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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118931
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】カバー装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/06 20060101AFI20220808BHJP
   E05B 83/38 20140101ALI20220808BHJP
   E05B 83/40 20140101ALI20220808BHJP
【FI】
B60J5/06 Z
E05B83/38
E05B83/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015782
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】糸長 尚司
(72)【発明者】
【氏名】桐生 知仁
(72)【発明者】
【氏名】森岡 俊光
(72)【発明者】
【氏名】森田 康一
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250LL01
2E250MM01
(57)【要約】
【課題】ユーザの車両に対する乗降がドアロック部品に影響を与えることを抑制できるカバー装置を提供する。
【解決手段】カバー装置40は、ストライカ27Fを上方から覆う被覆位置及びストライカ27Fを上方に露出させる露出位置の間を変位するカバー42と、スライドドアが開作動するときにカバー42を被覆位置に変位させ、スライドドアが閉作動するときにカバー42を露出位置に変位させる開閉機構50と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア開口部を有する車体と、前記ドア開口部を開閉する車両ドアと、を備える車両に適用されるカバー装置であって、
前記車体は、前記ドア開口部の底部に設置され、前記車両ドアと連結されることにより前記車両ドアを全閉位置に拘束するドアロック部品を有するものであり、
前記ドアロック部品を上方から覆う被覆位置及び前記ドアロック部品を上方に露出させる露出位置の間を変位するカバーと、
前記車両ドアが開作動するときに前記カバーを前記被覆位置に変位させ、前記車両ドアが閉作動するときに前記カバーを前記露出位置に変位させる開閉機構と、を備える
カバー装置。
【請求項2】
前記車両ドアは、前記車両ドアの移動方向を規定するロアレールを備えるとともに、前記車体の側部に開口する前記ドア開口部を開閉するスライドドアであって、
前記車体は、前記ロアレールを介して、前記車両ドアを支持するロアヒンジユニットを備え、
前記ロアレールは、前記車両ドアの開方向に向かって延びる第1ロアレールと、前記第1ロアレールの前記開方向における先端から前記開方向に進むにつれて車両幅方向における外方に向かって湾曲して延びる第2ロアレールと、を有し、
前記ロアヒンジユニットは、前記車体に固定される固定ヒンジと、前記固定ヒンジに対して回動可能に支持される可動ヒンジと、前記可動ヒンジに回動可能に支持されるとともに前記ロアレールに沿って相対的に移動する2つのガイドローラと、を有し、
前記開閉機構は、2つの前記ガイドローラが前記第2ロアレールに沿って移動するときの前記可動ヒンジの回動に伴い、前記カバーを変位させる
請求項1に記載のカバー装置。
【請求項3】
前記開閉機構は、
前記可動ヒンジと前記カバーとの間の動力伝達経路の一部を構成し、前記車両ドアが開作動又は閉作動するときに前記可動ヒンジの回動に伴って牽引されるワイヤと、
前記可動ヒンジの回動に伴う前記ワイヤの牽引方向とは逆方向に前記ワイヤを付勢する付勢部材と、を有する
請求項2に記載のカバー装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記車両幅方向と交差する方向に変位することで、前記被覆位置及び前記露出位置の間を変位する
請求項2又は請求項3に記載のカバー装置。
【請求項5】
前記開閉機構は、前記可動ヒンジの回動に伴い揺動する駆動リンクと、前記駆動リンクとともに揺動する従動リンクと、前記駆動リンク及び前記従動リンクに連結される中間リンクと、含んで構成される4リンク機構を有し、
前記中間リンクは、前記カバーを支持する
請求項4に記載のカバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、側部にドア開口部が形成される車体と、ドア開口部を開閉するフロントスライドドア及びリアスライドドアと、を備える車両が記載されている。フロントスライドドアは、前方にスライドすることによりドア開口部の前半分を開放し、リアスライドドアは、後方にスライドすることによりドア開口部の後半分を開放する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-88812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような両開き式のスライドドアを備える車両は、センターピラーを備えないためストライカなどのスライドドアを全閉位置に拘束するための部品(以下、「ドアロック部品」ともいう。)をセンターピラーに設置できない。つまり、上記のような車両は、ドア開口部の下端部にドアロック部品を配置する必要が生じる。ただし、ユーザの車両に対する乗降は、こうしたドアロック部品に影響を与えないことが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するカバー装置は、ドア開口部を有する車体と、前記ドア開口部を開閉する車両ドアと、を備える車両に適用されるカバー装置であって、前記車体は、前記ドア開口部の底部に設置され、前記車両ドアと連結されることにより前記車両ドアを全閉位置に拘束するドアロック部品を有するものであり、前記ドアロック部品を上方から覆う被覆位置及び前記ドアロック部品を上方に露出させる露出位置の間を変位するカバーと、前記車両ドアが開作動するときに前記カバーを前記被覆位置に変位させ、前記車両ドアが閉作動するときに前記カバーを前記露出位置に変位させる開閉機構と、を備える。
【0006】
上記構成のカバー装置において、車両ドアが閉作動する場合、つまり、車両ドアがドア開口部を全閉する全閉位置に位置する場合には、カバーがドアロック部品を上方から覆わなくなる。このため、全閉位置に位置する車両ドアとドアロック部品とを連結することにより、車両ドアを拘束することが可能となる。一方、車両ドアが開作動する場合、つまり、車両ドアがドア開口部を全開する全開位置に位置する場合には、カバーがドアロック部品を上方から覆う。このため、カバー装置は、ユーザの車両に対する乗降がドアロック部品に影響を与えることを抑制できる。
【0007】
前記車両ドアは、前記車両ドアの移動方向を規定するロアレールを備えるとともに、前記車体の側部に開口する前記ドア開口部を開閉するスライドドアであって、前記車体は、前記ロアレールを介して、前記車両ドアを支持するロアヒンジユニットを備え、前記ロアレールは、前記車両ドアの開方向に向かって延びる第1ロアレールと、前記第1ロアレールの前記開方向における先端から前記開方向に進むにつれて車両幅方向における外方に向かって湾曲して延びる第2ロアレールと、を有し、前記ロアヒンジユニットは、前記車体に固定される固定ヒンジと、前記固定ヒンジに対して回動可能に支持される可動ヒンジと、前記可動ヒンジに回動可能に支持されるとともに前記ロアレールに沿って相対的に移動する2つのガイドローラと、を有し、前記開閉機構は、2つの前記ガイドローラが前記第2ロアレールに沿って移動するときの前記可動ヒンジの回動に伴い、前記カバーを変位させることが好ましい。
【0008】
上記構成のカバー装置において、第2ロアレールに沿ってガイドローラが移動する場合には、可動ヒンジが固定ヒンジに対して回動する。一方、第1ロアレールに沿ってガイドローラが移動する場合には、可動ヒンジが回動しない。言い換えれば、可動ヒンジは、スライドドアが全閉位置の付近を開閉作動するタイミングで回動する。つまり、カバー装置は、カバーを開閉する必要が生じるタイミングでカバーを変位させることができる。
