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特開2022-118968落水検知ユニット、携帯端末及びサーバ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022118968
(43)【公開日】2022-08-16
(54)【発明の名称】落水検知ユニット、携帯端末及びサーバ装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/08 20060101AFI20220808BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20220808BHJP
   B63C 9/00 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
G08B21/08
G08B25/10 D
G08B25/10 A
B63C9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021015847
(22)【出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110882
【氏名又は名称】ニチモウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】谷下 智紀
(72)【発明者】
【氏名】村田 修久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寿一
(72)【発明者】
【氏名】熊沢 泰生
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA23
5C086CA03
5C086CA06
5C086CA11
5C086CA17
5C086CA21
5C086CA25
5C086DA08
5C086EA13
5C086EA41
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB20
5C087BB76
5C087DD03
5C087DD16
5C087EE08
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF03
5C087FF04
5C087FF23
5C087GG08
5C087GG17
5C087GG35
5C087GG67
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】      (修正有)
【課題】船員の落水後の浮上時に、船員の落水の検知を維持するとともに、船員の落水を確実に通知する落水検知ユニットを提供する。
【解決手段】船員に装備される落水検知ユニットUは、船員の周囲の水環境のデータを出力する水環境センサ1と、水環境のデータに基づいて、船員の落水を検知する落水検知部21と、船員の落水の情報を片方向通信にて連続的に通知する、ビーコン信号を発信する落水通知部23と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船員に装備され前記船員の周囲の水環境のデータを出力する水環境センサと、
前記水環境のデータに基づいて、前記船員の落水を検知する落水検知部と、
前記船員の落水の情報を片方向通信にて連続的に通知する、ビーコン信号を発信する落水通知部と、
を備えることを特徴とする落水検知ユニット。
【請求項2】
前記船員の落水の情報をメモリへ書き込み、前記船員の落水後の浮上の有無によらず、前記船員の落水の情報を前記メモリへ継続して書き込む落水記憶部、をさらに備え、
前記落水通知部は、前記船員の落水の情報の前記メモリへの継続した書き込みに基づいて、前記船員の落水の情報を通知する前記ビーコン信号を発信する
ことを特徴とする、請求項1に記載の落水検知ユニット。
【請求項3】
前記落水検知部は、前記船員の落水を検知している状態が所定の時間以上の時間も継続していることに基づいて、前記船員の落水を暫定的ではなく確定的に検知する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の落水検知ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の落水検知ユニットから、前記船員の落水の情報を取得したときに、前記船員の落水の情報を中継して通知することを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
