(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011898
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 3/00 20060101AFI20220107BHJP
H01R 12/91 20110101ALI20220107BHJP
【FI】
H01R3/00
H01R12/91
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113310
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 勇次郎
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】木全 孝徳
【テーマコード(参考)】
5E085
5E223
【Fターム(参考)】
5E085BB08
5E085CC02
5E085JJ03
5E223AB26
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB08
(57)【要約】
【課題】可動力の上昇を抑えつつ電気抵抗を下げることができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、固体金属で構成された第一固体部(固定側被保持部22)と、固体金属で構成された第二固体部(可動側被保持部24)と、第一固体部22と第二固体部24とを電気的に接続する中間部(中間弾性部23、液体金属部50)と、を備える。中間部23,50は、第一固体部22に対する第二固体部24の移動を許容する。ここで、中間部23,50は、液体金属で構成された中間液体部(液体金属部50)を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体金属で構成された第一固体部と、
固体金属で構成された第二固体部と、
前記第一固体部と前記第二固体部とを電気的に接続すると共に前記第一固体部に対する前記第二固体部の移動を許容する中間部と、を備えるコネクタであって、
前記中間部は、液体金属で構成された中間液体部を有する、
コネクタ。
【請求項2】
前記中間部は、固体金属で構成された中間固体部を有し、
前記中間固体部は、前記第一固体部と前記第二固体部とを電気的に接続すると共に変形することで前記第一固体部に対する前記第二固体部の移動を許容する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第一固体部、前記第二固体部及び前記中間固体部は、一体に形成される、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記中間部は、固体金属で構成された中間固体部を有し、
前記中間固体部は、
前記第一固体部と電気的に接続する第一側接続部と、
前記第二固体部と電気的に接続する第二側接続部と、を有し、
前記中間液体部は、前記第一側接続部と前記第二側接続部との両方に接触することで、前記第一側接続部と前記第二側接続部とを電気的に接続する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第一側接続部と前記第二側接続部とは、別体である、
請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記中間固体部は、
所定の伸長方向に伸長する第一伸長部と、
前記伸長方向と略平行な方向に伸長すると共に、前記伸長方向に垂直な方向である対向方向で前記第一伸長部と対向する第二伸長部と、を有し、
前記中間液体部は、前記第一伸長部と前記第二伸長部との間に形成された空間である対向空間を埋めるように形成される、
請求項2~請求項5の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記中間固体部は、曲部を有し、
前記中間液体部は、前記曲部の内側に形成される、
請求項2~請求項6の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記中間固体部は、伸長方向が折り返される折返部を有し、
前記中間液体部は、前記折返部の内側に形成される、
請求項2~請求項6の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
筒状の柔軟部材を備え、
前記柔軟部材の内部に前記中間液体部が形成される、
請求項1~請求項8の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項10】
筒状の柔軟部材を備え、
前記中間固体部は、
所定の伸長方向に伸長する第一伸長部と、
前記伸長方向と略平行な方向に伸長すると共に、前記伸長方向に垂直な方向である対向方向で前記第一伸長部と対向する第二伸長部と、を有し、
前記中間液体部は、前記第一伸長部と前記第二伸長部との間に形成された空間である対向空間を埋めるように形成され、
前記柔軟部材は、前記第一伸長部、前記第二伸長部及び前記中間液体部を纏めて囲う筒状に形成される、
請求項2~請求項8の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記中間液体部を保持する易変形部材を備える、
