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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118915
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】カラーフィルタおよび表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20220808BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220808BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G02F1/1335 505
G09F9/30 349B
G09F9/30 349C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015743
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大久保 幸太朗
【テーマコード(参考)】
2H148
2H291
5C094
【Fターム(参考)】
2H148BD05
2H148BD11
2H148BG02
2H148BG06
2H148BH15
2H148BH28
2H291FA02X
2H291FA14X
2H291FA85Z
5C094AA08
5C094AA09
5C094AA16
5C094BA23
5C094BA43
5C094ED02
5C094ED15
(57)【要約】
【課題】液晶表示装置のバックライトに使用するLEDによる迷光に起因した混色を抑制し、表示特性を向上させるカラーフィルタを提供する。
【解決手段】ガラス基板1上に形成されブラックマトリクス3と、ブラックマトリクスを埋め込む厚さで形成され、表面が平坦な透明平坦化層11と、平面視で、透明平坦化層上のブラックマトリクスの開口部14に対応する位置に形成された着色画素4と、を備えており、隔壁13の厚さは、着色画素に対応する開口部を任意の角度から観察した時、その着色画素に隣接する着色画素を通ったバックライト10からの光が隔壁により遮断される厚さを備えていることを特徴とするカラーフィルタ2。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に用いられるカラーフィルタであって、
カラーフィルタは、
ガラス基板上に形成され、隣接する画素の境界部を遮光性材料からなる隔壁によって区画し、該隔壁によって囲まれた開口部を形成するブラックマトリクスと、
ブラックマトリクスを埋め込む厚さで形成され、表面が平坦な透明平坦化層と、
平面視で、透明平坦化層上のブラックマトリクスの開口部に対応する位置に形成された着色画素と、を備えており、
隔壁の厚さは、着色画素に対応する開口部を任意の角度から観察した時、その着色画素に隣接する着色画素を通ったバックライトからの光が隔壁により遮断される厚さを備えていることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記隔壁の厚さが、前記開口部が延在する方向の最大寸法以上であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とするマイクロLEDディスプレイ
【請求項4】
請求項1または2に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイなどの表示装置に使用されるカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロLEDディスプレイは、およそ2μm~50μmサイズのLEDチップがマトリクス状に配列したバックライトを有する表示装置であり、複数のLEDチップの各々を個別駆動することによって表示を行うため、従来の液晶表示装置と異なり、液晶を用いずに表示を行うことができる。
【0003】
マイクロLEDディスプレイは、赤色発光、緑色発光、青色発光の3種類のLEDチップを用いる方式と、青色から近紫外の波長域の光を発するLEDチップなどの単色発光LEDチップのみを用いる方式と、に大別される。マイクロLEDにおいては、個々のLEDチップが表示機能層の役割を果たす。
【0004】
単色LEDチップを用いる方式では、複数の単色LEDチップを、各々に対応するカラーフィルタや波長変換素子(量子ドット、など)を介して発光させることでカラー表示を実現している。
【0005】
マイクロLEDディスプレイにおける画像表示は、個々のLEDをそれぞれオンオフ駆動させて選択に発光させることにより、表示したい画素のみを選択的に表示するものであるが、ここでLEDを発光させた際に生じる一部の斜め出射光が、本来表示されない画素部に入射し、表示の混色や、コントラストを招くことがある。