前記落水検知ユニットから、前記船員の落水の情報を取得したときに、自端末の位置を前記船員の落水の位置として通知することを特徴とする、請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の携帯端末から、前記船員の落水の情報を取得したときに、前記船員の落水の情報を予め登録した端末に中継して通知することを特徴とするサーバ装置。
【請求項7】
請求項5に記載の携帯端末から、前記船員の落水の位置を取得したときに、前記船員の落水の位置を前記予め登録した端末に中継して通知し、前記携帯端末から、前記船員の落水の位置を取得できないときに、風速又は潮流に基づいて推定した前記船員の落水の位置を前記予め登録した端末に通知することを特徴とする、請求項6に記載のサーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船員の落水を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
船員の落水を検知する技術が、特許文献1及び非特許文献1等に開示されている。特許文献1では、図1に示したように、船員Cに装備される無線タグRの通信不能に基づいて、船員Cの落水を検知している。非特許文献1では、図2に示したように、船員Cに装備される携帯端末Pの水濡れに基づいて、船員Cの落水を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-293384号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】和田雅昭、「海中転落者のための救助支援システムの開発と評価」、情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)、情報処理学会、2006年、54巻、2006-UBI-011、pp.31-38
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、船員Cの落水時には、無線タグRの通信不能に基づいて、船員Cの落水を検知する。しかし、船員Cの浮上時には、無線タグRの通信可能に基づいて、船員Cの落水を解除する可能性がある。よって、船員Cが救難されない可能性がある。
【0006】
非特許文献1では、船員Cの落水時には、携帯端末Pの水濡れに基づいて、船員Cの落水を検知するが、携帯端末Pの通信不能によって、携帯端末Pのペアリング確立が中止される。そして、船員Cの浮上時には、携帯端末Pの通信可能に関わらず、携帯端末Pの非水濡れに基づいて、船員Cの非落水を検知するため、携帯端末Pのペアリング確立が実行されない可能性がある。よって、船員Cが救難されない可能性がある。ここで、ペアリングとは、相互の機器間で登録と認証を行うことで、双方向通信にて成り立つ。
【0007】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、船員の落水後の浮上時において、船員の落水の検知を維持するとともに、船員の落水の通知を確実にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、船員の周囲の水環境のデータに基づいて、船員の落水を検知したうえで、船員の落水の情報を片方向通信にて連続的に通知する、ビーコン信号を発信することとした。
【0009】
具体的には、本開示は、船員に装備され前記船員の周囲の水環境のデータを出力する水環境センサと、前記水環境のデータに基づいて、前記船員の落水を検知する落水検知部と、前記船員の落水の情報を片方向通信にて連続的に通知する、ビーコン信号を発信する落水通知部と、を備えることを特徴とする落水検知ユニットである。
【0010】
この構成によれば、ビーコン信号は、ペアリング確立を不要とし、船員の落水時にも、中断されることなく、船員の落水後の浮上時には、引き続き発信される。よって、船員の落水後の浮上時において、船員の落水の通知を確実にすることができる。
【0011】
また、本開示は、前記船員の落水の情報をメモリへ書き込み、前記船員の落水後の浮上の有無によらず、前記船員の落水の情報を前記メモリへ継続して書き込む落水記憶部、をさらに備え、前記落水通知部は、前記船員の落水の情報の前記メモリへの継続した書き込みに基づいて、前記船員の落水の情報を通知する前記ビーコン信号を発信することを特徴とする落水検知ユニットである。
【0012】
