IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立国際電気の特許一覧

<>
  • 特開-電波発射源表示システム 図1
  • 特開-電波発射源表示システム 図2
  • 特開-電波発射源表示システム 図3
  • 特開-電波発射源表示システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118900
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】電波発射源表示システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/04 20060101AFI20220808BHJP
   G01S 13/91 20060101ALI20220808BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
G01S5/04
G01S13/91 200
G08G5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015719
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】倉垣 龍星
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 安彦
【テーマコード(参考)】
5H181
5J062
5J070
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181CC12
5H181CC14
5H181MA48
5J062AA06
5J062BB03
5J062CC14
5J062HH03
5J070AC02
5J070AC13
5J070AE04
5J070AF01
5J070AK04
5J070BG16
(57)【要約】
【課題】電波の発射源である航空機の位置をより正確に表示することが可能な電波発射源表示システムを提供する。
【解決手段】本例の航空路交通管制システムは、航空機1から発射された電波を受信して電波発射源の方位を測定し、測定結果の方位を示す電波発射源方位情報を生成する複数のDF受信局16と、複数のDF受信局16の各々から電波発射源方位情報を受信して記憶するDFサーバ17と、DFサーバ17に記憶された電波発射源方位情報を表示する表示装置(コンソール画面)8とを備える。DFサーバ17は、航空路監視レーダー3により検出された航空機1の位置を示す航空機位置情報を電波発射源位置サーバ6から取得し、当該航空機位置情報に基づいて電波発射源方位情報の正誤判定を行い、誤りの電波発射源方位情報を除去して表示装置8に表示させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機から発射された電波を受信して電波発射源の方位を測定し、測定結果の方位を示す電波発射源方位情報を生成する複数の受信局と、
前記複数の受信局の各々から電波発射源方位情報を受信して記憶するサーバと、
前記サーバに記憶された電波発射源方位情報を表示する表示装置とを備え、
前記サーバは、監視レーダーにより検出された前記航空機の位置を示す航空機位置情報を取得し、当該航空機位置情報に基づいて電波発射源方位情報の正誤判定を行い、誤りの電波発射源方位情報を除去して前記表示装置に表示させることを特徴とする電波発射源表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電波発射源表示システムにおいて、
前記サーバは、前記表示装置に表示させる電波発射源方位情報の単位時間当たりの測定サンプル数を、航空機位置情報の取得後よりも航空機位置情報の取得前の方が少なくなるようにすることを特徴とする電波発射源表示システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電波発射源表示システムにおいて、
前記サーバは、蓄積した電波発射源方位情報に基づいて、マルチパスが存在する受信局及び該受信局に対する電波障壁の方位を特定することを特徴とする電波発射源表示システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電波発射源表示システムにおいて、
前記サーバは、蓄積した電波発射源方位情報に基づいて、故障した受信局の検出を行うことを特徴とする電波発射源表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波の発射源である航空機の位置を表示する電波発射源表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空港などにおいて、航空路監視レーダーサイトやRDF(Radio Direction Finder;無線方向探知機)システムにより構成された、航空路交通管制システムが利用されている。図1には、従来の航空路交通管制システムの配置例を示してある。
【0003】
航空路監視レーダーサイトでは、航空路監視レーダー3が、監視領域である航空路2に向けてレーダー信号4を発射し、その反射波の受信結果に基づいて航空路2の監視を行う。航空路監視レーダー3は、航空路2を移動する航空機1を捕捉すると、その航空機1の位置を示す航空機位置情報を生成し、専用線5を通じて電波発射源位置サーバ6に送信する。電波発射源位置サーバ6は、航空路監視レーダー3から受信した航空機位置情報を記憶する。電波発射源位置サーバ6に記憶された航空機位置情報は、管制室7に設置された表示装置(コンソール画面)8に表示される。航空路管制業務を行う管制官9は、コンソール表示を見て、航空路2の状況を確認する。