【0009】
上記カバー装置において、前記開閉機構は、前記可動ヒンジと前記カバーとの間の動力伝達経路の一部を構成し、前記車両ドアが開作動又は閉作動するときに前記可動ヒンジの回動に伴って牽引されるワイヤと、前記可動ヒンジの回動に伴う前記ワイヤの牽引方向とは逆方向に前記ワイヤを付勢する付勢部材と、を有することが好ましい。
【0010】
上記構成のカバー装置において、車両ドアの開閉作動時に、可動ヒンジを介してワイヤが牽引されると、カバーが被覆位置及び露出位置の一方の位置から他方の位置に変位する。一方、車両ドアの開閉作動時に、可動ヒンジを介してワイヤが牽引されなくなると、付勢部材の付勢力に従って、カバーが被覆位置及び露出位置の他方の位置から一方の位置に変位する。こうして、カバー装置は、車両ドアの開閉作動に伴い、カバーを被覆位置及び露出位置の間で変位させることができる。
【0011】
上記カバー装置において、前記カバーは、前記車両幅方向と交差する方向に変位することで、前記被覆位置及び前記露出位置の間を変位することが好ましい。
車両に乗降するユーザは、車両に対して幅方向に移動しやすい。このため、カバーの変位する方向が幅方向の場合には、車両を乗降するユーザが被覆位置に位置するカバーを踏むことでカバーが被覆位置から露出位置に変位するおそれがある。この点、上記構成のカバー装置は、上記事態が発生するおそれを低減できる。
【0012】
上記カバー装置において、前記開閉機構は、前記可動ヒンジの回動に伴い揺動する駆動リンクと、前記駆動リンクとともに揺動する従動リンクと、前記駆動リンク及び前記従動リンクに連結される中間リンクと、含んで構成される4リンク機構を有し、前記中間リンクは、前記カバーを支持することが好ましい。
【0013】
例えば、カバーが被覆位置及び露出位置の間をスライドする構成である場合、ドア開口部の底部とカバーとが擦れることによって、カバーが円滑に作動しなくなるおそれがあるこの点、上記構成のカバー装置において、カバーは、4リンク機構の中間リンクに支持される。このため、カバーは、被覆位置及び露出位置の間を揺動するように変位できる。したがって、カバー装置は、カバーを円滑に作動させることができる。
【発明の効果】
【0014】
カバー装置は、ユーザの車両に対する乗降がドアロック部品に影響を与えることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係るカバー装置を備える車両の模式図。
図2】アッパレール及びアッパヒンジユニットの平面図。
図3】センターレール及びセンターヒンジユニットの平面図。
図4】ロアレール及びロアヒンジユニットの平面図。
図5】ロアヒンジユニットとカバー装置との斜視図。
図6】ロアヒンジユニットとカバー装置の一部とを示す拡大斜視図。
図7】ロアヒンジユニットとカバー装置の一部とを示す拡大斜視図。
図8】カバー装置の一部を示す拡大斜視図。
図9】カバー装置の一部を示す拡大斜視図。
図10】スライドドアが全閉位置に位置するときのロアヒンジユニットとカバー装置の一部とを示す底面図。
図11】スライドドアが全閉位置に位置するときのカバー装置の一部を示す底面図。
図12】スライドドアが全閉位置に位置するときのカバー装置の一部を示す側面図。
図13】スライドドアが全閉位置から開作動したときのロアヒンジユニットとカバー装置の一部とを示す底面図。
図14】スライドドアが全閉位置から開作動したときのカバー装置の一部を示す底面図。
図15】スライドドアが全閉位置から開作動したときのカバー装置の一部を示す側面図。
図16】スライドドアが全閉位置から開作動したときのロアヒンジユニットとカバー装置との斜視図。
図17】センターレール及びセンターヒンジユニットの平面図。
図18】ロアレール及びロアヒンジユニットの平面図。
図19】アッパレール及びアッパヒンジユニットの平面図。
図20】センターレール及びセンターヒンジユニットの平面図。
図21】ロアレール及びロアヒンジユニットの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、カバー装置を備える車両の一実施形態について説明する。以降の説明では、車両幅方向に延びる軸をX軸とし、前後方向に延びる軸をY軸とし、車両上下方向に延びる軸をZ軸とする。また、以降の説明では、「車両幅方向、車両前後方向及び車両上下方向」を、それぞれ「幅方向、前後方向及び上下方向」ともいう。
【0017】
<車両10>
図1に示すように、車両10は、車体20と、スライドドア30(30F,30R)と、カバー装置40と、を備える。
【0018】
<車体20>
図1に示すように、車体20は、ドア開口部21と、アッパレール22F,22Rと、センターレール23F,23Rと、ロアヒンジユニット24F,24Rと、ドア駆動部25F,25Rと、フロントストライカ26F及びリアストライカ26Rと、ロアストライカ27F,27Rと、を備える。図1に示すように、車体20の構成要素は、ドア開口部21の前後方向における中央を基準として、前方及び後方に対称に配置されている。
【0019】
図1に示すように、アッパレール22Fは、ドア開口部21の上方に配置されている。つまり、アッパレール22Fは、センターレール23F及びロアヒンジユニット24Fよりも上方に配置されている。アッパレール22Fは、長手方向において、略一定の断面形状を有している。
【0020】
図2に示すように、アッパレール22Fは、後方に向かって直線状に延びる第1アッパレール221と、第1アッパレール221の後端から後方に進むにつれて幅方向における内方に向かって円弧状に延びる第2アッパレール222と、第2アッパレール222の先端から直線状に延びる第3アッパレール223と、を有する。つまり、アッパレール22Fは、第2アッパレール222を構成する部分が湾曲している。第1アッパレール221は、第2アッパレール222よりも僅かに長くなっている。第1アッパレール221及び第2アッパレール222は、第3アッパレール223よりも長くなっている。なお、アッパレール22Fにおける後方とは、アッパレール22Fが支持するスライドドア30Fの開方向に対応している。
【0021】
図1に示すように、センターレール23Fは、ドア開口部21の前方であって、上下方向におけるアッパレール22F及びロアヒンジユニット24Fの間に配置されている。センターレール23Fは、長手方向において、略一定の断面形状を有している。
【0022】
図3に示すように、センターレール23Fは、後方に向かって直線状に延びる第1センターレール231と、第1センターレール231の後端から後方に進むにつれて幅方向における内方に向かって円弧状に延びる第2センターレール232と、第2センターレール232の先端から直線状に延びる第3センターレール233と、を有する。つまり、センターレール23Fは、第2センターレール232を構成する部分が湾曲している。第1センターレール231は、第2センターレール232及び第3センターレール233よりも長くなっている。第2センターレール232及び第3センターレール233の長さは、略等しくなっている。図2及び図3に示すように、第2センターレール232の曲率半径は、第2アッパレール222の曲率半径よりも小さく、第2センターレール232の長さは、第2アッパレール222の長さよりも短くなっている。なお、センターレール23Fにおける後方とは、センターレール23Fが支持するスライドドア30Fの開方向に対応している。
【0023】
図1に示すように、ロアヒンジユニット24Fは、ドア開口部21の下端寄りの位置であってドア開口部21の後端寄りの位置に配置されている。図4に示すように、ロアヒンジユニット24Fは、固定ヒンジ241と、可動ヒンジ242と、第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244と、を有する。
【0024】
固定ヒンジ241は、車体20に固定される。可動ヒンジ242の基端部は、固定ヒンジ241に回動可能に支持され、可動ヒンジ242の先端部は、第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244を回動可能に支持している。可動ヒンジ242の回動軸線及び第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244の回動軸線は、上下方向に延びている。
