(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118917
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/12 20060101AFI20220808BHJP
C08L 33/08 20060101ALI20220808BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20220808BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
C08L23/12
C08L33/08
C08K7/14
C08L23/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015746
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 翼
(72)【発明者】
【氏名】岩田 利生
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB121
4J002BB211
4J002BG042
4J002DL006
4J002FA046
4J002FB092
4J002FD016
4J002GA00
4J002GG01
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
【解決手段】ポリプロピレン(A)30~70質量部と、α,β-不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量が2~30モル%であるエチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体の不飽和シラン変性体であり、不飽和シラン含有率が0.01~8質量%である、シラン変性共重合体(C)1~5質量部と、ガラス繊維(D)30~70質量部とを含む樹脂組成物。
【効果】本発明の樹脂組成物は、従来の繊維強化樹脂より高い耐衝撃性を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン(A)30~70質量部と、
α,β-不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量が2~30モル%であるエチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体の不飽和シラン変性体であり、不飽和シラン含有率が0.01~8質量%である、シラン変性共重合体(C)1~5質量部と、
ガラス繊維(D)30~70質量部と
を含む樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリプロピレン(A)が、不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)1~20質量%を含む、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記シラン変性共重合体(C)が、エチレン-アクリル酸メチル共重合体の不飽和シラン変性体である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
ガラス長繊維ペレットである、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリプロピレン(A)と、前記シラン変性共重合体(C)とを含む樹脂組成物の溶融体を、ガラス長繊維に含浸させてなる、請求項4に記載の樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン、シラン変性共重合体およびガラス繊維を含む樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂に各種強化繊維を分散させた繊維強化樹脂は、強度や剛性、耐衝撃性、耐熱性が高く、様々な用途に用いられている。例えば、特許文献1には、ポリプロピレンと、ポリアミドまたはポリフェニレンスルフィドと、アミノシラン処理したガラス繊維とを特定の比率で組み合わせて含む繊維強化樹脂組成物が、高い熱変形温度を示すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
繊維強化樹脂は、耐衝撃性に優れるが、用途によっては、さらなる高い耐衝撃性が求められる場合がある。
本発明の課題は、従来の繊維強化樹脂より高い耐衝撃性を有する繊維強化樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決すべく検討した結果、以下に記載の樹脂組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の[1]~[5]に関する。
[1] ポリプロピレン(A)30~70質量部と、
α,β-不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量が2~30モル%であるエチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体の不飽和シラン変性体であり、不飽和シラン含有率が0.01~8質量%である、シラン変性共重合体(C)1~5質量部と、
ガラス繊維(D)30~70質量部と
を含む樹脂組成物。
[2] 前記ポリプロピレン(A)が、不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)1~20質量%を含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記シラン変性共重合体(C)が、エチレン-アクリル酸メチル共重合体の不飽和シラン変性体である、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4] ガラス長繊維ペレットである、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 前記ポリプロピレン(A)と、前記シラン変性共重合体(C)とを含む樹脂組成物の溶融体を、ガラス長繊維に含浸させてなる、[4]に記載の樹脂組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の樹脂組成物は、従来の繊維強化樹脂より高い耐衝撃性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物(以下「組成物(I)」ともいう)は、ポリプロピレン(A)とシラン変性共重合体(C)とガラス繊維(D)とを含む。
