(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118941
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】太陽光パネル設置台
(51)【国際特許分類】
H02S 20/24 20140101AFI20220808BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20220808BHJP
F24S 25/61 20180101ALN20220808BHJP
【FI】
H02S20/24
E04D13/18 ETD
F24S25/61
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015803
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】321000989
【氏名又は名称】株式会社低重心システム研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090044
【弁理士】
【氏名又は名称】大滝 均
(72)【発明者】
【氏名】武蔵 孝昌
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108KS06
2E108LL01
2E108LL04
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】
風雨排水や防水、外的損傷の凹凸等のため平坦性が損なわれているビル屋上であっても、屋上コンクリート面と完全に密着でき、下部隙間からの風の吹き込みを避けることができる太陽光パネル設置台を提供する
【解決手段】
太陽光パネル設置台の骨組みの周囲を覆うフロントカバー部材、リアカバー部材並びに右側カバー部材及び左側カバー部材の各下端が、太陽光パネル設置台の設置面で外側に屈曲する所定幅の接着面部と、各接着面部と屋上設置面との間の密着層と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネル設置台の骨組みの周囲を覆うフロントカバー部材、リアカバー部材並びに右側カバー部材及び左側カバー部材の各下端が、太陽光パネル設置台設置面で外側に屈曲する所定幅の接着面部と、
各接着面部と屋上設置面との間の密着層と、
を有することを特徴とする太陽光パネル設置台。
【請求項2】
各カバー部材の下端の接着面部が、太陽光パネル設置台の内側に所定幅で延びる接着面部であることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル設置台。
【請求項3】
各カバー部材の下端の接着面部が、太陽光パネル設置台の外側及び内側の両方に所定幅で延びる接着面部であることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル設置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネル設置台に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の太陽光パネル設置台に関しては、本願発明者は既に特許第6219450号公報に開示のものを提案している。
特許第6219450号公報に開示の発明は、発明名称「太陽光発電パネル設置台」に係り、「・・ビル屋上にも太陽光発電パネルの設置が可能で、作業性の良い太陽光発電パネル設置台を提供することを目的とする」発明解決課題において(同公報明細書段落番号0012参照)、「一又は二以上の太陽光発電パネルを設置する設置台において、同設置台は、その設置台を構成するビル屋上面に接着剤で固定される最下に配置される複数本の架台と、同架台上に同方向に傾斜して配置される傾斜金具及び当該傾斜金具上に直行し、設置する太陽光発電パネルを裁置する複数の横支持金具からなり、これらが積み重なって構成される積み重ね骨組み材上には、一又は二以上の前記太陽光発電パネルが最低高さから上方に向けて傾斜して裁置され、かつ、周囲に太陽光発電パネルの下への風の吹き込みを防止する断面傾斜Z字形状の上部傾斜カバー及び下部傾斜カバー並びに断面L字形状の両サイドカバーからなるカバー壁を形成し、前記上部傾斜カバー及び前記下部傾斜カバーの下が前記架台の上端高さで開口した」構成とすることにより(同公報特許請求の範囲請求項1の記載等参照)、「(1)・・・揚力が発生することがなく、これまで困難とされてきた7階建て以上等の中上階建てビル屋上にも太陽光発電パネルの設置が可能となる。(2)揚力が発生しないので、設置台に対して軽い重量の重しを用いるだけで充分であり、屋上の損傷やメンテナンスが容易となる。(3)太陽光発電パネルの設置普及が図れることとなる。」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0014参照)。