【0025】
なお、アッパレール22R、センターレール23R及びロアヒンジユニット24Rは、アッパレール22F、センターレール23F及びロアヒンジユニット24Fと、前後方向と直交する平面を基準としてそれぞれ対称な形状をなしている。このため、アッパレール22R、センターレール23R及びロアヒンジユニット24Rについての説明を省略する。
【0026】
ドア駆動部25F,25Rは、スライドドア30F,30Rをそれぞれ駆動する。ドア駆動部25F,25Rは、例えば、モータと、モータの動力をスライドドア30F,30Rにそれぞれ伝達する伝達機構と、を含んで構成される。ドア駆動部25F,25Rの伝達機構は、プーリとベルトとを含んで構成することもできるし、ドラムとケーブルとを含んで構成することもできる。
【0027】
図1に示すように、フロントストライカ26Fは、ドア開口部21の前方に位置し、リアストライカ26Rは、ドア開口部21の後方に位置する。ロアストライカ27F,27Rは、ドア開口部21の下端部であってドア開口部21の前後方向における中央に位置する。ロアストライカ27F及びロアストライカ27Rは、前後方向に僅かな間隔をあけて位置している。本実施形態において、ロアストライカ27F,27Rは、「ドアロック部品」の一例に相当する。
【0028】
<スライドドア30>
図1に示すように、スライドドア30は、ドア開口部21を開閉するスライドドア30F,30Rを備える。スライドドア30は、「車両ドア」の一例に相当する。
【0029】
スライドドア30Fは、ドア開口部21の前半分の範囲を開閉し、スライドドア30Rは、ドア開口部21の後半分の範囲を開閉する。スライドドア30F,30Rがドア開口部21を全開するときの位置を「全開位置」とし、スライドドア30F,30Rがドア開口部21を全閉するときの位置を「全閉位置」とする。
【0030】
スライドドア30F,30Rは、ドア駆動部25F,25Rにより全閉位置及び全開位置の間を開閉作動するパワースライドドアである。スライドドア30Fは、前方に移動することで開作動し、後方に移動することで閉作動する。一方、スライドドア30Rは、後方に移動することで開作動し、前方に移動することで閉作動する。つまり、スライドドア30F,30Rは、互いに離れる方向に移動することで開作動し、互いに接近する方向に移動することで閉作動する。
【0031】
前後方向に沿う方向であって、スライドドア30が開作動するときの移動方向を「スライドドア30の開方向」という。一方、前後方向に沿う方向であって、スライドドア30が閉作動するときの移動方向を「スライドドア30の閉方向」という。つまり、開方向及び閉方向は、スライドドア30F,30Rによって方向が異なる。
【0032】
<スライドドア30F>
図1に示すように、スライドドア30Fは、アッパヒンジユニット31Fと、センターヒンジユニット32Fと、ロアレール33Fと、ドアハンドル34Fと、フロントロック装置35Fと、ロアロック装置36Fと、フロントロック駆動装置37Fと、ロアロック駆動装置38Fと、リモコン39Fと、を備える。
【0033】
図1に示すように、アッパヒンジユニット31Fは、スライドドア30Fの前端寄りの位置であって上端寄りの位置に配置されている。図2に示すように、アッパヒンジユニット31Fは、固定ヒンジ311と、可動ヒンジ312と、第1ガイドローラ313及び第2ガイドローラ314と、ロードローラ315と、を有する。
【0034】
固定ヒンジ311は、スライドドア30Fに固定される。可動ヒンジ312の基端部は、固定ヒンジ311に回動可能に支持され、可動ヒンジ312の先端部は、第1ガイドローラ313、第2ガイドローラ314及びロードローラ315を回動可能に支持している。可動ヒンジ312の回動軸線、第1ガイドローラ313の回動軸線及び第2ガイドローラ314の回動軸線は、上下方向に延びている。ロードローラ315の回動軸線は、第1ガイドローラ313の回動軸線及び第2ガイドローラ314の回動軸線と直交している。
【0035】
アッパヒンジユニット31Fの第1ガイドローラ313、第2ガイドローラ314及びロードローラ315は、アッパレール22Fに係合している。詳しくは、第1ガイドローラ313及び第2ガイドローラ314は、アッパレール22Fに対して幅方向に係合している。こうして、第1ガイドローラ313及び第2ガイドローラ314は、スライドドア30Fの上方前端部の幅方向への移動を制限する。ロードローラ315は、アッパレール22Fに対して上方から係合している。こうして、ロードローラ315は、スライドドア30Fの自重を支える。
【0036】
スライドドア30Fが開閉作動する場合には、アッパヒンジユニット31Fの第1ガイドローラ313、第2ガイドローラ314及びロードローラ315が回動することにより、アッパヒンジユニット31Fがアッパレール22Fに対して移動する。つまり、第1ガイドローラ313、第2ガイドローラ314及びロードローラ315は、アッパレール22Fに係合した状態でアッパレール22Fに対して相対的に移動する。なお、第1ガイドローラ313及び第2ガイドローラ314は、スライドドア30Fの開作動時における可動ヒンジ312の回動方向に並んでいる。
【0037】
図1に示すように、センターヒンジユニット32Fは、スライドドア30Fの後端寄りの位置であって上下方向における中央付近の位置に配置されている。図3に示すように、センターヒンジユニット32Fは、固定ヒンジ321と、可動ヒンジ322と、第1ガイドローラ323及び第2ガイドローラ324と、ロードローラ325と、を有する。
【0038】
固定ヒンジ321は、スライドドア30Fに固定される。可動ヒンジ322の基端部は、固定ヒンジ321に回動可能に支持され、可動ヒンジ322の先端部は、第1ガイドローラ323、第2ガイドローラ324及びロードローラ325を回動可能に支持している。可動ヒンジ322の回動軸線、第1ガイドローラ323の回動軸線及び第2ガイドローラ324の回動軸線は、上下方向に延びている。ロードローラ325の回動軸線は、第1ガイドローラ323の回動軸線及び第2ガイドローラ324の回動軸線と直交している。
【0039】
センターヒンジユニット32Fの第1ガイドローラ323、第2ガイドローラ324及びロードローラ325は、センターレール23Fに係合している。詳しくは、第1ガイドローラ323及び第2ガイドローラ324は、センターレール23Fに対して幅方向に係合している。こうして、第1ガイドローラ323及び第2ガイドローラ324は、スライドドア30Fの後端部の幅方向への移動を制限する。ロードローラ325は、センターレール23Fに対して上方から係合している。こうして、ロードローラ325は、スライドドア30Fの自重を支える。
【0040】
スライドドア30Fが開閉作動する場合には、センターヒンジユニット32Fの第1ガイドローラ323、第2ガイドローラ324及びロードローラ325が回動することにより、センターヒンジユニット32Fがセンターレール23Fに対して移動する。つまり、第1ガイドローラ323、第2ガイドローラ324及びロードローラ325は、センターレール23Fに係合した状態でセンターレール23Fに対して相対的に移動する。なお、第1ガイドローラ323及び第2ガイドローラ324は、スライドドア30Fの開作動時における可動ヒンジ322の回動方向に並んでいる。
【0041】
図1に示すように、ロアレール33Fは、スライドドア30Fの下端寄りに配置されている。ロアレール33Fの前後方向における長さは、スライドドア30Fの前後方向における長さと同等である。ロアレール33Fは、長手方向において、略一定の断面形状を有している。
【0042】