請求項1~請求項10の何れか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1開示のコネクタは、基板に取り付けられる固定ハウジングと、固定ハウジングに対して移動可能な可動ハウジングと、固定ハウジングに保持されると共に可動ハウジングに保持される端子と、を備える。端子は、固定ハウジングに対する可動ハウジングの移動を許容するために変形可能に構成された中間弾性部(可動部)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなコネクタでは、基板と端子との接続部分における半田クラックを防止する目的やその他の目的で、可動力を小さくすることが求められる場合がある。可動力を小さくするためには、中間弾性部の断面積を小さくすることが考えられる。
しかし、中間弾性部の断面積が小さくなると、電気抵抗が大きくなり発熱量が大きくなってしまう。発熱を抑えるために電気抵抗を下げるためには、導電性部材の断面を大きくすることが考えられるが、断面を大きくすると可動力が大きくなってしまう。
【0005】
本開示の目的は、可動力の上昇を抑えつつ電気抵抗を下げることができるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係るコネクタは、固体金属で構成された第一固体部と、固体金属で構成された第二固体部と、前記第一固体部と前記第二固体部とを電気的に接続すると共に前記第一固体部に対する前記第二固体部の移動を許容する中間部と、を備えるコネクタであって、前記中間部は、液体金属で構成された中間液体部を有する。
【0007】
上記態様では、コネクタは、固体金属で構成された第一固体部と、固体金属で構成された第二固体部と、第一固体部と第二固体部とを電気的に接続する中間部と、を備える。中間部は、第一固体部に対する第二固体部の移動を許容する。
【0008】
更に、中間部は、液体金属で構成された中間液体部を有する。
中間液体部は、液体金属で構成されるので電気伝導性を有する。そのため、中間部が中間液体部を有しない態様と比較して、中間部の電気抵抗が下がる。また、中間液体部は、液体金属で構成されるので、固体金属よりも変形容易である。
よって、上記態様によれば、可動力(第一固体部に対して第二固定部を変位させるために必要な力をいう。)の上昇を抑えながら、電気抵抗を低下させることができる。
【0009】
第2の態様に係るコネクタは、第1の態様において、前記中間部は、固体金属で構成された中間固体部を有し、前記中間固体部は、前記第一固体部と前記第二固体部とを電気的に接続すると共に変形することで前記第一固体部に対する前記第二固体部の移動を許容する。
【0010】
上記態様では、中間部は、固体金属で構成された中間固体部を有する。中間固体部は、第一固体部と第二固体部とを電気的に接続すると共に、変形することで第一固体部に対する第二固体部の移動を許容する。
このため、中間固体部によって、第一固体部と第二固体部との電気的接続の維持が確実になる。
【0011】
なお、後述の第一実施形態では、第一固体部、第二固体部及び中間固体部が一体に形成されるが、上記態様はこれに限定されない。例えば、第一固体部及び中間固体部が一体に形成されると共に第二固体部が第一固体部及び中間固体部とは別体とされ、中間固体部が第二固体部と接触することで、第一固体部と第二固体部との電気的接続の維持されてもよい。
【0012】
第3の態様に係るコネクタは、第2の態様において、前記第一固体部、前記第二固体部及び前記中間固体部は、一体に形成される。
【0013】
上記態様では、第一固体部、第二固体部及び中間固体部は、一体に形成される。
このため、第一固体部と第二固体部との電気的接続の維持が、両者と一体に形成された中間固体部によって、より確実になる。
【0014】
第4の態様に係るコネクタは、第1の態様において、前記中間部は、固体金属で構成された中間固体部を有し、前記中間固体部は、前記第一固体部と電気的に接続する第一側接続部と、前記第二固体部と電気的に接続する第二側接続部と、を有し、前記中間液体部は、前記第一側接続部と前記第二側接続部との両方に接触することで、前記第一側接続部と前記第二側接続部とを電気的に接続する。
【0015】
上記態様では、中間固体部は、第一固体部と電気的に接続する第一側接続部と、第二固体部と電気的に接続する第二側接続部と、を有する。中間液体部は、第一側接続部と第二側接続部との両方に接触することで、第一側接続部と第二側接続部とを電気的に接続する。
このため、第一固体部に対する第二固体部の移動に伴い、第二側接続部が第一側接続部に対して移動しても、中間液体部が両方に接触したままとなることで電気的接続が維持される。
【0016】
第5の態様に係るコネクタは、第4の態様において、前記第一側接続部と前記第二側接続部とは、別体である。
【0017】
上記態様では、第一側接続部と第二側接続部とは、別体である。
このため、固体金属で構成される部材を、第一固体部と第一側接続部とを有する部分(第一端子)と、第二固体部と第二側接続部とを有する部分(第二端子)とで別々に製造できる。別々に製造できると、例えば、形状自由度が増す。
【0018】
第6の態様に係るコネクタは、第2~第5の何れかの態様において、前記中間固体部は、所定の伸長方向に伸長する第一伸長部と、前記伸長方向と略平行な方向に伸長すると共に、前記伸長方向に垂直な方向である対向方向で前記第一伸長部と対向する第二伸長部と、を有し、前記中間液体部は、前記第一伸長部と前記第二伸長部との間に形成された空間である対向空間を埋めるように形成される。
【0019】