この状況を図5で詳しく説明する。図5は、ガラス基板1上に形成されたブラックマトリクス3´とブラックマトリクス3´に区画された領域に着色画素4が形成されたカラーフィルタ2´と、駆動回路基板9上に複数のLED8´が備えられたマイクロLEDディスプレイを例示した断面説明図である。各着色画素4に対応した位置にLED8´が配置されており、カラーフィルタ2´とLED8´とは、一定の距離だけ離間した構成となっている。LEDの発光は直進性が強い為、大半の光は直進光25となり、対応するカラーフィルタに入射する。しかし、一部の光は直進性を持たない迷光26であり、これはカラーフィルタ側への入射角次第で、図に示したように隣接する着色画素を透過し、意図しない表示を引き起こしてしまう。これにより混色が発生し、表示画素の色味変化やコントラストの低下を招く。
迷光の他画素への入射は、画素サイズの微細化が進むに従い顕著化すると考えられ、表示コントラストの低下もさらに進むと考えられる。
【0006】
このような迷光による混色問題を解決する技術に関連する先行技術としては、例えば、特許文献1に、斜め混色(液晶表示装置を斜めから見た時に生じる混色)を低減することができる液晶表示装置が提案されている。
【0007】
この技術は、液晶表示パネルとバックライトを備えた液晶表示装置に関する。本文献においては、バックライト側にカラーフィルタ基板の画素に対応したRGB波長変換層を備える事で、バックライトの光を単色化している。これにより、対応する画素以外に迷光が入射しても、カラーフィルタの画素色と迷光の波長が対応せず、迷光は透過できなくなるため、斜め混色を低減することができる。
【0008】
しかしながら、この技術においてはバックライト側の基板に波長変換層を別途形成する
必要がある。波長変換層を形成するにあたって、複数の工程追加が必要となり、表示装置のリードタイムが増加し、生産コストが増加するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-078891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の事情に鑑み、本発明は、追加の構造を必要とすることなく、表示装置のバックライトに使用するLEDによる迷光に起因した混色を抑制し、表示特性を向上させるカラーフィルタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決する手段として、本発明の請求項1に記載の発明は、表示装置に用いられるカラーフィルタであって、
カラーフィルタは、
ガラス基板上に形成され、隣接する画素の境界部を遮光性材料からなる隔壁によって区画し、該隔壁によって囲まれた開口部を形成するブラックマトリクスと、
ブラックマトリクスを埋め込む厚さで形成され、表面が平坦な透明平坦化層と、
平面視で、透明平坦化層上のブラックマトリクスの開口部に対応する位置に形成された着色画素と、を備えており、
隔壁の厚さは、着色画素に対応する開口部を任意の角度から観察した時、その着色画素に隣接する着色画素を通ったバックライトからの光が隔壁により遮断される厚さを備えていることを特徴とするカラーフィルタである。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記隔壁の厚さが、前記開口部が延在する方向の最大寸法以上であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタである。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とするマイクロLEDディスプレイである。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のカラーフィルタは、ガラス基板上にある厚さ以上のブラックマトリクスが形成されており、そのブラックマトリクスを埋め込む形で、ブラックマトリクスの厚さ以上の透明平坦化層が形成されている。その透明平坦化層の上に、平面視でブラックマトリクスの開口部に対応する位置に着色画素が形成されている。この様に、従来のカラーフィルタでは、ブラックマトリクスと着色画素がガラス基板から見て同じ位置に形成されていたが、本発明のカラーフィルタにおいては、ブラックマトリクスが着色画素よりガラス基板側に形成されている。更に、ブラックマトリクスを構成する遮光材料からなる隔壁の厚さ(または高さ)が、着色画素に対応する開口部をガラス基板側の任意の角度から観察した時、その着色画素に隣接する着色画素を通ったバックライトからの光が隔壁により遮断される厚さを備えている。この様な構成であることにより、本発明のカラーフィルタはバックライトに用いるLEDによる迷光に起因した混色を抑制し、表示特性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のカラーフィルタを使用した液晶表示装置の層構成を例示する断面説明図。