【0004】
管制室7には交話装置14も設置されており、この交話装置14は専用線13により対空送受信局10と接続されている。対空送受信局10は、航空機1に搭載されたトランスポンダ(不図示)との無線通信、すなわち、トランスポンダに対する質問信号11の送信及びその応答信号12の受信を行う。管制官9は交話装置14を使用して、対空送受信局10を介して目的の航空機1に搭載されたトランスポンダと通信し、パイロットと意思疎通をとることで航空路管制業務を行う。
【0005】
RDFシステムでは、航空機1から無線送信された通信信号15を、それぞれ異なる位置に設置された複数のDF受信局16で受信する。各DF受信局16は、受信した通信信号15の発射源の方位を推定し、測定結果の方位を示す電波発射源方位情報を生成し、専用線5を通じてDFサーバ17に送信する。DFサーバ17は、各DF受信局16から受信した電波発射源方位情報を記憶する。また、DFサーバ17は、複数のDF受信局16から受信した電波発射源方位情報に基づいて航空機位置範囲を計算し、管制室7に設置された表示装置(コンソール画面)8に表示させる。航空路管制業務を行う管制官9は、コンソール表示を見て、通信信号15を発射した航空機1を特定する。
【0006】
上記のような航空管制に関し、従前より種々の発明が提案されている。例えば、特許文献1には、表示処理部が、FDP(飛行計画情報処理システム)から送信される航空機に関する情報と、航空路レーダー情報処理システムから送信される現在位置に関する情報とを照合し、受信された航空機の位置情報に基づいて航空機の位置を示す記号を表示する発明が開示されている。また、特許文献2には、航空機位置検出回路から出力される航空機位置通報信号により、航空機位置通報装置制御部が、管制塔に配置した航空機位置表示部に航空機の位置を自動的に通報し、かつ表示させる発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-284651号公報
【特許文献2】特開平5-107354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の航空路交通管制システムでは、航空機1のトランスポンダとDF受信機16の間の無線通信において電波障壁22によるマルチパス23等の電波干渉が発生した場合、表示装置8に誤った航空機位置範囲が表示されるという問題がある。この問題について、図2を参照して説明する。
【0009】
図2には、従来の航空路交通管制システムにおける表示装置8の表示例を示してある。表示装置8には、各DF受信局16の位置表示19-1~19-3(受信局位置マーク)と、各DF受信局16の電波発射源方位情報を画像化した航空機方位範囲20と、各DF受信局16の電波発射源方位情報に基づいて総合的に推定された航空機位置範囲21(航空機位置マーク)とが表示されている。なお、航空機方位範囲20及び航空機位置範囲21は、DFサーバ17が電波発射源方位情報に基づく演算処理を行うことで算出される。
【0010】
また、図2では、位置表示19-3に対応するDF受信局16については、マルチパス23の影響で別の電波発射源方位情報も得られており、この別の電波発射源方位情報に基づいて誤りの航空機方位範囲24も推定されている。その結果、表示装置(コンソール画面)8には誤った航空機位置範囲25も表示されるが、航空機位置範囲21と航空機位置範囲25のどちらが正しいかは一見して分からない。その結果、管制官9とパイロットの間で意思疎通をうまくとれなくなり、航空管制業務に支障をきたして交通障害を引き起こしてしまう危険性がある。
【0011】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、電波の発射源である航空機の位置をより正確に表示することが可能な電波発射源表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係る電波発射源表示システムは以下のように構成される。
すなわち、本発明に係る電波発射源表示システムは、航空機から発射された電波を受信して電波発射源の方位を測定し、測定結果の方位を示す電波発射源方位情報を生成する複数の受信局と、複数の受信局の各々から電波発射源方位情報を受信して記憶するサーバと、サーバに記憶された電波発射源方位情報を表示する表示装置とを備え、サーバは、監視レーダーにより検出された航空機の位置を示す航空機位置情報を取得し、当該航空機位置情報に基づいて電波発射源方位情報の正誤判定を行い、誤りの電波発射源方位情報を除去して表示装置に表示させることを特徴とする。
【0013】
ここで、サーバは、表示装置に表示させる電波発射源方位情報の単位時間当たりの測定サンプル数を、航空機位置情報の取得後よりも航空機位置情報の取得前の方が少なくなるように調整し得る。
【0014】
また、サーバは、蓄積した電波発射源方位情報に基づいて、マルチパスが存在する受信局及び該受信局に対する電波障壁の方位を特定し得る。
【0015】
また、サーバは、蓄積した電波発射源方位情報に基づいて、故障した受信局の検出を行い得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電波の発射源である航空機の位置をより正確に表示することが可能な電波発射源表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来の航空路交通管制システムの配置例を示す図である。