【0008】
<ポリプロピレン(A)>
ポリプロピレン(A)としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンとその他のα-オレフィンとの共重合体等を挙げることができ、プロピレン単独重合体が特に好ましい。前記α-オレフィンとしては、プロピレン以外の炭素数2~10のα-オレフィン、より好ましくは炭素数2~8のα-オレフィンが挙げられる。具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等が挙げられる。α-オレフィンは1種または2種以上用いることができる。ポリプロピレン(A)のプロピレン由来の構成単位の含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
【0009】
ポリプロピレン(A)の示差走査熱量計(昇温速度:10℃/min)により測定される融点は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下である。
【0010】
ポリプロピレン(A)のメルトフローレート(MFR;JIS K7210準拠、230℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.01g/10min以上、より好ましくは0.1g/10min以上、さらに好ましくは1g/10min以上、さらに好ましくは10g/10min以上であり、より好ましくは300g/10min以下、さらに好ましくは250g/10min以下である。
【0011】
ポリプロピレン(A)は1種または2種以上用いることができる。すなわち、ポリプロピレン(A)は、前記プロピレン樹脂を1種用いてもよく、上記プロピレン樹脂の2種以上の混合物であってもよい。
【0012】
ポリプロピレン(A)は、ポリプロピレンを不飽和カルボン酸で変性してなる不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)を含んでもよい。不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)は、相溶化剤として作用し、樹脂組成物の耐熱変形性および耐引張クリープ性を向上させる機能を有する。ポリプロピレン(A)が不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)を含む場合、ポリプロピレン(A)に占める不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)の割合は、好ましくは1~20質量%、より好ましくは1~15質量%、さらに好ましくは1~10質量%である。
【0013】
不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)における不飽和カルボン酸によるグラフト量は、好ましくは1~5質量%であり、より好ましくは1~3質量%である。
不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)の極限粘度[η]は、好ましくは0.1~1.0dl/gであり、より好ましくは0.2~0.7dl/gである。
【0014】
不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)は、例えば、ポリプロピレン(B1)を、不飽和カルボン酸およびその誘導体から選ばれる1種以上の成分(B2)で変性して得られる。
【0015】
ポリプロピレン(B1)としては、例えば、<ポリプロピレン(A)>の項目に記載したポリプロピレンを用いることができる。ポリプロピレン(B1)としては、1種のポリプロピレン(B1)を用いてもよいし、2種以上のポリプロピレン(B1)を用いてもよい。
【0016】
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、テトラヒドロフタル酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸が挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、不飽和カルボン酸の、酸無水物、酸ハライド、エステル、アミド、イミド、金属塩が挙げられ、具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、塩化マレニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウムが挙げられる。これらの中でも、不飽和ジカルボン酸およびその誘導体が好ましく、不飽和ジカルボン酸およびその無水物がより好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸がさらに好ましい。成分(B2)としては、1種の成分(B2)を用いてもよいし、2種以上の成分(B2)を用いてもよい。
【0017】
上記変性の方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、ポリプロピレン(B1)に成分(B2)をグラフトさせる方法が挙げられる。具体的には、グラフト主鎖となるポリプロピレン(B1)に、ラジカル重合開始剤の存在下、成分(B2)をグラフトさせる。
【0018】
グラフト方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、溶液法、溶融混練法が挙げられる。例えば、ポリプロピレン(B1)を溶媒に懸濁させ、あるいは溶解させて、通常、80~200℃の温度で、成分(B2)およびラジカル重合開始剤を添加混合してグラフト重合させる方法;ポリプロピレン(B1)の融点以上、例えば、180~300℃の温度で溶融混練下に成分(B2)およびラジカル重合開始剤を接触させる方法が挙げられる。
【0019】
溶液法で用いられる上記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶媒;トリクロロエチレン、パークロロエチレン、ジクロロエチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素系溶媒;エタノール、イソプロパノール等の脂肪族アルコール系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒が挙げられる。溶媒は1種または2種以上用いることができる。