図2】本発明のマイクロLED表示装置の層構成を例示する断面説明図。
図3】本発明のマイクロLED表示装置の層構成を例示する断面説明図。
図4】本発明におけるマイクロLED表示装置の層構成における着色画素4とLED8の配置関係と迷光26の関係を説明する断面説明図。
図5】従来のマイクロLED表示装置の層構成における着色画素4とLED8の配置関係と迷光26の関係を説明する断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタについて、図1を用いて説明する。
【0018】
本発明のカラーフィルタ2は、複数の領域に分割して駆動可能な、複数の白色発光ダイオードを光源とする表示装置に使用されるカラーフィルタ2である。
【0019】
表示装置30としては、主にマイクロLEDディスプレイが想定されるが、これに限定する必要は無く、例えば液晶表示装置など、表示装置における混色問題を解決可能なカラーフィルタとして位置づけられるものである。
【0020】
カラーフィルタ2は、ガラス基板1上に形成され、隣接する画素(図示を省略したが、後述する開口部14に該当する。)の境界部を遮光性材料からなる隔壁13によって区画し、その隔壁13によって囲まれた開口部14を形成するブラックマトリクス3と、ブラックマトリクス3を埋め込む厚さで形成され、表面が平坦な透明平坦化層11と、平面視で、透明平坦化層11上のブラックマトリクス3の開口部14に対応する位置に形成された着色画素4と、を備えている。更に、着色画素4の上にオーバーコート層12が形成されていても良い。
【0021】
本発明のカラーフィルタ2においては、まずガラス基板1上に、従来のカラーフィルタで使用されてきたブラックマトリクスより厚いブラックマトリクス3が形成される。そのブラックマトリクス3の厚さ以上の透明平坦化層11が形成される。従来より厚いブラックマトリクス3が形成する開口部14について、開口部14に隣接する開口部15に対応するバックライトからの迷光が、着色画素4に入射しても、前記ブラックマトリクス3が形成する隔壁13によって遮光される。そのため、開口部14を通って外部から観察されることはない。
【0022】
このことを、図4を用いて詳しく説明する。図4はガラス基板1上に形成されたブラックマトリクス3´とブラックマトリクス3´に区画された領域に着色画素4が形成されたカラーフィルタ2´と、駆動回路基板9上に複数のLED8´が備えられたマイクロLEDディスプレイを例示した断面説明図である。各着色画素4に対応した位置にLED8が配置されており、カラーフィルタ2´とLED8´とは、近接して備えられた構成となっている。本発明のカラーフィルタでは、LEDからの入射光がカラーフィルタの画素を透過するまでの距離が長くなっている。直進光25は従来通り透過するが、斜めから入射した光は、画素を透過するよりも先に隣接する遮光壁に到達し、吸収されるため、外部へ光が漏れることはない。これにより、表示の混色やコントラストの低下を抑制することができる。
【0023】
このとき、隔壁13の厚さは、着色画素4に対応する開口部14を任意の角度から観察した時、その着色画素に隣接する着色画素を通ったバックライト10からの光が隔壁13により遮断される厚さを備えている。
【0024】
隔壁13の厚さは、開口部14が延在する方向の最大寸法以上であれば良い。例えば、開口部14の平面視の形状が正方形である場合は、隔壁13の厚さを開口部14の一辺の長さ以上とすれば良い。また、長方形である場合は、長辺の長さ以上とすれば良い。
【0025】
この様な構成のカラーフィルタとすることにより、ある大きさの領域の直下に配置した複数のLEDを選択的に駆動することにより、明るい表示を行う領域ではLEDを明るくし、暗い表示の領域ではLEDを暗くする事により、コントラストの高い画像表示を可能とするローカルディミング技術を用いた液晶表示装置やミニLEDディスプレイにおいて、LEDによる迷光に起因した混色を抑制し、表示特性を向上させる事が可能となる。
【0026】
(ガラス基板)
ガラス基板1は、透明なシート状の基板であれば特に限定されない。例えば、アルカリフリーのガラス基板を好適に使用する事ができる。また、アルカリ成分を含むガラス基板であっても、表面にアルカリ成分の溶出を防止可能な層を形成したガラス基板であれば使用する事ができる。
【0027】
(ブラックマトリクス)
ブラックマトリクス3は、遮光性材料からなる隔壁13により、平面視で着色画素4に対応した位置に、隔壁13によって囲まれた開口部14を形成したものである。
【0028】
例えば、アスペクト比(画面の横縦比)が16:9、解像度が4K(3840画素×2160画素)、画面サイズが27インチの表示装置の場合、横方向のブラックマトリクスのピッチは約52μmとなる。同様に計算すると、縦方向も約52μmとなる。ブラックマトリクス3の延在する方向における線幅を10μmとすると、開口部14の開口寸法は、52μm-10μm=42μmとなる。ブラックマトリクス3の高さ(厚さ)は、例えば、開口部14の開口寸法と同等以上であることが望ましい。そのため、ブラックマトリクス3または隔壁13は、42μm以上の厚さとなる。
