(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118944
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】エレベータ制御システムおよびエレベータ制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20220808BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015808
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】土井 裕介
(72)【発明者】
【氏名】井元 涼大郎
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CA01
3F303CA10
3F303CB24
3F303CB31
3F303DA08
3F303DB11
3F303DC01
3F303DC31
3F502JA04
3F502JA08
3F502KA02
3F502KA19
3F502MA01
3F502MA02
3F502MA07
3F502MA43
3F502MA48
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、忘れ物をした利用者に忘れ物があることを通知することに加えて早急に変換し、また、他者の持ち去りを防止するエレベータの運行管理を行うことができるエレベータ制御システムを提供する。
【解決手段】携帯端末1からのかご呼び要求を受信し、エレベータを制御する制御装置3A、3B、3Cに対して、前記かご呼び要求に基づくエレベータ制御指令を送信するエレベータ制御システムである通信サーバ2において、前記エレベータのかご内画像を受信する送受信部24と、前記かご呼び要求から作成される呼び情報を格納する呼び格納部21とを備え、前記送受信部24は、かご内画像に人が検出されず、物品が検出された場合に、前記呼び格納部21に格納された呼び情報を参照し、前記携帯端末1にエレベータへの忘れ物を通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末からのかご呼び要求を受信し、エレベータを制御する制御装置へ、前記かご呼び要求に基づくエレベータ制御指令を送信するエレベータ制御システムにおいて、
前記エレベータのかご内画像を受信する受信部と、
前記かご呼び要求から作成される呼び情報を格納する呼び格納部と、
前記かご内画像に人が検出されず、物品が検出された場合に、前記呼び格納部に格納された呼び情報を参照し、前記携帯端末にエレベータへの忘れ物を通知する送信部を備えるエレベータ制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータ制御システムにおいて、
前記送信部は、予め定められた所定時間内に呼び要求を送信した携帯端末にエレベータへの忘れ物を通知するエレベータ制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載のエレベータ制御システムにおいて、
前記送信部は、予め定められた所定数以内の呼び情報に対応する携帯端末にエレベータへの忘れ物を通知するエレベータ制御システム。
【請求項4】
請求項2に記載のエレベータ制御システムにおいて、
さらに、前記忘れ物の位置を案内する案内情報を作成する案内作成部を有し、
前記受信部は、前記案内情報を、前記携帯端末にエレベータへの忘れ物を通知するエレベータ制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載のエレベータ制御システムにおいて、
前記案内作成部は、地図情報を含む前記案内情報を作成するエレベータ制御システム。
【請求項6】
携帯端末からのかご呼び要求を受信し、エレベータを制御する制御装置へ、前記かご呼び要求に基づくエレベータ制御指令を送信するエレベータ制御システムを用いたエレベータ制御方法において、
受信部により、前記エレベータのかご内画像を受信し、
呼び格納部に、前記かご呼び要求から作成される呼び情報を格納し、
送信部により、前記かご内画像に人が検出されず、物品が検出された場合に、前記呼び格納部に格納された呼び情報を参照し、前記携帯端末にエレベータへの忘れ物を通知するエレベータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかご内で集められた情報を用いて、エレベータを制御するための技術に関する。