【0020】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m-トリオイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、(2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシフェニルアセテート、t-ブチルパーオキシ-s-オクテート、t-ブチルパーオキシピバレート、クミルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシエチルアセテートが挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、アゾイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートが挙げられる。ラジカル重合開始剤は1種または2種以上用いることができる。
【0021】
不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)は、例えば、オレフィンと成分(D2)とを共重合することによっても得ることができる。前記オレフィンとしては、上述のポリプロピレン(A)を形成する場合のプロピレンおよびプロピレン以外の炭素数2~10のα-オレフィンを用いることができる。前記共重合の方法としては、例えば、従来公知のラジカル共重合法を用いることができる。
【0022】
不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)中の成分(B2)由来の構造の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。上記含有量は、例えばマレイン酸変性ポリオレフィン樹脂である場合は、当該樹脂の赤外吸収スペクトルを測定し、1670~1810cm-1のピーク面積に基づき別途作成した検量線から決定することができる。マレイン酸以外の成分(B2)を用いる場合も、上記含有量は赤外吸収分光法等により決定することができ
る。
【0023】
不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)としては、マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンから選ばれる1種以上がより好ましい。不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)としては、1種の不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)を用いてもよいし、2種以上の不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)を用いてもよい。
【0024】
<シラン変性共重合体(C)>
シラン変性共重合体(C)は、α,β-不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量が2~30モル%であるエチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体の不飽和シラン変性体である。つまり、シラン変性共重合体(C)は、α,β-不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量が2~30モル%、好ましくは2~20モル%、さらに好ましくは3~10モル%、とりわけ好ましくは3~8モル%であるエチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体を不飽和シランで変性して得られる共重合体である。
【0025】
前記α,β-不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量は、好ましくは4~20モル%である。α,β-不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量が前記範囲であると、樹脂組成物の耐衝撃性が向上する。より詳しくは、α,β-不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量が上記下限値以上であると、樹脂と繊維の界面強度の向上に寄与し、樹脂組成物の衝撃強度が向上し、α,β-不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有量が上記上限値以下であると、組成物中の各成分の分散に優れ、樹脂と繊維の界面強度が十分となり、樹脂組成物の耐衝撃強度が向上する。シラン変性共重合体(C)は、不飽和シランの含有率が0.01~8質量%であり、好ましくは0.1~4質量%である。不飽和シランの含有率が前記範囲であると、樹脂組成物の耐衝撃性が向上する。とくに、不飽和シランの含有率がより高いほうが、樹脂組成物の耐衝撃性が優れるとともに弾性率がさらに高くなり好ましい。その点から、不飽和シランの含有率が0.2~4質量%であることが特に好ましい。
【0026】
シラン変性共重合体(C)を構成するα,β-不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルが好適であり、具体的にはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル等を代表例としてあげることができる。これらの中で、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルが特に好ましい。つまり、シラン変性共重合体(C)は、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸ブチル共重合体の不飽和シラン変性体であることが好ましい。シラン変性共重合体(C)がエチレン-アクリル酸メチル共重合体、アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸ブチル共重合体の不飽和シラン変性体であると、組成物(I)は特に耐衝撃性に優れる。これらエステルは、シラン変性共重合体(C)中に2種以上用いられてもよく、あるいは少量であれば他の単量体が共重合されていてもよい。
【0027】
シラン変性共重合体の製造原料となる前記エチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体は、メルトフローレート(JIS-K-6760、190℃、2.16kg)が通常0.3~30g/10分であり、好ましくは0.4~25g/10分であり、より好ましくは0.5~20g/10分である。