【0029】
この様に、線幅に対しての膜厚が大きい、高アスペクト比の形状のブラックマトリクス3は、転写法やドライエッチングを用いた方法によって形成することができる。
【0030】
転写法によるパターン形成方法は、まず、版となる基材に、深さ50μm、幅10μmの凹部を形成したものを版として使用する。この様な版は、透明な感光性樹脂を用いたフォトリソ工程により形成することが可能である。1回の処理で形成できない場合は、数回に分けて形成する事ができる。また、フォトリソ工程ではなく、機械的な加工により形成することも可能である。
【0031】
次に、形成した版を用いて、版の凹部に遮光性材料を充填する。
【0032】
次に、ガラス基板1に、上記の版の凹部に充填した遮光性材料をガラス基板1に密着させた後、ガラス基板1と版を引き剥がす事によって、凹部の中に充填されていた遮光性材料をガラス基板1に転写することができる。
【0033】
この様な転写工程を実施する際には、少なくとも版の凹部内壁面には、充填された遮光性材料が内壁面から剥離しやすくなる表面処理がなされていることが望ましい。また、ガラス基板1のブラックマトリクス3を形成する表面には、版の凹部に充填されている遮光性材料との接着性を高める層が形成されていることが望ましい。
【0034】
ドライエッチングを用いたパターン形成方法は、異方性の高いドライエッチング条件に
より高アスペクト比のパターンが形成可能である。例えば、ガラス基板1上に、まず厚さ50μmの遮光性材料層を形成する。その遮光性材料層の表面に、遮光性材料層より桁違いにドライエッチング速度が小さいエッチングマスク層を形成する。例えば、酸化珪素などの無機酸化物層やアルミニウムなどの金属層を用いることができる。次に、通常のフォトリソ工程によりエッチングマスク層をパターン化することでエッチングマスクを形成する。次に、そのエッチングマスクを用いて、遮光材料層をRIE(Reactive Ion Etching、反応性イオンエッチング)法などの異方性の高いドライエッチング技術を用いて遮光性材料層をパターン化することで、幅10μm、高さ50μmのブラックマトリクスを形成することが可能である。
【0035】
以上の様にして、ガラス基板1上に高アスペクト比のブラックマトリクス3を形成することができる。ただし、ブラックマトリクス3の形成方法は、以上で説明した方法に限定する必要は無く、ナノインプリントリソグラフィ法など、その他の手法を用いることもできる。
【0036】
(透明平坦化層)
透明平坦化層11は、透明で、ブラックマトリクス層を超える膜厚を形成可能な材料であれば特に限定する必要は無い。液状の透明樹脂を使用することも、またフィルム状またはシート状の透明樹脂を使用することもできる。
【0037】
液状の透明樹脂の種類としては、特に限定する必要は無いが、樹脂分と溶剤分を含む液状の塗布液であって、塗布後、溶剤分を揮発させることによって固体化する液体材料であれば良い。例えば、アクリル(PMMA)などの透明樹脂を溶剤に溶解または分散させた塗布液であっても良いし、ポリマーにモノマー、重合開始剤、その他の成分、を加えることによって作製した熱硬化性または紫外線硬化性樹脂の塗液などを挙げる事ができる。
【0038】
フィルム状またはシート状の透明樹脂としては、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、コポリエステル(PETG)、アクリル(PMMA)、等を挙げる事ができる。
【0039】
液状の透明樹脂の塗布方法は、特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷、カーテンコータ、ロールコータ、ダイコータなどの塗布装置を使用して塗布することができる。
フィルム状またはシート状の透明樹脂を、ブラックマトリクスを形成したガラス基板上に設置する方法は、特に限定する必要は無いが、例えば、ブラックマトリクスの厚さ以上の接着層を塗布後、その接着層を介してフィルム状またはシート状の透明樹脂を接着させることができる。例えば、接着層を紫外線硬化型の接着層としておくことにより、フィルム状またはシート状の透明樹脂を接着した後、その透明樹脂を通して紫外線照射することにより、接着層を硬化させる事ができる。
【0040】
(着色画素)
着色画素4は、複数の異なる色からなる着色画素である。通常は、例えば、着色画素4が延在する方向に、赤色着色画素に隣接して緑色着色画素が形成され、さらに隣接して青色着色画素が形成され、それが繰り返される構成となっている。
【0041】