上記態様では、中間固体部は、所定の伸長方向に伸長する第一伸長部と、伸長方向と略平行な方向に伸長すると共に、対向方向(伸長方向に垂直な方向)で第一伸長部と対向する第二伸長部と、を有する。中間液体部は、第一伸長部と第二伸長部との間に形成された空間である対向空間を埋めるように形成される。
このため、第一伸長部と第二伸長部との間に形成される空間に中間液体部が形成されるので、液体金属と固体金属との接触面積が大きくなる。よって、液体金属の保持が安定しやすい。
【0020】
第7の態様に係るコネクタは、第2~第6の何れかの態様において、前記中間固体部は、曲部を有し、前記中間液体部は、前記曲部の内側に形成される。
【0021】
上記態様では、中間固体部は、曲部を有する。中間液体部は、曲部の内側に形成される。
このため、曲部の内側の面において液体金属と接触することができるので、接触面積を確保しやすい。よって、液体金属の保持が安定しやすい。
【0022】
第8の態様に係るコネクタは、第2~第6の何れかの態様において、前記中間固体部は、伸長方向が折り返される折返部を有し、前記中間液体部は、前記折返部の内側に形成される。
【0023】
上記態様では、中間固体部は、伸長方向が折り返される折返部を有する。中間液体部は、折返部の内側に形成される。
このため、折返部の内側の面において液体金属と接触することができるので、接触面積を確保しやすい。よって、液体金属の保持が安定しやすい。
【0024】
なお、本開示において「曲部」とは、伸長方向が変化するように曲がっている部分をいう。他方、「折返部」とは、伸長方向が折り返される部分をいい、具体的には、伸長方向が120度以上の角度で変化する部分をいう。つまり、折返部は、曲部よりも狭い概念である。
なお、中間固体部の曲部又は折返部は、他の部分と比べて断面積が小さくなるように形成されてもよい。これにより、曲部又は折返部を変形させやすくして可動力を低下させることができる。
更にこの場合において、中間液体部は、曲部又は折返部にのみ形成されてもよい。
【0025】
第9の態様に係るコネクタは、第1~第8の何れかの態様において、筒状の柔軟部材を備え、前記柔軟部材の内部に前記中間液体部が形成される。
【0026】
上記態様では、筒状の柔軟部材を備え、柔軟部材の内部に中間液体部が形成される。
柔軟部材は、柔軟性を有するので、可動力が上昇しにくい。また、柔軟部材の内側に中間液体部が形成されるので、液体金属の保持が安定する。
【0027】
第10の態様に係るコネクタは、第2~第8の何れかの態様において、筒状の柔軟部材を備え、前記中間固体部は、所定の伸長方向に伸長する第一伸長部と、前記伸長方向と略平行な方向に伸長すると共に、前記伸長方向に垂直な方向である対向方向で前記第一伸長部と対向する第二伸長部と、を有し、前記中間液体部は、前記第一伸長部と前記第二伸長部との間に形成された空間である対向空間を埋めるように形成され、前記柔軟部材は、前記第一伸長部、前記第二伸長部及び前記中間液体部を纏めて囲う筒状に形成される。
【0028】
上記態様では、コネクタは、筒状の柔軟部材を備える。中間固体部は、所定の伸長方向に伸長する第一伸長部と、伸長方向に伸長すると共に第一伸長部と伸長方向に垂直な方向で対向する第二伸長部と、を有する。中間液体部は、第一伸長部と第二伸長部との間に形成された空間である対向空間を埋めるように形成される。柔軟部材は、第一伸長部、第二伸長部及び中間液体部を纏めて囲うように形成される。
このため、端子に対する柔軟部材の配置が容易である。
【0029】
第11の態様に係るコネクタは、第1~第10の何れかの態様において、前記中間液体部を保持する易変形部材を備える。
【0030】
上記態様では、コネクタは、中間液体部を保持する易変形部材を備える。
このため、易変形部材により液体金属の保持が安定する。
なお、易変形部材としては、ゲル部材や、RTVゴム等のゴム部材が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第一実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図2】第一実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図4】第一実施形態に係る端子及び液体金属部の斜視図である。
【
図5】第一実施形態に係るコネクタの断面図である。
【
図6】第二実施形態に係るコネクタの断面図である。
【
図7】第二実施形態に係るコネクタの溜部周辺を拡大した断面斜視図(液体金属部は省略)である。
【
図8】第三実施形態に係るコネクタ(固定ハウジング及び可動ハウジングは省略)を示す断面図である。
【
図9】第三実施形態に係る柔軟部材を示す図である。
【
図10】第四実施形態に係るコネクタ(固定ハウジング及び可動ハウジングは省略)を示す断面図である。
【
図11】第五実施形態に係るコネクタ(固定ハウジング及び可動ハウジングは省略)を示す断面図である。
【
図12】第一実施形態の変形例1を示す断面図である。
【
図13】第一実施形態の変形例2を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施形態について説明する。
【0033】
なお、各図に示す矢印X,Y,Zは、コネクタ及びその構成部品を基準とした方向概念である。+X方向をコネクタ前方向、+Y方向をコネクタ幅方向一方側、+Z方向をコネクタ上方向という。単に、前後方向、幅方向、上下方向をいうときは、コネクタ前後方向、コネクタ幅方向、コネクタ上下方向を意味する。
【0034】