図4に示すように、ロアレール33Fは、前方に向かって直線状に延びる第1ロアレール331と、第1ロアレール331の前端から前方に進むにつれて幅方向における外方に向かって円弧状に延びる第2ロアレール332と、第2ロアレール332の先端から直線状に延びる第3ロアレール333と、を有する。つまり、ロアレール33Fは、第2ロアレール332を構成する部分が湾曲している。第1ロアレール331は、第2ロアレール332及び第3ロアレール333よりも長くなっている。第2ロアレール332及び第3ロアレール333の長さは、略等しくなっている。ロアレール33Fとアッパレール22F及びセンターレール23Fとを比較すると、第3ロアレール333が前方に位置しているのに対して、第3アッパレール223及び第3センターレール233は後方に位置している。また、第2ロアレール332及び第2センターレール232の曲率半径は略等しくなっている。第2ロアレール332の長さ及び第3ロアレール333の長さは、第2ロアレール332の長さ及び第3センターレール233の長さとそれぞれ等しくなっている。なお、ロアレール33Fにおける前方とは、ロアレール33Fが支持するスライドドア30Fの開方向に対応している。
【0043】
ロアヒンジユニット24Fの第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244は、ロアレール33Fに係合している。詳しくは、第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244は、センターレール23Fに対して幅方向に係合している。こうして、第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244は、スライドドア30Fの下端部の幅方向への移動を制限する。
【0044】
スライドドア30Fが開閉作動する場合には、ロアヒンジユニット24Fの第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244が回動することにより、ロアレール33Fがロアヒンジユニット24Fに対して移動する。つまり、第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244は、ロアレール33Fに係合した状態でロアレール33Fに対して相対的に移動する。なお、第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244は、スライドドア30Fの開作動時における可動ヒンジ242の回動方向に並んでいる。
【0045】
図1に示すように、ドアハンドル34Fは、スライドドア30Fの車両10の内側を向く面に配置されるインサイドドアハンドルである。スライドドア30Fは、スライドドア30Fの車両10の外側を向く面に配置されるアウトサイドドアハンドルを備えてもよい。ドアハンドル34Fは、ユーザが手動でスライドドア30Fを開操作する際にユーザに操作される部位である。
【0046】
フロントロック装置35Fは、フロントストライカ26Fに係止するラッチ351を有する。フロントロック装置35Fは、フロントストライカ26Fにラッチ351が係止する係止状態と、フロントストライカ26Fにラッチ351が係止しない解除状態と、を切り替える。フロントロック装置35Fは、係止状態に切り替わることにより、全閉位置に位置するスライドドア30Fの前端部を車体20に拘束する。
【0047】
ロアロック装置36Fは、ロアストライカ27Fに係止するフック361を有する。ロアロック装置36Fは、ロアストライカ27Fにフック361が係止する係止状態と、ロアストライカ27Fにフック361が係止しない解除状態と、を切り替える。ロアロック装置36Fは、係止状態に切り替わることにより、全閉位置に位置するスライドドア30Fの下端部を車体20に拘束する。
【0048】
フロントロック駆動装置37Fは、フロントロック装置35Fを駆動する。詳しくは、フロントロック駆動装置37Fは、フロントロック装置35Fを解除状態から係止状態に移行させたり、フロントロック装置35Fを係止状態から解除状態に移行させたりする。フロントロック駆動装置37Fは、スライドドア30Fが全閉位置の付近まで閉作動された後に、フロントロック装置35Fを解除状態から係止状態に移行させることで、スライドドア30Fを全閉位置まで移動させる。一方、フロントロック駆動装置37Fは、スライドドア30Fを全閉位置から開作動させる際に、フロントロック装置35Fを係止状態から解除状態に移行させることで、フロントロック装置35Fによるスライドドア30Fの拘束を解除する。
【0049】
ロアロック駆動装置38Fは、ロアロック装置36Fを駆動する。詳しくは、ロアロック駆動装置38Fは、ロアロック装置36Fを解除状態から係止状態に移行させる。ロアロック駆動装置38Fは、フロントロック駆動装置37Fがフロントロック装置35Fを係止状態に移行させた後、すなわち、スライドドア30Fが全閉位置に位置した後に、ロアロック装置36Fを係止状態に移行させる。こうして、ロアロック駆動装置38Fは、スライドドア30Fの下端部を車体20に拘束する。
【0050】
リモコン39Fは、ドアハンドル34F、フロントロック装置35F及びロアロック装置36Fの間で動力を伝達する。リモコン39Fは、ドアハンドル34F、フロントロック装置35F及びロアロック装置36Fと、例えば、レバー及びワイヤなどの動力伝達部材を介して連結される。リモコン39Fは、フロントロック駆動装置37Fがフロントロック装置35Fを係止状態から解除状態に移行させるとき、ロアロック装置36Fを係止状態から解除状態に移行させる。同様に、リモコン39Fは、ユーザがドアハンドル34Fを開操作するときに、フロントロック装置35F及びロアロック装置36Fを係止状態から解除状態に移行させる。
【0051】
<スライドドア30R>
次に、スライドドア30Rについて説明する。
スライドドア30Rは、アッパヒンジユニット31Rと、センターヒンジユニット32Rと、ロアレール33Rと、ドアハンドル34Rと、リアロック装置35Rと、ロアロック装置36Rと、リアロック駆動装置37Rと、ロアロック駆動装置38Rと、リモコン39Rと、を備える。スライドドア30Rは、開閉方向が逆方向であることを除き、スライドドア30Fと同様に構成される。このため、スライドドア30Rの説明を省略する。
【0052】
本実施形態において、アッパレール22F、センターレール23F及びロアレール33Fと、アッパヒンジユニット31F、センターヒンジユニット32F及びロアヒンジユニット24Fと、を含んで「スライドドア支持装置100F(100)」の一例が構成されている。スライドドア支持装置100Fは、スライドドア30Fを全開位置及び全閉位置の間で移動可能に車体20に連結する装置である。同様に、本実施形態において、アッパレール22R、センターレール23R及びロアレール33Rと、アッパヒンジユニット31R、センターヒンジユニット32R及びロアヒンジユニット24Rと、を含んで「スライドドア支持装置100R(100)」の一例が構成されている。スライドドア支持装置100Rは、スライドドア30Rを全開位置及び全閉位置の間で移動可能に車体20に連結する装置である。
【0053】
<カバー装置40>
次に、カバー装置40について説明する。
図5図9に示すように、カバー装置40は、保護プレート41と、カバー42と、開閉機構50と、を備える。
【0054】
図5に示すように、保護プレート41は、上下方向における平面視において、矩形状をなしている。保護プレート41は、ドア開口部21の底部において、ロアストライカ27Fを覆っている。言い換えれば、保護プレート41は、ドア開口部21の底部の一部を構成している。保護プレート41は、板厚方向に貫通する露出孔411を有する。露出孔411は、ロアストライカ27Fの上方に位置している。このため、露出孔411は、ロアストライカ27Fを上方に露出させている。保護プレート41は、露出孔411の開口縁から下方に屈曲する屈曲部412を有する。
【0055】
図5に示すように、カバー42は、板状をなしている。カバー42は、上下方向における平面視において、露出孔411よりも一回り大きくなっている。このため、カバー42が露出孔411を塞ぐ場合、ロアストライカ27Fが露出孔411を介して上方に露出しなくなる。
【0056】
図6及び図7に示すように、開閉機構50は、ヒンジブラケット51と、駆動レバー52と、従動レバー53と、ケーブル54と、を備える。図8及び図9に示すように、開閉機構50は、カバーブラケット55と、回動レバー56と、ねじりコイルばね57と、連結軸58と、リンク機構59と、を備える。図6及び図7に示すように、ヒンジブラケット51と駆動レバー52と従動レバー53とは、ロアヒンジユニット24Fの付近に配置されている。図8及び図9に示すように、カバーブラケット55と回動レバー56とねじりコイルばね57と連結軸58とリンク機構59とは、ロアストライカ27Fの付近に配置されている。