この構成によれば、船員の落水の検知は、船員の落水後の浮上時に、解除されたとしても、船員の落水の情報は、船員の落水後の浮上時にも、メモリに維持される。よって、船員の落水後の浮上時において、船員の落水の検知を維持することができる。
【0013】
また、本開示は、前記落水検知部は、前記船員の落水を検知している状態が所定の時間以上の時間も継続していることに基づいて、前記船員の落水を暫定的ではなく確定的に検知することを特徴とする落水検知ユニットである。
【0014】
この構成によれば、船員の甲板等での水濡れによる落水検知ユニットの一時的な水濡れを検知するだけでは、船員の落水を誤って検知することがないようにすることができる。
【0015】
また、本開示は、以上に記載の落水検知ユニットから、前記船員の落水の情報を取得したときに、前記船員の落水の情報を中継して通知することを特徴とする携帯端末である。
【0016】
この構成によれば、落水した船員の近傍の携帯端末を用いて、後述のサーバ装置を介して、落水した船員の拠点又は家族及び落水した船員の近隣の船舶に対して、船員の落水の情報を通知することができる。
【0017】
また、本開示は、前記落水検知ユニットから、前記船員の落水の情報を取得したときに、自端末の位置を前記船員の落水の位置として通知することを特徴とする携帯端末である。
【0018】
この構成によれば、落水した船員の近傍の携帯端末を用いて、後述のサーバ装置を介して、落水した船員の拠点又は家族及び落水した船員の近隣の船舶に対して、船員の落水の位置を通知することができる。
【0019】
また、本開示は、以上に記載の携帯端末から、前記船員の落水の情報を取得したときに、前記船員の落水の情報を予め登録した端末に中継して通知することを特徴とするサーバ装置である。
【0020】
この構成によれば、サーバ装置を用いて、落水した船員の近傍の携帯端末を介して、落水した船員の拠点又は家族及び落水した船員の近隣の船舶に対して、船員の落水の情報を通知することができる。
【0021】
また、本開示は、以上に記載の携帯端末から、前記船員の落水の位置を取得したときに、前記船員の落水の位置を前記予め登録した端末に中継して通知し、前記携帯端末から、前記船員の落水の位置を取得できないときに、風速又は潮流に基づいて推定した前記船員の落水の位置を前記予め登録した端末に通知することを特徴とするサーバ装置である。
【0022】
この構成によれば、サーバ装置を用いて、落水した船員の近傍の携帯端末を介して、落水した船員の拠点又は家族及び落水した船員の近隣の船舶に対して、船員の落水の位置を通知することができる。そして、落水した船員の近傍の携帯端末による当該携帯端末の位置測定処理が不調でも、サーバ装置による当該携帯端末の位置推定処理を用いて、船員の落水の位置を通知することができる。
【発明の効果】
【0023】
このように、本開示は、船員の落水後の浮上時において、船員の落水の検知を維持するとともに、船員の落水の通知を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の従来技術の落水検知処理を示す図である。
図2】第2の従来技術の落水検知処理を示す図である。
図3】本開示の落水検知システムの構成を示す図である。
図4】本開示の落水検知ユニットの構成を示す図である。
図5】本開示の落水検知システムの処理を示す図である。
図6】本開示の落水検知システムの処理を示す図である。
図7】本開示の落水検知処理を示す図である。
図8】第1の本開示の落水通知処理を示す図である。
図9】第2の本開示の落水通知処理を示す図である。
図10】変形例の落水通知処理を示す図である。
図11】本開示の落水情報及び救難情報の表示処理を示す図である。
図12】本開示の風速又は潮流のデータを示す図である。
図13】本開示の落水位置の推定処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0026】
本開示の落水検知システムの構成を図3に示す。落水検知システムFは、船員Cが有する落水検知ユニットU及び携帯端末P1、船員Cの乗船する船舶V1の船員が有する携帯端末P2、クラウドサーバS、船員Cの近隣の船舶V2の船員が有する携帯端末P3、並びに、船員Cの拠点Bの社員又は船員Cの自宅Hの家族が有する携帯端末P4を備える。
【0027】
本開示の落水検知ユニットの構成を図4に示す。落水検知ユニットUは、水環境センサ1及び落水検知装置2を備える。落水検知装置2は、落水検知部21、落水記憶部22及び落水通知部23を備え、図5、6に示した落水検知プログラムをインストールされる。落水検知ユニットUは、船員Cのライフジャケットの首元に装備され、携帯端末P1は、船員Cのライフジャケットの胸ポケットに装備・防水される(図7~9を参照。)。