図1は、コネクタ10の斜視図であり、
図2は、コネクタ10の分解斜視図である。
【0035】
コネクタ10は、複数の端子20と、固定ハウジング30と、可動ハウジング40と、を備える。
【0036】
固定ハウジング30及び可動ハウジング40は、合成樹脂などの絶縁体で構成される。固定ハウジング30は、端子20の一部(固定側被保持部22、
図3参照)を保持する。固定ハウジング30は、図示しない基板に固定され、基板に対して移動不能となる。可動ハウジング40は、端子20の他の一部(可動側被保持部24)を保持する。可動ハウジング40は、基板及び固定ハウジング30に対して移動可能となる。複数の端子20の各々は、固定側被保持部22と可動側被保持部24との間の中間弾性部23を有する。中間弾性部23が弾性変形することで、固定ハウジング30に対する可動ハウジング40の移動が許容される。
【0037】
次に、
図3、
図4等を用いて、端子20について説明する。
【0038】
端子20は、板材に対し、打ち抜き加工及び曲げ加工等を施すことで製造される。
【0039】
端子20は、一端から他端に向けて、基板接続部21と、固定側被保持部22と、中間弾性部23と、可動側被保持部24と、先端弾性部25と、接触部26と、を一体に有する。
【0040】
基板接続部21は、基板に対して接続される。
【0041】
固定側被保持部22は、固定ハウジング30に保持される。固定側被保持部22は、板幅方向の両側に圧入突起を有し、固定ハウジング30に対して下側から圧入される。
【0042】
中間弾性部23は、可動側被保持部24が固定側被保持部22に対して変位可能となるように、弾性変形可能に構成される。中間弾性部23は、第一伸長部23Aと、第一折返部23Bと、第二伸長部23Cと、第二折返部23Dと、を有する。
第一伸長部23Aは、固定側被保持部22から上方向に直線状に伸長する。
第一折返部23Bは、中間弾性部23の伸長方向を上方向から下方向へ折り返すように形成される。
第二伸長部23Cは、下方向に直線状に伸長する。
第二折返部23Dは、中間弾性部23の伸長方向を下方向から上方向へ折り返すように形成される。
【0043】
可動側被保持部24は、可動ハウジング40に保持される。可動側被保持部24は、板幅方向の両側に圧入突起を有し、可動ハウジング40に対して下側から圧入される。
【0044】
先端弾性部25は、接触部26が可動ハウジング40に対して変位可能となるように接触部26を弾性支持する。先端弾性部25は、上方向に向かって幅方向内側に傾斜した方向に向けて延びる。
【0045】
接触部26は、「接続対象物」としての相手側コネクタの相手側端子と接触する。接触部26は、幅方向内側に向けて凸となるように湾曲する。
【0046】
端子20は、基板接続部21、中間弾性部23、先端弾性部25及び接触部26をそれぞれ2つずつ有する。一方、端子20が有する固定側被保持部22及び可動側被保持部24は、それぞれ、1つずつである。固定側被保持部22及び可動側被保持部24は、板厚方向を幅方向に向けた平板状であり、前後方向を長手方向とした長方形状である。中間弾性部23の板幅は、先端弾性部25及び接触部26の板幅よりも小さい。
【0047】
≪液体金属部50≫
また、
図4、
図5に示すように、コネクタ10は、液体金属で構成された液体金属部50を備える。液体金属部50は、端子20と接触するように配置された液体金属によって構成される。
【0048】
液体金属部50は、第一液体金属部51と、第二液体金属部52と、を有する。
第一液体金属部51は、端子20の中間弾性部23のうち、第一伸長部23A、第一折返部23B及び第二伸長部23Cで囲まれた空間に形成される。具体的には、第一液体金属部51は、第一伸長部23Aと第二伸長部23Cとの間に形成された空間(対向空間)と、第一折返部23Bの内側の空間との両方を埋めるように形成される。
第二液体金属部52は、第二折返部23Dの内側の空間を埋めるように形成される。
【0049】
液体金属は、次の性質を有する金属が好ましい。
・15~25℃の間において液体である金属(好ましくは5~35℃の間において液体である金属)
・電気抵抗が小さい金属
・通電により発熱しても気化しにくい金属
【0050】
このような性質を有する液体金属としては、Ga(ガリウム)及びSn(スズ)を含む液体金属が好ましく、Ga(ガリウム)、In(インジウム)及びSn(スズ)の共晶合金を含む液体金属(例えば、ガリンスタン(登録商標))がより好ましい
特に、液体金属としてのガリンスタンは、沸点1300℃以上、融点約-19℃、常温(22℃)で液体の金属である。また、ガリンスタンは、空気との接触界面に酸化皮膜を形成し、酸化皮膜が封止部として機能し液体金属の気化を抑制する。
【0051】
液体金属は、端子20を構成する金属(固体金属、例えばCu(銅)の表面にメッキを施した部材)との濡れ性と表面張力とのバランスで、端子20の所定の箇所に保持された状態となる。液体金属としてGa(ガリウム)、In(インジウム)及びSn(スズ)の共晶合金を含む液体金属を用いる場合においては、In又はSnを主成分として含むメッキが、液体金属部50の形成の観点から好ましい。端子20の表面に施すメッキ、液体金属及び端子の形状などを調整することで、端子20の表面に液体金属を保持させることは可能である。
【0052】
また、端子20のうち液体金属を保持させたい箇所に、液体金属と濡れ性のよいメッキを施し、液体金属を保持させたい箇所以外には、液体金属と濡れ性の良いメッキを施さないようにしてもよい。このようにすることで、所望の箇所にのみ液体金属部50を形成することが容易になる。