【0057】
図6及び図7に示すように、ヒンジブラケット51は、ロアヒンジユニット24Fの固定ヒンジ241に固定されている。つまり、ヒンジブラケット51は、スライドドア30Fが開閉作動するとき、言い換えれば、可動ヒンジ242が固定ヒンジ241に対して回動するときであっても動くことはない。この点で、ヒンジブラケット51は、固定ヒンジ241ではなく、車体20に固定してもよい。ヒンジブラケット51は、固定ヒンジ241から前方に延びた後に、幅方向における外方に向かって延びている。ヒンジブラケット51は、図示されるように複数の部材から構成することもできるし、1つの部材から構成することもできる。
【0058】
駆動レバー52は、ロアヒンジユニット24Fの可動ヒンジ242に固定されている。駆動レバー52は、可動ヒンジ242が固定ヒンジ241に対して回動するとき、可動ヒンジ242とともに回動する。つまり、駆動レバー52の回動軸線は、可動ヒンジ242の回動軸線と一致している。駆動レバー52は、可動ヒンジ242の先端部よりも基端部寄りの位置に設けられている。駆動レバー52は、下方に向かって延びる円柱状のピン521を有する。
【0059】
従動レバー53は、ヒンジブラケット51に回動可能に支持されている。本実施形態において、従動レバー53の回動軸線は、上下方向に延びているが、他の実施形態において、従動レバー53の回動軸線は、上下方向と交差する方向に延びていてもよい。従動レバー53は、従動レバー53の回動軸線と交差する方向に延びる第1アーム531及び第2アーム532を有する。第1アーム531の先端は、駆動レバー52のピン521と接触する部位であり、第2アーム532の先端は、ケーブル54の第1端を支持する部位である。
【0060】
ケーブル54は、金属製のワイヤ541と、筒状をなすワイヤ保護部542と、を有する。ワイヤ541の両端部はワイヤ保護部542から露出し、ワイヤ541の中間部はワイヤ保護部542に収容されている。ワイヤ541の第1端は、従動レバー53の第2アーム532の先端に固定され、ワイヤ保護部542の第1端は、ヒンジブラケット51に固定されている。このため、ヒンジブラケット51に対して従動レバー53が回動すると、ワイヤ保護部542に対してワイヤ541が進退する。なお、ケーブル54は、車体20において、ドア開口部21の底部よりも下方に配策されることが好ましい。
【0061】
図8及び図9に示すように、カバーブラケット55は、保護プレート41に固定される上壁551と、上壁551から下方に延びる第1側壁552及び第2側壁553と、を有する。第1側壁552は、第2側壁553に向かって延びる係止片554を含む。第1側壁552は、ワイヤ保護部542の第2端を支持している。
【0062】
回動レバー56は、カバーブラケット55の上壁551に回動可能に支持されている。回動レバー56の回動軸線は、上下方向に延びている。回動レバー56は、回動レバー56の回動軸線と直交する方向に延びる第3アーム561及び第4アーム562を有する。第3アーム561及び第4アーム562は、互いに逆方向に延びている。第3アーム561の先端部には、ワイヤ541の第2端が接続される。この点で、ワイヤ541は、従動レバー53と回動レバー56との間で動力を伝達する部材である。第4アーム562は、回動レバー56の回動軸線に沿って屈曲した後に第3アーム561に向かって延びる係止片563を含む。
【0063】
ねじりコイルばね57は、「付勢部材」の一例に相当する。ねじりコイルばね57の一端は、カバーブラケット55の係止片554に係止し、ねじりコイルばね57の他端は、回動レバー56の係止片563に係止している。ねじりコイルばね57は、回動レバー56がワイヤ541を牽引する方向に当該回動レバー56を付勢している。他の実施形態において、ねじりコイルばね57は、ワイヤ541を付勢するばねとすることもできるし、駆動レバー52又は従動レバー53を付勢するばねとすることもできる。この場合、ねじりコイルばね57は、種類の異なる他のばねとしてもよい。
【0064】
連結軸58は、棒状をなしている。連結軸58は、長尺の中間軸581と、中間軸581の一端から屈曲して延びる第1屈曲軸582と、中間軸581の他端から屈曲して延びる第2屈曲軸583と、を有する。第1屈曲軸582は、回動レバー56の第4アーム562の先端部に連結されている。
【0065】
図9に示すように、リンク機構59は、保護プレート41の屈曲部412に支持される駆動リンク591及び従動リンク592と、駆動リンク591及び従動リンク592を連結する中間リンク593と、を有する。本実施形態では、「固定リンク」に相当する保護プレート41の屈曲部412と、駆動リンク591、従動リンク592及び中間リンク593と、を含んで4リンク機構、詳しくは、てこクランク機構が構成される。
【0066】
駆動リンク591は、従動リンク592と略同一形状のリンク本体591aと、リンク本体591aから屈曲して延びる連結部591bと、を含む。リンク本体591aの一端は、保護プレート41の屈曲部412に対して回動可能に連結され、リンク本体591aの他端は、中間リンク593に対して回動可能に連結されている。連結部591bには、連結軸58の第2屈曲軸583が連結されている。連結部591bは、駆動リンク591を回動させるための動力を受け取る部位であるため、リンク本体591aにおける屈曲部412との連結部位よりも、リンク本体591aにおける中間リンク593との連結部位に近い位置に配置することが好ましい。従動リンク592の一端は、保護プレート41の屈曲部412に対して回動可能に連結され、従動リンク592の他端は、中間リンク593に対して回動可能に連結されている。
【0067】
中間リンク593は、リンク本体593aと、リンク本体593aから屈曲する固定部593bと、を含む。リンク本体593aは、幅方向における側面視において、矩形状をなしている。リンク本体593aにおいて、駆動リンク591との連結中心及び従動リンク592との連結中心の間をなす距離は、保護プレート41の屈曲部412において、駆動リンク591との連結中心及び従動リンク592との連結中心の間をなす距離と等しい。固定部593bは平板状をなしている。固定部593bには、保護プレート41が固定されている。このため、中間リンク593が動作する場合には、中間リンク593とともに保護プレート41も動作する。なお、固定部593bに対する保護プレート41の固定には、例えば、ボルトなどの締結部材を用いればよい。
【0068】
<カバー装置40の作用>
本実施形態の作用について説明する。
詳しくは、スライドドア30Fの開作動時におけるカバー装置40の作用について説明する。以降の説明では、スライドドア30Fに着目して説明するが、スライドドア30Rにおいても同様の作用を得ることができる。
【0069】
図10図12は、スライドドア30Fが全閉位置に位置するときの開閉機構50を示している。
スライドドア30Fが全閉位置に位置する場合、図10に示すように、可動ヒンジ242が固定ヒンジ241に対して最も第1方向R11に回動する。同様に、駆動レバー52は、固定ヒンジ241に対して最も第1方向R11に回動する。このため、駆動レバー52のピン521が従動レバー53の第1アーム531を押し、従動レバー53が第2方向R22に回動する。その結果、従動レバー53の第2アーム532がワイヤ541を前方に牽引する。
【0070】
図11及び図12に示すように、従動レバー53がワイヤ541を牽引する場合には、ワイヤ541を介して伝達される力により、回動レバー56の第3アーム561が前方に引っ張られる。このため、回動レバー56は、ねじりコイルばね57の付勢力に抗して第2方向R32に回動する。そして、回動レバー56の第4アーム562は、連結軸58を介して、駆動リンク591を押す。こうして、図12に示すように、駆動リンク591及び従動リンク592は、屈曲部412に対して起き上がる方向に回動し、カバー42は露出位置に位置する。
【0071】