【0028】
前記共重合体にグラフトされる不飽和シラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、等のビニルシラン類、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等の(メタ)アクリル系シラン類等が挙げられる。特に(メタ)アクリル系シラン類を用いたシラン変性共重合体は保存安定性に優れる。
【0029】
エチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体への不飽和シラン化合物のグラフト方法はすでに知られているように、代表的には過酸化物のようなラジカル開始剤を用い適当な溶媒中であるいは押出機等を用いる溶融法で行うことができる。グラフト反応における不飽和シラン化合物の添加量は、エチレン-α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体に対して質量基準で通常100~80000ppmであり、好ましくは1000~40000ppmである。
【0030】
このような方法で得られるシラン変性共重合体(C)は、メルトフローレートが好ましくは0.01~20g/分、より好ましくは0.1~5g/分である。このようなメルトフローレートを有する共重合体を得るには、グラフト重合における反応条件、例えばラジカル開始剤の種類、量、反応温度、圧力、時間等を適宜選択すればよい。
【0031】
<ガラス繊維(D)>
組成物(I)は、強化繊維であるガラス繊維(D)を含有する。
ガラス繊維(D)は、短繊維であってもよく、長繊維であってもよい。ガラス繊維(D)の平均繊維長は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは1mm以上であり、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは30mm以下である。このような態様であると、ガラス繊維による機械的物性の補強効果が充分発現される傾向にあり、また、組成物中のガラス繊維の分散性、よって外観が良好となる傾向にある。ガラス繊維の繊維数全体に対して、繊維長が0.1mm未満である繊維数の割合は、好ましくは18%以下である。
【0032】
ガラス繊維(D)の平均繊維径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。このような態様であると、成形時にガラス繊維が破損し難くなり、また、得られる成形体の衝撃強度が高くなる傾向にあり、また、成形体の外観が良好となり、成形体の剛性、耐熱性などの機械的物性に充分な補強効果が得られる傾向にある。
【0033】
平均繊維長および平均繊維径は、例えば、光学顕微鏡によりガラス繊維の写真撮影を行い、得られた写真において無作為に選んだ100個のガラス繊維の長さまたは径を測定し、それぞれを算術平均することにより求めることができる。
【0034】
ガラス繊維(D)としては、例えば、Aガラス、Cガラス、Dガラス、Eガラス、Sガラスなどのガラス組成からなる繊維が挙げられ、特に、Eガラス(無アルカリガラス)のガラス組成からなる繊維が好ましい。
【0035】
ガラス繊維(D)は、単繊維であってもよく、単繊維を複数本撚り合わせたものであってもよい。ガラス繊維の形態は、例えば、単繊維や複数本撚り合わせたものを連続的に巻き取った「ガラスロービング」、長さ1~10mmに切りそろえた「チョップドストランド」、長さ10~500μm程度に粉砕した「ミルドファイバー」などのいずれであってもよい。
【0036】
ガラス繊維(D)は、各種集束剤を用いて表面処理された繊維であってもよく、前記集束剤としては、例えばアクリル系集束剤、ウレタン系集束剤を用いることができる。なかでもウレタン系集束剤が好ましい。
【0037】
また必要に応じて、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、ボラン系カップリング剤、硬化触媒、潤滑剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、pH調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、分散安定剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、耐熱性付与剤、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、補強剤、抗菌剤、防カビ剤、防錆剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、顔料、染料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤などから選ばれる1種以上の成分を含んでいてもよい。
【0038】
集束剤を用いたガラス繊維の表面処理方法としては、例えば、集束剤をアプリケーター等でガラス繊維の表面に塗布する方法、集束剤にガラス繊維を浸漬する方法、集束剤を霧状にしてガラス繊維に吹き付ける方法、集束剤の付着したローラにガラス繊維を接する方法が挙げられる。また、上記表面処理方法は、バッチ式および連続式のいずれでもよい。
【0039】
集束剤を用いて表面処理されたガラス繊維(D)の場合、ガラス繊維(D)における集束剤の質量割合、すなわち強熱減量は、0.1~1.5質量%であることが好ましい。集束剤の質量割合(強熱減量)は、例えば、アプリケーターなどによって集束剤をガラス繊維に塗布し、乾燥させることにより完全に揮発性物質を揮発させて得られた繊維について測定される。ガラス繊維表面に塗布された集束剤の強熱減量が0.1質量%以上である場合には、耐熱性を発現できるため好ましい。一方、ガラス繊維表面に塗布された集束剤の強熱減量が1.5質量%以下である場合には、耐熱性などの物性向上が認められるため好ましい。
【0040】
ガラス繊維(D)における集束剤の強熱減量は、JIS R 3420(2006)7.3.2に従い測定した値である。
表面処理後のガラス繊維は所定本数に集束され、巻き取った後、必要に応じて切断および/または粉砕し、チョップドストランド、ミルドファイバー、ヤーン、ロービング等に加工してもよい。
ガラス繊維(D)としては、1種のガラス繊維(D)を用いても、2種以上のガラス繊維(D)を用いてもよい。
【0041】
<他の成分>