Ga(ガリウム)、In(インジウム)及びSn(スズ)の共晶合金を含む液体金属を液体金属として用いる場合、濡れ性の良いメッキとしては、In又はSnを主成分として含むメッキが挙げられ、濡れ性の低く反応しにくいメッキとしては、Ni(ニッケル)、Rh(ロジウム)、Ir(イリジウム)、Ru(ルテニウム)から選択される1種を主成分として含むメッキが挙げられる。
【0053】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0054】
本実施形態では、
図5に示すように、コネクタ10は、固体金属で構成された第一固体部(固定側被保持部22)と、固体金属で構成された第二固体部(可動側被保持部24)と、第一固体部22と第二固体部24とを電気的に接続する中間部(中間弾性部23、液体金属部50)と、を備える。中間部23,50は、第一固体部22に対する第二固体部24の移動を許容する。
ここで、中間部23,50は、液体金属で構成された中間液体部(液体金属部50)を有する。
中間液体部50は、液体金属で構成されるので、電気伝導性を有する。そのため、中間部23,50が中間液体部50を有しない態様と比較して、中間部23,50の電気抵抗が下がる。また、中間液体部50は、液体金属で構成されるので固体金属よりも変形容易である。
よって、可動力の上昇を抑えながら、電気抵抗を低下させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、中間部23,50は、固体金属で構成された中間固体部23を有する。中間固体部23は、第一固体部22と第二固体部24とを電気的に接続すると共に、変形することで第一固体部22に対する第二固体部24の移動を許容する。
このため、第一固体部22と第二固体部24との電気的接続が、中間固体部23によって確実に維持される。
【0056】
また、本実施形態では、第一固体部22、第二固体部24及び中間固体部23は、一体に形成される。
このため、第一固体部22と第二固体部24との電気的接続が、両者と一体に形成された中間固体部(中間弾性部23)によって、より確実に維持される。
【0057】
また、本実施形態では、中間固体部23は、第一固体部22と電気的に接続する第一側接続部(第一伸長部23A)と、第二固体部24と電気的に接続する第二側接続部(第二伸長部23C)と、を有する。中間液体部50(第一液体金属部51)は、第一側接続部23Aと第二側接続部23Cとの両方に接触することで、第一側接続部23Aと第二側接続部23Cとを電気的に接続する。
このため、第一側接続部23Aに対して第二側接続部23Cが移動しても、中間液体部50が両方に接触したまま変形することで、電気的接続が維持される。
【0058】
また、本実施形態では、中間固体部23は、所定の伸長方向(上下方向)に伸長する第一伸長部23Aと、伸長方向と略平行な方向に伸長すると共に、伸長方向に垂直な方向である対向方向(幅方向)で第一伸長部23Aと対向する第二伸長部23Cと、を有する。中間液体部50(第一液体金属部51)は、第一伸長部23Aと第二伸長部23Cとの間に形成された空間である対向空間を埋めるように形成される。
このため、第一伸長部23Aと第二伸長部23Cとの間に形成される空間に中間液体部が形成されるので、液体金属と固体金属との接触面積が大きくなる。よって、液体金属の保持が安定しやすい。
特に、本実施形態では、
図5からも判るように、中間液体部50(第一液体金属部51)によって、電流が経路を近道して流れるようになる。すなわち、第一伸長部23Aにまで流れた電流は、第一液体金属部51を通ることで、折返部23Bを通ることなく第二伸長部23Cに直接流れることができる。これによって、電気が流れる経路が短くなり、電気抵抗の低下が大きく貢献する。
【0059】
また、本実施形態では、対向空間に対し、伸長方向(上下方向)と対向方向(幅方向)との両方に垂直な方向(前後方向)の両側に位置する壁部31(
図1、
図5)を固定ハウジング30が有している。このため、液体金属の保持が安定する。
【0060】
また、本実施形態では、中間固体部23は、伸長方向が折り返される折返部(第一折返部23B、第二折返部23D)を有する。中間液体部50は、折返部23B,24Dの内側に形成される。
このため、折返部23B,24Dの内側の面において液体金属と接触することができるので、接触面積を確保しやすい。よって、液体金属の保持が安定しやすい。
【0061】
また、本実施形態では、固定側被保持部22と第一伸長部23Aとが同一直線状に形成され、第一液体金属部51が、第一伸長部23Aだけでなく、固定側被保持部22にも接触するように形成される。
このため、液体金属部51が固定側被保持部22に接触しない態様よりも、電気抵抗を低下させることができる。
【0062】
〔第二実施形態〕
次に、
図6、
図7を用いて、第二実施形態に係るコネクタ110について説明する。
【0063】
第一実施形態では、端子20が一体に形成されるのに対し、第二実施形態では、端子120が、第一端子20Aと、第一端子20Aとは別体である第二端子20Bと、から構成される。また、第一実施形態では、端子20が、変形容易に構成された中間弾性部23を有するのに対し、第二実施形態では、端子120が、中間弾性部を有しない。
【0064】
第一端子20Aは、基板接続部21と、固定側被保持部22と、第一側接続部27と、を有する。第二端子20Bは、第二側接続部28と、可動側被保持部24と、先端弾性部25と、接触部26と、を有する。