図2図1の航空路交通管制システムにおける表示装置の表示例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る航空路交通管制システムの配置例を示す図である。
図4図3の航空路交通管制システムにおける表示装置の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図3には、本発明に係る電波発射源表示システムの一実施形態である航空路交通管制システムの配置例を示してある。本例の航空路交通管制システムは、概略的な構成は従来例と同様であり、航空路監視レーダーサイトやRDFシステムにより構成される。以下、従来の航空路交通管制システムとの相違点について主に説明し、重複する部分の説明は適宜省略する。
【0019】
本例の航空路交通管制システムでは、監視領域に対して設置された複数のDF受信局16で航空機搭載のトランスポンダ(不図示)から発信された通信信号15を受信した際に、電波発射源方位情報を生成してDFサーバ17に蓄積させる。また、DFサーバ17は、後に航空路監視レーダーサイトによって航空機位置情報が生成された場合に、その航空機位置情報を電波発射源位置サーバ6から共有線26を通じて取得する。航空機位置情報は、電波発射源方位情報よりも正確に航空機1の位置を特定できる情報である。
【0020】
DFサーバ17は、電波発射源方位情報と航空機位置情報との比較計算により電波発射源方位情報の正誤判定を行い、誤りの電波発射源方位情報を除去する。電波発射源方位情報の正誤判定では、例えば、電波発射源方位情報が表す電波発射源方位の信頼度を算出し、算出した信頼度を示すパラメータを電波発射源方位情報に付加し、信頼度が基準値未満のもの(誤り率が高いもの)を誤りの電波発射源方位情報とみなすようにする。その後、DFサーバ17は、信頼度が基準値以上の電波発射源方位情報(すなわち、正しい電波発射源方位情報)のみを使用して航空機位置範囲を計算し、管制側の表示装置(コンソール画面)8に表示させる。
【0021】
なお、DFサーバ17は、信頼度が基準値以上の電波発射源方位情報については、電波発射源方位の誤差を推定し、誤差が小さくなるように電波発射源方位情報の補正を行うようにしてもよい。これにより、航空機方位範囲20及び航空機位置範囲21(航空機位置マーク)のコンソール表示を更に正確なものにすることが可能となる。
【0022】
ここで、電波発射源方位情報の正誤判定における信頼度の基準値は、航空機1の移動速度及び情報伝達遅延を考慮した上で、物理的に現実的な範囲内のものが抽出されるように動的に設定される。あるいは、予め想定された航空機1の移動速度及び情報伝達遅延に基づいて、固定の基準値を設定しておいても構わない。また、誤りの電波発射源方位情報の除去は、誤りであることを示すフラグの電波発射源方位情報への付加や、DFサーバ17からのデータ削除など、他の手法により実現してもよい。
【0023】
また、DFサーバ17は、表示装置(コンソール画面)8に表示させる電波発射源方位情報の単位時間当たりの測定サンプル数を、電波発射源位置サーバ6からの航空機位置情報の取得後よりも取得前の方が少なくなるようにしてもよい。一例として、最初はDF受信局16の単位時間当たりの測定サンプル数を少量にし、大まかな電波発射源方位を測定してから表示装置8に航空機位置マークを表示させる。これにより、航空機位置範囲21の表示を短時間で行える。その後、電波発射源方位情報の正誤判定を行った後に測定サンプル数を増やして処理し直すことで、航空機位置マークの表示位置の精度を向上させることができる。
【0024】
具体的には、例えば、DF受信局16につき、まずは全方位1度毎に測定するとして、180°×180°=32400点を測定して電波発射源方位情報を生成し、航空機位置範囲21を計算して表示装置8に航空機位置マークを表示させる。その後、航空路監視レーダーサイトによって航空機位置情報が生成されると、電波発射源方位情報の正誤判定を行って誤りの電波発射源方位情報を除去し、正しい電波発射源方位情報に基づいて航空機位置範囲27を計算し直して航空機位置マークの表示を更新させる。このとき、更新後の航空機位置マークの表示範囲をより狭めるべく、小さめの表示範囲(例えば、4°×4°)と情報更新の許容時間を踏まえた測定方位間隔とを乗じた測定サンプル数が、当初の測定サンプル数(本例では、32400点)より多くなるように調整する。このような処理を行うことで、速やかに航空機位置範囲21をコンソール表示できるだけでなく、ある程度の時間の経過後は、より絞り込んだ航空機位置範囲27をコンソール表示させることが可能となる。
【0025】
また、DFサーバ17は、蓄積した電波発射源方位情報に基づいて、常にマルチパスが存在するDF受信局16及び該DF受信局16に対する電波障壁の方位を特定してもよい。例えば、誤りの電波発射源方位情報について、電波発射源の方位(受信電力)や距離を相互比較し、DF受信局16の位置(事前に設定された固定値)を踏まえて物理的に非現実的な方位を特定する。そして、特定された方位について数十~数百時間のデータを比較し、高い誤り率(例えば、第1閾値以上の誤り率)が検出された場合に、該当するDF受信局16には常にマルチパスがあり、その方位に電波障壁が存在すると判定する。そして、判定結果の情報を出力(例えば、表示装置8に表示)することで、その出力を確認した者は、マルチパスが常に存在するDF受信局16及び電波障壁の方位を認識して、必要な処置(例えば、電波障壁の除去)を行うことが可能となる。
【0026】