組成物(I)は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、ポリプロピレン(A)およびシラン変性共重合体(C)以外の他の熱可塑性樹脂、難燃剤、難燃助剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、帯電防止剤が挙げられる。これらは1種または2種以上用いることができる。
【0042】
前記他の熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)等のスチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0043】
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤(例:ハロゲン化芳香族化合物)、リン系難燃剤(例:窒素含有リン酸塩化合物、リン酸エステル)、窒素系難燃剤(例:グアニジン、トリアジン、メラミンおよびこれらの誘導体)、無機系難燃剤(例:金属水酸化物)、ホウ素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、硫黄系難燃剤、赤リン系難燃剤が挙げられる。
難燃助剤としては、例えば、各種アンチモン化合物、亜鉛を含む金属化合物、ビスマスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム、粘土質珪酸塩が挙げられる。
【0044】
充填剤としては、例えば、ガラス成分(例:ガラスビーズ、ガラスフレーク)、シリカ、黒鉛、珪酸化合物(例:珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー)、金属酸化物(例:酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ)、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の金属の炭酸塩および硫酸塩が挙げられる。
着色剤としては、例えば、顔料、染料が挙げられる。
【0045】
<各成分の含有量>
組成物(I)中の各成分の含有量は、以下のとおりである。
ポリプロピレン(A)の含有量は30~70質量部であり、好ましくは30~65質量部、より好ましくは30~60質量部、さらに好ましくは30~50質量部である。樹脂(A)の含有量が30~70質量部であると、コスト、比重に優れる組成物が得られる。
【0046】
シラン変性共重合体(C)の含有量は1~5質量部であり、好ましくは1~4質量部、より好ましくは2~4質量部、さらに好ましくは2~3質量部である。シラン変性共重合体(C)の含有量が1~5質量部であると、得られる耐衝撃性の高い組成物が得られる。
【0047】
ガラス繊維(D)の含有量は30~70質量部であり、好ましくは30~65質量部、より好ましくは30~60質量部、さらに好ましくは30~50質量部である。ガラス繊維(D)の含有量が30~70質量部であると、曲げ弾性率、曲げ強度に優れる組成物が得られる。
【0048】
<樹脂組成物>
組成物(I)は、従来の繊維強化樹脂より高い耐衝撃性を有する。
組成物(I)は、ペレットとすることができ、ガラス繊維(D)として短繊維を含有するガラス短繊維ペレットでもよく、ガラス繊維(D)として長繊維を含有するガラス長繊維ペレットでもよい。
【0049】
組成物(I)は、上述した各成分を溶融混練して製造することができる。溶融混練温度は、含有成分の重合体が溶融する温度より例えば5~100℃高い温度であり、好ましくは含有成分の重合体のうち最も高い融点を有する重合体の融点より10~60℃高い温度である。また、溶融混練処理時間は、例えば30秒以上15分以下、好ましくは1~10分である。
【0050】
組成物(I)がガラス短繊維ペレットである場合は、押出機等に上記した各成分をロールミル、バンバリーミキサー、ニーダー等でよく溶融混練分散して製造できる。タンブラー式ブレンダー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー等でドライブレンドし、一軸押出機、二軸押出機等で溶融混練してペレット状の成形材料としてもよい。この方法では、ガラス繊維(D)は、押出機のトップ又はサイドの何れから投入してもよい。また、この方法では、ガラス繊維(D)以外の各成分の全部又は一部を別途溶融混練した後、ガラス繊維(D)と溶融混練してもよい。
【0051】
組成物(I)がガラス長繊維ペレットである場合は、引き抜き法等の公知の方法で製造することができる。上記した各成分の一部を別途溶融混練した後、残りの成分を加えて溶融混練してもよい。例えば、ガラス繊維ロービングを含浸ダイスに導き、フィラメント間に溶融樹脂を均一に含浸させた後、必要長さに切断することによってペレタイズすることが可能である。
【0052】
[成形体]
組成物(I)は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、成形体に加工することが可能である。射出成形の場合、例えば、上述のガラス短繊維ペレットまたはガラス長繊維ペレットを用いて射出成形を行うことができる。その場合、ガラス短繊維ペレットまたはガラス長繊維ペレットを射出成形機のホッパーからフィードする際に、その他の樹脂をさらに加えることもできる。また、ガラス短繊維ペレットまたはガラス長繊維ペレットを射出成形機のベンド口等からサイドフィードし、ホッパーからはその他の樹脂をフィードして射出成形機内で混合し、成形することもできる。
【0053】
また、ガラス短繊維ペレットまたはガラス長繊維ペレットを経ることなく、ポリプロピレン(A)およびシラン変性共重合体(C)を射出成形機内にて溶融混練して成形を行うこともできる。その場合、ガラス繊維(D)は射出成形機のホッパーからフィードしてもよく、ベント口等からサイドフィードしてもよい。
【0054】
前記成形体は、その全体が組成物(I)から形成されていてもよく、組成物(I)から形成された部分を一部に含んでいてもよい。
上記成形体は、日用品およびレクリエーション用途などの家庭用品から一般産業用途、工業用品に至る、広い用途で用いられる。例えば、家電材料部品、通信機器部品、電気部品、電子部品、自動車部品、自動車以外の車両の部品、船舶、航空機材料、機械機構部品、建材関連部材、土木部材、農業資材、電動工具部品、食品容器、フィルム、シート、繊維が挙げられる。
【0055】