【0028】
本開示の落水検知システムの処理を図5、6に示す。携帯端末P1、P2、P3、P4は、図5、6に示した落水検知アプリをインストールしたうえで、4G(4th Generation)又はLTE(Long Term Evolution)を用いて、自端末をクラウドサーバSに対して通知先テーブルの登録を要求する(ステップS1、S2)。クラウドサーバSは、携帯端末P1、P2、P3、P4を通知先テーブルへ登録する(ステップS3)。
【0029】
本開示の落水検知処理を図7に示す。水環境センサ1は、船員Cの周囲の水環境のデータを出力する(ステップS4)。水環境センサ1が水濡れセンサであるときには、回路上の2接点間に水が介在すると、その2接点間が通電され、又は、発光部から受光部への光路中に水が介在すると、発光部から受光部への光量が減少し、水環境センサ1の水濡れが検出される。水環境センサ1が水圧センサであるときには、水圧値が高く検出されると、水環境センサ1の水濡れが検出される。水環境センサ1が湿度センサであるときには、湿度値が高く検出されると、水環境センサ1の水濡れが検出される。
【0030】
落水検知部21は、水環境のデータに基づいて、船員Cの落水を検知する(ステップS5)。そして、落水検知部21は、船員Cの落水を検知している状態が、所定の時間以上の時間も継続していることに基づいて(ステップS5でYES、ステップS6でYES)、船員Cの落水を暫定的ではなく確定的に検知する(ステップS7、図7の左欄)。
【0031】
一方で、落水検知部21は、船員Cの落水を検知している状態が、所定の時間以上の時間も継続していないことに基づいて(ステップS5でYES、ステップS6でNO)、船員Cの非落水を暫定的ではなく確定的に検知する(ステップS8、図7の右欄)。ここで、所定の時間は、水環境センサ1の一時的な水濡れの乾燥に要する時間程度の時間である。
【0032】
なお、落水検知部21は、船員Cの落水を検知していないときには(ステップS5でNO)、ステップS8を経たうえで、ステップS4から繰り返す。
【0033】
このように、船員Cの甲板等での水濡れによる落水検知ユニットUの一時的な水濡れを検知するだけでは、船員Cの落水を誤って検知することがないようにすることができる。
【0034】
第1、2の本開示の落水通知処理を図8、9に示す。第2の本開示では、第1の本開示と異なり、落水記憶部22は、船員Cの落水の情報をメモリへ書き込み、船員Cの落水後の浮上の有無によらず、船員Cの落水の情報をメモリへ継続して書き込む(ステップS9)。第2の本開示では、第1の本開示と異なり、落水通知部23は、船員Cの落水の情報のメモリへの継続した書き込みに基づいて(ステップS9)、船員Cの落水の情報を片方向通信にて連続的に通知する、ビーコン信号を発信する(ステップS10)。以下では、落水の情報をメモリへ書き込まない第1の本開示の落水通知処理の短所を説明した後に、落水の情報をメモリへ書き込む第2の本開示の落水通知処理の長所を説明する。
【0035】
図8に示した第1の本開示では、船員Cの落水時には、水環境のデータに基づいて、船員Cの落水を検知し(ステップS7)、落水検知ユニットUと携帯端末P1、P2との間の通信不能によらず、落水検知ユニットUのビーコン信号発信が続行される。そして、船員Cの浮上時には、落水検知ユニットUと携帯端末P1、P2との間の通信可能に関わらず、水環境のデータに基づいて、船員Cの非落水を検知し(ステップS8)、船員Cの非落水の情報がビーコン信号で発信される可能性がある。これは、船員Cの落水の情報をメモリへ書き込まないからである。よって、船員Cが救難されない可能性がある。
【0036】
図9に示した第2の本開示では、船員Cの落水時には、水環境のデータに基づいて、船員Cの落水を検知し(ステップS7)、落水検知ユニットUと携帯端末P1、P2との間の通信不能によらず、落水検知ユニットUのビーコン信号発信が続行される。そして、船員Cの浮上時には、落水検知ユニットUと携帯端末P1、P2との間の通信可能になるため、水環境のデータに基づいて、船員Cの非落水を検知するが(ステップS8)、船員Cの落水の情報がビーコン信号で発信される。これは、船員Cの浮上の有無によらず、船員Cの落水の情報をメモリへ書き込むからである。よって、船員Cが救難される可能性が高い。
【0037】
このように、図8に示した第1の本開示においても、図9に示した第2の本開示においても、ビーコン信号は、ペアリング確立を不要とし、船員Cの落水時にも、中断されることなく、船員Cの落水後の浮上時には、引き続き発信される。よって、船員Cの落水後の浮上時において、船員Cの落水の通知を確実にすることができる。