【0065】
固定ハウジング130は、液体金属を溜めるための溜部32を有する。
溜部32は、固定ハウジング30に形成された凹部であり、上方に向けて開放される。溜部32に液体金属が配置されることで液体金属部50が形成される。
【0066】
溜部32の底面には、第一端子20Aの一部が通る貫通孔32Aが形成される。
第一端子20Aの固定側被保持部22が、固定ハウジング30に対して下側から圧入されることで、第一側接続部27が貫通孔32Aを通り抜けて溜部32の内部に配置される。
【0067】
第二側接続部28は、溜部32内に配置される。第二端子20Bの第二側接続部28は、可動ハウジング40の移動に伴って、溜部32内を移動する。溜部32には、液体金属で構成された中間液体部(液体金属部50)が形成されるので、中間液体部(液体金属部50)を介して第一端子20Aと第二端子20Bとの電気的な接続が維持される。
【0068】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0069】
本実施形態では、コネクタ110は、固体金属で構成された第一固体部(固定側被保持部22)と、固体金属で構成された第二固体部(可動側被保持部24)と、第一固体部22と第二固体部24とを電気的に接続する中間部(第一側接続部27、中間液体部50、第二側接続部28)と、を備える。
中間部27,50,28は、第一固体部22に対する第二固体部24の移動を許容する。
更に、中間部27,50,28は、液体金属で構成された中間液体部50を有する。
中間液体部50は、液体金属で構成されるので、電気伝導性を有する。そのため、中間部が中間液体部50を有しない態様(第一端子20Aと第二端子20Bとが接触しないため電気抵抗は極めて高い)と比較して、中間部27,50,28の電気抵抗が下がる。また、中間液体部50は、液体金属で構成されるので、固体金属よりも変形容易である。
よって、可動力の上昇を抑えながら、電気抵抗を低下させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、中間部27,50,28は、固体金属で構成された中間固体部27,28を有する。中間固体部27,28は、第一固体部22と電気的に接続する第一側接続部27と、第二固体部24と電気的に接続する第二側接続部28と、を有する。中間液体部50は、第一側接続部27と第二側接続部28との両方に接触することで、第一側接続部27と第二側接続部28とを電気的に接続する。
このため、第一固体部22に対する第二固体部24の移動に伴い、第二側接続部28が第一側接続部27に対して移動しても、中間液体部50が両方に接触したままとなることで電気的接続が維持される。
特に本実施形態では、固定ハウジング30は、液体金属を保持するための溜部32を有する。このため、中間液体部50を構成する液体金属の保持が安定する。
【0071】
また、本実施形態では、第一側接続部27と第二側接続部28とは、別体である。
このため、第一固体部22と第一側接続部27とを有する第一端子20Aと、第二固体部24と第二側接続部28とを有する第二端子20Bとを別々に製造できる。第一端子20Aと第二端子20Bとを別々に製造できると、それぞれの形状自由度が増す。
特に、本実施形態では、中間弾性部23(
図5参照)が形成されない。このため、例えば第一実施形態のような第一伸長部23Aや第二伸長部23Cを形成する必要がなく、コネクタ110を小型化しやすい。
【0072】
〔第三実施形態〕
次に、
図8を用いて、第三実施形態について説明する。
なお、
図8では、簡単のため、固定ハウジング30及び可動ハウジング40を省略して図示している。
【0073】
第三実施形態に係るコネクタは、筒状の柔軟部材60を備える。柔軟部材60の内部に、中間液体部(液体金属部50)が形成される。
柔軟部材60は、柔軟性を有するので、可動力が上昇しにくい。また、柔軟部材60の内側に中間液体部(液体金属部50)が形成されるので、液体金属の保持が安定する。
【0074】
柔軟部材60の材料は、特に限定されないが、液体金属と反応しない材料が好ましい。柔軟部材60の材料としては、ゴムチューブ、プラスチックチューブが挙げられる。
【0075】
柔軟部材60は、筒状であるが、筒の軸方向に沿ってスリット61が形成されてもよい(
図9)。本開示の「筒状」の語には、スリット61が入っており、完全な筒状とはなっていない形状も含まれる。柔軟部材60にスリット61が形成されることで、スリット61を介して端子20の一部(中間弾性部23)を筒状の柔軟部材60の内部に配置することができる。
【0076】
〔第四実施形態〕
次に、
図10を用いて、第四実施形態について説明する。
なお、
図10では、簡単のため、固定ハウジング30及び可動ハウジング40を省略して図示している。
【0077】
第四実施形態に係るコネクタは、筒状の柔軟部材160を備える。中間固体部(中間弾性部23)は、所定の伸長方向(上下方向)に伸長する第一伸長部23Aと、伸長方向に平行な方向に伸長すると共に伸長方向に垂直な方向で第一伸長部23Aと対向する第二伸長部23Cと、を有する。中間液体部(液体金属部50)は、第一伸長部23Aと第二伸長部23Cとの間に形成された空間である対向空間を埋めるように形成される。更に、柔軟部材160は、第一伸長部23A、第二伸長部23C及び中間液体部(液体金属部50)を纏めて囲うように形成される。