【0002】
なお、制御には、乗客に対する通知やいわゆる運行制御が含まれる。また、かご内の情報には、画像情報や秤の重さなどが含まれる。
【背景技術】
【0003】
エレベータのかご内や乗場でカメラにより撮影された画像を処理し、得られた情報を用いてエレベータの利用者の利便性を高める施策が行われている。例えば、特許文献1では、忘れ物や落とし物を防止するといった観点で、エレベータのかごに乗車した乗客を撮影した画像を処理し、忘れ物等を検知した場合に乗客に対してかご内に設置されたスピーカや乗客の携帯端末から注意喚起を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような従来技術では利用者の移動が速くスピーカからの注意喚起が聞こえなかった場合や、エレベータが他の階へ移動を始めてしまった場合、利用者が忘れ物を回収するのに困難であり、忘れ物を持ち主へ返還することへの考慮がなされていない。このように、従来技術においては、かご内の情報に基づいたエレベータの運行制御が困難であった。
【0006】
ここで、現在、スマートホンなどの携帯端末を用いてエレベータの呼びを作成する機能(以下、スマホ呼び)技術が提案されている。そこで、本発明ではこの不都合を鑑みてなされたもので、その目的は、スマホ呼びを利用して、かご内の情報に基づいた処理を実行することである。その一例として、スマホ呼びを活用したエレベータの忘れ物への対応を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、本発明では、携帯端末からのかご呼び要求を受信し、エレベータを制御する制御装置へ前記かご呼び要求に基づくエレベータ制御指令を送信するエレベータ制御システムにおいて、前記エレベータのかご内画像を受信する受信部と、前記かご呼び要求から作成される呼び情報を格納する呼び格納部と、前記かご内画像に人が検出されず、物品が検出された場合に、前記呼び格納部に格納された呼び情報を参照し、前記携帯端末にエレベータへの忘れ物を通知する送信部を備えるエレベータ制御システムを採用した。
【0008】
なお、本発明には、エレベータ制御システムを用いたエレベータ制御方法やエレベータ制御システムをコンピュータとして機能させるためのコンピュータプログラムも含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、かご内の情報に基づいた乗客への通知やエレベータの制御を含む処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例におけるシステム構成図である。
【
図2】本発明の一実施例におけるエレベータ制御システムとして機能する通信サーバの構成図である。
【
図3】本発明の一実施例における呼び情報を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例における個人データを示す図である。
【
図5A】本発明の一実施例における全体処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【
図5B】本発明の一実施例における全体処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【
図6】本発明の一実施例におけるデフォルト画像作成手順を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施例における案内情報の作成手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。まず、
図1は、本実施例のシステム構成図である。本実施例では、1つのビルに設置された3台のエレベータ(A号機~C号機)を、通信サーバ2からの指令に応じて、各制御装置(3A~3C)によって制御する。そして、エレベータ制御システムとして機能する通信サーバ2は、ネットワーク60を介して、携帯端末1や関係者端末50と接続されている。また、本実施例では、通信サーバ2は、専用回線を用いて、号機別検出装置(4A~4C)と接続するが、ネットワーク60を介して接続してもよい。以下、これらの各構成の詳細を説明する。
【0012】