【0038】
そして、図9に示した第2の本開示においては、図8に示した第1の本開示と異なり、船員Cの落水の検知は、船員Cの落水後の浮上時に、解除されたとしても、船員Cの落水の情報は、船員Cの落水後の浮上時にも、メモリに維持される。よって、船員Cの落水後の浮上時において、船員Cの落水の検知を維持することができる。
【0039】
図8に示した第1の本開示及び図9に示した第2の本開示では、落水検知ユニットUは、船員Cのライフジャケットの首元に装備されている。図10に示した変形例として、落水検知ユニットUは、船員Cのライフジャケットの肩口等の身体の高い箇所、又は浮上時において空気中に露出し易い箇所に装備されることが好適である。
【0040】
次に、船員Cの落水の情報及び船員Cの落水の位置を中継・通知するステップについて説明する。本開示の落水情報の表示処理を図11の左欄に示す。
【0041】
携帯端末P1、P2は、ビーコン信号を受信することで、船員Cの落水の情報を落水検知ユニットUから取得する(ステップS11)。そして、携帯端末P1、P2は、4G又はLTEを用いて、船員Cの落水の情報をクラウドサーバSへと中継し、自端末の位置を船員Cの落水の位置としてクラウドサーバSへと通知する(ステップS12)。
【0042】
クラウドサーバSは、4G又はLTEを用いて、船員Cの落水の情報及び船員Cの落水の位置を携帯端末P1、P2から取得する(ステップS13)。そして、クラウドサーバSは、通知先テーブルを参照し、船員Cの情報を中継すべき携帯端末P3、P4を確認する(ステップS14)。さらに、クラウドサーバSは、4G又はLTEを用いて、船員Cの落水の情報及び船員Cの落水の位置を携帯端末P3、P4へと中継する(ステップS15)。
【0043】
携帯端末P3、P4は、4G又はLTEを用いて、船員Cの落水の情報及び船員Cの落水の位置をクラウドサーバSから取得する(ステップS16)。そして、携帯端末P3、P4は、船員Cの落水の情報を落水情報5として表示し、船員Cの落水の位置を地図情報3のアイコン4として表示する(ステップS17)。落水情報5は、登録船名(船舶V1)、登録者名(船員C)、落水状態(落水中)、落水位置(緯度経度)及び落水時刻等を含む。
【0044】
このように、船員Cの近傍の携帯端末P1、P2及びクラウドサーバSを介して、船員Cの拠点B又は家族Hの携帯端末P4及び船員Cの近隣の船舶V2の携帯端末P3に対して、船員Cの落水の情報及び船員Cの落水の位置を中継・通知することができる。
【0045】
次に、船員Cの落水の位置を推定するステップについて説明する。本開示の風速又は潮流のデータを図12に示す。本開示の落水位置の推定処理を図13に示す。
【0046】
携帯端末P1、P2は、4G又はLTEを用いて、自端末の位置を船員Cの落水の位置としてクラウドサーバSへと通知不能である場合を以下に記載する(ステップS18)。これは、携帯端末P1の水没、携帯端末P2の不調又はGPSシステム(Global Positioning Satellite System)の不調等によるものである。
【0047】
クラウドサーバSは、4G又はLTEを用いて、船員Cの落水の位置を携帯端末P1、P2から取得不能である(ステップS19)。そこで、クラウドサーバSは、風速又は潮流に基づいて、船員Cの落水の位置を推定する(ステップS20)。そして、クラウドサーバSは、通知先テーブルを参照し、船員Cの情報を中継すべき携帯端末P3、P4を確認する(ステップS21)。さらに、クラウドサーバSは、4G又はLTEを用いて、ステップS20で推定した船員Cの落水の位置を携帯端末P3、P4へと通知する(ステップS22)。
【0048】
携帯端末P3、P4は、4G又はLTEを用いて、船員Cの落水の位置をクラウドサーバSから取得する(ステップS23)。そして、携帯端末P3、P4は、船員Cの落水の位置を地図情報3のアイコン4として表示する(ステップS24)。
【0049】
図12に示した気象海象のデータのうちの風速又は潮流のデータでは、時刻t(k=a、b、c等)、経度x(i=1、2、3、4等)及び緯度y(j=1、2、3、4等)において、風速又は潮流のベクトルrijk及び風速又は潮流の誤差Δrが含まれる。
【0050】
図13に示した船員Cの落水の位置の推定処理では、クラウドサーバSは、時刻tの直前に、船員Cの落水の位置(x、y)を取得可能であり、時刻tに、船員Cの落水の位置を取得不能となり、図12に示した風速又は潮流のデータを参照する。