自動車部品としては、耐熱性の向上が見られるためパワートレイン部品、耐引張クリープ性が向上するため機構部品、曲げ特性の改良が見られるため外板部品など種々の部位に展開できるが、その他の部位にも適用可能である。具体的に部品名を挙げると、インテークマニホールド、オイルパン、シリンダーヘッド、シリンダーヘッドカバー、エンジンカバー、シュラウド、ミラーブラケット、内装コンソール、サンルーフ、サンルーフフレーム、フロントドア、バックドア、スライドドア、フロントエンドモジュール、ドアモジュール、フェンダー、ホイルキャップ、ガソリンタンク、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、電線被服材、電気絶縁材、上張り材、床材、隅壁、デッキパネル、カバー類、合板、天井板、仕切り板、側壁、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、防音板、断熱板が挙げられる。
【0056】
家電材料部品、通信機器部品、電気部品、電子部品としては、例えば、バッテリーパック部品(カバー、トレー、モジュールケース)、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、小型情報端末機(PDA)、ヘッドホンステレオ、携帯電話、電話機、ファクシミリ、複写機、電子式金銭登録機(ECR)、電卓、電子手帳、電子辞書、カード、ホルダー、文具等の事務・OA機器;洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、炬燵などの家電機器;TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレイヤー、スピーカー、液晶ディスプレイなどのAV機器;コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計が挙げられる。
日用品としては、例えば、合板、合繊板、バケツ、容器、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、自転車、楽器などの生活・スポーツ用品が挙げられる。
【実施例0057】
本実施例等においては、以下の方法に従って測定を実施した。
【0058】
[無水マレイン酸のグラフト量]
無水マレイン酸のグラフト量は、FT-IRを用いて次の方法にて測定した。試料を250℃で、3分間熱プレスしてシートを作製した後に、赤外分光光度計(日本分光(株)社製、FT-IR410型)を用いて透過法で1790cm-1付近の赤外吸収スペクトルを測定した。測定条件は、分解能を2cm-1、積算回数を32回とした。
【0059】
[極限粘度[η]]
樹脂などの試料をデカリンに溶かし希薄溶液を作った。この希薄溶液に対し、自動粘度測定装置でウベローデ改良型粘度計を用いて、135℃の比粘度を測定し、極限粘度を算出した。
【0060】
[メルトフローレート(MFR)]
JIS K7210準拠、230℃、2.16kg荷重下で測定した。
実施例において使用したシラン変性共重合体(C-1)~(C-6)を表1に示す。シラン変性共重合体(C-1)~(C-6)は、表1に示すアクリル酸メチルに由来する構成単位の含有量を有する、エチレン-アクリル酸メチル共重合体またはエチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸ブチル共重合体を3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランで変性して得られた不飽和シラン変性体であり、表1に示す3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン含有率(不飽和シラン含有率)を有する。
【0061】
【0062】
[実施例1]
ポリプロピレン樹脂(A)としてプロピレン単独重合体(プライムポリマー社製「J137G」、メルトフローレート(MFR;JIS K7210準拠、230℃、2.16kg荷重)30g/10min)および不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン(B)であるマレイン酸変性ポリプロピレン(極限粘度[η]:0.40dl/g、マレイン酸によるグラフト量:3質量%)と、シラン変性共重合体(C)として表1に示すシラン変性共重合体(C-1)と、ガラス繊維(D)としてガラス繊維の連続繊維(2400tex、平均繊維径:17μm)を平均繊維長10mmに切断して得られた繊維とを、表1に示す割合で混合し、下記の[繊維複合材組成物の作製方法]に記載の方法で、引張試験用試験片およびシャルピー衝撃試験用試験片となる樹脂組成物を作製した。これらの試験片を用いて引張試験およびシャルピー衝撃試験を下記の方法で実施した。結果を表2に示す。
【0063】
[実施例2~6]
シラン変性共重合体(C)として表1に示すシラン変性共重合体(C-2)~(C-6)を用い、配合成分および含有割合を表2のようにしたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製した。これらの試験片を用いて引張試験およびシャルピー衝撃試験を下記の方法で実施した。結果を表2に示す。
【0064】
[比較例1]
シラン変性共重合体(C)を用いず、配合成分および含有割合を表2のようにしたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製した。これらの試験片を用いて引張試験およびシャルピー衝撃試験を下記の方法で実施した。結果を表2に示す。
【0065】
[繊維複合材組成物の作製方法]
Xplore Instruments社製小型混練機DSM Xplore MC15Mのホッパー部に実施例または比較例に記載の、樹脂および繊維の混合物を投入し、200℃で3分間混練した。得られた混練物を、その後直ちに、試験片作製用射出成型機DSM Xplore IM12Mの200℃のポット部に投入し、40℃の金型に一次圧9MPa、二次圧12MPaで射出成形し、35秒間保持して、JIS K7162 1994に準拠したダンベル型試験片(引張試験用試験片)、およびJIS K7111に準拠したノッチ付き多目的試験片(シャルピー衝撃試験用試験片)を作製した。
【0066】
[引張破断強度、引張弾性率]
樹脂組成物の引張強度および引張弾性率は、前記ダンベル型試験片を用いて、引張試験により測定した。インテスコ社製引張試験機2005-5を用い、JIS K7162 1994に準拠して23℃、試験速度50mm/分で行った。
【0067】
[シャルピー衝撃強度]
樹脂組成物のシャルピー衝撃強度は、JIS K7111に準拠して、ノッチ付き多目的試験片を用いて測定した。
【0068】