まず、A号機のエレベータは、制御装置3Aと、号機別検出装置4Aと、乗かご5Aと釣合錘6Aと、巻上機7Aと、テールコード8A、かご内カメラ10Aを備える。巻上機7Aは、主ロープ9Aを駆動することで乗りかご5Aと釣合錘6Aを昇降路内でつるべ式に昇降させる。また、制御装置3Aは、乗かご4Aの扉の開閉、照明の点灯、行先の指定、操作盤内9A内におけるかご内表示等を制御する。制御装置3Aは、これらの制御を行うための制御信号は通信サーバ2にも伝送する。
【0013】
このため、通信サーバ2は、A号機のかご内の情報を逐次取得することができる。さらに、通信サーバ2は、制御装置3Aへ制御指令を送信することで、上述の制御を実現することも可能である。B号機、C号機のエレベータもA号機と同様の構成である。なお、ここでは三台のエレベータを管理する構成を例示しているが、任意台数のエレベータを管理対象としてもよい。さらに、通信サーバ2の代わりにもしくは追加して群管理制御装置を設け、群管理制御システムとして、本実施例を実現しても良い。以上で、
図1の概要の説明を終わり、以下、
図1の各装置の詳細について、説明する。
【0014】
まず、携帯端末1について説明する。携帯端末1は、上述のスマホ呼びを実現するために、乗客が利用する装置である。そして、携帯端末1は、スマホ呼び作成部11と送受信部12と切り離し制御部13と個人データ保持部14を備える。なお、携帯端末1はスマートホン相当のものを想定しており、上記の11~14の機能を有したアプリケーションをインストールしたものとしても良い。以下、携帯端末1の各構成について説明する。
【0015】
まず、スマホ呼び作成部11は、エレベータに対する呼びを行うための呼び要求を作成する。この呼び要求には、端末ID、呼び階、目的階、移動方向および建物IDが含まれる。端末IDは、携帯端末1もしくは利用者を識別する情報であり、個人データ保持部14に格納されている。また、呼び階および目的階はそれぞれ呼び出すエレベータの呼び階、目的階を示す。さらに、移動方向は呼び出すエレベータの移動方向(上下)を示す。またさらに、建物IDは呼び出しを行うエレベータが設置された建物を識別する。これらの情報は、携帯端末1の利用者からの入力に従って作成される。
【0016】
また、送受信部12は、スマホ呼び作成部11で作成した呼び要求や後述の個人データ保持部14で保持しているデータを、通信サーバ2に送信し、また通信サーバ2からの情報を取得する。
【0017】
切り離し制御部13は、通常時は無効化されており、後述の通信サーバ2から忘れ物の通知が来た際に有効化され降車階への呼び戻しや扉の開閉を制御する。さらに、個人データ保持部14は、携帯端末1もしくはユーザーを識別する個人データを保持し、前述の送受信部12で送受信の際に用いる。なお、個人データについては、
図4を用いて後述する。さらに、
図1では、携帯端末1を1台のみ記載したが、本実施例では、複数台接続されることが可能である。
【0018】
なお、これらの各部は、ショートメッセージサービスを含むメッセージを送受信可能なソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のアプリケーションで実現することも可能である。
【0019】
次に、関係者端末50について説明する。関係者端末50は、エレベータの保守員、管理者やエレベータが設置されたビルの管理者などで用いられる。なお、
図1では、関係者端末50を1台のみ記載したが、複数台であってもよい。
【0020】
関係者端末50は、位置作成部51、送受信部52および切り離し制御部53を備える。位置作成部51は、利用者からの入力に応じて、忘れ物の保管位置を作成する。また、送受信部52は、送受信部12と同様に、ネットワーク60を介して、通信サーバ2と接続する機能を有する。さらに、切り離し制御部53は、切り離し制御部13と同様に、呼び要求を作成する機能を有する。但し、切り離し制御部53は、省略してもよい。
【0021】
さらに、関係者端末50は、タブレットの他、スマートホンやPCで実現でき、上述の各機能を、コンピュータプログラムを用いて実行できる。
【0022】
次に、通信サーバ2の構成を説明する。通信サーバ2は呼び格納部21、切り離し制御部22、個人データ保持部23、送受信部24を備える。
【0023】
通信サーバ2は、携帯端末1からのかご呼び要求を受信し、エレベータを制御する制御装置3A~3Cに対して、かご呼び要求に基づくエレベータ制御指令を送信する機能を有する。より具体的には、通信サーバ2は、携帯端末1から、ネットワーク60を介して送られてきた呼び要求からさら作成される呼び情報を保存し、その呼び情報に適した号機を選定し、各号機の制御装置に制御指令を送信する。このために、呼び格納部21は、携帯端末1から送られてきた呼び要求に基づく、呼び情報を保存する。そして、切り離し制御部22は、携帯端末1から送られてくる呼び要求から呼び情報を作成し、これを用いて、制御指令を作成し、後述の送受信部24を用いて、号機別検出装置を通じて各号機の制御装置に制御指令を送信する。