【0003】
図5は、上記の特許第6219450号公報に
図6として添付される開示発明の実施例1に係る太陽光発電パネル設置台に9枚の太陽光発電パネルが設置された例を示す概略図であり、
図5において、符号101は、太陽光発電パネル設置台、102a、102b、102c、102dは、架台、109a~109iは、太陽光発電パネル、110は、上端傾斜カバー、111は、下部傾斜カバー、112aは、サイドカバー、113、113は、コーナーカバーである(符号は、先行技術であることを明らかにするために、本願出願人において、3桁に変更して説明した。)
【0004】
図5から明らかなように、上記特許第6219450号公報に開示の発明は、風による揚力発生防止を発明の効果とするものであったが((同公報明細書段落番号0014参照)、「上端傾斜カバー110及び下端傾斜カバー111の下が前記架台102a、102b、102c、102dの上端高さで開口した」構成としたため(同公報特許請求の範囲請求項1の記載等参照),実際上は、この開口から風が吹き込み不安定なものとなるなどの問題があった。
【0005】
なお、太陽光パネル設置台のカバーの下部に隙間を成形しない例としては、例えば、特開2012-134408号公報、実登3185012号公報、特開2014-224382号公報に開示のものも知られている。
これら公報に開示のものは、カバー下端に隙間を生じさせない構造のものであるが、実際上は設置面との間に隙間が生じ、風の吹き込み防止には今ひとつのものである。すなわち、ビル屋上等は、構造上は平坦で凹凸がないとされるが、実際上は、雨水の排水や防水のための溝が切られていたり、また、風雨や飛来物による損傷等で平坦とは言い難く、凹凸が生じていることが多く、カバー下端に隙間がないとしながらも、実際上は、これらの凹凸の間の隙間から風が吹き込むという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6219450号公報
【特許文献2】特開2012-134408号公報
【特許文献3】実登3185012号公報
【特許文献4】特開2014-224382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、風雨排水や防水、外的損傷の凹凸等のため平坦性が損なわれているビル屋上であっても、屋上コンクリート面と完全に密着でき、下部隙間からの風の吹き込みを避けることができる太陽光パネル設置台を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、太陽光パネル設置台において、太陽光パネル設置台の骨組みの周囲を覆うフロントカバー部材、リアカバー部材並びに右側カバー部材及び左側カバー部材の各下端が、太陽光パネル設置台設置面で外側に屈曲する所定幅の接着面部と、各接着面部と屋上設置面との間の密着層と、を有することを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、請求項1に記載の太陽光パネル設置台において、各カバー部材の下端の接着面部が、太陽光パネル設置台の内側に所定幅で延びる接着面部であることを特徴とする。
さらに、本願請求項3に係る発明は、請求項1に記載の太陽光パネル設置台において、各カバー部材の下端の接着面部が、太陽光パネル設置台の外側及び内側の両方に所定幅で延びる接着面部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように、太陽光パネル設置台の周囲のカバー下端が設置面であるビル屋上コンクリート面等の凹凸面を完全に密着することのできるため、吹き込む風に対する揚力が発生することなく、極めて安定な太陽光パネル設置台とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係る太陽光パネル設置台の一実施例である実施例1に係る太陽光パネル設置台を示す図である。
【
図2】
図2(A)は、前記フロントカバー部材2a~2cの断面図であり、同
図2(B)は、前記リアカバー部材3の断面図、同
図2(c)は、右側カバー部材5の断面図である。
【
図3】
図3は、各カバー部材2、3、4、5によって周囲が覆われた本実施例1に係る太陽光パネル設置台1の全体概略図である。
【
図4】
図4(A)(B)は、実施例2及び実施例3に係る太陽光パネル設置台のコンクリート面に接するフロントカバー部材2の接着面部の概略を示す断面概略図である。
【
図5】
図5は、特許第6219450号公報に
図6として添付される開示発明の実施例1に係る太陽光発電パネル設置台に9枚の太陽光発電パネルが設置された例を示す概略図であ
