落ちるのを防止するための凸部21を形成してもよい。また、別形態の操作用把持部2としては、単にパイプ保持部1の表面を凹凸にしたものや、パイプ保持部1の表面にフランジ状の鍔部を形成したものであってもよい。
【0024】
なお、パイプ保持部1と操作用把持部2は一体に形成されていても良いが、パイプ保持部1を交換できるように、パイプ保持部1と操作用把持部2を着脱するための着脱部5を有していてもよい。これにより、パイプ9の太さに合わせてパイプ保持部1を交換したりすることができる。着脱部5としては、例えば、パイプ保持部1と操作用把持部2のいずれか一方に雄ねじを、他方に雌ねじを形成して螺合するものを用いることができる。図2では、筒状のパイプ保持部1の側面に形成された雌ねじと、操作用把持部2に形成された雌ねじで着脱可能にしたパイプ保持具100の例を示す。また、パイプ保持部1と操作用把持部2を、ボルトとナットで締結するものを用いることも可能である。また、パイプ保持部1の第1係止部11と第2係止部12が別体として形成されている場合には、着脱部5は、第1係止部11および第2係止部12のいずれか一方又は両方と把持部を着脱するように形成されていてもよい。
【0025】
パイプ保持部1と操作用把持部2の材質はパイプ9を保持する際に破損等することがない強度を有するものであればどのようなものを使用しても良いが、例えば鋼や銅などの金属を用いることができる。
【0026】
また、パイプ9を保持した際に、パイプ9がパイプ保持部1から滑るのを防止するために、第1係止部11と第2係止部12のいずれか一方又は両方に滑り止め部13が形成されていてもよい。滑り止め部13としては、パイプ9がパイプ保持部1から滑るのを防止できればどのようなものでもよいが、例えば、図3(a)に示すように、円筒状のパイプ保持部1の内面に形成されたねじ切り(めねじ)を利用することができる。また、第1係止部11や第2係止部12のパイプ9と接触する部分に、先の尖った鋲状の凸部を形成することもできる。当該凸部としては、例えば、図3(b)に示すように、パイプ保持部の外面から内面側に挿入した雄ねじを利用することができる。
【0027】
また、パイプ保持部1は、第1係止部11と第2係止部12の間に挟持されたパイプとの隙間の大きさを調節する調節部を具備するようにしてもよい。例えば、第1係止部と第2係止部を別体とし、調節部として、当該第1係止部と第2係止部を近づけたり離したりすることができるように連結するねじを用いることができる。また、図3(b)において滑り止め部13として説明した雄ねじを調節部として利用することもできる。この場合、パイプ保持部の外面から内面側に挿入した雄ねじの挿入量を調節することにより、第1係止部11と第2係止部12の間に挟持されたパイプとの隙間の大きさを調節することができる。
【0028】
次に、本発明のパイプ保持具100の使用方法の一例について、図4を用いて説明する。ここで、深井戸用ポンプ装置の場合、深井戸8から地下水を吸い揚げるための吸水パイプ9Aと、吸い揚げた地下水の一部を圧力水として再び井戸8内に戻すための圧力水パイプ9Bを有している。また、吸水パイプ9Aと圧力水パイプ9Bの下端部は、ジョット部によって連結されている。そこで、吸水パイプ9Aの直径に対応するパイプ保持部1Aを有するパイプ保持具100Aと、圧力水パイプ9Bの直径に対応するパイプ保持部1Bを有するパイプ保持具100Bを用意する。
【0029】
まず、吸水パイプ9Aをパイプ保持具100Aの挿入部15Aを介してパイプ保持部1Aに挿入する。また、圧力水パイプ9Bをパイプ保持具100Bの挿入部15Bを介してパイプ保持部1Bに挿入する。
【0030】
吸水パイプ9Aを引き上げるには、操作用把持部2Aを操作して、吸水パイプ9Aが第1係止部11Aと第2係止部12Aで挟持されるようにパイプ保持部1Aを傾ける。このまま、操作用把持部1Aを持ち上げることにより、吸水パイプ9Aおよび当該吸水パイプ9Aに連結された圧力水パイプ9Bを引き上げることができる。
【0031】
次に、圧力水パイプ9Bを引き上げるには、操作用把持部2Bを操作して、圧力水パイプ9Bが第1係止部11Bと第2係止部12Bで挟持されるようにパイプ保持部1Bを傾ける。この状態で、操作用把持部2Aを操作して、吸水パイプ9Aが第1係止部11Aと第2係止部12Aから自由になるようにパイプ保持部1Aを傾けて挟持を解除する。そして、操作用把持部1Bを持ち上げることにより、圧力水パイプ9Bおよび当該圧力水パイプ9Bに連結された吸水パイプ9Aを引き上げることができる。
【0032】
このようにパイプ保持具100Aとパイプ保持具100Bを用いて、吸水パイプ9Aと圧力水パイプ9Bを掴み、持ち上げ、離すということを繰り返していけば、吸水パイプ9Aと圧力水パイプ9Bを井戸8から引き上げることができる。
【符号の説明】
【0033】
1、1A、1B パイプ保持部
2、2A、2B 操作用把持部
5 着脱部
8 井戸
9 パイプ
11 第1係止部
12 第2係止部
13 滑り止め部
15 挿入部
100 パイプ保持具
図1
図2
図3
図4