また、DFサーバ17は、蓄積した電波発射源方位情報に基づいて、故障した受信局16の検出を行うようにしてもよい。例えば、誤りの電波発射源方位情報について、電波発射源の方位(受信電力)や距離を相互比較し、DF受信局16の位置(事前に設定された固定値)を踏まえて物理的に非現実的な方位を特定する。そして、特定された方位について数十~数百時間のデータを比較し、高い誤り率(例えば、第2閾値以上の誤り率)が検出された場合に、該当するDF受信局16が故障していると判定する。そして、判定結果の情報を出力(例えば、表示装置8に表示)することで、その出力を確認した者は、故障しているDF受信局16を認識して、必要な処置(例えば、DF受信局の交換)を行うことが可能となる。
【0027】
次に、本例の航空路交通管制システムの動作例について説明する。
まずは各DF受信局16の単位時間当たりの測定サンプル数を少量にしておき、航空機搭載のトランスポンダからの通信信号15を受信した際に、電波発射源方位情報を生成してDFサーバ17に蓄積させる。管制官1は、交話装置14でパイロットからの音声を受け取った際に、DFサーバ17に蓄積された電波発射源方位情報に基づいて表示装置8に表示された航空機位置マークを見て大まかな電波発射源を確認した上で、パイロットと意思疎通を図る。その後、DFサーバ17は、航空路監視レーダーサイトによって電波発射源位置サーバ6に蓄積されるより正確な航空機位置情報に基づいて、電波発射源方位情報の正誤判定を行う。これにより、マルチパス等による通信障害によって表示装置8に表示された誤りの航空機位置マーク(25)を取り除くことができる。その後、各DF受信局16の単位時間当たりの測定サンプル数を増やして航空機位置マークの表示範囲を絞り込むことで、航空機位置マークの表示精度を向上させる。
またDFサーバ17は、定期的に又はユーザ指示に応じて、過去の電波発射源方位情報を分析することで、マルチパスが常に存在するDF受信局16及び電波障壁の方位の特定や、故障したDF受信局16の検出を行う。
【0028】
以上のように、本例の航空路交通管制システムは、航空機1から発射された電波を受信して電波発射源の方位を測定し、測定結果の方位を示す電波発射源方位情報を生成する複数のDF受信局16と、複数のDF受信局16の各々から電波発射源方位情報を受信して記憶するDFサーバ17と、DFサーバ17に記憶された電波発射源方位情報を表示する表示装置(コンソール画面)8とを備える。DFサーバ17は、航空路監視レーダー3により検出された航空機1の位置を示す航空機位置情報を電波発射源位置サーバ6から取得し、当該航空機位置情報に基づいて電波発射源方位情報の正誤判定を行い、誤りの電波発射源方位情報を除去して表示装置8に表示させる。
【0029】
このような構成によれば、複数のDF受信局で取得した電波発射源方位情報のうち、誤りの電波発射源方位情報をより正確な航空機位置情報との比較により除去できるので、マルチパス等が存在する状況下でも適切なコンソール表示を行えるようになる。このため、電波発射源である航空機の位置をより正確に表示することが可能な航空路交通管制システムを提供することができる。
【0030】
また、本例の航空路交通管制システムでは、DFサーバ17は、表示装置8に表示させる電波発射源方位情報の単位時間当たりの測定サンプル数を、航空機位置情報の取得後よりも航空機位置情報の取得前の方が少なくなるように調整できる。このため、航空機搭載のトランスポンダが通信信号を発射した際に、速やかに(例えば、通話音声の受信とほぼ同時刻に)電波発射源方位情報を表示することが可能となる。また、位置正誤判定で誤りを含む電波発射源方位情報を除去した後は、単位時間当たりの測定サンプル数を増やせるので、より高精度の電波発射源方位情報を表示することが可能となる。
【0031】
また、本例の航空路交通管制システムでは、DFサーバ17は、蓄積した電波発射源方位情報に基づいて、マルチパスが存在する受信局及び該受信局に対する電波障壁の方位の特定や、故障した受信局の検出を行うことができる。このため、航空路交通管制システムをより安定的に稼働させることが可能となる。
【0032】
以上、本発明について一実施形態に基づいて説明したが、本発明はここに記載された無線通信システムに限定されるものではなく、他の無線通信システムに広く適用することができることは言うまでもない。
また、本発明は、例えば、上記の処理に関する技術的手順を含む方法や、上記の処理をプロセッサにより実行させるためのプログラム、そのようなプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【0033】
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。更に、本発明の範囲は、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、電波の発射源である航空機の位置を表示する電波発射源表示システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1:航空機、 2:滑走路、 3:航空機監視レーダー、 4:レーダー信号、 5:専用線、 6:電波発射源位置サーバ、 7:管制室、 8:表示装置(コンソール画面)、 9:管制官、 10:対空送受信局、 11:質問信号、 12:応答信号、 13:専用線(音声)、 14:交話装置、 15:通信信号、 16:DF受信局、 17:DFサーバ、 19:DF受信局位置、 20:航空機方位範囲、 21:航空機位置範囲、 22:電波障害、 23:マルチパス、 24:誤りの航空機方位範囲、 25:誤りの航空機位置範囲、 26:共有線、 27:航空機位置範囲
図1
図2
図3
図4