【0024】
個人データ保持部23は、携帯端末1からネットワーク60を介して送られてくる個人データを保持する。この個人データは、忘れ物通知の際の連絡先に用いられる。
【0025】
そして、送受信部24は携帯端末1、号機別検出装置や制御装置との通信を行う。この通信には、上述のかご内の情報を示す秤の重さもしくは画像情報(以下、単に画像と称する)のやり取りが含まれる。なお、送受信部24は、送信部と受信部の2つの構成要素で実現してもよい。
【0026】
また、無人検知部25および忘れ物検知部26は、エレベータのかご内の状況を検知する。このうち、無人検知部25は、かご内が無人であることを検知する。そして、忘れ物ことが含まれる。忘れ物検知部26は、かご内に忘れ物が存在するかを検知する。
【0027】
また、通知先特定部27は、忘れ物の存在を通知する携帯端末1を特定する。案内作成部28は、忘れ物が管理者等により回収され、保管場所に移動された場合の案内情報を作成する。これらの処理の詳細は、フローチャートを用いて後述する。
【0028】
ここで、通信サーバ2の機能をコンピュータプログラムで実現した場合の、構成図を
図2に示す。通信サーバ2は、いわゆるコンピュータで実現でき、ネットワークI/F71、処理部72、主記憶装置73および補助記憶装置74を備える。
【0029】
ネットワークI/F71は、ネットワーク60や号機別検出装置に繋がる専用回線と接続し、送受信部24に相当する機能を有する。処理部72は、CPUのようなプロセッサで実現でき、後述する各コンピュータプログラムに従って処理を実行する。
【0030】
主記憶装置73は、いわゆるメモリで実現でき、処理部72での処理を実行するために、各コンピュータプログラムが展開される。各コンピュータプログラムは、
図1に示す各部に相当する処理を実行するためのもので、以下の対応関係を有する。
切り離し制御プログラム82:切り離し制御部22
無人検知プログラム85:無人検知部25
忘れ物検知プログラム86:忘れ物検知部26
通知先特定プログラム87:通知先特定部27
案内作成プログラム88:案内作成部28
なお、これら各コンピュータプログラムは、通常は補助記憶装置74などの記憶媒体に格納されており、利用の際に主記憶装置73に展開されることになる。
【0031】
さらに、補助記憶装置74は、呼び格納部21や個人データ保持部23に相当する。つまり、補助記憶装置74は、呼び情報81や個人データ83を記憶する。
【0032】
次に、
図1に戻り、エレベータが設置されているビル、建物側の各装置について、説明する。制御装置3Aは、通信サーバ2から送られてくる制御指令を元にエレベータの走行及びドアの開閉を行う。また、号機別検出装置4Aは、かご映像取得部41Aとかご映像保存部42Aとかご映像処理部43Aを備える。
【0033】
ここで、かご映像取得部41Aは、かご内カメラ10Aの映像を取得する。また、かご映像保存部42Aは、かご映像取得部41Aから得られるデータを保存する。さらに、かご映像処理部43Aは、かご映像保存部42Aに保存されているデータを用いて忘れ物の判別処理を行う。なお、かご映像処理部43Aは、コンピュータプログラムに従ってその機能を実現してもよいし、専用回路として実現してもよい。
【0034】
次に、通信サーバ2の処理で用いられる呼び情報81および個人データ83について、説明する。まず、
図3に呼び情報81を示す。呼び情報81は、呼びID、端末ID、エレベータID、呼び時間、呼び完了、忘れ物の有無、通知時間、忘れ物回収を備える。また、上述のように、携帯端末1から送信された呼び要求を用いて、切り離し制御部22がこの呼び情報81を作成する。
【0035】
呼びIDは、呼び情報81を識別する情報である。また、端末IDは、呼び要求に含まれる端末IDである。また、エレベータIDは、呼び要求に応じて制御する、つまり呼び出すエレベータを識別する情報である。また、呼び時間は、呼び要求を受信した時間ないし呼び情報に応じた制御指令を出力する時間を示す情報である。呼び終了は、制御指令に応じたエレベータが運行されたかを示す情報である。
【0036】