【0051】
まず、時刻t、経度x及び緯度yにおいて、風速又は潮流のベクトルはr11aであり、風速又は潮流の誤差はΔrである。そこで、クラウドサーバSは、船員Cの落水の位置が、時刻tから時刻tまで、緯度経度(x、y)からベクトルr11aを加えた緯度経度(x、y)へと移動したと推定する。そして、クラウドサーバSは、船員Cの落水の位置の誤差が、時刻tにおいて、Δrであると推定する。
【0052】
次に、時刻t、経度x及び緯度yにおいて、風速又は潮流のベクトルはr22bであり、風速又は潮流の誤差はΔrである。そこで、クラウドサーバSは、船員Cの落水の位置が、時刻tから時刻tまで、緯度経度(x、y)からベクトルr22bを加えた緯度経度(x、y)へと移動したと推定する。そして、クラウドサーバSは、船員Cの落水の位置の誤差が、時刻tにおいて、Δr+Δrであると推定する。
【0053】
次に、時刻t、経度x及び緯度yにおいて、風速又は潮流のベクトルはr24cであり、風速又は潮流の誤差はΔrである。そこで、クラウドサーバSは、船員Cの落水の位置が、時刻tから時刻tまで、緯度経度(x、y)からベクトルr24cを加えた緯度経度(x、y)へと移動したと推定する。そして、クラウドサーバSは、船員Cの落水の位置の誤差が、時刻tにおいて、Δr+Δr+Δrであると推定する。
【0054】
このように、落水した船員Cの近傍の携帯端末P1、P2による当該携帯端末P1、P2の位置測定処理が不調でも、クラウドサーバSによる当該携帯端末P1、P2の位置推定処理を用いて、船員Cの落水の位置を中継・通知することができる。
【0055】
次に、船員Cの救難の情報及び船員Cの救難の位置を中継・通知するステップについて説明する。本開示の救難情報の表示処理を図11の右欄に示す。
【0056】
落水検知部21は、落水検知ユニットUのボタン操作等に基づいて、船員Cの救難の情報を取得する(ステップS25)。落水記憶部22は、船員Cの救難の情報を記憶する(ステップS26)。落水通知部23は、落水記憶部22の記憶内容に基づいて、ビーコン信号を送信することで、船員Cの救難の情報を携帯端末P1、P2へと通知する(ステップS27)。
【0057】
携帯端末P1、P2は、ビーコン信号を受信することで、船員Cの救難の情報を落水検知ユニットUから取得する(ステップS28)。そして、携帯端末P1、P2は、4G又はLTEを用いて、船員Cの救難の情報をクラウドサーバSへと中継し、自端末の位置を船員Cの救難の位置としてクラウドサーバSへと通知する(ステップS29)。
【0058】
クラウドサーバSは、4G又はLTEを用いて、船員Cの救難の情報及び船員Cの救難の位置を携帯端末P1、P2から取得する(ステップS30)。そして、クラウドサーバSは、通知先テーブルを参照し、船員Cの情報を中継すべき携帯端末P3、P4を確認する(ステップS31)。さらに、クラウドサーバSは、4G又はLTEを用いて、船員Cの救難の情報及び船員Cの救難の位置を携帯端末P3、P4へと中継する(ステップS32)。
【0059】
携帯端末P3、P4は、4G又はLTEを用いて、船員Cの救難の情報及び船員Cの救難の位置をクラウドサーバSから取得する(ステップS33)。そして、携帯端末P3、P4は、船員Cの救難の情報を落水情報5として表示し、船員Cの救難の位置を地図情報3のアイコン4として表示する(ステップS34)。落水情報5は、登録船名(船舶V1)、登録者名(船員C)、落水状態(救難済)、救難位置(緯度経度)及び救難時刻等を含む。
【0060】
このように、船員Cの近傍の携帯端末P1、P2及びクラウドサーバSを介して、船員Cの拠点B又は家族Hの携帯端末P4及び船員Cの近隣の船舶V2の携帯端末P3に対して、船員Cの救難の情報及び船員Cの救難の位置を中継・通知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示の落水検知ユニット、携帯端末及びサーバ装置は、落水した船員の拠点又は家族及び落水した船員の近隣の船舶に対して、船員の落水の情報及び船員の落水の位置を中継・通知することができる。
【符号の説明】
【0062】
C:船員
R:無線タグ
P、P1、P2、P3、P4:携帯端末
F:落水検知システム
V1、V2:船舶
B:拠点
H:自宅
U:落水検知ユニット
S:クラウドサーバ
1:水環境センサ
2:落水検知装置
3:地図情報
4:アイコン
5:落水情報
21:落水検知部
22:落水記憶部
23:落水通知部
図1
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