以上説明したように、スライドドア30Fが全閉位置に位置する場合には、図5に示すように、カバー42がロアストライカ27Fを上方に露出させる露出位置に位置する。このため、図5に示すように、ロアロック装置36Fのフック361は、ロアストライカ27Fに係止することが可能となる。言い換えれば、ロアロック装置36Fは、全閉位置に位置するスライドドア30Fの下端部を車体20に拘束することが可能となる。図12に示すように、カバー42が露出位置に位置するとき、上下方向において、カバー42と保護プレート41との間に隙間が生じている。つまり、カバー42が保護プレート41から浮き上がることになるが、カバー42はスライドドア30Fと接触することはない。
【0072】
図13図15は、スライドドア30Fが全閉位置から僅かに開作動したときの開閉機構50を示している。
スライドドア30Fを全閉位置から開作動させる場合には、まず、フロントロック装置35F及びロアロック装置36Fが係止状態から解除状態に移行される。その後、車体20に対する拘束が解かれたスライドドア30Fが開作動される。
【0073】
スライドドア30Fが全閉位置から僅かに開作動すると、図13に示すように、可動ヒンジ242が固定ヒンジ241に対して第2方向R12に回動する。同様に、駆動レバー52は、固定ヒンジ241に対して第2方向R12に回動する。すると、駆動レバー52のピン521が従動レバー53の第1アーム531を押さなくなることで、従動レバー53の第2アーム532がワイヤ541を前方に牽引しなくなる。
【0074】
図14及び図15に示すように、従動レバー53がワイヤ541を牽引しない場合には、回動レバー56に対して第3アーム561を前方に引っ張る力が作用しない。このため、回動レバー56は、ねじりコイルばね57の付勢力に従って、第1方向R31に回動する。すると、回動レバー56は、連結軸58を介して、駆動リンク591を引く。このため、図15に示すように、駆動リンク591及び従動リンク592は保護プレート41の屈曲部412に対して倒れる方向に回動し、カバー42はロアストライカ27Fを上方に露出させない被覆位置に位置する。なお、カバー42は、露出位置から被覆位置に向かって弧を描くように変位する。つまり、カバー42の露出位置及び被覆位置の間における変位方向は、幅方向と交差する方向である。
【0075】
なお、図14に示すように、回動レバー56が第1方向R31に回動すると、回動レバー56の第3アーム561がワイヤ541を後方に牽引する。このため、図13に示すように、従動レバー53の第2アーム532が後方に牽引されることにより、従動レバー53は第1方向R21に回動する。
【0076】
以上説明したように、スライドドア30Fが全閉位置から開作動する場合には、図16に示すように、カバー42がストライカを覆う被覆位置に位置する。このため、スライドドア30Fが全開位置に到達した後、ドア開口部21の底部にロアストライカ27Fが露出したり、ドア開口部21の底部に露出孔411が露出したりしなくなる。
【0077】
<スライドドア支持装置100Fの作用>
続いて、スライドドア30Fの開閉作動時のスライドドア支持装置100Fの作用について説明する。
【0078】
図1に示すように、本実施形態において、スライドドア30Fは、3つの連結部位C1,C2,C3を介して車体20に連結されている。
第1連結部位C1は、スライドドア30Fにおいて、アッパヒンジユニット31Fが取り付けられる部位である。つまり、第1連結部位C1は、スライドドア30Fの前端寄りの位置であってスライドドア30Fの上端寄りの位置である。
【0079】
第2連結部位C2は、スライドドア30Fにおいて、センターヒンジユニット32Fが取り付けられる部位である。つまり、第2連結部位C2は、スライドドア30Fの後端寄りの位置であってスライドドア30Fの上下方向における中間となる位置である。
【0080】
第3連結部位C3は、スライドドア30Fのロアレール33Fにおいて、ロアヒンジユニット24Fの第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244が係合する部位である。つまり、第3連結部位C3は、スライドドア30Fの下端寄りの位置であって、スライドドア30Fの開度によって前後方向に移動する位置である。例えば、スライドドア30Fが全閉位置に位置する場合には、第3連結部位C3は、スライドドア30Fの開方向における端部寄りの位置となる。一方、スライドドア30Fが全開位置に位置する場合には、第3連結部位C3は、スライドドア30Fの閉方向における端部寄りの位置となる。
【0081】
図3に示すように、スライドドア30Fが全閉位置から全開位置に向かって開作動する場合には、センターヒンジユニット32Fの第1ガイドローラ323及び第2ガイドローラ324の係合対象は、第3センターレール233、第2センターレール232及び第1センターレール231の順に変化する。
【0082】
第3センターレール233は、直線状をなしているため、センターヒンジユニット32Fが第3センターレール233に対して移動するとき、可動ヒンジ322が固定ヒンジ321に対して回動しない。このため、センターヒンジユニット32Fが第3センターレール233に対して移動するとき、センターヒンジユニット32Fは、第3センターレール233の形成方向に従って移動する。以上より、センターヒンジユニット32Fが第3センターレール233に対して移動するとき、スライドドア30Fの第2連結部位C2は、開方向に進むにつれて幅方向における外方に移動する。
【0083】
第2センターレール232は、円弧状をなしているため、センターヒンジユニット32Fが第2センターレール232に対して移動するとき、可動ヒンジ322が固定ヒンジ321に対して回動する。このため、センターヒンジユニット32Fが第2センターレール232に対して移動するとき、センターヒンジユニット32Fは、第2センターレール232の形成方向に従って移動するとともに、可動ヒンジ322の回動に従って移動する。以上より、スライドドア30Fの第2連結部位C2は、開方向に進むにつれて幅方向における外方に大きく移動する。なお、センターヒンジユニット32Fの少なくとも一方のガイドローラが第2センターレール232に沿って移動する場合において、可動ヒンジ322は固定ヒンジ321に対して回動する。
【0084】
第1センターレール231は、直線状をなしているため、センターヒンジユニット32Fが第1センターレール231に対して移動するとき、可動ヒンジ322が固定ヒンジ321に対して回動しない。このため、センターヒンジユニット32Fが第1センターレール231に対して移動するとき、センターヒンジユニット32Fは、第1センターレール231の形成方向に従って移動する。したがって、スライドドア30Fの第2連結部位C2は、幅方向にほとんど移動することなく、開方向に移動する。
【0085】
ここで、センターヒンジユニット32Fが第2センターレール232に沿って移動する場合には、センターヒンジユニット32Fが第3センターレール233に沿って移動する場合と異なり、可動ヒンジ322が回動する。このため、センターヒンジユニット32Fが第2センターレール232に沿って移動する場合には、センターヒンジユニット32Fが第3センターレール233に沿って移動する場合よりも、スライドドア30Fの第2連結部位C2の幅方向への移動量(以下、「リフト量」ともいう。)が大きく変化する。
【0086】
また、センターヒンジユニット32Fが第1センターレール231に沿って移動する場合には、センターヒンジユニット32Fが第2センターレール232に沿って移動する場合と異なり、スライドドア30Fの第2連結部位C2のリフト量が略変化しない。なお、リフト量は、全閉位置を基準としたスライドドア30Fの幅方向における外方への移動量である。
【0087】
したがって、スライドドア30Fの開作動時において、センターヒンジユニット32Fの第1ガイドローラ323が第3センターレール233及び第2センターレール232の境界部を跨ぐときには、センターヒンジユニット32Fの可動ヒンジ322が回動し始める点で、スライドドア30Fの第2連結部位C2のリフト量が不連続に変化する。同様に、スライドドア30Fの開作動時において、センターヒンジユニット32Fの第2ガイドローラ324が第2センターレール232及び第1センターレール231の境界部を跨ぐときには、センターヒンジユニット32Fの可動ヒンジ322が回動しなくなる点で、スライドドア30Fの第2連結部位C2のリフト量が不連続に変化する。こうした傾向は、スライドドア30Fの開作動時に限らず、スライドドア30Fの閉作動時にも同様である。