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る太陽光パネル設置台を実施するための一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例0012】
図1は、本発明に係る太陽光パネル設置台の一実施例である実施例1に係る太陽光パネル設置台を示す図である。
図1において、符号1は、本実施例1に係る太陽光パネル設置台、2は、3分割されているフロントカバー部材、3は、リアカバー部材、4は、左側カバー部材、5は、右側カバー部材、6a~6fは、太陽光パネル設置台1に載置される太陽光パネル、7は、同設置台1のベースレールである。
【0013】
また、
図2(A)は、前記フロントカバー部材2a~2cの断面図であり、同
図2(B)は、前記リアカバー部材3の断面図、同
図2(c)は、右側カバー部材5の断面図であり、これと対象に表れる左側カバー部材4の断面図は省略している。
図2(A)(B)(C)において、符号2aは、フロントカバー部材上部面、2bは、フロントカバー部材上部立ち上がり部、2cは、フロントカバー部材傾斜部、2dは、フロントカバー部材下部立ち上がり部、2eは、フロントカバー部材接着面部であり、3aは、リアカバー部材上部面、3bは、リアカバー部材上部立ち上がり部、3cは、リアカバー部材中部面、3dは、リアカバー部材中部立ち上がり部、3eは、リアカバー部材傾斜部、3fは、リアカバー部材下部面、3gは、リアカバー部材下部立ち上がり部、3hは、リアカバー部材接着面部、5aは、左側カバー部材4及び右側カバー部材5(以下、便宜上、まとめて「側カバー部材」と称することがある)の側カバー部材上部面、5bは、同側カバー部材側部面、5cは、同側部カバー部材接着面部であり、7は、前記ベースレール、8は、ビル屋上のコンクリート面、9は、各接着面部2e、3h、5cとビル屋上コンクリート面8との間に間挿されるコーキング材又はブチルテープ等からなる密着層である。
【0014】
図1及び
図2から明らかなように、本実施例1に係る太陽光パネル設置台1の各カバー部材2、3、4、5は、当該太陽光パネル設置台1の骨組みを外側から覆い、かつ、その下端は、設置される屋上コンクリート面8にまで延び、さらに、当該コンクリート面8に接着される所定幅の各接着面部2e、3h、5cを有し、そして、当該コンクリート面8と各接着面部2e、3h、5cとの間にコーキング材又はブチルテープ等の密着層が配置される構造としたものである。
すなわち、
図2(A)(B)(C)から明らかなように、各カバー部材2、3、4、5は、ベースレール7の接地面まで延びて、ベースレース7を外部に露出させることなく、かつ、実際上は凹凸面のあるコンクリート面8との間を完全に密着させる密着層9を有する太陽光パネル設置台1としたものである。
【0015】
図3は、各カバー部材2、3、4、5によって周囲が覆われた本実施例1に係る太陽光パネル設置台1の全体概略図であり、コンクリート面8及び密着層9は省略して描いている。
図3から明らかなように、ベースレール7の端部が外部に露出することなく、したがって,この部分から風が内部に吹き込むこともなく、また、各カバー部材2、3、4、5の下端の各接着面部2e、3h、5cの下に密着層9が配置されるので、設置面であるビル屋上コンクリート面8に凹凸面があったとしても、それを完全に塞いで密着することのできるため、この凹凸面の隙間から吹き込む風に対しても揚力が発生することなく、極めて安定的な太陽光パネル設置台1とすることができるようになるのである。
【0016】
なお、上記の各接着面部2e、3h、5cについては、設置面に対し平坦な面として説明したが、これは、コーキング材が外に流れ出ないように外縁部が盛り上がり内部が凹む形状であっても良く、また、コーキング材等との接着性を向上させる格子状等の切り込み凹部を下面に配する接着面としてもよいものである。
上述してきた実施例1に係る太陽光パネル設置台1の各カバー部材2,3、4、5の所定幅の各接着面部2e、3h、5cが、太陽光パネル設置台1の外側に所定幅で延びているのに対し、実施例2に係る太陽光パネル設置台の前記内向け接着面部2e’が太陽光パネル設置台の内側に延設して配置され、また、実施例3に係る太陽光パネル設置台では、前記内外両方向け接着面部2e”が太陽光パネル設置台の外側と内側の両方に延びた所定幅の接着面部である点で異なる。すなわち、各カバー部材の各接着面部を所定幅の接着面部とすることでは、実施例1に係る太陽光パネル設置台1と変わりはないが、その接着面部が外側ではなく内側に、又は、外側と内側の両方に延びた接着面部である点で異なる。なお、当該接着面部とコンクリート面8との間に密着層9を配置する点でも変わらない。