着色画素4の材料は、所望の分光透過率特性を備えているのであれば、特に限定されない。例えば、色材として微細粒子の顔料が感光性樹脂の中に安定分散された顔料分散型感光性樹脂を挙げることができる。また非感光性の着色樹脂材料を使用することもできる。
【0042】
着色画素4の形成方法としては、特に限定する必要は無いが、顔料分散型感光性樹脂を使用したフォトリソ法を好適に使用する事ができる。フォトリソ法以外としては、印刷法
、インクジェット印刷法、転写法などを挙げることができる。
【0043】
(オーバーコート層)
オーバーコート層12は、着色画素4の上に形成する透明樹脂層であり、着色画素4の成分が液晶層6に入り込むのを防ぐ役割および表面の平坦化と着色画素4を保護する役割などを果たす。
【0044】
オーバーコート層12の材料としては、着色画素4との密着性が良好な層を形成可能であり、表面の平坦化と高い表面硬度を備えた層を形成可能な材料であれば特に限定されない。例えば、アクリルモノマを含有する紫外線硬化性透明樹脂塗液を好適に使用することができる。この様な塗液を塗布後、紫外線を照射することによって硬化させ、オーバーコート層を形成することができる。また、高い表面硬度を得るため、熱硬化成分を含有させた材料であっても良い。
【0045】
<本発明の第1実施形態>
(マイクロLEDディスプレイ)
【0046】
本発明のマイクロLEDディスプレイ40について、図2を使用して説明する。
マイクロLEDディスプレイ40は、画像をカラー化するカラーフィルタ2と、カラーフィルタ2を構成する画素に対応したマイクロLEDチップ23と、マイクロLEDチップ23を個別に駆動させる駆動回路を有した駆動回路基板22を備えており、カラーフィルタ2の画素パターン形成面と、駆動回路基板22のLEDチップ23及び駆動回路形成面は、カラーフィルタ2の画素とLEDチップ23が互いに対向するように貼り合わせられている。
【0047】
以下に詳しく説明する。
図2に本発明のマイクロLEDディスプレイ40を示す。
本発明のマイクロLEDディスプレイ40は、本発明のカラーフィルタ2と、マイクロLEDアレイ基板17を備えている。
【0048】
カラーフィルタ2は、ガラス基板1上に形成されたブラックマトリクス3と、そのブラックマトリクス3を埋め込む形で形成された透明平坦化層11が形成され、その透明平坦化層11の表面に着色画素4が形成されている。
【0049】
着色画素4は、通常、赤色着色画素と緑色着色画素と青色着色画素が隣接して配置されており、その順に繰り返し配置された構成となっている。
【0050】
着色画素4の上には、図2に示した様にオーバーコート層12が形成されていても良いが、着色画素4の成分が液晶層6に入り込むことが無い場合には、オーバーコート層12が形成されていなくても良い。
【0051】
マイクロLEDアレイ基板17は、駆動回路基板22上に実装されたマイクロLEDチップ23を備えている。マイクロLEDチップ23は、白色マイクロLEDチップ23-4となっている。白色マイクロLEDチップ23-4は、着色画素4に対応する位置に配置され、マイクロLEDディスプレイ40がカラー画像を表示可能な位置に配置されている。
【0052】
マイクロLEDアレイに用いられるマイクロLEDチップ23は、図3に示すように、赤色マイクロLEDチップ23-1と、緑色マイクロLEDチップ23-2と、青色マイクロLEDチップ23-3であってもよい。赤色マイクロLEDチップ23-1に対応す
る着色画素4を赤色に、緑色マイクロLEDチップ23-2に対応する着色画素4を緑色に、そして、青色マイクロLEDチップ23-3に対応する着色画素4を青色にすることによってカラー画像を表示可能となっている。
【0053】
図2および図3に示したように、駆動回路基板22上に実装されたマイクロLEDチップ23の周囲には、バンク21が形成されている。バンク21は、図2における白色マイクロLEDチップ23-4や、図3におけるマイクロLEDチップ23から発せられた光を効率的に、マイクロLEDディスプレイ40、50を観察する観察者側に出射させる反射鏡の役割を果たすような形態を備えている。バンク21の内部には透明樹脂からなる平坦化樹脂24が充填され、且つカラーフィルタ2側の表面は平坦となっており、バンク21のカラーフィルタ2側の表面と、白色マイクロLEDチップ23-4やマイクロLEDチップ23のカラーフィルタ2側の表面と、は面一になっている。その表面に透明導電膜19が形成されている。白色マイクロLEDチップ23-4やマイクロLEDチップ23は、駆動回路基板22側の電極(図示省略)と透明導電膜19によって駆動回路と接続され、駆動可能となっている。
【0054】
駆動回路基板22は、分割駆動が可能な駆動回路であり、ある大きさの領域の直下に配置したマイクロLEDを選択的に駆動することが可能であり、明るい表示を行う領域ではマイクロLEDを明るくし、暗い表示の領域ではマイクロLEDを暗くするローカルディミング技術により、コントラストの高い画像表示を可能とするものである。
【0055】