【0088】
さらに、こうした傾向は、スライドドア30Fの第1連結部位C1及び第3連結部位C3においても同様である。つまり、スライドドア30Fの開閉作動時において、アッパヒンジユニット31Fの第1ガイドローラ313が第3アッパレール223及び第2アッパレール222の境界部を跨ぐときには、スライドドア30Fの第1連結部位C1のリフト量が不連続に変化する。また、アッパヒンジユニット31Fの第2ガイドローラ314が第2アッパレール222及び第1アッパレール221の境界部を跨ぐときには、スライドドア30Fの第1連結部位C1のリフト量が不連続に変化する。
【0089】
同様に、スライドドア30Fの開閉作動時において、ロアヒンジユニット24Fの第1ガイドローラ243が第3ロアレール333及び第2ロアレール332の境界部を跨ぐときには、スライドドア30Fの第3連結部位C3のリフト量が不連続に変化する。また、ロアヒンジユニット24Fの第2ガイドローラ244が第2ロアレール332及び第1ロアレール331の境界部を跨ぐときには、スライドドア30Fの第3連結部位C3のリフト量が不連続に変化する。
【0090】
ここで、スライドドア30Fが全開位置の付近に位置する場合、上下方向及び前後方向において、第1連結部位C1、第2連結部位C2及び第3連結部位C3が離れて位置する。この場合、車体20がスライドドア30Fを支持する部位が分散している点で、スライドドア30Fの姿勢が安定しやすい。これに対し、図1に示すように、スライドドア30Fが全閉位置の付近に位置する場合、上下方向及び前後方向において、第1連結部位C1、第2連結部位C2及び第3連結部位C3が離れて位置しない。詳しくは、第2連結部位C2及び第3連結部位C3が近くに位置する。この場合、車体20がスライドドア30Fを支持する部位が分散していない点で、スライドドア30Fの姿勢が不安定になりやすい。
【0091】
このため、スライドドア30Fが全閉位置の付近に位置するとき、第2連結部位C2及び第3連結部位C3のリフト量が異なると、スライドドア30Fの姿勢が変動しやすい。例えば、スライドドア30Fにおいて、第2連結部位C2のリフト量及び第3連結部位C3のリフト量の差が大きいと、スライドドア30Fが傾こうとする。詳しくは、アッパレール22Fとアッパヒンジユニット31Fのロードローラ315との接点及びセンターレール23Fとセンターヒンジユニット32Fのロードローラ325との接点を結ぶ軸回りにスライドドア30Fが傾こうとする。この場合、全閉位置の付近においてスライドドア30Fの開閉作動に必要な力が増大したり、スライドドア30Fの閉作動時において、ウェザーストリップを均一に潰せなくなったりするおそれがある。
【0092】
この点、図17及び図18に示すように、センターヒンジユニット32Fの第1ガイドローラ323が第2センターレール232及び第3センターレール233の境界部に係合するとき、ロアヒンジユニット24Fの第1ガイドローラ243は第2ロアレール332及び第3ロアレール333の境界部に係合している。このとき、センターヒンジユニット32Fの第2ガイドローラ324は、第3センターレール233に係合し、ロアヒンジユニット24Fの第2ガイドローラ244は、第3ロアレール333に係合している。
【0093】
また、図20及び図21に示すように、センターヒンジユニット32Fの第2ガイドローラ324が第1センターレール231及び第2センターレール232の境界部に係合するとき、ロアヒンジユニット24Fの第2ガイドローラ244は第1ロアレール331及び第2ロアレール332の境界部に係合している。このとき、センターヒンジユニット32Fの第1ガイドローラ323は、第1センターレール231に係合し、ロアヒンジユニット24Fの第1ガイドローラ243は、第1ロアレール331に係合している。
【0094】
したがって、スライドドア30Fが全閉位置の付近で開閉作動するとき、スライドドア30Fの第2連結部位C2及び第3連結部位C3のリフト量に差が生じにくくなる。なお、図19及び図20に示すように、スライドドア支持装置100Fにおいて、センターヒンジユニット32Fの第2ガイドローラ324が第3センターレール233及び第2センターレール232の境界部に係合するとき、アッパヒンジユニット31Fの第2ガイドローラ244は、第2ロアレール332と係合している。
【0095】
本実施形態の効果について説明する。
(1)スライドドア30が閉作動する場合、つまり、スライドドア30がドア開口部21を全閉する全閉位置に位置する場合には、カバー42がロアストライカ27F,27R及び露出孔411を上方から覆わなくなる。このため、カバー装置40は、カバー42がロアロック装置36F,36Rの動作の妨げになることを抑制できる。一方、スライドドア30が開作動する場合、つまり、スライドドア30がドア開口部21を全開する全開位置に位置する場合には、カバー42がロアストライカ27F,27R及び露出孔411を上方から覆う。このため、カバー装置40は、ロアストライカ27F,27R及び露出孔411がユーザの乗降に影響を与えることを抑制できる。また、カバー装置40は、ユーザの乗降がロアストライカ27F,27Rに影響を与えることを抑制できる。
【0096】
(2)第2ロアレール332に沿ってロアヒンジユニット24F,24Rの第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244が移動する場合には、可動ヒンジ242が固定ヒンジ241に対して回動する。一方、第1ロアレール331に沿ってロアヒンジユニット24F,24Rの第1ガイドローラ243及び第2ガイドローラ244が移動する場合には、可動ヒンジ242が回動しない。言い換えれば、可動ヒンジ242は、スライドドア30が全閉位置の付近を開閉作動するタイミングで回動する。この点、カバー装置40は、可動ヒンジ242の回動に応じて、カバー42に動力を伝達するか否かを切り替える。このため、カバー装置40は、カバー42を開閉する必要が生じるタイミングでカバー42を変位させることができる。
【0097】
(3)スライドドア30の開閉作動時に、駆動レバー52が従動レバー53を介してワイヤ541を牽引すると、カバー42が露出位置に変位する。一方、スライドドア30の開作動時に、駆動レバー52が従動レバー53を介してワイヤ541を牽引しなくなると、ねじりコイルばね57の付勢力に従って、カバー42が被覆位置に変位する。こうして、カバー装置40は、スライドドア30の開閉作動に伴い、カバー42を被覆位置及び露出位置の間で変位させることができる。
【0098】
(4)車両10に乗降するユーザは、車両10に対して幅方向に移動しやすい。このため、カバー42の変位する方向が幅方向の場合には、車両10を乗降するユーザが被覆位置に位置するカバー42を踏むことでカバー42が被覆位置から露出位置に変位するおそれがある。この点、カバー装置40は、被覆位置及び露出位置の間でカバー42を幅方向と交差する方向に変位させるため、上記事態が発生するおそれを低減できる。
【0099】
(5)例えば、カバー42が被覆位置及び露出位置の間をスライドする構成である場合、カバー42と保護プレート41とが擦れるおそれがある。この点、カバー装置40のカバー42は、被覆位置及び露出位置の間を揺動しながら変位する。したがって、カバー装置40は、カバー42と保護プレート41との擦れを抑制できる。
【0100】
(6)図2に示すように、第2アッパレール222の長さは、第2センターレール232及び第2ロアレール332に比較して長い。このため、第2アッパレール222の曲率半径を大きくできる分、スライドドア30が全閉位置の付近で開閉作動するとき、スライドドア30の第1連結部位C1のリフト量を大きくできる。その結果、本実施形態のように、ロアレール33F,33Rをスライドドア30に配置する場合であっても、全閉位置の付近におけるスライドドア30の傾きを抑制できる。その結果、スライドドア30の全閉位置の付近における開閉作動に必要な力が増大することが抑制される。例えば、ドア駆動部25F,25Rの負荷が増大することが抑制される。