また、忘れ物の有無は、呼び出されたエレベータのかご内に忘れ物があるかを示す情報である。なお、呼び終了で運行が終了した場合に、忘れ物の有無が記録されることになる。これ以前は、Null(-)となる。通知時間は、忘れ物があった場合、該当の携帯端末1にその旨が通知された時間を示す。また、忘れ物回収は、検知された忘れ物が回収されたか否かを示す情報である。
【0037】
次に、
図4に、本実施例における個人データ83を示す。この個人データ83は、個人データ保持部14に格納される個人データを同じ項目を有する。具体的には、個人データ83は、端末ID、氏名、番号、SNS(ID)を有する。端末IDは上述の端末IDと同じものである。また、氏名は、携帯端末1の利用者の氏名を示す。また、番号は、携帯端末1の電話番号を示す。さらに、SNS(ID)は、SNSの識別IDやメールアドレスを含む。なお、個人データ83は、端末IDなど、これらのうちその一部であってもよい。さらに、個人データ83は、呼び要求と共に、携帯端末1から送信される。
【0038】
次に、本実施例における処理手順について、
図5A~
図7を用いて説明する。まず、
図5Aおよび
図5Bに従い、通信サーバ2の全体処理手順を説明する。ここで、説明の際に忘れ物が発生した号機はA号機であるとして説明するが、B,Cも同様な処理の流れとなる。また、
図1に示す各部を処理主体として説明する。
【0039】
なお、
図5Aの前に、通信サーバ2は、携帯端末1から呼び要求および個人データを受信し、切り離し制御部22が呼び情報81を作成しているものとする。また、この結果、呼び格納部21に呼び情報81が、個人データ保持部23に個人データ83が記憶されているものとする。以下、
図5Aの各ステップについて説明する。
【0040】
まず、ステップS1において、切り離し制御部22は、A号機の走行が終了したかを判断する。終了していれば(Yes)、ステップS2に遷移し、終了していなければ(No)、ステップS1を継続する。
【0041】
次に、ステップS2において、かご映像取得部41Aは、デフォルト画像を作成する。ここで、デフォルト画像の作手順を、
図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0042】
ステップSS21において、かご映像処理部43Aは、本フローチャートでの処理を開始するか判断する。つまり、かご映像処理部43Aは、走行終了後から、予め設定された一定時間以上呼びが作成されていないかを判断する。この結果、作成されていない場合(Yes)、ステップSS22に遷移する。作成されている場合(No)、ステップSS21を繰り返す。
【0043】
次に、ステップSS22において、かご映像取得部41Aは、かご5A内画像を取得し、かご映像保存部42Aに記録する。そして、ステップSS23において、かご映像取得部41Aは、保存データをデフォルト画像として設定する。なお、ステップSS23は、切り離し制御部22が実行してもよい。この場合、デフォルト画像を通信サーバ2の補助記憶装置74に格納する。
【0044】
なお、本実施例では、デフォルト画像の作成を、
図5AのステップS1以降で行っているが、他のタイミングで実行してもよい。例えば、エレベータの試験運転の際や関係者端末50などを介した関係者からの指示に従って実行してもよい。以上で、
図6の説明を終了し、
図5Aの説明に戻る。
【0045】
次に、ステップS3において、切り離し制御部22は、終了した走行がスマホ呼びであったかを判断する。つまり、携帯端末1からの呼び要求があったかを確認する。このために、切り離し制御部22は、終了した走行に対応する呼び情報81が存在するかを確認する。この結果、スマホ呼びだった場合(Yes)、ステップS4に遷移する。スマホ呼びでない場合(No)、ステップS21に遷移する。
【0046】
次に、ステップS4において、切り離し制御部22は、個人データ83の記録を維持する。このために、切り離し制御部22は、受信した個人データを、一旦、主記憶装置73に記憶しておき、これを補助記憶装置74に移動することが望ましい。
【0047】
次に、ステップS5において、無人検知部25は、A号機において走行後のかご5A内が無人であるかを判断する。このために、無人検知部25は、かご5Aに設けられた重量計で計測されたかご内重さやかご内カメラ10Aで撮影されたかご内画像を用いる。例えば、かご内画像で人が検出されない場合に無人と判断される。
【0048】
なお、この判断は、かご映像処理部43Aで実行し、無人検知部25は、この結果を受信してもよい。この結果、無人の場合(Yes)、ステップS6に遷移する。また、無人でない場合(No)、ステップS21に遷移する。