<本発明の第2実施形態>
(液晶表示装置)
次に、本発明の液晶表示装置30について、図1を用いて説明する。
液晶表示装置30は、画像をカラー化するカラーフィルタ2と、液晶パネル20の画素毎に光の透過率を制御する光学素子として機能する液晶層6と、画素毎に液晶層6に印加する電圧を制御する駆動回路基板7と、を備えており、カラーフィルタ2と液晶層6が接するカラーフィルタ2の表面および駆動回路基板7と液晶層6が接する駆動回路基板7の表面に、液晶層6を配向させる配向膜5が、それぞれ形成されている。
【0056】
以下に、詳しく説明する。
本発明の液晶表示装置30は、本発明のカラーフィルタ2を使用した液晶パネル20と、分割駆動可能なバックライト10を備えている。
【0057】
液晶パネル20は、本発明のカラーフィルタ2と、液晶層6と、駆動回路基板7をこの順に備えている。
【0058】
カラーフィルタ2は、ガラス基板1上に形成されたブラックマトリクス3と、そのブラックマトリクス3を埋め込む形で形成された透明平坦化層11が形成され、その透明平坦化層11の表面に着色画素4が形成されている。
【0059】
着色画素4は、通常、赤色着色画素と緑色着色画素と青色着色画素が隣接して配置されており、その順に繰り返し配置された構成となっている。
【0060】
着色画素4の上には、図1に示した様にオーバーコート層12が形成されていても良いが、着色画素4の成分が液晶層6に入り込むことが無い場合には、オーバーコート層12が形成されていなくても良い。
【0061】
カラーフィルタ2の着色画素4側の表面と、駆動回路基板7の駆動回路が形成されている側の表面には、配向膜5が形成されている。
【0062】
更に、駆動回路基板7の液晶パネル20とは反対側には、分割駆動可能なバックライト10が配置されている場合を示した(図1参照)が、分割駆動ができない従来のバックライトを使用することも可能である。
【0063】
分割駆動可能なバックライト10は、駆動回路基板9と、駆動回路基板9に実装された複数のLED8を備えている。
【0064】
この分割駆動可能なバックライト10により、ある大きさの領域の直下に配置したLEDを選択的に駆動することが可能になり、明るい表示を行う領域ではLEDを明るくし、暗い表示の領域ではLEDを暗くするローカルディミング技術により、コントラストの高い画像表示を可能とする、所謂ミニLEDディスプレイとすることができる。
【0065】
(配向膜)
配向膜5は、従来の液晶パネルに使用されている配向膜を好適に使用する事ができる。例えば、ポリイミド樹脂膜を好適に使用する事ができる。ポリイミド樹脂膜を形成した後、ラビング処理を行うことにより、液晶の配向を可能とする配向膜を得ることができる。また、ポリイミド膜中に感光性分を含有させておき、光の照射により液晶の配向を可能とする光配向膜としても良い。
【0066】
(液晶層)
液晶層6は、従来の液晶パネルに使用されている液晶を好適に使用する事ができる。
【0067】
(駆動回路基板)
駆動回路基板7は、液晶パネル20を駆動する駆動回路基板である。通常は、薄膜トランジスタアレイが形成された基板の周縁部にシフトレジスタやその他の制御用回路電子部品が実装されている。
【0068】
駆動回路基板9は、分割駆動が可能なバックライト10を構成する部材であり、LED8と共にバックライト10を構成している。駆動回路基板9によって、バックライト10を複数の領域(ブロック)に分割し、領域ごとに輝度を制御することを可能にする。
【0069】
(白色LED)
LED8は、白色光を発光するLED素子である。白色光を発光するLED素子であれば特に限定する必要は無い。例えば、青黄色系擬似白色発光ダイオードを挙げることができる。黄色に蛍光する蛍光体と青色発光ダイオードとを組み合わせることによって、視覚上、大変明るい白色発光ダイオードが入手可能となっている。
【符号の説明】
【0070】
1・・・ガラス基板
2、2´・・・カラーフィルタ
3、3´・・・ブラックマトリクス
4・・・着色画素
5・・・配向膜
6・・・液晶層
7・・・駆動回路基板
8、8´・・・LED
9・・・駆動回路基板
10・・・バックライト
11・・・平坦化層
12・・・オーバーコート層
13・・・隔壁
14・・・開口部
15・・・(開口部14に隣接する)開口部
17、17-1・・・マイクロLEDアレイ基板
18・・・透明樹脂層
19・・・透明導電膜
20・・・表示パネル
21・・・バンク
22・・・駆動回路基板
23・・・マイクロLEDチップ
23-1・・・赤色マイクロLEDチップ
23-2・・・緑色マイクロLEDチップ
23-3・・・青色マイクロLEDチップ
23-4・・・白色マイクロLEDチップ
24・・・平坦化樹脂
25・・・直進光
26・・・迷光
30・・・液晶表示装置
40、50・・・マイクロLEDディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5