このため、柔軟部材160の配置が容易である。具体的には、スリット(
図9参照)を形成しなくても柔軟部材160を配置することができる。
【0078】
〔第五実施形態〕
次に、
図11を用いて、第五実施形態について説明する。
なお、
図11では、簡単のため、固定ハウジング30及び可動ハウジング40を省略して図示している。
【0079】
第五実施形態に係るコネクタは、中間液体部(液体金属部50)を保持するゲル部材70(「易変形部材」)を備える。このため、ゲル部材70により液体金属の保持が安定する。また、ゲル部材70は、柔らかいため、ゲル部材70を追加することによる可動力の上昇も小さい。
【0080】
ゲル部材70は、例えば、液体金属を端子20の表面に保持させた後、硬化前のゲル部材を注入し硬化させることで形成できる。ゲル部材70としては、シリコーンゲル(例えば、信越化学工業社製KE-1056)、フッ素シリコーンゲル(信越化学工業社製FE-73)が挙げられる。
【0081】
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、上記実施形態では、端子が先端弾性部25を有するが、本開示の端子はこれに限定されない。端子が先端弾性部25を有さず、接触部26が可動ハウジング40に対して移動しないように構成されてもよい。
【0082】
また、上記第一実施形態では、第一液体金属部51が、第一伸長部23A、第一折返部23B及び第二伸長部23Cで囲まれた空間を埋めるように形成されるが(
図5)、
図12に示すように液体金属部51(中間液体部)が形成されてもよい。
図12に示す第一液体金属部51は、第一伸長部23A、第一折返部23B及び第二伸長部23Cで囲まれた空間を埋めるようには形成されていないが、第一伸長部23A、第一折返部23B及び第二伸長部23Cに接触するように形成されている。このような第一液体金属部51でも、中間弾性部23の電気抵抗を低下させる効果を奏する。また、第二液体金属部52についても同様である。
【0083】
また、上記第一実施形態では、第一液体金属部51が、第一伸長部23Aと第二伸長部23Cとの間に形成された空間(対向空間)と、第一折返部23Bの内側の空間との両方を埋めるように形成されるが(
図5)、
図13に示すように、液体金属部51(中間液体部)が形成されてもよい。
図13に示す第一液体金属部51は、第一伸長部23Aと第二伸長部23Cとの間に形成された空間(対向空間)を埋めるように形成されているが、第一折返部23Bの内側の空間には形成されていない。
【0084】
また、上記実施形態では、固定側被保持部22が「第一固体部」に相当し、可動側被保持部24が「第二固体部」に相当するとして説明したが、本開示の「第一固体部」「第二固体部」は、これに限定されない。実際のところ、上記実施形態の基板接続部21を「第一固体部」と捉えることも可能である。
【0085】
また、上記第二実施形態では、液体金属を溜めるための溜部32が固定ハウジング130に形成されるが、本開示の「溜部」はこれに限定されず、可動ハウジングに形成されてもよい。
【0086】
図14は、可動ハウジング240に溜部32が形成されたコネクタ210の一例を示す断面図である。コネクタ210は、固定ハウジング230と、可動ハウジング240と、第一端子20Aと、第二端子20Bと、液体金属部50と、を備える。
【0087】
第一端子20Aは、基板接続部21と、固定側被保持部22と、第一側接続部27と、を有する。第二端子20Bは、第二側接続部28と、可動側被保持部24と、先端弾性部25と、接触部26と、を有する。
可動ハウジング240は、液体金属を溜めるための溜部32を有する。溜部32は、可動ハウジング240に形成された凹部であり、上方に向けて開放される。溜部32に液体金属が配置されることで液体金属部50が形成される。これにより、溜部32及び液体金属部50は、可動ハウジング240と連動して移動する。
【0088】
溜部32の底面には、第二端子20Bの一部が通る貫通孔32Aが形成される。第二端子20Bの可動側被保持部24が、可動ハウジング240に対して下側から圧入されることで、第二側接続部28が貫通孔32Aを通り抜けて溜部32の内部に配置される。
【0089】
第一側接続部27は、溜部32内に配置される。第一端子20Aの第一側接続部27は、可動ハウジング240の移動に伴って、溜部32内を移動する。溜部32には、液体金属で構成された中間液体部(液体金属部50)が形成されるので、中間液体部(液体金属部50)を介して第一端子20Aと第二端子20Bとの電気的な接続が維持される。
【0090】
更に、コネクタ210は、「易変形部材」としてのゲル部材70を備える。ゲル部材70は、溜部32に配置された液体金属部50の上方(溜部32が開放された側)に形成される。これにより、液体金属部50を構成する液体金属が溜部32から零れることが防止される。第一端子20Aの第一側接続部27は、下方へ向けて伸びており、ゲル部材70を上下方向に貫通している。ゲル部材70は柔らかいため、ゲル部材70を貫通する第一側接続部27は容易に移動することができ、ゲル部材70を追加することによる可動力の上昇は小さい。
【0091】
なお、上記第四実施形態や
図14に示す変形例では、「易変形部材」としてゲル部材70が用いられているが、本開示の「易変形部材」は、RTVゴム等のゴム部材であってもよいし、他の変形容易な部材であってもよい。
【0092】
【0093】
まず、
図15に示すコネクタ310の説明をする。