【0049】
次に、ステップS6およびS7において、忘れ物検知部26は、かご5A内に、物品がないかを検出する。このことで、忘れ物の有無を判断できる。このために、まず、ステップS6において、忘れ物検知部26は、かご映像保存部42Aに保存されたデフォルト画像とかご映像取得部41Aより取得したかご内画像との比較を行う。この処理は、かご映像処理部43Aが実行し、この結果を忘れ物検知部26が受信してもよい。なお、ここで用いられるかご内画像は、かご映像保存部42Aもしくは通信サーバ2の補助記憶装置74に保存される。
【0050】
次に、ステップS7において、忘れ物検知部26は、デフォルト画像と現在の画像で差分があるかを判断する。この結果、差分がある場合、かご映像処理部43Aは忘れ物があると判断し(Yes)、ステップS8に遷移する。また、差分がない場合(No)、ステップS21に遷移する。以上のように、ステップS5でかご画像内に人が検出されず、またステップS6およびS7でかご内に物品が検出しない場合、ステップS8に遷移することになる。
【0051】
なお、ステップS7もステップS6と同様に、かご映像処理部43Aが実行し、この結果を忘れ物検知部26が受信してもよい。また、デフォルト画像は、通信サーバ2ないし号機別検出装置4Aの記憶装置に記憶されているものとする。
【0052】
ステップS8において、通知先特定部27は、ステップS7で検出された物品に関する連絡先を特定し、通知を行う。このために、通知先特定部27は、呼び情報81を用いて、上述のA号機に対する呼び要求に対応する呼び情報81を特定する。そして、通知先特定部27は、特定された呼び情報81の端末IDに該当する個人データ83を特定する。この結果、連絡先として番号やSNS(ID)が特定される。より具体的には、通知先特定部27は、呼び情報81のうち、該当のエレベータIDであって、呼び時間が一定時間以内もしくは最新の呼び情報81の端末IDを特定する。
【0053】
また、他の例として、通知先特定部27は、呼び情報81のうち、該当のエレベータIDであって、所定数(レコード)以内の呼び情報81の端末IDを特定する。なお、一定時間や所定数は、通信サーバ2が記憶している。
【0054】
そして、通知先特定部27は、送受信部24を介して、かご内5Aに忘れ物があることを、特定された携帯端末1の連絡先に向けて通知する。この際、連絡を行う手段はSMS、電話での音声案内、各種アプリなど手段は問わない。また、送信する情報は忘れ物が発生した旨のメッセージ以外にもステップS5で利用したかご内画像をメッセージと一緒に送付しても良い。
【0055】
次に、
図5Bを用いて、ステップS9以降の処理について説明する。ステップS9において、案内作成部28は、忘れ物の位置を示す案内情報を作成し、特定された携帯端末1に対して、通知する。この処理の詳細を、
図7を用いて説明する。なお、案内作成部28が
図7の各ステップを周期的に繰り返して実行する。
【0056】
まず、ステップSS91において、案内作成部28は、ステップS5で利用されたかご内画像との本ステップを実行する際の画像を比較して、差分の有無を判断する。この結果、差分があれば(Yes)、忘れ物が回収もしくは持ち去られたと判断して、ステップSS93に遷移する。差分がなければ(No)、ステップSS92に遷移して案内作成部28は、忘れ物がエレベータ(カゴ5A)内に残っていると判断する。そして、ステップSS96に遷移する。
【0057】
次に、ステップSS93において、案内作成部28は、関係者端末50から忘れ物が回収されたこと示す回収通知を受信したかを判断する。この結果、回収通知があれば(Yes)、ステップSS95に遷移する。ここで、この回収通知には、保管場所を特定するための情報が含まれる。保管場所としては、建物の受付や保守員の控室などが含まれる。また、回収通知がない場合(No)、ステップSS94に遷移する。なお、関係者端末50は、位置作成部51により、保管場所を特定し、送受信部52により回収通知を行う。
【0058】
次に、ステップSS94において、案内作成部28は、忘れ物の場所が不明であるとの案内情報を作成する。
【0059】
また、ステップSS95において、案内作成部28は、受信した回収通知に基づいて、保管場所を特定する
そして、ステップSS96において、送受信部24が、ステップS7で特定された連絡先に、忘れ物が置かれている場所を含む案内情報を送信する。この場所は、ステップSS92、SS94およびSS95で特定される。なお、案内情報には、保管場所を示す地図情報が含まれてもよい。以上で、