【0101】
(7)スライドドア30が全閉位置の付近で開閉作動するとき、スライドドア30の第2連結部位C2及び第3連結部位C3のリフト量に差が生じにくくなる。このため、スライドドア支持装置100は、スライドドア30の開閉作動時において、スライドドア30を作動させるために必要な力が増大することを抑制できる。その結果、ドア駆動部25F,25Rの大型化を抑制したり、スライドドア30の挟み込みを判定する閾値を大きな値に設定したりする必要がなくなる。
【0102】
(8)スライドドア支持装置100は、スライドドア30の閉作動時において、全閉位置の付近に位置するスライドドア30の傾きを抑制できる。このため、スライドドア支持装置100は、スライドドア30の上記傾きに起因して、ウェザーストリップの潰れ方が不均一になることを抑制できる。
【0103】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・開閉機構50は、カバー42を駆動するアクチュエータを備えてもよい。この場合、アクチュエータは、スライドドア30の位置に応じて、カバー42を作動させることが好ましい。
【0104】
・開閉機構50は、スライドドア30の開閉作動に連動して、カバー42を作動させてもよい。例えば、開閉機構50は、スライドドア30が開作動するときに開方向に変位する一方でスライドドア30が閉方向に変位するレバーを備えてもよい。この場合、開閉機構50は、レバーの開閉方向への変位をカバー42に伝達すればよい。
【0105】
・開閉機構50は、ロアヒンジユニット24F,24Rの可動ヒンジ242の回動に伴いカバー42が被覆位置及び露出位置の間で変位できるのであれば、可動ヒンジ242とカバー42との動力伝達経路をどのように構成してもよい。例えば、ケーブル54は、ベルト又はリンクなどの他の動力伝達部材に置き換え可能である。
【0106】
・開閉機構50は、スライドドア30の開作動時において、従動レバー53がケーブル54を牽引することで、カバー42を被覆位置に変位させてもよい。一方、開閉機構50は、スライドドア30の閉作動時において、ねじりコイルばね57がケーブル54を牽引することで、カバー42を露出に変位させてもよい。
【0107】
・開閉機構50は、例えば、前後方向及び幅方向に直線状にカバー42を移動させることで、カバー42を被覆位置及び露出位置の間を変位させてもよい。また、開閉機構50は、上下方向に延びる軸線回りにカバー42を回転させることで、カバー42を被覆位置及び露出位置の間を変位させてもよい。このとき、開閉機構50は、保護プレート41の上面に沿ってカバー42を移動させてもよいし、保護プレート41の下面に沿ってカバー42を移動させてもよい。
【0108】
・車両10において、ロアストライカ27F,27Rをスライドドア30F,30Rにそれぞれ設置し、ロアロック装置36F,36Rを車体20に設置することもできる。この場合、ロアロック装置36F,36Rが「ドアロック部品」に相当する。
【0109】
・ロアレール33F,33Rは、車体20に設置してもよい。この場合、ロアヒンジユニット24F,24Rは、スライドドア30F,30Rにそれぞれ設置することが好ましい。
【0110】
・カバー装置40は、車両10の後部に開口するドア開口部21に適用することも可能である。この場合、カバー装置40は、バックドアの回動に応じて、ドア開口部21の底部に設置されるドアロック部品をカバー42で被覆したり露出させたりしてもよい。
【0111】
・車両10は、スイング式のフロントドアと、スライドドア30Rに相当するリアドアと、を備える車両であってもよい。すなわち、車両10は、両開き式のスライドドア30F,30Rを備えなくてもよい。
【0112】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
スライドドア支持装置は、ドア開口部を側部に有する車体と、前記ドア開口部を開閉するスライドドアと、を備える車両に適用される。スライドドア支持装置は、前記スライドドアの下端寄りに設置され、前記スライドドアの移動方向を規定するロアレールと、前記車体における前記ドア開口部の下端寄りかつ後端寄りに設置され、前記ロアレールに係合するロアヒンジユニットと、前記車体における前記ロアヒンジユニットよりも上方に設置され、前記スライドドアの移動方向を規定するセンターレールと、前記スライドドアにおける前記ロアレールよりも上方かつ後端寄りに設置され、前記センターレールに係合するセンターヒンジユニットと、を備える。前記ロアレールは、前記スライドドアの開方向に直線状に延びる第1ロアレールと、前記第1ロアレールの前記開方向における先端から前記開方向に進むにつれて車両幅方向における外方に円弧状に延びる第2ロアレールと、前記第2ロアレールの先端から直線状に延びる第3ロアレールと、を有する。前記ロアヒンジユニットは、前記車体に固定される固定ヒンジと、当該固定ヒンジに回動可能に支持される可動ヒンジと、当該可動ヒンジに回動可能に支持される2つのガイドローラと、を有する。前記センターレールは、前記スライドドアの閉方向に直線状に延びる第1センターレールと、前記第1センターレールの前記閉方向における先端から前記閉方向に進むにつれて車両幅方向における内方に円弧状に延びる第2センターレールと、前記第2センターレールの先端から直線状に延びる第3センターレールと、を有する。前記センターヒンジユニットは、前記スライドドアに固定される固定ヒンジと、当該固定ヒンジに回動可能に支持される可動ヒンジと、当該可動ヒンジに回動可能に支持される2つのガイドローラと、を有する。前記ロアヒンジユニットの2つのガイドローラは、前記ロアレールの長手方向に並んだ状態で前記ロアレールに係合し、前記スライドドアの開閉時に前記ロアレールに対して相対的に移動する。前記センターヒンジユニットの2つのガイドローラは、前記センターレールの長手方向に並んだ状態で前記センターレールに係合し、前記スライドドアの開閉時に前記センターレールに対して相対的に移動する。前記ロアヒンジユニットの2つのガイドローラのうち、一方のガイドローラが前記第1ロアレールに係合し、他方のガイドローラが前記第1ロアレール及び前記第2ロアレールの境界部に係合するとき、前記センターヒンジユニットの2つのガイドローラのうち、一方のガイドローラは前記第1センターレールに係合し、他方のガイドローラが前記第1センターレール及び前記第2センターレールの境界部に係合する。
【0113】
また、スライドドア支持装置において、前記ロアヒンジユニットの2つのガイドローラのうち、一方のガイドローラが前記第3ロアレールに係合し、他方のガイドローラが前記第2ロアレール及び前記第3ロアレールの境界部に係合するとき、前記センターヒンジユニットの2つのガイドローラのうち、一方のガイドローラは前記第3センターレールに係合し、他方のガイドローラが前記第2センターレール及び前記第3センターレールの境界部に係合することが好ましい。
【符号の説明】
【0114】
10…車両
20…車体
21…ドア開口部
22F,22R…アッパレール
23F,23R…センターレール
24,24R…ロアヒンジユニット
241…固定ヒンジ
242…可動ヒンジ
243…第1ガイドローラ
244…第2ガイドローラ
25F,25R…ドア駆動部
26F…フロントストライカ
26R…リアストライカ
27F,27R…ロアストライカ
30(30F,30R)…スライドドア(車両ドアの一例)
31F,31R…アッパヒンジユニット
32F,32R…センターヒンジユニット
33,33R…ロアレール
331…第1ロアレール
332…第2ロアレール
333…第3ロアレール
36F,36R…ロアロック装置
361…フック
40…カバー装置
41…保護プレート
411…露出孔
42…カバー
50…開閉機構
54…ケーブル
541…ワイヤ
57…ねじりコイルばね(付勢部材の一例)
59…リンク機構
591…駆動リンク
592…従動リンク
593…中間リンク
100(100F,100R)…スライドドア支持装置
図1
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