図15に示すコネクタ310は、固定ハウジング330と、可動ハウジング340と、第一端子20Aと、第二端子20Bと、液体金属部50と、ゲル部材70と、を備える。
【0094】
第一端子20Aは、基板接続部21と、固定側被保持部22と、第一側接続部27と、を有する。第二端子20Bは、第二側接続部28と、可動側被保持部24と、接触部26と、を有する。固定ハウジング330は、液体金属を溜めるための溜部32を有する。溜部32は、固定ハウジング330に形成された凹部であり、上方に向けて開放される。溜部32に液体金属が配置されることで液体金属部50が形成される。
【0095】
溜部32の底面には、第一端子20Aの第一側接続部27が配置される。第二端子20Bの第二側接続部28は、第一側接続部27に対して上方に位置する。第二端子20Bの第二側接続部28は、可動ハウジング340の移動に伴って、溜部32内を移動する。溜部32には、液体金属で構成された中間液体部(液体金属部50)が形成されるので、中間液体部(液体金属部50)を介して第一端子20Aと第二端子20Bとの電気的な接続が維持される。
【0096】
第一側接続部27及び第二側接続部28は、共に、上下方向(Z方向)を板厚方向とする平板状に形成される。第一側接続部27の上側の面と、第二側接続部28の下側の面とがZ方向で対向する。第一側接続部27は第二側接続部28よりも大きく形成されており、可動ハウジング340がXY方向の可動域で変位した場合でも、第二側接続部28の全体が第一側接続部27の一部と平面視で重なるようになっている。
【0097】
ゲル部材70は、溜部32に配置された液体金属部50の上方(溜部32が開放された側)に形成される。
【0098】
次に、
図16に示すコネクタ410の説明をする。
図16に示すコネクタ410は、固定ハウジング430と、可動ハウジング440と、第一端子20Aと、第二端子20Bと、液体金属部50と、ゲル部材70と、を備える。
【0099】
第一端子20Aは、基板接続部21と、固定側被保持部22と、第一側接続部27と、を有する。第二端子20Bは、第二側接続部28と、可動側被保持部24と、接触部26と、を有する。可動ハウジング440は、液体金属を溜めるための溜部32を有する。溜部32は、可動ハウジング440に形成された凹部であり、上方に向けて開放される。溜部32に液体金属が配置されることで液体金属部50が形成される。これにより、溜部32及び液体金属部50は、可動ハウジング440と連動して移動する。
【0100】
溜部32の底面には、第二端子20Bの第二側接続部28が配置される。第一端子20Aの第一側接続部27は、第二側接続部28に対して上方に位置する。可動ハウジング440の移動に伴って、第一端子20Aの第一側接続部27は、溜部32内を移動する。
【0101】
第一側接続部27及び第二側接続部28は、共に、上下方向(Z方向)を板厚方向とする平板状に形成される。第一側接続部27の下側の面と、第二側接続部28の上側の面とがZ方向で対向する。第二側接続部28は第一側接続部27よりも大きく形成されており、可動ハウジング440がXY方向の可動域で変位した場合でも、第一側接続部27の全体が第二側接続部28の一部と平面視で重なるようになっている。
【0102】
ゲル部材70は、溜部32に配置された液体金属部50の上方(溜部32が開放された側)に形成される。
【0103】
<作用効果>
図6及び
図14に示す形態では、第一側接続部27と第二側接続部28とがY方向で対向しているので、可動ハウジングがY方向で変位すると、第一側接続部27と第二側接続部28とが対向する方向の距離(Y方向の距離)が変わる。これによって、両者の間に介在する液体金属の量が変化し、電気抵抗値が変わってしまう恐れがある。特に、液体金属の電気抵抗が比較的高い場合は、コネクタの電気抵抗値の変化が大きい。
これらに対し、
図15、
図16に示す変形例では、第一側接続部27と第二側接続部28とが、Y方向でなく、Z方向で対向する。このため、可動ハウジング340,440がY方向で変位しても、第一側接続部27と第二側接続部28とが対向する方向の距離(Z方向の距離)が変化しないので、電気抵抗値の変化を抑制できる。特に、液体金属の電気抵抗が比較的高い場合に効果的である。
【0104】
また、これら変形例では、第一側接続部27及び第二側接続部28のうち、溜部32に対して位置が固定される側の接続部が下側に配置され、溜部32に対して移動する側の接続部が上側に配置される。そして、下側の接続部が上側の接続部よりも大きく形成され、可動ハウジング340,440がY方向又はX方向の可動域で変位した場合でも、上側の接続部の全体が下側の接続部と平面視で重なるようになっている。このため、より一層、電気抵抗値の変化を抑制できる。
【符号の説明】
【0105】
10,110 コネクタ
20,120 端子
20A 第一端子
20B 第二端子
21 基板接続部
22 固定側被保持部(第一固体部)
23 中間弾性部(中間固体部、中間部)
23A 第一伸長部(第一側接続部)
23B 第一折返部(折返部)
23C 第二伸長部(第二側接続部)
23D 第二折返部
24 可動側被保持部(第二固体部)
25 先端弾性部
26 接触部
27 第一側接続部(中間固体部)
28 第二側接続部(中間固体部)
30,130 固定ハウジング
31 壁部
32 溜部
32A 貫通孔
40 可動ハウジング
50 液体金属部(中間液体部)
51 第一液体金属部(中間液体部)
52 第二液体金属部(中間液体部)
60,160 柔軟部材
61 スリット
70 ゲル部材