図7の説明を終了し、
図5Bの説明に戻る。
【0060】
次に、ステップS10において、送受信部12は、ステップS9に対する返信を受信する。次に、ステップS11において、切り離し制御部22は、エレベータが単独(1台)か、
図1のように複数台の建物であるかを判断する。この結果、単独(Yes)であれば、ステップS12に遷移する。また、複数台(No)であれば、ステップS14に遷移する。
【0061】
次に、ステップS12において、切り離し制御部22は、通常運転を維持する。次に、ステップS13において、切り離し制御部22は、呼び時間から一定時間が経過したかを判断する。この結果、一定時間が経過した場合(Yes)、ステップS20に遷移する。また、一定時間が経過していない間(No)はステップS16に遷移する。
【0062】
また、ステップS14において、切り離し制御部22は、呼び時間から一定時間が経過したかを判断する。この結果、一定時間が経過した場合(Yes)、ステップS12に遷移する。また、一定時間が経過していない間(No)はステップS15に遷移する。
【0063】
次に、ステップS15において、切り離し制御部22は、忘れ物が発生したエレベータを目的階にて一定時間ドア閉して待機させる制御指令を生成し、送受信部24を用いて制御装置3Aに送信する。この結果、制御装置3Aは、エレベータを、目的階にて一定時間ドア閉して待機させる。
【0064】
次に、ステップS16において、切り離し制御部22は、一定時間内に、携帯端末1からステップS8に対する応答があるかを判断する。応答があった場合(Yes)、ステップS19に遷移する。この際、応答者、つまり、携帯端末1に対して該当のエレベータのドアの制御権を付与してもよい。また、応答がなかった場合(No)、ステップS14に遷移する。
【0065】
また、ステップS17において、ステップS16と同様に、切り離し制御部22は、一定時間内に、携帯端末1からステップS8に対する応答があるかを判断する。応答があった場合(Yes)、ステップS18に遷移する。また、応答がなかった場合(No)、ステップS13に遷移する。
【0066】
次に、ステップS18において、切り離し制御部22は、応答者が降車した階(目的階)へ忘れ物が発生した該当エレベータを移動させるための制御指令を作成する。そして、ステップS19に遷移するが、この際、切り離し制御部22は、該当のエレベータのドアの制御権を付与してもよい。
【0067】
次に、ステップS19において、応答者の操作に応じて携帯端末1が、ドアの制御権を用いた場合(Yes)、ステップS19において制御装置3Aによりドアが開かれる。このために、切り離し制御部22は、携帯端末1から送信される制御指示に基づき、制御指令を作成する。そして、送受信部24が制御指令を制御装置3Aに送信する。また、ドアの制御権を用いない場合(No)、ステップS19をループする。
【0068】
そして、ステップS21において、切り離し制御部22は、忘れ物は回収されたとして個人データをクリアする。なお、ステップS9における案内通知に応じて、応答者が保管場所で忘れ物を受け取った場合、関係者端末50から受け取ったことを示す情報を、送受信部24が受信する。これを受けて、切り離し制御部22は、忘れ物は回収されたとして個人データ83をクリアする。
【0069】
以上の本実施例によれば、忘れ物をした利用者へ通知やエレベータの制御を許可することで容易に忘れ物を持主へ返還する(降車階呼び戻し)ことで利便性の向上とともに持ち去り等の防犯性能(ドア開閉の制御)を向上できる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・携帯端末、11・・・スマホ呼び作成部、12・・・送受信部、 13・・・切り離し制御部、14・・・個人データ保持部、2・・・通信サーバ、21・・・呼び格納部、22・・・切り離し制御部、23・・・個人データ保持部、24・・・送受信部、25・・・無人検知部、26・・・忘れ物検知部、27・・・通知先特定部、28・・・案内作成部、3A,3B,3C・・・制御装置、4A,4B,4C・・・号機別検出装置、41A,41B,41C・・・かご映像取得部、42A,42B,42C・・・かご映像保存部、43A,43B,43C・・・かご映像処理部、10A,10B,10C・・・かご内カメラ、50・・・関係者端末、51・・・位置作成部、52・・・送受信部、53・・・切り離し制御部、60・・・ネットワーク